TEPHRAS IN JAPAN · 1996

校訂版 · JAPAN ASSOCIATION FOR QUATERNARY RESEARCH

第四紀露頭集―日本のテフラ

本校訂・翻訳版について
本版は、池上郁彦が『第四紀露頭集―日本のテフラ』(第四紀露頭集編集委員会編、1996年、日本第四紀学会刊)の公開PDFをもとに、OCR文書の整形・レイアウト調整を行い、GPT-6.1 Solによる自動翻訳を用いて作成した非公式の校訂・翻訳版です。本版の校訂、英訳、図版のalt・文字抽出、追加編集注は、原著刊行後に作成したものです。

年代値、地名、地層名、解釈、露頭の現況は、原著当時の記載を尊重しています。自動処理や原資料の低解像度に由来する誤読・誤訳が残る可能性があるため、研究・引用に際しては、学会配布の原PDFも併せて確認してください。判読できない箇所や原著内の不整合は校訂上の注記に記録しています。

原著157–159、164ページの4項目は、旧石器捏造関連資料に関する学会の判断に基づき公開版で削除されており、それぞれの位置に本版の編集注を置いています。公開版の編集方針は日本第四紀学会の配布ページをご参照ください。

図版は共通の外部画像フォルダを参照します。HTMLでは図の下の開閉欄から読み取った文字と英訳を閲覧できます。詳細データは図中文字:日本語、英語、altと図文字のJSON、対訳用語集に収録しています。

表紙

第四紀露頭集―日本のテフラ

日本第四紀学会40周年特別企画

Inventory of Quaternary Outcrops —Tephras in Japan—

Japan Association for Quaternary Research
40th Anniversary Special Publication

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伊豆大島千波崎地層大切断面。古期大島層群のスコリア層が縞状に露出する。
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日本第四紀学会 — Japan Association for Quaternary Research

口絵写真:1–3

美々の後カルデラテフラ、斜里の屈斜路・摩周テフラ、中春別のインボリューションの3写真と説明。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

  1. 石狩平野美々において、支笏テフラの上にのる後カルデラテフラ群。黄色のテフラが恵庭a、濃いオレンジ色のテフラが樽前d、その上位に樽前c、bがのる。本文WS-7-1参照。町田洋撮影。

  2. 道東斜里における屈斜路および摩周火山のテフラ群。これらの中に阿蘇4テフラが保存されている。本文WS-9-4参照。奥村晃史撮影。

  3. 根釧原野、中春別におけるテフラのインボリューション。最終氷期(酸素同位体ステージ2)に擾乱をうけたテフラとあまり受けなかった摩周1テフラとの対照が顕著。どれも摩周成層火山の噴出物。岩田修二撮影。

表紙写真:伊豆大島千波崎地層大切断面。古期大島層群のスコリア層。本文KT-47参照。新川和範撮影。

English translation

  1. Post-caldera tephras overlying the Shikotsu tephra at Bibi on the Ishikari Plain. The yellow tephra is Eniwa-a, and the dark orange tephra is Tarumae-d; Tarumae-c and -b overlie them. See WS-7-1. Photograph: 町田洋 (Hiroshi Machida).

  2. Tephras from Kutcharo and Mashu volcanoes at Shari in eastern Hokkaido. The Aso-4 tephra is preserved within this succession. See WS-9-4. Photograph: 奥村晃史 (Koji Okumura).

  3. Tephra involutions at Nakashunbetsu on the Konsen Plain. There is a marked contrast between tephras disturbed during the last glacial period (oxygen isotope stage 2) and the Mashu-1 tephra, which was affected relatively little. All are products of Mashu stratovolcano. Photograph: 岩田修二 (Shuji Iwata).

Cover photograph: The Great Geological Section at Senbazaki, Izu-Oshima. Scoria beds of the Older Oshima Group. See KT-47. Photograph: 新川和範.

1. 石狩平野美々において、支笏テフラの上にのる後カルデラテフラ群。黄色のテフラが恵庭a、濃いオレンジ色のテフラが樽前d、その上位に樽前c、bがのる。本文WS-7-1参照。町田洋撮影。

2. 道東斜里における屈斜路および摩周火山のテフラ群。これらの中に阿蘇4テフラが保存されている。本文WS-9-4参照。奥村晃史撮影。

3. 根釧原野、中春別におけるテフラのインボリューション。最終氷期(酸素同位体ステージ2)に擾乱をうけたテフラとあまり受けなかった摩周1テフラとの対照が顕著。どれも摩周成層火山の噴出物。岩田修二撮影。

表紙写真:伊豆大島千波崎地層大切断面。古期大島層群のスコリア層。本文KT-47参照。新川和範撮影。

口絵写真:4–6

川崎市千年の下末吉層とテフラ。薄い白色層を挟む露頭。
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4. 川崎市千年の下末吉層とテフラ。ここは関東ローム研究当時から模式露頭の一つであった。市街地化が進んだが一部現存。基盤は上総層群の砂泥岩、下末吉層は谷を埋める堆積物以外はごく薄い波食台堆積物、その上に下末吉ローム層以上がのる。白くみえるテフラは箱根火山起源。貝塚爽平撮影。

東名高速道路川崎IC工事中に露出した多摩ローム層。人物が断面の規模を示す。
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図中文字(日本語)

写真上部に札があるが、文字の一部は判読不明。

English translation

Signs appear near the top of the photograph; part of their lettering is illegible.

判読上の注記

写真中の札の全字は低解像度のため確定できない。

5. 東名高速道路川崎IC工事中に現われた多摩ローム層の断面。崖の基部にオシ沼砂礫層がみえ、その上にゴマシオ、ドーラン、バヤリースなどの指標テフラがのる。貝塚爽平撮影。

白河火砕流堆積物の西郷・芦野の間に降下テフラと土壌の互層が見られる。
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6. 東北地方南部に広く分布する更新世前期の白河火砕流堆積物。中間の降下テフラと土壌の互層より上位は西郷、下位は芦野火砕流堆積物。西郷火砕流堆積物は弱く溶結している。本文TH-27参照。鈴木毅彦撮影。

口絵写真:7–9

竹島の鬼界アカホヤ噴火の降下軽石と2枚の火砕流堆積物。左端に長瀬火砕流堆積物。
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図中文字(日本語)

右下に撮影日を示す数字がある。一部判読不明。

English translation

Numerals indicating a photographic date occur at lower right; some digits are illegible.

判読上の注記

撮影日の年は確定せず。

7. 鬼界アカホヤテフラを生んだ大規模噴火の産物、降下軽石と2枚の火砕流堆積物(南九州鬼界カルデラ竹島)。左端に長瀬火砕流堆積物(鬼界葛原テフラの給源火砕流)がみえる。本文WS-2-1参照。町田洋撮影。

志布志海岸の大隅降下軽石と入戸火砕流堆積物、および下位の諸テフラ。
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8. 姶良Tnテフラを生んだ大規模テフラ(南九州志布志海岸)、大隅降下軽石と入戸火砕流堆積物。その下位にやや土壌化した更新世後期の諸テフラが介在する。本文WS-5-1参照。町田洋撮影。

八丈島東山火山の末吉Iステージのテフラ。左側に姶良Tnの白色火山灰層。
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9. 八丈島東山火山末吉Iステージのテフラとその中に介在する姶良Tnテフラ(左側の白い火山灰層)。本文KT-50参照。菅香世子撮影。

口絵写真:10–12

青森市三内丸山遺跡の谷の発掘現場。縄文前期の堤と土器を含む堆積物。
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10. 青森市三内丸山遺跡。谷の中央に縄文前期に構築された堤があり、多量の土器を主体とする堆積物で覆われている。本文TH-3参照。辻誠一郎撮影。

岩宿遺跡のテフラ断面。白色の榛名八崎テフラが下部に挟まる。
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11. 群馬県岩宿遺跡のテフラ。最初に発掘された旧石器は地表と榛名八崎テフラ(白色の軽石層)とのほぼ中間の火山灰土(ほぼ姶良Tnテフラ層準)から出土した。本文KT-12参照。町田洋撮影。

真川上流の跡津川断層。左に花崗岩、右に段丘礫層、手前に観察者。
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図中文字(日本語)

左下に撮影日を示す数字があるが、全桁は判読不明。

English translation

Numerals indicating a photographic date appear at lower left, but the complete date is illegible.

判読上の注記

写真中の撮影日全桁は判読不明。

12. 富山県真川上流の跡津川断層。左側(北西側)は花崗岩、右側(南東側)は段丘礫層。本文CB-27参照。町田洋撮影。

目次

III. 各論

原著157–159、164ページの4項目は学会の公開版で削除されている。目次のリンク先には削除理由の編集注を置いた。

1. 日本各地の広域テフラ

項目 題名 執筆者 原著ページ
WS-1-1 中国・長白山東麓における白頭山苫小牧テフラ 町田洋 2
WS-1-2 苫小牧港の沖積層にみられる白頭山苫小牧テフラ 町田洋 4
WS-1-3 八甲田田代平湿原にみられる白頭山苫小牧テフラと十和田aテフラ 町田洋 5
WS-2-1 南九州鬼界カルデラ竹島における鬼界アカホヤテフラ 町田洋 6
WS-2-2 大隅半島大根占付近の鬼界アカホヤテフラ 町田洋 8
WS-2-3 宮崎平野の完新世海成段丘堆積物中に見られる鬼界アカホヤテフラ 長岡信治 9
WS-2-4 隆起した完新世段丘堆積物中の鬼界アカホヤテフラ―神奈川県中村原― 町田洋・松島義章 10
WS-2-5 奄美大島笠利半島にみられる鬼界アカホヤテフラと姶良Tnテフラ 成尾英仁 11
WS-3-1 韓国鬱陵島の後期更新世~完新世テフラ 森脇広 12
WS-3-2 福井県鳥浜貝塚と水月湖における鬱陵隠岐テフラ 町田洋 14
WS-4-1 青森県二ノ倉ダム周辺の十和田八戸・大不動火砕流堆積物 町田洋 16
WS-5-1 志布志港における姶良カルデラ噴出の大規模テフラ 町田洋 18
WS-5-2 四国南西部における姶良Tnテフラと鬼界アカホヤテフラ 町田洋 20
WS-5-3 富士山テフラ中の姶良Tnテフラ―神奈川県酒匂川沿い― 町田洋 21
WS-5-4 関東平野における姶良Tnテフラ前後の植生変遷 辻誠一郎 22
WS-6-1 北海道白糠におけるクッチャロ庶路テフラ 町田洋 24
WS-6-2 北海道小清水周辺の屈斜路火砕流堆積物I 奥村晃史 25
WS-7-1 北海道早来町美々における支笏第1テフラとその上位の諸テフラ層 町田洋・山縣耕太郎 26
WS-7-2 十勝平野の化石周氷河現象と支笏第1テフラ 平川一臣 28
WS-7-3 斜里平野東部における支笏第1テフラと屈斜路火砕流堆積物I 奥村晃史 29
WS-8-1 大山東麓関金町大山池における大山倉吉テフラとその上下のテフラ層 町田洋 30
WS-8-2 富山県常願寺川の河成段丘にのる大山倉吉および姶良Tnテフラ 町田洋 31
WS-8-3 関東地方における大山倉吉テフラの層位―箱根東京テフラ直上に位置する大山倉吉テフラ― 鈴木毅彦 32
WS-9-1 大分県九重火山南東の阿蘇4火砕流堆積物 小野晃司 33
WS-9-2 長野市信更町高野の湖成高野層―約13万年間の諸広域指標テフラの包含層― 木村純一 34
WS-9-3 富士山東麓の富士テフラ群下部に見られる阿蘇4などの諸広域テフラ 町田洋 36
WS-9-4 斜里平野の屈斜路火砕流堆積物と阿蘇4火山灰 奥村晃史 38
WS-10-1 種子島における鬼界葛原テフラと海成段丘 町田洋 40
WS-10-2 神奈川県藤野町葛原周辺の鬼界葛原テフラ、阿蘇4テフラ 米澤宏・上杉陽・関東第四紀研究会 42
WS-10-3 常磐海岸、那珂台地を構成する海成砂層中の鬼界葛原テフラ 鈴木毅彦 43
WS-11-1 富士山東麓における御岳第1テフラ 町田洋 44
WS-11-2 胆沢台地の広域テフラ 渡辺満久 45
WS-12-1 松江における三瓶木次テフラ 町田洋 46
WS-12-2 越前海岸に漂着した三瓶木次テフラ 町田洋・豊蔵勇 47
WS-13-1 有珠山山麓における洞爺テフラの層序 町田洋・山縣耕太郎 48
WS-13-2 北海道伊達における洞爺テフラとその上位の諸テフラ 山縣耕太郎・町田洋 50
WS-13-3 下北半島の段丘の指標となる洞爺テフラ 町田洋 51
WS-13-4 秋田県男鹿半島の海成中・上部更新統と洞爺テフラなどの広域テフラ 白石建雄・的場保望 52
WS-14-1 大隅半島南部の阿多テフラ 長岡信治 54
WS-14-2 人吉盆地における阿蘇・阿多などの火砕流堆積物 町田洋 55

1. 日本各地の広域テフラ

項目 題名 執筆者 原著ページ
WS-14-3 阿蘇東麓における阿蘇4テフラと阿多テフラ 町田洋 56
WS-15-1 大分県竹田市稲葉川沿いの阿蘇3火砕流堆積物―今市、阿蘇1、阿蘇3阿蘇4各火砕流― 小野晃司 58
WS-15-2 宮崎平野北部川南の通山浜層に介在する阿蘇3テフラ 町田洋 60
WS-16-1 網走南方地域の屈斜路火砕流堆積物IV―屈斜路羽幌テフラのふるさと― 奥村晃史 62
WS-16-2 北海道羽幌におけるクッチャロ羽幌などの指標テフラ 町田洋・三浦英樹・奥村晃史 63
WS-16-3 北海道厚真にみられる後期更新世広域テフラ―阿蘇、洞爺、屈斜路起源の広域テフラ― 山縣耕太郎 64
WS-17-1 大隅半島大根占における阿多鳥浜テフラ 町田洋 65
WS-17-2 宮崎平野南西部の阿多鳥浜テフラと上位のテフラ群 長岡信治 66
WS-17-3 南関東大磯丘陵における阿多鳥浜テフラの層位 鈴木毅彦 67
WS-18-1 大分県竹田市街の阿蘇1火砕流―阿蘇1火砕流と、阿蘇3/4テフラ、今市、鷹匠町火砕流など― 小野晃司 68
WS-18-2 八ケ岳東麓に産出する阿蘇1テフラに対比される可能性をもつガラス質細粒テフラ 鈴木毅彦 70
WS-19-1 静岡県有度丘陵にみられる中期更新世の広域テフラ、Ng-1火山灰 水野清秀 71
WS-19-2 愛媛県野村盆地高位段丘堆積物中の広域テフラ、Ng-1(野村2)火山灰 水野清秀 72
WS-20-1 人吉盆地における加久藤テフラ 町田洋 73
WS-20-2 鹿児島市河頭における加久藤・樋脇などの大規模火砕流堆積物 町田洋 74
WS-20-3 大分市丹生台地における高位段丘と加久藤テフラ 町田洋 75
WS-20-4 八ヶ岳東麓における加久藤テフラと信州の指標テフラ群 町田洋 76
WS-21-1 中部日本における中期更新世重要指標テフラ、大町APmテフラ群 鈴木毅彦 77
WS-21-2 飛騨山脈起源の広域テフラ、大町APmテフラ群の給源火道―水鉛谷火道― 原山智 78
WS-21-3 北アルプス最奥部、雲ノ平の奥飛騨火砕流堆積物―雲ノ平礫層に挾在する火砕流堆積物― 中野俊 79
WS-21-4 信州菅平高原で見出された大町APmテフラ群と九州起源の広域テフラ―加久藤テフラ・阿多鳥浜テフラとの層位関係― 鈴木毅彦 80
WS-22-1 宮崎県久木野における小林笠森テフラ―サクラ火山灰のふるさと― 町田洋 81
WS-22-2 琵琶湖西方、堅田丘陵における上仰木(サクラ)火山灰―小林笠森テフラ― 町田洋 82
WS-22-3 横浜戸塚と房総富津における小林笠森テフラ 町田洋 83
WS-23-1 大分層群上部に挟まれる広域テフラ、誓願寺軽石層 水野清秀・星住英夫・吉岡敏和 84
WS-23-2 広島県の中部更新統西条層に挟在する岡郷火山灰層―広域テフラ誓願寺–栂テフラ― 水野清秀 85
WS-24-1 大分層群下部のテフラ―アズキ火山灰に対比された曲火砕流堆積物を中心として― 水野清秀・星住英夫・吉岡敏和 86
WS-24-2 中部九州に分布する今市火砕流堆積物―大阪層群アズキ火山灰の給源火砕流― 星住英夫・鎌田浩毅 88
WS-24-3 琵琶湖西方、堅田丘陵に分布する喜撰火山灰層―広域に分布するアズキ火山灰― 水野清秀 90
WS-24-4 上総層群国本層中のKu6Cテフラ―更新世前期の代表的広域テフラ― 杉原重夫 91
WS-25-1 中部九州に分布する耶馬溪火砕流堆積物―大阪層群ピンク火山灰の給源火砕流― 鎌田浩毅・星住英夫 92
WS-25-2 徳島県土柱の前期更新世広域テフラ、土柱火山灰層―大阪ピンク火山灰― 水野清秀 94
WS-25-3 大阪層群下部の代表的な広域テフラ、ピンク火山灰 水野清秀 95
WS-26-1 第三紀・第四紀境界層準を示す大阪層群福田火山灰層 吉川周作 96
WS-26-2 第三紀・第四紀境界層準を示す魚沼層群辻又川火山灰層 吉川周作 97
WS-26-3 第三紀・第四紀境界層準を示す上総層群Kd38火山灰層 吉川周作 98

2. 北海道地方

2. 北海道地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
HK-6 清里~斜里地域に分布する後期更新世テフラ層―屈斜路、摩周起源のテフラと広域テフラ― 隅田まり 105
HK-7 根釧原野開陽西の周氷河現象―摩周ロームに埋没したアースハンモック― 岩田修二 106
HK-8 北海道東部東藻琴の古期屈斜路火砕流堆積物 奥村晃史 107
HK-9 北海道東部、茨散における最終氷期泥炭層 遠藤邦彦・隅田まり 108
HK-10 泥炭地における最近1000年間のテフラ―クッチャロカルデラ美留和― 町田洋 109
HK-11 根釧原野の摩周・屈斜路火山起源テフラ層 宮田雄一郎 110
HK-12 根釧原野西部に分布する後期更新世テフラ層 奥村晃史 111
HK-13 釧路市材木町の露頭 松井愈 112
HK-14 釧路湿原北方地域における前期更新世の阿寒・屈斜路火山噴出物―クチョロ火山灰層― 奥村晃史 114
HK-15 大雪山に分布するテフラ 高橋伸幸 115
HK-16 十勝平野北西部の化石周氷河現象―楔状堆積構造とインボリューション― 小疇尚 116
HK-17 北海道日勝道路の化石礫質構造土―日高山脈北東部、山麓緩斜面上の構造土― 小疇尚 117
HK-18 十勝平野の河成段丘とテフラ―上更別III面― 町田洋 118
HK-19 十勝平野忠類におけるナウマン象化石産出地点 赤松守雄・奥村晃史 119
HK-20 十勝平野広尾周辺における堆積段丘とテフラ 町田洋 120
HK-21 夕張山地南部の最終氷期の周氷河斜面―ひきずり構造を覆うテフラ層― 清水長正 121
HK-22 石狩低地に分布する後期更新世以降のテフラ層―支笏火山・クッタラ火山のテフラ層序― 山縣耕太郎 122
HK-23 日高沿岸地域に分布する後期更新世のテフラ層―遠方に分布するクッタラ火山起源のテフラ― 山縣耕太郎 124
HK-24 北海道恵庭市ユカンボシE9遺跡における完新世後期のテフラ層 鈴木正章・上屋真一 125
HK-25 登別ランポーゲ岬にみられるクッタラ火山のテフラ群 山縣耕太郎 126
HK-26 羊蹄火山東麓に分布するテフラ層 星住(宇野)リベカ 128
HK-27 有珠山南麓で見られる善光寺岩屑なだれ堆積物の採石場露頭 吉田真理夫 129
HK-28 有珠山頂部火口原内に見られる歴史時代に噴出したテフラ 吉田真理夫 130
HK-29 北海道南部鷲の木における渡島駒ケ岳1640年噴火の津波堆積物 遠藤邦彦・藤井亨 131
HK-30 渡島半島に分布する最終氷期末期に噴出した濁川テフラ 柳井清治 132
HK-31 北海道渡島駒ヶ岳のテフラ―東麓尻無川河口付近の海食崖― 遠藤邦彦 133
HK-32 函館周辺に分布する後期更新世のテフラ層―津軽海峡函館沖から噴出した銭亀女那川テフラ― 山縣耕太郎 134
HK-33 渡島半島西岸の海岸砂丘とテフラ 遠藤邦彦・鈴木正章・藤井亨 135
HK-34 日高山脈・七ッ沼カールのアウトウォッシュ堆積物に含まれる恵庭aテフラ 小野有五 136

3. 東北地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
TH-1 津軽半島屏風山砂丘のパラボラ砂丘 遠藤邦彦 138
TH-2 青森県西津軽郡出来島海岸における後期更新世~完新世の泥炭層とテフラ 辻誠一郎 139
TH-3 青森県三内丸山遺跡―縄文文化展開期の巨大集落― 辻誠一郎 140
TH-4 八戸付近の十和田テフラ群と段丘地形 町田洋 141
TH-5 海底に堆積した八甲田火砕流―青森県大釈迦― 町田洋 142
TH-6 北上山地の山麓緩斜面堆積物―最終氷期の北上山地中部における斜面形成― 檜垣大助 143
TH-7 北上川上流域における化石周氷河現象―酸素同位体ステージ2、6のインボリューション― 澤口晋一 144
TH-8 北上低地西縁活断層系の露頭―逆断層の走向方向の露頭― 渡辺満久 146
TH-9 岩手山北東山麓に分布するテフラ層―岩手、十和田火山起源のテフラと広域テフラ 土井宣夫 147
TH-10 北上川上流域における化石周氷河現象―化石ソリフラクションローブと古環境― 澤口晋一 148
TH-11 胆沢台地の中期更新世テフラ 渡辺満久 149
TH-12 岩手県秋田駒ケ岳東山腹に分布するテフラ層―秋田駒ケ岳火山起源のテフラ― 土井宣夫 150
TH-13 秋田県大湯における毛馬内火砕流と十和田aテフラ―八郎太郎伝説が示唆する十和田湖噴火災害― 町田洋 151
TH-14 秋田県男鹿半島の海成下・中部更新統 白石建雄・的場保望 152
TH-15 秋田県男鹿半島の海成上部更新統(潟西層)と広域テフラ 白石建雄・的場保望 154
TH-16 宮城県鬼首に認められる後期更新世テフラ層―鳴子火山起源のテフラと広域テフラ― 八木浩司 155
TH-17 鳴子カルデラから噴出した中規模火砕流堆積物群と降下テフラ 早田勉 156

3. 東北地方

4. 関東地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
KT-1 那須火山の山体崩壊堆積物とそれを挟むテフラ―御富士岩屑なだれ堆積物と外来テフラ― 鈴木毅彦 168
KT-2 栃木県那須野原に分布する後期更新世テフラ―日光、赤城火山起源のテフラと広域テフラ― 鈴木毅彦 169
KT-3 北関東喜連川丘陵を覆う中~後期更新世テフラ―国内有数の古さをもつ風成テフラ層― 鈴木毅彦 170
KT-4 栃木県宇都宮周辺に分布する風成テフラ層―北関東東部テフラの模式的断面― 鈴木毅彦 172
KT-5 常磐海岸、那珂台地を構成する見和層上部層中のテフラ―最終間氷期を示す指標層― 鈴木毅彦 173
KT-6 東茨城台地地下の埋没谷を充填する河成礫中のテフラ―見和層中部層に介在する真岡テフラ― 鈴木毅彦 174
KT-7 茨城県桜川低地の下大島層における更新世末期のテフラ層 鈴木正章 175
KT-8 テフラが示す赤城火山の噴火史―南東麓水沼にみられるプリニアン降下軽石群― 鈴木毅彦 176
KT-9 三国山地平標山に分布する更新世末期と完新世のテフラ群 佐々木明彦・苅谷愛彦・新井房夫 178
KT-10 自然史のタイムカプセル尾瀬ケ原―完新世の泥炭層― 相馬秀廣 179
KT-11 渋川市中筋遺跡―榛名火山の火砕流で壊滅した古墳時代のムラ宿遺跡― 早田勉 180
KT-12 群馬県岩宿遺跡―日本列島で最初に旧石器文化の存在が確認された地点― 早田勉 181
KT-13 浅間火山応桑岩屑なだれ堆積物とこれを覆う仏岩・前掛期のテフラ層 竹本弘幸 182
KT-14 中之条盆地に分布する中~後期更新世テフラ層―上部中之条湖成層と蓑原台地を被うテフラ― 竹本弘幸 183
KT-15 前橋台地における前橋泥炭層―最終氷期から後氷期への古環境変遷― 辻誠一郎 184
KT-16 関東山地荒川上流の斜面堆積物―八ヶ岳川上テフラと御岳第1テフラ― 町田瑞男 186
KT-17 埼玉県高麗丘陵の飯能礫層 久津間文隆・関東平野西縁丘陵団体研究グループ 187
KT-18 埼玉県川口市の赤山陣屋跡遺跡における完新世テフラと古環境変遷 辻誠一郎 188
KT-19 狭山丘陵における中期更新世テフラ層―多摩ローム層の連続断面― 羽鳥謙三 190
KT-20 多摩丘陵御殿峠礫層を覆う多摩ローム層 鈴木毅彦 191
KT-21 山の手台地成増の東京層および成増礫層―酸素同位体ステージ5cの堆積物― 菊地隆男 192
KT-22 東京都中野区の北江古田遺跡における更新世・完新世のテフラ 辻誠一郎 193
KT-23 武蔵野台地東部、目黒大橋遺跡のテフラ層位 両角まり・建石徹・上杉陽・上本進二・松田隆夫 194
KT-24 調布市野川遺跡のテフラ層位 小田静夫 195
KT-25 大和市月見野遺跡群のテフラ層位 小田静夫 196
KT-26 神奈川県秦野盆地の河成礫層群とそれを切る秦野断層―富士・箱根系テフラ群と広域テフラ― 上杉陽・内田法英・千葉達朗・関東第四紀研究会 197
KT-27 神奈川県丹沢山地南東縁、神戸・上宿遺跡のテフラ層位 上杉陽・御堂島正・上本進二・木村吉行・阿部友寿・柏木善治 198
KT-28 神奈川県綾瀬市蟹ヶ谷、吉岡遺跡群のテフラ層位 上杉陽・白石浩之・上本進二・砂田佳弘・米澤宏・由井将雄 199
KT-29 相模野南部玉縄城遺跡の旧石器時代遺物包含層のテフラ層位 上本進二・上杉陽・鎌倉考古学研究所・遺跡層序研究会 200
KT-30 神奈川県秦野盆地西縁菖蒲竹ノ内の新期ローム層、とくに箱根東京軽石と火砕流 上杉陽・米澤宏・由井将雄・原田昌一・米澤まどか・関東第四紀研究会 201
KT-31 三浦半島小原台砂礫層の模式地―酸素同位体ステージ5cの堆積物― 長田敏明・菊地隆男 202

4. 関東地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
KT-32 横浜北部における下末吉層―酸素同位体ステージ5eの海進堆積物― 菊地隆男・関東第四紀研究会 203
KT-33 横浜西南部の港南層と中期更新世指標テフラ 町田洋 204
KT-34 多摩丘陵オシ沼の多摩ローム層 羽鳥謙三 205
KT-35 三浦半島南部の引橋段丘と被覆テフラ 宮内崇裕 206
KT-36 三浦半島三崎段丘とテフラ 町田洋 207
KT-37 神奈川県大磯丘陵北西縁篠窪谷下流部の吉沢ローム層と土屋ローム層 上杉陽・長崎正・米澤宏・長田敏明・関東第四紀研究会 208
KT-38 箱根火山南東麓の箱根古期外輪山溶岩を覆う中期更新世テフラ 米澤宏・稲垣進・上杉陽・鵜浦武久・則茂雄・満岡孝・安野信・由井将雄・箱根団体研究グループ 209
KT-39 伊豆半島北縁の平山断層―テフラからみたその変遷史― 上杉陽・伊藤谷生・米澤宏・染野誠・千葉達朗・狩野謙一 210
KT-40 関東平野中部古流山湾の縄文海進堆積物と泥炭層 遠藤邦彦 212
KT-41 千葉市稲毛区、牛尾舛遺跡のテフラ層位 上杉陽・飛田正美・上本進二・白根義久・建石徹・青沼道文・松田隆夫・武田宗久・遺跡層序研究会 213
KT-42 房総半島夷隅川下流における3万年前の海成段丘 菊地隆男・鈴木毅彦・桑原拓一郎 214
KT-43 東京湾東岸に分布する後期更新世テフラ層―箱根火山起源のテフラ― 杉原重夫 215
KT-44 下総層群藪層中のゴマシオ第1テフラ(GoP1)と貝化石群集 杉原重夫 216
KT-45 下総層群地蔵堂層中の港南第1テフラ、TE-5テフラと化石群集―酸素同位体ステージ11の層準― 杉原重夫 217
KT-46 房総半島館山の沼サンゴ層とテフラ 遠藤邦彦・村田泰輔 218
KT-47 伊豆大島地層大切断面に見られる古期大島層群テフラ中の斜交関係と遠来テフラ 上杉陽・新川和範 219
KT-48 伊豆新島、神津島起源のテフラと姶良Tnテフラ 吉田浩 220
KT-49 伊豆諸島で9世紀にあいついで起こった噴火―神津島天上山テフラ、新島向山テフラ― 吉田浩 221
KT-50 姶良Tnテフラを挟む八丈島東山火山末吉Iステージの降下軽石層 菅香世子 222

5. 中部地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
CB-1 妙高火山の火砕流・岩屑なだれ堆積物と降下テフラ層 早津賢二 224
CB-2 信濃川中流域に分布する河成段丘とそれを覆う風成テフラ―谷上段丘と350ka以降の風成層― 鈴木毅彦 225
CB-3 長野県北部に分布する後期更新世テフラと文化編年―黒姫火山起源のテフラと広域テフラ― 近藤洋一・野尻湖地質グループ 226
CB-4 浅間火山黒斑末期以降のテフラ層―応桑岩屑なだれ堆積物の層位と仏岩・前掛期のテフラ― 竹本弘幸 228
CB-5 関東山地西部の山麓緩斜面構成層―最終氷期の角礫層とテフラ層― 清水長正 229
CB-6 塩尻市小坂田における御岳火山起源のテフラ 鈴木毅彦 230
CB-7 松本盆地南部梨ノ木礫層を覆う中期更新世テフラ層 鈴木保 231
CB-8 長野県伊那谷に分布する後期更新世テフラ層―伊那市六道原の御岳起源テフラ― 松島信幸・寺平宏 232
CB-9 長野県伊那谷の段丘崖状の地形をなす活断層の露頭―毛賀沢川に露出する念通寺断層の露頭― 松島信幸 233
CB-10 長野県開田村末川沿いに分布する木曽川泥流堆積物 酒井潤一・千葉恵美 234
CB-11 山梨県甲斐駒ヶ岳北東麓神宮川の河成礫層とテフラ 平川一臣 235
CB-12 糸魚川―静岡構造線活断層系下蔦木断層の断層露頭―山梨・長野県境― 奥村晃史 236
CB-13 韮崎岩屑なだれ堆積物―古八ケ岳期の山体崩壊堆積物― 河内晋平 237
CB-14 甲府盆地南縁曽根丘陵の撓曲崖とテフラ 平川一臣 238
CB-15 相模川に流入した大規模古富士泥流のテフラ層位―大月市大月遺跡― 上杉陽・長沢宏昌・高橋みゆき 239
CB-16 富士山東麓上柴怒田の立川期テフラ群と姶良Tnテフラ 上杉陽・吉田千香子・寺門卓也・斎藤睦雄・小柳美文・片岡義順・関東第四紀研究会 240
CB-17 富士山東麓すぎな沢の更新世最末期~完新世テフラ群―特に富士黒土層について― 上杉陽・土肥由美子・佐藤仁美・伊藤ひろみ・宮地直道 241
CB-18 富士山東斜面に分布する新富士火山のテフラと溶岩 宮地直道 242

5. 中部地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
CB-19 丹那盆地における1930年北伊豆地震震源断層の発掘調査 奥村晃史 243
CB-20 静岡県伊東市に分布する東伊豆単成火山群起源のテフラと広域テフラ 小山真人 244
CB-21 静岡県愛鷹山麓、三明寺遺跡のテフラ層位 上杉陽・池谷信之・由井将雄・高尾好之・瀬川裕市郎 245
CB-22 静岡県有度丘陵に分布する御岳第1テフラ 杉山雄一 246
CB-23 静岡県有度丘陵に分布する中期更新世テフラ、Ng-2およびNg-4 杉山雄一 247
CB-24 静岡県御前崎付近に分布する後期更新世テフラ 杉山雄一 248
CB-25 静岡県浜名湖東岸に分布する中期更新世テフラ 杉山雄一 249
CB-26 北アルプス立山において氷河上に噴出したテフラと溶岩 町田洋・伊藤菜穂子 250
CB-27 富山県真川上流部における跡津川断層の露頭と真川湖成層 奥村晃史 252
CB-28 能登半島平床台地に分布する三瓶木次テフラ 豊蔵勇 253
CB-29 白山弥陀ヶ原における完新世の泥炭層とテフラ群 辻誠一郎 254
CB-30 加賀橋立台地の海成層に挟まれる阿蘇4テフラ 豊蔵勇 255
CB-31 飛騨山脈を給源とする大規模火砕流(その1)―更新世中期上宝火砕流堆積物と給源火道― 原山智 256
CB-32 飛騨山脈を給源とする大規模火砕流(その2)―更新世中期上宝火砕流堆積物― 原山智 257
CB-33 飛騨山脈を給源とする大規模火砕流(その3)―恵比寿峠火砕堆積物と丹生川火砕流堆積物― 原山智 258
CB-34 跡津川断層・岐阜県宮川村野首地区トレンチ発掘調査 奥村晃史 259
CB-35 岐阜県下呂町三ツ石における阿寺断層系湯ヶ峰断層のトレンチ発掘調査 奥村晃史 260
CB-36 濃尾断層系梅原断層高田トレンチ 奥村晃史 261
CB-37 愛知県渥美半島に分布する中期更新世テフラ 杉山雄一 262

6. 近畿地方

7. 中国・四国地方

7. 中国・四国地方

項目 題名 執筆者 原著ページ
SK-4 高知県室戸岬面を構成する海成段丘堆積物 前杢英明 292

8. 九州地方・南西諸島

項目 題名 執筆者 原著ページ
KS-1 北九州の古砂丘とテフラ 下山正一 294
KS-2 北部九州の広域風成塵とテフラ 下山正一 295
KS-3 阿蘇4火砕流と埋没林―巨大火砕流による植生破壊― 下山正一 296
KS-4 雲仙岳噴火と火砕流堆積物 山田スミコ・遠藤邦彦 297
KS-5 新期雲仙火山に由来する火砕流堆積物と広域テフラ―雲仙火山北麓での層序―― 星住英夫・渡辺一徳 298
KS-6 九重火山起源の降下火砕物と広域テフラ 鎌田浩毅・星住英夫 299
KS-7 由布川火砕流堆積物―約60万年前に噴出した中部九州の大規模火砕流― 星住英夫・竹村恵二 300
KS-8 熊本県阿蘇青年の家付近の阿蘇火山中央火口丘テフラ 渡辺一徳・宮縁育夫 302
KS-9 宮崎平野の三財原面をおおう後期更新世テフラ 長岡信治 303
KS-10 加久藤カルデラ湖(加久藤盆地)に流入した阿多火砕流と入戸火砕流―火砕流の水中堆積と霧島火山の溶岩流による変形― 長岡信治 304
KS-11 霧島火山東麓にみられる霧島火山最近約7,000年間のテフラ 井村隆介 305
KS-12 霧島火山夷守岳の岩屑なだれ堆積物とそれをおおうテフラ 井村隆介 306
KS-13 宮崎県綾町二反野に分布するテフラ―広域テフラと霧島火山起源のテフラ― 井村隆介 307
KS-14 姶良カルデラ北方地域の加久藤火砕流堆積物以降の火砕流層序 小林哲夫 308
KS-15 桜島西岸袴腰台地を構成する更新世テフラ 森脇広 309
KS-16 大隅半島高峠に分布する後期更新世・完新世テフラ層―桜島火山起源のテフラ― 森脇広 310
KS-17 大隅半島中部に見られる鬼界アカホヤテフラ噴火時の液状化跡 成尾英仁 311
KS-18 薩摩半島北部のシラス台地を覆うマグマ水蒸気噴火による桜島薩摩テフラ 森脇広 312
KS-19 大隅半島南部、大根占町付近に分布する後期更新世テフラ層 奥野充 313
KS-20 鹿児島県指宿市橋牟礼川遺跡の開聞岳テフラ―火山災害を受けた遺跡― 成尾英仁 314
KS-21 種子島の海成段丘を覆う後期更新世の風成テフラ 長岡信治 315
KS-22 屋久島に分布する後期更新世テフラ層 森脇広 316
KS-23 トカラ列島諏訪之瀬島の第四紀テフラ 森脇広 317
KS-24 南西諸島喜界島の完新世サンゴ礁段丘 大村明雄 318
KS-25 沖縄本島南部における琉球層群基底層 兼子尚知・伊藤孝 320
KS-26 石垣島白保の現世のサンゴ礁―サンゴ礁礁池に見られる多様な造礁サンゴ群集― 長谷川均 321
項目 原著ページ
文献 323
索引 341
著者リスト 350

はじめに

第四紀に関わる研究は近年益々総合化され、かつての海陸分布・海面高度・植生・気候など古環境の推定、活断層の活動履歴、考古学的発掘と人類文化の変遷などを含め幅広く展開されるようになってきた。地層、地形や土壌はこうした地球生態系や人類の営みの歴史を克明に記録している。私達は露頭を通して様々な時代の地層・地形・土壌に接することが可能になるので、露頭やボーリングのもつ意味は益々大きくなっている。本書で主として扱われる露頭は、誰でもいつでも観察し、サンプルを採取し、地球の営みの記録をひもとくことができる最も手近な場所である。もともと露頭の乏しい、海底、湖底、内湾、平野、盆地、湿原などにおいてはボーリング・コアが重要となる。陸上、海底、湖底のボーリングコアを利用した研究の重要性は言うをまたないが、本書では、ごく一部を収録したに過ぎない。これらについては次の機会にとりまとめたい。

このように重要な情報を与えてくれる露頭は、人類にとっての貴重な財産であり、自然と文化の複合遺産である。したがってその保存を図る必要性は極めて大である。しかし、日本の第四紀露頭の多くは遺跡発掘によるものを含めて人工露頭であり、直ぐに消滅してしまうことが多い。特に都市部においては深刻な事態となっている.12.5万年前の下末吉海進期を示す下末吉層と下末吉ローム層の露頭も、横浜・川崎地区ではほとんど見られなくなった。「開発」が進められる一方で、こうした貴重な記録が失われることは、現代における「焚書」であるといっても過言ではない。

一方、僅かながら露頭が観光や教育・研究に活用されている例もある。伊豆大島の「地層大切断面(表紙写真)」は町によって説明板が設置され、露頭状態も絶えず管理・保全され、多くの人々が訪れている。遺跡の露頭や活断層の露頭も様々な形で保存が検討されるようになった。しかしながら、現在のところ、天然記念物として指定された第四紀露頭は溶岩洞窟やサンゴ礁などがあるが、まだまだごく僅かである。とりわけ価値の高い第四紀層の標準露頭について、緊急に保存を図ることが求められる。露頭の価値や露頭条件に応じて、露頭現場そのものの保存、露頭の剥ぎ取り保存、ボーリング・コアを含む試料の保存など、様々な工夫が必要であろう。また。考古学遺跡の緊急発掘調査のように、工事等であらわれた露頭についても緊急調査を行って、記載だけは行っておく仕組みをつくることも考えるべきである。剥ぎ取りや試料の保存などには博物館など公的機関の協力が不可欠であろう。現場の保存については、文化財指定・天然記念物指定など文化庁や地方自治体等の関係機関の理解を得ることが大事である。地元の教育委員会の協力を得て露頭に適切な説明板を建てることも大きな意味がある。

本書は、日本列島の陸上のテフラを含む露頭を中心に、274個所を選んで記載したものである。代表的な広域テフラ、その給源地域での特徴、遠方での特徴、各地域のテフラ層序、地域のテフラと広域テフラの関係を始め、氷河・周氷河や縄文海進堆積物・泥炭層などテフラによって年代軸が与えられる古環境に関わる露頭や、活断層露頭、考古遺跡に関連した露頭など、様々な露頭が紹介されている。また、これまでのところテフラが発見されていない露頭、例えば、活断層、考古遺跡、サンゴ礁などに関わる重要な露頭も相当数含んでいる。本書で選定した露頭には、消滅した露頭も含まれる。模式地やそれに代わる重要度の高い露頭について、記載保存を図ろうという趣旨もあるからである。

本書でテフラを中心として露頭を取り上げたのは、露頭から解明される様々な記録に時間軸を与える手段として、日本列島で最も有効なものはテフラであるからである。一般にテフラは、地学的にはある瞬間に広大な陸域と水域をおおう優れた時間指標層である。テフラの噴出年代がわかれば、絶対年代と同等の意味をもつ。

日本列島の大きな特徴は、極めて多くの地層にテフラ(火山灰などの火山砕屑物)が含まれ、多くの地形はテフラで覆われることである。日本では古くから各地のテフラ層序が研究され、テフラによって地層、地形や土壌の対比・編年がなされ、テフラによって様々な環境変化、地学的事件、人類活動等の歴史に年代軸が与えられてきた。様々な手法による年代測定結果の集積とあいまって、日本列島とその周辺で展開されてきた第四紀のドラマは飛躍的に精緻なものとなり、グローバルな環境変動の中に位置づけることが可能になりつつある。このような意味で、テフラやテフロクロノロジーの研究は年代測定法の研究と共に、第四紀研究の中で最も基礎的であり、 かつ応用範囲の広いものである。

1994年8月に東京都立大学で行われた日本第四紀学会総会において日本第四紀学会創立40周年記念企画として、第四紀露頭集の刊行が決定された。その趣旨は、テフロクロノロジーの進展の中で、特に次代を担う若手研究者や大学院生・学生の方々に、現存する露頭の前で従来の知見を伝え、露頭からどのような情報を得たらいいのか、何が明らかにされていて、どのような課題が残されているのかを読み取るなど、露頭の見方を学ぶきっかけを得ていただくこと、そして、広く一般の方々に露頭の重要性と、露頭を保存することの意義を広めることにある。このような意味で本書が大いに活用されることを期待するものである。

本書に記載された内容は必ずしも完全なものとはいえず、訂正されたりつけ加えられたりすることも多いに違いない。その意味で本書は研究を進めるうえでの一つの叩き台である。現地に本書を携行し、討論を深めることを期待する。

日本において培われてきたテフロクロノロジーの歴史と伝統をふまえ、消滅したものを含めて露頭を正確に記載し記録として保存を図り、次代を担う若い人々に伝えていく努力は絶えず必要とされよう。さらに第四紀研究にとって意義の大きな露頭を保存していく不断の努力が求められよう。したがってこの企画が今後も継続されることを希望するものである。

本書の編集に際し、貝塚爽平氏は、当初、本委員会の前身である企画編集委員会の委員長として企画案のとりまとめに貢献された。また、氏のほか新井房夫氏、新川和範氏には口絵と表紙写真の提供を受けた。吉田浩氏、小林淳氏、是枝若奈氏には編集作業をお手伝いいただいた。日本第四紀学会幹事会には2期にわたり3名の幹事を委員として派遣していただいたほか、企画・編集の過程で多くのご援助をいただいた。以上の方々・機関に心から御礼申し上げる。

1996年7月1日

第四紀露頭集編集委員会

遠藤邦彦、熊井久雄、町田洋、奥村晃史、清水長正
鈴木毅彦、渡辺満久、上杉陽、池田安隆、辻誠一郎

I. 解説

1)日本のテフラ研究と第四紀学

今日、対象は何であれ日本列島の第四紀という時代に触れるとき、テフラの存在やテフロクロノロジーの手法を抜きには語れない。信州大学教授であった故小林国夫氏は、国際第四紀学連合(INQUA)にテフロクロノロジー委員会を設置し、初代委員長となった。同委員会は1961年~1983年にわたり活動した。同委員会は1988年に復活し、1992年からは町田洋氏が委員長を務めるなど、日本の研究者は国際的にも中心的な役割を果たしてきた。そうした背景の一つとして、日本各地のテフラ研究が古くから活発に進められ、各地の第四系層序の確立にテフラが大きな役割を果たしてきたことがある。日本第四紀学会では過去に3回のテフロクロノロジーに関するシンポジウムをもち、「第四紀研究」3巻1-2号、同11巻4号、同30巻5号(1992年)に特集号を掲載した。

1976年に、丹沢山地一帯の斜面を被覆する関東ローム層に挟まれる白色火山灰の薄層、丹沢パミス(町田ほか、 1971) が、姶良Tnテフラ(AT)と命名され、約2.4万年前に姶良カルデラから入戸(いと)火砕流を噴出させ広大なシラス台地を形成した、あの大噴火に由来することが明らかにされた時(町田・新井、1976)、日本の地球科学界は大きな衝撃をうけ、この考えを受け入れるのにかなりの時間を必要とした。しかしこの広域テフラの発見が導いた、新たなテフロクロノロジーの進展は、その後の20年間の研究の歩みの中に明瞭に示されている。姶良Tnテフラ(AT)が発見された1976年以後は、広域テフラが次々に発見され、質的に一段高いレベルに進んだ。第四紀研究第3巻1-2号にテフロクロノロジー特集が掲載されてから早や30年が、AT発見以来20年が経過し、1990年に明治大学で行われたテフラ研究のシンポジウム(第四紀研究30巻5号に特集号掲載)や、町田・新井両氏の研究の集大成である「火山灰アトラス」(町田・新井、1992)は、特に広域テフラを中心に主要テフラの特徴、分布、年代など今日の到達点を明らかにし、その有効性、応用性について大きな可能性を示した。

2)テフラ研究の基礎

a. テフラとは

テフラとは、様々な大きさの軽石、スコリアなどの火砕物(火山砕屑物)のことで(表1)、爆発的な火山噴火によって生成される。広い意味での火山灰と同義である。

爆発的な火山噴火では、火道を上昇するマグマが粉砕されて冷却・固化しながら上方に放出され、火口の上にマグマの砕片、火山ガスと周囲から取り込まれた空気からなる噴煙柱が形成される。この噴煙柱を構成する様々な粒径の粒子が風によって運搬される過程で、火口の近くには粗い粒子が、より遠方ほど細粒な粒子が地表に落下していく。このようにして火口からの距離にしたがって粒径の淘汰された降下テフラが堆積する。

一方噴煙柱から噴煙の一部が崩壊したり、噴煙が火口からあふれ出たり、始めから斜めに噴煙柱が形成されたりする過程で、様々な粒子を含んだまま流下すると火砕流堆積物や火砕サージ堆積物となる。溶岩円頂丘(ドーム)が崩壊して発生する火砕流もある。またマグマ水蒸気爆発で生成される横なぐりの噴煙を伴う火砕サージ堆積物はベースサージ堆積物とよばれる。火山体の崩壊によって生じる岩屑なだれ堆積物や水を含んで流下する泥流や土石流の堆積物はしばしば火砕物で構成され、広義のテフラに含められる(表2)。

テフラと同義で使われることの多い火山灰(volcanic ash)の語は、本来は粒径2mmより細かい粒子に対して用いられるもので、粗い軽石やスコリアを含めて火山灰の語を用いることには違和感がつきまとう。このため、火山砕屑物(火砕物)の総称としてはテフラの語を用いることが多くなってきた。町田・新井(1992)はテフラ名称としての火山灰を、一部を除きテフラと改めた。給源火山より遠方ではテフラは細粒で火山灰の名が相応しくても、火山の近傍では粗粒な粒子に富む降下テフラであったり、火砕流堆積物であったりするのが普通である。このような背景から、本書では火砕物の総称としてテフラの語を用い、町田・新井(1992)によるテフラ名称(「……テフラ」)との対応を示すようにした。ただし、すでに火山灰の名が定着している場合、地域的に「……火山灰層」として命名・定義されたものについては、そのまま火山灰の語を用いた場合もある。

表1. 粒径等によるテフラの分類

粒径等によるテフラの分類。火山岩塊、火山礫、軽石、スコリア、粗粒・細粒火山灰。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

粒径 分類・性状
64 mmより粗粒 火山岩塊
2–64 mm 火山礫;軽石(発泡した白色粒子);スコリア(発泡した黒色粒子)
2 mmより細粒 火山灰:粗粒火山灰(火山砂)、細粒火山灰

English translation

Grain size Classification and characteristics
Coarser than 64 mm Volcanic blocks
2–64 mm Lapilli; pumice (vesiculated white particles); scoria (vesiculated black particles)
Finer than 2 mm Volcanic ash: coarse ash (volcanic sand) and fine ash
粒径 分類・性状
64 mmより粗粒 火山岩塊
2–64 mm 火山礫;軽石(発泡した白色粒子);スコリア(発泡した黒色粒子)
2 mmより細粒 火山灰:粗粒火山灰(火山砂)、細粒火山灰

表2. 運搬過程によるテフラの分類

運搬過程による分類 細分
降下テフラ 降下軽石、降下スコリア、降下火山灰(火山砂)
火砕流堆積物 —
火砕サージ堆積物 —
弾道噴出物 —
岩屑なだれ堆積物 —
泥流・土石流・スラッシュフロー —
運搬過程によるテフラの分類表と、更新世後期の広域テフラの分布範囲図を含む複合画像。左上には表1の断片も含む。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

運搬過程による分類 細分
降下テフラ 降下軽石、降下スコリア、降下火山灰(火山砂)
火砕流堆積物 —
火砕サージ堆積物 —
弾道噴出物 —
岩屑なだれ堆積物 —
泥流・土石流・スラッシュフロー —

図1. 日本とその周辺地域における更新世後期の代表的広域テフラの分布範囲(町田・新井、1992)。火山(星印):Kc(屈斜路)、S(洞爺)、On(御岳)、D(大山)、Sb(三瓶)、Aso(阿蘇)、A(姶良)、Ata(阿多)、K(鬼界)、B(白頭山)、U(鬱陵)。

図中のテフラ略号:Aso-4、B-Tm、AT、K-Tz、Spfa-1、Kc-Sr、Kc-Hb、Toya、SK、K-Ah、U-Oki、DKP、On-Pm1。経度目盛:126°、130°、134°、138°、142°、146°E。緯度目盛:46°N、42°、38°、34°、30°、26°、22°。縮尺:0–500 km。

English translation

Classification by transport process Subdivisions
Fallout tephra Pumice fall, scoria fall, ash fall (volcanic sand)
Pyroclastic-flow deposits —
Pyroclastic-surge deposits —
Ballistically ejected material —
Debris-avalanche deposits —
Mudflows, debris flows, and slushflows —

Figure 1. Distribution limits of representative Late Pleistocene widespread tephras in Japan and adjacent regions (Machida and Arai, 1992). Volcanoes (stars): Kc, Kutcharo; S, Toya; On, Ontake; D, Daisen; Sb, Sambe; Aso, Aso; A, Aira; Ata, Ata; K, Kikai; B, Baitoushan; U, Ulleung.

Tephra abbreviations in the map: Aso-4, B-Tm, AT, K-Tz, Spfa-1, Kc-Sr, Kc-Hb, Toya, SK, K-Ah, U-Oki, DKP, On-Pm1. Longitude ticks: 126°, 130°, 134°, 138°, 142°, 146°E. Latitude ticks: 46°N, 42°, 38°, 34°, 30°, 26°, 22°. Scale: 0–500 km.

図1. 日本とその周辺地域における更新世後期の代表的広域テフラの分布範囲(町田・新井、1992)。火山(星印):Kc(屈斜路)、S(洞爺)、On(御岳)、D(大山)、Sb(三瓶)、Aso(阿蘇)、A(姶良)、Ata(阿多)、K(鬼界)、B(白頭山)、U(鬱陵)。

図中のテフラ略号:Aso-4、B-Tm、AT、K-Tz、Spfa-1、Kc-Sr、Kc-Hb、Toya、SK、K-Ah、U-Oki、DKP、On-Pm1。経度目盛:126°、130°、134°、138°、142°、146°E。緯度目盛:46°N、42°、38°、34°、30°、26°、22°。縮尺:0–500 km。

表3. 日本列島とその周辺地域で第四紀後期(過去約13万年間)におこった巨大噴火による広域テフラのリスト

(町田・新井、1992を補訂)

表3. 日本列島とその周辺地域で第四紀後期(過去約13万年間)におこった巨大噴火による広域テフラのリスト
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図中文字(日本語)

テフラ名(記号) 年代 ka(測定方法) 噴火・堆積様式と順序 全テフラ量(みかけ、km³) 本質テフラ粒:火山ガラス、n 本質テフラ粒:斑晶 文献・その他
白頭山苫小牧 (B-Tm) 10世紀 (A, C, V) pfa, pfl, pfa, pfl (coign.) >50 pm, bw; 1.511–1.522 af, (am, cpx); af 1.521–1.525 町田ほか (1981); Machida et al. (1990)
鬼界アカホヤ (K-Ah) 6.3 (C) pfa, pfl, afa (coign.) >170 bw, pm; 1.508–1.516 opx, cpx; opx 1.708–1.713 町田・新井 (1978)
鬱陵隠岐 (U-Oki) 9.3 (C) pfa, pfl >10 pm; 1.518–1.524 bi, am, cpx; af 1.522–1.524; ho 1.726–1.740 町田ほか (1984)
十和田八戸 (To-H) 12.6 (C) pfa, afa, pfl >50 pm; 1.502–1.509 (1.503–1.508) opx, cpx, ho; opx 1.705–1.708; ho 1.669–1.673 早川 (1983)
姶良Tn (AT) c.24 (C) pfa, pfl (pp), pfl, afa (coign.) >450 bw, pm; 1.498–1.501 opx, cpx, (ho; qt); opx 1.728–1.734 町田・新井 (1976)
十和田大不動 (To-Of) >33 (C) pfa, afa, pfl >50 pm>bw; 1.505–1.511 (1.506–1.508) opx, cpx; opx 1.707–1.711 Hayakawa (1985)
クッチャロ庶路 (Kc-Sr) 30–32 (C) afa, pfl, afa (coign.?) 100 pm, bw; 1.502–1.505 opx, cpx; opx 1.707–1.710 Arai et al. (1986); Okumura (1988)
支笏第1 (Spfa-1, Spfl) c.40 (C) pfa, pfl 200 pm, bw; 1.500–1.505 opx, ho, (cpx); qt; opx 1.729–1.735; ho 1.688–1.691 勝井 (1958); Arai et al. (1986)
大山倉吉 (DKP) 43–55 (U, ST) pfl, pfa >20 pm; 1.508–1.514 ho, opx, (bi); opx 1.702–1.708; ho 1.673–1.680 町田・新井 (1979)
阿蘇4 (Aso-4) 85–90 (ST, FTなど) pfl, afa (coign.) >600 bw, pm; 1.506–1.510 ho, opx, cpx; opx 1.699–1.701; ho 1.685–1.691 町田ほか (1985)
鬼界葛原 (K-Tz) 90–95 (ST, TL) afa (pp), pfl, afa (coign.) 150? bw, pm; 1.494–1.500 opx, cpx; qt; opx 1.705–1.709 町田・新井 (1992)
御岳第1 (On-Pm1) c.95 (FT, KA) pfa 50 pm, (bw); 1.500–1.503 ho, bi, (opx); opx 1.706–1.711; ho 1.681–1.690 小林ほか (1967); 町田 (1990)
三瓶木次 (SK) c.100 (ST) pfa 20 pm; 1.494–1.498 bi; qt 豊倉ほか (1991)
阿多 (Ata) c.105 (ST) afa (pp), pfa, pfl, afa (coign.) >300 bw, pm; 1.508–1.512 opx, cpx, (ho); opx 1.704–1.708 Ota and Machida (1987)
洞爺 (Toya) 90–120 (FT, ST) afa (pp), pfl, afa (coign.) >150 pm, bw; 1.494–1.498 (opx, cpx, ho; qt); opx 1.711–1.761; ho 1.674–1.684 町田ほか (1987)
阿蘇3 (Aso-3) 105–125 (FT, ST) pfa, pfl, afa (coign.) >150 pm, bw; 1.512–1.540 opx, cpx; opx 1.702–1.705 町田・新井 (1992, 1994)
クッチャロ羽幌 (Kc-Hb) 100–130 (FT, ST) afa·pfa, pfl, afa (coign.) >150 bw, pm; 1.502–1.506 opx, cpx; opx 1.705–1.710 勝井・佐藤 (1963); Arai et al. (1986); Okumura (1988)

English translation

Tephra (symbol) Age, ka (dating method) Eruption/deposition modes and sequence Total tephra volume (bulk, km³) Juvenile tephra: volcanic glass, n Juvenile tephra: phenocrysts References and other information
Baitoushan–Tomakomai (B-Tm) 10th century (A, C, V) pfa, pfl, pfa, pfl (coign.) >50 pm, bw; 1.511–1.522 af, (am, cpx); af 1.521–1.525 Machida et al. (1981); Machida et al. (1990)
Kikai-Akahoya (K-Ah) 6.3 (C) pfa, pfl, afa (coign.) >170 bw, pm; 1.508–1.516 opx, cpx; opx 1.708–1.713 Machida and Arai (1978)
Ulleung-Oki (U-Oki) 9.3 (C) pfa, pfl >10 pm; 1.518–1.524 bi, am, cpx; af 1.522–1.524; ho 1.726–1.740 Machida et al. (1984)
Towada-Hachinohe (To-H) 12.6 (C) pfa, afa, pfl >50 pm; 1.502–1.509 (1.503–1.508) opx, cpx, ho; opx 1.705–1.708; ho 1.669–1.673 Hayakawa (1983)
Aira-Tn (AT) c.24 (C) pfa, pfl (pp), pfl, afa (coign.) >450 bw, pm; 1.498–1.501 opx, cpx, (ho; qt); opx 1.728–1.734 Machida and Arai (1976)
Towada-Ofudo (To-Of) >33 (C) pfa, afa, pfl >50 pm>bw; 1.505–1.511 (1.506–1.508) opx, cpx; opx 1.707–1.711 Hayakawa (1985)
Kutcharo-Shoro (Kc-Sr) 30–32 (C) afa, pfl, afa (coign.?) 100 pm, bw; 1.502–1.505 opx, cpx; opx 1.707–1.710 Arai et al. (1986); Okumura (1988)
Shikotsu-1 (Spfa-1, Spfl) c.40 (C) pfa, pfl 200 pm, bw; 1.500–1.505 opx, ho, (cpx); qt; opx 1.729–1.735; ho 1.688–1.691 Katsui (1958); Arai et al. (1986)
Daisen-Kurayoshi (DKP) 43–55 (U, ST) pfl, pfa >20 pm; 1.508–1.514 ho, opx, (bi); opx 1.702–1.708; ho 1.673–1.680 Machida and Arai (1979)
Aso-4 (Aso-4) 85–90 (ST, FT, etc.) pfl, afa (coign.) >600 bw, pm; 1.506–1.510 ho, opx, cpx; opx 1.699–1.701; ho 1.685–1.691 Machida et al. (1985)
Kikai-Tozurahara (K-Tz) 90–95 (ST, TL) afa (pp), pfl, afa (coign.) 150? bw, pm; 1.494–1.500 opx, cpx; qt; opx 1.705–1.709 Machida and Arai (1992)
Ontake-1 (On-Pm1) c.95 (FT, KA) pfa 50 pm, (bw); 1.500–1.503 ho, bi, (opx); opx 1.706–1.711; ho 1.681–1.690 Kobayashi et al. (1967); Machida (1990)
Sambe-Kisuki (SK) c.100 (ST) pfa 20 pm; 1.494–1.498 bi; qt 豊倉 et al. (1991)
Ata (Ata) c.105 (ST) afa (pp), pfa, pfl, afa (coign.) >300 bw, pm; 1.508–1.512 opx, cpx, (ho); opx 1.704–1.708 Ota and Machida (1987)
Toya (Toya) 90–120 (FT, ST) afa (pp), pfl, afa (coign.) >150 pm, bw; 1.494–1.498 (opx, cpx, ho; qt); opx 1.711–1.761; ho 1.674–1.684 Machida et al. (1987)
Aso-3 (Aso-3) 105–125 (FT, ST) pfa, pfl, afa (coign.) >150 pm, bw; 1.512–1.540 opx, cpx; opx 1.702–1.705 Machida and Arai (1992, 1994)
Kutcharo-Haboro (Kc-Hb) 100–130 (FT, ST) afa·pfa, pfl, afa (coign.) >150 bw, pm; 1.502–1.506 opx, cpx; opx 1.705–1.710 Katsui and Sato (1963); Arai et al. (1986); Okumura (1988)
テフラ名(記号) 年代 ka(測定方法) 噴火・堆積様式と順序 全テフラ量(みかけ、km³) 本質テフラ粒:火山ガラス、n 本質テフラ粒:斑晶 文献・その他
白頭山苫小牧 (B-Tm) 10世紀 (A, C, V) pfa, pfl, pfa, pfl (coign.) >50 pm, bw; 1.511–1.522 af, (am, cpx); af 1.521–1.525 町田ほか (1981); Machida et al. (1990)
鬼界アカホヤ (K-Ah) 6.3 (C) pfa, pfl, afa (coign.) >170 bw, pm; 1.508–1.516 opx, cpx; opx 1.708–1.713 町田・新井 (1978)
鬱陵隠岐 (U-Oki) 9.3 (C) pfa, pfl >10 pm; 1.518–1.524 bi, am, cpx; af 1.522–1.524; ho 1.726–1.740 町田ほか (1984)
十和田八戸 (To-H) 12.6 (C) pfa, afa, pfl >50 pm; 1.502–1.509 (1.503–1.508) opx, cpx, ho; opx 1.705–1.708; ho 1.669–1.673 早川 (1983)
姶良Tn (AT) c.24 (C) pfa, pfl (pp), pfl, afa (coign.) >450 bw, pm; 1.498–1.501 opx, cpx, (ho; qt); opx 1.728–1.734 町田・新井 (1976)
十和田大不動 (To-Of) >33 (C) pfa, afa, pfl >50 pm>bw; 1.505–1.511 (1.506–1.508) opx, cpx; opx 1.707–1.711 Hayakawa (1985)
クッチャロ庶路 (Kc-Sr) 30–32 (C) afa, pfl, afa (coign.?) 100 pm, bw; 1.502–1.505 opx, cpx; opx 1.707–1.710 Arai et al. (1986); Okumura (1988)
支笏第1 (Spfa-1, Spfl) c.40 (C) pfa, pfl 200 pm, bw; 1.500–1.505 opx, ho, (cpx); qt; opx 1.729–1.735; ho 1.688–1.691 勝井 (1958); Arai et al. (1986)
大山倉吉 (DKP) 43–55 (U, ST) pfl, pfa >20 pm; 1.508–1.514 ho, opx, (bi); opx 1.702–1.708; ho 1.673–1.680 町田・新井 (1979)
阿蘇4 (Aso-4) 85–90 (ST, FTなど) pfl, afa (coign.) >600 bw, pm; 1.506–1.510 ho, opx, cpx; opx 1.699–1.701; ho 1.685–1.691 町田ほか (1985)
鬼界葛原 (K-Tz) 90–95 (ST, TL) afa (pp), pfl, afa (coign.) 150? bw, pm; 1.494–1.500 opx, cpx; qt; opx 1.705–1.709 町田・新井 (1992)
御岳第1 (On-Pm1) c.95 (FT, KA) pfa 50 pm, (bw); 1.500–1.503 ho, bi, (opx); opx 1.706–1.711; ho 1.681–1.690 小林ほか (1967); 町田 (1990)
三瓶木次 (SK) c.100 (ST) pfa 20 pm; 1.494–1.498 bi; qt 豊倉ほか (1991)
阿多 (Ata) c.105 (ST) afa (pp), pfa, pfl, afa (coign.) >300 bw, pm; 1.508–1.512 opx, cpx, (ho); opx 1.704–1.708 Ota and Machida (1987)
洞爺 (Toya) 90–120 (FT, ST) afa (pp), pfl, afa (coign.) >150 pm, bw; 1.494–1.498 (opx, cpx, ho; qt); opx 1.711–1.761; ho 1.674–1.684 町田ほか (1987)
阿蘇3 (Aso-3) 105–125 (FT, ST) pfa, pfl, afa (coign.) >150 pm, bw; 1.512–1.540 opx, cpx; opx 1.702–1.705 町田・新井 (1992, 1994)
クッチャロ羽幌 (Kc-Hb) 100–130 (FT, ST) afa·pfa, pfl, afa (coign.) >150 bw, pm; 1.502–1.506 opx, cpx; opx 1.705–1.710 勝井・佐藤 (1963); Arai et al. (1986); Okumura (1988)

表4. 日本列島で第四紀中・前期におこった巨大噴火による広域テフラのリスト

(町田・新井、1992を補訂)

表4. 日本列島で第四紀中・前期におこった巨大噴火による広域テフラのリスト
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

テフラ名(記号) 年代 ka(測定方法) 噴火・堆積様式と順序 全テフラ量(みかけ、km³) 本質テフラ粒:火山ガラス、n 本質テフラ粒:斑晶 文献・その他
阿多鳥浜 (Ata-Th) 230–250 (ST, FT) pfa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.498–1.500 ho, opx, bi; qt; opx 1.714–1.718; ho 1.670–1.674 町田・新井 (1992)
阿蘇1 (Aso-1) 260–280 (FT) pfa, afa, pfl, afa (coign.) ≫100 pm, bw; 1.518–1.521 (cpx, opx); opx 1.710–1.715 白井・多田 (1996); 福岡ほか (1996)。琵琶湖、中部山岳、男鹿半島、日本海
Ng-1 (Ng-1) 260–300 (ST) ? afa ? pm; 1.498–1.499 bi, ho; ho 1.685–1.687 水野・吉川 (1991)。大阪層群〔八田・和田〕、大磯〔Tl1 58 up〕、愛媛〔野村2〕
加久藤 (Kkt) >300 (FT) pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.500–1.501 opx, cpx, (ho); opx 1.718–1.725 町田・新井 (1992)
大町APm群 (A₁Pm–A₅Pm) 主として>300 (FT, ST) pfa, 一部pfl ? pm; 1.497–1.499 bi, ho, opx; qt; opx 1.730–1.734; ho 1.688–1.693 鈴木・早川 (1990)。屈折率の値はA₃Pm
小林笠森 (Kb-Ks) 400–500 (FT) pfa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.503–1.507 bi, ho; ho 1.677–1.685 町田・新井 (1992)。大阪層群〔サクラ〕、上総層群〔笠森11〕
誓願寺–栂 (Se-Tg) c.600 (FT) pfa ? pm; 1.500–1.505 (1.501–1.502) (ho, bi); ho 1.671–1.677 水野ほか (1989); 吉川ほか (1991)。広島〔岡郷〕、大阪〔栂〕
猪牟田アズキ (Ss-Az) c.900 (FT, KA, ST) pfa, pfl ≫100 bw, pm; 1.512–1.516 (1.513–1.515) (opx, cpx); opx 1.706–1.710 下川ほか (1986); 鎌田ほか (1994)。大分〔曲、今市〕、大阪層群〔アズキ〕、上総層群〔国本 Ku6C〕
耶馬渓ピンク (Yb-Pk) 1 Ma (FT, ST) afa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.500–1.502 ho, opx; opx 1.706–1.709; ho 1.674–1.679 Kamata (1989); Kikkawa et al. (1993); 檀原ほか (1992)。大阪層群〔ピンク〕、上総層群〔大田代7〕
福田 (Fkd) 1.75 Ma (FT, ST) pfl, afa ? pm, bw; 1.502–1.504 (ho, opx, cpx); opx 1.755; ho 1.689–1.695 Yoshikawa et al. (1995)。新潟〔辻又川〕、上総層群〔黄和田38〕。屈折率の値は辻又川

表3・4の略記

  • 年代測定法:C=放射性炭素法;FT=フィッショントラック法;KA=カリウムアルゴン法;TL=熱ルミネッセンス法;ST=放射年代、生層序、地磁気層序などに基づく層位からの推定;U=ウラン系列法;V=年縞法。
  • 噴火・堆積様式:噴火順に示した。pfa=降下軽石;pfl=火砕流堆積物;afa=降下火山灰;pp=水蒸気プリニアン火山灰;coign.=大火砕流と同時の降下火山灰;afa·pfa=交互に噴出したことを示す。
  • 火山ガラス:pm=軽石型ガラス;bw=バブル型ガラス。数値nは屈折率。括弧内は少量含まれるもの。
  • 斑晶:af=アルカリ長石;am=角閃石類;ho=普通角閃石;cpx=単斜輝石;opx=斜方輝石;bi=黒雲母;qt=石英。括弧内は少量含まれるもの。数値は屈折率(afはn₁、opxはγ、hoはn₂の値を示す。測定者:新井房夫)。

English translation

Tephra (symbol) Age, ka (dating method) Eruption/deposition modes and sequence Total tephra volume (bulk, km³) Juvenile tephra: volcanic glass, n Juvenile tephra: phenocrysts References and other information
Ata-Torihama (Ata-Th) 230–250 (ST, FT) pfa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.498–1.500 ho, opx, bi; qt; opx 1.714–1.718; ho 1.670–1.674 Machida and Arai (1992)
Aso-1 (Aso-1) 260–280 (FT) pfa, afa, pfl, afa (coign.) ≫100 pm, bw; 1.518–1.521 (cpx, opx); opx 1.710–1.715 Shirai and Tada (1996); Fukuoka et al. (1996). Lake Biwa, mountains of central Japan, Oga Peninsula, Sea of Japan
Ng-1 (Ng-1) 260–300 (ST) ? afa ? pm; 1.498–1.499 bi, ho; ho 1.685–1.687 Mizuno and Yoshikawa (1991). Osaka Group [Hatta and Wada], Oiso [Tl1 58 up], Ehime [Nomura 2]
Kakuto (Kkt) >300 (FT) pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.500–1.501 opx, cpx, (ho); opx 1.718–1.725 Machida and Arai (1992)
Omachi APm tephra group (A₁Pm–A₅Pm) Mainly >300 (FT, ST) pfa, partlypfl ? pm; 1.497–1.499 bi, ho, opx; qt; opx 1.730–1.734; ho 1.688–1.693 Suzuki and Hayakawa (1990). Refractive-index values are for A₃Pm
Kobayashi-Kasamori (Kb-Ks) 400–500 (FT) pfa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.503–1.507 bi, ho; ho 1.677–1.685 Machida and Arai (1992). Osaka Group [Sakura], Kazusa Group [Kasamori 11]
Seiganji–Toga (Se-Tg) c.600 (FT) pfa ? pm; 1.500–1.505 (1.501–1.502) (ho, bi); ho 1.671–1.677 Mizuno et al. (1989); Yoshikawa et al. (1991). Hiroshima [Okago (岡郷)], Osaka [Toga]
Shishimuta-Azuki (Ss-Az) c.900 (FT, KA, ST) pfa, pfl ≫100 bw, pm; 1.512–1.516 (1.513–1.515) (opx, cpx); opx 1.706–1.710 Shimokawa et al. (1986); Kamata et al. (1994). Oita [Magari, Imaichi], Osaka Group [Azuki], Kazusa Group [Kokumoto Ku6C]
Yabakei-Pink (Yb-Pk) 1 Ma (FT, ST) afa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.500–1.502 ho, opx; opx 1.706–1.709; ho 1.674–1.679 Kamata (1989); Kikkawa et al. (1993); Danhara et al. (1992). Osaka Group [Pink], Kazusa Group [Otadai 7]
Fukuda (Fkd) 1.75 Ma (FT, ST) pfl, afa ? pm, bw; 1.502–1.504 (ho, opx, cpx); opx 1.755; ho 1.689–1.695 Yoshikawa et al. (1995). Niigata [Tsujimatagawa], Kazusa Group [Kiwada 38]. Refractive-index values are for Tsujimatagawa

Abbreviations for Tables 3 and 4

  • Dating methods: C, radiocarbon; FT, fission track; KA, potassium–argon; TL, thermoluminescence; ST, age inferred from stratigraphic position based on radiometric ages, biostratigraphy, magnetostratigraphy, etc.; U, uranium series; V, varve chronology.
  • Eruption/deposition modes are listed in eruption order: pfa, pumice fall; pfl, pyroclastic-flow deposit; afa, ash fall; pp, phreatoplinian ash; coign., ash fall contemporaneous with a large pyroclastic flow; afa·pfa, alternating eruptions of the two types.
  • Volcanic glass: pm, pumice-type glass; bw, bubble-type glass. Numerical n values are refractive indices. Parentheses indicate minor components.
  • Phenocrysts: af, alkali feldspar; am, amphiboles; ho, hornblende; cpx, clinopyroxene; opx, orthopyroxene; bi, biotite; qt, quartz. Parentheses indicate minor components. Numerical values are refractive indices (n₁ for af, γ for opx, and n₂ for ho; measured by Fusao Arai).

判読上の注記

Ng-1の対比欄、大磯[Tl1 58 up] — 細い縦画が判別しづらく、Tl1の末尾は数字1/小文字lの可能性が残る。原図も併載し、符号の読みを確定していない。

テフラ名(記号) 年代 ka(測定方法) 噴火・堆積様式と順序 全テフラ量(みかけ、km³) 本質テフラ粒:火山ガラス、n 本質テフラ粒:斑晶 文献・その他
阿多鳥浜 (Ata-Th) 230–250 (ST, FT) pfa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.498–1.500 ho, opx, bi; qt; opx 1.714–1.718; ho 1.670–1.674 町田・新井 (1992)
阿蘇1 (Aso-1) 260–280 (FT) pfa, afa, pfl, afa (coign.) ≫100 pm, bw; 1.518–1.521 (cpx, opx); opx 1.710–1.715 白井・多田 (1996); 福岡ほか (1996)。琵琶湖、中部山岳、男鹿半島、日本海
Ng-1 (Ng-1) 260–300 (ST) ? afa ? pm; 1.498–1.499 bi, ho; ho 1.685–1.687 水野・吉川 (1991)。大阪層群〔八田・和田〕、大磯〔Tl1 58 up〕、愛媛〔野村2〕
加久藤 (Kkt) >300 (FT) pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.500–1.501 opx, cpx, (ho); opx 1.718–1.725 町田・新井 (1992)
大町APm群 (A₁Pm–A₅Pm) 主として>300 (FT, ST) pfa, 一部pfl ? pm; 1.497–1.499 bi, ho, opx; qt; opx 1.730–1.734; ho 1.688–1.693 鈴木・早川 (1990)。屈折率の値はA₃Pm
小林笠森 (Kb-Ks) 400–500 (FT) pfa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.503–1.507 bi, ho; ho 1.677–1.685 町田・新井 (1992)。大阪層群〔サクラ〕、上総層群〔笠森11〕
誓願寺–栂 (Se-Tg) c.600 (FT) pfa ? pm; 1.500–1.505 (1.501–1.502) (ho, bi); ho 1.671–1.677 水野ほか (1989); 吉川ほか (1991)。広島〔岡郷〕、大阪〔栂〕
猪牟田アズキ (Ss-Az) c.900 (FT, KA, ST) pfa, pfl ≫100 bw, pm; 1.512–1.516 (1.513–1.515) (opx, cpx); opx 1.706–1.710 下川ほか (1986); 鎌田ほか (1994)。大分〔曲、今市〕、大阪層群〔アズキ〕、上総層群〔国本 Ku6C〕
耶馬渓ピンク (Yb-Pk) 1 Ma (FT, ST) afa, pfl, afa (coign.) ≫100 bw, pm; 1.500–1.502 ho, opx; opx 1.706–1.709; ho 1.674–1.679 Kamata (1989); Kikkawa et al. (1993); 檀原ほか (1992)。大阪層群〔ピンク〕、上総層群〔大田代7〕
福田 (Fkd) 1.75 Ma (FT, ST) pfl, afa ? pm, bw; 1.502–1.504 (ho, opx, cpx); opx 1.755; ho 1.689–1.695 Yoshikawa et al. (1995)。新潟〔辻又川〕、上総層群〔黄和田38〕。屈折率の値は辻又川

表3・4の略記

b. 広域テフラ

広域テフラとは噴出されたテフラの総量が10~1,000 km³にも及ぶような極めて規模の大きなテフラで、多くは一つの地方を越えて広域に分布する。ただし、多くのテフラは西風によって東方に飛散するので、 規模は大きくても複数の地方にまたがることなく、大半が海域に広がる場合もある。図1には、日本列島およびその周辺地域における第四紀後期の広域テフラの分布を示す。

現在では、表3のように、過去12.5万年間(第四紀後期)に降下した発見済の広域テフラは17に及ぶ。さらに近年では、小林笠森(Kb-Ks)、猪牟田アズキ(Ss-Az)、耶馬渓ピンク(Yb-Pk)など、大阪層群や上総層群で知られてきたテフラが九州まで追跡されるようになった(表4)。第四紀全体では30近くの広域テフラが知られている。広域テフラと、様々な規模のローカルなテフラ層序を組み合わせたテフラによる詳細な時間目盛、各地の「標準テフラ層序」に基づくテフロクロノロジーの適用は必要不可欠なものとなっている。

c. テフラの堆積の仕方

松田・中村(1966)は、火山噴火からテフラが堆積するまでの過程を、どこで噴出し、どのように運搬されたか、どのような場所に堆積したかで分類した。噴火が起った場所については、陸上か(A)、水底か(W)に分ける。運搬のされ方は、噴煙柱から空中を飛行したか(A)、水中を運搬されたか(W)に2分する。堆積の場は、 乾いた陸上か(A)、水中か(W)によって2分する. この3つの要素をこの順序に記号を並べて表現する。たとえば、陸上で噴火し、空中を運搬され、乾陸上に堆積すれば、AAA型となる。水底噴火、空中運搬(風送)、水域に堆積すればWAW型と呼ばれることになる。

なお、噴火の場所は除いて、テフラの運搬・堆積過程だけを表現する場合も多く、その場合、AA型とは、空中運搬、陸上堆積を意味し、WW型とは、水中運搬、水中堆積を意味する。

本書のWS-12-2、WS-13-4、TH-15には漂着軽石(ドリフト・パミス)が記載されている。これらはAWWやAAW型テフラの例である。泥炭層中はテフラの保存がよく、本書にも多くの例が上げられている。湿原等のジメジメした環境や浅い水域にテフラが降下しそのまま堆積する.AA型とAW型の中間ともいえ、"水つきテフラ"と呼ばれることもある。テフラの堆積環境の識別は、海面上昇後の離水・陸化の過程を知るうえで役に立つ。

このようなテフラが堆積した環境によって、テフラの風化の条件に大きな差が生じる。テフラがよく保存される堆積環境としては、①静水域(沼沢地:泥炭地、湖底、深海底)、②テフラを被覆する物質の堆積速度の速い所(火山近傍、砂丘ほか)、③寒冷域(風化が進みにくい)があげられる。一方、保存の悪い環境としては、①陸上一般(特に尾根などの突出部、崖端、急斜面、風上側斜面)、②熱帯・亜熱帯(風化が進みやすい)、③都市域(人間活動による除去)などがある。一般に陸上では、テフラの主体をなす火山ガラスが風化によって失われ、鉱物だけが残される場合や、逆に特定の鉱物が溶解し、本来の鉱物組成が失われる場合もあるので、注意が必要である。さらに水底に堆積したテフラでは、粒子の密度や粒径による淘汰作用の影響を強く受け、粗粒の密度の小さな軽石は、細粒の火山灰と必ずしも一緒に堆積しない場合がある。

表5. テフラの同定法(町田・新井、1992に加筆)

テフラの同定法。層位・年代・層相と、岩石・ガラス・鉱物の組織、形態、屈折率、化学組成など。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

方法 レベル・項目 観察・分析する特徴
層位学的方法(主に野外調査による) 層位 層序:降下・流下単位/単層/部層の区分、埋没土壌、層位関係
同上 年代 各種放射年代、微化石年代、古地磁気年代、文化層年代
同上 層相 層厚、粒度、色調、見掛け密度、降下ユニット、本質/類質/異質物質の種類と割合い、風化度、固結度、堆積構造
岩石記載的方法(主に室内実験による) 岩石レベル:組織 発泡様式、発泡度、斑晶・ガラス比、石基組織
同上 岩石レベル:鉱物組合せ 斑晶鉱物比、重・軽鉱物比
同上 岩石レベル:化学組成 全岩分析:XRF、湿式
同上 火山ガラス・鉱物レベル:形態 晶癖、火山ガラスの形・色・晶子の特徴
同上 火山ガラス・鉱物レベル:屈折率 火山ガラス、鉱物:輝石、角閃石など
同上 火山ガラス・鉱物レベル:熱磁気的性質 強磁性鉱物のキュリー温度など
同上 火山ガラス・鉱物レベル:化学組成 火山ガラス、斑晶鉱物などの主要元素や微量元素の量比:EPMA、XRF、AA、ICP、INAA
同上 火山ガラス・鉱物レベル:その他 特定鉱物の格子常数値、火山ガラスのSr同位体比など

English translation

Method Level or criterion Features observed or analyzed
Stratigraphic methods (mainly field investigation) Stratigraphic position Stratigraphy: distinction of fall and flow units, beds, and members; buried soils; stratigraphic relationships
Same Age Various radiometric ages, microfossil ages, paleomagnetic ages, and ages of cultural horizons
Same Facies Thickness, grain size, color, apparent density, fallout units, types and proportions of juvenile/accessory/accidental material, weathering, induration, and sedimentary structures
Petrographic methods (mainly laboratory investigation) Rock level: texture Vesiculation style, vesicularity, phenocryst/glass ratio, and groundmass texture
Same Rock level: mineral assemblage Ratios of phenocryst minerals and of heavy to light minerals
Same Rock level: chemical composition Whole-rock analysis: XRF and wet-chemical methods
Same Volcanic-glass and mineral level: morphology Crystal habit; shape, color, and crystallite characteristics of volcanic glass
Same Volcanic-glass and mineral level: refractive index Volcanic glass and minerals, including pyroxenes and amphiboles
Same Volcanic-glass and mineral level: thermomagnetic properties Curie temperatures of ferromagnetic minerals, etc.
Same Volcanic-glass and mineral level: chemical composition Relative abundances of major and trace elements in volcanic glass and phenocryst minerals: EPMA, XRF, AA, ICP, INAA
Same Volcanic-glass and mineral level: other properties Lattice constants of particular minerals, Sr isotope ratios of volcanic glass, etc.
方法 レベル・項目 観察・分析する特徴
層位学的方法(主に野外調査による) 層位 層序:降下・流下単位/単層/部層の区分、埋没土壌、層位関係
同上 年代 各種放射年代、微化石年代、古地磁気年代、文化層年代
同上 層相 層厚、粒度、色調、見掛け密度、降下ユニット、本質/類質/異質物質の種類と割合い、風化度、固結度、堆積構造
岩石記載的方法(主に室内実験による) 岩石レベル:組織 発泡様式、発泡度、斑晶・ガラス比、石基組織
同上 岩石レベル:鉱物組合せ 斑晶鉱物比、重・軽鉱物比
同上 岩石レベル:化学組成 全岩分析:XRF、湿式
同上 火山ガラス・鉱物レベル:形態 晶癖、火山ガラスの形・色・晶子の特徴
同上 火山ガラス・鉱物レベル:屈折率 火山ガラス、鉱物:輝石、角閃石など
同上 火山ガラス・鉱物レベル:熱磁気的性質 強磁性鉱物のキュリー温度など
同上 火山ガラス・鉱物レベル:化学組成 火山ガラス、斑晶鉱物などの主要元素や微量元素の量比:EPMA、XRF、AA、ICP、INAA
同上 火山ガラス・鉱物レベル:その他 特定鉱物の格子常数値、火山ガラスのSr同位体比など

d. テフラの同定

テフラの同定にあたっては、地層単位での諸特徴にはじまり、軽石・スコリアや火山灰の粒子単位での様々な特性、さらにはそれらを構成する火山ガラスや斑晶・微斑晶鉱物の特性など、総合的に検討することが必要である(表5)。ここでは、室内分析に先立って、野外においてテフラの層序や野外観察可能な諸特徴を十分に把握することの重要性を強調しておきたい。分析手法の詳細については、「第四紀試料分析法」を参照されたい(第四紀試料分析法編集委員会、 1993a)。

e. 年代測定の方法

層序の確立したテフラは、示標層、鍵層として、地形や地層を対比し、年代を与える。なぜなら、多くのテフラについて、14C法、フィッション・トラック(FT)法、熱ルミネッセンス(TL)法、U-series法などの放射年代測定法による年代決定や、古地磁気編年、考古学的手法、酸素同位体層序における位置等々によって直接・間接に年代が測定され、 チェックされているからである. その詳細については、 「第四紀試料分析法」を参照されたい(第四紀試料分析法編集委員会、1993b)。

3)今後の課題

第四紀前・中期の広域テフラが次々と認定されるようになり、また海底堆積物中にテフラが同定されるようになった日本のテフロクロノロジーは、次のステップに登り始めたといえる(町田・新井、1992)。本書でも、阿多鳥浜テフラ (Ata-Th;230~250ka)、誓願寺-栂テフラ(Se-Tg;約0.6Ma)、猪牟田アズキテフラ(Ss-Az;約1Ma)など相当数について記載されている。しかしこれらは記載のあるテフラのごく一部に過ぎず、今後の新たな発見が待たれるところである。

このように、テフラ研究は大いに進展してきたが、まだまだ問題点や課題も残されている。供給源の不明なテフラ、年代が不明のテフラ、分布や噴火様式の不明なテフラ、等々.そして、人類やその生活にどのような影響を与えたかについて明らかなテフラはごく少数に過ぎない。特に時代が古くなればなるほど、未解明の問題が山積する。本書から、何が分かってきたかだけでなく、何が分かっていないかも同時に読み取っていただければ幸いである。

今後は、太平洋・日本海・オホーツク海等の海域のテフラ、湖底堆積物中のテフラについて重点的に取り組む必要があるであろう。大規模な火山活動とグローバルな大気上層の風はテフラを半球規模で運搬・堆積させたに違いない。こうした超広域のテフラの研究も課題の一つである。さらに、こうした火山活動が地球の環境、植生、人類の生活に如何なる影響を与え、どのような恩恵と災害をもたらしてきたのかについても解明されねばならない問題である。地球規模で考えれば、氷床コア中のテフラの研究も今後の課題の一つである。また一連のテフラは一つの火山の活動の歴史をそのまま示すものである。火山学的な側面でもまだまだ研究の余地がある。そのほかにも、近年の研究によってレス起源と考えられるようになった日本海側に広く分布する褐色ローム層の問題がある。このレス(ローム層)の層序は、ローム層中に挟まれるテフラや古土壌によって解明されつつある。レスとテフラを合わせた新しい時間目盛の確立が期待される。

引用文献

町田洋(1971)南関東のテフロクロノロジーI―下末吉期以降のテフラの起源及び層序年代について-.第四紀研究、10:1-20.

町田洋・新井房夫(1976)広域に分布する火山灰-姶良Tn火山灰の発見とその意義。科学、46:339-347。

町田洋・新井房夫(1992)火山灰アトラス-日本列島とその周辺。東京大学出版会、276p.

松田時彦・中村一明(1966)水底に堆積した火山性堆積物の特徴と分類。鉱山地質、20:129-142.

第四紀試料分析法編集委員会(1993a)テフラ。日本第四紀学会編「第四紀試料分析法2」:東大出版会、

136-224.

第四紀試料分析法編集委員会(1993b)年代測定編。日本第四紀学会編「第四紀試料分析法1」:東大出版会、 51-68.

II. 本書を利用される方へ

本書に収録された露頭は、北は北海道から南は南西諸島石垣島に至る日本列島全域にわたり、合計274ヵ所に及ぶ。これらは現存するものと、消滅したものを含む。また、テフラを含む露頭が中心となるが、一部はテフラを含まないものである。ここには、本書におけるテフラの名称、年代の表示方法、ならびに引用についてふれておく。

1)テフラの名称について

一つのテフラに様々な名称が用いられている場合が少なくない。特に第四紀層序の研究が進められてきた地域で、近年広域テフラが発見され、古くからの名称と、新しい広域的な名称が併用されざるを得ない事情が生じている。地域毎にテフラの名称・愛称が違ったり、研究者毎にテフラ番号が異なったりするのは、それぞれの経緯がありやむをえない面がある。しかし同一のテフラであれば、同一の名称を持つにこしたことはないし、少なくてもそれぞれの関係が分かる配慮をしなければ、これを利用する立場からは不便である。町田・新井(1992)は「火山灰アトラス」の中で、テフラの命名法を統一して表現した。すなわち、原則としてテフラを供給した火山名と火山灰の模式露頭(あるいは発見地)の地名を並べてテフラ名とするものである。略称も同様に示される。例えば、姶良ATテフラ(AT)、鬼界葛原テフラ(K-Tz)等のようになる。ただし、給源火山が不明のものは多数あり、給源火山を求める努力が必要とされる。同時に、一部を除いて、「……火山灰」を「……テフラ」と表現した。この「火山灰アトラス」で提案された名称は、現在のところ、最も多くのテフラに共通の基準を与えるものであるので、本書ではすでに定着したテフラ名称と同書の名称を併記することにした。各地域で記載され、名称が定着したテフラについての扱いは簡単ではない。統一を図るべきものではあるが、なお検討する必要があるだろう。

2)年代の表示について

14C法による測定年代は、2,980 ± 150 yr B.P.(GaK-55555)のように表わされる。これは西暦1950年を基準に何年遡るかを示す.()内は測定機関によるコード番号である。しかし一般に、多数存在する年代値を全て記載することは無理なので、妥当な値を代表値として表記するか、幅を示した場合が多い。この場合、また他の測定法の場合も含めて、数十万年の年代には、kaを用いている.kaは1,000年を意味し、25kaは25,000年前を、175kaは175,000年前を意味する。また100万年の単位にはMaを用いている.100万年単位で記載した場合には、比較のため、数10万年の年代についてもMaを用いたところがある。

年代の表示にあたっては、多数の年代測定手法のどれが用いられたか、測定手法をできるだけ明示した(放射年代以外では、古地磁気年代、考古学編年、レスクロノメトリー等).14C法による年代については、Libbyの半減期に基づき、一般にcalibrationなしの年代を示してある.calibration済みのものはその旨示してある。

3)本書の引用について

本書において、各露頭の記載の性格は露頭によって異なる。既に公表されたものに基づくレビュー的なものから、ここで初めて記載されるオリジナルなものまで多様である。前者の場合も、元の記載に加筆修正が加えられている場合や、写真、スケッチや柱状図がオリジナルである場合もある。いずれにせよ、記載内容については個々の露頭の執筆者に責任が存在する。したがって、本書を引用する場合、個々の露頭単位で引用する必要がある。また、オリジナルな記載について引用が示されている場合には、原典にあたり、原典を引用していただきたい。

露頭調査・見学にあたっての注意事項

本書で記載された露頭は、一般に読者が自由に露頭見学を行なったり、試料を採取したりできるものではない。露頭を訪れる時には、地主や管理者から事前の了解を得ていただきたい。同時に露頭からどんな情報を得ようとしているのかなど、露頭を見学する目的を説明し、露頭調査の重要性を理解してもらうようにするとよいだろう。いずれにしても、露頭を大事に扱い、露頭のクリーニングや試料の採取も必要最小限にとどめ、調査終了後は必要に応じて埋め戻しをするなど、露頭をきれいにした上で、お礼を述べることがマナーである。特に希少な生物化石産地などでは、有限な研究材料を無意味に採取したり、破壊したりすることのないよう気をつけたい。一部の心ない行為によって露頭見学が禁止されるような事態は厳に慎しむ必要がある。

露頭は調査中に滑り落ちたり、落石に見舞われたり、毒性をもった動植物の生活圏をおかすことになったり、危険と背中合わせの場所である。本書で紹介する露頭は必ずしも安全であるということではない。自己の責任において、安全面に十分な注意を払いながら、調査、見学にあたって頂きたい。団体で露頭見学を企画する場合、安全対策に十分に配慮し、参加者が事前に傷害保険を掛けることをお勧めする。

1. 日本各地の広域テフラ

WS-1-1 中国・長白山東麓における白頭山苫小牧テフラ

町田 洋

長白山(朝鮮名;白頭山)火山は中国東北部と北朝鮮の国境を占める一大火山地帯の最高峰をなす火山錐である.頂上部には直径4~5kmのカルデラ(天池)があり,カルデラ縁の最高峰は2,749mに達する.この火山は長く裾野をひき頂上部から30~50kmで広大な玄武岩溶岩台地に遷移する.この地帯の火山活動は中新世初期以降にはじまり,多数の盾状火山からなる溶岩台地を形成したが,時代とともに粗面岩や流紋岩を爆発的に噴出する活動が多くなり,いくつかの火山錐が形成された.白頭山はそのうちの最も若い,大型火山である.1597,1668,1702年に噴火したと思われる記録があるが,その前,10世紀前半に一大噴火を起し,降下軽石,大規模火砕流を噴出した.このときのco-ignimbrite ashは日本海北部海底,北日本に広く分布する.

広大な火山斜面・山麓は,この新しい火砕流堆積物に覆われている.東麓の中国・北朝鮮国境の圓池付近(長白山山頂から東へ約30km)では,このテフラ層の層序をまとめて観察できるいくつかの露頭がある.図2には露頭の位置とともにこれらテフラの分布を示す.そこでは長白火砕流堆積物(Cユニット)とそれに先駆した白頭プリニアン降下軽石(Bユニット),薄い土壌を隔てて,降下軽石・スコリア層(Eユニット)などがみられる(図1).Bは一連の大噴火の最初の噴出物で,純白色のアルカリ流紋岩質降下軽石である.その分布主軸は南東方向で,北朝鮮領内で厚い.本露頭では火砕流堆積物は分布の縁辺部にあたるため薄いが,これより西・北西側の山麓では数10mの厚さで分布する.長白火砕流堆積物の下部は灰白色の珪長質軽石片を多く含む軽石流堆積物であるが,上部では,暗色のガラス質火山灰を主体としたスコリア流堆積物に漸移する.いずれも非溶結で,鴨緑江や松花江などの上流の谷を埋め,段丘地形やバッドランドを発達させる(図2).一方火砕流から発生した大量の火山泥流(ユニットD)はこれらの谷をさらに流下した.これは火山から100km以上離れたところにも追跡でき,災害が河川沿いに遠隔地の低地まで及んだことが分かる.また長白火砕流堆積物は多量の炭化材を含み(図3),かつ現在の長白山東方地域がカラマツの一大純林地帯である.この噴火による植生の破壊が広大な範囲に及んだことを示唆する.

図1にみられるユニットEのテフラは2~4枚の降下軽石・火山灰層からなる.おそらく歴史記録がある噴火の噴出物であろう.その分布範囲は長白山の東側で,あまり広くはない.

文献:町田・新井(1992),町田ほか(1981),Machida et al.(1990),町田・新井(1992)

白頭山噴出物の層序と0~5mの厚さ目盛
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図中文字(日本語)

0m; 1; 2; 3; 4; 5 E-6; E-5; E-4; E-3; E-2; E-1 — Yuanchi plinian fall C-pfl: Changbai pyroclstic flow B-pfa: Baegudu plinian fall A-dfl: Erdaobaihe debris flow soil; older tephra fall

English translation

0m; 1; 2; 3; 4; 5 E-6; E-5; E-4; E-3; E-2; E-1 — Yuanchi plinian fall C-pfl: Changbai pyroclstic flow B-pfa: Baegudu plinian fall A-dfl: Erdaobaihe debris flow soil; older tephra fall

図1 約1000年前の白頭山大噴火噴出物の層序(Machida et al., 1990 一部改変)

Eユニットはおそらく1597,1668,1702年の噴出物

WS-1-1(続き)

長白山周辺の降下テフラ等厚線,火砕流・泥流・岩なだれ堆積物の分布
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図中文字(日本語)

WS-1-1; N; 白頭山(長白山); 圓池; 長白; 鴨緑江; 豆満江; B; >0; 100; 200; 1000; 1500; 2000; 0; 30km

English translation

WS-1-1; N; Baitoushan (Changbai Mountain); Yuanchi (圓池); Changbai; Yalu River; Tumen River; B; >0; 100; 200; 1000; 1500; 2000; 0; 30km

判読上の注記

豆満江 — 地図の薄い河川名は低コントラストで一部不鮮明;読みは暫定。

図2 約1000年前の白頭山大噴火噴出物の分布

実線は先駆した降下テフラの等厚線(cm).アミの部分は長白火砕流堆積物.●は泥流堆積物の分布域.▲は噴火直前に起こった岩なだれ堆積物.

露頭で炭化した大きな木材を調べる2人
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

図3 火砕流堆積物に埋まった材(大部分炭化している)

English translation

Figure 3. Wood buried in the pyroclastic-flow deposit (mostly charred).

図3 火砕流堆積物に埋まった材(大部分炭化している)

WS-1-2 苫小牧港の沖積層にみられる白頭山苫小牧テフラ

町田 洋

本露頭はこのテフラの名称の由来となった模式地で,苫小牧港の最奥部(東部)に位置し,勇払原野の沖積層の断面をみせる.最上位の軽石層はAD1667年の樽前b(Ta-b)で,厚い泥炭層に挟まれている下位の軽石層が2.5~3kaに噴出した樽前c(Ta-c)である.白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)は図中厚い泥炭層の上部(スコップが差してあるところ)に,厚さ2~3cmの白色火山灰層としてやや断続的に観察される.北海道の沖積低地では,多くの場合,本露頭のように泥炭層中によく保存されて介在するが(参考;美留和HK-10),台地上でも,多くの場合黄白色の火山灰層として見い出すことができる.岩石記載的特徴は,なによりも火山ガラスがアルカリに富むことにあるが,顕微鏡下では,斑晶に乏しい,曲率が大きく,条線に富む細粒の火山ガラスに特色づけられる.またこのテフラは,北海道では擦文式土器文化層中にあり,本州北部では土師器文化層中にある.したがって本テフラは両文化の対比をする上でも重要である.

文献:町田ほか(1980),Machida et al.(1987)

苫小牧港の東部に矢印で示した露頭位置
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

5万分の1『苫小牧』(苫小牧5号); ゴルフ場

English translation

1:50,000 “Tomakomai” map sheet (Tomakomai No. 5); golf course

5万分の1『苫小牧』(苫小牧5号)

厚い泥炭中の薄い白頭山苫小牧テフラと樽前軽石層
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図中文字(日本語)

Ta-b; ←B-Tm; Ta-c

English translation

Ta-b; ←B-Tm; Ta-c

WS-1-3 八甲田田代平湿原にみられる白頭山苫小牧テフラと十和田aテフラ

町田洋

八甲田火山東北麓にある田代平湿原は,田代平カルデラに発達するもので,テフラを始め,有用な古環境資料を保存している(八甲田湿原研究グループ,1969).ここの高位泥炭地では分解の進んだ堆積物(黒泥)の最上部にごく薄い火山灰層が重なって2枚みられるが,低位泥炭地では泥炭の堆積が現在も続いているので,これらの火山灰がはっきり分かれて観察できる.上位の黄白色火山灰層が白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)で,下位の白色火山灰層が十和田a火山灰(To-a)である(町田ほか,1981).前者の特徴は,北海道におけるものと大差ない(苫小牧港WS-1-2参照).後者は前者よりやや粗粒で,輝石などの斑晶を伴い,やや着色し,しかも分厚い火山ガラス片からなる.

To-aは東北6県を広く覆うテフラで,平安時代の文化層中またはこの時代の遺物を覆って産出する(たとえば多賀城遺跡).とくに陸奥国分寺では,870年と934年と思われる遺物包含層の中間に介在し(白鳥,1980),さらにTo-aに伴う火砕流・泥流堆積物(毛馬内,TH-13参照)に埋った家屋の木材の年輪年代が>903ADを示すことが分かっている(奈良文化財研究所,1990).したがってこれは「扶桑略記」にある延喜15年(915)出羽の国言上雨灰高2寸云々,の記事に相当するテフラ噴火であると考えられる.To-aがAD915の噴出物とすると,そのすぐ上のB-Tmの噴出年代はTo-aより数年から10数年後と考えられる.なお上記2テフラが野外で層位関係をもって重なりあうのは,主に青森県下である.

文献:八甲田湿原研究グループ(1969),町田ほか(1981),奈良文化財研究所(1990),白鳥(1980)

田代平の湿原植物群と露頭を示す地形図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

田代元湯; 田代平温泉; 八甲田温泉; 湿原植物群; 田代平; 駒川; 563; 596.1; 5万分の1『青森東部』(青森4号)

English translation

Tashiro Motoyu; Tashirotai hot spring; Hakkoda hot spring; wetland plant community; Tashirotai; Koma River (駒川); 563; 596.1; 1:50,000 “Aomori Tobu” (Aomori No. 4)

5万分の1『青森東部』(青森4号)

薄い泥炭を隔てて重なるB-TmとTo-aの2枚の火山灰層
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図中文字(日本語)

←B-Tm; ←To-a

English translation

←B-Tm; ←To-a

WS-2-1 南九州鬼界カルデラ竹島における鬼界アカホヤテフラ

町田洋

鬼界アカホヤテフラの噴出源鬼界カルデラの周辺では,竹島においてこのテフラの層序や層相をもっともよく観察することができる.ここでは小野ほか(1982)が詳しく記載している.この島の各所で本テフラを観察できるが,ここでは島の北側の船倉港に面した露頭(図1)を記す.図2のように,クロボク層を覆う本テフラは下部から上部へ,プリニアン降下軽石(船倉降下軽石)、溶結凝灰岩(船倉火砕流),非溶結の火砕流堆積物(竹島火砕流)の順に重なる.火砕流堆積物の上に,ガラス質の火山灰層がみられることがあるが,これはやや断片的である.どの層準の軽石もきわめてよく発泡し,軽い.本露頭では全体の厚さは10m強であるが,火砕流堆積物の厚さは地形によって変化し,30mを越すところもある.また竹島火砕流堆積物は下位の地層を突出部を削って不整合的に覆う場所もある(図3).プリニアン降下軽石の分布主軸は東南東方向で,大隅半島にも分布する(大根占WS-2-2参照).船倉火砕流堆積物とされたものは,すべてが火砕流として堆積したというより,降下軽石が溶結した部分もある.

竹島火砕流は巨大噴火の産物で,中に含まれる岩片には,円磨されたものが多く見られる(図2,3).これは噴火が浅い海底で起り,海底の波食台堆積物を搬出したことを示唆する.本火砕流は海を渡り,屋久島はもとより,大隅半島,薩摩半島にも流下・堆積した.大隅・薩摩では幸屋火砕流堆積物と呼ばれたもの(宇井,1973)に相当する.この噴出物の特性は,アスペクト比が小さいこと,大量のガラス質火山灰を大気中に放出し,降下火山灰を形成したことが挙げられる.この降下火山灰が日本列島と周辺海底を広く覆った鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)である(町田・新井,1978).

なお,図3において船倉降下軽石の下位に長瀬火砕流と記したテフラは,白色の流紋岩質大規模テフラで,後に記す鬼界葛原火山灰(K-Tz)の源である.また竹島火砕流堆積物を覆うクロボク層には数枚の降下テフラが認められる.これらは薩摩硫黄島で厚く発達し,硫黄島火山の噴出物である.また船倉降下軽石の下位にあるおびただしいテフラも主に鬼界カルデラの中央火口丘群の噴出物と考えられる.なおこのカルデラは鬼界アカホヤテフラの噴出のみで生じたのではなく,中期更新世以来の複数の巨大噴火の積算で形成されてきた.

文献:町田・新井(1978),小野ほか(1982),宇井(1973)

竹島の地形と船倉港付近の露頭位置
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図中文字(日本語)

図1; 2.5万分の1『薩摩竹島』(開聞岳12号-1); 三島村; 竹島; 役場支所; ヘリポート; アビ山; オンボ崎; ウツン崎; 東風泊; クツ瀬; 71; 73; 89; 39; 133; 168; 203.1

English translation

Figure 1; 1:25,000 “Satsuma Takeshima” (Kaimondake No. 12-1); Mishima Village; Takeshima; village office branch; heliport; Abi-yama (アビ山); Onbo Point (オンボ崎); Utsun Point (ウツン崎); 東風泊 [reading uncertain]; Kutsu-se (クツ瀬); 71; 73; 89; 39; 133; 168; 203.1

判読上の注記

島東北端の小地名 — 小さい文字が不鮮明で全字を確定できない。(未確定候補 / Unconfirmed candidate: [判読不明]崎,江鼻)

図1 2.5万分の1『薩摩竹島』(開聞岳12号-1)

WS-2-1(続き)

船倉降下軽石を覆う船倉火砕流堆積物と竹島火砕流堆積物
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図中文字(日本語)

図2; 竹島火砕流堆積物; 船倉火砕流堆積物; 船倉降下軽石

English translation

Figure 2; Takeshima pyroclastic-flow deposit; Funakura pyroclastic-flow deposit; Funakura pumice fall

図2

竹島火砕流が船倉降下軽石と船倉・長瀬火砕流を不整合に覆う露頭
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図中文字(日本語)

図3; 竹島火砕流堆積物; 長瀬火砕流堆積物; 船倉火砕流堆積物; 船倉降下軽石

English translation

Figure 3; Takeshima pyroclastic-flow deposit; Nagase pyroclastic-flow deposit; Funakura pyroclastic-flow deposit; Funakura pumice fall

図3

WS-2-2 大隅半島大根占付近の鬼界アカホヤテフラ

町田洋

南九州ではどこでも,地表に近いところに,黄赤色で,アカホヤとかイモゴなどと呼ばれる火山ガラス質の鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)が観察できる.その上下の粗粒のテフラ層が地域によって尖滅していくのに対して,K-Ahは保存程度が被覆状態によって異なるもののよく連続する.

大隅半島では,鹿屋付近を東西に走る線より南側では,鬼界アカホヤテフラは3ユニットに分けられる.本露頭では,下位から幸屋降下軽石(竹島での船倉降下軽石),幸屋火砕流堆積物(竹島火砕流堆積物),鬼界アカホヤ火山灰がみられ.幸屋火砕流堆積物はあたかも降下テフラのように地形の凹凸にも関わらず薄くよく連続するが,構成物は,他のユニットに比べて篩分けが悪く,軽石片と細粒火山灰が共存し,火砕流堆積物の特徴をもつ.最下部に細かい岩片と斑晶鉱物が濃集する部分がある.きわめてガスに富み,流動性の著しい火砕流であったと考えられる(宇井,1973).この火砕流堆積物の上位には,最下部に火山豆石の層をもち,正級化をなす火山灰層が載る.これが広域に分布するK-Ahである.この火山灰は輝石流紋岩~デイサイト質のバブル型および軽石型火山ガラスからなる. 野外では黄赤色をなすのが一般的だが,厚いテフラに覆われたり,水成層中に介在する場合などは色が薄く黄白色をなす.

本露頭で薄いクロボク層をへだててK-Ahの上位に載るテフラは,池田湖カルデラから約5.7kaに噴出した池田湖降下テフラ(最下部に火山灰とスコリアをもつ降下軽石;成尾・小林,1984)である.また■印の地点では,K-Ahの下位の厚い火山灰土を隔てて,姶良Tnテフラのメンバー(主として入戸火砕流A-Itoまたは大隅降下軽石A-Os)および鬼界葛原テフラ(K-Tz),阿多テフラ(Ata)が観察できる.なお大根占や根占付近の阿多火砕流の台地上には,本露頭以外にもこれとほぼ同じ産状のK-Ahなどをみることのできる露頭は,出現・消滅を繰り返すもののかなりある.

南九州では,K-Ahを境にして上下の火山灰土から出土する縄文土器の形式ガ異なることが知られている(新東,1978)おそらくこの大噴火で九州・四国・中国の地形,植生,動物相を含む生態系は大きく変わり,この地域の縄文文化は大打撃をうけて文化の交代があったことが予想される(Machida,1984).

文献:宇井(1973),Machida(1984),町田・新井(1978),新東(1978),成尾・小林(1984)

左に大根占付近の露頭位置,右に鬼界アカホヤ噴出物の層序を示す写真
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図中文字(日本語)

5万分の1『大根占』(開聞岳1号-4); 城; 上宇都; 山添; 花之本; 浦; 久保; 41.5; 77.6; 83.6; 172; 鬼界アカホヤ火山灰; 火山豆石; 幸屋火砕流堆積物; 幸屋降下軽石

English translation

1:50,000 “Onejime” (Kaimondake No. 1-4); 城; 上宇都; 山添; Hananomoto (花之本); 浦; 久保 [small place-name readings unverified]; 41.5; 77.6; 83.6; 172; Kikai-Akahoya ash; accretionary lapilli; Koya pyroclastic-flow deposit; Koya pumice fall

5万分の1『大根占』(開聞岳1号-4)

WS-2-3 宮崎平野の完新世海成段丘堆積物中に見られる鬼界アカホヤテフラ

長岡信治

宮崎平野は隆起しているため,少なくとも4段の完新世段丘が発達する(長岡ほか,1991).これらのうち,最上位の下田島Ⅰ面は約5~6kaに離水した海成段丘である(長岡ほか,1991).下田島Ⅰ面は厚さ50m以上の海進堆積物からなり,その上部に海底に堆積した鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)を挟んでいる.この露頭では,K-Ahと下田島Ⅰ面の海成層を見ることができる.K-Ahの下位は海成粘土層で,内湾性の貝化石を多く含んでいる.K-Ahは厚さが最大で5mあり, 陸上堆積のものと違って,新鮮で透き通った灰白色を呈するガラス質の粗粒火山灰からなり,クロスラミナや生痕を発達させている.K-Ahは上流側(旧汀線側)へせん滅する.K-Ahの上位は,厚さ1m程度の海成砂や河成砂に覆われている.河成砂にはしばしば弥生式土器片が含まれている.現在,ここでは露頭の大部分は被覆されているが,見えるところもある.このほか石崎川にも同様の露頭がある.ハンドオーガーなどにより確認は可能であろう.

文献:長岡ほか(1991)

鬼付女川沿いの露頭を示す三納代付近の地形図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『佐土原』(延岡12号-2); 三納代; 一丁田; 二丁田; 新町; 鬼付女; 一池; 下城島; 84; 4.90

English translation

1:25,000 “Sadowara” (Nobeoka No. 12-2); Minashiro (三納代); 一丁田; 二丁田; 新町; 鬼付女; 一池; 下城島 [place-name readings unverified]; 84; 4.90

2.5万分の1『佐土原』(延岡12号-2)

水成K-Ahを挟む海成粘土と砂の厚い露頭
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図中文字(日本語)

NW; N; 砂層; K-Ah; 海成粘土層; 1m; 1993年2月撮影

English translation

NW; N; sand layer; K-Ah; marine clay layer; 1m; photographed in February 1993

1993年2月撮影

WS-2-4 隆起した完新世段丘堆積物中の鬼界アカホヤテフラ-神奈川県中村原-

町田洋・松島義章

神奈川県大磯から国府津にかけての海岸地帯は,日本における最大の地震性隆起地帯の一つとして知られ,完新世の海成層が海抜20m以上に達し段丘を形成する.本露頭ではこの沖積層の上部が観察でき,その中に鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)の薄層が認められる.ここで海抜19m以下には,内湾にすむ貝の化石(Anadara subclenata,Anomalocardea squamosaなど)を含む砂とシルトの互層が観察され,その上位には木片を含む砂層,湿地性のシルト層,河成の砂礫層などが重なる.海抜20.5m付近のシルト層を詳しくみると,厚さ数mmの白色火山灰層がある.これはバブル型火山ガラスからなり,その特性と層序から鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)と同定される(松島,1980;Machida et al,1984;遠藤ほか,1979).ここでK-Ahは,海成層ではなく,陸成層中に介在するので,海岸が海進から海退に移行し始めた時期に降下堆積したことになる.

これに対して中部本州以西の海岸地帯でK-Ahが堆積したのは,一般に海進のピークにわずかに先立つ時期である(たとえば宮崎平野WS-2-3参照).この違いは地域による隆起速度の違いで説明される(町田・新井,1980).

文献:遠藤ほか(1979),松島(1980),町田・新井(1980),Machida et al.(1980)

新幹線橋梁下の中村川露頭を示す地形図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『小田原北部』(横須賀13号-1); 東海道; 小田原厚木道路; 中村川; 山西; 小船; 二宮; 山神社; 32.11; 85.9; 76; 20; 73.1

English translation

1:25,000 “Odawara Hokubu” (Yokosuka No. 13-1); Tokaido; Odawara–Atsugi Road; Nakamura River; Yamanishi; Obune; Ninomiya; mountain shrine (山神社); 32.11; 85.9; 76; 20; 73.1

2.5万分の1『小田原北部』(横須賀13号-1)

K-Ahと4つの放射性炭素年代を示す標高13.8~25.5mの柱状図
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図中文字(日本語)

25.5m; 20; 15; 13.8; 弥生式土器; K-Ah; y.B.P.; 6250±150 w; 7340±230 s; 7410±190 s; 7750±270 w; ローム; テフラ; 砂礫層; シルト; 腐植; 材; 貝化石; サンドパイプ

English translation

25.5m; 20; 15; 13.8; Yayoi pottery; K-Ah; y.B.P.; 6250±150 w; 7340±230 s; 7410±190 s; 7750±270 w; loam; tephra; sand and gravel layer; silt; humus; wood; molluscan fossils; sand pipes

露頭柱状図(松島,1980)

中村川沿いの海成層と隆起した段丘の地質断面
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図中文字(日本語)

M; 30; 20; 10; 0; -10; 東海道線; 川勾; 中村原; 新幹線; 小船; 小田原・厚木バイパス; 小竹; 0; 500m; 中村川沿いの地質断面図(遠藤ほか,1979)

English translation

M; 30; 20; 10; 0; -10; Tokaido railway; Kawawa (川勾); Nakamurahara; Shinkansen; Obune; Odawara–Atsugi bypass; Odake (小竹); 0; 500m; geological section along the Nakamura River (遠藤ほか, 1979)

判読上の注記

断面内の斜体地層略号 — 小さく低解像度で一部の文字を確定できない。(未確定候補 / Unconfirmed candidate: [判読不明])

中村川沿いの地質断面図(遠藤ほか,1979)

WS-2-5 奄美大島笠利半島にみられる鬼界アカホヤテフラと姶良Tnテフラ

成尾英仁

本露頭は奄美諸島で鬼界アカホヤテフラ(K-Ah;6.3ka)を確認できる良好な露頭である.露頭は太平洋に面した低位段丘の末端部にあり,灰黒色硬質で有孔虫砂主体の下部砂丘砂,未固結で有孔虫砂主体の上部砂丘砂がみられる.ここでは1987年から継続して遺跡の発掘が行なわれ,表層の黒色砂層から粘質風化土壌(マージ層)まで8層に区分された.未固結の褐色砂層が遺物包含層となり,爪形文土器を出土する.その下は固結した砂層で下部砂丘砂である.さらに下に黒色砂層を挟んで,K-Ahが堆積する.有孔虫砂をやや含むが,鮮明な黄橙色を帯びたガラス質火山灰である.厚さ約5cmのプロック状に堆積し,側方への連続性は良好である.その下はマージ層と呼ばれる赤橙色粘質土で,基盤岩に由来する頁岩の中~大礫を多量に含む.肉眼では識別できないが,この層には姶良Tnテフラ(AT;25ka)が散在する.K-Ahのガラスは淡茶褐色~黒褐色を帯び,屈折率は1.510~1.512,SiO2量の平均値は76%である.ATのガラスは無色透明な平板状で,屈折率は1.497~1.498である.琉球列島の爪形文土器は,従来,本土と同様,縄文時代草創期(約10ka)とされたが,K-Ahの上位から爪形文土器が出土したことから,縄文時代早期となった.

文献:成尾(1988),田村ほか(1988)

土盛付近の喜子川遺跡露頭位置
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図中文字(日本語)

崎原; 土盛; 38; 2.5万分の1『赤木名』(奄美大島6号-1)

English translation

Sakibaru (崎原); Tomori; 38; 1:25,000 “Akakina” (Amami Oshima No. 6-1)

2.5万分の1『赤木名』(奄美大島6号-1)

遺物包含砂層の下にK-Ahとマージ層が見られる発掘露頭
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図中文字(日本語)

砂層(遺物包含); K-Ah; マージ層

English translation

sand layer (artifact-bearing); K-Ah; maji layer

WS-3-1 韓国鬱陵島の後期更新世~完新世テフラ

森脇広

鬱陵島(ウルルンドー)は朝鮮半島から140km離れた日本海に浮かぶ第四紀の火山島である.この火山起源の第四紀テフラが注目されたのは,関西・中部の日本列島と日本海南部の海底において,日本列島のテフラには稀有のアルカリ岩質テフラ・鬱陵島起源と考えられる完新世初期のテフラ(鬱陵隠岐火山灰;U-Oki)-が見いだされたことによる(町田ほか,1981).この島の詳しいテフラ編年は町田ほか(1984)によって明らかにされている.東西12km南北9kmのほぼ円形をした島の中北部には直径3.5kmのカルデラがあり,その北部には中央火口丘の卵峰が形成されている.ここのテフラ層序は溶岩台地が残された島の北東部の石圃洞(ソッポドン;図1の82.7-2)とこの島の北東沖2kmのところにある小島-竹島(82.7-1)において確立することができる(図1,図3).82.7-2の露頭には,鬱陵島火山起源のテフラが全部で7枚認められ,上位からU-1,U-2…,U-7と名づけられている(図2;町田ほか,1984),これらのテフラはすべてアルカリ岩質で,サブアルカリ岩質の日本列島起源のテフラとは大きく異なっている.

最上位のU-1は鬱陵島火山最新期の噴出物で,スコリア質火山灰の薄層として認められる.その下部はセメント状に固結しており,中央火口丘卵峰のマグマ水蒸気噴火の産物である.U-2以下はプリニアン噴火の降下テフラで,粗面岩質の軽石と火山灰からなる.U-5~U-7は著しく風化しており,新鮮な軽石からなる上位のU-2~U-4とは産状が異なる。U-2,U-3は降下軽石層に加えて火砕流を伴う.また,U-3の火砕流堆積物は火山豆石を豊富に含む.U-2,U-3,U-4は岩石記載・化学組成に有意な差はない.また噴火規模も似ている.U-2,U-3,U-4はU-Okiの性質とも類似しており,岩石記載・化学組成の点からは明瞭に識別することはできないが,南東方向に分布軸を持ち,本州でのU-Okiの分布範囲と対応している最も広域分布をもつU-2がU-Okiに対比される.この島は急斜面な地形が広く,テフラの保存はよくないが,最新のカルデラ噴火の産物であるU-2は斜面に比較的よく保存されている.島の中心集落である道洞(トドン)周辺の斜面に厚く堆積しているのはこのU-2である.南九州起源の広域テフラ・姶良Tnテフラ(AT)はU-4とU-5の間,鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)はU-1とU-2の間の黒ボク土壌の中に検出されている.

文献:町田ほか(1981,1984)

鬱陵島の露頭番号とU-2の等厚線・等粒度線
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図中文字(日本語)

Cheonbu-dong; Pyongri; Hyangnamu-dong; Al-bong; Nari-kol; Seongin-bong; Sokpo-dong; Chuk-do; Jeo-dong; To-dong; 82.7-10; 82.7-5; 81.8-12; 82.7-2; 82.7-1; 83.10-4; 81.8-11; 300; 100; 10; 20; 0; 5km

English translation

Cheonbu-dong; Pyongri; Hyangnamu-dong; Al-bong; Nari-kol; Seongin-bong; Sokpo-dong; Chuk-do; Jeo-dong; To-dong; 82.7-10; 82.7-5; 81.8-12; 82.7-2; 82.7-1; 83.10-4; 81.8-11; 300; 100; 10; 20; 0; 5km

図1鬱陵島における露頭の位置とU-2の等厚線(太い実線と破線)及び等粒度線(点線は軽石,一点鎖線は岩片)

WS-3-1(続き)

鬱陵島のテフラ7層とK-Ah・ATの柱状対比図
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図中文字(日本語)

WS-3-1; 82.7-10; 82.7-5; 81.8-12; 81.8-11; 83.10-4; 82.7-2; 82.7-1; U-1; U-2; U-3; U-4; U-5; U-6; U-7; K-Ah; AT; ?; 0; 3m; 20m; 3m; 4m; 1; 2; 3; 4; 5; 6; 7; 8; 9; 10

English translation

WS-3-1; 82.7-10; 82.7-5; 81.8-12; 81.8-11; 83.10-4; 82.7-2; 82.7-1; U-1; U-2; U-3; U-4; U-5; U-6; U-7; K-Ah; AT; ?; 0; 3m; 20m; 3m; 4m; 1; 2; 3; 4; 5; 6; 7; 8; 9; 10

図2 鬱陵島内におけるテフラの柱状図(位置は図1).模式露頭は右側の2箇所.

番号 凡例
1 クロボク土
2 褐色土
3 降下軽石
4 降下スコリア
5 岩片
6 ガラス質火山灰
7 岩片を含む軽石質火山灰
8 火砕流堆積物
9 火山豆石
10 基盤
U-2とU-3を挟む露頭を調べる調査者
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図中文字(日本語)

U-2; U-3

English translation

U-2; U-3

図3 鬱陵島竹島におけるテフラの露頭

WS-3-2 福井県鳥浜貝塚と水月湖における鬱陵隠岐テフラ

町田洋

三方湖に近い鳥浜貝塚は,縄文前期の代表的な低地遺跡であるが,縄文草創期から早期にいたる遺物も介在する.ここでは多量の人類遺物とともに当時の自然環境を知る上での手がかりがよく残されている.図2はこの貝塚80L地区4区および80L2区西壁の総合地質柱状図である(町田,1981).海抜-2.2mの,押型文土器を包含する湿地性の泥層中に,厚さ2~3cmでよく連続する灰白色の火山灰層がある(図2,3).これが鬱陵隠岐テフラ(U-Oki)である.顕微鏡下では,白色~灰褐色のスポンジ状に発泡した軽石型火山ガラス(平均最大粒径0.3mm)を主体とし,ごく少量のアルカリ長石,褐色黒雲母,角閃石,単斜輝石の微斑晶を含むことがわかる.これと対比できるテフラは本州では近畿,東海地方のいくつかの地点で見い出されており,日本海では隠岐堆から鬱陵島東南沖にかけての海底堆積物中に介在する.鬱陵島では上位から2番目のテフラU-2がこれに当る(町田ほか,1984).本テフラは約9.3kaの放射性炭素年代をもち,完新世初期の海水準,古気候のほか,対馬暖流の流入などの諸問題を解く上できわめて重要な鍵層である(新井ほか,1981).なお図4上部のK-Ahは保存程度があまりよくないが,縄文前期羽島下層Ⅱ式土器および北白川下層Ⅱ式土器の包含層より下位にある.

また鳥浜から約3km北方にある三方五湖の一つ水月湖の試錐コアでも, 湖底から11~12mの深さに本テフラが挟まれていること,およびこの堆積物には年縞が認められ,その枚数を計測した結果,AD1995年より10,738年前であることが報告された(福沢,1995,図5).

文献:新井ほか(1981),福沢(1995),町田(1981),町田ほか(1984)

鳥浜貝塚の位置とU-Oki,K-Ah,縄文土器の層位関係
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図中文字(日本語)

図1; 2.5万分の1『三方』(宮津3号-2); 鳥浜; 三方; 三島; 北前川; 小浜線; 2; 9 cm; 0; 50; 100; K-Ah glass; ○ sample; sand & gravel; shell bed; silt; U-Oki; K; D; n.a.; H; O; I.J. K,北白川下層Ⅱ式土器;D,丸木舟;n.a.,無遺物;H,羽島下層Ⅱ式土器;O,押型文土器;I.J.,縄文草創期土器 左柱状図:上から-,-,-,-,-,-,-,-(8点) 右柱状図:上から+,+,+,+,+,++,++,+++,++,++++,++++(11点)

English translation

Figure 1; 1:25,000 “Mikata” (Miyazu No. 3-2); Torihama; Mikata; Mishima; 北前川 [reading unverified]; Obama railway; 2; 9 cm; 0; 50; 100; K-Ah glass; ○ sample; sand & gravel; shell bed; silt; U-Oki; K; D; n.a.; H; O; I.J. K, Kitashirakawa Lower II-type pottery; D, dugout canoe; n.a., no artifacts; H, Hashima Lower II-type pottery; O, impressed-pattern pottery; I.J., Incipient Jomon pottery Left column, top downward: −, −, −, −, −, −, −, − (8 points). Right column, top downward: +, +, +, +, +, ++, ++, +++, ++, ++++, ++++ (11 points).

図1 2.5万分の1『三方』(宮津3号-2)

図2 縄文土器とテフラ(U-Oki,K-Ah)との層位関係を示す模式的断面(町田ほか,1984).K-Ahの火山ガラスの含量を+-で示してある.

WS-3-2(続き)

掘削壁の薄いU-Oki火山灰層
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図中文字(日本語)

←U-Oki; 9 30

English translation

←U-Oki; 9 30

判読上の注記

写真右下の日付 — 左側の年・月部分は不鮮明で読み切れない。

図3 鳥浜貝塚のU-Oki

0~200cm目盛でK-Ah,砂・粘土・泥層,U-Oki,縄文土器を示す柱状図
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図中文字(日本語)

0cm; 100; 200; K-Ah; 粘土; 砂層; 押型文土器; 泥層; U-Oki; 縄文草創期土器

English translation

0cm; 100; 200; K-Ah; clay; sand layer; impressed-pattern pottery; mud layer; U-Oki; Incipient Jomon pottery

図4 鳥浜貝塚の地層総合柱状図

4本の水月湖コアの対比,深度,テフラ,年縞,気候期の疑問付き層準
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図中文字(日本語)

SGP2; SGP3; SGP4; SGB; Core Depth and Core Name of SGB K-Ah; U-Oki; Sakate; hiatus; ?; Younger Dryas?; Older Dryas?; Last Glacial Maximum?; 1m SG11: 8.95m–9.97m; SG12: 9.97m–10.45m; SG13: 10.45m–11.33m; SG14: 11.33m–12.25m; SG15: 12.25m–13.17m; SG16: 13.17m–14.08m; SG17: 14.08m–14.98m; SG18: 14.98m–15.89m; SG19: 15.89m–16.80m; SG20: 16.80m–17.71m; SG21: 17.71m–18.60m; SG22: 18.60m–19.39m tephra layer; upward fining silt layer; silty clay layer; mudflow layer including organic debris; organic debris; non-recovery horizons; siderite-rich varve horizon; joint positions of core sampler

English translation

SGP2; SGP3; SGP4; SGB; Core Depth and Core Name of SGB K-Ah; U-Oki; Sakate; hiatus; ?; Younger Dryas?; Older Dryas?; Last Glacial Maximum?; 1m SG11: 8.95m–9.97m; SG12: 9.97m–10.45m; SG13: 10.45m–11.33m; SG14: 11.33m–12.25m; SG15: 12.25m–13.17m; SG16: 13.17m–14.08m; SG17: 14.08m–14.98m; SG18: 14.98m–15.89m; SG19: 15.89m–16.80m; SG20: 16.80m–17.71m; SG21: 17.71m–18.60m; SG22: 18.60m–19.39m tephra layer; upward fining silt layer; silty clay layer; mudflow layer including organic debris; organic debris; non-recovery horizons; siderite-rich varve horizon; joint positions of core sampler

図5 水月湖の湖底堆積物コアの柱状図(福沢,1995)

WS-4-1 青森県二ノ倉ダム周辺の十和田八戸・大不動火砕流堆積物

町田洋

十和田カルデラの形成に主に関わったと考えられるのは,十和田八戸テフラ(To-H)と大不動テフラ(To-Of)である.これらはともに同規模(体積約50km³)の大型テフラで,降下軽石を伴う火砕流堆積物からなる.この付近の火砕流台地はこれらの複合で形成されている.また十和田カルデラはこれら以外にも多数の大規模テフラを噴出した.本露頭では,上位に載るTo-Hも下位のTo-Ofも谷を厚く埋め台地をつくる火砕流堆積物の直下に,先駆した降下軽石層(厚さそれぞれ250cm,55cm)が見られる(図2).これらの降下軽石は十和田テフラ群の模式地である八戸北方の台地(高館など)では,八戸軽石(HP)とビスケット1(BP1)と呼ばれたテフラにあたる.HPは火山灰,火山豆石に富むテフラで(早川,1983),BP1も下部は軽石層だが,上部は降下火山灰層となる.To-HとTo-Ofとは岩質的には似ているが,To-Ofの方がより珪長質であることと,To-HにはTo-Ofにみられない角閃石斑晶を含むことで識別できる.なおTo-Ofにはバブル型火山ガラスが少量含まれる.

To-Hは亜寒帯性針葉樹林を埋没破壊したことが,この付近の火砕流堆積物中に多量の炭化材がみられることから明らかである.その材の従来の放射性炭素年代は10.4~14kaと分散しているが,最近の加速器質量分析計による測定では, 12.65kaと求められ,かつ秋から春までの間に噴火が起きたことが分かった(寺田ほか,1994).一方,三陸沖(宮古の東300km)のピストンコアKH77-1-6のコア中には,To-Ofのco-ignimbrite ashと同定されるテフラが,支笏第1テフラと同定されるものの72cm上位にある(青木,1996).また八戸付近では,BP1とBP2との間の火山灰土中にATと同定された火山ガラスがある. したがって, To-OfはATとSpfa-1に挟まれる層準(後者に近い)にある. このテフラの従来の放射性炭素年代は,20kaから>33kaと分散し決定し難いが(町田・新井,1992),多分より古い値に近いと思われる.

なおTo-Hの堆積面上には,更新世末期から平安時代までのテフラ層が載っている(図3).それらのうち,最下部のテフラは他のテフラと異なり,1回の噴火でもたらされたものではなく,多数のスコリア・火山灰群(To-Nk)からなる.これは十和田カルデラ中湖火口西南部にある小型の五色岩成層火山体が形成された時に噴出したものとみられる.噴出時代は10~13ka,繩文早期文化層に覆われる.この上には土壌を挟んで,十和田南部テフラ(To-Nb),十和田中掫テフラ(To-Cu),十和田bテフラ(To-b),十和田aテフラ(To-a)の順に重なっている.To-Nbは繩文早期,To-Cuは縄文前期の指標テフラで,後者の分布はTo-aに似て東北地方一帯に広い.

文献:青木(1996),早川(1983),Hayakawa(1985),町田・新井(1992),寺田ほか(1994)

二ノ倉ダムの南西と北側に示した露頭位置
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図中文字(日本語)

図1; 5万分の1『田子』(八戸14号-2); 二ノ倉ダム; 羽井内; 迷川; 590; 398; 340.0; 375.1; 371.2; 502.9; 517.3; 468

English translation

Figure 1; 1:50,000 “Takko” (Hachinohe No. 14-2); Ninokura Dam; 羽井内; 迷川 [readings unverified]; 590; 398; 340.0; 375.1; 371.2; 502.9; 517.3; 468

図1 5万分の1『田子』(八戸14号-2)

WS-4-1(続き)

谷を埋めるTo-OfとTo-H,その直下のTo-BP1とTo-HP
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図中文字(日本語)

To-H; To-HP; To-Of; To-BP1

English translation

To-H; To-HP; To-Of; To-BP1

図2 2枚の大規模十和田テフラ

To-Hを覆う湾曲したTo-Nk,To-Nb,To-Cuの成層した露頭
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図中文字(日本語)

To-Cu; To-Nb; To-Nk; To-H

English translation

To-Cu; To-Nb; To-Nk; To-H

図3 ▲印地点の露頭写真(Hayakawa,1985所載)

WS-5-1 志布志港における姶良カルデラ噴出の大規模テフラ

町田洋

姶良カルデラが約24kaに噴出した大規模テフラは,南九州一円でシラス台地の大部分を作っている.模式地はテフラのメンバーごとに異なるが,ここでは基本的なメンバーが古くから露出し,将来も消滅しないと思われる志布志港東側の崖を選んだ(図1,2).下部の成層した軽石層が大隅降下軽石(A-Os),中上部の逆級化する火砕流堆積物が入戸火砕流堆積物(A-Ito)である.これらの分布は図3に示す.A-Osは日本の降下軽石のうち最大級の一つで,体積約100km³,分布主軸は現在の桜島付近から東南ないし東南東方向である.風上側にも分布するのは,巨大な噴煙の傘が生じたことを示唆する.A-Os噴出の後,妻屋火砕流(A-Ts)と呼ばれる水蒸気マグマ噴火による細粒テフラからなるテフラが噴出した. A-Itoは体積約200km³もの大火砕流の堆積物で,南九州を広く覆い,シラス台地の大部分を形成する.いずれも輝石流紋岩質で,メンバーに関わりなくきわめて均質である.

A-Itoの噴火時に大気中に噴出したバブル型火山ガラスを主とする火山灰は,日本列島とその周辺地域に広く分布し,姶良Tnテフラ(AT)と呼ばれ,後期更新世の諸問題を考察する上に鍵層の一つとして多用される(町田・新井,1976).九州でこのテフラが認められるのは,A-Itoの分布の縁のあたりから外側の地域で,厚さ1m弱のガラス質火山灰層としてどこまでも追跡できる.志布志周辺でもA-Itoの最上部に,降下堆積したATの一部の可能性がある火山灰層(一部で火山豆石を含む)がある.

本露頭の東側では,A-Osの下位の諸テフラ層が観察できる(図4).

それらは上位から姶良岩戸テフラ(A-Iw;薄層,宮崎平野で明確な指標層となる),姶良福山テフラ(A-Fk;角閃石に富む),鬼界葛原テフラ(K-Tz;ピンク色に風化したガラス質火山灰)、阿多テフラ(Ata)である.これらのうちAtaは,本体が溶結凝灰岩で,その上に風化しているが火山豆石からなるテフラ(多分Ataのco-ignimbrite ash)が載る.

志布志港東側の海食崖の露頭位置
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図中文字(日本語)

5万分の1『志布志』(宮崎16号); 田畦敷; 大性院; 帖; 宇都; 西谷; 沢目; 若宮; 宝満; 志布志屋敷; 天神; 向川原; 有明; 関屋; 小西; 大黒; 新町; 内田; 59.6; 66.8; 36.6; 50.4; 9.9

English translation

1:50,000 “Shibushi” (Miyazaki No. 16); 田畦敷; 大性院; 帖; 宇都; 西谷; 沢目; 若宮; 宝満; 志布志屋敷; 天神; 向川原; 有明; 関屋; 小西; 大黒; 新町; 内田 [local place-name readings unverified]; 59.6; 66.8; 36.6; 50.4; 9.9

図1 5万分の1『志布志』(宮崎16号)

成層したA-Osを覆う厚いA-Itoの海食崖
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図中文字(日本語)

図2; A-Ito; A-Os

English translation

Figure 2; A-Ito; A-Os

図2

WS-5-1(続き)

文献:Aramaki and Ui(1966),町田・新井(1976,1992)

南九州のA-Os等厚線と入戸・妻屋火砕流の分布
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図中文字(日本語)

6cm; 12; 25; 50; 100; 200; 400; 400; 800; >0; 鹿児島; 桜島; 宮崎; 32°; 31°; 131°; 0; 30km

English translation

6cm; 12; 25; 50; 100; 200; 400; 400; 800; >0; Kagoshima; Sakurajima; Miyazaki; 32°; 31°; 131°; 0; 30km

図3 大隅降下軽石(A-Os)の等層厚線と妻屋および入戸火砕流堆積物(A-Tm,A-Ito)などの分布

点:入戸火砕流(A-Ito),横線:妻屋火砕流(A-Tm),斜線:大隅降下軽石(A-Os)と同時の火砕流堆積物

町田・新井(1992)

Ata溶結凝灰岩の上にK-Tz,A-Fk,A-Iw,A-Osが重なる露頭
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図中文字(日本語)

図4; A-Os; A-Iw; A-Fk; K-Tz; Ata

English translation

Figure 4; A-Os; A-Iw; A-Fk; K-Tz; Ata

図4

WS-5-2 四国南西部における姶良Tnテフラと鬼界アカホヤテフラ

町田洋

姶良Tnテフラ(AT)と鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)は,後期更新世と完新世を代表する広域テフラとして,西日本ではどこでも見い出すことができるが,これら2層が伴って標式的に露出する場所はさほど多くない.本露頭は宿毛市の北西5kmに位置する好露頭である.上位のK-Ahは黄赤色をなし,下位のATは明るい黄色をなす.従来四国では赤オンヂ(オンヂ)と黄オンヂと呼ばれていた.両者の中間には崖錐堆積物が挟まれる.ATを詳しく観察すると,最下部の厚さ11cmの部分はきわめて細粒の火山灰からなるのに対して,その上の明黄色の厚い火山灰層は正級化をなす.とくにその最下部は斑晶および粗砂サイズの火山灰(軽石片もある)からなる.

中部から最上部にかけてはよく締まった細粒火山灰となる.このような成層構造は南九州から中国地方までの地域で観察できる.最下部の細粒火山灰の起源については諸説あったが,町田・新井(1992)は妻屋火砕流と同時の降下火山灰と解釈した.

その上の正級化する火山灰は入戸火砕流のco-ignimbrite ashである.

文献:町田・新井(1976,1992)

高知・愛媛県境の小川付近の露頭位置
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図中文字(日本語)

5万分の1『宿毛』(宇和島7号); 小川; 野地; 東台地; 草木藪; 63; 62.12; 38.0; 25; 302.8

English translation

1:50,000 “Sukumo” (Uwajima No. 7); Ogawa; 野地; 東台地; 草木藪 [readings unverified]; 63; 62.12; 38.0; 25; 302.8

5万分の1『宿毛』(宇和島7号)

崖錐堆積物を隔てたK-AhとATの模式露頭断面
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図中文字(日本語)

K-Ah; AT; 1m; P

English translation

K-Ah; AT; 1m; P

WS-5-3 富士山テフラ中の姶良Tnテフラ-神奈川県酒匂川沿い-

町田洋

関東平野南西部には富士火山と箱根火山の更新世のテフラが厚く堆積していることはよく知られている.とくに富士火山の降下スコリアはかなり頻繁に噴出・堆積したとみられ,その間に多くの遠隔地から飛来したテフラを保存している(御殿場市上柴怒田CB-16;小山町生土西沢WS-9-3の項参照).本露頭もその一つで,富士山から東に約30km離れた場所にあるため,給源に近接する富士山麓での成層したテフラ群と,100kmほど離れた東京周辺での無層理の層相をもついわゆる関東ローム層を結ぶ上で重要な意義がある.図のように,ここでは箱根新期火砕流堆積物の侵食面を覆って厚さ約10mの降下スコリア層が載る.スコリア層には大ざっぱな成層構造が見られるものの,目だったスコリア層の数は富士東麓のそれに比べると少ない.この中で鍵層となるのはATである.厚さ5-10cmの黄白色ガラス質火山灰層である.ここから東方の地域にいくと,スコリア質火山灰土(武蔵野ロームと立川ローム)は次第に薄くなっていくが,ATはどこでも確認できる.ただし,丹沢山地,大磯丘陵では,肉眼でATの層を見ることができるが,それらより東方では,一般にはスコリアを交えた明るい褐色の部分となり,実験室で試料を処理してルーペあるいは顕微鏡を用いて特徴的な火山ガラスを認定する必要がある.ただし,水成層に挟まれる場合には野外で5cm以上の厚さのガラス質火山灰層として観察できる.なお,本露頭の最上部には成層したスコリア質砂礫層がある.これは2.4~2.5kaに富士山大崩壊により流下した御殿場泥流堆積物である.

文献:町田・山崎(1995)

大口橋の酒匂川左岸露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『山北』(東京16号-4); 行沢; 班目; 75; 110

English translation

1:25,000 “Yamakita” (Tokyo No. 16-4); 行沢; 班目 [readings unverified]; 75; 110

2.5万分の1『山北』(東京16号-4)

ATを挟む古期富士テフラが箱根火砕流を覆い,最上部に御殿場泥流が載る模式断面
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図中文字(日本語)

御殿場泥流堆積物(Go-mf); 大口橋; 古期富士テフラ(立川ローム); AT; 箱根新期火砕流堆積物(TPfl); 酒匂川河床; 5m

English translation

Gotemba mudflow deposit (Go-mf); Oguchi Bridge; Older Fuji tephra (Tachikawa Loam); AT; Hakone younger pyroclastic-flow deposit (TPfl); Sakawa River bed; 5m

WS-5-4 関東平野における姶良Tnテフラ前後の植生変遷

辻誠一郎

姶良Tnテフラ(AT)の放射性炭素年代は近年のタンデム加速器質量分析法(AMS法)によると,約24kaに集中している。この時期では,日本各地の湖沼・湿原堆積物のボーリング試料の花粉分析から,落葉広葉樹から針葉樹の卓越へと生態系が大きく変動したことが明らかになりつつある.しかし,露頭でATを挟在する水成層が確認され,古環境資料が得られた地点は意外に少ない.ここで取り上げた関東平野中・南部のA・B2地点の露頭は,いずれも河川の護岸工事にともなって現れたものである.後述のように,A地点については辻(1992)が,B地点については遠藤ほか(1983)と鈴木ほか(1993)がそれぞれ花粉分析結果を報告しており植生が大きく変動していく様子が明瞭に捉えられた貴重な露頭であった(図2).B地点の位置図とテフラ層は本書のKT-7を参照されたい.

A地点は野川大橋付近の護岸工事の際に現れた.この露頭では,立川礫層を覆う厚さ約4mの泥炭・泥炭質堆積物・シルト・粘土からなる一連の堆積物が見られ,下位から上位へ河床から湿地へと堆積環境が変化したことが分かる.千葉ほか(1982)によれば野川泥炭層と呼ばれている.

野川泥炭層には,中央部の泥炭・泥炭質堆積物の下部にATが挟在し,

ATを含め計36層の降下テフラが識別された.大半のテフラは厚さ3cm前後で,黒色スコリアを主とするものであった.

野川大橋付近のA地点の露頭位置
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図中文字(日本語)

図1; 2.5万分の1『溝口』(東京7号-3)

English translation

Figure 1; 1:25,000 “Mizonokuchi” (Tokyo No. 7-3)

図1 2.5万分の1『溝口』(東京7号-3)

ATを基準とするA・B両地点の柱状図と花粉帯の対比
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図中文字(日本語)

B:茨城県土浦市下大島; m; 0; 1; 2; AT; 時期:Ⅲ,Ⅱ,Ⅰ; 0,50,100% A:東京都調布市入間; m; 0; 1; 2; 3; 4; 5; AT; 花粉帯・時期:CFI-Ⅳ—4,CFI-Ⅲ—3,CFI-Ⅱ—2,CFI-Ⅰ—1; 0,50,100% 柱状図:スコリア,火山ガラス・軽石,腐植土,褐色ローム,粘土,泥炭質堆積物,砂,礫,凝灰質シルト 花粉ダイアグラム:モミ属とツガ属,トウヒ属,マツ属,カラマツ属かトガサワラ属,コナラ属コナラ亜属,ハンノキ属,カバノキ属,その他の木本花粉

English translation

B: Shimo-oshima, Tsuchiura City, Ibaraki Prefecture; m; 0; 1; 2; AT; phases: III, II, I; 0, 50, 100% A: Irima, Chofu City, Tokyo; m; 0; 1; 2; 3; 4; 5; AT; pollen zones and phases: CFI-IV—4, CFI-III—3, CFI-II—2, CFI-I—1; 0, 50, 100% Stratigraphic column: scoria; volcanic glass and pumice; humic soil; brown loam; clay; peaty deposits; sand; gravel; tuffaceous silt Pollen diagram: Abies and Tsuga; Picea; Pinus; Larix or Pseudotsuga; Quercus subgenus Quercus; Alnus; Betula; other woody pollen

図2A,B両地点の総合花粉分析図と対比

柱状図凡例:スコリア,火山ガラス・軽石,腐植土,褐色ローム,粘土,泥炭質堆積物,砂,礫,凝灰質シルト.

花粉ダイアグラム凡例:モミ属とツガ属,トウヒ属,マツ属,カラマツ属かトガサワラ属,コナラ属コナラ亜属,ハンノキ属,カバノキ属,その他の木本花粉.

辻(1992)

WS-5-4(続き)

両地点の花粉化石群の変遷はおおむね類似しているが,B地点の下大島では模式的な変遷を見ることができる(遠藤ほか,1983).すなわち,コナラ亜属を主要素とする落葉広葉樹林期(②期),マツ属・トウヒ属などが卓越する針葉樹林期(④期),②期から④期への移行的性格をもつ混合林期(③期)に時期区分され,気候の冷涼・寒冷化に適応した生態系の変化を明瞭に読み取ることができる(図2).A地点の調布での変化も落葉広葉樹・針葉樹の量的変化に多少の違いはあるものの,変化の仕方はほぼ一致している.ここで注目すべきことは,AT前にゆるやかな針葉樹林化が開始し,AT降灰によって急激な針葉樹林化の2つの針葉樹林化が認められることで,水域に生息する珪藻化石群にも認められる急激な変動(図3)を合わせ考えると,ATをもたらした巨大噴火が生態系の攪乱を引き起こし,針葉樹林化という形で認められる変化の方向性を促進したと見られることである(図4;辻・小杉,1991).

文献:千葉ほか(1982),遠藤ほか(1983),鈴木ほか(1993),辻(1992),辻・小杉(1991)

AT前後の珪藻各群の絶対数と乾燥堆積物1g当たり殻数
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図中文字(日本語)

Eunotia; Pinnularia; Navicula contenta; Hantzschia amphioxys; Cymbella; Achnanthes lanceolata; Melosira ambigua; Cyclotella; Valve number per 1g of dry sediment; 0; 10; 10³; 10⁵; 10⁸; cm; 0; 5; AT; Peat; Tephra; 0; 10⁵; 10⁶; 10⁷ valve no./g

English translation

Eunotia; Pinnularia; Navicula contenta; Hantzschia amphioxys; Cymbella; Achnanthes lanceolata; Melosira ambigua; Cyclotella; Valve number per 1g of dry sediment; 0; 10; 10³; 10⁵; 10⁸; cm; 0; 5; AT; Peat; Tephra; 0; 10⁵; 10⁶; 10⁷ valve no./g

図3 B地点における珪藻化石群変遷.A:好酸性底生種群,B:好アルカリ性底生種群,C:浮遊性種群.辻・小杉(1991)

2.4万年前のAT降下と台地・谷底の植物群落交代
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図中文字(日本語)

10⁴ y.B.P.; 台地; 谷底; 2.2; 2.4; AT バラモミ節・チョウセンゴヨウ・カラマツ・モミ属・ツガ属からなる冷温帯針葉樹林 イネ科やワレモコウ属の群落; チョウセンゴヨウ林; シナノキ属林; コナラ亜属林; カヤツリグサ科湿地; ハンノキ湿地林

English translation

10⁴ y.B.P.; upland; valley floor; 2.2; 2.4; AT Cool-temperate coniferous forest comprising Baramomi-section spruce (バラモミ節), Korean pine, larch, Abies, and Tsuga. Communities of Poaceae and Sanguisorba; Korean-pine forest; Tilia forest; Quercus-subgenus forest; Cyperaceae wetland; Alnus wetland forest.

図4 AT降下前後の植生変遷.辻・小杉(1991)

WS-6-1 北海道白糠におけるクッチャロ庶路テフラ

町田洋

北海道東部に広く分布するテフラの一つに,クッチャロ庶路テフラ(Kc-Sr)と呼んだものがある.これは従来のクッチャロ1火砕流堆積物(勝井・佐藤,1963)とそれに伴う降下火山灰である.北海道東部にはこのテフラを観察する露頭が多いが,本露頭は降下火山灰が独立に認識できること,下位のテフラとの関係がよくわかることから模式地の価値がある.

ここでは,海成段丘堆積物(最終間氷期)の上に厚さ約4.5mのテフラが載る.主要な指標テフラは下位からクッチャロ4火砕流堆積物(Kc-4;Kc-Hbテフラの主要構成物),阿蘇4テフラ(Aso-4),クッタラ8テフラ(Kt-8),支笏第1テフラ(Spfa-1),そしてクッチャロ庶路テフラである.Kc-Srは黄白色で,輝石流紋岩~デイサイト質の軽石型火山ガラスを主体とする(少量のバブル型ガラスを含む).これはおそらくクッチャロ1火砕流堆積物のco-ignimbrite ashであろうが,一連の噴火の初期に起ったマグマ水蒸気噴火の産物である可能性もある.噴火年代については火砕流堆積物中の炭化木片の放射性炭素年代やSpfa-1との層位関係から30~32kaと考えられているが, もう少し古くなる可能性もある.一般にSpfa-1とともにはげしいインボルーションを受けているが,本露頭では下位のSpfa-1に比べて本テフラのそれは顕著ではない.なおクッチャロ1火砕流堆積物については,小清水や斜里の露頭など(WS-6-2,WS-9-4,HK-6など)で記されるので,参考にされたい.

文献:勝井・佐藤(1963),Arai et al.(1986)

庶路駅北東の採取場露頭位置
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図中文字(日本語)

5万分の1『白糠』(釧路15号); 根室本線; 庶路; 65; 54

English translation

1:50,000 “Shiranuka” (Kushiro No. 15); Nemuro Main Line; Shoro; 65; 54

5万分の1『白糠』(釧路15号)

大楽毛層の上にKc-4,Aso-4,Kt-8,Spfa-1,Kc-Srが重なる断面
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図中文字(日本語)

Kc-Sr; Spfa-1; Kt-8; Aso-4; Kc-4(pfl); 炭化材; 大楽毛層; 基盤; 5m

English translation

Kc-Sr; Spfa-1; Kt-8; Aso-4; Kc-4(pfl); charred wood; Otanoshike Formation; basement; 5m

WS-6-2 北海道小清水周辺の屈斜路火砕流堆積物I

奥村晃史

屈斜路火砕流堆積物Ⅰ(KPⅠ)は,クッチャロ庶路テフラ(KSrまたはKc-Sr)を同時に噴出させた大規模な珪長質火砕流堆積物で,屈斜路カルデラの西から北側約50kmの範囲に主に分布し,その一部は根室水道に達している[略称は奥村(1991)に従う.K.P.flowI:勝井・佐藤(1963);クッチャロI,Kc-1:町田・新井(1992)].小清水市街西方1kmの露頭(Loc.1)では,KPⅣ(WS-16-1)からKpfa-2(屈斜路降下軽石-Ⅱ:勝井・佐藤,1963)までのテフラが作る丘陵の開析谷にKPⅠ-KSrが堆積している.ここでは,火砕流の堆積に先立って厚さ約20cmの降下火山灰・軽石互層が不整合面を覆い,これに続いて火砕流が谷を埋めて堆積している.この露頭では最下部の火砕流堆積物(厚さ5m以上)の上に粗粒な軽石(15cm),火山豆石を含む淘汰のよい火山灰(1m前後),火砕流堆積物の順で堆積している.一方小清水東方5km,南11号8~9線(Loc.2)では,厚さ5m以上の火砕流堆積物を覆って粗粒(粒径10~20cm)な軽石と,一部に火山豆石を含む淘汰の良い火山灰の互層が3~5mの厚さで堆積している.以上のテフラユニットのうち,最初に噴出した降下火山灰・軽石互層は小清水・斜里周辺で普遍的に認められ,東方(WS-7-3)に層厚を増す降下テフラの特徴を示す.火砕流堆積物に挟まれる火山灰と軽石の噴出・堆積の機構および分布は明らかでないが,以上の岩相変化からみてKPⅠ-KSrの噴火では繰り返し激しいマグマ水蒸気爆発が起こって, co-ignimbrite ashを発生させた可能性が高い.KSrは火砕流堆積物直下の降下テフラとco-ignimbrite ashから構成されるとみられる.

文献:勝井・佐藤(1963),町田・新井(1992),奥村(1991)

小清水町の西側と東側にある2つの模式露頭
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図中文字(日本語)

Loc.1; Loc.2; 小清水; 南九号; 南十一号; 54; 65; 5万分の1『小清水』(斜里9号); 5万分の1『斜里』(斜里5号)

English translation

Loc.1; Loc.2; Koshimizu; Minami 9-go; Minami 11-go; 54; 65; 1:50,000 “Koshimizu” (Shari No. 9); 1:50,000 “Shari” (Shari No. 5)

5万分の1『小清水』(斜里9号);5万分の1『斜里』(斜里5号)

KPⅠ-KSrの谷埋めと降下火山灰・軽石・火山豆石の反復
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図中文字(日本語)

Loc.1: 2m; 0; Kpfa-2; Kpfa-3; KPII/III; Aso-4; Kpfa-4; Kpfa-5; KPIV; KP I-KSr; massive pyroclastic flow; ash and accretionary lapilli; coarse pumice clasts; massive pyroclastic flow; alternation of ash and pumice falls. Loc.2: 2m; 0; Yambetsu Pfa; ash and pumice dune; ash and accretionary lapilli; coarse pumice clasts; massive pyroclastic flow; KP I-KSr. Loc.1(小清水市街西方)のKPⅠ-KSr基底部;Loc.2(小清水南11号8–9線)のKPⅠ-KSr最上部

English translation

Loc.1: 2m; 0; Kpfa-2; Kpfa-3; KPII/III; Aso-4; Kpfa-4; Kpfa-5; KPIV; KP I-KSr; massive pyroclastic flow; ash and accretionary lapilli; coarse pumice clasts; massive pyroclastic flow; alternation of ash and pumice falls. Loc.2: 2m; 0; Yambetsu Pfa; ash and pumice dune; ash and accretionary lapilli; coarse pumice clasts; massive pyroclastic flow; KP I-KSr. Basal KP I–KSr at Loc. 1 west of central Koshimizu; uppermost KP I–KSr at Loc. 2, Koshimizu Minami 11-go, 8–9-sen.

Loc.1(小清水市街西方)のKPⅠ-KSr基底部

Loc.2(小清水南11号8–9線)のKPⅠ-KSr最上部

WS-7-1 北海道早来町美々における支笏第1テフラとその上位の諸テフラ層

町田洋・山縣耕太郎

支笏第1テフラは大規模火砕流堆積物(Spfl)とそれに先行する降下軽石(支笏第1軽石;Spfa-1)を主体とするもので,後者は北海道中部から東部一帯を覆い,広域指標テフラとして編年に役立ってきた.本露頭は支笏カルデラの縁から東に25km離れた,主にテフラからなる台地にあり,このテフラとその上に載る恵庭・樽前火山が噴出したテフラが美しい縞模様を描いている.この台地は浅い谷に刻まれ,近くの谷頭に美々の貝塚がある.現在この露頭は大部分植栽されたが,同様の露頭はこの付近にいくつかある.基底にある降下軽石は厚さ6mに達し,日本のプリニアン軽石の中で最大規模のテフラの一つである.これは角閃石・輝石流紋岩質のテフラでよく発泡した絹糸光沢をもつ白色・桃色の軽石からなる.角閃石,斜方輝石ともに鉄分に富み,屈折率が特徴的に高い.火砕流堆積物の大部分は降下軽石と同質であるが,その上部はやや苦鉄質となり,スコリア流堆積物に変わるところがある.かつてこの近くでこのテフラで埋没し炭化した森林が報告された(勝井,1958).Spfa-1中では直立した樹幹(本露頭にもある)が,Spfl中では折れ倒伏していた.炭化木片は何度も放射性炭素年代が測られ,31~40kaと幅広い値が報告された.多分40kaに近いのであろう(加藤ほか,1995).この噴火当時からその後にかけて寒冷な気候下におかれていたことは,埋没植生のみならずSpfa-1が各地ではげしい凍結擾乱作用をうけていることから論じられるが,噴火年代が海洋同位体編年のステージ4まで遡るかどうかは, 本テフラを含む海洋底堆積物について資料を得て論じる必要がある.

支笏第1テフラの上に載るテフラのうち恵庭a(En-a)は,15~17kaの放射性炭素年代をもつ最終氷期最盛期(ステージ2)の指標テフラで,日高山地の氷河地形・堆積物,十勝平野の河成段丘研究に役立ってきた.樽前d(Ta-d)は縄文早期の,樽前c(Ta-c)は繩文晩期の各指標層である.樽前b,a(Ta-b,a)はそれぞれ1667,1739年の降下テフラである.いずれも火砕流が伴われるが,ここまでは到達しなかった.Ta-cとTa-bとの間の火山灰土には,白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)がパッチ状に認められる.

文献:勝井(1958,1959),加藤ほか(1995)

千歳南東の美々露頭の位置
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図中文字(日本語)

5万分の1『千歳』(札幌8号); 美々; 美々川; 御前水; 富岡; 千歳線; 22.60; 22.7; 3.76; 7.80; 26.5

English translation

1:50,000 “Chitose” (Sapporo No. 8); Bibi; Bibi River; Gozen-sui (御前水); Tomioka; Chitose railway; 22.60; 22.7; 3.76; 7.80; 26.5

5万分の1『千歳』(札幌8号)

WS-7-1(続き)

厚いSpfa-1とSpflを覆うEn-aと樽前テフラ,B-Tmの層準
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図中文字(日本語)

Ta-a,b; Ta-c; Ta-d; En-a (>1m); Spfl (7–8m); Spfa-1 (>6m); 20cm; Ta-a; Ta-b; B-Tm; Ta-c

English translation

Ta-a,b; Ta-c; Ta-d; En-a (>1m); Spfl (7–8m); Spfa-1 (>6m); 20cm; Ta-a; Ta-b; B-Tm; Ta-c

厚い支笏第1軽石と火砕流の上に成層したテフラが載る工場用地の崖
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図中文字(日本語)

Ta-a,b; Ta-c; Ta-d; En-a; Spfl; Spfa-1; 鈴木正章撮影

English translation

Ta-a,b; Ta-c; Ta-d; En-a; Spfl; Spfa-1; photograph by 鈴木正章

鈴木正章撮影

WS-7-2 十勝平野の化石周氷河現象と支笏第1テフラ

平川一臣

十勝平野の段丘地形を覆うテフラ層は凍結・融解にかかわる擾乱を受けていることが知られ,それらの構造はインボリューション,クリオタベーションあるいはまとめて化石周氷河現象と呼ばれている.それらの観察には道路工事の際の法面など新鮮な露頭が必要である.本露頭では支笏第1テフラ(Spfa-1),恵庭aテフラ(En-a),樽前dテフラ(Ta-d)が見られ,前2テフラ層が擾乱を受けている.Spfa-1テフラの擾乱は典型的な例で,様々なタイプの変形が見られる.いっぽう,En-aテフラは上位層への貫入は少なく,地層全体がたわんでいる.擾乱の時期については,Spfa-1層はほとんどEn-a層準に達しており,その擾乱はEn-a降下前後まで続いたか,その頃生じたかのどちらかであって,Spfa-1の降下時ではない.最近,Spfa-1テフラは42ka(柳田,1992),En-aは18ka(加藤,1994)のC-14年代が得られている.さらに十勝平野では,下位のクッタラ第1(Kt-1),第3(Kt-3),支笏第7~10(Spfa-7~10)までのテフラ層にはSpfa-1と同様に顕著な化石周氷河現象が発達する.これらの化石周氷河現象は直接の証拠にはならないが.ほかのタイプの化石周氷河現象と併せると,十勝平野では最終氷期の最寒冷期に永久凍土が発達したと考えられる.

文献:平川(1984),加藤(1994),柳田(1992)

栄8号2線の道路沿い露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『上帯広』(帯広16号-3); 八号; 九号; 127; 123; 131; 134; 142

English translation

1:25,000 “Kamiobihiro” (Obihiro No. 16-3); 8-go; 9-go; 127; 123; 131; 134; 142

2.5万分の1『上帯広』(帯広16号-3)

段丘礫を覆うSpfa-1,En-a,Ta-dと不規則に変形したSpfa-1
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図中文字(日本語)

Ta-d; En-a; Spfa-1; Terrace gravel; m; 0; 1; 2; 3; 4; 5; 6; 0; 5; 10; 15; 20; 25; 30; 35; 40; 45; a; a′; ?

English translation

Ta-d; En-a; Spfa-1; Terrace gravel; m; 0; 1; 2; 3; 4; 5; 6; 0; 5; 10; 15; 20; 25; 30; 35; 40; 45; a; a′; ?

WS-7-3 斜里平野東部における支笏第1テフラと屈斜路火砕流堆積物I

奥村晃史

地名:北海道斜里町朱円 緯度・経度:N43°53′34″ E144°45′08″ 標高:25m 露頭種別・現況:人工露頭,不明 堆積物の種別と年代:降下テフラ,更新世後期 記載時期:1985年8月 キーワード:斜里平野,屈斜路火砕流堆積物I,インボリューション

支笏第1テフラ(Spfa-1)は石狩低地帯と十勝平野において1970年代から広域テフラとして対比されていた.奥村ほか(1985),Arai et al.(1986)は,これが北海道東部まで追跡できて,屈斜路火砕流堆積物I―屈斜路庶路火山灰(KP I-Kc-Sr;WS-6)直下に存在することを明らかにした(略称は奥村,1991に従う).北海道東部に分布するSpfa-1は,西方のプリニアン噴火の軽石をそのまま粒径を小さくしたような軽石型の火山ガラスから構成され,球殻状の気泡壁型ガラスを主体とする他の広域テフラにはない特徴をもつ.給源周辺でSpfa-1を特徴づける角閃石斑晶はほとんど含まれず,斜方輝石の屈折率も屈斜路系のテフラと類似するが,火山ガラスの化学組成は北海道東部のテフラとは異なり,模式地のSpfa-1と完全に一致する(奥村,1991).斜里町朱円の露頭の下半は,屈斜路火山起源と見られる降下軽石・スコリア層と火山灰土の互層が周氷河作用による激しい擾乱を受けている.Spfa-1は擾乱を受けたテフラ層の上部で大きく波打つように変形する黄白色の粗しょうな火山灰で,層厚も0~20cmの範囲で変化する.この火山灰土層を覆ってKP I噴火の初期に噴出した火山灰と軽石の互層が堆積している.火山灰は細かく破砕された火山ガラスを主体として火山豆石を多量に含んでおり,KP Iの噴出に先立って大規模なマグマ水蒸気爆発が起こったことを示している(WS-6).その上位にはKP Iの火山ガラスと軽石片を主体とする火山灰土が堆積しており,風成二次堆積を示す斜交葉理も認められる.KP I層準とその上位の止別降下軽石(佐藤,1968)は堆積後ほとんど擾乱を受けておらず,Spfa-1層準の激しい擾乱と対照的である.

文献:Arai et al.(1986),奥村(1991),奥村ほか(1985),佐藤(1968)

朱円付近の露頭位置を矢印で示す地形図。
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図中文字(日本語)

5万分の1『斜里』(斜里5号);5万分の1『峰浜』(斜里1号)。朱円西,朱円,朱円東,ストーンサークル,幹線,道六号,東一線,東二線。可読数値:33.4,34.7,32,19.8。

English translation

1:50,000 Shari (Shari sheet 5); 1:50,000 Minehama (Shari sheet 1). Shuen West; Shuen; Shuen East; stone circle; trunk line; Road No. 6; East Line 1; East Line 2. Legible numerical labels: 33.4, 34.7, 32, 19.8.

判読上の注記

地図内の微細な文字と数値 — 一部は解像度が低く確実に読めない。

図中文字・英訳データ
変形したSpfa-1とその上位の火山灰・軽石層を示す露頭写真。
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図中文字(日本語)

KPI afa/pfa;Spfa-1;Yambetsu Pfa;(新井房夫氏撮影)。

English translation

KPI afa/pfa; Spfa-1; Yambetsu Pfa. Photograph by Fusao Arai.

図中文字・英訳データ
止別降下軽石から変形したSpfa-1以下までの柱状図と岩相凡例。
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図中文字(日本語)

凡例:表土,軽石,火山灰,風成砂,火山灰土。上から:止別降下軽石;KP Iの風成二次堆積物;KP-I噴火初期の降下火山灰/軽石互層;Spfa-1。スケール:2m,0。

English translation

Legend: topsoil; pumice; ash; aeolian sand; volcanic-ash soil. From top: Yambetsu pumice fall; secondary aeolian deposits of KP I; alternating ash and pumice falls from the early KP-I eruption; Spfa-1. Scale: 2 m, 0.

WS-8-1 大山東麓関金町大山池における大山倉吉テフラとその上下のテフラ層

町田洋

地名:鳥取県関金町大山池 緯度・経度:N35°22′21″ E133°43′33″ 標高:200m 露頭種別・現況:溜め池の崖,現存 堆積物の種別と年代:降下軽石,更新世後期 記載時期:1981年 キーワード:大山倉吉テフラ,大山関金テフラ,大山生竹テフラ,姶良Tnテフラ,大山蒜山テフラ,大山松江テフラ,三瓶木次テフラ,大山笹ヶ平テフラ,大山東大山テフラ,大山火山

大山倉吉テフラは当初倉吉市駄経寺や秋喜などにみられる厚い1枚の降下軽石層について記載された.しかし倉吉から南の関金町に行くと,外見が似た風化した厚い降下軽石層が何枚も現われ,それらを互いに区別する必要がある.そこでここでは関金町大山池の露頭を模式地として選ぶ.ここは灌漑用の溜め池のため,低水位の時期のみに観察できる.なおこの付近にはここと同様の露頭は少なくない.姶良Tnテフラ(AT;厚さ20cmの黄白色ガラス質火山灰)の下に3枚の互いによく似た黄橙色軽石層が重なっている.このうち最上位のものが大山倉吉テフラ(DKP)である.これは黒雲母含有輝石角閃石デイサイト質のテフラであるが,軽石は粒形は保持するもののほとんど風化し,火山ガラスは得られない.北陸以遠の遠隔地におけるDKPは,鮮黄色の細粒軽石層で,風化のため斑晶量が多い.信州で白ゴマや黄ゴマなどと呼ばれているのも,こうした組成上に基づく特徴である.斜方輝石は(100)面がよく発達した短冊状をなす.この下位にある大山関金テフラ(DSP)や大山生竹テフラ(DNP)もよく似た斑晶組み合わせのテフラであるが,斜方輝石や角閃石の屈折率や晶癖などの点で区別される(町田・新井,1979).DKPの噴出年代が直接求められたものはわずかだが,他の測年されたテフラとの層位関係からおよそ50kaと考えられている.東関東や信州高野の露頭(WS-8-3,WS-9-2)などを参考にされたい.

本露頭ではATの上にあるテフラの保存はあまり良好ではないが,AT直上には,薄いが広く分布する火砕流堆積物をもつ大山笹ヶ平テフラ(DSs)と成層した大山東大山テフラ(DHg)などがみられる.またDKPの下位で,DNPと大山蒜山テフラ(DHP)や大山松江テフラ(DMP)との間には,霜降り状の白色軽石や石英斑晶をもつ三瓶木次テフラ(SK)が肉眼で識別できる(津久井・柵山,1981).またSKの上位の風化火山灰土からはK-TzとAso-4の火山ガラスが検出できる.このようにここでは大山起源のテフラと三瓶山および九州起源の広域テフラとの層位関係がわかる.

文献:町田・新井(1979),津久井(1984),津久井・柵山(1981)

大山池の露頭位置を示す地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『泰久寺』(松江4号-2)。大山池,泰久寺,倉吉線,歩道,大明神。233。

English translation

1:25,000 Taikyuji (Matsue sheet 4-2). Daisen Pond; Taikyuji; Kurayoshi railway line; footpath; Daimyojin (大明神). 233.

図中文字・英訳データ
大山池の斜面に重なる三つの厚い軽石層。
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図中文字(日本語)

DKP;DSP;DNP。

English translation

DKP; DSP; DNP.

図中文字・英訳データ
大山池のテフラ層序を深度目盛付きで示す柱状図。
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図中文字(日本語)

大山池のテフラ柱状図。深度:0,5,10 m。上から:DHg,DSs,AT,DKP,DSP,DNP,SK,DHP,DMP。

English translation

Tephra stratigraphic column at Daisen Pond. Depth: 0, 5, 10 m. From top: DHg, DSs, AT, DKP, DSP, DNP, SK, DHP, DMP.

WS-8-2 富山県常願寺川の河成段丘にのる大山倉吉および姶良Tnテフラ

町田洋

地名:富山県立山町天林(地点1),富山県立山町千垣(地点2) 緯度・経度:N36°35′37″ E137°20′03″(地点1),N36°34′23″ E137°22′28″(地点2) 標高:260(地点1),350m(地点2) 露頭種別・現況:道路脇,現存 堆積物の種別と年代:火山灰土,軽石,火山灰,更新世後期 記載時期:1995年7月 キーワード:大山倉吉テフラ,姶良Tnテフラ,上段段丘,粟巣野段丘,常願寺川

北アルプス立山連峰から流下する常願寺川は,河成段丘発達の模式地の一つとして従来から研究されてきた(藤井ほか,1966など).ここでは地形と堆積物に加えて広域指標テフラが河川の発達研究に役立っている.更新世後期の段丘のうち上段(うわだん)段丘と粟巣野(あわすの)段丘は発達がよい.いずれも顕著な堆積段丘で前者は下流扇状地に,後者は上流側山間部に急勾配の段丘として発達する.地点1は天林の上段段丘上に大山倉吉テフラ(DKP)以上がのることがわかるもので,道路から少し入った林の中にある.植生をかきわけて,丹念に礫層上50cm付近の褐色火山灰土を調べると,DKPは赤褐色を帯びた厚さ5cmパッチ状の細粒軽石層として識別できる.この上60cmの無層理火山灰土はDKP由来の土で,特徴的な晶癖をもった斜方輝石と角閃石,黒雲母がみられる.またその上には姶良Tnテフラ(AT)由来の火山ガラスが多量に含まれた土となる.ATの純層をみるには,地点2がよい.ここでは図2にみるように,細粒砂礫層の間に見事な白色のガラス質火山灰層として観察することができる.

地点2の堆積物は粟巣野から芦峅寺につづく段丘堆積物の最上部にあたる.なお,さらに上流の粟巣野段丘では,ATは砂礫層の上にかなり厚い褐色火山灰層として堆積している.このような知見から上段段丘はDKP噴火の前に,また粟巣野段丘はATに先立って多量の砂礫の流下にともなって形成されたことは明らかである.これらの堆積段丘の形成要因は気候・植生の変化に起因する広域的に共通するものか火山活動,山地崩壊の多発など局地的なものかは,重要な課題である.

文献:藤井ほか(1966),町田(1992)

天林と千垣の二地点を示す常願寺川沿いの地形図。
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図中文字(日本語)

5万分の1『五百石』(高山9号)。地点1,2。東中野,新,天林,新村,横江,岡田,尖山,千垣,座主坊。可読標高等:434,559.4,860,263,284.2。

English translation

1:50,000 Gohyakukoku (Takayama sheet 9). Sites 1 and 2. Map place labels: 東中野, 新, 天林, 新村, 横江, 岡田, 尖山, Chigaki (千垣), 座主坊. Legible elevations and other numbers: 434, 559.4, 860, 263, 284.2.

判読上の注記

地図内の天林付近の標高と微細な注記 — 小さく不鮮明で確定できない。

図中文字・英訳データ
左は上段段丘上のDKP、右は砂シルト層中の白色ATを示す写真。
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図中文字(日本語)

DKP→;天林の上段礫層上にのるDKP;千垣の砂シルト層(粟巣野段丘上)中に挟まれるAT。

English translation

DKP →; DKP resting on the Uwadann gravel bed at 天林; AT interbedded in sand and silt at Chigaki, on the Awasuno terrace.

WS-8-3 関東地方における大山倉吉テフラの層位―箱根東京テフラ直上に位置する大山倉吉テフラ―

鈴木毅彦

地名:茨城県出島村房中 緯度・経度:N36°3′57″ E140°19′28″ 標高:22m 露頭種別・現況:人工露頭,現存 堆積物の種別と年代:風成テフラ,更新世後期 記載時期:1996年6月 キーワード:霞ヶ浦,大山倉吉テフラ,箱根東京テフラ,赤城起源テフラ

大山倉吉テフラ(DKP)の噴出年代を決める上で関東地方でのその層位を明らかにすることはきわめて重要であった.それが確定されるまでやや複雑な過程をへている.当初DKPは北関東の赤城火山麓で榛名八崎テフラの下位,赤城湯ノ口テフラ(Ag-UP)の上位にあるとされた(町田・新井,1979).しかしこれは後に竹本(1984)によりAg-UPの下位にあると修正された.その後,鈴木(1990a)は,赤城火山周辺において,DKPの層位がAg-UPの下位にある赤城行川(なめかわ)第2テフラの下位,赤城水沼第1テフラの上位にあることを確かめた.このようにして北関東でのDKPの層位が詳しくなったが,DKPの分布南縁が群馬,栃木,茨城3県の南部付近をとおるので,南関東を中心に分布するテフラとの層位関係は不明であった.しかし,竹本(1991)はDKPが南関東の重要指標層である箱根東京テフラ(Hk-TP)最上部のマトリックス部分に混在していることを明らかにした.霞ケ浦の湖岸近くに位置する本露頭ではDKP,Hk-TPとも野外にて肉眼で明瞭に識別でき,両者の関係がよくわかる.地表から約260cm下に層厚1~2cmのDKPがパッチ状に産出し,その下に8cmの火山灰土を隔てて層厚5cmの細粒軽石からなるHk-TPが産する.ただし,両者を明瞭に識別できる場所は限られる.Hk-TPについては町田・鈴木(1971)の49±9ka(フィッション・トラック法),最近では中村ほか(1992)の50~55ka(¹⁴C法)の放射年代値がある.中村ほか(1992)はこの測定値と木曽川泥流堆積物との¹⁴C年代値をあわせてDKPの降下年代を50~52kaとしている.

文献:町田・新井(1979),町田・鈴木(1971),中村ほか(1992),鈴木(1990a),竹本(1984,1991)

房中の露頭全景、位置図とDKP・Hk-TPの接写を組み合わせた図。
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図中文字(日本語)

全景:NW,N,NE;拡大部分;火山灰土;砂層;1996年6月撮影。接写:DKP,Hk-TP。位置図:2.5万分の1『木原』(水戸12号-4);房中,八田;可読数値24.3,25.2,33.3,23.5。画像左上の本文断片は本文欄に収録済み。

English translation

Overview: NW, N, NE; enlarged area; volcanic-ash soil; sand bed; photographed June 1996. Close-up: DKP, Hk-TP. Map: 1:25,000 Kihara (Mito sheet 12-4); 房中, 八田. Legible numbers: 24.3, 25.2, 33.3, 23.5. The cropped prose at upper left is included in the main text.

判読上の注記

地形図の小さな文字・数値 — 不鮮明な箇所は読取りを確定できない。

WS-9-1 大分県九重火山南東の阿蘇4火砕流堆積物

小野晃司

地名:大分県直入郡直入町長湯南方県道傍の崖緯度・経度:N33°03′48″ E131°23′03″標高:460m露頭種別・現況:人工露頭,現存堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,更新世後期

記載時期:1996年3月キーワード:今市火砕流堆積物,阿蘇4火砕流堆積物

本露頭は九重火山の南東,長湯温泉の南300mの県道傍にある.北東に流れる芹川(大分川の支流)の南岸沿いに,今市火砕流堆積物(堆積物は以下略)の溶結凝灰岩を切る断層崖が10km以上にわたり連続している.阿蘇4(Aso-4)火砕流はこの崖の基部を不整合に覆い,芹川沿いに,南側の今市火砕流の台地面より約100m低い面を形成する.本露頭では,不整合面は露出していないが,Aso-4火砕流の基底に近い強溶結部から上部の弱―非溶結部まで,約100mの間に連続して観察できる.実は,この露頭は今市火砕流の基底より低い位置にあり,今市火砕流の下位の輝石安山岩の風化表面がAso-4以前の古芹川に向かって緩く傾いた面上を,Aso-4が覆っている.そのため,溶結凝灰岩の葉理面はつねに芹川に向かって北西に傾き,道沿いに南から北へ次第に上位へ,南端の強溶結部から北端の弱溶結部まで連続し,溶結度に応じて硬さが変わる(ハンマーの打撃音のピッチの変化).溶結凝灰岩は露頭全体を通じてほとんどガラス質であり,弱溶結部では扁平化した軽石が風化面で基質から突出して浮き上がっている(図).北端に近い小区間に脱ガラス化した部分があり,全体が淡色化して灰白色となり,気相晶出作用のため脆弱となった軽石が,風化面で逆に基質より凹んでみえる.道沿い露頭の北端で溶結のごく初期の程度まで溶結度が下がり,微弱な溶結部ないし非溶結部が背後の砂採り場となっている.本露頭は小野ほか(1977)のAso-4A,-4BのうちのAso-4Aにあたる.Watanabe(1978)はカルデラ西側のAso-4を8つのサブユニットに分けた.Aso-4火砕流全体を統一して見直すことが必要である.

文献:小野(1963),小野ほか(1977),Watanabe(1978)

弱溶結凝灰岩の風化面から扁平化した軽石が突出し、右下にハンマーがある。
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長湯南方の県道沿いにある阿蘇4露頭の位置図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『朝地』(大分10号-2)。長湯,栃原,国民宿舎,田原。可読数値:523,587.3,684。

English translation

1:25,000 Asaji (Oita sheet 10-2). Nagayu; 栃原; public lodge; 田原. Legible numbers: 523, 587.3, 684.

判読上の注記

地図内の微細な標高・地名 — 一部が不鮮明で確実には読めない。

WS-9-2 長野市信更町高野の湖成高野層-約13万年間の諸広域指標テフラの包含層-

木村純一

地名:長野市信更町高野地域緯度・経度:N36°32′35″~45″ E138°02′10″~20″標高:720~730m

露頭種別・現況:小河川沿いの崖,1995年8月現存,ただし一部を除き不良堆積物の種別と年代:湖沼成粘土・

シルト層,更新世後期記載時期:1986年8月キーワード:高野層,御岳起源テフラ,立山起源テフラ,広域テフラ

高野(たかの)層は,犀川丘陵中に形成されたせまい湖にほぼ更新世後期をつうじて堆積したもので,中部地方屈指の有力情報源である.本層はほとんどが細粒のシルト・粘土からなる.また,木曽御岳火山,立山火山起源の軽石質テフラのほか,広域テフラが良く保存されており,それらの層序関係がよくわかる.高野層の全層序は,いくつかの小露出をつなぎ合わせてほとんど欠落なく見ることができる(木村,1987a).残念ながら,露頭状態は年々悪化し,現在は崩土のため掘削しないと観察できない部分がある.露頭は耕作地の壁面にあるので,掘削するには土地所有者の確認と承諾が必要である.高野層に挟まれる広域・準広域テフラは竹本ほか(1987),木村(1987b)によって対比された.主要な露頭は以下のとおり(図3).露頭18:立山起源と思われる軽石(SyPm=大町Cスコリアか?)と上位の礫層がみられる.露頭16:下位より立山D(Tt-D;最も厚く,粗粒軽石からなる),阿蘇3(Aso-3),御岳第1(On-Pm1,Pm-1A/B),鬼界葛原(K-Tz),御岳潟町(On-Kt,Pm-2B),阿蘇4(Aso-4)の各テフラがみられる.露頭14:Aso-4および御岳奈川(On-Ng,Pm-3C)があり,最上部に立山E(Tt-E)がみられる.露頭7-11:大山倉吉テフラ(DKP)と玄武安山岩質火山砂の薄層がみられる.露頭12:2層の玄武安山岩質火山砂薄層の上位にさらに2層の火山砂OL.S.をはさみ,最上部には姶良Tnテフラ(AT)が挟在する.Tt-E前後からOL.S.にかけての多数の玄武岩安山岩質火山砂層は,木曽御岳火山起源のスコリアと考えられる.これらのテフラ群は,細粒堆積物の中に挟在するため保存がよい.

高野層は,北西を東落ちの高野川断層,南西を北落ちの軽井沢撓曲にはさまれた,小規模な断層角凹地をうめて堆積している.堆積面は標高730~740mで,中心部に向かってゆるく下に弯曲している.盆地の中心部を流れる高野川は,その堆積面をガリー浸食している.堆積域は約1.5×1kmと小さいが,最大層厚はボーリングと電気探査の結果,50m近くある事がわかっている(木村,1987aに断面図あり).堆積盆の周辺部には軽微な非整合がみられ,これをもとに高野層は下部・中部・上部・最上部層に区分されている.層相は最下部に礫層をはさむほかは,ほとんどが粘土~シルトからなり,比較的腐植質に富み,植物化石やラン鉄鉱の析出がみられる.縁辺部に向かうにしたがって細粒砂層の挟みが増え,もっとも縁辺部は全体が細粒砂となる.盆地の中心部では顕著な削剥は認められず,水域は継続していたとみられる.露頭で確認できる積算層厚は約25mある.高野層の堆積年代はTt-Dが約120ka,ATが約25kaであることからみて,およそ150~20kaまでの約13万年間と考えられる.Tt-Dの下位からATまでの約20mは細粒堆積物がほぼ連続的に堆積しており,古環境変遷の解析には格好である.高野層の花粉化石群集の変遷は酒井(1988)によって報告されており,Tt-D下位からOn-Ngの上位までが酸素同位体ステージ5d~5a,Tt-Eはステージ4初~中期,OL.S.周辺がステージ3中期,ATの上位がステージ2にあたると考えられる.

高野層の露頭へ向かうルートと、河川沿いの露頭番号を示す二つの位置図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

図1。露頭のルート。2.5万分の1『稲荷山』(長野13号-4)。信更町,高野,島仁田,郷津,平条,日影。数値846,828,796,752,832。図2 露頭詳細位置図 木村(1987a)を一部改変。常安寺,高野,日影,島仁田,高野川,郷津。地点HB-1,TA-01,02,03,04,05,06,07,08,09,10,11,12,13,14,15,16,17,18,SG-1。等高線800m,750m。座標138°02′10″,36°32′40″。距離0~200m。画像左上の文献行は本文に収録済み。

English translation

Figure 1. Route to the exposures. 1:25,000 Inariyama (Nagano sheet 13-4). Shinko Town; Takano; 島仁田; 郷津; 平条; Hikage. Numbers: 846, 828, 796, 752, 832. Figure 2. Detailed exposure-location map, modified from Kimura (1987a). 常安寺; Takano; Hikage; 島仁田; Takano River; 郷津. Sites: HB-1, TA-01, 02, 03, 04, 05, 06, 07, 08, 09, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, SG-1. Contours: 800 m, 750 m. Coordinates: 138°02′10″, 36°32′40″. Distance: 0–200 m. The reference line at upper left is included in the main text.

文献:木村(1987a,b),酒井(1988),竹本ほか(1987)

WS-9-2(続き)

18露頭の柱状図をテフラの相関線で結び、高野層の部層区分を示す図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

露頭番号:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18。スケール:0,5m。凡例:シルト,砂,礫,泥炭,泥炭質;火山灰:細粒,粗粒,軽石,ラピリ,スコリア。相関ラベル:AT,OL.S.,DKP,Tt-E,Tt-D,basic ash,On-Ng,On-Kt,Aso-4,K-Tz,On-Pm1,Aso-3,Sy Pm。部層(上から):最上部層,上部層,中部層,下部層。相関線は各列間の同一層準を結び、一部は点線。

English translation

Exposure numbers: 1–18. Scale: 0, 5 m. Legend: silt; sand; gravel; peat; peaty sediment. Volcanic-ash symbols: fine-grained; coarse-grained; pumice; lapilli; scoria. Correlation labels: AT, OL.S., DKP, Tt-E, Tt-D, basic ash, On-Ng, On-Kt, Aso-4, K-Tz, On-Pm1, Aso-3, Sy Pm. Members, from top: uppermost; upper; middle; lower. Correlation lines link equivalent horizons between columns; some are dotted.

図3 露頭柱状図 木村(1987a)を一部改変,対比は竹本ほか(1987)

高野層の四部層の分布、断層・撓曲、地点と断面線を示す地質図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

方位N。断面線A–A′,B–B′。高野川断層 Fault;軽井沢撓曲 flexure;高野川。常安寺,高野,高野小学校,日影,島仁田,郷津。測点E-1,E-2,E-3,E-4。地層凡例:沖積層;最上部層(K N),上部層(OL.S.)(S G),中部層,下部層(Sy Pm)〔以上高野層〕;千石層(CA 3);灰原層(M F);第三紀火山岩類;断層;撓曲。KEY BEDS。距離0~200m。座標138°02′40″E,36°32′20″N。可読の走向傾斜等数値:2,4,5,7,8,10,12,14,15,16,18,20。

English translation

North arrow: N. Section lines: A–A′, B–B′. Takanogawa Fault; Karuizawa Flexure; Takano River. Place labels: 常安寺; Takano; Takano Elementary School; Hikage; 島仁田; 郷津. Survey points: E-1, E-2, E-3, E-4. Geological legend: alluvium; uppermost member (K N), upper member (OL.S.) (S G), middle member, lower member (Sy Pm), collectively the Takano Formation; 千石 Formation (CA 3); 灰原 Formation (M F); Tertiary volcanic rocks; fault; flexure. KEY BEDS. Distance: 0–200 m. Coordinates: 138°02′40″E, 36°32′20″N. Legible strike-and-dip and other numbers: 2, 4, 5, 7, 8, 10, 12, 14, 15, 16, 18, 20.

判読上の注記

地図の微細な数値とKEY BEDSの略記 — 多くが小さく、一部は数字・文字の区切りを確定できない。可読形を保持。

図4 高野層の地質図 木村(1987a)より

WS-9-3 富士山東麓の富士テフラ群下部に見られる阿蘇4などの諸広域テフラ

町田洋

地名:静岡県小山町生土西沢奥緯度・経度:N35°22′33″ E139°00′34″標高:450m付近

露頭種別・現況:道路沿いの崖,沢沿い,現存堆積物の種別と年代:火山灰,スコリア層,砂礫層,更新世後期記載時期:1983年~1985年キーワード:富士吉岡テフラ,箱根小原台テフラ,大山生竹テフラ,阿蘇4テフラ,御岳伊那テフラ,鬼界葛原テフラ,御岳第1テフラ,阿蘇3テフラ

富士山東麓の東の縁が丹沢山地と接するところに,日本でも屈指の情報量(火山活動,地殻変動,気候変化などについての資料)の多い露頭群がある.JR駿河小山駅の対岸にある小山町生土(いきど)集落から北に沢沿いの林道を約2km登ると,右側に神縄南分岐断層の露頭がある(町田ほか,1975).この付近は駿河礫層の扇状地と丹沢山地との境界で,本流にせき止められて湿地にたまった堆積物が富士テフラの下によく保存されている.ここからさらに200m登ると,左手の道路沿いに駿河礫層やテフラが露出する崖に出会う.ここは広域火山灰阿蘇4テフラ(Aso-4)と富士山や箱根のテフラとの詳しい層位関係がはじめてつけられた場所である(町田ほか,1985).図2のAからBにかけてみていくと,褐色スコリアや砂礫層の間に,上から下に富士吉岡テフラ(F-YP)から箱根小原台テフラ(Hk-OP),大山生竹テフラ(DNP),そしてAso-4を認めることができる(図3,4).後の2テフラに比し前の2テフラは明瞭である.Aso-4は乳白色の砂サイズの火山灰(図4)で,特徴的なバブル型火山ガラスと褐色角閃石,斜方輝石斑晶を含む.この付近でみられる九州起源の広域テフラの中で,もっとも粗粒で,かつ斑晶の量も多いテフラである.

Aso-4の下位のテフラを見るには,右手にある砂防施設が建設された沢に降りて,ダムの上流の谷底(図2のC付近)を歩く必要がある.谷底から斜面にかけて露出する厚さ1mの橙色軽石層は,御岳第1テフラ(On-Pm1)である.これとほぼ同層位に泥炭層があり,ヒメバラモミの樹幹,根の化石が介在する.このテフラの下位には図3に示したように,2枚の軽石層があり,注意して調べると,上位の軽石層(P-A)のすぐ下に厚さ数mmで途切れがちな白色火山灰がある.これが阿蘇3テフラ(Aso-3)である(町田・新井,1995).最近ダムの堆砂のためきわめて見にくくなった.Aso-3は信州の数ヵ所で,やはりOn-Pm1の直下で観察される(WS-9-2など参照).

一方,On-Pm1の上位でAso-4の下位のテフラを見るには,沢の右岸側の斜面または小沢(図2のD)を登り,なめるように調べる必要がある.急峻で水で濡れているので滑りやすく危険である.白色のバブル型火山ガラスに富む火山灰があれば,それは鬼界葛原テフラ(K-Tz)で,その上に白い蟻の卵状の細粒軽石層があれば,それは御岳伊那テフラ(On-In)である.これとAso-4との間には,給源火山が不明なガラス質火山灰がある.

文献:町田(1992,1996),町田・新井(1995),町田ほか(1975,1985)

生土集落北方の西沢奥にある露頭群を矢印で示す地形図。
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図中文字(日本語)

図1。2.5万分の1『山北』・『駿河小山』(東京16号-4・甲府4号-2)。生土,小山町,中島滝,落合,三淵,小山,川。富士紡工場(かねがふち)。可読標高・数値:449.1,416,407,293,379.2,350,246,300,370。

English translation

Figure 1. 1:25,000 Yamakita and Suruga-Oyama (Tokyo sheet 16-4; Kofu sheet 4-2). Ikido; Oyama Town; Nakajima Falls; Ochiai; 三淵; Oyama; river. Fuji spinning factory (Kanegafuchi). Legible elevations and other numbers: 449.1, 416, 407, 293, 379.2, 350, 246, 300, 370.

判読上の注記

富士紡工場の括弧内文字と地図の微細な注記 — 括弧内は「かねがふち」と読めるが解像度が低く、他の小文字も一部は確定不能。

WS-9-3(続き)

西沢奥の四地点を対応づけ、広域テフラの層位と間隔を示す柱状図。
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図中文字(日本語)

上からF-YP,Hk-OP,DNP,Aso-4,On-In,K-Tz,On-Pm1,P-A,Aso-3,P-B。地点A,B,D,C。層位間隔:DNPからAso-4まで5m;Aso-4から下の指示層準まで4m。左のスケール0~5m。

English translation

From top: F-YP, Hk-OP, DNP, Aso-4, On-In, K-Tz, On-Pm1, P-A, Aso-3, P-B. Sites: A, B, D, C. Stratigraphic intervals: DNP to Aso-4, 5 m; Aso-4 to the indicated lower horizon, 4 m. Scale at left: 0–5 m.

図3 生土西沢奥のテフラ柱状図

沢と林道に沿ったA~Dの観察地点を示すルート図。
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図中文字(日本語)

地点A,B,C,D;500;425.4;100m。

English translation

Sites A, B, C, D; 500; 425.4; 100 m.

図2 駿河小山西沢ルートマップ

斜面下部の明るい阿蘇4火山灰を矢印で示し、右側に人物が立つ露頭写真。
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図中文字(日本語)

←Aso-4。

English translation

← Aso-4.

図4

WS-9-4 斜里平野の屈斜路火砕流堆積物と阿蘇4テフラ

奥村晃史

地名:北海道斜里町来運 緯度・経度:N43°51′0″ E144°38′50″ 標高:40m 露頭種別・現況:人工露頭,現存 堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下テフラ,更新世後期 記載時期:1994年6月 キーワード:斜里平野,屈斜路IVテフラ,屈斜路II/IIIテフラ,屈斜路Iテフラ,阿蘇4テフラ,洞爺テフラ,支笏第1テフラ

阿蘇4テフラ(Aso-4;町田ほか,1985)は給源の阿蘇カルデラから1500km以上隔たった北海道東部,斜里平野周辺で15cm前後の層厚をもち良好に保存されている.これは,Aso-4降下後僅かな時間間隙をおいて屈斜路火砕流堆積物(KP)II/IIIが堆積してAso-4を浸食・風化から保護したことが原因とみられる〔屈斜路テフラの略称は奥村(1991)に従う.勝井・佐藤(1963)のK.P. flow IIまたはIII.両者の識別が困難なため一括して表記する.町田・新井(1992)のクッチャロ2-3(Kc-2-3)〕.結果的に,斜里平野周辺では九州中・南部地域以外の分布域で最も厚く風化を受けていないAso-4を観察することができる.Aso-4に対比された細粒火山灰は勝井・佐藤(1963)によってKP IIの基底細粒部として認識されていた.しかし,Aso-4は屈斜路火山テフラ(ほとんどが両輝石安山岩~流紋岩質)にはみられない角閃石を微量ながら含んでおり,火山ガラスの屈折率,主成分および微量化学組成も屈斜路火山起源のテフラとはかけはなれた特徴をもっている(町田ほか,1985).このAso-4と洞爺火山灰(WS-13;町田ほか,1987)の発見によって,北海道東部の後期更新世テフロクロノロジーははじめて北海道中西部と,そして全国との対比が可能となった.

斜里平野南端,斜里川にかかる川上橋から南方へ尾根状に延びる火砕流台地の末端では,沖積面の約10m上にKP IV〔勝井・佐藤(1963)の屈斜路岩屑流堆積物(K.S. flow).KP IVとK.S. flowとの関連は本書WS16-1参照〕の平坦な堆積面が存在し,それを覆って20m余りの厚さで後期更新世のテフラが堆積している.Loc.1(来運)の露頭は現存するが壁面が急傾斜なため詳細な記載は行われていない.Loc.1南方(図1)ではKP IV~KP Iの大露頭が点在する.火砕流台地北端,川上橋南のLoc.2(消滅)は付近の露頭のうち最も詳細に記載され各種の分析が実施されいている.本稿ではここでの層序を紹介する(図2).

露頭最下部に露出するKP IVの上位には,3層の赤褐色降下軽石(錦軽石1~3;隅田,1988)を挟む厚さ1.5mの風化火山灰土が堆積している.この風化火山灰土上部に洞爺火山灰(Toya)の火山ガラスが濃集し,赤褐色の火山灰土中に黄色がかった層を認めることができる.この上位には,厚さ約1mの白色降下軽石層,50cmの火山灰土,Aso-4が順次堆積している.

Aso-4はベージュ色の粗しょうな火山灰で,ほとんど風化を受けていない.曲率の小さな球殻状の火山ガラスが光を反射してキラキラと輝いて見えることも,Aso-4の特徴のひとつである.

川上橋付近の地点1と消滅した地点2を示す地形図。
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図中文字(日本語)

5万分の1『斜里』(斜里5号)。地点1,2。川上,斜里,斜里川,羅萌,来運,水無沢。可読数値45.8,52。

English translation

1:50,000 Shari (Shari sheet 5). Sites 1, 2. Kawakami; Shari; Shari River; 羅萌; Raiun; 水無沢. Legible numbers: 45.8, 52.

判読上の注記

地図内の微細な地名 — 一部は解像度が低い。

図1

屈斜路IVから止別軽石までのテフラを複数の命名との対応で示す柱状図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

スケール0~5m。上から:止別軽石²⁾;KP I-KSr―K.P. flow I¹⁾ Kc-1⁴⁾;Spfa-1;清里軽石-2³⁾;清里軽石-1³⁾;Tricolor―三色火山灰³⁾;岩片Pm³⁾;Big Pm³⁾;KP II/III;Aso-4;錦軽石-5³⁾;Toya;錦軽石-3³⁾;Kpfa-4¹⁾―錦軽石-2³⁾;Kpfa-5¹⁾―錦軽石-1³⁾;KP IV―K.S. flow¹⁾ Kc-4⁴⁾。出典:1)勝井・佐藤(1963),2)佐藤(1968),3)隅田(1988),4)町田・新井(1992),他は奥村ほか(1985),奥村(1991)。

English translation

Scale: 0–5 m. From top: Yambetsu pumice²⁾; KP I-KSr—K.P. flow I¹⁾, Kc-1⁴⁾; Spfa-1; Kiyosato pumice 2³⁾; Kiyosato pumice 1³⁾; Tricolor—three-color ash³⁾; lithic Pm³⁾; Big Pm³⁾; KP II/III; Aso-4; Nishiki pumice 5³⁾; Toya; Nishiki pumice 3³⁾; Kpfa-4¹⁾—Nishiki pumice 2³⁾; Kpfa-5¹⁾—Nishiki pumice 1³⁾; KP IV—K.S. flow¹⁾, Kc-4⁴⁾. Sources: 1) Katsui and Sato (1963); 2) Sato (1968); 3) Sumita (1988); 4) Machida and Arai (1992); others from Okumura et al. (1985) and Okumura (1991).

図2

WS-9-4(続き)

Aso-4と上位のKP II/IIIとの間には1cm前後の土壌層が認められ両者の時間間隙を示している.KP II/IIIは,岩片を多く含むやや堅くしまった灰色の火砕流堆積物である.KP II/IIIの上130cmには白色・赤褐色・灰色の組み合わせが特徴的な三色の火山灰(Tricolor;奥村ほか,1985)が認められる.Tricolorは小清水台地主部を構成する扇状地面(美幌面;佐藤,1968)の離水期に降下したテフラである.ここで紹介する露頭の上部に共通して認められる白色のテフラはKP I-Kc-Sr(WS-6)で,下部数十cmの縞状を呈する降下軽石・火山灰互層とそれを覆う白色の火砕流堆積物とに区分される.KP I-Kc-Sr下位約30cmには,黄白色の支笏降下軽石-1(Spfa-1;WS-7)が挟まれる.本地域の降下テフラの区分と命名は本書WS-6に詳しい.

文献:勝井・佐藤(1963),町田・新井(1992),町田ほか(1985,1987),奥村(1991),奥村ほか(1985),佐藤(1968)

大きな採掘壁面に屈斜路テフラが重なり、右下にブルドーザーがある。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

KP I-KSr;KP II/III;KP IV。

English translation

KP I-KSr; KP II/III; KP IV.

図3 来運南方の露頭.層序は地点1,2とほぼ同じ

川上橋南の層状露頭にSpfa-1とAso-4を含む主要層を表示した写真。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

KP I-KSr;Spfa-1;KP II/III;Aso-4;KP IV。

English translation

KP I-KSr; Spfa-1; KP II/III; Aso-4; KP IV.

図4 川上橋南の露頭(地点2,図1,消滅)

WS-10-1 種子島における鬼界葛原テフラと海成段丘

町田洋

地名:鹿児島県中種子町野間緯度・経度:N30°31′51″ E130°58′32″標高:110m

露頭種別・現況:野間中学グランドの崖,現存?堆積物の種別と年代:海成段丘堆積物,火山灰,更新世後期記載時期:1983年キーワード:鬼界葛原テフラ,阿多テフラ,種子島

鬼界葛原テフラ(K-Tz)のもっともproximalなテフラは鬼界カルデラの竹島でみられる長瀬火砕流堆積物であるが(竹島WS-2-1参照),その広域性を示唆するテフラは屋久島,種子島の海成段丘上でよく観察できる.本露頭は種子島中部の野間にあり,段丘堆積物上位のテフラは厚さ6~7mに達する.そのうちもっとも厚く,鮮かな黄橙色をなす輝石流紋岩質のガラス質火山灰がこれである(図2).1.7mの厚さをもつこのテフラは,細かく成層した火山灰と粗粒な斑晶鉱物(長石と石英)からなる下半部と,無層理のガラス質火山灰からなる上半部に分かれる.前者は火砕流から巻上げられた一種の火砕サージ,後者はco-ignimbrite ashの性格をもつといえる.なおこのテフラにはプリニアン降下軽石のユニットはない.全体に火山豆石に富むので,大規模なマグマ水蒸気噴火の産物とみられる.

本露頭のテフラの上部には,鮮黄橙色のガラス質火山灰姶良Tnテフラ(AT)と鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)がある.また本露頭では欠損するが,種子島の中南部西海岸や南種子町上中では,K-Tzの下に阿多火砕流堆積物(Ata,厚さ1m以下)が認められる.K-Tzは山梨県上野原町葛原(WS-10-2)で記載された葛原第1軽石(皆川,1968,1969次項WS-10-2参照)に対比されるもので,西日本から中日本一帯で,酸素同位体ステージ5cの海成段丘や諸堆積物を識別する上で重要な鍵層である(町田・新井,1992).

種子島は傾動隆起した海成段丘の島で,宮崎平野とともに九州の海成段丘編年の模式地といえる.同位体ステージ5eに当る海成段丘M1とそれ以降の段丘の発達がよく、テフラとの関係が明瞭なところは,中種子町西海岸浜津脇~深川と南種子町南西海岸砂坂~西目である(図3の矢印).図4はこれらから,海成段丘とテフラとの関係を模式的に示したものである(Ota and Machida,1987).AtaはM1,M2段丘面を覆い,M3段丘礫層中に介在する.一方K-TzはM2/3段丘の崖まで被覆する.こうした所見から,M3は南関東の小原台段丘に対比され,ステージ5c,M4が三崎段丘のステージ5aにそれぞれ形成されたとみられる. そうなると,M2段丘は何か,であるが,いまのところ5eの一時期と考えておきたい.

文献:町田・新井(1992),皆川(1968,1969),Ota and Machida(1987)

鬼界葛原テフラの細かく成層した下半部と無層理の上半部が露出し、左に測尺を持つ人物がいる。
原著 40ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

図2;写真の日付表示:83 6 14。

English translation

Figure 2; photographic date stamp: 83 6 14.

WS-10-1(続き)

野間の露頭位置を示す種子島中部の地形図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

5万分の1『種子島中部』(屋久島1号)。種子島空港,乗馬訓練場,伏之前,上方,野間,増田,野山崎,中央公園,阿曽。可読数値:142,83,6。

English translation

1:50,000 Central Tanegashima (Yakushima sheet 1). Tanegashima Airport; equestrian training ground; 伏之前; 上方; Noma; Masuda; 野山崎; Central Park; 阿曽. Legible numbers: 142, 83, 6.

判読上の注記

地図の細かな地名・数値 — 一部不鮮明。読みの確認ができない地名は英訳でも日本語保持。

図1

種子島と馬毛島の段丘面分布を七つの凡例で示す図。
原著 41ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

凡例:H₁面,H₂面,H₃面,M₁面,M₂面,M₃面~M₄面,L面。地名:馬毛島,大広野,西之表,田ノ脇,増田,野間,島間,長谷野,門倉岬。スケール:0~10km。南西岸を矢印で示す。

English translation

Legend: H₁ surface; H₂ surface; H₃ surface; M₁ surface; M₂ surface; M₃–M₄ surfaces; L surface. Place labels: Mageshima; 大広野; Nishinoomote; 田ノ脇; Masuda; Noma; Shimama; 長谷野; Cape Kadokura. Scale: 0–10 km. An arrow marks the southwestern coast.

図3 種子島の海岸段丘分布図(町田,1969)

M1~M4段丘とAta・K-Tzの被覆関係を示す模式断面。
原著 41ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

陸側から海側:M1,M2,M3,M4。テフラ:K-Tz,Ata。垂直スケール:0,100 m;水平スケール:0~1km。

English translation

From landward to seaward: M1, M2, M3, M4. Tephras: K-Tz, Ata. Vertical scale: 0, 100 m. Horizontal scale: 0–1 km.

図4 種子島南部における段丘とテフラとの関係(Ota and Machida,1987)

WS-10-2 神奈川県藤野町葛原周辺の鬼界葛原テフラ,阿蘇4テフラ

米澤宏・上杉陽・関東第四紀研究会

地名:神奈川県藤野町芝田~葛原 緯度・経度:N35°36′0″ E139°9′0″ 標高:180~230m 露頭種別・現況:自然露頭,一部現存 堆積物の種別と年代:河成~湖成堆積物,更新世後期 記載時期:1980年12月 キーワード:御岳第1テフラ,鬼界葛原テフラ,阿蘇4テフラ

丹沢山地周辺の河川沿いには,本流の堆積作用に伴う小滞水域が各所にある.この時期の湖成~河成堆積物は,富士火山系・箱根火山系テフラを多数挟在し,また,後期更新世の広域テフラも多数挟在する(皆川,1969;米澤,1981;上杉・関東第四紀研究会,1994など).藤野町芝田~葛原のまえど沢右岸には,基盤岩を不整合に覆う相模原面構成層(米澤,1981;皆川,1969の葛原層にほぼ相当)が厚く発達する.葛原周辺の相模原面構成層は,下部礫層(層厚約8~9m)・中部砂泥互層(層厚約35m)・上部礫層(層厚約8m)からなる.この中部砂泥互層中には,下位より,御岳第1テフラ(On-Pm1;上杉ほか,1980,1983のY-1番テフラ;80~90ka),鬼界葛原テフラ(K-Tz;町田ほか,1985;上杉ほか,1980,1983のY-19番テフラ;第1ミガキズナ;皆川,1969のTzP-I;75ka),御岳伊那テフラ(On-In;町田ほか,1985;上杉ほか,1980,1983のY-26番テフラ;けしつぶパミス;皆川,1969のTzP-II),第2ミガキズナ(上杉ほか,1980,1983のY-36番テフラ;皆川,1969のTzP-III),阿蘇4テフラ(Aso-4;町田ほか,1985;相模原市地形・地質研究会,1986;70ka)などの後期更新世広域テフラを挟在している.なお,露頭位置図に示した山梨県上野原町鶴島の■地点では,泥炭層中に,2層の細粒ガラス質テフラが挟在する(関東第四紀研究会,1979).このうち,下位の層厚約10cmのテフラは,Aso-4に対比されている(相模原市地形・地質研究会,1986;町田・新井,1992).また,泥炭層の花粉分析の結果,Aso-4降灰期の植生は,トウヒ属・マツ属・ツガ属・モミ属などからなる針葉樹林が広がっていたと報告されている(関東第四紀研究会,1979;相模原市地形・地質研究会,1986).

文献:関東第四紀研究会(1979),町田ほか(1985),町田・新井(1992),皆川(1969),相模原市地形・地質研究会(1986),上杉・関東第四紀研究会(1994),上杉(1994),上杉ほか(1980,1983),米澤(1981)

葛原付近の位置図と厚い砂泥・礫層中の指標テフラの柱状図。
原著 42ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

位置図:2.5万分の1『与瀬』(東京15号-1);葛原,芝田,鶴島,上野原町,相模川;上野原大橋(上部で一部切れる)。可読数値200,250,266.5。柱状図上から:Hk-TP,Aso-4,TzP-III,On-In,K-Tz,On-Pm1。スケール0,5,10m。米澤(1981),町田ほか(1985)より作成。画像左側の本文断片は本文欄に収録済み。

English translation

Map: 1:25,000 Yose (Tokyo sheet 15-1). Tozurahara; Shibata; Tsurushima; Uenohara Town; Sagami River; Uenohara Bridge (partly cropped at top). Legible numbers: 200, 250, 266.5. Column, from top: Hk-TP, Aso-4, TzP-III, On-In, K-Tz, On-Pm1. Scale: 0, 5, 10 m. Compiled from Yonezawa (1981) and Machida et al. (1985). The prose fragment at left is included in the main text.

判読上の注記

地図中の小さな標高・地名 — 一部不鮮明で確定できない。

WS-10-3 常磐海岸,那珂台地を構成する海成砂層中の鬼界葛原テフラ

鈴木毅彦

地名:茨城県ひたちなか市部田野(へたの)緯度・経度:N36°22′5″ E140°35′11″標高:30m

露頭種別・現況:水田脇の人工露頭,現存堆積物の種別と年代:海成砂層,AW型テフラ,風成テフラ,更新世後期記載時期:1996年6月キーワード:那珂台地,那珂台地砂礫層,見和層上部層,鬼界葛原テフラ,常磐海岸

ここで紹介する露頭は,陸上で鬼界葛原テフラ(K-Tz)の見出された地点としては現段階で最も東にあり,関東平野北東端の那珂台地に位置する.同台地は久慈川と那珂川に挟まれた標高25~55mの北西-南東方向に伸びる広大な台地であり,坂本(1972)は,この台地を構成する海成砂層を見和層上部層とよび下末吉海進最盛期の堆積物と解釈し,台地面自体を南関東の下末吉面に対比した.その後,鈴木(1989)は那珂台地が単純に下末吉面に対比可能な海成面ではなく,部分的には河成面であり,また離水も最終間氷期最盛期(下末吉期)から75~80kaにかけて比較的長期にわたり進行したと解釈した.離水時期をこのようにしたその最大の根拠は,台地南東部において段丘構成層の最上部にK-TzがAW(風送水底堆積)型テフラとして見出されたことである.当時K-Tzの降

下年代は75~80kaとされていたが,現在ではやや古く90~100kaと考えられており,酸素同位体ステージ5cから5bにかけてとされている(町田・新井,1994).こうしたことから那珂台地の形成は酸素同位体ステージ5eから5cにかけて行われたと考えられる.露頭では赤城鹿沼テフラ(Ag-KP)を含む層厚約3.6mの火山灰土とそれに覆われる1m以上の砂層が露出する.両者の境界は漸移的であるが,そこから60~100cm下にK-Tzが挟まれている.層をなさずに径数cmの細粒火山灰のかたまりとして産出する.一見したところ軽石が砂層中に並んでいるようである.本地点のK-Tzの諸特性については鈴木(1989,1990b)に記述がある.

文献:町田・新井(1994),坂本(1972),鈴木(1989,1990b)

左は砂層中のK-Tz火山灰塊の接写、右は上位のAg-KPを含む露頭全景。
原著 43ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

K-Tz(左に2箇所、右に1箇所);N,NE,E;1996年6月撮影;Ag-KP;火山灰土;砂層;拡大部分。

English translation

K-Tz (two labels at left, one at right); N, NE, E; photographed June 1996; Ag-KP; volcanic-ash soil; sand bed; enlarged area.

部田野の水田脇にある露頭位置を矢印で示す図。
原著 43ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『那珂湊』(水戸6号-2・4)。部田野,原。可読数値:36.6,27.7,30,24.2。

English translation

1:25,000 Nakaminato (Mito sheets 6-2 and 6-4). Hetano; 原. Legible numbers: 36.6, 27.7, 30, 24.2.

WS-11-1 富士山東麓における御岳第1テフラ

町田洋

地名:静岡県小山町中島沢奥緯度・経度:N35°22′33″ E138°59′34″標高:390m露頭種別・現況:林道切割,現存 堆積物の種別と年代:降下軽石層,更新世後期記載時期:1990年キーワード:御岳第1テフラ,駿河小山

御岳第1テフラ(On-Pm1)のproximalな模式露頭は木曽福島や伊那にある.しかし一般に風化が進み,原初の様子は分かりにくい.ここでとりあげるのは,富士東麓にあって,100mを越す厚いテフラや堆積物に覆われているため,このテフラの保存がきわめてよく,しかも位置からいってこのテフラの広域性を示唆する好露頭である.なおこの近くの小山町生土西沢奥でも観察されることは別項で述べる(WS-9-3)が,そこよりもここは保存度がよい.ここに行くには,小山町市街を北に出て,中島の谷沿いの林道を登っていく.目印は貯水池の東,高圧線近くの林道東壁である.

ここでは最大粒径8mmの篩分けのよい軽石が主体で,中上部で細粒となり再び粗粒になる.この細粒部は,この時期に火砕流が発生した可能性を示唆する.厚さは総計1mに達する.軽石は輝石含有黒雲母角閃石デイサイト質で,絹糸状によく発泡している.玄武岩質,安山岩質テフラの多い南関東では異色のテフラとして注目された.なお本テフラの下位には,生土西沢でP-Bと記したものと同じ厚い軽石層がある.これの給源火山は小御岳かもしれない.また,上位には鬼界葛原テフラなどがみられる(WS-9-3).

文献:町田(1990,1996)

中島沢奥の林道露頭を矢印で示す地形図。
原著 44ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『駿河小山』(甲府4号-2)。柳島。可読標高:500,394,491,359,416。

English translation

1:25,000 Suruga-Oyama (Kofu sheet 4-2). Yanagishima. Legible elevations: 500, 394, 491, 359, 416.

保存のよい軽石層の細粒部を示す露頭写真で、中央にペン、左に撮影する人物がある。
原著 44ページ · クリックで原画像

WS-11-2 胆沢台地の広域テフラ

渡辺満久

地名:岩手県胆沢郡胆沢町若柳緯度・経度:N39°7′6″ E140°58′47″標高:215m

露頭種別・現況:道路脇の人工露頭,現存堆積物の種別と年代:河成堆積物,テフラ,更新世中~後期記載時期: 1987年5月キーワード:胆沢台地,阿蘇4テフラ,北原テフラ,御岳第1テフラ,三瓶木次テフラ,洞爺テフラ

本露頭では,段丘礫層(M1面構成層)を覆う複数の広域テフラを肉眼で観察できる(渡辺,1991;早田・八木,1991;町田・新井,1992).最上部には焼石岳起源の粗粒な焼石山形テフラ(Yk-Y;山形軽石;大上・吉田,1984)があり,その上面には軽微なインボリューションが見られる.Yk-Yの下位には,阿蘇4(Aso-4),北原(Kth),愛宕(Atg),御岳第1( On-Pm1),三瓶木次(SK),洞爺(Toya)の各テフラが堆積している.いずれも層厚は数cm程度である(スケッチでは,層厚を誇張してある).これらの広域火山灰が,第四紀後期の地形発達史を考察する上で重要なテフラであることは言うまでもない.とくに現時点での分布の北限に近い本露頭でのOn-Pm1の認定は,Aso-4とともに,最終間氷期極相期以降の,中部・関東・東北に発達する諸テフラとの層位関係や地形の対比・編年を行う上で,意義は大きい.On-Pm1は,黄色~黄白色の細粒ガラス質火山灰層として認められる.その他,Aso-4は赤橙色の,SKは黄色の,Toyaは黄色~橙色のガラス質火山灰として認められる.Kthは緑灰色を呈し,比較的粗粒の高温型石英を多量に含むAtgと混在している.

露頭下部の段丘礫層の部分は,崖錐堆積物によって埋積されているが,広域火山灰はいずれもまだ観察可能である.露頭の左半部の方が観察しやすい.ただし,パッチ状に点在することが多いため,多量にサンプルを採取すると,改めて露頭を大規模に削り込まないと見えなくなる.露頭の保護に注意が必要である.

文献:町田・新井(1992),大上・吉田(1984),早田・八木(1991),渡辺(1991)

段丘礫層を覆う薄い指標テフラと上部の軽石層を示す露頭スケッチ。
原著 45ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

Yk-Y′;Aso-4;On-Pm1;SK(左右);Toya(左右);Kth;Atg;M1 Terrace Gravel;Talus。右スケール0~4m。

English translation

Yk-Y′; Aso-4; On-Pm1; SK (left and right); Toya (left and right); Kth; Atg; M1 Terrace Gravel; Talus. Right-hand scale: 0–4 m.

胆沢町若柳の道路脇露頭を示す地形図。
原著 45ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『石淵ダム』(新庄2号-1)。上愛宕,愛宕,中萱刈窪。可読数値:198,195,203,200。

English translation

1:25,000 Ishibuchi Dam (Shinjo sheet 2-1). 上愛宕; Atago; 中萱刈窪. Legible numbers: 198, 195, 203, 200.

判読上の注記

小さな地名・数値 — 一部は不鮮明。

WS-12-1 松江における三瓶木次テフラ

町田洋

地名:松江市山代町自動車試験場前緯度・経度:N35°26′12″ E133°5′40″標高:20m露頭種別・現況:切割,消滅堆積物の種別と年代:降下軽石層,更新世後期

記載時期:1975年キーワード:三瓶木次テフラ,大山松江テフラ,松江

三瓶山から日本海沿いに東北地方までの広域を覆う三瓶木次テフラは,かつて古志原浮石と呼ばれた(山陰第四紀研究グループ,1969).木次でも古志原でもかつての模式露頭は現在消滅したが,古志原付近(松江市南部)の方が露頭の出現確率が高いし,大山起源のテフラも観察できるので,古い露頭の様子を記す.なおCG-8も参照されたい.

本露頭では赤色土を覆って2枚の風化した軽石層がある.下位の黄褐色のものはかつて大山倉吉軽石と記されたが,それとは異なり,はるかに古い大山松江テフラ(DMP;町田・新井, 1979)である.この上に土壌を隔てて載る灰白~灰褐色の軽石層が,三瓶木次テフラ(SK)である.DMPが苦鉄鉱物に富むのに対して,SKは黒雲母流紋岩質で,苦鉄鉱物は黒雲母以外は少なく,石英,長石に富む.軽石型火山ガラスの屈折率は異例に低い(1.494~1.498)のも,広域に対比する場合の特色の一つである(豊蔵ほか,1991).SKは東北地方で御岳第1テフラと洞爺テフラに挟まれて出現するので(WS-11-2),噴出時代は100~110kaであろう.DMPは穴道湖西方で酸素同位体ステージ5eと考えられる差海段丘堆積物直上にあるので,120~125kaに噴出したと考えられる.

三瓶火山の噴出物のうち,SKは最大規模のプリニアン噴火の産物である.これにともなって火砕流が噴出した可能性はあるが,三瓶山近くでは新しいテフラに被覆されて定かではない.

またDMPは給源である大山火山の西方にも東方にも分布するテフラで,SKとともに有能な指標層である.

文献:町田・新井(1979),山陰第四紀研究グループ(1969),豊蔵ほか(1991)

松江市南部の旧露頭位置を矢印で示す地形図。
原著 46ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

5万分の1『松江』(松江16号)。朝日町,大橋川,西津田,東津田町,上乃木町,古志原町。可読数値:1.4,2.2,4.5,2.3,31。

English translation

1:50,000 Matsue (Matsue sheet 16). Asahi Town; Ohashi River; Nishitsuda; Higashitsuda Town; Agenogi Town; Koshihara Town. Legible numbers: 1.4, 2.2, 4.5, 2.3, 31.

判読上の注記

地図の小さい数値・施設名 — 一部は解像度が低く確定できない。

古赤色土の上にDMPとSKの二つの軽石層を示すスケッチ。
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図中文字(日本語)

SK;DMP;古赤色土。スケール0,1,2m。

English translation

SK; DMP; old red soil. Scale: 0, 1, 2 m.

WS-12-2 越前海岸に漂着した三瓶木次テフラ

町田洋・豊蔵勇

地名:福井県三国町浜地(みどりの広場の海岸)緯度・経度:N36°15′8″ E136°10′57″標高:8.5m露頭種別・現況:海食崖,現存堆積物の種別と年代:海浜堆積物,水成テフラ,更新世後期

記載時期:1989年キーワード:三瓶木次テフラ,漂着軽石,越前海岸

三瓶山から北東ないし東北東に分布軸をもつ三瓶木次テフラ(SK)は,西日本と北日本の第四紀層を結ぶ指標層として重要である.さらに北陸海岸や男鹿半島では,水成層中に漂着したものも見い出される(豊蔵ほか,1991).本露頭では海浜成の粗砂中に黄白色の火山灰層と直上に円磨された軽石礫が観察できる.前者は降下堆積したテフラで,後者が海流に乗って漂流し,海岸に堆積した軽石である.いずれも風化程度が高いが,特徴的な黒雲母流紋岩質の組成から同定できる.火山灰層は生物による擾乱を受けている.

SKの噴出年代からみて,海成段丘堆積物は酸素同位体ステージの5cに当ると考えられる.漂着軽石はこの当時,現在と同様に日本海沿岸を北上する海流があったことを示唆する.なお能登半島にも,ここと似て,海成層中にSKを観察できる露頭がある(CB-28;豊蔵ほか,1991).

文献:豊蔵ほか(1991)

浜地海岸のみどりの広場付近の露頭位置を示す図。
原著 47ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『北潟』・『三国』(金沢15号-1・2)。三国町,城新田,みどりの広場(2箇所)。可読数値33,39.3。

English translation

1:25,000 Kitagata and Mikuni (Kanazawa sheets 15-1 and 15-2). Mikuni Town; 城新田; Midori-no-Hiroba (two labels). Legible numbers: 33, 39.3.

粗砂中の白色火山灰層とその上の円磨軽石の接写。
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図中文字(日本語)

日付表示の可読部分:12 5 89。上端の文献行は本文に収録済み。

English translation

Legible date stamp: 12 5 89. The reference line at the top is included in the main text.

判読上の注記

12 5 89 — 日付表示の左側が不鮮明。順序・完全な日付は確定しない。

下部のSKと上部のテフラ含有土壌帯を示す海食崖写真。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

黄褐色土壌(DKP・ATを含む);暗褐色土壌帯(K-Tz・Aso-4を含む);SK。左上の数字断片は隣の写真の端部。

English translation

Yellowish-brown soil (containing DKP and AT); dark-brown soil zone (containing K-Tz and Aso-4); SK. The cropped numbers at upper left belong to the adjacent photograph.

WS-13-1 有珠山山麓における洞爺テフラの層序

町田洋・山縣耕太郎

地名:北海道伊達市上長和村界沢(地点1),同長流川左岸(地点2)緯度・経度:N42°31′10″ E140°51′40″(地点1),

N42°31′10″ E140°52′24″(地点2)標高:80~120m露頭種別・現況:谷壁,現存堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下火山灰,降下軽石,溶岩,更新世後期記載時期:1990年キーワード:洞爺カルデラ,洞爺テフラ,有珠山

洞爺カルデラの周辺に広がる台地を構成する大規模火砕流堆積物は,北日本全域を覆う約110kaの洞爺テフラ(Toya)のふるさとである.その層序はかなり複雑で,主にカルデラ南側の有珠山山麓で調査された.地点1は,洞爺火砕流の堆積面を刻む急峻な小沢の谷壁である.ここでは,洞爺テフラを構成する複数のユニットがよく観察できる.図2は,この沢沿いにみられるいくつかの露頭をつなぎ合わせて作成した柱状図である.洞爺テフラは,鈴木(1970),池田・勝井(1986)によって洞爺火砕流堆積物(Tpfl I~IV)および洞爺降下火砕物(Tpfa)に区分された.この露頭では,下位から火山灰に富んだピンク~ベージュ色の火砕流堆積物(TpflII),多量の火山豆石を含む降下火山灰(Tpfa;中間に火砕流堆積物を挟む),ピンク色の火砕流堆積物(Tpfl III),数ユニットに分かれ,軽石に富む火砕流堆積物(Tpfl IV)が観察できる.Tpfl IVは,基底に岩片の濃集層(lithic breccia)を伴う.4つの火砕流堆積物のユニットのうち,TpflIVは,最も大規模で広範囲に分布する.北日本の広域テフラToyaは,主にこのユニットのco-ignimbrite ashと考えられる(町田ほか,1987).本テフラはかなり均質で,角閃石含有輝石流紋岩質の,火山ガラスに富む火山灰である.火山ガラスは著しく珪長質で軽石型のものが多い.またユーライト質の斜方輝石を含む点はきわめて特徴的である.

Toyaテフラの上位には,その二次堆積物がのり,さらに上位には,クッタラ火山起源のクッタラ第2テフラ(Kt-2; N,Us-cとよばれていた.給源から西方へ飛散した降下軽石),洞爺火山の後カルデラ火山である中島火山起源の中島長流川テフラ(Nj-Os),有珠火山起源の降下火山灰・スコリアがのり,その上を有珠火山の成層火山溶岩が覆っている.

長流川の対岸にある地点2では,崖面の上部を占めるTpfl IIの下に,火山豆石を含むべージュ色の火山灰を主体としたユニット(TpflI)がある(図3).これが洞爺カルデラの一連の噴火の最初のマグマ水蒸気噴火による噴出物で,火砕サージの堆積物のようにみえる.この下には土壌を隔てて,別な火砕流堆積物(長流川火砕流;Osr)を主体とする長流川テフラ(Osr)が河成砂礫層の上に載る.この砂礫層(上長和層)は,層位および標高(約15m)からみて,酸素同位体ステージ5eの段丘構成物と推定される.

文献:池田・勝井(1986),町田ほか(1987),鈴木(1970)

有珠山と昭和新山南方の二つの谷壁露頭の位置を示す地形図。
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図中文字(日本語)

図1。5万分の1『虻田』(室蘭1号)。地点1,2。有珠山,有珠新山,大有珠,小有珠,有珠山方,東丸山,昭和新山,壮瞥温泉,壮瞥滝,壮瞥神社,伊達市,上長和町,上長和郵,西関内町,長流川。可読数値:88.5,84.9,263,86.6,86.3,60,398,38.50,46.2,82.6,43,29.0,17.2,80,100,200,220,300,400,500,600。

English translation

Figure 1. 1:50,000 Abuta (Muroran sheet 1). Sites 1, 2. Mount Usu; Usu-Shinzan; O-Usu; Ko-Usu; 有珠山方; Higashi-Maruyama; Showa-Shinzan; Sobetsu hot spring; Sobetsu Falls; Sobetsu Shrine; Date City; Kaminagawa Town; Kaminagawa post office; 西関内町; Osaru River. Legible numbers: 88.5, 84.9, 263, 86.6, 86.3, 60, 398, 38.50, 46.2, 82.6, 43, 29.0, 17.2, 80, 100, 200, 220, 300, 400, 500, 600.

判読上の注記

地形図中の一部山名・微細な数値 — 不鮮明な文字は原図で確定できない。「有珠山方」は図上の可読形を保持。

WS-13-1(続き)

洞爺テフラと後続噴出物の柱状図、および上長和層上のOsr・Tpfl Iを示す露頭写真。
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図中文字(日本語)

図2柱状図の上から:Us lava,Us pfa,Nj-Os,Kt-2 (N,Us-c),Tpfl IV,Tpfl III,Tpfl II,Tpfa,Tpfl I。スケール0,1,2,3,4,5m。凡例:降下軽石,降下火山灰,火砕流堆積物,lag breccia,溶岩,火山灰土。図3写真:Tpfl I,Osr,上長和層。日付の可読部分:83 9。

English translation

Figure 2 column, from top: Us lava, Us pfa, Nj-Os, Kt-2 (N,Us-c), Tpfl IV, Tpfl III, Tpfl II, Tpfa, Tpfl I. Scale: 0, 1, 2, 3, 4, 5 m. Legend: pumice fall; ash fall; pyroclastic-flow deposit; lag breccia; lava; volcanic-ash soil. Figure 3 photograph: Tpfl I; Osr; Kaminagawa Formation. Legible date-stamp portion: 83 9.

判読上の注記

写真右下の日付 — 末尾の数字が白くかすれ、完全な日付を確定できない。

図2 村界沢沿いの柱状図

図3

WS-13-2 北海道伊達における洞爺テフラとその上位の諸テフラ

山縣耕太郎・町田洋

地名:北海道伊達市館山町国道37号沿い緯度・経度:N42°28′40″ E140°51′30″標高:45m

露頭種別・現況:人工露頭,現存堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下テフラ,更新世後期記載時期:1993年8月キーワード:洞爺火砕流堆積物,支笏火砕流堆積物,有珠火山

本露頭は,洞爺カルデラの南東約8kmの位置し,約110kaに噴出した洞爺火砕流(Toya pfl)の堆積面の上にある.アクセスもよく,洞爺火砕流堆積物より上位のテフラ層を観察するのに最も適した露頭である.露頭下部には,洞爺火砕流堆積物の上部が4mの厚さで認められる.これを覆うテフラ層は,下位から阿蘇4テフラ(Aso-4)と洞爺カルデラ中島火山起源の中島伊達テフラ(Nj-Dt)(この2テフラは肉眼的にはあまり明瞭ではない)。厚い降下軽石層をなすクッタラ第2テフラ(Kt-2;N,Us-cに当る),中島長流川テフラ(Nj-Os),灰白色でラミナをもつ支笏火砕流堆積物(Spfl),有珠火山起源の有珠上長和テフラ(Us-Ka),有珠火山の成層火山形成期に噴出されたと考えられる火山砂群,濁川火山起源の濁川テフラ(Ng),クロボク土最上部に,白頭山苫小牧テフラ(B-Tm),駒ケ岳dテフラ(Ko-d),有珠bテフラ(Us-b)などである.Spflは,長流川沿いに流下してきたものであるが,その上部にはクロスラミナが顕著に発達した部分が認められる.このように本露頭では,広域指標テフラの層位関係を基礎として, 洞爺火山群の噴火史を読みとることができる.

文献:町田ほか(1987)

伊達市館山町の国道沿い露頭位置を示す図。
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図中文字(日本語)

5万分の1『伊達』(室蘭2号)。館山町,旭町,長流橋,長流川,胆振線,志村化工,西浜町,水水町,日橋。可読数値53.8,4,3.5,0.8,5.2。

English translation

1:50,000 Date (Muroran sheet 2). Tateyama Town; Asahi Town; Osaru Bridge; Osaru River; Iburi railway line; Shimura Chemical Works; Nishihama Town; 水水町; 日橋. Legible numbers: 53.8, 4, 3.5, 0.8, 5.2.

判読上の注記

右端の町名「水水町」と「日橋」 — 一部切れて不鮮明なため読める形を仮に転記し、地名読みは確定しない。

洞爺火砕流上の層序を示す露頭スケッチと柱状図。
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図中文字(日本語)

左スケッチ:Us-b-,Spfl,Kt-2,Toya pfl;全高12m。右柱状図上から:Us-b,Ko-d,Ng,volcanic sand,Spfl,Nj-Os,Kt-2,Nj-Dt,Aso-4,Toya pfl。スケール0~5m。凡例:降下軽石,降下スコリア,降下火山灰,火砕流堆積物,クロボク,火山灰土。

English translation

Left sketch: Us-b-, Spfl, Kt-2, Toya pfl; total height 12 m. Right column, from top: Us-b, Ko-d, Ng, volcanic sand, Spfl, Nj-Os, Kt-2, Nj-Dt, Aso-4, Toya pfl. Scale: 0–5 m. Legend: pumice fall; scoria fall; ash fall; pyroclastic-flow deposit; black humic soil; volcanic-ash soil.

WS-13-3 下北半島の段丘の指標となる洞爺テフラ

町田洋

地名:青森県風間浦村甲緯度・経度:N41°27′28″ E141°6′47″標高:40m

露頭種別・現況:道路切割堆積物の種別と年代:段丘砂礫層,降下火山灰,更新世後期記載時期:1983年8月キーワード:洞爺テフラ,畑尻段丘,下北半島

下北半島に発達する海成段丘のうち,高度40~60mの畑尻段丘は最も広く分布する.本露頭はこの段丘面上に位置する.ここでは波食台性の薄い砂礫層を覆って,厚さ3.5~4mの褐色火山灰土がのる.その下部にある黄色のテフラは,八戸付近からこの地域までの段丘上にしばしば出現するテフラで,八戸では白タフ,三沢~野辺地付近では黄色浮石と呼ばれたものである(東北地方第四紀研究グループ,1969).これは全体として細砂サイズのガラス質テフラで,南から北へ追いかけて下北地域に入ると,その基底の粒度が大きくなる.本露頭では,このテフラ(厚さ18cm)の下部に粗砂サイズないし径数mmの黄白色軽石が厚さ2~3cmできわめてはっきりと観察できる.このことは本テフラの給源がより北方,すなわち北海道にあることを示唆するものであり,その起源が洞爺カルデラであることを推測させた有力な根拠であった(町田ほか,1987).本露頭では段丘砂礫層からこの洞爺テフラ(Toya)まで厚さ10~20cmの火山灰土が載っているので,段丘の離水期からかなり時間が経過してToyaが降下堆積したことを示している.

文献:町田ほか(1987),東北地方第四紀研究グループ(1969)

段丘上のToyaを示す写真と、基底の粗粒軽石を区別した柱状図。
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図中文字(日本語)

写真:←Toya;宮内崇裕撮影。柱状図:Toya,ガラス質火山灰,粗砂サイズの軽石。スケール0~30cm。

English translation

Photograph: ← Toya; photograph by Takahiro Miyauchi. Column: Toya; glassy ash; coarse-sand-sized pumice. Scale: 0–30 cm.

下風呂南東の甲付近の海岸段丘露頭を示す地形図。
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図中文字(日本語)

5万分の1『大畑』(尻屋崎6号)。下風呂,畑尻,鳥谷湯上,甲,甲崎,赤川,大崎,ちぢり浜,佐助川,三角山,道添,岩角。可読数値6.6,5.4,282.0,73,7.2。

English translation

1:50,000 Ohata (Shiriyazaki sheet 6). Shimofuro; Hatajiri; 鳥谷湯上; 甲; 甲崎; Akagawa; Osaki; Chijiri Beach; Sasuke River; 三角山; 道添; 岩角. Legible numbers: 6.6, 5.4, 282.0, 73, 7.2.

判読上の注記

地名甲・鳥谷湯上等 — 独立した読みを確認できず、英訳で日本語を保持。

WS-13-4 秋田県男鹿半島の海成中・上部更新統と洞爺テフラなどの広域テフラ

白石建雄・的場保望

地名:秋田県男鹿市安田(あんでん)緯度・経度:N39°58′10″ E139°51′00″標高:0~20m

露頭種別・現況:海食崖,現存堆積物の種別と年代:主として沿岸浅海成堆積物,更新世中~後期記載時期: 1996年5月キーワード:男鹿半島,鮪川層,安田層,阿蘇4テフラ,洞爺テフラ,阿蘇1テフラ,白頭山男鹿テフラ

男鹿半島は日本海沿岸地域新第三系の標識地のひとつであり,古くから多くの地質学的調査研究が行われてきた.また,海成段丘の発達も顕著で,段丘地形に関する研究史も長い.第四系の研究はやや立ち後れたが,1970年代以降の,古地磁気層位学と微化石層位学を併用した研究の進展によって地層の年代の改訂が進み,厚い海成第四系の存在が明らかになった. さらに最近,広域テフラが相次いで検出され, 第四紀層位学的にも重要な地域となっている.

本露頭は男鹿半島北岸,安田(あんでん)部落西方の海食崖に見られる大露頭で,海成中・上部更新統の層序と堆積相,およびその中に介在するテフラを連続的に観察することのできる重要な露頭である.この露頭で見られる地層は下位から順に脇本層,鮪川(しびかわ)層,安田層,潟西層であり,鮪川層以上の各層はそれぞれ下位層に不整合関係で重なると考えられている.以上のような地層区分,層位関係の認識には新知見が得られた.すなわち,洞爺テフラなどの広域テフラの認定にもとづいて安田層(北里,1975)は模式地の潟西層(潟西層団体研究グループ,1983)の一部であるとする見解がある(町田ほか,1987;宮内,1988;白石ほか,1992).また安田層と本露頭での潟西層との層位関係は整合であるとの指摘がなされている(白石ほか,1992).それゆえ再検討が進められているが作業はまだ完了しておらず,ここでは従来の見解を示した.

この露頭で地層は東傾斜しているため,以上の層序は安田部落を起点として海岸を西方に進むと,上位から順に連続的に観察できる.なお海岸は砂浜海岸であり,潮位差は小さく,荒天時以外いつでも観察可能である.

安田海岸の露頭断面と、Aso-4・Toyaを含む柱状図を対比した図。
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図中文字(日本語)

方位NE。露頭:Aso-4。柱状図:Aso-4,Toya,ピンクタフ;潟西層,安田層。凡例:シルト,砂質シルト,細~中粒砂,礫,貝化石。水平スケール100m、0;垂直スケール0~30m。

English translation

Direction: NE. Exposure label: Aso-4. Column labels: Aso-4, Toya, pink tuff; Katanishi Formation; Anden Formation. Legend: silt; sandy silt; fine- to medium-grained sand; gravel; shell fossils. Horizontal scale: 100 m, 0; vertical scale: 0–30 m.

安田部落西方の海食崖露頭を矢印で示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『北浦』(男鹿1号-3)。安田。

English translation

1:25,000 Kitaura (Oga sheet 1-3). Anden.

WS-13-4(続き)

この露頭で検出されたテフラは上位から順に阿蘇4テフラ(Aso-4;白石ほか,1992),洞爺テフラ(Toya;町田ほか,1987),阿蘇1テフラ(Aso-1;白井・多田,1996),白頭山男鹿テフラ(B-Og;町田・新井,1992),男鹿パミスタフ(Oga;北里,1975)である.Aso-4は層厚15cmで,潟西層中部の黒色シルト層下位1.8mの層準に存在する.シルトと混交しているが,ほぼ中央部に肉眼でもガラスの濃集部が認められ,明らかに一次堆積した降下火山灰である.またその直上に阿蘇4火砕流(Aso-4)由来の漂流軽石が存在する(白石ほか,1992).Toyaは本露頭で最も厚くかつ目立つテフラで,安田層下部に介在する層厚37cmのガラス質火山灰である.これは従来ピンクタフとよばれていた.Aso-1は鮪川層中部の亜炭層に挟まれている層厚10cm前後のベージュ色のガラス質火山灰である.この火山灰は一時Aso-3と同定された(町田・新井,1994)が,白井・多田(1996)によりAso-1と訂正された.B-Og(町田・新井,1992,1994)は鮪川層下部Oga直上の亜炭層基底部付近に挟まれている層厚2.5cmのアルカリ流紋岩質ガラス質火山灰である.Ogaは以上の広域テフラとは異なって厚く(1.5m),しかも粗粒の白色軽石と火山灰の互層である.給源はごく近いところにあると考えられ,これまで半島西海岸の戸賀湾の周りに分布する戸賀浮石層に対比されていた(藤岡,1959).町田・新井(1994)も同様の見解を示している.なお白井・多田(1996)によると日本海海底コアの編年からAso-1およびB-Ogの噴出年代はそれぞれ約250ka,約440kaと推定されている.

文献:藤岡(1959),潟西層団体研究グループ(1983),北里(1975),町田・新井(1992,1994),町田ほか(1987),宮内(1988),白井・多田(1996),白石ほか(1992)

安田海岸下部のAso-1・B-Og・Ogaと亜炭層を示す露頭断面と柱状図。
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図中文字(日本語)

方位SW。Toya,Aso-1,B-Og,Oga;亜炭(3か所);鮪川層,脇本層。スケール0,40m。

English translation

Direction: SW. Toya; Aso-1; B-Og; Oga; lignite (three occurrences); Shibikawa Formation; Wakimoto Formation. Scale: 0, 40 m.

WS-14-1 大隅半島南部の阿多テフラ

長岡信治

地名:鹿児島県根占町野尻野南方の谷底緯度・経度:N31°6′36″ E130°45′29″標高:280m

露頭種別・現況:人工露頭,現存堆積物の種別と年代:降下テフラ,火砕流堆積物,更新世後期

記載時期:1996年1月キーワード:阿多火砕流堆積物,郡降下火山灰,阿多降下軽石,伊座敷降下火山灰,大隅半島

大隅半島南部には南九州巨大火砕流の一つ,阿多火砕流の堆積物(Ata-pfl;90~110ka)からなる台地が発達する.高さ100m以上の崖の大部分には強溶結した火砕流堆積物が露出する.その基底にはそれに先立つ降下テフラが存在しているが,その大部分は崩壊堆積物や濃い照葉樹林により覆い隠されている.この露頭は,阿多噴火に伴う降下テフラが見られる数少ない場所の一つである.花崗岩の基底より,厚さ240cmの郡降下火山灰(Ko-A),430cmの阿多降下軽石(Ata-p;荒牧・宇井,1966),95cmの伊座敷降下火山灰(Iz-A),50m以上の阿多火砕流堆積物(Ata-pfl)である(Nagaoka,1988).郡降下火山灰は軽石混じりの不淘汰な火山灰で火山豆石を含むことがある.伊座敷火山灰は火山豆石に富む.この南の佐多町付近では伊座敷降下火山灰の上位に降下軽石である佐多降下軽石(St-p)を挟むことがある.これら降下テフラは,阿多火砕流噴火に先立ってプリニー式噴火とマグマ水蒸気(水蒸気プリニー式)噴火を繰り返したことを示し,一連の阿多噴火サイクルが水底で起きたことを推定させる(Nagaoka,1988).

文献:荒牧・宇井(1966),Nagaoka(1988)

根占町野尻野南方の谷底露頭を示す地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『辺塚』(開聞岳2号-3)。野尻野,郡,伊座敷,別府,唐栄。可読数値542,384,387,396,370。

English translation

1:25,000 Hetsuka (Kaimondake sheet 2-3). 野尻野; Kori; Izashiki; 別府; 唐栄. Legible numbers: 542, 384, 387, 396, 370.

阿多火砕流と先行する降下テフラの露頭位置と拡大スケッチ。
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図中文字(日本語)

方位W。Ata-pfl,Izu-A,Ata-p,Ko-A。スケール2m。

English translation

Direction: W. Ata-pfl; Izu-A; Ata-p; Ko-A. Scale: 2 m.

判読上の注記

Izu-A — 図中はIzu-A、本文はIz-Aと印刷されているため、それぞれ保持。

WS-14-2 人吉盆地における阿蘇・阿多などの火砕流堆積物

町田洋

地名:熊本県錦町山下緯度・経度:N32°13′17″ E130°49′44″標高:130~150m露頭種別・現況:土砂採取場,現存,ただし植生に覆われ始めた堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,更新世後期記載時期:1987~1994年キーワード:阿蘇3火砕流堆積物,阿多火砕流堆積物,阿蘇4火砕流堆積物,姶良入戸火砕流堆積物,人吉盆地

九州山地に開けた人吉盆地は,北は阿蘇カルデラ,南は加久藤,小林,姶良,阿多などのカルデラからの大規模火砕流(いずれも広域テフラを形成)を堆積させているため,互いの層位関係を明らかにするには絶好の地域である.この盆地の北部,球磨川右岸の丘陵一帯にはこうした火砕流堆積物が複雑に重なっている.本露頭ではその中で阿蘇3(Aso-3),阿多(Ata),阿蘇4(Aso-4),姶良入戸(A-Ito)の諸火砕流堆積物を観察することができる.

崖の下部にあるAso-3は,Aso-4と同様粗大な軽石を含み,やや風化度が高い.その上のAtaとの間には厚い土壌が発達する.本州中部や太平洋海底堆積物中などで同定されたAso-3は,Ataに近い層位にあって,同位体ステージの5dを占めると考えられている(町田・新井,1994).

錦町山下の土砂採取場露頭位置を示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『人吉』(八代3号-4)。山下,野間,新立,滝の水,由留木,十日市,錦町,球磨川。可読数値172,163,125,134.4。

English translation

1:25,000 Hitoyoshi (Yatsushiro sheet 3-4). Yamashita; 野間; 新立; 滝の水; 由留木; 十日市; Nishiki Town; Kuma River. Legible numbers: 172, 163, 125, 134.4.

Ataは4つの火砕流堆積物中もっとも細粒で,ガラス質火山灰(火山豆石を含む)に富む.給源から100kmを越すこの遠隔地で,なお10mを越す厚さをもつことは,最大級の噴出物であることを示唆する. またその基部には多量の炭化木片が認められる.

Aso-4はここでは非溶結の粗粒軽石を含む火砕流堆積物であるが,灰黒色の溶結凝灰岩になっているところも多い.場所によっては,火山ガラスに富む基部が見られることがある.

最上部のA-Itoは,ここでの火砕流堆積物中もっとも白色で,かつ成層構造をもつ.二次シラスの様相を呈する.一方,人吉盆地では谷間を埋め,弱溶結した岩相をもつところもある.

文献:町田・新井(1994),町田ほか(1985)

山下で重なるA-Ito・Aso-4・Ata・Aso-3の露頭概念図。
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図中文字(日本語)

山下の大露頭概念図。A-Ito;Aso-4(2か所);Ata(2か所);Aso-3;道路;崖の比高約20m。

English translation

Conceptual sketch of the large Yamashita exposure. A-Ito; Aso-4 (twice); Ata (twice); Aso-3; road; cliff relief approximately 20 m.

WS-14-3 阿蘇東麓における阿蘇4テフラと阿多テフラ

町田洋

地名:熊本県荻町野鹿緯度・経度:N38°56′17″ E131°18′48″標高:430m露頭種別・現況:トンネルの壁,民家の裏など,現存堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下テフラ,更新世後期記載時期:1983~1996年

キーワード:阿蘇4テフラ,鬼界葛原テフラ,阿蘇ABCDテフラ,阿多テフラ,阿蘇3テフラ,野鹿

九州を代表する大規模火砕流堆積物,阿蘇4(Aso-4)と阿多(Ata)などの大規模テフラの層位関係は,広域テフラが分からない段階では明確ではなかった.本露頭では,Aso-4を基準にしてこの問題を解くことができる.ここでは旧道のトンネルを中心に,これから集落裏そして谷底部にかけて,Aso-4からAso-3までのテフラが観察できる.Aso-4火砕流堆積物の基底部は粗粒の異質石質岩片に富む.下位のテフラを削っているところがあり,しばしば下位のテフラ,火山灰土のブロックが含まれる.

Aso-4とAso-3との間のテフラ群は厚さ約20mで10数ユニットのスコリア,軽石,火山灰層が認められ,見かけ上岩相のちがうユニットについてA~Nという記号がつけられている(小野ほか.1972).ユニットNとAso-3Cの間(露出悪し)は,クラックが発達し,厚さ3m以上のマッシヴな褐色火山灰土をなす.なおユニットI~Nはトンネルの露頭では観察できない.ユニットABCDはAso-4/3間のテフラ中最大の一連の噴出物で,東方地域に広く追うことができる.なおAso-4/ABCD間の火山灰土の保存がよいところでは鬼界葛原テフラ(K-Tz)が確認される(バブル型火山ガラス密集帯).

ABCDテフラの下位約20cmに厚さ11cmのベージュ色のガラス質火山灰がある.これがAtaのco-ignimbrite ashで,バブル型の火山ガラスを主体とする.南九州一帯に分布する阿多テフラ(降下軽石,火砕流堆積物)との対比・同定は重鉱物組成や屈折率特性などに基づいている.Ataの日本列島陸上での産出地点は少なく,むしろ本州の南方海域に主に分布する.第四紀層序におけるAso-4とAtaの層位は,最終間氷期最盛期のあと,海洋同位体比ステージでいえば,それぞれ5bおよび5cである(大場, 1991).

文献:町田ほか(1985),大場(1991),小野ほか(1972)

野鹿周辺のトンネル露頭位置を示す図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

図1。2.5万分の1『桜町』(大分11号-3)。国方,荻原,仲村,南河内,野鹿。可読数値504,465,479,429,408。

English translation

Figure 1. 1:25,000 Sakuramachi (Oita sheet 11-3). 国方; 荻原; 仲村; 南河内; 野鹿. Legible numbers: 504, 465, 479, 429, 408.

判読上の注記

地図の細字注記 — 縦書きの小注記の一部が解像度により判読できない。

Aso-4からAso-3までのA–N諸層とAta・K-Tzを示す総合柱状図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

Aso-4,K-Tz,A,B,C,D,Ata,F,I,K,L,M,N,Aso-3。スケールm:5,0,5,10,15。

English translation

Aso-4; K-Tz; A; B; C; D; Ata; F; I; K; L; M; N; Aso-3. Scale, m: 5, 0, 5, 10, 15.

図2総合柱状図(小野ほか,1972)

WS-14-3(続き)

トンネル内のAso-4基底部、K-Tz、Aso-ABCDを示す写真。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

Aso-4基底部,K-Tz,Aso-ABCD。車両荷台の文字は判読不明。

English translation

Aso-4 basal portion; K-Tz; Aso-ABCD. Lettering on the vehicle tailgate is illegible.

図中文字・英訳データ
Aso-ABCDの下位のAta薄層を示す写真。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

Aso-ABCD,Ata(2か所)。

English translation

Aso-ABCD; Ata (twice).

WS-15-1 大分県竹田市稲葉川沿いの阿蘇3火砕流堆積物-今市,阿蘇1,阿蘇3,阿蘇4各火砕流-

小野晃司

地名:大分県竹田市七里稲葉川北岸旧国道トンネル入口脇緯度・経度:N32°58′14″ E131°24′27″標高:250m露頭種別・現況:河岸の崖,現存堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,風成テフラ,更新世中~後期記載時期: 1996年1月キーワード:今市火砕流,阿蘇1火砕流,阿蘇3火砕流,阿蘇4火砕流,諸火砕流堆積物間の降下テフラ

竹田市街は阿蘇カルデラ東側の火砕流台地の東端付近に位置し,台地は大野川・稲葉川などの深い峡谷に刻まれている.この付近の火砕流台地の主体は阿蘇3火砕流堆積物(Aso-3)(以下堆積物を省略)であり,阿蘇4火砕流(Aso-4)は台地上面を覆っているが,その基底面は稲葉川などの川底まで垂れ下がっている(図2).台地上のAso-4は非-弱溶結で,谷壁の斜面から谷底のものは強溶結である.台地部のAso-4の基底と稲葉川・大野川などの峡谷底までの高度差は80m以上ある.Aso-4流出時も,現在とよく似た(Aso-3)火砕流の台地と深い箱型の峡谷とからなる地形で,Aso-4は谷を埋めつくし,さらに台地面を覆ったが,谷埋め部の厚い断面が強く溶結したため,表面が沈下し,谷はAso-4以前の流路を正確に再現した.

本露頭は市内の岡城の北側,稲葉川北岸沿いの旧国道57号線が北へ抜けるトンネル入口の東側にあり,阿蘇1火砕流(Aso-1)からAso-4溶結凝灰岩まで連続して見える(以前は最下位に今市火砕流の溶結凝灰岩露出していたが,河川改修で埋没した).Aso-1(弱溶結,葉理が発達)から上に,古土壌を挾みつつ,阿蘇2テフラ(Aso-2TL・2T降下軽石・スコリア層,両者の間がAso-2火砕流の層準),Aso-3/2間の降下テフラ(図4;Kmは九重火山の宮城火砕流の風化末端部),Aso-3基底の3W降下軽石・Aso-3A,B火砕流(後述)が重なり(図3,4),Aso-3Bが右方の稲葉川に向かって低くなる先端を,さらにAso-4が稲葉川の谷壁をつくるように覆っている(図5).Aso-4は強溶結で,一部は基質まで黒色の緻密なガラスとなり,本質レンズが見えにくい.Aso-4には,深い谷を埋めて溶結した際の変形にともなって形成された,引っ張り節理が観察できる(柱状冷却節理に先立つ.節理面に,しぼり出しによって本質レンズが浮きだして見える.渡辺ほか,1983).

Aso-3火砕流は,阿蘇カルデラ東側では,下から,Aso-3A,-3B,-3C各火砕流のサブユニットに区別できる.Aso-3A火砕流は白~褐色のデイサイト質軽石流で,カルデラ近くでは強溶結,竹田付近では谷沿いだけに分布して非溶結,Aso-3B火砕流は無斑晶安山岩質のスコリア流で,カルデラ壁では無堆積だが,竹田西方地域では最も多量で,火砕流台地の主部をつくる.竹田西方では強溶結の部分があり,竹田市街付近では弱~非溶結である.Aso-3C火砕流は多斑晶安山岩質の非溶結スコリア流堆積物である.サブユニットの分布はカルデラの周囲各方向で同じではなく,例えばAso-3B火砕流はカルデラの西側でまだ発見されていない.

阿蘇4が阿蘇3台地と稲葉川の谷を覆う断面。
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図中文字(日本語)

岡城,稲葉川,3と4の不整合面。1,1M,3,4(複数箇所)。

English translation

Oka Castle; Inaba River; unconformity between 3 and 4. 1; 1M; 3; 4 (repeated).

図2本露頭(左端,図5と同じ)と稲葉川対岸の火砕流台地の地形と構成物

(数字は阿蘇火砕流の番号,以下同様)

竹田市七里のトンネル入口露頭を示す地形図。
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図中文字(日本語)

図1。2.5万分の1『竹田』(大分11号-1)。城町,七里,稲葉川,竹田川,竹田市,竹田町,岡城跡,渡辺。可読数値300,238,322。

English translation

Figure 1. 1:25,000 Taketa (Oita sheet 11-1). 城町; Shichiri; Inaba River; Taketa River; Taketa City; Taketa Town; Oka Castle ruins; 渡辺. Legible numbers: 300, 238, 322.

WS-15-1(続き)

本露頭のAso-3火砕流は,Aso-3Aと-3Bである.Aso-3Aは露頭右半分の,川に向かって垂れ下がった部分の下部数m(図3,5)を構成し,Aso-3Bは露頭の左半分と右の上方を占める.Aso-3Aはここでは褐色のデイサイト質軽石流で,長孔形のよく発泡した軽石と同質のガラス火山灰からなる(図3).Aso-3B火砕流は下部は非溶結で,濃褐色の基質に,安山岩の本質スコリア,緻密な(本質?)黒色安山岩ガラス団塊,Aso-3A起源の褐色軽石,外来岩片などを多量に含む.上に向かって弱く溶結し,太い柱状節理ができている.

この露頭対岸の台地(頂部に岡城)から稲葉川へ下る谷壁は,なだらかな斜面の部分はAso-4溶結凝灰岩(葉理面に平行)で,垂直な絶壁は谷壁のAso-4が剥がれて内側のAso-3Bが露出した部分である(図2,小野,1965).

文献:小野(1965),小野ほか(1977),渡辺ほか(1983)注:小野(1965)論文のAso-II,IIIは,現在それぞれAso-3,Aso-4に修正.

Aso-3基底の3A・3W・P・Qを示す露頭スケッチ。
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図中文字(日本語)

3A,3W,P,Q,1m。

English translation

3A; 3W; P; Q; 1 m.

図3Aso-3テフラの基底部のスケッチ

Aso-2からAso-3までのユニットと粒度・組成を示す柱状図。
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図中文字(日本語)

スケールm:−2,−1,0,1,2,3,4,5,6。上から3B:non-wd sc fl;lithic conc;f. pm·lith -bg ash fl。3W:c. pm;f. strat pm·lith。U:c. pm。O:grey ash/yel pm,strat alt。P:c. pm。Q:black sdy ash。R:f–m. pm。Km:hb. biot-bg f. pm scatt。S:m/c/f/m–c,pm。2T:↑ f. strat sc;c. sc。2TL:white·m·pm。

English translation

Scale in m: −2, −1, 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6. From top: 3B: non-wd sc fl [unwelded scoria flow]; lithic conc [lithic concentration]; f. pm·lith -bg ash fl [fine pumice- and lithic-bearing ash flow]. 3W: c. pm [coarse pumice]; f. strat pm·lith [finely stratified pumice and lithics]. U: c. pm. O: grey ash/yel pm [yellow pumice], strat alt [stratified alternation]. P: c. pm. Q: black sdy ash [black sandy ash]. R: f–m. pm [fine to medium pumice]. Km: hb. biot-bg f. pm scatt [scattered hornblende- and biotite-bearing fine pumice]. S: m/c/f/m–c, pm [medium/coarse/fine/medium to coarse pumice]. 2T: ↑ f. strat sc [finely stratified scoria]; c. sc [coarse scoria]. 2TL: white·m·pm [white medium pumice].

図4Aso-2からAso-3までの標準柱状図

Aso-3A・3BとAso-4の侵食境界を示す東側スケッチ。
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図中文字(日本語)

3,4(複数箇所);3B(2か所);3A;3/2;Q;1。

English translation

3 and 4 (repeated); 3B (twice); 3A; 3/2; Q; 1.

図5本露頭東側のスケッチ

WS-15-2 宮崎平野北部川南の通山浜層に介在する阿蘇3テフラ

町田洋

地名:宮崎県川南町通山二緯度・経度:N32°9′3″ E131°32′45″標高:21m

露頭種別・現況:谷壁,現存堆積物の種別と年代:火山灰,砂シルト層,更新世後期記載時期:1994年3月キーワード:阿蘇3テフラ,通山浜層,川南,宮崎平野

宮崎平野には第四紀の埋谷性堆積物の存在が古くから知られていた.大塚(1930,1932)は茶臼原段丘堆積物に覆われる海進堆積物を記載し,通山浜層と呼んだ.本露頭周辺がその模式地である。この地層の層位についてはその後最終間氷期段丘三財原より旧いとするもの,新しいとするものなど多種多様な見解が報告された.この問題に鍵を与えるのは含まれるテフラの同定である.それによっては地域的な層位編年のみでなく,氷河性海面変化史問題に一石を投じることになる.図1は平野北部の段丘とテフラとの関係を概念的に示したもので,本露頭は新田原II面構成層の下にある埋谷性堆積物の基底にある.

本露頭に接近するには海岸から小さな谷に入る.まず宮崎層群をきる巨礫の基底礫層を左側に観察できる.これは海退期にできた急勾配の川の堆積物と思われる.その上には砂礫層が厚さ4mほどつづく.左の谷を遡上すると間もなくこの砂礫層が急にシルト層に変わり,そこに厚さ50cmほどの黄褐色の火山灰層を見ることができる.これは長岡(1986),遠藤・鈴木(1986)によってそれぞれ通浜軽石および通浜凝灰岩層と記載されたものである.町田・新井(1992,1994)は,このテフラを岩石記載的特性に基づいて阿蘇3テフラ(Aso-3)に対比した(図3). Aso-3は酸素同位体ステージ5dにあたる時期の噴出物であるので(町田・新井,1994),このテフラの同定に基づけば,通山浜層はステージ5dから5cにいたる海進堆積物ということになる.それはステージ5dが大きな海退期であったことと同時に,5cが大きな海進期であったことを示唆する(図4).因みに三財原段丘旧汀線と通山浜層の基底面の比高(図1)からみて,ステージ5eから5dまでに70mも海面が低下したことになる(町田・新井,1994).

最近熊本平野では,ここと似て海成層がAso-3とAso-4の間に存在することが報告された(石坂ほか,1995).また大分平野でもAso-3とK-Tzの間に海成層が観察された(小野ほか,1996).これらの海成層はいずれも最終間氷期の産物と考えられている. しかし最終間氷期はグローバルには酸素同位体ステージ5eに限定し,5cは亜間氷期のレベルにあると考えられることが多い.最終氷期は5dに始まると考える研究者も多い.ステージ5cは5eに比べると,気候の温暖化および海面上昇の程度は小さいこと,5dに寒冷期があったと考えられることがあるからである.しかしこうした編年観も問題がないわけではない.今後の研究では,海洋コアについて酸素同位体層序の中でのAso-3の位置を再チェックすること九州におけるステージ5eの海成層の認定とその環境についてより多くのデータを集めることなどに向けられてより精度を深める必要がある.なお,広域テフラAso-3の分布は,町田・新井(1992,1994)に記したが,その後,男鹿半島や日本海の数地点ではAso-1を誤ってAso-3としていたことがわかった.

文献:遠藤・鈴木(1986),石坂ほか(1995),町田・新井(1992,1994),町田ほか(1993),長岡(1986),大塚(1930,1932),小野ほか(1996)

宮崎平野北部の段丘とKakuto・Ata・Aso-3・Aso-4などの関係。
原著 60ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

Kakuto,Ata-Torihama,Ata,Sanzaibaru,Nyutabaru I,Nyutabaru II,Aso-4,Aso-3。標高スケール100m,50,0。

English translation

Kakuto; Ata-Torihama; Ata; Sanzaibaru; Nyutabaru I; Nyutabaru II; Aso-4; Aso-3. Elevation scale: 100 m, 50, 0.

図1 宮崎平野北部(川南-茶臼原)の段丘と指標テフラとの関係(概念図)(町田・新井,1994)

WS-15-2(続き)

通山の露頭を矢印で示す川南町の図。
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図中文字(日本語)

図2。2.5万分の1『川南・高鍋』(延岡7号-4・8号-3)。針池,通山二,通浜,通山,川南町,平田。可読数値57,56,57。

English translation

Figure 2. 1:25,000 Kawaminami and Takanabe (Nobeoka sheets 7-4 and 8-3). 針池; Toriyama 2; Torihama; Toriyama; Kawaminami Town; Hirata. Legible numbers: 57, 56, 57.

宮崎・人吉・竹田・高野・富士東麓のAso-3周辺層序を対比した柱状図。
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図中文字(日本語)

左から:本露頭,人吉盆地,竹田盆地,信州高野,富士東麓。対比線・単位:Aso-4,Ata,K-Tz(2か所),Aso-3(2か所),Aso-3C,Aso-3A,Aso-3W,Tt-D,On-Pm1,P-A,P-B。厚さ:4.3m,11m,>10m。左スケールm:0,5;高野スケールcm:0,500。凡例:paleosol,scoria,pumice,ash,pyroclastic flows,silt,sand & silt,gravel,basement,lignite。

English translation

From left: this exposure; Hitoyoshi Basin; Taketa Basin; Takano, Shinshu; eastern foot of Fuji. Correlations and units: Aso-4; Ata; K-Tz (twice); Aso-3 (twice); Aso-3C; Aso-3A; Aso-3W; Tt-D; On-Pm1; P-A; P-B. Thicknesses: 4.3 m, 11 m, >10 m. Left scale in m: 0, 5; Takano scale in cm: 0, 500. Legend: paleosol; scoria; pumice; ash; pyroclastic flows; silt; sand & silt; gravel; basement; lignite.

図中文字・英訳データ 図3 Aso-3を中心とした地層の柱状図(町田・新井,1994,一部改変)

13万年間のテフラ年代と海面変化を示す曲線。
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図中文字(日本語)

Tephra:K-Ah,AT,Aso-4,K-Tz,On-Pm1,Ata,Aso-3。Age (ka):0,50,100,130。Sea level:−100,0,+100m。0.7m/ka。?(複数箇所)。

English translation

Tephra: K-Ah, AT, Aso-4, K-Tz, On-Pm1, Ata, Aso-3. Age (ka): 0, 50, 100, 130. Sea level: −100, 0, +100 m. 0.7 m/ka. ? (repeated).

図中文字・英訳データ 図4 宮崎平野におけるテフラと段丘層序から描いた最近13万年間の海面変化

WS-16-1 網走南方地域の屈斜路火砕流堆積物IV―屈斜路羽幌テフラのふるさと―

奥村晃史

地名:北海道網走市オンネナイ川上流 緯度・経度:N43°55′6″ E144°23′6″ 標高:90m 露頭種別・現況:人工露頭,現存 堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下テフラ,更新世後期 記載時期:1994年6月 キーワード:屈斜路火砕流堆積物IV,北海道東部,屈斜路羽幌テフラ,網走

屈斜路火砕流堆積物IV(KP IV)は屈斜路カルデラ起源の10層の火砕流堆積物中最大の規模をもち,分布はカルデラを中心に直径約70kmの範囲に及んでいる[略称は奥村,1991に従う.K.P. flow IV:勝井・佐藤(1963);クッチャロ4,Kc-4:町田・新井(1992)].北海道中・東部に広く分布する屈斜路羽幌火山灰(Kc-Hb)は,その岩石記載的特徴と層位からみて,このKP IVのco-ignimbrite ashと考えられる(奥村ほか,1985;奥村,1991).オンネナイ川上流の露頭ではKP IVとそれに引き続いて後期更新世に噴出したKP III,II,I,および挟在する降下テフラを観察することができる.露頭下半には明灰色のKP IVが,KP Vとpink ashを覆い単一のフローユニットとして15m以上の層厚で堆積している.KP IV基底部の1~2mは粗粒な軽石塊を欠くことが多いが,これは火砕流の一部とみられ,降下テフラのユニットは認められない.KP IVは勝井・佐藤(1969)によって記載された際,東藻琴村と網走を結ぶ線の西に分布し,その東にはKP IVと別に屈斜路岩屑流堆積物(KS)が分布するとした.その根拠のひとつに,KP IVが白色~橙白色でスコリアを含まないのに対して,KSは一般に灰白色~灰紫色,根釧原野では時に黒色を呈し,わずかながらスコリアや縞状軽石を含むことがあげられた.しかし,両者の累重関係は確認されておらず岩相・色調の変化も漸移的である.また岩石記載的特徴もよく一致することから,KP IVとKSは,一部異なるフローユニットとして堆積した可能性はあるが一連の噴火の産物とみられる(奥村ほか,1985).

KP IIとKP IIIの間には1~2cmの土壌層が存在し,二つの火砕流が僅かな時間間隙をもって噴出したことを示す.KP IIIの下位には厚さ15cmのAso-4火山灰が認められる.KP IIの基底にも火山豆石を含む細粒火山灰が存在するが,両者を比較することによって遠来の広域火山灰の特徴をよく理解することができる.

文献:勝井・佐藤(1963),町田・新井(1992),奥村(1991),奥村ほか(1985)

オンネナイ川上流の屈斜路火砕流露頭位置。
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図中文字(日本語)

5万分の1『小清水』(斜里9号)。可読数値80,100。

English translation

1:50,000 Koshimizu (Shari sheet 9). Legible numbers: 80, 100.

図中文字・英訳データ
KP IからKP Vまでの層序と挟在する降下テフラの柱状図。
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図中文字(日本語)

KP I,Spfa-1,Kpfa-2,Kpfa-3,KP II,KP III,Aso-4,Kpfa-4,Kpfa-5,20m,KP IV,Pink,KP V。左スケールは原PDF側に2m,1,0。

English translation

KP I; Spfa-1; Kpfa-2; Kpfa-3; KP II; KP III; Aso-4; Kpfa-4; Kpfa-5; 20 m; KP IV; Pink; KP V. Left-hand scale visible on the original PDF: 2 m, 1, 0.

図中文字・英訳データ
KP I・II・III・IVを示すオンネナイ川露頭写真。
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図中文字(日本語)

KP I,KP II,KP III,KP IV。

English translation

KP I; KP II; KP III; KP IV.

WS-16-2 北海道羽幌におけるクッチャロ羽幌などの指標テフラ

町田洋・三浦英樹・奥村晃史

地名:北海道羽幌町中ノ滝緯度・経度:N44°21′30″ E141°41′48″標高:20m

露頭種別・現況:海食崖,現存堆積物の種別と年代:海成砂礫層,火山灰,泥炭層

記載時期:1984年5月キーワード:クッチャロ羽幌テフラ,洞爺テフラ,阿蘇4テフラ,苫前段丘,羽幌

北海道北西部日本海岸に面した羽幌・苫前地域は海成段丘の発達がよいため,かつて北海道の海成段丘の模式地とされた(阪口,1959).本露頭は苫前段丘の海食崖最上部にある.この段丘は基盤の新第三紀層をきる波食台砂礫層の上に泥炭層,そして完新世の砂丘砂がのる.この泥炭層の中に3枚の広域火山灰層が介在する.どれも薄層であるが,そのうち中間の洞爺テフラ(Toya)がもっとも目立つ厚さ10cmの灰白色ガラス質火山灰である.この下位170cmには砂礫層最上部の粗砂がみられるが,入念に観察すると,この中にパッチ状に厚さ5cm以下の粗粒の灰白色火山灰がみられる.これはやや着色したバブル型の火山ガラスと斑晶からなり,ガラスと斜方輝石の屈折率からみて,クッチャロカルデラで第四紀最大の火砕流堆積物であるクッチャロ4火砕流(Kc-4)に対比できる.この火砕流噴火のとき降下火山灰が生産され,給源の西側地域にも降下堆積したことが明らかとなったので,これを本露頭に因んでクッチャロ羽幌テフラ(Kc-Hb)と呼んだ(Arai et al.,1986).このテフラはここではほぼ離水層準にあるが,苫前段丘の旧汀線高度が海抜約35mにあるので,本テフラは海水準が最高に達したのち15m以上低下したころに噴出,堆積したことになる.なお東北海道の釧路段丘についても,ここと同様に海成段丘面がかなり広く離水した時期にKc-4火砕流が流下堆積した.なお矢野(1970)はToyaの下位の泥層からLarix Gmeliniの遺体を報告し,現在より2~5度低い寒冷な気候を推定している.これは酸素同位体ステージ5dに当るのかもしれない.但し,この層準がToyaとKc-Hbの間なのか,Kc-Hbの下位なのか,明確ではないが,Kc-Hbの下位の泥炭層は薄いことから多分前者なのであろう.

3枚の広域火山灰のうち,もっとも遠方からの飛来物阿蘇4テフラ(Aso-4)は,特有の褐色を帯びたガラス質火山灰である.これは苫前港入口の段丘崖でも観察できる.このように本露頭は,これらのガラス質火山灰の広域分布を示唆するばかりでなく,苫前段丘の形成された酸素同位体ステージ5e以降の環境変化に関する情報を提供する.

文献:阪口(1959),矢野(1970),Arai et al.(1986),町田・新井(1992)

泥炭中のKc-Hb・Toya・Aso-4と段丘構造を示す断面。
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図中文字(日本語)

上図:植被,砂丘砂,腐植層,灰白色粘土 Spfa-1,有機質粘土,Aso-4,Toya,泥炭,Kc-Hb,海成砂層。水平0,5,10,15m;垂直0,5。下図:水平0,300m;垂直10m。凡例:砂丘砂,腐植層,褐色粘土,灰白色粘土,泥炭,海成砂層,基盤。疑問符2か所。

English translation

Upper section: vegetation cover; dune sand; humic layer; grayish-white clay, Spfa-1; organic clay; Aso-4; Toya; peat; Kc-Hb; marine sand. Horizontal scale: 0, 5, 10, 15 m; vertical: 0, 5. Lower section: horizontal 0, 300 m; vertical 10 m. Legend: dune sand; humic layer; brown clay; grayish-white clay; peat; marine sand; basement. Two question marks.

羽幌町中ノ滝の海食崖露頭を示す図。
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図中文字(日本語)

5万分の1『羽幌』(羽幌6号)。羽幌町,幸町,緑町,朝羽,栄町,寿。可読数値7.0,3.5,26.6,27.5,25,64.0,40。

English translation

1:50,000 Haboro (Haboro sheet 6). Haboro Town; Saiwai Town; Midori Town; 朝羽; Sakae Town; 寿. Legible numbers: 7.0, 3.5, 26.6, 27.5, 25, 64.0, 40.

WS-16-3 北海道厚真にみられる後期更新世広域テフラ-阿蘇,洞爺,屈斜路起源の広域テフラー

山縣耕太郎

地名:北海道厚真町軽舞緯度・経度:N42°39′48″ E141°54′00″標高:15m

露頭種別・現況:人工露頭,ほとんど崖錐によって覆われる堆積物の種別と年代:降下テフラ,更新世後期記載時期:1987年6月キーワード:阿蘇4テフラ,洞爺テフラ,屈斜路羽幌テフラ,厚真層

本露頭は段丘崖に位置する.露頭最下部には,馬追団研(1983)によって厚真層と命名され,最終間氷期の堆積物とされたシルト層が認められる.この露頭では,下部の泥炭層の中に細粒のテフラ層が数枚挟まっている.その中には,北海道に分布する後期更新世の広域テフラの中でも重要な3枚のテフラ層,阿蘇4テフラ(Aso-4),洞爺テフラ(Toya),屈斜路羽幌テフラ(Kc-Hb)が含まれる. それらのうちKc-Hb, Toyaは春日井ほか(1980)の厚真降下火山灰堆積物3,2にあたる.何れもガラス質の細粒火山灰で,Kc-HbとAso-4はバブルウォールタイプのガラスを多く含む.また,厚真降下火山灰堆積物1(Aafa1)は,クッタラ火山起源のクッタラ第8テフラ(Kt-8)に対比される. Aso-4は厚い降下軽石Kt-6(Mpfa3)の直下に橙色の細粒火山灰として認められる.

なお,上位の鵡川降下軽石堆積物(Mpfa1~3)および支笏降下軽石堆積物(Spfa1~10)については,源武および汐見三区の項(HK-22,HK-23)や山縣(1994)を参照されたい.現在,周辺のいくつかの地点(源武,二宮,豊城など)で本露頭と似た断面をみることができるが,露頭条件によってSpfa1,Aso-4, Toya, Kc-Hbの全てが観察できる露頭は今のところない.

文献:Arai et al.(1986),春日井ほか(1980),町田・新井(1992),町田ほか(1987),馬追団体研究会(1983),山縣(1994)

軽舞の露頭位置とSpfa1からAafa4までのテフラ柱状図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『軽舞』(苫小牧1号-1);軽舞,軽舞川,正楽寺;可読数値30.0,21,1.5,2。柱状図上から:Spfa1,Kt-1,Z-M,Kt-Tk,Kt-3,Spfa6,Kt-Hy,Ssfa,Yo-Mk,Kt-6,Aso-4,Kt-8,Toya,Kc-Hb,Aafa4。スケール0m,1,2。凡例:降下軽石堆積物,降下スコリア堆積物,降下火山灰,褐色火山灰土,泥炭,粘土。

English translation

Map: 1:25,000 Karumai (Tomakomai sheet 1-1); Karumai; Karumai River; 正楽寺; legible numbers 30.0, 21, 1.5, 2. Column from top: Spfa1, Kt-1, Z-M, Kt-Tk, Kt-3, Spfa6, Kt-Hy, Ssfa, Yo-Mk, Kt-6, Aso-4, Kt-8, Toya, Kc-Hb, Aafa4. Scale: 0 m, 1, 2. Legend: pumice-fall deposit; scoria-fall deposit; ash fall; brown volcanic-ash soil; peat; clay.

WS-17-1 大隅半島大根占における阿多鳥浜テフラ

町田洋

地名:鹿児島県大根占町中西緯度・経度:N31°13′42″ E130°47′19″標高:30m

露頭種別・現況:土砂採掘場跡,多分現存堆積物の種別と年代:降下軽石,火砕流堆積物,230~250ka

記載時期:1993年3月キーワード:阿多鳥浜テフラ,大根占

薩摩・大隅半島で記載された鳥浜火砕流堆積物(Ui,1971)は,大火砕流の一つで,南九州の各地で認められる.またそのco-ignimbrite ashは本州各地で同定されるようになった(町田・新井,1992).本露頭は給源火口に最も近い露頭の一つで,降下軽石からいくつかのユニットにわかれる火砕流堆積物までを観察できる.中間の火砕流のユニットは基底部に安山岩巨礫とくにやや円磨された巨礫を含み,噴火がこの近くの海底で発生したことを示唆している.また図1の■地点では火砕流が降下軽石を削り,浅海底にあったと思われる円礫を基底に敷いているとともに,上部に火砕サージ堆積物を伴う.対岸の薩摩半島でも巨大な軽石塊が火砕流堆積物に含まれている.このような分布は本テフラの噴出源が従来の阿多カルデラ内(指宿沖,おそらく阿多テフラの主火口より薩摩半島寄り)にあったことを示唆する.この一連の噴出物を阿多鳥浜テフラ(Ata-Th)と呼ぶ.

本テフラは岩質的には黒雲母含有斜方輝石角閃石流紋岩で若干の石英をふくむ.この鉱物組み合わせと類似したテフラを南九州で探すと,樋脇テフラおよび鬼界カルデラ起源とみなされる小瀬田テフラがあるが,斜方輝石や角閃石の屈折率が異なるので区別できる.

また本テフラのco-ignimbrite ashの火山ガラスは高シリカでバブル型である.本州各地で本テフラが産出する層位を考慮すると,本テフラはおそらく酸素同位体ステージの8から7への移行期の,海面がまだかなり低かった時期に噴出したものと考えられる(町田・新井,1992).

文献:町田・新井(1992),Ui(1971)

大根占の位置図、阿多鳥浜露頭写真と降下軽石・火砕流柱状図。
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『大根占』(開聞岳1号-4);木場,木原,馬場,山口;可読数値40,61.0,93。柱状図:火砕流堆積物,降下軽石,5m。写真自体に可読注記なし。

English translation

Map: 1:25,000 Onejime (Kaimondake sheet 1-4); 木場; 木原; 馬場; 山口; legible numbers 40, 61.0, 93. Column: pyroclastic-flow deposit; pumice fall; 5 m. No legible annotations within the photograph.

WS-17-2 宮崎平野南西部の阿多鳥浜テフラと上位のテフラ群

長岡信治

地名:宮崎県綾町釜牟田緯度・経度:N31°59′17″ E131°11′43″標高:210m

露頭種別・現況:道路の切割堆積物の種別と年代:風成テフラ,更新世中~後期記載時期:1996年1月

キーワード:久木野礫層,阿多鳥浜テフラ,宮崎平野

宮崎平野の西・南西縁には,茶臼原・久木野・東原・椎原などの中期更新世の河成段丘が発達する(長岡,1986).このうち,平野南西部にある久木野段丘は,加久藤火砕流堆積物以後の中期更新世~完新世のテフラに厚く覆われ(長岡, 1984),南九州の主なテフラの層序関係が確認できる場所である.この露頭では,久木野礫層(高位段丘堆積物;野井, 1987)を覆うテフラ群が観察できる.最下位にある阿多鳥浜テフラ(Ata-Th;230~250ka)は灰白色,風化した非溶結火砕流堆積物である.その上には次のテフラ群が識別される.釜牟田テフラ(スコリア)I(Km-I),釜牟田テフラ(スコリア)II(Km-II),釜牟田テフラ(スコリア)III(Km-III),阿多テフラ(Ata),鬼界葛原テフラ(K-Tz),姶良福山テフラ(A-Fk),綾テフラ(Ay),姶良岩戸テフラ(A-Iw),霧島岩オコシテフラ(Kr-Iw).Ataを除き降下テフラである.露頭では,大部分のテフラが風化していてややわかりにくいが,Ata-Thと黄白色の細粒軽石で角閃石を含むA-Fkが目立ち,良い鍵層となる.ここでは,Kr-Iwより上位のテフラは浸食されているが,周辺の台地上の平坦面が発達しているところでは見ることができる.露頭南方の台地の中央部では久木野礫層の中に加久藤テフラ(Kkt),さらに小林テフラ(Kb-Ks;火砕流・降下軽石)が確認できる(野井,1987).

文献:長岡(1984,1986),野井(1987)

久木野礫層上のAta-Th・釜牟田I–III・阿多・姶良等のテフラ断面。
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図中文字(日本語)

方位E,S。Kr-Iw,A-Iw,Ay,A-Fk,K-Tz,Ata,Km-III,Km-II,Km-I,Ata-Th,久木野礫層,道路面。2m。

English translation

Directions: E, S. Kr-Iw; A-Iw; Ay; A-Fk; K-Tz; Ata; Km-III; Km-II; Km-I; Ata-Th; Kukino Gravel; road surface. 2 m.

綾町釜牟田の道路切割露頭位置。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『紙屋』(宮崎13号-1)。南俣,釜牟田,米田。可読数値202,258,225,208。

English translation

1:25,000 Kamiya (Miyazaki sheet 13-1). 南俣; Kamamuta; 米田. Legible numbers: 202, 258, 225, 208.

WS-17-3 南関東大磯丘陵における阿多鳥浜テフラの層位

鈴木毅彦

地名:神奈川県小田原市曽我大沢緯度・経度:N36°58′53″ E139°10′35″標高:75m露頭種別・現況:沢沿いの自然露頭堆積物の種別と年代:降下テフラ,ガラス質細粒火山灰層,更新世中期記載時期:1990年3月

キーワード:大磯丘陵,阿多鳥浜テフラ,ベージュタフ,多摩C上部テフラグループ,多摩ローム層

阿多鳥浜テフラ(Ata-Th)の噴出年代を決める上で南関東の大磯丘陵における同テフラの層位を明らかにすることはきわめて重要であった.同丘陵においてAta-Thに相当するテフラは,当初,森ほか(1982)によりベージュタフとよばれ,大磯丘陵西部に位置するA沢と曲沢(まがっさわ)とよばれる2本の小沢でTm-5(上杉,1976)の直下にあるバブル・ウォール型火山ガラスの密集帯として記載された.鈴木・早津(1991)はベージュタフの岩石記載的特徴を明らかにし,その結果をもとにこのテフラが南九州の阿多カルデラを給源とするAta-Thに対比できることを示した.大磯でのAta-Thの層位は, Tm-5すなわちTCu-3(町田ほか,1974)の下位でTCu-2の上位である.このような箱根火山起源のテフラとの層位関係と他のテフラのフィッション・トラック年代値からAta-Thの噴出年代が240ka前後,すなわち酸素同位体ステージ7頃と推定された(鈴木・早津,1991).下図左ではA沢の露頭を示す.A沢と曲沢ではともに層厚8~10cmのガラス質細粒火山灰層として野外でも明瞭に認識できる.しかしながら両地点とも断層や河成礫などにより前後のテフラとの関係がわかりにくい.これに対して北方の菊川支流の沢(■地点)ではTCu-1からTCu-4前後までのテフラが整然と露出しており,Ata-Thの火山ガラスの濃集する火山灰土がTCu-2とTCu-3の間(上杉,1976のTm-3とTm-4の間)にあることが確かめられている(下図右).但しこの露頭でのAta-Thは層をなさず,肉眼での識別は難しい.なお,多摩丘陵における多摩ローム層の古典的層序でいえば,Ata-Thはおし沼砂礫層の上にのる多摩ローム層中のTCu-1(ドーラン軽石)とTB-1(バヤリース軽石)との中間の層位を占める.

文献:町田ほか(1974),森ほか(1982),鈴木・早津(1991),上杉(1976)

A沢のAta-Th露頭と断層・河成礫を示すスケッチ。
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図中文字(日本語)

TB-8 (=Tm-19),?,TCu-3 (=Tm-5),Ata-Th,TCu-1 (=Tm-2),断層,上流,川,下流,2m。A沢でのAta-Th露頭スケッチ。

English translation

TB-8 (=Tm-19); ?; TCu-3 (=Tm-5); Ata-Th; TCu-1 (=Tm-2); fault; upstream; river; downstream; 2 m. Sketch of the Ata-Th exposure at A Stream.

菊川支流のTCu-1~4とAta-Th層位。
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図中文字(日本語)

TCu-4,TCu-3 (Tm-5),Tm-4,Ata-Th,TCu-2 (Tm-3),TCu-1,下流,上流,1m。菊川支流露頭のスケッチ。

English translation

TCu-4; TCu-3 (Tm-5); Tm-4; Ata-Th; TCu-2 (Tm-3); TCu-1; downstream; upstream; 1 m. Sketch of the Kiku River tributary exposure.

曽我大沢と菊川支流のAta-Th露頭を示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『小田原北部』(横須賀13号-1)。川原,曽我大沢,井窪。可読数値130,184,193.4,105,83。

English translation

1:25,000 Northern Odawara (Yokosuka sheet 13-1). 川原; Soga-Osawa; 井窪. Legible numbers: 130, 184, 193.4, 105, 83.

WS-18-1 大分県竹田市街の阿蘇1火砕流―阿蘇1火砕流と,阿蘇3/4テフラ,今市,鷹匠町火砕流など―

小野晃司

地名:大分県竹田市竹田県立竹田高校武道館裏の崖緯度・経度:N32°57′56″ E131°24′02″標高:250m露頭種別・現況:人工露頭,現存,一部被覆堆積物の種別と年代:主に火砕流堆積物,更新世前~後期記載時期:1996年2月キーワード:今市火砕流,鷹匠町火砕流.阿蘇1火砕流,阿蘇3火砕流,阿蘇4火砕流

竹田市街は阿蘇カルデラ東側の火砕流台地の東端付近に位置し,西から稲葉川,玉来川,大野川本流などの河川が扇形に集まって合流している.そのため今市,阿蘇1(Aso-1),阿蘇3(Aso-3),阿蘇4(Aso-4)など(ここでは谷埋型の)多くの火砕流堆積物を集中的に観察することができる.本露頭は竹田高校旧グラウンド裏で,左に稲葉川がある(図1のG地点)この露頭は笹に覆われた部分が多いので一部を除き接触関係は見えないが,各ユニットの位置関係はよくわかる(図2).露頭最下部は今市火砕流堆積物(以下堆積物を省略)で,非溶結の淡褐色軽石流(今市火砕流のこの岩相は珍しい),その右上方に,右に傾くAso-1溶結凝灰岩(後述)と阿蘇2(Aso-2)T降下スコリア層,その上は右頂上部までAso-3火砕流である.左の斜面はAso-4溶結凝灰岩が覆うが,頂部でのAso-3との接触面はほぼ垂直で,厚さ10cmほどの黄色非溶結のガラス火山灰から左方へ急激に溶結度が増し,葉理面は垂直から緩傾斜に変化するのがわかる.この露頭の右裏側へまわると同高校のグラウンドで,その東側切割にAso-3のよい断面が基底から観察できる.Aso-3は下部は非溶結のスコリア流で平滑な斜面をつくり,上部は溶結し,柱状節理による垂直な壁面をつくる.図2に示したAso-4,Aso-3の接触面はAso-3のこの風化面の形で規定されたことがわかる.本露頭でAso-4溶結凝灰岩が現在の谷に向かって傾くのは,Aso-4前の谷壁を覆った断面を見ていることになる.

竹田高校正門前の道路の向かい側に小さい歩道トンネルがあり,それを抜けた右側に鷹匠町火砕流の露頭(地図のT地点)がある.黒雲母流紋岩の白色非溶結の軽石流で,今市・Aso-1両火砕流の中間にある.付近の稲葉川の河床は主に今市火砕流の赤色,気相晶出帯の溶結凝灰岩で,ところどころAso-4が埋めた旧河道を横切る場所にAso-4溶結凝灰岩(ここでは今市火砕流の溶結凝灰岩より硬いので河床が少し高い)が露出している.

Aso-1火砕流は阿蘇カルデラ周辺の火砕流台地の下部を構成し,竹田市街付近は現在の露出の東縁に近い.なお,強溶結部の岩相は下位の今市火砕流のものと酷似し,逆帯磁の今市火砕流と磁化方位のみによって区別することがある.

今市と阿蘇1~4の接触関係を示す露頭スケッチ。
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図中文字(日本語)

1,3(複数箇所),4(2か所),2T,IM(2か所),1F(2か所)。

English translation

1; 3 (repeated); 4 (twice); 2T; IM (twice); 1F (twice).

図2 本露頭のスケッチ.1~4はAso-1~Aso-4;IM,今市テフラ;1F,Aso-1の降下テフラ;2T,Aso-2の降下スコリア.

竹田高校露頭Gと他の火砕流観察地点T・K・Uの地図。
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図中文字(日本語)

図1。2.5万分の1『竹田』(大分11号-1)。G,T,K,U;竹田町,竹田市,渡辺,稲葉川,竹田川。可読数値238,322,250。

English translation

Figure 1. 1:25,000 Taketa (Oita sheet 11-1). G, T, K, U; Taketa Town; Taketa City; 渡辺; Inaba River; Taketa River. Legible numbers: 238, 322, 250.

WS-18-1(続き)

Aso-1溶結凝灰岩は薄いが強く溶結し,左上にレンズ状に尖滅,下に白~ピンクのプリニアン軽石・火山灰をともなっている.竹田市街地で見られるAso-1火砕流の大部分は,本露頭のものと岩相が似ている.竹田高校南側の通用門前の露頭(現在はコンクリートに覆われて見えない)の柱状図を図3に示す,Aso-1サイクルの噴出物(A~D)は厚さ2m+で,上面は見えていない(上部の非溶結部はあったとしても薄かったと思われる).Aは黄灰色の降下軽石,Bも降下堆積物らしく,黒色砂状の火山灰と桃白色の砂サイズの軽石が繰り返す.C,Dは火砕流堆積物である.Cは多分サージ堆積物で,ほとんど暗褐色砂状のガラス火山灰のみからなる非溶結の堆積物であり,不明瞭に成層し,結晶に富む薄層を挟む.DはCの上から急激に溶結し,約30cmで暗褐色緻密なガラス質溶結凝灰岩に移化する.上部は高温酸化のため,赤褐色を呈し,この色はAso-1の表面に特徴的である.楕円体形の黒色ガラス質本質レンズは溶結凝灰岩の下部では小型であり,上部では大型で目立つ.なおAso-1の下位には,風化土壌を挟み,鷹匠町火砕流の表面風化部がある.この地点と同様なAso-1の岩相の露頭は市街地の各所に分布し,とくに滑瀬橋南方(地図のK地点)など,大野川川床より比高50mも高い地点にも,今市火砕流を覆って分布している.

Aso-1は,魚住ダム右岸下流側の河床(地図のU地点)の岩盤をつくり,河床堆積物の礫を含む粘土層を挟んで,谷埋めのAso-4溶結凝灰岩に覆われる.この地点や周辺のAso-1は,上に記載した薄い断面のものと岩相がいちじるしく異なる.厚さは数m以上で,下部は露出していない.脱ガラス化した帯紫暗灰色緻密な溶結凝灰岩で,(多分脱ガラス化のため)きわめて硬い.偏平化した本質レンズと外来岩片を顕著に含む.位置関係と岩相から見て,U地点付近のAso-1は,今市火砕流を切る深さ50m以上の谷を埋めた本流部の厚い堆積物であり,薄く,しばしば傾斜し,レンズ状に尖滅するものは,谷壁の翼部にあたるのであろう.

文献:小野ほか(1977)

Aso-1噴火サイクルA–Dの降下物・火砕流・溶結変化を示す柱状図。
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図中文字(日本語)

m:0,1,2。D:reddish brown wd tf with obsidian lens;dark brown vitric wd tf;coarser band。C:non-wd dark brown vitric ash;xl ash。B:pink-white pm sd;black sd。A:white, clayey;yel gray fall pm。下位:humus soil;lighter color (pm bed?);biot-bg soil。

English translation

m: 0, 1, 2. D: reddish brown wd tf with obsidian lens [reddish-brown welded tuff with obsidian lenses]; dark brown vitric wd tf [dark-brown glassy welded tuff]; coarser band. C: non-wd dark brown vitric ash [unwelded dark-brown glassy ash]; xl ash [crystal ash]. B: pink-white pm sd [pinkish-white pumice sand]; black sd [black sand]. A: white, clayey; yel gray fall pm [yellowish-gray pumice fall]. Below: humus soil; lighter color (pm bed?) [pumice bed?]; biot-bg soil [biotite-bearing soil].

図3Aso-1の層準を示す標準柱状図

竹田高校裏で今市・阿蘇の諸火砕流が重なる大露頭。
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WS-18-2 八ケ岳東麓に産出する阿蘇1テフラに対比される可能性をもつガラス質細粒テフラ

鈴木毅彦

地名:長野県南牧村川平緯度・経度:N36°1′27″ E138°31′10″標高:1,150m

露頭種別・現況:段丘崖斜面の自然露頭堆積物の種別と年代:風成テフラ,ガラス質細粒火山灰層,更新世中期記載時期:1995年7月キーワード:八ヶ岳東麓,阿蘇1テフラ,ヌカ4

中部日本の八ヶ岳火山東麓には同火山を給源とする累しい数の風成テフラ層が堆積している.それらの間には八ヶ岳火山由来ではなく,はるか遠方の火山より到達したとみられる細粒な火山ガラスを主体としたテフラが複数みられる.これらのガラス質火山灰層は八ヶ岳団体研究グループ(1988),鈴木・早川(1990),吉川ほか(1990)などにより記載された.このうち鈴木・早川(1990)がヌカ4と称したものは,加久藤テフラ(Kkt;ca.300ka;町田・新井,1992;WS-19-4参照)や大町APmテフラ群(300~350ka;鈴木・早川,1990)のやや上に位置する層厚20cmのガラス質細粒火山灰層で,吉川(1990)は本テフラを阿蘇1テフラ(Aso-1;小野ほか,1977)に対比した.本テフラが露出する露頭は川平付近,さらに千曲川上流の川上村にもあるが,崖錐に埋もれるなどして状況は悪化している.ここでは段丘崖斜面の中にあり見つけにくいものの,当分保持されるであろう露頭を紹介する.

川平集落250m西方付近の森林に覆われた山地斜面にあり,高さ約3.5mの自然露頭でその最上部に露出する.すぐ上をLw.O.P(八ケ岳研究グループ,1988)に覆われ,10.5cm下位にはヌカ3とよばれる層厚2cmのガラス質火山灰層がある.なお,このヌカ3は火山ガラスの屈折率などヌカ4とよく似た特徴を持ち,ヌカ4との関係を含め興味ある問題を残している.

文献:吉川(1990),鈴木・早川(1990),町田・新井(1992),小野ほか(1977),八ヶ岳研究グループ(1988)

Lw.O.P直下のヌカ4とさらに下位のヌカ3を示す露頭写真。
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図中文字(日本語)

Lw.O.P,ヌカ4 層厚20cm,ヌカ3 層厚2cm。

English translation

Lw.O.P; Nuka 4, thickness 20 cm; Nuka 3, thickness 2 cm.

95年5月撮影

川平西方の自然露頭位置を示す地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『御所平』(甲府5号-3)。川平,南牧村,広瀬。可読数値1156,1150,1207。

English translation

1:25,000 Goshodaira (Kofu sheet 5-3). Kawadaira; Minamimaki Village; Hirose. Legible numbers: 1156, 1150, 1207.

WS-19-1 静岡県有度丘陵にみられる中期更新世の広域テフラ,Ng-1火山灰

水野清秀

地名:静岡市安居北方緯度・経度:N34°57′36″ E138°27′40″標高:50m

露頭種別・現況:谷壁,現存堆積物の種別と年代:海成層,更新世中期,約300ka記載時期:1996年1月キーワード:Ng-1火山灰,根古屋層,有度丘陵

Ng-1火山灰は,北アルプス付近の火山から約300kaに噴火したと推定される,西南日本に分布する広域テフラである(水野・吉川,1991).その模式地は有度丘陵にあり,近藤(1985)によって命名された.本テフラは根古屋層と呼ばれる海成一扇状地成の地層中に挟まれている.この地層の層序は近藤(1985)が詳しく記載している.本露頭は,安居集落の西側の沢を北へ600mほど入り,さらに東側の枝沢(手前に小さな堰堤がある)を50mほど入った地点で,Ng-1火山灰層はシルト,砂,礫の互層中に挟まれ,Ng-1火山灰層の5mほど上位以上に厚い礫層が発達している.近藤(1985)によるNg-1火山灰層の模式地はこのひとつ北側の沢である.本露頭では,Ng-1火山灰層は厚さ約30cm,灰白色の細粒ガラス質火山灰からなり,上部20cmほどは二次堆積とみられる.Ng-1の岩石記載的特徴については,水野・吉川(1991)に詳しく書かれている.

文献:近藤(1985),水野・吉川(1991)

谷壁に露出するNg-1火山灰の範囲を矢印で示す写真。
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図中文字(日本語)

N,S。矢印の範囲がNg-1火山灰層。1996年1月撮影。

English translation

N; S. The interval between the arrows is the Ng-1 ash bed. Photographed in January 1996.

安居北方のNg-1露頭位置を示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『静岡東部』(静岡11号-1)。久能山,根古屋,安居,東照宮。可読数値246,250,50,11.9,12。

English translation

1:25,000 Eastern Shizuoka (Shizuoka sheet 11-1). Kunozan; Negoya; Ago; Toshogu Shrine. Legible numbers: 246, 250, 50, 11.9, 12.

WS-19-2 愛媛県野村盆地高位段丘堆積物中の広域テフラ,Ng-1(野村2)火山灰

水野清秀

地名:愛媛県東宇和郡野村町大田緯度・経度:N33°21′36″ E132°39′4″標高:160m

露頭種別・現況:人工露頭,現存?

堆積物の種別と年代:淡水成層,更新世中期キーワード:野村盆地,Ng-1火山灰,高位段丘

愛媛県野村町の宇和川流域に発達する段丘の中で,最高位の段丘堆積物中に2枚のテフラが挟まれていることが鹿島ほか(1982)によって報告された.水野・吉川(1991)は2枚のテフラを下位から野村1,野村2火山灰層と呼び,下位のテフラを加久藤,上位のテフラをNg-1火山灰に対比した.Ng-1火山灰は約300kaに北アルプス付近から噴出したと推定される広域テフラで(水野・吉川,1991),本露頭は知られている分布の西端に当たる.Ng-1火山灰に対比される野村2火山灰層は露頭の中部にあり,厚さ約50cmの灰白色ガラス質の火山灰からなる.層相は細かく見ると6層ほどに別れるが,水流の影響による二次堆積の部分を含んでいる可能性がある.細かな重鉱物粒子が点在しているのがみられる.この5mほど下位に厚さ約40cm,ガラス質の野村1火山灰層がある.少し北側の露頭には両テフラの中間の層準に材化石を含む泥炭層がみられ,アカガシ亜属,アブラギリ属などの温暖種と,サワラ,モミ属などが混ざって産出している.また,野村2火山灰層の上位にも炭質シルトが2枚ほどみられ,ここから転げ落ちたと推定されるトウヒ属の球果が付近で見つかった(同定はすべて千葉大学の百原新氏による).

野村町大田のNg-1・加久藤露頭位置を示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『野村』(松山8号-2)。山本,中屋敷,荒瀬,中ノ村,野村,大田。可読数値60,61.5。

English translation

1:25,000 Nomura (Matsuyama sheet 8-2). 山本; 中屋敷; 荒瀬; 中ノ村; Nomura; Ota. Legible numbers: 60, 61.5.

野村1(Kkt)・野村2(Ng-1)と炭質シルト・泥炭を対比した柱状図。
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図中文字(日本語)

シルト,礫,野村2火山灰(Ng-1),炭質シルト-泥炭,野村1火山灰(Kkt)。スケール5m,0。1989年3月記載。

English translation

Silt; gravel; Nomura 2 ash (Ng-1); carbonaceous silt–peat; Nomura 1 ash (Kkt). Scale: 5 m, 0. Described in March 1989.

文献:鹿島ほか(1982),水野・吉川(1991)

WS-20-1 人吉盆地における加久藤テフラ

町田洋

地名:熊本県錦町山下緯度・経度:N32°13′20″ E130°49′45″標高:150m

露頭種別・現況:農地造成のための切り取り崖,多分現存堆積物の種別と年代:風成テフラ,火砕流堆積物記載時期:1993年3月キーワード:加久藤テフラ,加久藤火砕流堆積物,人吉盆地

従来南九州各地で上部加久藤,新川,犬迫,萩の元,地久里など場所と研究者によって異なった名称で呼ばれていた火砕流堆積物は,同一層で,加久藤カルデラに由来する中期更新世の大規模火砕流である(町田・新井,1992).この加久藤テフラ(Kkt)は降下軽石を伴わず,火砕流堆積物とそのco-ignimbrite ashからなる.人吉盆地では,溶結凝灰岩になっていることが多いが,本露頭では非溶結の風化した火砕流堆積物である.ここでは大きな侵食面を隔てて阿蘇4火砕流(Aso-4)と姶良入戸火砕流(A-Ito)に覆われるが,近くの別な露頭(消滅)では阿多火砕流および阿蘇3火砕流の各堆積物にも覆われている.また鹿児島市北部の河頭地域では,阿多鳥浜火砕流堆積物より下位にある(WS-20-2).

本テフラは輝石流紋岩質で,屈折率1.500~1.502のバブル型火山ガラス(本露頭では,高温酸化のためか濃く色づく)とやや高い屈折率の斜方輝石で特色づけられる.こういう特色をもつガラス質火山灰は広く九州・本州各地で認められるようになり,この噴火でco-ignimbrite ashが生じたことが明らかとなった(町田・新井,1992).その産出層位は明らかに酸素同位体ステージ5eより2つ前の大きな間氷期の海進期にあたり,放射年代や中部地方(八ヶ岳東麓)での他のテフラとの層位関係を加味すると,噴出年代は約300kaより少し古く,酸素同位体ステージの9に入ると考えられる.

文献:町田・新井(1992)

錦町山下の加久藤火砕流露頭の地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『人吉』(八代3号-4)。野間,山下,滝の水,一野間,山川。可読数値172,156,125。

English translation

1:25,000 Hitoyoshi (Yatsushiro sheet 3-4). 野間; Yamashita; 滝の水; 一野間; 山川. Legible numbers: 172, 156, 125.

Kkt上の侵食面とAso-4・A-Itoを示す露頭スケッチ。
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図中文字(日本語)

A-Ito(2か所),Aso-4,Kkt,崖の比高約10m,農道。火砕流堆積物の層序。

English translation

A-Ito (twice); Aso-4; Kkt; cliff relief approximately 10 m; farm road. Stratigraphy of the pyroclastic-flow deposits.

WS-20-2 鹿児島市河頭における加久藤・樋脇などの大規模火砕流堆積物

町田洋

地名:鹿児島市河頭緯度・経度:N31°39′03″ E130°30′40″標高:80~100m

露頭種別・現況:採石場,現存堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下軽石,更新世中期記載時期:1969年3月,1994年キーワード:加久藤テフラ,樋脇テフラ,河頭

鹿児島市北部の河頭(こがしら)周辺は,前期更新世から中期更新世の火砕流堆積物が海成層とともに記載された地域である(大木・早坂,1970;大木,1974など).本露頭ではそれらの上部層がまとまって観察できる.なおここは稼働中の採石場なので,露頭は時々刻々変化する.図のように露頭の上部と下部に顕著な溶結凝灰岩がある.上部のものは犬迫,下部は下門と呼ばれたもので,それぞれ加久藤(Kkt),樋脇火砕流堆積物(Hw)に相当する.谷を埋積するKktは基底部に角礫層と非溶結部をもつ輝石流紋岩質の火砕流堆積物で,上面は砂礫層にきられる.なお地形図上の■印の地点では, Kktは阿多鳥浜火砕流堆積物に覆われている.

Hwは砂礫層を覆う.輝石角閃石流紋岩質で,強溶結部は有用石材として用いられている.両者の間にはHwの再堆積層や上下を赤色土(現在はみえない)に境された別の火砕流堆積物(未命名)などがある.したがってHwとKktの間の時間間隔はかなり長かったと考えられる.なおHwの強溶結部にみられる水平な節理は,非溶結の火山灰によって充填されている.この火山灰は岩質的にはHwとは異なり,上記の未命名火砕流堆積物と似ているので,この噴火で入り込んだものであろう.

Hwは下部加久藤火砕流堆積物とも呼ばれており(宮地,1987),Kktと同様加久藤カルデラから噴出し,南九州を広く覆う火砕流堆積物である.その噴出年代は500~600ka(FT年代)と測られているが,この噴火に伴って形成された降下火山灰が見い出されれば,本テフラの編年上の意義はより明確になるであろう.

Hwより下位の蒲ヶ原や花野などの火砕流堆積物および海成の河頭層は,ここより西側の小山田地区や南側の花野口などで観察できる.

文献:町田・新井(1992),宮地(1987),大木(1974),大木・早坂(1970)

Kkt・未命名火砕流・Hwと溶結帯の関係。
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図中文字(日本語)

Kkt,強溶結部,非溶結部(2か所),未命名火砕流堆積物,Hw,溶結部,砂礫層。スケール10m,0。

English translation

Kkt; strongly welded portion; unwelded portion (twice); unnamed pyroclastic-flow deposit; Hw; welded portion; sand and gravel. Scale: 10 m, 0.

鹿児島市河頭の採石場露頭と北方の別露頭を示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『鹿児島北部』(鹿児島7号-3)。小山田町,稲村,川田,柿原,柳瀬。可読数値186.6,100,200。

English translation

1:25,000 Northern Kagoshima (Kagoshima sheet 7-3). Oyamada Town; 稲村; 川田; 柿原; 柳瀬. Legible numbers: 186.6, 100, 200.

WS-20-3 大分市丹生台地における高位段丘と加久藤テフラ

町田洋

地名:大分市丹生種具(緑が丘保養園前)緯度・経度:N33°12′30″ E131°42′15″標高:80m露頭種別・現況:土砂採取場,現存堆積物の種別と年代:火山灰,砂礫層,シルト層

記載時期:1990年11月キーワード:加久藤テフラ,大在層,丹生台地

本露頭では,大分丹生台地の高位段丘堆積物(大在層)中に,加久藤火砕流堆積物と同時の降下火山灰(Kkt)が観察できる.これは砂礫層に挟まれる厚さ40cm内外の灰白色火山灰層であるが,1981年当時宅地造成中であった迫谷(ここから1km北方)では,厚さ1mのものが観察できた.このテフラを詳しく観察すると,逆級化が認められ,最下部の3~4cmはごく細粒であるが,その上位には厚さ約10cmの,粒径2mmの軽石をふくむ粗粒の火山灰層がのり,さらに上位は再び細粒火山灰層となる.全体として透明な流紋岩質バブル型火山ガラスを主体とし,斑晶として輝石,わずかに角閃石を随伴する.本テフラの上位にあるシルト層は葉理を発達させ,植物や貝の化石をともなう.これは大分層群をきる大在層の上部で,丹生台地における高位段丘を構成する.Kktの介在からみて,この地層は酸素同位体ステージ9,すなわち南関東の鴛沼砂礫層に対比されると考えられる.丹生台地におけるこの時期の最高位旧汀線高度は海抜80mより高い.

なおこの露頭は大野川低地に面する大きな断崖の最上部にあり,きわめて危険である.

文献:町田・新井(1992)

Kktを含む砂礫層と含貝化石シルト層のスケッチ、灰層の写真。
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図中文字(日本語)

層理の発達した含貝化石シルト層,Kkt,砂礫層。全体5m;拡大50cm。写真に可読文字なし。

English translation

Well-stratified shell-fossil-bearing silt; Kkt; sand and gravel. Overall scale 5 m; enlarged interval 50 cm. No legible lettering within the photograph.

丹生種具の段丘最上部露頭の位置図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『鶴崎』(大分5号-2)。西受,大野川,昭和井,丹生,野田岡,浄願寺,種具,野間。可読数値81.5,42。

English translation

1:25,000 Tsurusaki (Oita sheet 5-2). 西受; Ono River; 昭和井; Nyu; 野田岡; 浄願寺; Tanegu; 野間. Legible numbers: 81.5, 42.

WS-20-4 八ヶ岳東麓における加久藤テフラと信州の指標テフラ群

町田洋

地名:長野県南牧村広瀬緯度・経度:N36°0′0″ E138°31′13″標高:1,130m

露頭種別・現況:土木資材置き場の崖,現存堆積物の種別と年代:降下火山灰,降下軽石,降下スコリア,更新世中期記載時期:1995年5月キーワード:加久藤テフラ,大町APm群,八ケ岳東麓

八ケ岳東麓は八ヶ岳起源のテフラが厚く発達するために(八ヶ岳団研,1988),遠方から飛来した中期更新世のテフラがその間によく保存されている地域である(WS-18-2参照).本露頭では八ヶ岳起源の泥流(岩屑流)堆積物やスコリア層,軽石層の間に,ベージュ色の細粒火山灰(加久藤テフラ;Kkt),その下位に大町APm(クリスタル・アッシュ)群の一つの軽石層および八ヶ岳起源と思われる粗粒軽石層が観察できる.Kktは風化のためやや白濁したバブル型火山ガラスを主体とし,僅少の輝石斑晶を伴う.下位の厚さ30cmの軽石層は黒雲母,角閃石,長石などの斑晶に富む径1cmの軽石を含むもので,従来八ヶ岳山麓に分布する3枚の黒雲母軽石のうちB2(八ヶ岳団研,1988)とされたものに当る.そして大町のA3Pmに対比される(鈴木・早川,1990).その直下にある厚さ1.2mの粗粒軽石層は,角閃石を特徴的に多量に含み,八ヶ岳団研(1988)が記載した角閃石含有白色軽石に当る.さらにその直下には,上記B2に似た,斑晶の多い細粒軽石層(八ヶ岳団研,1988のB1)が観察できる.鈴木・早川(1990)によると,これらのテフラは関東平野西部(たとえば秩父市安立)で,多摩E-5テフラ(TE-5)の上位に出現し,中部山岳と関東平野の中期更新世を結ぶテフラである.なおこの八ヶ岳東麓のテフラのうちBBPと呼ばれた軽石層(飯島,1967;南関東のゴマシオ軽石に対比される;新井,1972)は,本露頭でみられる層準よりかなり上位にある.

Kktは厚さ10cmに達し,この噴火がきわめて大規模であったことを示唆する.したがって,これより東方の地域でも,見い出される筈で,中期更新世酸素同位体ステージ9の時期の環境変遷を明らかにする上で重要である.このように本露頭はKktによって九州と本州中部の中期更新世のテフラを結び,地史を解くのに重要な意義をもつといえる.

文献:新井(1972),飯島(1967),鈴木・早川(1990),八ケ岳団研(1988)

Kktと下位のB2(A3Pm)を示す露頭全景。
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図中文字(日本語)

←Kkt;←B2 (A3Pm)。

English translation

←Kkt; ←B2 (A3Pm).

Kktの薄い細粒火山灰層の拡大写真。
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図中文字(日本語)

Kkt,クローズアップ。

English translation

Kkt; close-up.

広瀬南方の露頭位置を示す二図幅接合図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『信濃中島』(長野8号-4);2.5万分の1『御所平』(甲府5号-3)。小海線,広瀬,岩下,さくひろせ。可読数値1100,1257,1156,1219。

English translation

1:25,000 Shinano-Nakajima (Nagano sheet 8-4); 1:25,000 Goshodaira (Kofu sheet 5-3). Koumi railway line; Hirose; Iwashita; Saku-Hirose. Legible numbers: 1100, 1257, 1156, 1219.

WS-21-1 中部日本における中期更新世重要指標テフラ,大町APmテフラ群

鈴木毅彦

地名:長野県大岡村樺平(かんばだいら)緯度・経度:N36°29′11″ E138°2′14″標高:1,230m

露頭種別・現況:人工露頭,現存堆積物の種別と年代:降下テフラ,更新世中期記載時期:1990年9月キーワード:大町APmテフラ群,クリスタル・アッシュ,加久藤テフラ,中部日本,水鉛谷火道,樅沢岳火山

大町APmテフラ群(APms)は,その特徴からクリスタル・アッシュともよばれ,黒雲母,石英に富む特異な降下テフラとして中部日本において30年近く前から注目されてきた.このテフラ群は多数の研究者により調査・研究がなされており,最近でも引き続いていくつかの関連する報告がなされている.このような長い研究史をもつにもかかわらず,その実体がすべて明らかにされているとはいいがたい.その理由は,同テフラ群が1サイクルの噴火堆積物の集合からなり,それぞれの分布と各地における層位,さらには枚数についてすら研究者により食い違うためである.このような現状を考えれば好条件をもつ露頭を標式地としてそこから各地域に対比を進めてゆくことが肝要であろう.本露頭,樺平はそのような露頭として最適である.本地点は,APmsの給源とされる北アルプス樅沢岳火山の水鉛谷火道(原山ほか,1991; WS-21-2参照)から東北東50kmに位置する.ここでは,計5枚の大町APmが露出しており,下位よりA1Pm,A2Pm……, A5Pm,ないしCA1,CA2‥‥,CA5とよばれている(鈴木,1992;木村,1987).いずれも黒雲母,石英に富む,きわめて特徴的な層厚30~106mの結晶質テフラで,それぞれの間に時間間隙を示す火山灰土を挟む.また,本地点ではA4PmとA5Pmの間に九州起源の加久藤テフラ(Kkt;WS-19参照)が認められる(鈴木・早津,1991).

APmsは他のテフラとの層位関係(WS-21-4参照)や産出層準などから酸素同位体ステージ10から9にかけて噴出したとみられ,中部日本の中期更新世の重要な指標層となっている.

文献:原山ほか(1991),木村(1987),鈴木(1992)鈴木・早川(1990),鈴木・早津(1991)

樺平のA1Pm~A4Pmを示す接合露頭写真。
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図中文字(日本語)

NW,NE,SE;A4Pm,A3Pm,A2Pm,A1Pm;スケールは1m。大岡村樺平における大町APmテフラ群。

English translation

NW, NE, SE; A4Pm, A3Pm, A2Pm, A1Pm; scale is 1 m. Omachi APm tephra group at Kambadaira, Ooka Village.

大岡村樺平のAPm模式露頭位置。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『麻績』(長野14号-3)。樺平,聖山。可読数値1288,1032,1100,1200。

English translation

1:25,000 Omi (Nagano sheet 14-3). Kambadaira; Hijiriyama. Legible numbers: 1288, 1032, 1100, 1200.

WS-21-2 飛騨山脈起源の広域テフラ,大町APmテフラ群の給源火道-水鉛谷火道-

原山智

地名:岐阜県吉城郡上宝村蒲田川左俣谷支流水鉛谷緯度・経度:N36°20′17″ E137°37′13″標高:1,815m露頭種別・現況:自然露頭,1995年10月時点現存堆積物の種別と年代:火道火山岩,更新世中期

記載時期:1990年キーワード:飛騨山脈,大町APmテフラ,奥飛騨火砕流堆積物,水鉛谷火道

本露頭は大町テフラAPm群や奥飛騨火砕流堆積物を供給した火道である.広域テフラや大規模火砕流の給源火道が地表に露出した極めて珍しい例である.本露頭は火道の北縁部にあり,槍ヶ岳から西南西に1.3km,蒲田川左俣谷最上流の支流水鉛谷沿いに位置する.水鉛谷火道は南北600m,東西500m径の楕円状の分布を示し,古第三紀花崗岩中に貫入している.地形的には火山岩頚として周囲よりそびえ立った尖塔状の形態を示す.火道の主体は輝石・角閃石・黒雲母流紋岩質の凝灰岩と同質の花崗斑岩からなるが,周縁部に限定されてより苦鉄質の安山岩(溶岩及び凝灰岩)が露出している.流紋岩(花崗斑岩)と安山岩の関係は複雑で錯綜しており,同時期に活動し混合を起こしたことを示す産状と解釈される.各岩相の記述やテフラ・火砕流堆積物との対比の議論は5万分の1「上高地」及び「槍ヶ岳」の各地質図幅(原山,1990;原山ほか,1991)を参照されたい.

文献:原山(1990),原山ほか(1991)

水鉛谷火道の位置を二図幅上に示す図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『三俣蓮華岳』(高山6号-4);2.5万分の1『笠ヶ岳』(高山7号-3)。左俣谷。可読数値2303,205,2105。

English translation

1:25,000 Mitsumata-Rengedake (Takayama sheet 6-4); 1:25,000 Kasagatake (Takayama sheet 7-3). Hidari-mata Valley. Legible numbers: 2303, 205, 2105.

判読上の注記

205 — 数値の一部が不鮮明で、全標高値は確定できない。

水鉛谷火道の凝灰岩・花崗斑岩分布とA–B断面。
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図中文字(日本語)

N;左俣谷,水鉛谷;A,B;Tf,Gp(平面図・断面図)。等高線1800m,1900m,2000m,2100m,2200m,2300m,2350m(2か所);山頂2270.7m;走向傾斜75,60。断面標高m:1800,2000,2200。水平0,500m。凡例:水鉛谷熔結火道―凝灰岩,花崗斑岩;奥丸沢花崗岩。

English translation

N; Hidari-mata Valley; 水鉛谷; A, B; Tf, Gp (map and section). Contours: 1800 m, 1900 m, 2000 m, 2100 m, 2200 m, 2300 m, 2350 m (twice); summit 2270.7 m; dip values 75, 60. Section elevation, m: 1800, 2000, 2200. Horizontal scale: 0, 500 m. Legend: 水鉛谷熔結火道 [printed conduit designation]—tuff, granite porphyry; 奥丸沢 granite.

判読上の注記

凡例の水鉛谷熔結火道 — 細字の中央2字は不鮮明。英訳では印刷形を保持し、通常の地質用語への置換を避けた。

原山ほか(1991)の第68図より

WS-21-3 北アルプス最奥部,雲ノ平の奥飛騨火砕流堆積物-雲ノ平礫層に挾在する火砕流堆積物-

中野俊

地名:富山県大山町雲ノ平A沢ほか緯度・経度:N36°25′28″ E138°33′46″標高:2,060m露頭種別・現況:自然露頭堆積物の種別と年代:礫層,火砕流堆積物,更新世中期,300~350kaキーワード:雲ノ平礫層,奥飛騨火砕流堆積物,大町APmテフラ群,クリスタル・アッシュ,樅沢岳火山,雲ノ平火山

雲ノ平火山の下部を構成する雲ノ平礫層は,最大層厚約200mの礫層で,基盤に由来する円礫や砂が卓越するが,雲ノ平火山の溶岩や火砕物を挟むことがある.この礫層には,石英・黒雲母・斜長石結晶などに富む径3cm以下の軽石片が卓越する,約2mの厚さの非溶結の火砕流堆積物(3露頭で確認)も挟まれている(中野,1989).これは雲ノ平火山の噴出物ではなく,奥飛騨火砕流堆積物(Okh)に対比される.この火砕流堆積物は,雲ノ平南南東約6kmの樅沢岳付近では厚さ約200mの溶結凝灰岩をなし,雲ノ平の南南東約10kmの水鉛谷に給源火道が発見されている(樅沢岳火山).噴出体積は10km3を超えると推定され,この火砕流はその構成鉱物から,大町APmテフラ群(クリスタル・アッシュ)のどれかにに対比される.そうだとすれば,その噴出年代は300~350kaと推定されている(鈴木・早川,1990).

文献:原山ほか(1991),中野(1989),鈴木・早川(1990)

雲ノ平礫層中の軽石流を三地点で対比した柱状図。
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図中文字(日本語)

地点1 A沢右岸:塊状溶岩;2100m;凝灰質砂層;シルト-粗粒砂層(小礫含),斜交層理発達;軽石流堆積物;2050;礫層;2000。地点2 赤木沢出合北600m(黒部川右岸):塊状部,下部クリンカー,2100m;細-中粒砂層(葉理発達);シルト-粗粒砂層(小礫層挟む);細-中粒砂層(葉理発達);2050;船津花崗岩類。地点3 祖父沢:2250m(標高);祖父岳溶岩;下部クリンカー;礫層;2200;塊状溶岩;2150;軽石流堆積物。スケール10m。

English translation

Site 1, right bank of A Stream: massive lava; 2100 m; tuffaceous sand; silt–coarse sand containing small gravel, with developed cross-stratification; pumice-flow deposit; 2050; gravel; 2000. Site 2, 600 m north of the Akagizawa confluence (right bank of the Kurobe River): massive portion; basal clinker; 2100 m; fine–medium sand with developed lamination; silt–coarse sand intercalated with small-gravel beds; fine–medium sand with developed lamination; 2050; Funatsu granitic rocks. Site 3, Jiji Stream: 2250 m (elevation); Jijidake lava; basal clinker; gravel; 2200; massive lava; 2150; pumice-flow deposit. Scale: 10 m.

雲ノ平周辺の火砕流観察地点1~3。
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図中文字(日本語)

5万分の1『槍ヶ岳』(高山6号)。地点1,地点2,地点3;薬師沢小屋,A沢,雲ノ平(奥ノ平),雲ノ平山荘,祖父沢。可読数値2576,2463.9,1976。

English translation

1:50,000 Yarigatake (Takayama sheet 6). Sites 1, 2, 3; Yakushizawa hut; A Stream; Kumonotaira (Okunotaira); Kumonotaira mountain lodge; Jiji Stream. Legible numbers: 2576, 2463.9, 1976.

WS-21-4 信州菅平高原で見出された大町APmテフラ群と九州起源の広域テフラ

-加久藤テフラ・阿多鳥浜テフラとの層位関係-

鈴木毅彦

地名:長野県真田町菅平西組緯度・経度:N36°36′45″ E138°18′53″標高:1,270m露頭種別・現況:人工露頭

現存堆積物の種別と年代:降下テフラ,ガラス質細粒火山灰層,更新世中期記載時期:1989年9月~1990年5月キーワード:菅平高原,大町APmテフラ群,加久藤テフラ,菅平火山灰,四阿蓑原テフラ,阿多鳥浜テフラ,四阿火山

四阿(あずまや)火山西方約10kmの菅平盆地には緩斜面が広く発達する.この緩斜面はところにより中期更新世のある時期以降安定し,厚い火山灰土に覆われる.ここでとりあげる菅平西組の露頭もそうした地域に位置し,火山灰土の中には大町APmテフラ群(APms;鈴木・早川,1990)をはじめとする中部山岳起源のテフラや中期更新世の広域テフラが良好に保存されている.こうした点から本地点はAPmsを含めた中部日本の中期更新世テフラの層序を明らかにする上で,おそらく,最も有能な露頭である.鈴木・早川(1990),鈴木・早津(1991)でも詳しくとり上げられた.

APmsは露頭中央やや右(西)側で観察できる.ここで露出するのはAPmsのうちの上位2枚であるA4Pm,A5Pmで,風化した基盤岩の上を薄い火山灰土を隔てて堆積する.両テフラの産状は,模式地の大岡村樺平(WS-21-1)のそれと同じで,黒雲母,石英,ホルンプレンドの斑晶鉱物に富んだ特徴的な岩相をもつ.両層の間には橙色の細粒ガラス質火山灰として九州起源の加久藤テフラ(Kkt;WS-19参照)が産出する.露頭中央から左側にかけての中下部には鮮やかな朱色を呈した細粒なテフラ,菅平火山灰(SgA)がある.元来はガラス質のテフラとみられ,給源は遠隔地と予想できるが,風化による火山ガラス消失のため詳細は不明である.SgAの少し上には四阿蓑原テフラ(Az-MiP)がある.プリニー式噴火による降下テフラであり,粗粒な軽石と径10cmに達する石質岩片は給源(四阿火山)が近いことを示唆する.Az-MiPの1~1.5m上位には層厚約60cmの黄色のプリニアン軽石,菅平第2軽石(SgP.2)がみられる.本テフラも最大径4cmにおよぶ軽石からなるため,給源が近いと予想できるが,まだ特定された火山はない.SgP.2の下位には約5cmの火山灰土を隔て層厚約6cmのオリーブ色の細粒ガラス質火山灰がある.当初真田火山灰とよばれたが,その後,南九州起源の阿多鳥浜テフラ(Ata-Th;WS-17参照)に対比された.本露頭では,この他SgP.2の上位に飯縄西山テフラ(Iz-NY)が産出する.本露頭で示される以上のような広域テフラとの層位関係から,APmsの噴出年代は少なくともAta-Thの噴出年代の約240kaより古く,300kaよりやや古くなるKktの噴出年代(WS-19-1)の前後数万年間と推定できる.

文献:鈴木・早川(1990),鈴木・早津(1991)

菅平露頭全体にAPm群・Kkt・Ata-Thなどを示した接合写真。
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図中文字(日本語)

SE,SW,NW。左部:Iz-NY,Ata-Th,SgP.2,Az-MiP,SgA,A5Pm。中央:SgA。右部:A5Pm,A4Pm,Kkt。菅平高原西組の露頭写真。

English translation

SE, SW, NW. Left: Iz-NY, Ata-Th, SgP.2, Az-MiP, SgA, A5Pm. Center: SgA. Right: A5Pm, A4Pm, Kkt. Exposure photograph at Nishigumi, Sugadaira Plateau.

菅平西組の広域テフラ露頭位置図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『菅平』(長野9号-4)。西組。可読数値1252,1282,1242,1255,1350。

English translation

1:25,000 Sugadaira (Nagano sheet 9-4). Nishigumi. Legible numbers: 1252, 1282, 1242, 1255, 1350.

WS-22-1 宮崎県久木野における小林笠森テフラ-サクラ火山灰のふるさと-

町田洋

地名:宮崎県高岡町久木野緯度・経度:N37°57′23″ E131°13′38″標高:150m

露頭種別・現況:道路沿いの崖,現存堆積物の種別と年代:降下軽石,火砕流堆積物,砂礫層,更新世中期

記載時期:1995年3月キーワード:小林笠森テフラ,久木野層

宮崎平野の縁辺部には中期更新世の高い段丘がよく発達する.その中で高岡町久木野周辺の丘陵性の台地は,厚さ数10~100mに達する厚い砂礫層からなる(木野・太田,1976).この砂礫層の中には数枚の火砕流堆積物を主体とする指標テフラが挟まれている.その一つがこの小林笠森テフラ(Kb-Ks)である.これは下部に降下軽石を挟む非溶結の火砕流堆積物を主体とするもので,その顕著な特徴は斑晶に黒雲母,角閃石を伴う点である.久木野で本テフラが観察できる露頭は道路沿いに断続的に数10m続く.下部には火砕流堆積物的な層相をなすものの上に,1層の円礫層を挟んで降下相をなす成層した軽石がのる.おそらく流水環境のもとに堆積した降下軽石であろう.中上部は非溶結の火砕流堆積物であるが,上を砂礫層できられているので原初は30m以上の厚さで堆積したに相違ない.本テフラの給源はその分布から小林カルデラとされ,小林火砕流と名付けられたが(木野・太田,1976),給源火山は小林カルデラ,加久藤カルデラまた霧島火山域のいずれとも特定し難い.久木野周辺では,本テフラは砂礫層を隔てて加久藤火砕流堆積物(Kkt)の下位にあり,また樋脇火砕流堆積物(Hw)の上位にある.

本テフラと同時の降下テフラは近畿地方ではサクラ火山灰,関東地方では屏風が浦2,笠森11と呼ばれ,重要指標層として記載されている(町田・新井,1992).

文献:木野・太田(1976),町田・新井(1992)

久木野の道路沿い露頭を矢印で示す位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「紙屋」(宮崎13号-1)。久木野;東ヶ谷。標高・等高線数字:82,80.2,84,130。

English translation

1:25,000 “Kamiya” (Miyazaki 13-1). Kukino; 東ヶ谷. Elevation and contour figures: 82, 80.2, 84, 130.

円礫層を挟む降下軽石と非溶結火砕流の柱状図
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図中文字(日本語)

上から:砂礫層;火砕流堆積物;降下軽石層(水成?);←円礫層;←砂礫層。Kb-Ksの範囲は上部砂礫層の下から下部砂礫層の上まで。林道;目盛0,10m。

English translation

From top: sand and gravel; pyroclastic-flow deposits; pumice-fall bed (water-laid?); ←rounded-gravel bed; ←sand and gravel. Kb-Ks extends from below the upper sand and gravel to above the lower sand and gravel. Forest road; scale 0, 10 m.

WS-22-2 琵琶湖西方,堅田丘陵における上仰木(サクラ)火山灰-小林笠森テフラー

町田洋

地名:滋賀県大津市上仰木緯度・経度:N35°6′10″ E135°52′12″標高:180m

露頭種別・現況:道路脇,不明堆積物の種別と年代:火山灰記載時期:1978年3月

キーワード:上仰木火山灰,サクラ火山灰,小林笠森テフラ,古琵琶湖層,上仰木,堅田丘陵

琵琶湖西部堅田丘陵に分布する古琵琶湖層群は大阪層群に対比され,多くの中~前期更新世のテフラを介在させる.その中で上仰木火山灰として記載されたもの(Yokoyama,1975)は,大阪層群のサクラ火山灰と対比される指標テフラである(林,1974;町田ほか,1980など).本露頭では,砂・シルト層に挟まれ特徴的なさくら色を呈した,厚さ25cmの本火山灰層を観察することができる.これはバブル型火山ガラスに富み,僅少ながら黒雲母,角閃石,斜方輝石を含む.近畿地方でもまた南関東でも,本テフラに火山ガラスの屈折率の点では似たテフラが複数存在し(近畿地方ではサクラNとS,関東では笠森5と11),しかも斑晶鉱物含量が少ないので,似たテフラの対比・同定には,火山ガラスの屈折率に加えて主成分,微量成分特性を総合する必要がある.サクラSおよび笠森11が本テフラに対比される(町田・新井,1992).堅田丘陵の古琵琶湖層群では,本層は衣川火山灰の上位にある.大阪層群では海成粘土層Ma7直下の層準を占める.

文献:林(1974),町田ほか(1980),町田・新井(1992),Yokoyama (1975)

上仰木の露頭を矢印で示す堅田の地形図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「堅田」(京都及大阪2号-1)。仰木町;192;123。

English translation

1:25,000 “Katata” (Kyoto and Osaka 2-1). Ogi Town; 192; 123.

スケールを添えた上仰木のサクラ火山灰層
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サクラ火山灰層

WS-22-3 横浜戸塚と房総富津における小林笠森テフラ

町田洋

地名:横浜市戸塚区小雀町千秀小学校近傍,千葉県富津市上

緯度・経度:N35°22′0″ E139°31′18″, N35°16′48″ E139°54′0″標高:26,30m

露頭種別・現況:人工露頭,不明,多分消滅堆積物の種別と年代:火山灰,砂礫層,泥炭層,更新世中期記載時期:1979年キーワード:小林笠森テフラ,屏風が浦2テフラ,笠森11テフラ,横浜戸塚,房総富津

戸塚の露頭では,田谷砂礫層(長沼層中上部;大塚,1937)に不整合にのる泥炭層と砂礫層および下倉田軽石(三梨・菊地,1982)など数枚のテフラが観察された.その中で下倉田軽石の下位約1.3mにある淡紅色のガラス質火山灰(厚さ10~15cm)が,小林笠森テフラ(Kb-Ks;近畿のサクラ火山灰)に対比される.町田ほか(1980)はここで屏風が浦2火山灰(By2)と呼んで記載した.これは主としてバブル型の火山ガラスからなり,ごく少量の黒雲母,角閃石が認められる.このテフラが房総半島における笠森層中の指標テフラ笠森11テフラ(Ks11)に対比されることは,テフラ自身の特性に加えて,その上位や下位にあるテフラが両地域ですべてそろって出現することから明らかである.とくにBy2の直下にあるテフラは,角閃石に富むゴマシオ状の特徴的なテフラである(屏風が浦1火山灰;By1).これは房総半島富津市上の露頭において,Ks11より約1.5m下位の周南-佐貫層からも見い出された.これらのテフラは横浜地域の屏風が浦層下部と房総半島笠森層上部および周南-佐貫層との対比に役立つ.それらは酸素同位体ステージ14から13に移行する時期のテフラと考えられる.

文献:町田ほか(1980),三梨・菊地(1982),大塚(1937)

戸塚と富津市上の二露頭を示す地形図
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図中文字(日本語)

上図:2.5万分の1「戸塚」(東京8号-4);小雀町,住友電工横浜工場,田谷の洞窟,田谷町,永勝寺。標高2.0,3.9;一部の小字は判読不明。下図:地点2;2.5万分の1「鹿野山」(横須賀1号-1);富津市,大堰,上,古谷,新山,前向谷,後向,百坂;標高24.0,31.6。

English translation

Upper map: 1:25,000 “Totsuka” (Tokyo 8-4); Kosuzume Town, Sumitomo Electric Yokohama Works, Taya Caves, Taya Town, Eishoji Temple. Elevations 2.0, 3.9; some small locality names are illegible. Lower map: locality 2; 1:25,000 “Kanozan” (Yokosuka 1-1); Futtsu City, 大堰, 上, 古谷, 新山, 前向谷, 後向, 百坂; elevations 24.0, 31.6.

判読上の注記

地図の細字地名 — 原画像でも一部は読み切れないため判読不明とした。

戸塚のBy2・By1と富津の標準層序の対比
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図中文字(日本語)

1:下倉田軽石;laminated sand;By2;By-1;peaty layer;目盛0,1,2m。2:富津周辺の更新世中期地層の標準層序。上からK2;Sn1 A・B・C;Sn2;Sn10=Ks11(By2と対比線);Ks11.2(By-1と対比線);Sn12;Sn14;Sn15;Ks15;Ku6 A・B・C・D・D′・E(D付近の重なりは不鮮明);U1。尺度0,100,200m。

English translation

1: Shimokurata pumice; laminated sand; By2; By-1; peaty layer; scale 0, 1, 2 m. 2: Standard Middle Pleistocene stratigraphy around Futtsu. From top: K2; Sn1 A, B, C; Sn2; Sn10=Ks11 (correlation line to By2); Ks11.2 (correlation line to By-1); Sn12; Sn14; Sn15; Ks15; Ku6 A, B, C, D, D′, E (overlapping lettering near D is indistinct); U1. Scale 0, 100, 200 m.

判読上の注記

Ku6のD付近の枝番号 — 細字が重なりD・D′の並びは不鮮明。

WS-23-1 大分層群上部に挟まれる広域テフラ,誓願寺軽石層

水野清秀・星住英夫・吉岡敏和

地名:大分県大分市丹生(にゅう)誓願寺緯度・経度:N33°12′38″ E131°42′50″標高:20m

露頭種別・現況:人工露頭,1996年3月時点現存,一部植被堆積物の種別と年代:淡水成層,約0.6~0.7Maキーワード:誓願寺軽石層,栂火山灰,大分層群,大分丹生

誓願寺軽石層(水野ほか,1989)は大分市周辺の丘陵を構成する中・下部更新統大分層群(首藤,1953)の上部に挟在するテフラで,大阪層群の栂火山灰層(吉川,1976)等に対比される広域テフラである(吉川ほか,1991;水野,1992).しかし誓願寺軽石層については,講演要旨(水野ほか,1989)で定義されているのみであるため,ここで詳しく記載する.誓願寺軽石層は大分市丹生誓願寺(図の地点1,2,3)に模式的に露出し,大野川の東西両丘陵地に分布している.模式地ではシルトを主とする淡水成層中に挟まれているが,模式地から約7km南西の古城山周辺などでは陸上堆積層である.地点1では,大部分が草に被われてわかりにくいが,西側の地点2及び3へと道路と水路に沿った露頭をつないでいくと全体の層相が観察できる.地点4の露頭では,下部が観察しやすいが,上部は段丘礫層に削られて失われている.本テフラは最下部50cm程度が粒径1cm以下の灰白~白色軽石層で,その上位に軽石混じりの粗粒火山灰層約20cm,粒径数mm以下の軽石層20~40cmが重なる.さらに上位は厚さ1~20cmの灰白色,黄褐色,淡桃色等を呈する細粒軽石層と火山灰層の互層で,2m程度の厚さを有する.この軽石層と火山灰層の互層の部分は,一見,「バームクーヘン状」であり,本テフラを最も特徴づける(写真,地点2).最上位2m前後は塊状の灰~灰白色細粒軽石~火山灰からなる.厚さ10~20cmの細粒火山灰層を2~3枚挟むが,これは水中堆積による再堆積相かもしれない.本露頭北東約4kmの坂ノ市南の露頭では,成層した軽石砂層の上位に軽石混じりの火山灰層が重なる(宮崎・吉岡,1994).この塊状の部分は火砕流堆積物にみえる.本テフラを構成する火山ガラスは,褐色を呈する塊状~粒状型を多量に含むことが特徴であり,これが広域対比の最大の決め手になっている.重鉱物では斜方輝石が主体であり,角閃石も含まれている.肉眼では黒雲母も観察される.本テフラの古地磁気極性は正帯磁である.本テフラの層位は約0.6Maと推定されている由布川火砕流(星住・鎌田,1991;KS-7参照)の少し下位にあたる(水野ほか,1989).

文献:星住・鎌田(1991),吉川ほか(1991),宮崎・吉岡(1994),水野(1992),水野ほか(1989),首藤(1953),吉川(1976)

丹生誓願寺の露頭1~4を示す地形図
原著 84ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

1,2,3,4;2.5万分の1「鶴崎」(大分5号-2);誓願寺,丹生,下岡,昭和井路,丹生出張所;標高86.5,48.3,81.5,52。

English translation

1, 2, 3, 4; 1:25,000 “Tsurusaki” (Oita 5-2); Seiganji, Nyu, 下岡, Showa irrigation channel, Nyu branch office; elevations 86.5, 48.3, 81.5, 52.

SWからNEへ連続する細かな互層の露頭写真
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図中文字(日本語)

SW;NE。画像上部の本文と文献は本文に復元済。

English translation

SW; NE. Prose and references embedded above the photograph have been restored in the main text.

誓願寺軽石層中部の"バームクーヘン状"の部分.崖の高さは約1.5m1985年9月撮影

WS-23-2 広島県の中部更新統西条層に挾在する岡郷火山灰層-広域テフラ誓願寺-栂テフラー

水野清秀

地名:広島県加茂郡黒瀬町岡郷南方緯度・経度:N34°18′48″ E132°41′30″標高:160m

露頭種別・現況:人工露頭,1996年1月の時点で植被により一部分のみ露出堆積物の種別と年代:淡水成層,更新世中期,約0.6Ma記載時期:1996年1月キーワード:岡郷火山灰,西条層,誓願寺-栂テフラ

西条層は約0.7~0.5Maに広島県の西条盆地,黒瀬盆地を中心とする地域に堆積した河成の地層で,7枚以上の火山灰層を挟んでいる.このうち中部の層準に位置する岡郷火山灰層は,最も連続性が良く,鍵層となっている(東元ほか, 1985).本テフラは大分層群の誓願寺軽石層や大阪層群の栂火山灰層に対比され,広域テフラとして認識されている(吉川ほか,1991;水野,1992).本露頭は, 岡郷火山灰層の模式地であり,1982年当時は火山灰層を挟んで上下それぞれ3~4mのシルト-砂層が観察されたが,1996年1月現在では火山灰層の付近1m四方程度の部分のみが露出している.本テフラは厚さ約60cm,灰白色のガラス質火山灰層で,厚さ数cmの薄層の互層を主体とする.本露頭の試料から得られたフィッション・トラック年代は,0.57±0.09Maと求められている(東元ほか,1985).岡郷火山灰層の直下にはしばしば薄い泥炭層や炭質シルトが発達することがあり,チョウセンゴヨウやミツガシワ等の寒冷-冷涼気候を示す植物化石が産出している(東元ほか,1985).

文献:吉川ほか(1991),水野(1992),東元ほか(1985)

岡郷南方の模式露頭を示す地形図
原著 85ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「安芸内海」(広島7号-1)。岡郷,黒瀬町,田津原,川角。標高161,186,160.9,26。

English translation

1:25,000 “Aki-Uchinoumi” (Hiroshima 7-1). Okago, Kurose Town, 田津原, 川角. Elevations 161, 186, 160.9, 26.

岡郷火山灰直下の泥炭層を示す柱状図
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図中文字(日本語)

地質柱状図;1982年11月記載。上から:シルト/砂;シルト;火山灰;砂;火山灰質砂;岡郷火山灰層;シルト;泥炭;シルト;砂;砂まじりシルト。尺度0,1,2m。

English translation

Geological column; described in November 1982. From top: silt/sand; silt; volcanic ash; sand; ashy sand; Okago volcanic-ash bed; silt; peat; silt; sand; sandy silt. Scale 0, 1, 2 m.

ハンマーを添えた岡郷火山灰の薄層状露頭
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図中文字(日本語)

岡郷火山灰;1996年1月撮影。

English translation

Okago volcanic ash; photographed in January 1996.

WS-24-1 大分層群下部のテフラーアズキ火山灰に対比された曲火砕流堆積物を中心として-

水野清秀・星住英夫・吉岡敏和

地名:大分県大分市曲(まがり)~米良(めら)緯度・経度:N33°11′18″~N33°12′35″ E131°36′56″~E131°38′48″

標高:20~100m露頭種別・現況:人工及び自然露頭,1996年3月時点現存堆積物の種別と年代:淡水成層一部風成層,約0.8~0.9Maキーワード:曲火砕流堆積物,米良火砕流,アズキ火山灰,大分層群

大分層群は大分市周辺の丘陵地を構成する中・下部更新統であり(首藤,1953),多数のテフラが挟まれている.その中で曲火砕流堆積物(以下単に火砕流と呼ぶ)と呼ばれたものが,大阪層群の代表的テフラ,アズキ火山灰(市原,1993;約0.85Ma)に対比された(下川ほか,1986).その後曲火砕流は大分県猪牟田カルデラから噴出した今市火砕流と同一とされ,それがアズキ火山灰に対比されている(鎌田ほか,1994a,b).大分層群中のテフラは講演要旨(下川ほか,1986;水野ほか,1989)で述べられているのみであるので,ここで詳しく記載し,テフラの対比についても若干ふれることにする.

曲火砕流は礫層,シルト層に挟まれ,大分市曲から米良にかけて分布する.おそらく氾濫原的な場所に堆積したものと思われる.本火砕流の模式地は人工露頭の地点4である.また地点8付近の谷では連続的に露出していて,しばらく消失の恐れはないと考えられる.層相は,下部の灰白色降下軽石層(厚さ2~4m;10枚ほどの降下ユニットにわかれる)と上部の軽石を含む暗褐色火砕流堆積物(厚さ4m前後)からなる.構成鉱物は火山ガラスを主体とし,重鉱物は主に斜方輝石と単斜輝石からなる.本テフラの古地磁気は逆帯磁で,また地点4の火砕流サンプルに対して1.3±0.2Maのフィッション・トラック年代値が求められている(水野ほか,1989).曲火砕流の下位のシルトから植物化石を産出することがあるが,いわゆる「メタセコイア植物群」の要素(市原,1960)は含まれていない.

曲火砕流に類似したテフラに阿蘇4火砕流(地点3)と米良火砕流(下川ほか,1986)がある.米良火砕流の模式地は地点11~12でほかに地点1,2,10等にもみられる.曲火砕流の20mほど上位に当たる.米良火砕流の層相は,下部の灰白色降下軽石層(厚さ2m前後;4~5枚の降下ユニットからなる)と上部の軽石を含む暗褐色火砕流堆積物(厚さ2~5m)からなり,また古地磁気は逆帯磁を示し,さらに重鉱物組成も斜方輝石,単斜輝石を主とする点で曲火砕流と似ている.しかし,火山ガラスと斜方輝石の屈折率が,曲火砕流はそれぞれn=1.511~1.515,γ=1.703~1.715であるのに対して,米良火砕流ではそれぞれn=1.508~1.512,γ=1.700~1.707とどちらも低いことで識別することができる.このほかに芳河原(ほうがわら)地域(地点5~8)には曲火砕流の上下に3枚の火砕流があり,これらを仮に下位より芳河原A,B,C火砕流と呼ぶ(柱状図参照).芳河原A及びC火砕流は,灰褐色を呈する火砕流が主体で,下部に降下軽石層を伴う.これらは,火砕流の色調と火山ガラスの屈折率がどちらもn=1.500前後と低いことから曲火砕流と容易に識別できる.芳河原B火砕流は暗褐色を呈する下部の降下細粒軽石~火山砂層と上部の火山灰質火砕流からなる.火砕流は固くしまっており,わずかに溶結している.層準は曲火砕流の直上に重なると推定され,地点5及び6で観察できる.重鉱物は斜方輝石,単斜輝石を主とし,斜方輝石の屈折率はγ=1.699~1.712である.また火山ガラスは曲火砕流とよく似た屈折率n=1.511~1.517を示すものが主体で,ほかに最高n=1.550に及ぶ高屈折率のものが含まれている.本テフラの古地磁気は逆帯磁を示している.

曲火砕流は, その岩石記載学的特徴が野津原町籠ノ台に分布する今市火砕流(鎌田ほか,1994a,b)下部の降下軽石層とその直上の非~弱溶結火砕流堆積物に酷似している.曲火砕流の上位の芳河原B火砕流も今市火砕流の一部に対比される可能性があるが今後の検討課題である.なお下川ほか(1986)は,米良火砕流を今市火砕流に対比したが,この今市火砕流とした試料は竹田市内に露出するもので, 模式地の今市火砕流とは屈折率が異なっている. 今市火砕流として一括されているものもその岩石学的,層位学的検討が必要である.

文献:市原(1960,1993),鎌田ほか(1994a,b),水野ほか(1989),下川ほか(1986),首藤(1953)

WS-24-1(図版・続き)

露頭分布地図と七つの柱状図、曲・米良・芳河原A~Cの対比線
原著 87ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

WS-24-1。地図:2.5万分の1「大分」(大分5号-4);2.5万分の1「鶴崎」(大分5号-2)。地点1~12(1付近の番号は他記号と重なり不鮮明);曲,米良,芳河原,津守,片島,椎迫山,下郡,和台団地,大道,米竹新川井路,ゴルフ場,横尾浄水場,公衆衛生看護学院。標高等:51.5,68,52,97,62,90,118.4,129.4,17,33,63。

柱状図:地点2,地点4,地点6,地点7,地点8,地点9~10,地点11~12。凡例:火砕流堆積物;降下軽石;火山灰-火山砂層;シルト層;砂層;礫層。テフラ名:米良;芳河原C;芳河原B;芳河原A;曲。下位から曲、芳河原B、芳河原C、米良の対比線、曲より下位の芳河原Aの対比線。目盛0,10m。印刷ページ87。

English translation

WS-24-1. Maps: 1:25,000 “Oita” (Oita 5-4); 1:25,000 “Tsurusaki” (Oita 5-2). Localities 1–12 (the numeral near locality 1 overlaps another symbol and is indistinct); Magari, Mera, Hogawara, Tsumori, Katashima, 椎迫山, Shimogori, 和台 housing estate, Oomichi, 米竹新川 irrigation channel, golf course, Yokoo Waterworks, public-health nursing school. Elevation and other figures: 51.5, 68, 52, 97, 62, 90, 118.4, 129.4, 17, 33, 63.

Columns: localities 2, 4, 6, 7, 8, 9–10, 11–12. Legend: pyroclastic-flow deposits; pumice fall; volcanic-ash to volcanic-sand beds; silt; sand; gravel. Tephra labels: Mera; Hogawara C; Hogawara B; Hogawara A; Magari. Correlation lines link Magari, Hogawara B, Hogawara C, and Mera in ascending order, and Hogawara A below Magari. Scale 0, 10 m. Printed page 87.

判読上の注記

地図内の地点1と一部細字 — 記号重なりと低解像度により一部は読み切れない。

WS-24-2 中部九州に分布する今市火砕流堆積物-大阪層群アズキ火山灰の給源火砕流-

星住英夫・鎌田浩毅

地名:大分県野津原町籠ノ台(かごのだい)緯度・経度:N33°9′36″ E131°30′14″標高:210m露頭種別・現況:人工露頭,道路開設工事により出現堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下軽石層,更新世前期

記載時期:1996年3月キーワード:今市火砕流堆積物,猪牟田カルデラ,アズキ火山灰今市火砕流堆積物は,大分県から熊本県にかけて広く分布する輝石デイサイト質~輝石安山岩質の大規模火砕流堆積物であり,その大部分は強溶結の火砕流台地を形成する(小野,1963;小野ほか,1977;鎌田ほか,1994a).堆積物のK-Ar年代測定値として,0.76±0.17Ma(宇都・須藤,1985)や0.84±0.02Maから0.96±0.03MaのNEDOよるいくつかの年代測定値(星住・森下,1993;p.70,付表A-1)が得られている.堆積物は常に逆帯磁していること(小野,1963;星住ほか,1988;Hayashida et al.,1996),下位の耶馬溪火砕流堆積物がハラミヨ・サブクロンの噴出物であること(宇都・須藤,1985)と,今市火砕流堆積物の上位の火山岩(時山安山岩)の噴出年代が約0.7~0.8Maであること(星住・鎌田,1991)の3点から,今市火砕流の噴出期は松山磁極期末期の逆帯磁期(ハラミヨ・サブクロンの後)の約0.9Maとなる.今市火砕流の噴出源は,火砕流全体の分布や高度から,九重火山北方の猪牟田(ししむた)カルデラであると推定されている(鎌田ほか,1994a).また今市火砕流堆積物は,大阪層群の前期更新世末期の重要な鍵層であるアズキ火山灰と対比されている(後述)(鎌田ほか,1994b).

今市火砕流堆積物からなる火砕流台地は,大部分の地域では,侵食により本来存在していたはずの上部の非溶結部は失われて溶結部のみがみられる.また溶結部では脱ガラス化が進んで本質レンズ,基質とも結晶化し,新鮮なガラス試料が得られないことが多い.野津原町籠ノ台の本露頭は,今市火砕流の火砕流台地の東端部に位置し,分布域の末端に近いためか溶結部においてもガラス質の部分が残存している.また,上部の非溶結部も台地上の一部で確認できる.この地域での今市火砕流堆積物を含む一連の噴出物は,下位から降下軽石層,非溶結~弱溶結~強溶結(ガラス質)~強溶結(脱ガラス化)~弱溶結~非溶結と変化する火砕流堆積物からなる(鎌田ほか,1994b).ここではその後出現した新露頭(地点1)の情報を加え,鎌田ほか(1994b)の柱状図を一部修正した.修正点は,下部の弱溶結部とその上位の強溶結部の間に火山豆石を含む成層部(厚さ55cm)を加えたことである.ただし,この部分に風化や侵食の間隙や土壌は認められず,今市火砕流堆積物全体として一連の噴火活動の産物である.

今市火砕流基底の降下軽石層は全体の厚さ4~5m程度で,厚さ数10cm~1mのいくつかのフォールユニットに分かれ,フォールユニットの間には,厚さ1~4cm程度の灰黒色~赤紫灰色の細粒火山灰を挟む(地点2;星住ほか,1992;p.106,第81図)(地点3).降下軽石層中の軽石の斑晶組合せは火砕流本体と同一である.この降下軽石層はその規模からみて高い噴煙柱に由来するプリニー式噴火による堆積物と考えられる(鎌田ほか,1994b).降下軽石層の露頭はこの他に野津原町本福宗西方(地点4)で観察できる.また,北西に約25kmの安心院(あじむ)町寒水(そうず)でも,火砕流基底部に降下軽石層が確認された(星住,1993;p.33,第24図)が,この露頭は現在残っていない.降下軽石層に引き続いて非溶結の軽石質火山灰流が堆積する(地点5).軽石質火山灰流は上部に向かって溶結度が上がり弱溶結部となる.この弱溶結部から脱ガラス化した強溶結部分までが地点1で観察できる.弱溶結部分の最上部55cmは弱く成層し,1cm以下の火山豆石を少量含んでいる.その上位に強溶結したガラス質火砕流堆積物が重なり,大きさ10cm以下の黒色ガラス質レンズを多量に含み顕著なユータキシティック組織を示す.ただし基底部の厚さ30cmは,細粒の火山灰のみからなる強溶結した黒色のガラス岩である.火砕流の基質は上に向かって基質・本質レンズとも徐々に脱ガラス化作用が進み,特に基質が灰色となる.旧道側の地点6付近においても弱溶結部からガラス質強溶結部および脱ガラス化した強溶結部が観察できる.強溶結部全般では,幅約20~100cmの柱状節理が発達している.最上部の弱溶結部(地点7)及び非溶結部(地点8)では,灰色火山灰基質中に灰色の軽石のほかに灰黒色のスコリアや軽石とスコリアのガラスが混合した縞状のスコリアも認められる.

籠ノ台周辺の今市火砕流露頭1~12を示す四図幅接合図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「小野屋」(大分9号-2);「大分」(大分5号-4);「豊後今市」(大分10号-1);「野津原」(大分6号-3)。地点1~12。籠ノ台,福宗,本福宗。標高219,240,266,24。

English translation

1:25,000 “Onoya” (Oita 9-2); “Oita” (Oita 5-4); “Bungo-Imaichi” (Oita 10-1); “Notsuharu” (Oita 6-3). Localities 1–12. Kagonodai, Fukuso, Motofukuso. Elevations 219, 240, 266, 24.

道路の切土斜面で露出した今市火砕流の溶結部
原著 88ページ · クリックで原画像

WS-24-2(続き)

この地域では,今市火砕流堆積物と中部九州の他の大規模火砕流堆積物である耶馬溪火砕流堆積物及び由布川火砕流堆積物との層序関係が観察できる.今市火砕流堆積物の直下には円礫層があって(地点2),その下位に非溶結の耶馬溪火砕流堆積物が分布する(地点9).耶馬溪火砕流堆積物の基底には成層した部分があって,下位の大分層群東植田(わさだ)層の砂層を整合で覆っている(地点10;吉岡・星住,1992;p.101;第76図).耶馬溪火砕流堆積物の溶結部は,挾間町上中尾の地点11で観察できる.また由布川火砕流の降下軽石が,間に褐色土壌を挟んで今市火砕流堆積物を覆っている(地点8;吉岡ほか,1997).今市火砕流堆積物の台地上の地点12では,由布川火砕流堆積物の非溶結部が確認された.

鎌田ほか(1994b)は,今市火砕流堆積物(柱状図の斜体の数字の試料)と大阪層群アズキ火山灰と上総層群Ku6C火山灰について,(1)ガラス・斜長石・重鉱物の量比,(2)重鉱物中の斜方輝石・単斜輝石・緑色普通角閃石の量比,(3)ガラス・斜方輝石・単斜輝石の屈折率,を測定した.その結果,今市火砕流堆積物はアズキ火山灰・Ku6C火山灰の両者と,下位から上位に向けて珪長質から苦鉄質への系統的かつ一致した組成変化が認められ,3者が対比されることが確実である.すなわち,今市火砕流堆積物-アズキ火山灰-Ku6C火山灰は,給源から900kmの遠方にまで広がる広域火山灰(猪牟田アズキ, Ss-Az)であることが判明した.また,今市火砕流堆積物基底の降下軽石層とアズキ火山灰及びKu-6C火山灰基底の白色細粒火山灰(いわゆるハカマ)には多くの類似点が認められた.この結果,アズキ火山灰とKu6C火山灰は今市火砕流本体の遠方相(co-ignimbrite ash)と降下軽石層の遠方相(distal plinian ash)の両者で構成されていることが判明した.

文献:Hayashida et al.(1996),星住(1993),星住・鎌田(1991),星住・森下(1993),星住ほか(1988,1992),鎌田ほか(1994a,b),小野(1963),小野ほか(1977),宇都・須藤(1985),吉岡・星住(1992),吉岡ほか(1997)

今市火砕流の溶結変化と基底降下軽石、上下の耶馬溪・由布川堆積物
原著 89ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

左柱上から:由布川火砕流堆積物:地点12,非溶結部(軽石質火山灰流);降下軽石層;褐色土壌。今市火砕流堆積物:地点8,試料9,非溶結部(軽石-スコリア流);地点7,8,弱溶結部(軽石-スコリア流);7,脱ガラス化した強溶結部;ガラス質の強溶結部,地点6,6;地点1,ガラス質の強溶結火山灰流;成層した弱溶結部(火山豆石入り);5,弱溶結部(軽石質火山灰流)。尺度5m。 右柱上から:今市火砕流堆積物(続き);地点5,4,非溶結部(軽石質火山灰流);地点3,3P;2P,降下軽石層;地点2,1P;礫層。耶馬溪火砕流堆積物:地点9,非溶結部(軽石質火山灰流);地点10,成層した軽石と火山灰の互層。大分層群東植田層;砂層。

English translation

Left column, from top: Yufugawa pyroclastic-flow deposits: locality 12, nonwelded part (pumiceous ash flow); pumice-fall bed; brown soil. Imaichi pyroclastic-flow deposits: locality 8, sample 9, nonwelded part (pumice–scoria flow); locality 7, 8, weakly welded part (pumice–scoria flow); 7, devitrified strongly welded part; glassy strongly welded part, locality 6, 6; locality 1, glassy strongly welded ash flow; stratified weakly welded part (with accretionary lapilli); 5, weakly welded part (pumiceous ash flow). Scale 5 m. Right column, from top: Imaichi pyroclastic-flow deposits (continued); locality 5, 4, nonwelded part (pumiceous ash flow); locality 3, 3P; 2P, pumice-fall bed; locality 2, 1P; gravel. Yabakei pyroclastic-flow deposits: locality 9, nonwelded part (pumiceous ash flow); locality 10, stratified alternating pumice and volcanic-ash beds. Oita Group, Wasada (東植田) Formation; sand. Italic numerals designate samples. Arabic locality numerals designate outcrops.

WS-24-3 琵琶湖西方,堅田丘陵に分布する喜撰火山灰層-広域に分布するアズキ火山灰-

水野清秀

地名:滋賀県滋賀郡志賀町高城西方喜撰川中流域緯度・経度:N35°09′36″ E135°54′42″標高:120m露頭種別・現況:人工露頭,現存堆積物の種別と年代:淡水成層,更新世前期,約0.85Ma

記載時期:1996年1月キーワード:喜撰火山灰層,アズキ火山灰,古琵琶湖層群,堅田丘陵

琵琶湖西方の堅田丘陵喜撰川中流域には,大阪層群の代表的なテフラであるアズキ火山灰層に対比されている喜撰火山灰層(林,1974)の露頭がある.横山・楠木(1967)ですでにアズキ火山灰層とされているが,ここではローカルネームとして喜撰火山灰層の名称を用いる.この付近の丘陵は,古琵琶湖層群堅田累層と呼ばれる更新世前期末~中期の淡水成の地層から構成されている(林,1974;Yokoyama,1975).本露頭は,喜撰川堰堤の下流側からみて右側手前にある高さ3m程度の小崖であり,本テフラはシルト中に挟まれている.

対岸の崖にもテフラはみられるはずであるが,観察しにくい.本テフラの特徴は,横山・楠木(1967),吉川(1983),Ito et al.(1989),西田・和田(1991)などに詳しく記述されている.厚さ200cm程度のガラス質火山灰である.最下部10cm程度は灰白色で細かくみると5層くらいに分かれる.その上位に厚さ10~25cmの灰~暗灰色の部分が重なる.さらに上位は灰色~灰白色の層の互層で,この部分は二次堆積の可能性が高い.二次堆積の部分を別にして,下部から上部ヘデイサイト質から安山岩質へ化学組成等が変化したことが指摘されている(西田・和田,1991など).

文献:林(1974), Ito et al.(1989),西田・和田(1991),Yokoyama (1975),横山・楠木(1967),吉川(1983)

喜撰川中流の喜撰火山灰模式露頭を矢印で示す地形図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「堅田」(京都及び大阪2号-1)。喜撰川,北浜,高城,志賀町,和邇中。標高87,162,183.9。

English translation

1:25,000 “Katata” (Kyoto and Osaka 2-1). Kisen River, Kitahama, 高城, Shiga Town, Waninaka. Elevations 87, 162, 183.9.

1mスケールを添えた喜撰火山灰のSW–NE断面
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図中文字(日本語)

SW;NE。最下部10cm以外すべて火山灰.スケールは1m.1996年1月撮影。

English translation

SW; NE. All material except the lowermost 10 cm is volcanic ash. Scale 1 m. Photographed in January 1996.

WS-24-4 上総層群国本層中のKu6Cテフラ-更新世前期の代表的広域テフラー

杉原重夫

地名:千葉県市原市梅ケ瀬北方(林道梅ケ瀬一月崎・大久保線)緯度・経度:N35°15′55″ E140°08′09″

標高:210m露頭種別・現況:林道沿いの人工露頭,1996年6月時点で現存堆積物の種別と年代:海成層,細粒ガラス質テフラ,更新世前期記載時期:1996年6月キーワード:房総半島,上総層群,国本層,Ku6Cテフラ,曲-アズキテフラ,松山・ブリュンヌ地磁気境界

房総半島中・北部には,上総層群とよばれる更新世前~中期の地層(下部は鮮新世)が広く分布する.この地点は,小湊鉄道上総大久保駅の南西約2kmの林道沿いにある(最近,この付近の林道は,土地所有問題の関係から通行止になっているところがあり,露頭に行く際は注意が必要).この露頭では上総層群中に介在する広域テフラのうち,大阪層群中のアズキ火山灰に対比された国本(こくもと)層中のKu6Cテフラが観察できる.崖面の大部分はコンクリートに覆われているが、幸いにも国本層の泥岩(シルト岩)中のKu6テフラ群の部分が道路面上に露出している. ここでは露頭基部から2.5m上までの高さのところに,Ku6AからKu6Eまでの5枚のテフラが識別できる.Ku6Cは上から3枚目の灰白色をした細粒のガラス質のテフラ(厚さ10cm以下)で,露頭での試料採取も可能である.関西・関東のアズキ・Ku6Cが注目できるのは,いずれも松山・ブリュンヌ地磁気境界のすぐ下位にあって,間氷期を示す高水温相の海成層(Ma3と国本層下部)の下部を占めることである.Ku6C・アズキ火山灰については,870±20kaのフイッショントラック年代値がある(他にも多数の年代値がある).また,最近ではKu6C・アズキ火山灰が中部九州の曲テフラや今市火砕流堆積物・降下軽石層に対比できることが明らかにされている(WS-24-1,WS-24-2).本テフラは更新世前期末を示す第1級の示標テフラである.

文献:鎌田ほか(1994),町田ほか(1980),三梨ほか(1959),新妻(1976)

梅ケ瀬北方の林道露頭を示す地形図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「大多喜」(大多喜13号-1)。石塚。標高194,239.3,172,188,220。

English translation

1:25,000 “Otaki” (Otaki 13-1). Ishizuka. Elevations 194, 239.3, 172, 188, 220.

国本層の泥岩中に上からKu6A・B・C・D・Eを表示した露頭写真
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図中文字(日本語)

上から:Ku6A,Ku6B,Ku6C,Ku6D,Ku6E。

English translation

From top: Ku6A, Ku6B, Ku6C, Ku6D, Ku6E.

WS-25-1 中部九州に分布する耶馬溪火砕流堆積物-大阪層群ピンク火山灰の給源火砕流-

鎌田浩毅・星住英夫

地名:大分県耶馬溪町鹿熊(地点2), 同県玖珠町日出生台笠置原(自衛隊日出生台演習場)(地点4)緯度・経度:N33°25′33″ E131°6′44″(地点2),N33°18′47″ E131°15′28″(地点4)標高:230m(地点2),600m(地点4)露頭種別・現況:人工露頭(地点2),自然露頭(地点4)堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,更新世前期末期記載時期:1995年3月(地点2), 1987年3月(地点4)キーワード:耶馬溪火砕流堆積物,ピンク火山灰,猪牟田カルデラ,O7火山灰,火山豆石

耶馬溪(やばけい)火砕流堆積物は熊本県から大分県にまたがる広大な地域に広がり,中部九州では最大規模の火砕流堆積物の1つである.耶馬溪火砕流堆積物からは,0.99±0.03MaのK-Ar年代測定値(宇都・須藤,1985)と1.04±0.05Maのフィッション・トラック年代測定値(檀原ほか,1994)が得られており,堆積物の磁化極性は正である.耶馬溪火砕流堆積物を覆う今市火砕流堆積物が逆帯磁であることから,耶馬溪火砕流の噴出はハラミヨ・サブクロン(0.99~1.07Ma)と考えられる.耶馬溪火砕流堆積物の現存面積は約480km²,最大層厚は約150m,現存体積は約40km³,推定体積は約110km³である(Kamata,1989a),現在,地表では噴出源に対応する火口地形やカルデラは見つからないが,Kamata (1989a)は耶馬溪火砕流堆積物の地表での分布と高度や試錐試料及び重力異常などのデータから,九重火山北方の九重町猪牟田付近に猪牟田(ししむた)カルデラを想定し,耶馬溪火砕流の噴出源と考えた.耶馬溪火砕流堆積物は,前期更新世末期の重要な鍵層の一つである大阪層群ピンク火山灰及び上総層群O7火山灰と対比されている(檀原ほか,1992; Hayashida et al.,1996).その根拠は以下の点である.耶馬溪火砕流堆積物とピンク火山灰の(1)火山ガラスの屈折率が良く一致し,屈折率の最頻値はn=1.498~1.502である;(2)緑色普通角閃石・斜方輝石・単斜輝石・ジルコン・燐灰石・不透明鉱物の斑晶がほぼ同様の量比で認められ, それぞれ約40~70,5~30,1~10, 0~1, 1~2, 10~30%である(3)緑色普通角閃石と単斜輝石の屈折率が良く一致し,それぞれの最頻値はn2=1.673~1.679とγ=1.706~1.710である(檀原ほか,1992).また,耶馬溪火砕流堆積物,ピンク火山灰,O7火山灰はいずれも約30°の浅い伏角をもつ正帯磁で特徴づけられる(Hayashida et al.,1996).

耶馬溪火砕流堆積物は主に溶結部からなり,広大な火砕流台地を形成している.溶結部は,一部の黒色ガラス質の岩相を除いて全体に脱ガラス化が進んでおり灰色を呈する.溶結部には幅0.5~2mの柱状節理が発達し,脱ガラス化を受けた露頭では基質と本質レンズの両者とも灰色を呈するため両者が見分けにくい.火砕流堆積物の基底部や上部には非溶結部を伴うが,上部の非溶結部は侵食で失われていることも多い.非溶結部では灰白色火山灰基質中に大きさ10cm以下時には20cmに達する淡灰褐色軽石を含む.堆積物は溶結部・非溶結部とも大きさ1~3mm程度の多量の斜長石・普通角閃石・斜方輝石の結晶片を基質及び本質レンズあるいは軽石に含んでいるのが特徴的である.

耶馬溪西部の露頭1~3を示す地形図
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図中文字(日本語)

地点1,2,3;2.5万分の1「耶馬溪西部」(中津16号-3)。大島,奥鶴,幸田,金吉,芝原,鹿熊,耶馬溪。標高152,366,374;等高線200。

English translation

Localities 1, 2, 3; 1:25,000 “Western Yabakei” (Nakatsu 16-3). Oshima, 奥鶴, 幸田, 金吉, 芝原, 鹿熊, Yabakei. Elevations 152, 366, 374; contour 200.

日出生台笠置原の露頭4~5を示す地形図
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図中文字(日本語)

地点4,5;2.5万分の1「日出生台」(大分9号-3)。日出生,長谷,笠置原,日出生川。標高690,668,678;等高線500,600。

English translation

Localities 4, 5; 1:25,000 “Hijudai” (Oita 9-3). 日出生, 長谷, Kasagiharu, 日出生 River. Elevations 690, 668, 678; contours 500, 600.

WS-25-1(続き)

地点1,2,3(耶馬溪町鹿熊(かぐま))の露頭は,耶馬溪火砕流堆積物の火砕流台地に登る道路の中腹にある.地点1では,非溶結部が下位の地層を直接覆い,基底の降下火砕物は認められない.地点2では,黒色のガラス質の強溶結部からなり,脱ガラス化を受けていない新鮮な試料が採取できる.道路をさらに上がっていくと順次上位の岩相を連続的に観察することができ,脱ガラス化を受けた厚い灰色の強溶結部と淡茶色の弱溶結~非溶結部が見られる(柱状図左).地点3では,耶馬溪火砕流堆積物の最上部の非溶結部は失われ弱溶結部で終わっており,風化帯を挟んで今市火砕流堆積物に覆われる(鎌田ほか,1994a).

地点4の玖珠町日出生台笠置原(ひじゅうだいかさぎはる)の陸上自衛隊演習場では,耶馬溪火砕流堆積物の直下に降下火山灰層が認められる.降下火山灰層は全体に淡灰褐色を呈し,厚さ約60cmで大部分が大きさ1cm以下の火山豆石から構成される(写真)(星住ほか,1988).降下火山灰層の最上部には厚さ数cmの火山灰と火山砂の互層を伴う.そのすぐ上位には非溶結の火砕流堆積物の本体があって,間に風化侵食間隙は認められない(柱状図右).この露頭の道路を挟んだ北側では,耶馬溪火砕流堆積物の下位に鬼ヶ原岩屑堆積物(成層した凝灰角礫岩など)を挟んで,西方2kmにある流紋岩溶岩台地(小松台流紋岩類,約1.2Ma)に由来する非溶結の笠置原火砕流堆積物が分布する(星住ほか,1988).このほかに,耶馬溪火砕流堆積物基底の降下火砕物の露頭としては,玖珠(くす)町石飛南西の620m標高点の南東100mの国道沿いや松木ダム東南東2.5kmの林道沿いなどでも確認されているが(いずれも2.5万分の1「豊後森」地域),露頭状況は植生などによりあまりよくない.

文献:檀原ほか(1992,1994),Hayashida et al.(1996),星住ほか(1988),Kamata(1989a),鎌田ほか(1994a),宇都・須藤(1985)

巻尺に沿って見える直径1cm以下の火山豆石
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図中文字(日本語)

巻尺の可読目盛:1,2,4,5,6,7,8,9,10,11,12。

English translation

Legible tape-measure numerals: 1, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12.

鹿熊の溶結部と日出生台の基底降下灰・下位地層を示す二柱状図
原著 93ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

左柱:地点1,2,3(耶馬溪町鹿熊)。上から今市火砕流堆積物:強溶結部;弱溶結部;地点3,風化帯。耶馬溪火砕流堆積物:弱溶結部;強溶結部(脱ガラス化);地点1,強溶結部(ガラス質);非溶結部;地点2;凝灰岩-凝灰角礫岩。尺度2m。 右柱:地点4(玖珠町日出生台)。上から耶馬溪火砕流堆積物:非溶結部(火山灰及び軽石);降下火山灰火山砂互層;地点4,降下火山灰(降下火山豆石)。鬼ヶ原岩屑堆積物:凝灰角礫岩-凝灰質砂岩。笠置原火砕流堆積物:非溶結部(火山灰及び軽石)。尺度2m。画像上端の宇都・須藤(1985)は本文文献に復元済。

English translation

Left column: localities 1, 2, 3 (Kaguma, Yabakei Town). From top: Imaichi pyroclastic-flow deposits: strongly welded part; weakly welded part; locality 3, weathered zone. Yabakei pyroclastic-flow deposits: weakly welded part; strongly welded part (devitrified); locality 1, strongly welded part (glassy); nonwelded part; locality 2; tuff–tuff breccia. Scale 2 m. Right column: locality 4 (Hijudai, Kusu Town). From top: Yabakei pyroclastic-flow deposits: nonwelded part (volcanic ash and pumice); alternating volcanic-ash and volcanic-sand fallout beds; locality 4, volcanic-ash fall (accretionary-lapilli fall). Onigahara debris deposits: tuff breccia–tuffaceous sandstone. Kasagiharu pyroclastic-flow deposits: nonwelded part (volcanic ash and pumice). Scale 2 m. Uto and Suto (1985) at the image top has been restored in the main references.

WS-25-2 徳島県土柱の前期更新世広域テフラ,土柱火山灰層-大阪ピンク火山灰-

水野清秀

地名:徳島県阿波郡阿波町桜ノ岡北天然記念物阿波ノ土柱緯度・経度:N34°05′20″ E134°12′34″

標高:120m露頭種別・現況:自然露頭,現存堆積物の種別と年代:淡水成層,更新世前期,約1.0Ma記載時期:1996年1月キーワード:土柱火山灰,大阪ピンク火山灰,阿波ノ土柱

徳島県阿波町には,河川成の礫層を主体とする地層が浸食されてできた「土柱」があり,国の天然記念物に指定されている.この地層は土柱層と呼ばれ,その中に挟まれている土柱火山灰層(阿子島・須鎗,1989)は,約1.0Maに噴出した大阪層群中の代表的なテフラのひとつであるピンク火山灰層に対比されている(水野,1987).ここでは須鎗・阿子島(1977)による土柱層の柱状図を示す.中位に挟まれている土柱火山灰層は,厚さ40~100cm程度のガラス質の火山灰からなり, 水野(1987),阿子島・須鎗(1989)に詳しい記載がある. 古地磁気は正帯磁を示し,フィッション・トラック年代値は1.3±0.2Maと求められている.

波涛嶽の15層と土柱の名称を示す模式断面、右上は位置図
原著 94ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1「西赤谷」(徳島16号-1);阿波ノ土柱,林,桜ノ岡,名東岡,十善地;標高203,149.9,84。 阿波ノ土柱 模式断面図(波涛嶽);吉野川グループ(1968);尺度2m。地形名:大波小波,蓬莱島,大天柱・大石門,白狗座,大蟻塚。凡例:boulder, angular, round;cobble;pebble;clayey。層番号と原図色調:

番号 可読色調・ラベル
1 br.
2 判読不明
3 br.
4 gray
5 brown br.
6 色調文字なし
7 brown br.
8 gray
9 grayey white
10 light brown;gray;light brown
11 土柱火山灰層
12 brown
13 gray
14 brown
15 light brown

English translation

Map: 1:25,000 “Nishi-Akadani” (Tokushima 16-1); Awa-no-Dochu, Hayashi, Sakuranooka, 名東岡, 十善地; elevations 203, 149.9, 84. Reference cross-section of Awa-no-Dochu (Hatodake); Yoshinogawa Group (1968); scale 2 m. Named landforms: Onami-Konami, Horaijima, Daitenchu–Daisekimon, Hakukuza, Oarizuka. Legend, retaining original English: boulder, angular, round; cobble; pebble; clayey. Bed numbers and original colour lettering:

Number Legible colour or label
1 br.
2 illegible
3 br.
4 gray
5 brown br.
6 no colour lettering
7 brown br.
8 gray
9 grayey white
10 light brown; gray; light brown
11 Dochu volcanic-ash bed
12 brown
13 gray
14 brown
15 light brown

判読上の注記

第2層の細字 — 原図上端の文字が重なり判読できない。br.とgrayey whiteは原図表記を保持。

文献:阿子島・須鎗(1989),水野(1987),須鎗・阿子島(1977),吉野川グループ(1968)

WS-25-3 大阪層群下部の代表的な広域テフラ,ピンク火山灰

水野清秀

地名:大阪府堺市富蔵東方緯度・経度:N34°28′18″ E135°31′42″標高:70m

露頭種別・現況:自然露頭,1996年2月時点現存堆積物の種別と年代:淡水成層一部海成層,約1.0Maキーワード:ピンク火山灰,大阪層群,堺

ピンク火山灰層は,大阪層群下部中の代表的なテフラの1つであり,その層位はハラミヨ・イベントに位置し,年代測定も多数行われ,約1.0Maと推定されている(Ishida et al,1969;檀原ほか,1992;市原,1993など).このテフラの広域対比も進められてきている.ピンク火山灰の名称はItihara(1953)によって最初に用いられ,その模式地は千里丘陵である.しかし開発による露頭の消失に伴い,大阪層群の模式地が泉南・泉北地域に移っている(Itihara et al., 1975;吉川,1973).本露頭はその一部に相当し,露頭周辺はしばらく開発から免れると予想される.本露頭は10m程度の高さがあり,ピンク火山灰層は上部の淡水成のシルト中に挟まれている.その下位にはMa1と呼ばれる海成粘土層があり,その中に極薄い火山灰層が1枚挟まれている.本露頭周辺の地質については,吉川(1973),Itihara et al.(1975)に記載されている.ピンク火山灰層の詳しい特徴は南東側の谷(地図の■地点)で観察することができる.ピンク火山灰層は厚さ70cm程度であり,灰白色~淡桃色のガラス質の火山灰から成り,6層くらいに区分される(Yoshikawa,1984).とくに中部2層準に粗粒砂質の層がある.ピンク火山灰層の岩石記載学的特徴は,横山・楠木(1969),吉川(1976),Yoshikawa(1984)などに詳しく記載されている.

文献:檀原ほか(1992),Ishida et al. (1969),Itihara(1953),市原(1993),Itihara et al.(1975),横山・楠木(1969),吉川(1973),吉川(1976),Yoshikawa(1984)

富蔵東方の主要露頭と南東の観察地点を示す地形図
原著 95ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「富田林」(和歌山6号-3)。堺市,富蔵,逆瀬川,釜室,畑,感応寺。標高59,95.5,145,83,66,96.2。

English translation

1:25,000 “Tondabayashi” (Wakayama 6-3). Sakai City, 富蔵, Sakasegawa, Kamamuro, Hata, Kannoji Temple. Elevations 59, 95.5, 145, 83, 66, 96.2.

火山灰層と下位の海成粘土Ma1を示すNW–SE露頭写真
原著 95ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

NW;SE;火山灰層;海成粘土Ma1;2m;1996年2月撮影。

English translation

NW; SE; volcanic-ash bed; marine clay Ma1; 2 m; photographed in February 1996.

細かな成層を示すピンク火山灰の近接写真
原著 95ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

ピンク火山灰の層相;スケールは90cm。

English translation

Facies of the Pink volcanic ash; scale 90 cm.

WS-26-1 第三紀・第四紀境界層準を示す大阪層群福田火山灰層

吉川周作

地名:大阪府岸和田市三ケ山町緯度・経度:N34°25′52″ E135°25′09″標高:60m

露頭種別・現況:人工露頭,1992年造成工事で消滅堆積物の種別と年代:河湖成シルト・砂,火山灰層,鮮新世・前期更新世,1.75Ma記載時期:1987年キーワード:大阪層群,福田火山灰層

大阪府南部の泉南・泉北丘陵には大阪層群の最も完全な層序が発達する.大阪層群は植物化石の産出状況に基づいて、メタセコイア植物群繁栄期の最下部,同植物群消滅期の下部,そして上部に3分され,それぞれの境界は福田火山灰層上限とアズキ火山灰層下限におかれている.福田火山灰層の層準は,第三紀・第四紀境界と考えられていて,古地磁気層序のオルドバイ・サブクロンはこの直下に存在する(市原,1960;吉川,1983;市原,1993).岸和田市三ケ山町の露頭は,福田火山灰層の模式地である.河湖成のシルト層と砂層,一部に砂礫層が見られ,シルト層中に厚さ100~60cmの福田火山灰層が露出していた.また,この火山灰層の下10cmには厚さ5~10cmの白色細粒火山灰層(未命名)も観察できた.ここでの福田火山灰層は,厚さ14cmの白~黄白色・細~中粒ガラス質火山灰からなるユニットA,厚さ10cmの赤紫色・細~中粒ガラス質火山灰からなるユニットB,厚さ25~100cmの黄白~白色・細粒ガラス質火山灰で軽石を含むユニットCから構成される.福田火山灰層は大阪南部に連続的に分布し, その相当層は近畿・東海地方,さらに新潟や房総半島でも発見されている.新潟では魚沼層群中の辻又川火山灰層,房総では上総層群のKd38火山灰層に相当する(Yoshikawa et al.,1995).

文献:市原(1960,1993),吉川(1983), Yoshikawa et al. (1995)

三ケ山町の福田火山灰模式露頭を黒四角で示す地形図
原著 96ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「岸和田東部」(和歌山10号-1)。福田町,葛城町,大池。標高69,73.0,74。

English translation

1:25,000 “Eastern Kishiwada” (Wakayama 10-1). Fukuda Town, Katsuragi Town, Oike. Elevations 69, 73.0, 74.

福田火山灰のユニットA1・B・Cと下位の薄い灰層を示す対写真
原著 96ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

左右ともW,E。左写真上から:ユニットC;ユニットB;ユニットA1;シルト;火山灰;シルト。1987年3月撮影。

English translation

W, E on both photographs. Left photograph, from top: unit C; unit B; unit A1; silt; volcanic ash; silt. Photographed in March 1987.

WS-26-2 第三紀・第四紀境界層準を示す魚沼層群辻又川火山灰層

吉川周作

地名:新潟県南魚沼郡大和町辻又緯度・経度:N37°11′01″ E138°52′29″標高:210m

露頭種別・現況:自然露頭,1995年9月時点で現存堆積物の種別と年代:河湖成シルト,砂,砂礫,火山灰層,鮮新世~前期更新世,1.75Ma記載時期:1989年10月キーワード:魚沼層群,辻又川火山灰,福田火山灰

新潟県の魚沼・東頸城丘陵には鮮新・更新統の魚沼層群が広く分布する.同層群は,最大層厚約3,000mで,海成または陸水成の礫・砂・シルトからなり,約50層の火山灰層を挟在する.辻又川火山灰層(Tzc)は,SK120火山灰層のやや下位の魚沼層群下部累層上部,古地磁気層序ではオルドバイ・サブクロン直上に挟まれている.南魚沼郡大和町辻又の露頭は,辻又川火山灰層の模式地である(風岡ほか,1986).この露頭は辻又川東岸の高さ約3mの崖で,河-湖成のシルト・砂・砂礫層,一部に泥炭層が見られ,このシルト中に厚さ120~100cmの辻又川火山灰層が露出する.この火山灰層は,層相の違いによって,下位より順にユニットA1・A2・B・Cに区分される.ユニットA1は,厚さ16~23cmの黄白~白色・粗~細粒のガラス質火山灰,ユニットA2は,厚さ23cmの白色・ゴマシオ状・粗~中粒のやや結晶質火山灰,ユニットBは,厚さ10cmの赤紫色・細~中粒のガラス質火山灰,ユニットCは,厚さ50~70cmの黄白~灰白~白色・細~粗粒ガラス質火山灰である.辻又川火山灰層は大阪層群の福田火山灰層(WS-26-1),上総層群のKd38火山灰層(WS-26-3)に対比される(吉川ほか,1994;黒川・富田,1995;吉川ほか,1996).

文献:風岡ほか(1986),黒川・富田(1995),吉川ほか(1994,1996)

辻又川東岸の露頭位置図とユニットA1・A2・B・Cの写真
原著 97ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1「岩沢」(高田1号-4);2.5万分の1「小出」(高田1号-2)。下稲倉,明神,上山;標高272,194,353,424,234.6。写真:NW,SE;辻又川火山灰層;上からユニットC,B,A2,A1;1995年8月撮影。画像左縁の本文断片は本文に収録済。

English translation

Map: 1:25,000 “Iwasawa” (Takada 1-4); 1:25,000 “Koide” (Takada 1-2). 下稲倉, Myojin, 上山; elevations 272, 194, 353, 424, 234.6. Photograph: NW, SE; Tsujimatagawa volcanic-ash bed; from top, units C, B, A2, A1; photographed in August 1995. Text fragments at the left edge are included in the main text.

WS-26-3 第三紀・第四紀境界層準を示す上総層群Kd38火山灰層

吉川周作

地名:千葉県君津市加勢緯度・経度:N35°12′24″ E140°06′21″標高:100m

露頭種別・現況:自然露頭,1995年6月時点で現存堆積物の種別と年代:海成シルト・砂層,火山灰層

鮮新世・前期更新世,1.75Ma記載時期:1995年6月キーワード:上総層群,黄和田層,Kd38火山灰層,房総半島

千葉県房総半島の上総丘陵には鮮新・下部更新統の上総層群が広く分布する.同層群は,最大層厚3000m以上で,海成の粘土・砂・シルトの互層からなり,約200層以上の火山灰層が挟まれている.Kd38火山灰層は,上総層群黄和田層下部あるいは黒滝層に挟まれ(三梨ほか,1959),石灰質ナンノ化石層序ではFAD Gephyrocapsa caribbeanicaの直下(高山ほか,1995),古地磁気層序ではオルドバイ・サブクロン直上にあることから(新妻,1976),第三紀・第四紀境界層準を示す重要な鍵層である.君津市加勢の露頭は,折木沢の東京大学演習林入口付近トンネルのすぐ下,小櫃川支流東岸の崖で,海成の砂層,一部にシルト層が露出している.この砂層中に厚さ約40cmのKd38火山灰層が見られる.この火山灰層は,層相の違いによって,下位より順にユニットA1・A2・Bに区分される.ユニットA1は,厚さ12cmの白色・中~細粒のガラス質火山灰で,中部に径2~3mmの火山豆石が含まれる.ユニットA2は,厚さ12cmの灰白色・ゴマシオ状・中~細粒のやや結晶質火山灰で,平行・斜交葉理が発達する.ユニットBは,厚さ10~20cmの赤紫色・細~中粒のガラス質火山灰である.Kd38火山灰層は大阪層群の福田火山灰層(WS-26-1),魚沼層群の辻又川火山灰層(WS-26-2)に対比される(吉川ほか,1994;黒川・富田,1995;吉川ほか,1996).

文献:黒川・富田(1995),三梨ほか(1959),新妻(1976),高山ほか(1995),吉川ほか(1994,1996)

加勢南西の谷沿いのKd38露頭を矢印で示す地形図
原著 98ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「坂畑」(大多喜13号-4)。加勢;折〔地名の残りは切れている〕。標高140,204,315.2。

English translation

1:25,000 “Sakahata” (Otaki 13-4). 加勢; 折 [remainder of locality name cropped]. Elevations 140, 204, 315.2.

Kd38のA1・A2・Bを示すN–S露頭写真
原著 98ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

N;S;kd38火山灰;上からユニットB,ユニットA2,ユニットA1;1995年6月撮影。

English translation

N; S; kd38 volcanic ash; from top, unit B, unit A2, unit A1; photographed in June 1995.

2. 北海道地方

HK-1 北海道北部サロベツ原野周辺の台地に分布する利尻火山起源の後期更新世テフラ層

三浦英樹

地名:北海道豊富町豊徳緯度・経度:N45°7′28″ E141°38′23″標高:26m露頭種別・現況:人工露頭,現存

堆積物の種別と年代:風成テフラ,海成層,更新世後期記載時期:1990年5月

キーワード:利尻起源テフラ,利尻ワンコの沢テフラ,利尻豊徳テフラ,サロベツ原野,凍結擾乱現象

本露頭ではサロベツ原野周辺に分布する利尻火山起源の後期更新世テフラをすべて観察できる.ここでは,海成砂礫層の直上に利尻アチャル第1(Rs-Ac1),同第2(Rs-Ac2),利尻兜沼第1(Rs-Kb1),同第2(Rs-Kb2),同第3(Rs-Kb3),同ワンコの沢(Rs-Wn),豊徳(Rs-Ho)の7枚のテフラが認められる.Rs-Ac1はサロベツ原野兜沼で100~130kaの屈斜路羽幌テフラ(Kc-Hb)の上位に,Rs-Kb2は同じ兜沼で70~90kaの阿蘇4テフラ(Aso-4)直下に,Rs-Wnは頓別平野で31~42kaの支笏第1テフラ(Spfa-1)の上位に位置する(露頭位置と柱状図はMiura,1995a参照),台地を構成する最下部の海成砂礫層は恵北層(更別グループほか,1966)と呼ばれ,これまで中期更新統とされてきた.しかし,場所によってはRs-Ac1,Rs-Ac2やAso-4がこの砂礫層を直接覆うことから,従来の恵北層は,中~後期更新世の時代を異にする地層を含むと考えられる(Miura,1995b).Rs-Wnはその分布主軸から利尻島鬼脇沖合いの沈水した凹地(現在の海面下約90m)が火口と推定されるが,テフラに水と接触した噴出物が認められないことから,最終氷期中の低海面期の噴出物であることが予想される.Rs-Hoの年代は,その上位の腐植層下部の酸不溶性腐植から約8kaの14C年代が得られたこと,層準がRs-Wnに近いことから、これまで考えられてきたような完新世(佐々木ほか,1973;富岡・音羽,1973)ではなく,更新世末期と推定される(Miura,1995a).Rs-HoとRs-Wnの層準には凍結擾乱現象(クリオターベーション)が認められ,その降下後に寒冷環境が存在したことが予想されるが,これだけでは当時の永久凍土環境を直接示す証拠にはならない.

文献:更別グループほか(1966),佐々木ほか(1973),富岡・音羽(1973),Miura(1995a,b)

豊徳の人工露頭を示す稚咲内図幅の地形図
原著 100ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

5万分の1「稚咲内」(天塩6号)。ワンコノ沢,長沼群,豊徳,清明川。標高5,5.5,57,45,56,48.8,8.7,3.5,51.5,23,55.2。

English translation

1:50,000 “Wakasakanai” (Teshio 6). Wankonosawa, Naganuma lake group, 豊徳, Seimei River. Elevations 5, 5.5, 57, 45, 56, 48.8, 8.7, 3.5, 51.5, 23, 55.2.

七枚の利尻テフラを表示した海成砂礫層上のS–N露頭
原著 100ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

S;N;Rs-Ho;Rs-Wn;Rs-Kb3;Rs-Kb2;Rs-Kb1;Rs-Ac2;Rs-Ac1;海成砂礫層;1990年5月撮影。

English translation

S; N; Rs-Ho; Rs-Wn; Rs-Kb3; Rs-Kb2; Rs-Kb1; Rs-Ac2; Rs-Ac1; marine sand and gravel; photographed in May 1990.

利尻テフラと広域テフラ、年代値を対応させた柱状図
原著 100ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

尺度0,1,2,3m。年代:8,180±180年BP(GaK-16786);31–42ka;70–90ka;100–130ka。上からRs-Ho;Rs-Wn;Spfa-1(31–42ka);Rs-Kb3;Aso-4(70–90ka);Rs-Kb2;Rs-Kb1;Rs-Ac2;Rs-Ac1;Kc-Hb(100–130ka)。凡例:腐植層;ローム;火山灰;スコリア;軽石;海成砂礫層。

English translation

Scale 0, 1, 2, 3 m. Ages: 8,180±180 yr BP (GaK-16786); 31–42 ka; 70–90 ka; 100–130 ka. From top: Rs-Ho; Rs-Wn; Spfa-1 (31–42 ka); Rs-Kb3; Aso-4 (70–90 ka); Rs-Kb2; Rs-Kb1; Rs-Ac2; Rs-Ac1; Kc-Hb (100–130 ka). Legend: humic layer; loam; volcanic ash; scoria; pumice; marine sand and gravel.

HK-2 北海道北部頓別平野の化石凍結割れ目構造-最終氷期中の冬期の著しい気温低下を示す現象-

三浦英樹

地名:北海道猿払村芦野(芦野小学校近傍の土取場)緯度・経度:N45°17′50″ E142°11′05″標高:12m

露頭種別・現況:人工露頭,一部現存堆積物の種別と年代:ローム,風成テフラ,海成層,更新世後期

記載時期:1990年12月キーワード:頓別平野,化石凍結割れ目構造,利尻ワンコの沢テフラ,永久凍土環境

冬期に地表面が強く冷却されると凍土層内に温度勾配が生じ,表面に近い部分ほどより強く収縮する.このために生じた張力が凍土の力学的強度限界を超えたときに凍結割れ目が形成される.北海道北部の頓別平野周辺の台地にはこのような成因をもつ化石凍結割れ目構造が多数認められる(三浦・平川,1995に露頭位置図とスケッチ有り).この露頭には,浅茅野面を構成する海成砂礫層(浅茅野層;重粘地グループ,1964)とそれを覆う層理不明瞭な暗褐色細粒砂層,ロームおよび腐植層が堆積する.凍結割れ目構造は幅約30mの南側の露頭(現存)で4つ(写真左はその一つ;腐植層直下から割れ目下端までの長さは254cm), 隣接する幅約40mの北側の露頭で5つ(写真右はその一つ;腐植層直下から割れ目下端までの長さは238cm,現在消失)確認された.南側では腐植層の約40cm下位に粒径1~2mmの利尻ワンコの沢テフラ(Rs-Wn)の軽石粒が連続するが,凍結割れ目上方では認められない.

このことから,この割れ目はRs-Wn降下後に形成されたと考えられる.理論的に計算された当時の凍結融解層の厚さと凍結割れ目の深さの比較から,写真の割れ目は,永久凍土面を越えていた確実なアイスウエッジカストと考えられ,この地域が最終氷期後半に永久凍土環境下にあったことを示唆する.写真右の海成砂礫層とロームの境界部に認められる層厚約1~2cmの酸化鉄の盤層は過去の永久凍土面に集積した鉄の可能性がある.頓別平野周辺の化石凍結割れ目構造の露頭は現在ではほとんど消失しているが,今後新たな露頭の出現によってさらに多くの化石凍結割れ目構造の発見が期待できる地域である.

文献:重粘地グループ(1964),Miura(1995a),三浦・平川 (1995)

芦野の土取場と周辺の湿地を示す地形図
原著 101ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

5万分の1「鬼志別」(枝幸9号・13号)。芦野,猿骨,猿骨沼,キモマ沼。標高20,26.5,11.3,2.16,6。

English translation

1:50,000 “Onishibetsu” (Esashi 9 and 13). Ashino, Sarukotsu, Lake Sarukotsu, Lake Kimoma. Elevations 20, 26.5, 11.3, 2.16, 6.

Rs-Wn下位を貫く南側割れ目と酸化鉄盤層を伴う北側割れ目
原著 101ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

左:腐植層;Rs-Wn;ローム;暗褐色細粒砂層;海成砂礫層(浅茅野層)。右:ローム;暗褐色細粒砂層;酸化鉄の盤層;海成砂礫層(浅茅野層)。

English translation

Left: humic layer; Rs-Wn; loam; dark brown fine sand; marine sand and gravel (Asachino Formation). Right: loam; dark brown fine sand; iron-oxide pan; marine sand and gravel (Asachino Formation).

1991年5月撮影

HK-3 オホーツク海沿岸南部,サロマ湖畔の中期更新世海成段丘とテフラ

奥村晃史

地名:北海道佐呂間町幌岩緯度・経度:N44°05′45″ E143°53′25″標高:5m

露頭種別・現況:人工露頭,不明堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,降下テフラ,更新世中期

記載時期:1985年8月キーワード:サロマ湖,屈斜路カルデラ起源テフラ,紋別火山灰-1,幌岩火山灰,花粉分析

サロマ湖東南部を取り囲むようにして,この露頭で観察できる幌岩の段丘や常呂の岐阜台地,サロマ湖とオホーツク海を区切る砂州状の台地が分布している.これらの台地はいずれも最終間氷期の海成段丘より一段高位の中期更新世海成段丘で,旧汀線は海抜10~30mに認められる.サロマ湖沿岸では屈斜路火砕流堆積物IV(KP IV)によって指示される最終間氷期の海成段丘は岐阜台地北縁・西縁に局地的に分布するだけである(Okumura,1996).本露頭では中期更新世から最終間氷期にかけての本地域の模式的なテフラ層序を見ることができる(Sakaguchi and Okumura,1986;奥村,1991).海成層上部にふくまれる紋別火山灰-1(Mb-1)と登栄床火山灰(TT)はいずれもK₂Oに富み(4wt%前後),中央北海道起源のテフラと共通する岩石記載的性質をもつ.両者の間にある幌岩火山灰はKP VIIに一致する主成分組成をもつ火山ガラスから構成され,KP VIIと同時に屈斜路火山から噴出テフラとみられる.同様のテフラは岐阜台地の段丘構成層上からも見いだされている.幌岩火山灰上位の腐植質シルトを覆う火山灰からはKPVIに類似した火山ガラスが見いだされている.KPIVとそのco-ignimbrite ashである屈斜路羽幌火山灰は北海道中・東部に広く分布して最終間氷期の段丘面を指示する(WS-16参照).この露頭はこの火砕流堆積物の分布北限にあたる.泥炭・腐植質シルト層の花粉分析からは,海成層堆積後現在よりも幾分温暖な時期があった後,現在より冷涼な気候が続いたことがわかっている.しかし,KPIV下位に顕著な温暖期や寒冷期は認められないことから,このセクションには酸素同位体ステージ6の寒冷期とステージ5eの温暖期の堆積物は含まれていない模様である(Sakaguchi and Okumura,1986).

文献:奥村(1991),Okumura(1996),Sakaguchi and Okumura (1986)

幌岩牧場西方の露頭を矢印で示す地形図
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図中文字(日本語)

5万分の1「サロマ湖」(紋別4号)。幌岩,幌岩牧場;標高3.1,24.0,3.3,9.7。左縁の工場名は切れている。

English translation

1:50,000 “Lake Saroma” (Mombetsu 4). Horoiwa, Horoiwa Farm; elevations 3.1, 24.0, 3.3, 9.7. Factory name at left edge is cropped.

海成砂・シルトの上に暗色泥炭と明色火砕流が重なる露頭
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屈斜路IVから海成層までのテフラ・泥炭の柱状図
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図中文字(日本語)

尺度0,1,2m。上から:屈斜路火砕流堆積物(KP)IV;Pink;泥炭;腐植質シルト;登栄床火山灰;泥炭;腐植質シルト;幌岩火山灰;紋別火山灰-1[水中堆積];生痕を含む砂・シルト。

English translation

Scale 0, 1, 2 m. From top: Kussharo pyroclastic-flow deposits (KP) IV; Pink; peat; humic silt; Toetoko volcanic ash; peat; humic silt; Horoiwa volcanic ash; Mombetsu volcanic ash-1 [deposited under water]; sand and silt containing trace fossils.

HK-4 阿寒カルデラ北方における阿寒火砕流堆積物の層序

奥村晃史

地名:北海道北見市開成緯度・経度:N43°44′15″ E143°53′04″ 標高:120m露頭種別・現況:人工露頭,不明堆積物の種別と年代:火砕流堆積物,更新世中期記載時期:1984年9月キーワード:阿寒上部火砕流堆積物,阿寒溶結凝灰岩,阿寒下部火砕流堆積物,屈斜路火砕流堆積物,北海道東部,北見盆地

中期更新世に阿寒カルデラから3回にわたって噴出した大規模火砕流は阿寒下部火砕流堆積物(ALP),阿寒溶結凝灰岩(AWT),阿寒上部火砕流堆積物(AUP)に区分される(山口・佐藤,1966;奥村,1991).ALPは阿寒カルデラ北方,北見相生周辺に厚く堆積しているが,その他の地域での分布はまだ確認されていない. AWTは主にカルデラ南方の釧路湿原周辺に溶結凝灰岩として広く分布している.その一端は釧路段丘構成層下位の砂礫層から見いだされている(松井ほか,1987;HK-13参照).北見開成の本露頭では軽石質砂礫層を覆う厚さ約20m,暗褐色を呈するAWTの非溶結部を観察することができる.AWTは球殻状に非常によく発泡した黒褐色の火山ガラスで構成され,斑晶鉱物に斜方輝石・単斜輝石および石英を含む.AWT上部の風化帯と厚さ1mたらずの火山灰土を挟んで,白色・非溶結のAUPが堆積している. AUPは基底部に火山豆石を多量に含む細粒火山灰層を伴う点が特徴的である.AUPはカルデラ北方,津別川流域から北見盆地南縁に露出し,その一端は屈斜路カルデラ北方でも見出されている(奥村,1991;HK-8).AUP上位には屈斜路火砕流堆積物V,同IV(KPV, KPIV)が累重する.KPIV直下の火山灰土最上部にはピンク色の火山灰薄層が挟まれる.この火山灰はKPIV分布域に広く認められ,KPIV対比の手がかりとなる.

これらの火砕流堆積物の噴出年代について直接の年代資料は得られていない.しかし,釧路市街のAWTと最終間氷期海成層の間に海進が認められないこと(松井,1987),女満別付近の最終間氷期海成段丘の一部が,AUPとKPVの二次堆積物だけから構成されて陸上堆積のKPIVに覆われること,からみて,酸素同位体ステージ7からステージ5にかけての時期にAWT,AUP,KP Vが順次噴出したことは確実とみられる(奥村,1991).写真はAUP(右下)とKPVの累重を示す.

文献:松井(1987),奥村(1991),山口・佐藤(1966)

北見市開成の露頭を示す地形図
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図中文字(日本語)

5万分の1「北見」(北見2号)。開成,サントンエイ〔地図原表記〕;標高210.8,215,189。

English translation

1:50,000 “Kitami” (Kitami 2). Kaisei, サントンエイ [original map lettering]; elevations 210.8, 215, 189.

AWT・AUP・KP V・KP IVの柱状図とAUPを覆うKP Vの写真
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図中文字(日本語)

尺度0,10m。上から:屈斜路火砕流堆積物(KP)IV;Pink ash;火山灰土;屈斜路火砕流堆積物(KP)V;AUPの風化部;阿寒上部火砕流堆積物(AUP);火山豆石を含む火山灰;阿寒溶結凝灰岩(AWT:非溶結);砂。画像内本文と文献は本文に収録済。

English translation

Scale 0, 10 m. From top: Kussharo pyroclastic-flow deposits (KP) IV; Pink ash; volcanic-ash soil; Kussharo pyroclastic-flow deposits (KP) V; weathered part of AUP; Akan Upper Pyroclastic-flow Deposits (AUP); volcanic ash containing accretionary lapilli; Akan Welded Tuff (AWT: nonwelded); sand. Embedded prose and references are included in the main text.

HK-5 北海道東部,オホーツク海沿岸に分布するトコロ(常呂)火山灰

遠藤邦彦・隅田まり・星住リベカ

地名:北海道網走支庁常呂郡常呂町緯度・経度:N44°7′38″ E144°1′3″標高:5~20m

露頭種別・現況:試錐,人工露頭,一部現存堆積物の種別と年代:降下テフラ,海岸砂丘堆積物,完新世後期

記載時期:1970年~1988年キーワード:トコロ火山灰,樽前aテフラ,駒ケ岳c₂テフラ,摩周bテフラ,樽前cテフラ

北海道のオホーツク海沿岸の表層堆積物・土壌には白色~淡褐灰色の細粒火山灰の薄層が数枚挟まれ,下位からトコロ火山灰I,II,III,IVと名付けられた(遠藤ほか,1972;遠藤ほか,1984).これらはトコロ平野の繩文海進期完新世段丘I(標高5~6m)や完新世段丘II(標高3m),海岸砂丘帯では,前者に対応する旧期砂州を覆う旧砂丘,後者に対応する新期砂州を覆う新砂丘等の区分や対比に用いられた.I~IVの火山灰が揃うのは谷地の泥炭層中で,試錐によって得られた柱状図を下図右に示す.トコロ火山灰I,IIは縄文晩期・続縄文期・擦文期の層準の土壌層に挟まれ,トコロ火山灰III,IVは新期クロスナ層や新砂丘中,台地開析谷の泥炭層表層に広く認められる.根釧地域でもほぼ同様の白色細粒火山灰薄層は,Me-a₁,Me-a₂とよばれ,雌阿寒岳起源とされた(北海道火山灰命名委員会,1972).しかし近年は,層厚分布の特徴などからより遠方の火山を起源とするものと予想されていた.1980年代後半に,これら表層テフラ群が再検討され,根釧から斜里・網走・常呂地域を主対象に分布や火山ガラスの屈折率に基づいて遠藤ほか(1988,1989),隅田(1990)が,また火山ガラスの化学組成に基づいて徳井(1988,1989,1993)がほぼ同様の結論を導いた.すなわち道東の表層テフラは,樽前a(Ta-a;1739年),駒ケ岳c1(Ko-c1;1856年),同c2(Ko-c2;1694年)等のテフラからなり,さらにやや下位には,樽前b(Ta-b),駒ケ岳d(Ko-d),摩周b(Ma-b),白頭山苫小牧(B-Tm),徳井(1988)により樽前c(Ta-c)に対比された矢臼別層等のテフラもみられる.新砂丘中のトコロ火山灰III,IVはKo-c2とTa-aである.常呂地域には多数のオホーツク文化,擦文文化,続縄文文化等の遺構が分布するが,これらは遺構の覆土に挟まれる.トコロ火山灰IIはMa-bである.B-Tmはこの地域では不明瞭になる.トコロ火山灰Iは矢臼別層(Ta-c)の可能性がある.

文献:遠藤ほか(1972,1984,1988,1989),北海道火山灰命名委員会(1972),隅田(1990),徳井(1988,1989,1993)

トコロI~IVを用いた新旧砂丘の断面と泥炭中のテフラ柱状図、右上は二位置図
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図中文字(日本語)

二地図とも2.5万分の1「常呂」(網走16号-3)。上図:サロマ湖,常呂遺跡,鐺沸;標高1.8,1.6。下図:岐阜;標高等5,5,6。 トコロ海岸砂丘列の南北断面図とC地点の柱状図(遠藤・上杉,1972;遠藤,1984)。凡例I:トコロ火山灰I;II:同II;III:同III;IV:同IV。左挿図:III,IV。中央挿図上から:クロスナ層(旧期);III;II;I;クロスナ層(新期)。断面:新砂丘;旧砂丘;新期砂州;旧期砂州。標高0,10,20m;水平尺度0,100,200m。右柱:IV;III;泥炭層;II;I。深度0,0.5,2m(中間省略記号)。画像上部の本文・文献は本文に復元済。

English translation

Both maps: 1:25,000 “Tokoro” (Abashiri 16-3). Upper map: Lake Saroma, Tokoro archaeological site, Tofutsu; elevations 1.8, 1.6. Lower map: Gifu; elevation and other figures 5, 5, 6. North–south cross-section of the Tokoro coastal dune belt and column at locality C (Endo and Uesugi, 1972; Endo, 1984). Key: I, Tokoro volcanic ash I; II, ash II; III, ash III; IV, ash IV. Left inset: III, IV. Central inset, from top: kurosuna (black-sand) layer (older); III; II; I; kurosuna layer (younger). Section: younger dunes; older dunes; younger sandbar; older sandbar. Elevation 0, 10, 20 m; horizontal scale 0, 100, 200 m. Right column: IV; III; peat; II; I. Depth 0, 0.5, 2 m (break symbol in between). Embedded prose and references above have been restored in the main text.

HK-6 清里~斜里地域に分布する後期更新世テフラ層-屈斜路,摩周起源のテフラと広域テフラー

隅田まり

地名:北海道清里町江南(南26号5線)緯度・経度:N43°46′44″ E144°34′59″(地点A),N43°46′57″ E144°35′17″(地点B)標高:80~110m露頭種別・現況:人工露頭,1992年時点現存堆積物の種別と年代:降下テフラ,火砕流堆積物,更新世後期記載時期:1986年9月キーワード:屈斜路火山,摩周火山,支笏第1テフラ,大雪御鉢平テフラ

本露頭は,摩周カルデラの北方に位置する江鳶山北山麓の火砕流台地上を切る農業用道路沿いにある.屈斜路火山から約120kaに噴出したK.P. flowIV(勝井・佐藤,1963)以降の後期更新世火砕物の層序を連続的に観察できる貴重な露頭である.実際には,尾根部の露頭A及び谷に面した露頭Bの両者を総合することで約120kaから現在に至るテフラ層序を観察することができる.この地域の基本的なテフラ層序は隅田(1988)に詳しい(本露頭柱状図は隅田,1988の図2のNo.1(=露頭A)とNo.2(=露頭B)).隅田(1990)は,これらのテフラの層厚分布と全岩化学組成からテフラの給源を分類し,火山活動の側から見た地域層序の再検討を行い,屈斜路・摩周両火山の火山活動史を再構築した.さらに,テフラの給源の認定に関して行ったICPを用いた火山ガラスの分析により,両火山からのテフラだけでなく,大雪火山起源(大雪御鉢平降下軽石)や支笏降下軽石-2(Spfa-2)などの広域テフラも発見された(隅田ほか,1989;吉川,1990).また,奥村(1985),奥村ほか(1985)などにより発見された,北海道では等時間面を示す重要なテフラである阿蘇4テフラ(Aso-4)や支笏降下軽石-1(Spfa-1),洞爺テフラ(Toya)も本露頭で見られる(WS-9-4,WS-7-3参照).こうした広域テフラの認定や,給源火山の分類により明らかにされた,屈斜路火山,摩周火山の指交する活動は,右図のように示される.これによると,摩周火山の活動は少なくとも約32kaとされるSpfa-2の降下に先立つ清里軽石-2(KyP-2)の時期から始まったことがわかる(隅田ほか,1989;吉川,1990).

地域層序では,しばしば地形発達の区切りを層序の区切りとする.しかし,火山活動の側から見れば必ずしもこうした地形発達の区切りと活動史の区切りとは一致しないことが多い.特に大規模火砕流を噴出するカルデラ火山の周辺地域では火山活動の影響と気候変動による地形発達とが複雑に入り組んでいる.この露頭はこの地域にしばしば見られる火砕流を母材とする砂丘堆積物や,河岸段丘堆積物,扇状地堆積物などをほとんど介在しないため,連続性がよく,火砕物も新鮮であり,地域層序から火山活動史への構築プロセスを見ることのできる良い露頭と言える.

文献:遠藤・上杉(1977),勝井・佐藤(1963),勝井ほか(1988),吉川(1990),奥村(1985),奥村ほか(1985),佐藤(1968, 1969),曽根(1985,1988),曽根ほか(1991),隅田(1988, 1990,1993),隅田ほか(1989)

江南の尾根露頭Aと谷側露頭Bを示す地形図
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図中文字(日本語)

A;B;500m;2.5万分の1「札弦」(斜里6号-3)。等高線数字120,100,80。

English translation

A; B; 500 m; 1:25,000 “Sattsuru” (Shari 6-3). Contour figures 120, 100, 80.

屈斜路系と摩周系を左右に分けた総合柱状図と年代・広域テフラ表示
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図中文字(日本語)

屈斜路系テフラ/摩周系テフラ。上から順に、右=摩周系・左=屈斜路系:

順序 区分 原図名・符号・年代
1 右 摩周-b5(Ma-b5)
2 右 摩周-f,i,j(Ma-f,i,j)
3 右 摩周-l(Ma-l)
4 右 江南軽石(Ko-P)
5 右 中斜里軽石(Na-P)
6 左 WTfl-2
7 右 黒ゴマスコリア(KgSc),約23ka(曽根ほか,1991)
8 左 WTfl-1
9 右 黒ップ(KuSc)
10 左 豊住軽石(TyP)
11 右 東カヤノ軽石(HKP)
12 左 越川軽石-4(KwP-4)
13 左 越川軽石-3(KwP-3)
14 右・★ 大雪御鉢平降下軽石,約28ka(勝井ほか,1988)
15 左 越川軽石-1(KwP-1)
16 左 屈斜路第1火砕流(Kpfl-I),約30ka(佐藤,1969;遠藤・上杉,1977;曽根,1988など)
17 右 止別軽石(YmP)
18 右 タラコ軽石(Tr-P)
19 左・★ 支笏降下軽石-1(Spfa-I)
20 左・★ 支笏降下軽石-2(Spfa-II)
21 右 泉スコリア(IzSc)
22 右 清里軽石-3(KyP-3)
23 右 清里軽石-2(KyP-2)
24 左 清里軽石(KyP-1)
25 左 岩片パミス(LfPm)
★は広域テフラ。※テフラの名称については佐藤(1968)及び曽根(1985)を一部踏襲している。本地域のテフラと総合柱状図の一部とそれぞれの給源火山。詳細は隅田(1991)ないし隅田(1993)を参照。★のついたテフラは広域テフラ。(隅田,1990を簡略化)。画像左縁の本文断片は本文に収録済。

English translation

Kussharo-derived tephras / Mashu-derived tephras. In descending order, right=Mashu-derived and left=Kussharo-derived:

Order Side Original name, code, and age
1 Right Mashu-b5 (Ma-b5)
2 Right Mashu-f, i, j (Ma-f, i, j)
3 Right Mashu-l (Ma-l)
4 Right Konan pumice (Ko-P)
5 Right Nakashari pumice (Na-P)
6 Left WTfl-2
7 Right Kurogoma scoria (KgSc), approximately 23 ka (Sone et al., 1991)
8 Left WTfl-1
9 Right Kuroppu (KuSc)
10 Left Toyozumi pumice (TyP)
11 Right 東カヤノ pumice (HKP)
12 Left Koshikawa pumice-4 (KwP-4)
13 Left Koshikawa pumice-3 (KwP-3)
14 Right, ★ Daisetsu–Ohachidaira pumice fall, approximately 28 ka (Katsui et al., 1988)
15 Left Koshikawa pumice-1 (KwP-1)
16 Left Kussharo pyroclastic flow 1 (Kpfl-I), approximately 30 ka (Sato, 1969; Endo and Uesugi, 1977; Sone, 1988, and others)
17 Right Yambetsu pumice (YmP)
18 Right Tarako pumice (Tr-P)
19 Left, ★ Shikotsu pumice fall-1 (Spfa-I)
20 Left, ★ Shikotsu pumice fall-2 (Spfa-II)
21 Right Izumi scoria (IzSc)
22 Right Kiyosato pumice-3 (KyP-3)
23 Right Kiyosato pumice-2 (KyP-2)
24 Left Kiyosato pumice (KyP-1)
25 Left Lithic-fragment pumice (LfPm)
★ denotes widespread tephra. Note: the tephra nomenclature partly follows Sato (1968) and Sone (1985). Tephras of this region, part of the composite stratigraphic column, and their respective source volcanoes. For details, see Sumita (1991) or Sumita (1993). Tephras marked ★ are widespread tephras. (Simplified from Sumita, 1990.) Text fragments at the left edge are included in the main text.

判読上の注記

WTfl-1・WTfl-2、Kpfl-I — 末尾の細字lとIの字形が紛らわしいため原図に近い表記を保持。本文はSpfa-1/2、図はSpfa-I/II。

HK-7 根釧原野開陽西の周氷河現象-摩周ロームに埋没したアースハンモックー

岩田修二

地名:北海道標津郡中標津町開陽緯度・経度:N43°35′23″ E144°52′37″標高:約87m

露頭種別・現況:道路(北14号)側溝の壁,現況不明堆積物の種別と年代:風成テフラ,完新世,6.5~13ka記載時期:1972年8月キーワード:根釧原野,埋没アースハンモック,摩周ローム,摩周起源テフラ

アースハンモック(earth hummocks)は,マット状の密な草本かワイ(矮)生低木におおわれた,細粒の土からなる高さ数10cm,直径1m以下のドーム状の高まりで,季節的土壌凍結によって形成される.寒帯・亜寒帯・高山帯の湿地などに形成され,凍結坊主,十勝坊主,芝塚などとも呼ばれる.現在の北海道の火山灰地では,氾濫原の谷(野)地坊主泥炭地に隣接する微高地で,かつ地下水位が高い過湿型土壌の部分に密集してできる.あるいは,地下水がしみ出しやすい段丘や台地の肩の部分にも形成される.保水力がおおきな細粒火山灰の降下がきっかけとなって形成されたものが多い.中標津町北西約7kmの,開陽西の道路脇の排水溝側面の土壌断面で観察された波うった火山灰は,現成の地表にみられるアースハンモックの形状と規模がおなじであることから,その化石形であると判定された.ここではアースハンモックは,高さ30cm,幅(直径)1m弱の小型のものである.扇状地面(忠類面;岩田,1977)をほりこんだ武佐川支流の小沢の,谷底から面上に移行する部分に位置する.図の左側の傾斜地では階状土にかわりつつある様子がみられる.中央部にあるへこみは小ガリーであろう.アースハンモックは,摩周火山噴出物の摩周k火山灰(Ma-k;北海道火山灰命名委員会,1972)が凍上して生じ,Ma-g,h,i降下軽石層によって埋積されている.埋没アースハンモックを構成しているMa-kの年代と被覆しているMa-fの年代からこのアースハンモックは,7~8ka頃に形成されたものと考えられる.

文献:北海道火山灰命名委員会(1972),岩田(1977),野上ほか(1974)

開陽西の道路側溝の位置を示す地形図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「武佐」(斜里3号-1)。開陽,元開陽,南開陽。標高95,90,89,83.5,91。

English translation

1:25,000 “Musa” (Shari 3-1). Kaiyo, Motokaiyo, Minamikaiyo. Elevations 95, 90, 89, 83.5, 91.

Ma-kの凍上によるハンモックと小ガリーを覆うMa-g,h,i・Ma-fの断面
原著 106ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

SW;NE。深度0,1,2m;水平距離0,1,2,3m。上から:Ma-f pumice;Ma-g,h,i;Ma-k;Ma-l pumice。1972年8月観察。

English translation

SW; NE. Depth 0, 1, 2 m; horizontal distance 0, 1, 2, 3 m. From top, original lettering: Ma-f pumice; Ma-g,h,i; Ma-k; Ma-l pumice. Observed in August 1972.

HK-8 北海道東部東藻琴の古期屈斜路火砕流堆積物

奥村晃史

東藻琴市街は屈斜路火砕流台地を深く刻む谷の谷底に立地しており,付近の比高70~80mの谷壁には屈斜路火砕流堆積物の層序を示す重要な露頭が作られては消えていった.最初に屈斜路火砕流堆積物(KP)の詳細な記載を行った勝井・佐藤(1963)による模式露頭の一つである東二線の露頭は1980年代末まで存在し,層序の再検討に重要な役割を果たしたが,現在は大部分が擁壁に覆われている.この露頭では下位からKP VIII,VII,VI,阿寒上部火砕流堆積物(AUP),V,Iが間に降下テフラや河成礫層を挟んで累重する(テフラの略称は奥村,1991にもとづく).最下部のKP VIIIは現在でも露出しているが,東二線の他では網走市の天都山だけで見出されている.他の屈斜路火砕流堆積物に較べてK₂Oに富む点が特徴的である.KP VIIは斑晶鉱物・岩片を比較的多く含み,火山ガラスはやや苦鉄質である.KP VIIの岩質は近似した層準にある阿寒下部火砕流堆積物(山口・佐藤,1966;HK-4)に類似している(奥村,1991).KP VIIとKP VIそれぞれに一致する性質をもつ降下テフラがサロマ湖東岸から見いだされている(HK-3).KP VとKP VIの間には厚さ約2mのAUPと,その基底の火山豆石を含む降下火山灰が挟まれている(奥村,1991).AUPは阿寒カルデラ北方の津別川流域から北見(HK-4参照)にかけて,基底に細粒火山灰を伴う薄い火砕流堆積物として分布するが,ここ東二線でもその特徴は共通している.このAUPの存在は阿寒カルデラと屈斜路カルデラの噴火史を結ぶ鍵となる.AUP上位に1m足らずの火山灰土を挟んで累重する岩片に富む火砕流堆積物はKP Vである.KP IVからKP IIにかけての後期更新世前半のセクションは河川浸食で失われているが,オンネナイ川上流(WS-16-1)で確認することができる.東二線南方の旭台と東へ谷を隔てた新富では,KP V,IV,Iの累重を観察することができる.

文献:勝井・佐藤(1963),奥村(1991),山口・佐藤(1966)

東藻琴付近の位置図と屈斜路・阿寒火砕流堆積物の柱状対比図
原著 107ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

位置図:5万分の1『小清水』(斜里9号);5万分の1『藻琴山』(斜里10号);東藻琴,新富,上東,東一号,東二号,東三号,東四号,東基線;46.8,42,130.1.全体柱状図(上から):KP I,砂礫層,A,KP V,AUP,B,KP VI,KP VII,C,KP VIII;スケール10m,0.A(上から):KP I-KSr;alternation of airfall ash and pumice;Spfa-1;Kpfa-II;Kpfa-III;砂礫層;KP V;スケール5m,0.B(上から):KP V;AUP;basal ash with accretionary lapilli;KP VI.C(上から):KP VI;Kpfa-VI;KP VII.

English translation

Map: 1:50,000 ‘Koshimizu’ (Shari sheet 9); 1:50,000 ‘Mokotoyama’ (Shari sheet 10); Higashimokoto, Shintomi (新富), Kamihigashi (上東), Higashi-Ichigo (東一号), Higashi-Nigo (東二号), Higashi-Sango (東三号), Higashi-Yongo (東四号), Higashi-Kisen (東基線); 46.8, 42, 130.1. General column, from top: KP I, sand and gravel bed, A, KP V, AUP, B, KP VI, KP VII, C, KP VIII; scale 10m, 0. A, from top: KP I-KSr; alternation of airfall ash and pumice; Spfa-1; Kpfa-II; Kpfa-III; sand and gravel bed; KP V; scale 5m, 0. B, from top: KP V; AUP; basal ash with accretionary lapilli; KP VI. C, from top: KP VI; Kpfa-VI; KP VII.

判読上の注記

位置図の微小な一部地形図文字と標高は判読不明。本文を含む切り出し画像の本文はページ本文に清書済み。

HK-9 北海道東部,茨散における最終氷期泥炭層

遠藤邦彦・隅田まり

根釧台地東端の野付海岸の海食崖には,屈斜路火砕流堆積物等からなる台地を開析する谷の埋積物が露出する所がある.多くはテトラポット等で隠されたが茨散の海食崖には約10層のテフラと最終氷期末期からの泥炭層が認められる.

本露頭の上部は最近6,000年間に堆積した茨散上部泥炭層,中部は摩周火山起源の一連の降下軽石・火山灰層(Ma-g,h,i,j,k,l),下部は最終氷期末期の茨散下部泥炭層からなる(遠藤ほか,1988).表土には2~3層,場所により3~4層の細粒火山灰層が挟在され,かつてMe-a₁,-a₂と呼ばれたが(北海道火山灰命名委員会,1972),これらは駒ヶ岳c₁テフラ(Ko-c₁;1856年),駒ヶ岳c₂テフラ(Koc₂;1694年),駒ヶ岳dテフラ(Ko-d;1640年),樽前aテフラ(Ta-a;1739年)等に由来する降下火山灰とされた(遠藤ほか,1989;徳井,1989;隅田,1990).上部泥炭層の上部には徳井(1988)により樽前cテフラ(Ta-c)とされた矢臼別層とよばれる細粒降下火山灰層が,同中部には摩周d軽石層(Ma-d)がみられる.下部泥炭層は少なくとも海面下1mまで連続することが確認でき,12~14kaの¹⁴C年代を示す.最終氷期末期の茨散下部泥炭層からは,Larix,Pinus,Betula,Alnus,Ericalesなどの花粉化石が産出する.特に,Larixは40~80%と高率で,多産される葉や種子等の大型植物遺体からグイマツ Larix kamtschatic (Rupr.) Carr.を主とする亜寒帯林が湿原を伴って成立していた(遠藤ほか,1988).現在サハリンに分布するグイマツを主とする亜寒帯針葉樹林は,最終氷期には北海道から本州北部まで分布した(小野・五十嵐,1991).

文献:遠藤ほか(1988,1989),北海道火山灰命名委員会(1972,1979),小野・五十嵐(1991),隅田(1990),徳井(1988,1989)

茨散海岸の位置図,谷埋め泥炭・テフラの断面図および放射性炭素年代付き柱状図
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『床丹』(標津12号-3,16号-1);本別海;茨;8.5.断面図:0m,1;Ko-c1,Ko-c2,Ta-a;Yausubetsu ash;Ma-d;Ma-g~j;Ma-l;Kpfl-I.柱状図:m,0,1,2,3;Ko-c1,Ta-a;Ko-c2;Yausubetsu;2420±110;Ma-d;6200±220;Ma-g;Ma-h;Ma-i;Ma-j;Ma-l;11960±250;12790±290;14270±400;Upper Barasan Peat Layer;Lower Barasan Peat Layer.

English translation

Map: 1:25,000 ‘Tokotan’ (Shibetsu sheets 12-3 and 16-1); Honbetsukai (本別海); 茨 [partial place label]; 8.5. Section: 0m, 1; Ko-c1, Ko-c2, Ta-a; Yausubetsu ash; Ma-d; Ma-g–j; Ma-l; Kpfl-I. Column: m, 0, 1, 2, 3; Ko-c1, Ta-a; Ko-c2; Yausubetsu; 2420±110; Ma-d; 6200±220; Ma-g; Ma-h; Ma-i; Ma-j; Ma-l; 11960±250; 12790±290; 14270±400; Upper Barasan Peat Layer; Lower Barasan Peat Layer.

判読上の注記

地図の微小文字には判読不明箇所がある。

茨散海岸の屈斜路火砕流堆積物と開析谷を埋める泥炭層・テフラ

HK-10 泥炭地における最近1000年間のテフラ ―クッチャロカルデラ美留和―

町田 洋

北海道東部の泥炭地には遠方の火山から飛来した火山灰薄層が数枚介在している.屈斜路カルデラ内の泥炭地でも,そうしたテフラを観察できる.本露頭で,植生の一部を剥がしてみると,表層をなす泥炭層の中に4枚のテフラ層が観察できる(図2).それらは上から樽前aテフラ(Ta-a),渡島駒ヶ岳c₂テフラ(Ko-c₂),摩周bテフラ(Ma-b),白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)である.このうちTa-aとKo-c₂とはごく接近し,かつて雌阿寒aまたは摩周aと呼ばれていたものである.徳井(1989)は火山ガラスの主成分特性に基づいて,上記2層を区別し,同定するのに成功した.それぞれ,1739年,1694年の噴出物と考えられている.またMa-bは逆級化する軽石層で,摩周カルデラの中央火口丘カムイヌプリの噴出物である.これの数cm下位にある厚さ数mmの火山灰は,アルカリ岩質で,B-Tmである.B-Tmは10世紀に噴出したものなので,Ma-bの噴出年代は10世紀かやや新しいことになる.

なおこの地点から3km北北西に行ったところ(図1の■地点)に,大きな露頭があり,表土のクロボク中にTa-a,Ko-c₂,Ma-bが認められる.またそこでは摩周fと呼ばれる摩周カルデラ形成に関与した火砕流堆積物(Ma-f)やアトサヌプリの火砕流堆積物(Ats fl)などが観察できる(図3).

文献:町田ほか(1994),徳井(1989)

美留和原野と北北西の比較露頭の位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『屈斜路湖』(斜里11号);石狩別;美留和;びるわ;美留和原野;釧網本線;釧路川;140,126,124.9,121.9,125.2,120;■;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Kutcharoko’ (Shari sheet 11); Ishikaribetsu (石狩別); Biruwa; Biruwa-genya; Senmo Main Line; Kushiro River; 140, 126, 124.9, 121.9, 125.2, 120; ■; arrow.

判読上の注記

一部の地図内微小文字は判読不明。

泥炭中のTa-a,Ko-c₂,Ma-b,B-Tmを示す柱状図
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図中文字(日本語)

Ta-a;Ko-c₂;Ma-b;←B-Tm.左側の目盛に数値表記なし.

English translation

Ta-a; Ko-c₂; Ma-b; ←B-Tm. The scale ticks on the left have no numerical labels.

図2 美留和泥炭地のテフラ

北北西の■地点における摩周・アトサヌプリ火砕流堆積物の露頭図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

0;5m;Ta-a,Ko-c₂;Ma-b;Ma-f (pfl);Ma-k;Ats fl.

English translation

0; 5m; Ta-a, Ko-c₂; Ma-b; Ma-f (pfl); Ma-k; Ats fl.

図3 ■地点の露頭

HK-11 根釧原野の摩周・屈斜路火山起源テフラ層

宮田雄一郎

本露頭は,1985年の道路工事によって出現したもので,根釧原野一帯に分布する数多くの摩周・屈斜路系テフラを観察するのに最も適した露頭である.ここでは,下位から順に,更新世後期の下部中春別テフラ層最上部(Nl-a)から始まって,上部中春別テフラ群(Nu-e~Nu-r),茶内テフラ群(Ch),下部摩周テフラ群(Ml)を経て,完新世の上部摩周テフラ群(Ma-f~Ma-l)および新期テフラ群に至る一連の層序が観察できる.とくに,上部中春別テフラ層については模式露頭といえる.露頭柱状図は,宮田ほか(1988a)の第14図(地点12)にNl,第17図(地点17)にNu,第22図(地点17)にCh層準のものがそれぞれ示してある(年代値は,宮田ほか(1988b)にある).

Ch層準以下の降下テフラの多くは,西方の給源近くに良好な露出が乏しい.さらに本地域と摩周・アトサヌプリ・屈斜路の各火山は,テフラの分布軸に重なって一列に並んでいるため,給源火山をテフラ分布から特定することができない.また,ほとんどが両輝石安山岩質で,主成分化学組成の点でも識別が難しい.なお,この露頭には2層準の古砂丘堆積物(D1とD2)が狭在し,道路を挟んだ向い側の露頭では,Ch層準に覆われる埋没斜面上にソリフラクション堆積物や周氷河インボリューションもみられる.露頭面状況の悪化が著しい場合には,この近辺で最終氷期の「上春別面」より高い台地における露頭を探すといいだろう.

文献:宮田ほか(1988a,b)

中春別菊水の道路切土露頭の位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『標津』(標津15号);中春別;西十三線;西十四線;南十一号;南十二号;南十三号;39,44.3,40.5,38.2;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Shibetsu’ (Shibetsu sheet 15); Nakashunbetsu; Nishi-Jusan-sen; Nishi-Juyon-sen; Minami-Juichi-go; Minami-Juni-go; Minami-Jusan-go; 39, 44.3, 40.5, 38.2; arrow.

判読上の注記

地図の微小文字の一部は判読不明。

南西から北東方向の道路法面に露出する中春別・茶内・摩周テフラ群と古砂丘堆積物
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図中文字(日本語)

SW;NE;新期火山灰層(<4ka);Ma(6-10ka);Ml(10-14ka);Ch;Nu(<30ka;Nu-g/h:22ka);D1;D2;Nu-n1;Nu-p3;Nl-a;法面の高さは約15m;1985年8月撮影.

English translation

SW; NE; younger volcanic-ash beds (<4ka); Ma (6-10ka); Ml (10-14ka); Ch; Nu (<30ka; Nu-g/h: 22ka); D1; D2; Nu-n1; Nu-p3; Nl-a; cut-slope height approximately 15m; photographed in August 1985.

HK-12 根釧原野西部に分布する後期更新世テフラ層

奥村晃史

泉川は屈斜路・摩周火山を給源とする降下テフラの分布軸からいくぶん南に位置しているために,根釧原野中・東部に較べてテフラ層の層厚が小さく後期更新世前半のテフラを観察することができる.本露頭では,淡い橙色の屈斜路火砕流堆積物IV(KP IV)を覆って,斜里地域の屈斜路降下軽石-4,5(KP fa)(勝井・佐藤,1963)に類似した降下軽石が堆積している(WS-19-4,WS-16参照.テフラの略称は奥村,1991に従う).その上位の風化のすすんだ褐色火山灰土の上部には洞爺テフラ(Toya;町田ほか,1987)の火山ガラスが濃集する.そして褐色火山灰土の直上に厚さ数mmの阿蘇4テフラ(Aso-4;町田ほか,1985;WS-9)を肉眼で認めることができる.Aso-4上位の淘汰の悪い軽石層はKP II/IIIの層準に一致するが,火山ガラスの主成分組成は一致しない(宮田ほか,1988).この軽石層より上位には厚さ3mの黒色降下スコリアや岩片を多く含む暗色の火山灰層が砂質の暗色火山灰土を挟んで成層しており,小規模な噴火が繰り返されたことを示す.黒色テフラ降下堆積後,顕著な不整合をはさんで斜里平野東部の屈斜路庶路火山灰(KSr,Kc-Sr;WS-6)と同じ岩相をもつ降下軽石/火山灰層互層がみられる.KSrより上には上部中春別火山灰層・茶内火山灰層(宮田ほか,1988)などのテフラ群の一部と摩周起源のテフラが累重している.

文献:勝井・佐藤(1963),町田ほか(1985,1987),宮田ほか(1988),奥村(1991)

泉川の露頭位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『磯分内』(斜里8号);西風連川;133.0;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Isobunnai’ (磯分内; Shari sheet 8); Nishi-Furen River (西風連川); 133.0; arrow.

判読上の注記

地図の一部の微小文字は判読不明。

泉川のテフラ露頭写真と屈斜路火砕流IVから摩周テフラまでの柱状図
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図中文字(日本語)

柱状図(上から):2m,0;摩周テフラ層;上部中春別火山灰層;KSr?;不整合;黒色降下スコリア/岩片/火山灰互層;Aso-4火山灰;不整合;洞爺火山灰;屈斜路火砕流堆積物(KP)IV.写真に文字注記なし.

English translation

Column, from top: 2m, 0; Mashu tephra beds; Upper Nakashunbetsu ash beds; KSr?; unconformity; alternating black scoria-fall/lithic-fragment/ash beds; Aso-4 ash; unconformity; Toya ash; Kutcharo Pyroclastic-flow Deposit (KP) IV. The photograph has no textual annotations.

HK-13 釧路市材木町の露頭

松井 愈

「材木町の露頭」は,釧路市の城山町,材木町,貝塚町に連なる一連の露頭の一つである(松井ほか,1987;図2,図3).これらの露頭は,北海道の代表的な下部更新統釧路統あるいは釧路層群の模式地として古くから研究されてきた(Otuka,1934;佐々,1939;岡崎ほか,1960;長浜,1961).現在これらの露頭のほとんどは,がけ崩れ防止工事によるコンクリート被覆,植被されているが,松井ほか(1987)はこの工事に先だってこれらの露頭をふくむ釧路地域の第四系を調査し,その層序・時代について従来と大きく異なる以下の見解を述べた.材木町の露頭をふくむ一連の露頭には,上位から以下の諸層が露出している.

1. 屈斜路軽石流堆積物(Ks)

2. 大楽毛層(Ot)

主部は砂シルト層.現在より暖流の影響の強い軟体動物・有孔虫化石をふくむ高海水準期(10~18m)の内湾を示す(小林,1987).層厚4~8m.基底部は,寒冷気候を示す花粉・球果をふくむ泥炭薄層を伴う砂礫層.層厚1~3m.

3. 城山層(Si)

上部は暗灰~灰黒色でやや固結した細粒の阿寒軽石流堆積物.貝塚町(②),材木町(③)の露頭で層厚9m.中部は砂,シルト,砂質シルト層.層厚2~4m.下部は大礫をふくむ河川成砂礫層.層厚2~3m.

釧路市材木町の位置図と市東部の地質図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

地形図:5万分の1『釧路』(標津15号);釧路市;釧路大橋;松浦町;共栄大通;旭橋;旭町;材木町;貝塚;東釧路貝塚;ひがしくしろ;春採;武佐;錦町;北大通;末広町;幣舞橋;幣舞町;春採川;太平洋炭鉱;32.7.地質図:図2 釧路市東部の地質図;ひがしくしろ;別;貝塚町;材木町;城山町;永住町;釧路川;旭橋;① Loc1,②,③,④,⑤;凡例1,2,3,4,5,6:①~⑤.

English translation

Topographic map: 1:50,000 ‘Kushiro’ (Shibetsu sheet 15); Kushiro City; Kushiro Ohashi; Matsuuracho; Kyoei-odori; Asahibashi; Asahicho; Zaimokucho; Kaizuka; Higashi-Kushiro shell mound; Higashi-Kushiro; Harutori; Musa; Nishikicho; Kita-odori; Suehirocho; Nusamaibashi; Nusamaicho; Harutori River; Taiheiyo coal mine; 32.7. Geological map: Fig. 2, geological map of eastern Kushiro City; Higashi-Kushiro; 別 [partial label]; Kaizukacho; Zaimokucho; Shiroyamacho; 永住町 [place name]; Kushiro River; Asahibashi; ① Loc1, ②, ③, ④, ⑤; legend 1, 2, 3, 4, 5, 6: ①–⑤.

判読上の注記

地形図内の微小文字には判読不明箇所がある。永住町の読みは未確認のため日本語保持。

図2 釧路市東部の地質図.1:屈斜路軽石流堆積物,2:大楽毛層,3:城山層,4:床丹層,5:浦幌層群,6:露頭番号.

材木町の露頭③における層序と不整合のスケッチ
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図中文字(日本語)

③;Ks;Ot;Si;Tk;1,2,3,4.凡例は本文に収録.

English translation

③; Ks; Ot; Si; Tk; 1, 2, 3, 4. The legend is reproduced in the page text.

凡例:1:砂層,2:礫層,3:シルト層,4:泥炭挟みシルト層,5:黒色(阿寒)軽石流,6:巣孔化石,7:樹幹化石,8:軟体動物化石,Ks:屈斜路軽石流堆積物,Ot:大楽毛層,Si:城山層,Tk:床丹層.

HK-13(続き)

4. 床丹層(Tk)

城山町より西方に基盤の古第三紀層を不整合におおって分布.層理に乏しいシルト質砂岩層.層厚5m.北方の天寧地区で Fortipecten takahashii を産出し鮮新世(加藤ほか,1981).

各地層の不整合関係は,露頭スケッチ(図3)で明らかであり,2枚のテフラ,上位をおおう屈斜路軽石流堆積物,城山層に伴われる阿寒軽石流堆積物により,大楽毛層,城山層は中期更新世とされる.

文献:加藤ほか(1981),小林(1987),松井ほか(1987),長浜(1961),岡崎ほか(1960),Otuka(1934),佐々(1939)

露頭④・⑤の層序と45,400 B.P.および44,010 B.P.を超える年代を示すスケッチ
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図中文字(日本語)

④;⑤;Ot;Si;Tk;>45,400 B.P;>44,010 B.P;G.H;m;30,20,10,0;凡例5,6,7,8;1975年10月.

English translation

④; ⑤; Ot; Si; Tk; >45,400 B.P; >44,010 B.P; G.H; m; 30, 20, 10, 0; legend 5, 6, 7, 8; October 1975.

図3 釧路市材木町~城山町の露頭スケッチ

HK-14 釧路湿原北方地域における前期更新世の阿寒・屈斜路火山噴出物 ―クチョロ火山灰層―

奥村晃史

釧路湿原北方のクチョロ川・オソツベツ川流域では,標高120m以下に海成の釧路層群が分布し,標高120m以上には陸上堆積した全層厚1,000m(挟在する砂礫層を含む)に及ぶテフラ層が堆積している(佐藤・垣見,1967).このテフラ層はクチョロ火山灰層と呼ばれ,多数の両輝石安山岩~石英安山岩質降下軽石・火砕流堆積物から構成される.すべての層準にわたる岩石記載的な検討は未だに行われていないが,斑晶や軽石の肉眼的特徴,試験的に行われた火山ガラスの化学分析の結果は阿寒・屈斜路火山のテフラに類似した岩石記載的特性を示している.また,露出が釧路湿原北方に限られており,風下側にあたる根釧原野での追跡が不可能なため,テフラ層の分布についてもいまのところ資料はない.釧路層群に含まれる水成二次堆積のテフラはクチョロ火山灰層に類似するものが多い.

クチョロ火山灰層上部が露出する本露頭で注目すべきは,2層の角閃石・黒雲母を含む流紋岩質降下火山灰である(R1,R2;佐藤・垣見,1967;右の柱状図はその第4図,loc.21をもとに加筆して作成した).斑晶鉱物からみて,これらの火山灰は屈斜路火山起源ではなく遠方に給源が求められる.奥村(1991),吉川ほか(1989)はR1・R2と北海道中央部の鮮新世~更新世火砕流堆積物のEPMAおよびICP発光分析を行って,R1・R2が十勝火砕流堆積物(池田・向山,1983)に対比される可能性が高いことを示した.またR1の年代,1.24±0.10Ma(フィッション・トラック法;宮田ほか,1988)は十勝火砕流堆積物の時代にほぼ一致する.富良野盆地西部のナマコ山では厚さ数10mの十勝火砕流主部噴出の後,数mの砂礫層・湖成層を挟んで小規模な火砕流が噴出している.この噴火の経過はR1・R2の降下堆積と一致している.北海道中・東部の前・中期更新世テフラの研究はほとんど手つかずのままで,今後の進展が期待される.

文献:池田・向山(1983),吉川ほか(1989),宮田ほか(1988),奥村(1991),佐藤・垣見(1967)

オソツベツ川上流のクチョロ火山灰層露頭の位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『弟子屈』(斜里12号);オソツベツ川;256.2;221.9;200;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Teshikaga’ (Shari sheet 12); Osotsubetsu River; 256.2; 221.9; 200; arrow.

判読上の注記

地図の微小数字の一部は判読不明。

クチョロ火山灰層上部の柱状図とR1・R2火山灰を示す露頭写真
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図中文字(日本語)

5m;0;R2(2cm);R1(65cm);降下スコリア;砂;降下軽石;火山灰土;砂礫;写真:R2,R1.

English translation

5m; 0; R2 (2cm); R1 (65cm); scoria-fall deposit; sand; pumice-fall deposit; volcanic-ash soil; sand and gravel; photograph: R2, R1.

HK-15 大雪山に分布するテフラ

高橋伸幸

複数の火山によって構成される大雪山は全体として溶岩台地状の地形を呈し,山稜部には平坦面が広がる.一方,台地縁辺部は地すべりによる開析が進んでいる.これらの平坦面や地すべり凹地には完新世になって形成された湿原が分布し,その泥炭層中には2~3枚のテフラ層の挟在が認められる.このうち深さ10~20cmに挟まれるテフラは,1739年に噴出した樽前a(Ta-a)とみられ,砂質で白~黄白色を呈する.大雪山地域では一般に層厚は2~3cm程度であり,湿原以外の多くの場所でも見ることができる(本露頭).Ta-aの下位数cmには,層厚1cm以下で灰~灰褐色を呈する細粒なテフラが見られ,さらに,その下位にも同様のテフラが見られることがある.これらのテフラは,その年代などから朝鮮半島に起源をもつ白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)の可能性があり,しばしばTa-aとセットになって登山道沿いの露頭などで観察される.以上は,大雪山以外に起源をもつテフラであるが,北部の御鉢平カルデラ起源と考えられるテフラが高根ケ原中央部以北の地域に分布している.このテフラは,軽石やスコリアを主体として粗粒物質から成る.年代は不明であるが,御鉢平カルデラの形成年代(約30ka)から考えて,第四紀後期のものである.ただし,湿原堆積物中には見られない.

文献:五十嵐・高橋(1985),勝井・伊藤(1979),高橋・五十嵐(1986),高橋ほか(1988)

高根ケ原の位置図とTa-a,B-Tm候補,御鉢平起源候補のテフラを示す柱状図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

位置図:2.5万分の1『白雲岳』(旭川3号-1);大雪山(ヌタプカウシペ);高根ケ原;1704;1757;1567;矢印.柱状図:cm;0,10,20,30,40,50;腐植;樽前a(Ta-a);白頭山苫小牧(B-Tm)?;白頭山苫小牧(B-Tm)?;御鉢平起源テフラ?;砂礫.

English translation

Location map: 1:25,000 ‘Hakuundake’ (Asahikawa sheet 3-1); Daisetsuzan (Nutapkaushipe); Takanegahara; 1704; 1757; 1567; arrow. Column: cm; 0, 10, 20, 30, 40, 50; humus; Tarumai-a (Ta-a); Baitoushan–Tomakomai (B-Tm)?; Baitoushan–Tomakomai (B-Tm)?; Ohachidaira-derived tephra?; sand and gravel.

露頭柱状図

HK-16 十勝平野北西部の化石周氷河現象 ―楔状堆積構造とインボリューション―

小疇 尚

北海道東部ことに十勝平野では,段丘礫層をおおう後期更新世のテフラ層は融凍攪拌作用をうけて,複雑な構造を示すことが多い.十勝平野北西部の十勝川と佐幌川にはさまれた,清水町下佐幌では,道道清水―鹿追線の道路の改修工事の際,最終氷期の砂礫堆積面段丘である下佐幌面の段丘崖部分に,延長200mの切り通しがつくられ,その切り取り面に融凍攪拌作用の痕跡をとどめる,規模の大きな化石周氷河現象が現れた.化石周氷河現象は,段丘礫層をおおう厚さ6~8mのテフラ層および段丘礫層とテフラ層の境界にみられ,とくに恵庭aテフラ(En-a)と支笏第1テフラ(Spfa-1)の2つの軽石層が大きく変形して,全体としてはインボリューションといってよい.しかし,地表下4~5mのSpfa-1は上端の幅,高さとも2m前後の,下端が尖った楔状を呈して下位の火山灰層中に落ち込んでいて,その形態的特徴から永久凍土環境下で形成された氷楔の化石(アイスウェッジカスト)と考えられる.上位のEn-aはその中に落ち込んでいない.したがって氷楔が形成された最終氷期の最寒冷期は,Spfa-1堆積後,En-aの降下前である.氷楔は年平均−6℃以下の連続的永久凍土帯で形成されるので,当時の気温低下量は11~12℃程度と判断される.しかしこれを氷楔ではなく,不連続的永久凍土地域に発達するソイルウェッジとする意見もあり,そうであれば最寒冷期の気温低下量は7~8℃程度となる.

文献:平川(1984),小疇ほか(1974a,b),三浦・平川(1995)

下佐幌協和の露頭位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『新得』(夕張岳2号);清水町;下佐幌;下佐幌協和;下佐幌新生;人舞;人舞川橋;172.5;142.8;175.1;164.3;140;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Shintoku’ (Yubaridake sheet 2); Shimizu Town; Shimosahoro; Shimosahoro Kyowa; Shimosahoro Shinsei; Hitomai; Hitomai River bridge; 172.5; 142.8; 175.1; 164.3; 140; arrow.

判読上の注記

地図の微小文字の一部は判読不明。

日勝道路の化石礫質構造土と樽前テフラを示す断面図
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図中文字(日本語)

W;N;E;縦目盛0,1,2m;横目盛1,2,3;層番号1,2,3,4,6,7;日勝道路の化石礫質構造土.

English translation

W; N; E; vertical scale 0, 1, 2m; horizontal scale 1, 2, 3; unit numbers 1, 2, 3, 4, 6, 7; relict gravelly patterned ground along the Nissho Road.

日勝道路の化石礫質構造土

  1. 腐植土 2. 樽前bテフラ(Ta-b) 3. 腐植土 4. 樽前dテフラ(Ta-d) 5. マサ混じりの風化火山灰 6. 花崗岩の岩屑 7. 礫混じりの火山灰土

HK-17 北海道日勝道路の化石礫質構造土 ―日高山脈北東部,山麓緩斜面上の構造土―

小疇 尚

日高山脈北東山麓一帯には山麓緩斜面が広がっている.1960年代末から1970年代初めにかけて,山脈北部を横断する日勝道路(国道274)の建設時に,日勝峠東側の山地斜面とその下方につづく山麓緩斜面を切る,長く連続した切り取り面がつくられ側溝が掘られた.そのうち,標高640~320m,直線距離5km弱の間の人工の露頭で,随所に化石構造土が観察された.この露頭は緩斜面上の一連の露頭のうち最高所近くに位置する,北向きの高さ2m強のものである.露頭では,径数cmから最大1mの花崗岩角礫が,火山灰まじりの風化土層中に2~3m間隔で幅0.5~2m,深さ0.5~1.5mの楔状に集積しており,完新世初頭の樽前dテフラ(Ta-d)と,それ以降の完新世テフラにおおわれている.その形状から,これはテフラ層におおわれた化石礫質構造土の断面と判断された.構造土は,最終氷期に背後の山地斜面から凍結破砕によって供給された花崗岩の岩屑が,ソリフラクションによって流下し山麓に緩斜面を発達させた時期に形成されたもので,山寄りのここでは樽前dテフラにおおわれていることから,その形成が晩氷期までつづいていたとみられる.類似の化石礫質構造土は,オホーツク海沿岸や北海道中央凹地帯,北見山地内の盆地など北海道東部で,山麓緩斜面や丘陵地,段丘を切る土木工事の際にしばしば観察された.

文献:小疇ほか(1974a),清水(1989),山本(1989)

日勝道路第一展望台下方の露頭位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『御影』(夕張岳3号);日勝スキー場;日勝第一展望台;パンケヌーシ川;500;700;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Mikage’ (Yubaridake sheet 3); Nissho ski area; first Nissho viewpoint; Pankenushi River (パンケヌーシ川); 500; 700; arrow.

判読上の注記

地図内の一部微小文字は判読不明。

下佐幌のテフラ層に発達する楔状構造とインボリューションの二つの断面図
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図中文字(日本語)

NW;SW;SE;上図の縦目盛m,0~8;下図の縦目盛m,0~7;凡例1,2,3,4,5,6,7,8.

English translation

NW; SW; SE; upper section vertical scale m, 0–8; lower section vertical scale m, 0–7; legend 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8.

北海道清水町下佐幌の楔状堆積構造とインボリューション

  1. 腐植土 2. 埋没腐植土 3. 火山灰 4. 恵庭aテフラ(E-a) 5. 支笏第1テフラ(Spfa-1) 6. 黒色火山砂 7. 火山砂混じり砂礫 8. 段丘礫層

HK-18 十勝平野の河成段丘とテフラ ―上更別III面―

町田 洋

十勝平野西南部の扇状地群のうち,歴船川沿いは段丘の発達がきわめてよい.本露頭は上更別III面上にあるが,この面はすぐ北方の60mの比高をもつ崖で高位の広い上更別I面と境されている.この川の著しい下刻は,上更別I面形成時に十勝川に合流していた歴船川が流路を変えて直接太平洋に注ぐようになったため起ったと考えられている(平川・小野,1974).また上更別III面は十勝川下流部では海進性の堆積物の基底に連続する.この海進性堆積物は洞爺テフラ(Toya)に覆われるので(Arai et al.,1986),上更別III面は最終間氷期の前の氷期(酸素同位体ステージ6)の低海面期に形成されたと考えられる.このような段丘編年によると,より高位の段丘や上帯広面の砂礫層の堆積開始期が従来の考えより古くなる.

本露頭では,段丘砂礫層とそれを覆うToya以上の諸テフラ層と火山灰土が観察できる.クッタラ第6テフラ(Kt6)の直下にある鮮やかな赤橙色の火山灰は阿蘇4テフラ(Aso-4)である.またSsfaから支笏第1テフラ(Spfa-1),および恵庭aテフラ(En-a)付近の層準では,インボリューションやアースハンモックなどの構造がみられる.なお本露頭は道路工事の崖なので,すでに消滅した可能性がある.これに代わる露頭がこの地点の東方2.6kmの拓北にある.

文献:Arai et al.(1986),平川・小野(1974),町田ほか(1994)

拓進の上更別III面上にある露頭の位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『上札内』(広尾13号);拓進;267;248;200;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Kamisatsunai’ (Hiroo sheet 13); Takushin (拓進); 267; 248; 200; arrow.

判読上の注記

地図内の微小な一部文字は判読不明。

洞爺から支笏第1までのテフラを示す柱状図
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図中文字(日本語)

上から:ボール状火山灰土;Spfa-1;Kt-1;ZM;Kt-3;OP-II;Ssfa;Kt-6;Aso-4;Kt-8;Toya.スケール0,1m.

English translation

From top: ball-shaped volcanic-ash soil; Spfa-1; Kt-1; ZM; Kt-3; OP-II; Ssfa; Kt-6; Aso-4; Kt-8; Toya. Scale 0, 1m.

段丘礫層と覆うテフラ層を示す拓進の露頭写真
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図中文字(日本語)

Spfa-1;Kt-1;Kt-6;段丘礫層.

English translation

Spfa-1; Kt-1; Kt-6; terrace gravel.

HK-19 十勝平野忠類におけるナウマン象化石産出地点

赤松守雄・奥村晃史

本露頭で展開されたナウマン象発掘とそれにまつわる地質・考古学調査は,北海道の第四紀学上,幾つかの新しい見解を提起したものとして特筆すべきものであった.しかし,このナウマン象の産出層準・年代については相異なった二つの見解が存在した.すなわち,地層名は,いずれもホロカヤントウ層と呼称しながら,100ka前後のリス―ウルム間氷期(最終間氷期)後期とする説(十勝団体研究会,1971,1978)と300ka前後のミンデル―リス間氷期(中期更新世)とする説(小山内ほか,1971)である.本露頭周辺域は,標高300m前後の豊頃丘陵の南端部に位置し,大局的に標高50~80mに分布する斜交葉理の発達した砂礫~粗粒砂の堆積物からなる晩成面と標高10~40mに分布する青灰色シルト(泥炭層を狭在)と主に硬質頁岩の砂礫および粗粒~中粒砂の堆積物からなるホロカヤントウ面に二区分される.そのうち,ナウマン象は,ホロカヤントウ面の下に位置する青灰シルト中の泥炭から産出した.この泥炭の花粉組成は,Abies-Fagus-Quercus優勢~Quercus-Juglans-Fraxinus優勢へと上位に向かって変化することにより,湿潤~乾燥化へと気候変化がみられる.さらに,この泥炭の約5m上位の泥炭(層厚約20cm)中には層厚5cm内外の約110kaに噴出した屈斜路羽幌テフラ(Kc-Hb;Okumura,1988)がきわめて良好に保存されている.これらのことから,ナウマン象の年代は,約120ka前後と考えられている(赤松ほか,1990).また,ホロカヤントウ面上位に位置する生花苗IV面(平川・小野,1974)には,洞爺テフラ(町田ほか,1987)が分布する.

文献:赤松ほか(1990),平川・小野(1974),町田ほか(1987),Okumura(1988),小山内ほか(1971),十勝団体研究会(1971,1978)

忠類村晩成のナウマン象化石産出露頭の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『晩成』(広尾9号-2);晩成;94;40;矢印.

English translation

1:25,000 ‘Bansei’ (Hiroo sheet 9-2); Bansei; 94; 40; arrow.

判読上の注記

地図の一部微小文字は判読不明。

Kc-Hb,砂礫,青灰色シルトを示す1990年5月の露頭写真
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図中文字(日本語)

W;N;E;←Kc-Hb;砂礫;青灰色シルト;1990年5月撮影.

English translation

W; N; E; ←Kc-Hb; sand and gravel; bluish-grey silt; photographed in May 1990.

HK-20 十勝平野広尾周辺における堆積段丘とテフラ

町田 洋

本露頭は,西広尾川がつくった扇状地が海食によって削られて生じたもので,現在は人為による改変のため下の左図とはやや異なっている.厚い礫層は上帯広I面を構成する.この砂礫層の中には,下位から洞爺(Toya),クッタラ第8(Kt-8),阿蘇4(Aso-4),クッタラ第6(Kt-6),クッタラ第1(Kt-1)などのテフラが挟まれている.礫層の上には銭亀女那川テフラ(Z-M)より上位のテフラが載る.このことからToya堆積以前からZ-M降下直前まで砂礫層の堆積が継続したことがわかる.ただし,支笏降下スコリア(Ssfa)や支笏第1テフラ(Spfa-1)が別々に砂礫層の上に載るところがあるなど,離水期には幅がある.小野・平川(1975)は,この堆積作用が最終氷期前半,酸素同位体ステージ4の時期の,周氷河・氷河地域の拡大に伴う気候変化によると考えた.

地形図上の■地点では,角礫を含む砂層,シルト層,粘土層からなり,その中に泥炭やテフラを挟む堆積物(ビラオトリ層)が観察されたが,最近ここでの露出状況はよくない.ただしこの層は歴船川右岸の山地と扇状地との境に点々と分布する(図下右).扇状地での堆積作用に伴って,その縁辺部に生じた湿地の堆積物である.ビラオトリ層中のテフラは一般に保存が良好で,下位からToya,Aso-4,Kt-6,Ssfa,Kt-3,Z-Mなどがはっきり認められる.

文献:小野・平川(1975),十勝団研(1978)

広尾の位置図,テフラを挟む厚い段丘礫層の柱状図,ビラオトリ層の分布図
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図中文字(日本語)

位置図:5万分の1『広尾』(広尾11号);楽古橋;十勝港;大丸山;丸山丘;楽古川;35.9;■;矢印.柱状図:m;0,10,20,30;Spfa 1;Kt-1;Silty volcanic ash;Fill gravel;NP=RPIII;Kt-6;HPI;Aso-4;Kt-8;Toya;tertiary marine gravel.分布図:帯広;池田;札内川;猿別川;十勝川;歴舟川;大樹;ホロカヤントウ沼;楽古川;広尾;日高山脈;0,20km;凡例1,2,3.

English translation

Location map: 1:50,000 ‘Hiroo’ (Hiroo sheet 11); Rakko Bridge; Tokachi Port; Daimaruyama; Maruyama hill; Rakko River; 35.9; ■; arrow. Column: m; 0, 10, 20, 30; Spfa 1; Kt-1; Silty volcanic ash; Fill gravel; NP=RPIII; Kt-6; HPI; Aso-4; Kt-8; Toya; tertiary marine gravel. Distribution map: Obihiro; Ikeda; Satsunai River; Sarubetsu River; Tokachi River; Rekifune River (printed 歴舟川); Taiki; Lake Horokayanto; Rakko River; Hiroo; Hidaka Mountains; 0, 20km; legend 1, 2, 3.

判読上の注記

地形図内の一部微小文字は判読不明。

柱状図:(小野・平川,1974 一部加筆)

ビラオトリ層の分布(十勝団研,1978)

  1. ビラオトリ層 2. ビラオトリ湿原の広がり 3. 山地および丘陵

HK-21 夕張山地南部の最終氷期の周氷河斜面 ―ひきずり構造を覆うテフラ層―

清水長正

本露頭周辺地域は夕張山地内の第三系の川端層からなる標高200~300mほどの定高性をもった丘陵である.露頭は厚真の北東方約9kmで,厚真川支流のハビウ川に注ぐパンケ沢川の上部谷壁斜面に位置し,林道幌内―高岡線の道路法面に現れている.基盤の川端層の砂岩・泥岩互層が80°ほど急傾斜しており,その最上部には斜面の傾斜方向に湾曲する「ひきずり構造」(drag structures)が認められる.基盤の上位には,川端層からもたらされた角礫層,恵庭aテフラ(En-a)の軽石粒が散在する細粒火山灰層,風成の樽前dテフラ(Ta-d)などが覆っている.ひきずり構造は,斜面表層に強い物質移動があり,斜面堆積物だけでなく基盤岩最上部も動いていたことを示すもので,とくに周氷河斜面で生じやすい.ここでは,約18kaに降下したEn-a降下前まではそれが活発に行われ,En-a以降には軽石粒を移動させる程度の物質移動となり,8.6kaのTa-d降下後には斜面が安定したとみられる.この状況から,最終氷期中に周氷河性のクリープによって不安定であった斜面が,完新世になって安定したものと解釈される.道北・道東では最終氷期の周氷河現象が多数記載されているが,道央部のこうした低い丘陵でも最終氷期には斜面表層部を変化させるほどの周氷河現象が活発化していた証拠となろう.

文献:清水(1989)

パンケ沢川上部谷壁斜面の露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『幌内』(札幌4号-1);パンケ沢川;158;243;矢印.

English translation

1:25,000 ‘Horonai’ (Sapporo sheet 4-1); Pankezawa River; 158; 243; arrow.

判読上の注記

端部の標高数字と一部微小文字は判読不明。

川端層のひきずり構造と覆うEn-a粒子含有灰層・Ta-dを示す露頭断面図
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図中文字(日本語)

SW;NW;NE;En-aの軽石粒;細粒火山灰層;腐植層;Ta-d;角礫層;基盤層(川端層);崩積土;縦目盛0,5,10m;横スケール0,5m.

English translation

SW; NW; NE; En-a pumice grains; fine ash bed; humic bed; Ta-d; angular gravel bed; basement (Kawabata Formation); colluvium; vertical scale 0, 5, 10m; horizontal scale 0, 5m.

HK-22 石狩低地に分布する後期更新世以降のテフラ層 ―支笏火山・クッタラ火山のテフラ層序―

山縣耕太郎

本露頭は,約40kaに噴出した支笏火砕流堆積物(Spfl)の分布域のすぐ外側に位置していて,Spflより下位のテフラ層を支笏火山から最も近い位置で観察することができる露頭の一つである.そのため,Spfl以前に噴出した支笏火山起源のテフラ層を観察するのに最も適した露頭となっている.露頭は海成段丘を削って作られたもので,露頭下部には最終間氷期の堆積物と考えられている厚真層が認められる(馬追団体研究会,1983).その上位には,泥炭質の堆積物(本郷層)があり,その中には,厚真降下火山灰堆積物1~4(Aafa 1~4)が挟まれている(春日井ほか,1980).このうち,Aafa 1,Aafa 2,Aafa 3はそれぞれクッタラ第8テフラ(Kt-8),洞爺テフラ(Toya),クッチャロ羽幌テフラ(Kc-Hb)に対比される(Arai et al.,1986;山縣,1994).本郷層の上位には,支笏火山,クッタラ火山を主な給源とするテフラ層と褐色の火山灰土からなる風成堆積物がのる.後期更新世以降両火山は,活発に活動して多数のテフラ層を堆積させた.このため,これらのテフラをどう区分するかが問題となってくる.

噴火の堆積物であるテフラは,一輪廻の噴火に対応させて区分されるべきである.そのためには,噴火の休止期を示す指標を露頭から見つけだし,それに基づいてテフラを区分する必要がある.噴火の休止期の指標としては,堆積速度が遅く,陸成の堆積物中に普遍的に存在する火山灰土が最も適していると考えられる.しかし,黒色火山灰土の場合と異なり,層厚が薄い褐色火山灰土は風化した細粒火山灰との判別が困難な場合がある.本露頭においても,Spfa 9や,Spfa 6,7,8の間の細粒褐色の堆積物および春日井ほか(1983)によって粘土化帯として記載された層準は,テフラ層であるか火山灰土であるかの判別が難しい.そこで,有機炭素含量,植物珪酸体含量,一次鉱物組成,粘土鉱物組成を指標にして,これらの層準の堆積物が,火山灰土であるか,細粒の火山灰であるかの判別を行った(Yamagata,1995).その結果,Spfa 6と7の間の細粒層は火山灰土であり,Spfa 9および粘土化帯,Spfa 7と8の間の細粒層は細粒の火山灰であると判別された.その結果,従来のSpfa 7~10は一連の噴火の噴出物(支笏降下スコリア堆積物;Ssfa)であることが明らかになり,本露頭において後期更新世のテフラは17のテフラ層に区分される.

早来町源武の露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『遠浅』(札幌4号-4);源武;源武踏切;36;24;30;8.7;2.7;矢印.

English translation

1:25,000 ‘Toasa’ (Sapporo sheet 4-4); 源武; 源武 railway crossing; 36; 24; 30; 8.7; 2.7; arrow.

判読上の注記

源武の読みは未確認。一部微小文字は判読不明。

厚真層・本郷層を覆う支笏・クッタラ起源テフラの露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

En-a;Spfa-1;Kt-1;Ssfa;Toya;本郷層;厚真層.

English translation

En-a; Spfa-1; Kt-1; Ssfa; Toya; Hongo Formation; Atsuma Formation.

HK-22(続き)

石狩低地に分布するテフラ層の給源については,そのほとんどが低地の西縁に位置する支笏火山起源と考えられてきた.しかし,詳しい分布の調査から,Kt-1,3,6,8,クッタラ早来テフラ(Kt-Dt)などのクッタラ火山起源のテフラ層や,Toya,中島長流川テフラ(Nj-Os),有珠b(Us-b)などの洞爺火山起源のテフラ層が分布していることが確かめられ,本露頭においても観察できる(山縣,1994).これらのテフラをのぞいたSsfa,Spfa 6およびSpfa 5がカルデラ形成以前に噴出した支笏火山起源のテフラである.

Spfa 1の上位には,美美の露頭と同様に支笏火山の後カルデラ活動によってもたらされた恵庭a(En-a),樽前a,b,c,d(Ta-a,b,c,d)とUsu-bおよび白頭山苫小牧火山灰が認められる.

文献:Arai et al.(1986),春日井ほか(1980),馬追団体研究会(1983),山縣(1994),Yamagata(1995)

源武のテフラ柱状図と山縣(1994)・春日井ほか(1980)の層名対照
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

山縣(1994);春日井ほか(1980).上から:Ta-a;Ta-b;Ta-c;Ta-d;En-a;Spfa1;Kt-1(Spfa1);Nj-Os;Kt-Tk(Spfa3);Kt-3(Spfa4);Spfa5;Kt-Hy(粘土化帯);Spfa6;Spfa7;Spfa8;Spfa9;Spfa10;Yo-Mk(Mpfa1);Kt-5(Mpfa2b);Kt-6(Mpfa3);Toya(Aafa2);Kc-Hb(Aafa3);Aafa4.目盛:0(m),1,2,3,4,5.凡例:降下軽石堆積物;降下スコリア堆積物;降下火山灰;黒色火山灰土;褐色火山灰土;泥炭;粘土.

English translation

山縣 (1994); 春日井 et al. (1980). From top: Ta-a; Ta-b; Ta-c; Ta-d; En-a; Spfa1; Kt-1 (Spfa1); Nj-Os; Kt-Tk (Spfa3); Kt-3 (Spfa4); Spfa5; Kt-Hy (argillized zone); Spfa6; Spfa7; Spfa8; Spfa9; Spfa10; Yo-Mk (Mpfa1); Kt-5 (Mpfa2b); Kt-6 (Mpfa3); Toya (Aafa2); Kc-Hb (Aafa3); Aafa4. Scale: 0 (m), 1, 2, 3, 4, 5. Legend: pumice-fall deposit; scoria-fall deposit; ash-fall deposit; black volcanic-ash soil; brown volcanic-ash soil; peat; clay.

判読上の注記

図のKt-1右側はSpfa1と印刷されているように見える。翌ページ本文の対照Spfa2=Kt-1とは異なるが原著表記を保持。

HK-23 日高沿岸地域に分布する後期更新世のテフラ層 ―遠方に分布するクッタラ火山起源のテフラ―

山縣耕太郎

石狩低地に分布する支笏降下軽石堆積物(Spfa)あるいは鵡川降下軽石堆積物(Mpfa)と呼ばれたテフラは,そのほとんどが支笏火山から供給されたものと考えられていた(春日井ほか,1980).しかし,その後の分布調査から,その中の多くのテフラ層がクッタラ火山起源であることが明らかにされた(胆振団体研究会,1990;山縣,1994).石狩低地の南端に位置する鵡川周辺では,支笏火山起源のテフラより分布軸が南に偏るクッタラ火山起源のテフラをよく観察することができる.本露頭は最終間氷期の海成段丘上に位置していて,テフラがよく保存されている.40ka頃に噴出した支笏降下軽石堆積物-1(Spfa-1)より上位のテフラは削られていて,ここでは観察できない.その下位には厚さ10cm程度の火山灰土を挟んでクッタラ火山起源のクッタラ第1テフラ(Kt-1)がある.その下の火山灰土中には,津軽海峡函館沖から噴出した銭亀火山起源の銭亀女那川テフラ(Z-M)がパッチ状に挟まれている.さらに下位にはクッタラ竹浦テフラ(Kt-Tk),Kt-3,クッタラ早来テフラ(Kt-Hy),Spfa 6,Ssfa,羊蹄火山起源の羊蹄鵡川テフラ(Yo-Mk),Kt-4,Kt-5,Kt-6,Kt-7が観察できる.Kt-TkからKt-6までの各テフラの間に挟まれる火山灰土の層厚は薄く,この時期に短い休止期を挟んで頻繁に噴火が起こったことがわかる.クッタラ火山のKt-1,Kt-3,Kt-6は,さらに東方の十勝平野でも識別できる.各テフラの従来の名称(春日井ほか,1980;曽屋・佐藤,1980)との対応は,以下の通りである.

従来の名称 本記事の名称
Spfa 2 Kt-1
Hpfa Z-M
Spfa 3 Kt-Tk
Spfa 4 Kt-3
Spfa 7,8,9,10 Ssfa
Mpfa 1 Y-Mk
Mpfa 2a Kt-4
Mpfa 2b Kt-5
Mpfa 3 Kt-6

文献:胆振団体研究会(1990),春日井ほか(1980),山縣(1994)

汐見三区の露頭位置図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『鵡川』(苫小牧1号-2);汐見三区;33.5;35;32;39.5;矢印.

English translation

1:25,000 ‘Mukawa’ (Tomakomai sheet 1-2); Shiomi Third District; 33.5; 35; 32; 39.5; arrow.

判読上の注記

一部の地図内微小文字は判読不明。

支笏第1からクッタラ第7までのテフラ層を示す汐見三区の露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

盛り土;Spfa-1;Kt-1;Z-M;Kt-3;Ssfa;Yo-Mk;Kt-6;Kt-7;0m,1,2.

English translation

Artificial fill; Spfa-1; Kt-1; Z-M; Kt-3; Ssfa; Yo-Mk; Kt-6; Kt-7; 0m, 1, 2.

HK-24 北海道恵庭市ユカンボシE9遺跡における完新世後期のテフラ層

鈴木正章・上屋真一

本露頭は恵庭市街の南を流れるユカンボシ川の中流左岸に位置し,15~17kaの恵庭aテフラ(En-a)を風成で載せる扇状地面を開析して形成された小河谷が,旧長都湿地から連続すると考えられる泥炭層によって埋積された堆積物の断面である.露頭から観察されるテフラは便宜的に鈴木(1993)によって上位からYuK-1~YuK-7と命名され,YuK-1は西暦1739年の樽前aテフラ(Ta-a),YuK-3は0.8~0.9kaとされている白頭山苫小牧テフラ(B-Tm),YuK-4は樽前c1テフラ(Ta-c1),YuK-5は樽前c2テフラ(Ta-c2)にそれぞれ対比された.他のYuK-2,-6,-7などのテフラは従来知られていない新顔のテフラであるが3枚のテフラともほとんどが0.1mm前後の粒径の火山ガラスからなることから広域に分布する可能性もある.また,本露頭では,0.8~0.9kaとされているB-Tmの直上の¹⁴C年代が1,210±50yr B.P.(KSU-2272)と古い年代値が得られている.なお,北海道地域で得られているB-Tm直下の年代値は1.5~2.5kaである.2.5~3.0kaのTa-cはc1とc2に区分され,それぞれ休止期の無い一連の噴火によってもたらされたテフラと考えられてきたが,本露頭ではc1とc2の間に2cmの泥炭層が挟在しその泥炭層の平均堆積速度から見積られる休止期は約30年間であった.考古遺物は,YuK-6とTa-c2に挟まれる地層(IIIc層)から縄文後期中葉の手稲式土器(BP3,500),Ta-c1の地層(IIIb層)から縄文晩期のタンネトーL式土器(BP2,300),Ta-c1とB-Tm間の地層(IIIa層)から続縄文後期前葉の後北C2-D式(4世紀)及び同後期末葉の北大III式土器(6世紀)などが出土した.

文献:遠藤ほか(1989),鈴木(1993)

ユカンボシ川左岸のE9遺跡露頭の位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『恵庭』(札幌7号);ユカンボシ川;長都;大島居;サッポロビールていえん;南十四号;南十五号;東五線;17.5;13.5;19.3;14.4;24;13;矢印.

English translation

1:50,000 ‘Eniwa’ (Sapporo sheet 7); Yukanboshi River; Osatsu (長都); 大島居 [place label]; Sapporo Beer Teien; Minami-Juyon-go; Minami-Jugo-go; Higashi-Gosen; 17.5; 13.5; 19.3; 14.4; 24; 13; arrow.

判読上の注記

大島居の読みは未確認。一部微小地図文字は判読不明。

総合柱状図,放射性炭素年代,考古時代区分とテフラを示すユカンボシE9遺跡の断面図
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図中文字(日本語)

SW;NW;NE;総合柱状図:Yuk-1(Ta-a);Yuk-2;Yuk-3;Yuk-4;Yuk-5;Yuk-6;Yuk-7;210±50yrs.BP(KSU-2271);1,270±50yrs.BP(KSU-2272);3,150±190yrs.BP(KSU-2273);5,210±200yrs.BP(KSU-2274);(擦文初頭・続縄文);(縄文晩期);(縄文後期);0,20cm.断面:Ta-aを剥いだ面;Yuk-2;Yuk-3(B-Tm);Yuk-4(Ta-c1);Yuk-5(Ta-c2);Yuk-6;Yuk-7;(用水路);m,16,15;横スケール0,1m.凡例:表土;泥炭;火山灰;ローム;スコリア;火山砂;軽石;岩片;砂;礫.

English translation

SW; NW; NE; composite column: Yuk-1 (Ta-a); Yuk-2; Yuk-3; Yuk-4; Yuk-5; Yuk-6; Yuk-7; 210±50yrs.BP (KSU-2271); 1,270±50yrs.BP (KSU-2272); 3,150±190yrs.BP (KSU-2273); 5,210±200yrs.BP (KSU-2274); (earliest Satsumon/Epi-Jomon); (Final Jomon); (Late Jomon); 0, 20cm. Section: surface with Ta-a removed; Yuk-2; Yuk-3 (B-Tm); Yuk-4 (Ta-c1); Yuk-5 (Ta-c2); Yuk-6; Yuk-7; (irrigation channel); m, 16, 15; horizontal scale 0, 1m. Legend: topsoil; peat; volcanic ash; loam; scoria; volcanic sand; pumice; lithic fragments; sand; gravel.

HK-25 登別ランポーゲ岬にみられるクッタラ火山のテフラ群

山縣耕太郎

クッタラ火山は後期更新世に活発な活動を行った火山である.約90kaから50kaまでの4万年間に7回の大規模噴火(クッタラ第8,7,6,5,4(Kt-8,7,6,5,4),クッタラ早来(Kt-Hy),クッタラ第3(Kt-3);いずれもVEI5~6)のあと,小規模な噴火(クッタラ竹浦テフラ(Kt-Tk)群;VEI3以下)を頻繁に行い成層火山体を形成した.その後,2枚のクッタラ第2,クッタラ第1各テフラ(Kt-2,1)を噴出する大規模噴火を行って山頂に直径約3kmのカルデラを形成した(山縣,1994).

本露頭は,クッタラカルデラの南西約5.5kmに位置し,近接する2カ所の露頭をあわせてKt-6より上位のテフラを確認することができる.Kt-3より上位のテフラは,ランポーゲ岬の西の付け根で国道から北へ分かれる細い道沿いに見られる(地点A;図3,A).露頭最上部にはクロボク土中に有珠b,その下位に約1mの褐色火山灰土を挟んで支笏火砕流堆積物(Spfl)と支笏降下軽石1(Spfa 1)が認められる.Spflの中には炭化木とパイプ構造が観察できる.Spfa 1の下位には,薄い火山灰土を挟んで上位からベースサージ堆積物,降下軽石,火砕流堆積物のユニットからなるKt-1が認められる.降下軽石のユニットは石狩低地のSpfa 2に対比される.場所によってKt-1には,ベースサージ堆積物と降下軽石との間にもう1枚火砕流のユニットが認められ,その中に見事な化石根なし噴気孔が観察できる(Kawachi et al.,1978;河内ほか,1988).Kt-1の下位には,細粒で淘汰がよい洞爺火山起源の中島長流川テフラ(Nj-Os),その直下に散らばるKt-2の風化した粗粒な軽石,成層火山形成期の降下スコリア,非溶結火砕流と降下軽石のユニットからなるKt-3が認められる.現在,Kt-1より下位の部分は草に覆われて見えないが,登別市街北方の採石場などで同様の層準が観察できる.

ランポーゲ岬付近のA・B露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『登別温泉』(苫小牧10号-3,14号-1・2);登別東町五丁目;登別本町二丁目;登別本町三丁目;登別;登別港;富浦町二丁目;富浦町一丁目;蘭法華岬;125.1;102;70;65;61.5;8.1;A;B.

English translation

1:25,000 ‘Noboribetsu Onsen’ (Tomakomai sheets 10-3, 14-1 and 14-2); Noboribetsu-Higashicho 5-chome; Noboribetsu-Honcho 2-chome; Noboribetsu-Honcho 3-chome; Noboribetsu; Noboribetsu Port; Tomiuracho 2-chome; Tomiuracho 1-chome; Cape Ranpoge (蘭法華岬); 125.1; 102; 70; 65; 61.5; 8.1; A; B.

判読上の注記

地図内の一部微小文字は判読不明。

図1

クッタラ第6から支笏までのテフラと溶結部を示すランポーゲ岬の露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

Spfl・Spfa-1;Kt-1;Kt-3;Kt-Hy;Kt-4;Kt-5;Kt-6;スケールm,0,10.

English translation

Spfl・Spfa-1; Kt-1; Kt-3; Kt-Hy; Kt-4; Kt-5; Kt-6; scale m, 0, 10.

図2 ランポーゲ岬のスケッチ

HK-25(続き)

Kt-3より下位の層準は,ランポーゲ岬の海食崖で観察できる(地点B;図2;図3,B).ランポーゲ岬西側のトンネル出口の脇から先端に向かって,強溶結して急崖をなしているKt-3火砕流とKt-3降下軽石,暗灰色で淘汰が悪いクッタラ早来テフラ(Kt-Hy),Kt-4火砕流と降下軽石,Kt-5降下軽石,Kt-6火砕流の順で観察できる.Kt-4降下軽石は,10mをこす厚い堆積物で,その中には炭化木やその痕跡の穴が多く認められる.Kt-6より下位の層準は,上位の堆積物が厚いためクッタラ火山周辺では観察できないが,クッタラ火山から東方に15km以上離れた森野から社台へ抜ける林道沿いで観察することができる.クッタラ火山起源のテフラの層序,分布,岩石記載的性質については,山縣(1994),胆振団研(1990),山崎(1985)に詳しい記述がある.

文献:胆振団研(1990),Kawachi et al.(1978),河内ほか(1988),山縣(1994),山崎(1985)

ランポーゲ岬のA・B露頭の柱状対比図と堆積相凡例
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図中文字(日本語)

A(上から):Usu-b;Spfl;Spfa-1;Kt-1;Nj-Os;Kt-2;Kt-Tk;Kt-3;Kt-Hy;Kt-4.B(上から):Kt-3;Kt-Hy;Kt-4;Kt-5;Kt-6.スケール0(m),1,2,3,4,5.凡例:降下軽石;降下スコリア;降下火山灰;火砕流堆積物;溶結凝灰岩;サージ堆積物;黒色火山灰土;褐色火山灰土.

English translation

A, from top: Usu-b; Spfl; Spfa-1; Kt-1; Nj-Os; Kt-2; Kt-Tk; Kt-3; Kt-Hy; Kt-4. B, from top: Kt-3; Kt-Hy; Kt-4; Kt-5; Kt-6. Scale 0 (m), 1, 2, 3, 4, 5. Legend: pumice fall; scoria fall; ash fall; pyroclastic-flow deposit; welded tuff; surge deposit; black volcanic-ash soil; brown volcanic-ash soil.

図3 A,B地点の柱状図

HK-26 羊蹄火山東麓に分布するテフラ層

星住(宇野)リベカ

この露頭は,羊蹄火山山頂の東約9kmの地点にあり,高さは約15mである.羊蹄火山のテフラ層は斜交を挟み新期および古期活動期に分けられる.この露頭では,羊蹄火山起源のテフラ層が少なくとも26枚,羊蹄以外の火山起源のテフラ層が4枚観察できる.新期テフラ層上部のローム層中には,スコリア質砂やシルト質火山灰が混在しており,羊蹄火山では,新期活動期に単層として認識されないような,より小規模な噴火も行われていたことがわかる.

以下にこの露頭での主なテフラの特徴について上位から述べる.羊蹄第1テフラ(Yo-1;柏原ほか,1976)は,直径10~40mmのスコリア及び軽石とシルト質火山灰層を含む5枚のfall unitからなり,上部2枚のunitには石質岩片が多く含まれる.羊蹄第2テフラ(Yo-2;柏原ほか,1976)は,2枚のfall unitからなり,下位のunitは直径2~20mmのスコリア及び軽石,上位のunitは紫灰色火山灰層である.羊蹄第3テフラ(Yo-3;柏原ほか,1976)は,直径10~30mmの軽石層で,4枚のfall unitからなる.Yo-3の下位約1.5mに,支笏火砕流堆積物(Spfl)と支笏第1テフラ(Spfa-1)が堆積している.またその下部から,羊蹄火山の3枚のテフラ層を挟んだ下位に給源火山不明の「しおがま状軽石」(佐々木,1972)がある.春日火山灰(Yo-Ks;宇野,1989)は,スコリア・火山砂・細粒火山灰などの複数の降下堆積物層からなり間に2枚以上の軽石まじり火山灰の火砕流堆積物(春日火砕流)を挟んでいる.クッタラ第2テフラ(Kt-2;山縣,1994;胆振団体研究会,1990)はローム層を挟みYo-Ksの下位にある.本露頭のテフラ層よりさらに下位の羊蹄火山起源の8枚のテフラ層と喜茂別火砕流(給源不明)は,この露頭から1.5km西の道路沿いの露頭で観察できる.洞爺火砕流堆積物(Tp fl)は,さらにそれらの下位にある.

文献:胆振団体研究会(1978,1990),柏原(1970),柏原ほか(1976),大貫ほか(1977),佐々木(1972),佐々木ほか(1971),宇野(1989),山縣(1994),柳田(1994)

京極町更進の露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『喜茂別』(岩内4号-1);更進;353;357;367;365;373.9;320;300;矢印.

English translation

1:25,000 ‘Kimobetsu’ (Iwanai sheet 4-1); 更進; 353; 357; 367; 365; 373.9; 320; 300; arrow.

判読上の注記

更進の読みは未検証。一部微小地図文字は判読不明。

羊蹄新期・古期テフラ,外来テフラと年代値を示す柱状図
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図中文字(日本語)

羊蹄火山以外のテフラ;羊蹄火山新期テフラ層;羊蹄火山古期テフラ層;5,930±180y.B.P.;Yo-1;15,000±400y.B.P.;Yo-2;25,270±1,080y.B.P.;27,280±1,410y.B.P.;Yo-3;Spfl;42,000±1,800y.B.P.;Spfa-1;しおがま状軽石;Yo-Ks;Kt-2;m,0,5.凡例:loam;pumice;scoria;ash;sand;lithic fragment.

English translation

Tephra from volcanoes other than Yotei; younger Yotei tephra beds; older Yotei tephra beds; 5,930±180y.B.P.; Yo-1; 15,000±400y.B.P.; Yo-2; 25,270±1,080y.B.P.; 27,280±1,410y.B.P.; Yo-3; Spfl; 42,000±1,800y.B.P.; Spfa-1; shiogama-like pumice (しおがま状軽石); Yo-Ks; Kt-2; m, 0, 5. Legend: loam; pumice; scoria; ash; sand; lithic fragment.

HK-27 有珠山南麓で見られる善光寺岩屑なだれ堆積物の採石場露頭

吉田真理夫

有珠火山は,7,000~8,000年前に山頂部が水蒸気爆発によって崩壊し,岩屑なだれが南麓に流下して大小の流れ山を形成した(横山ほか,1971).現在では善光寺岩屑なだれ(流)堆積物と呼ばれている(曽屋ほか,1981).この堆積物からは各所で採石がおこなわれており,良好な露頭があちこちで見られる.■地点もその1つで,若生町の北部にある大きな採石場の露頭である.ここでは,岩屑なだれ堆積物を構成する物質の1つである,給源から運ばれてきた有珠外輪山溶岩(Oba,1966)の岩塊が露出しており,ジグソークラックなどの堆積構造(宝田,1994;Takarada,1995)を観察することができる(写真).

南有珠町の海岸にも善光寺岩屑なだれの採石場露頭が数カ所で見られるが,このうち▲地点の露頭ではもう1つ興味深い堆積物を見ることができる.現地表直下20~30cmの部分に,黒色の土壌に挟まれて白灰色~褐色の層が3枚堆積している.西村・宮地(1993),Nishimura and Miyaji(1995)により,上位の2枚がそれぞれ1663年有珠山噴火のUs-bと1640年駒ヶ岳噴火のKo-d,そして最下位の層が1640年渡島駒ヶ岳噴火に伴う津波堆積物であることが明らかにされた.詳しい層相に関しては,上記の両文献に写真入りで記載されている.

文献:西村・宮地(1993),Nishimura and Miyaji(1995),Oba(1966),曽屋ほか(1981),宝田(1994),Takarada(1995),横山ほか(1971)

若生町の採石場■地点と南有珠海岸の津波堆積物▲地点を示す位置図
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図中文字(日本語)

5万分の1『伊達』(室蘭2号-3);アルトリ岬;南有珠町;若生町;27.5;5;▲;■.

English translation

1:50,000 ‘Date’ (Muroran sheet 2-3); Cape Arutori; Minami-Usucho; 若生町; 27.5; 5; ▲; ■.

判読上の注記

若生町の読みは未検証。一部地図内微小文字は判読不明。

善光寺岩屑なだれ堆積物中のジグソークラックを示す採石場写真
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図中文字(日本語)

画像右端に写真クレジットの一部が切り込む。完全な記載は原PDFのキャプションとして本文に収録。岩塊に文字注記なし。

English translation

Part of the photographic credit enters the right edge of the extracted image. The complete credit is reproduced in the page caption from the original PDF. The rock blocks carry no textual annotations.

写真:宝田晋治氏(地質調査所)提供.1994年6月撮影.中央下部のスケール2m.

HK-28 有珠山頂部火口原内に見られる歴史時代に噴出したテフラ

吉田真理夫

有珠山頂部の外輪山に囲まれた火口原内では,1978年の噴火活動によって形成された銀沼火口および第4火口の火口壁で,1977~1978年噴火の火砕物や1822年噴火の文政熱雲堆積物などの各層が良好に保存されている.銀沼火口壁では,最上位から20~25m下の層準に軽石を主体とする降下テフラ層が堆積している.この降下テフラ層準の直下に黒色の土壌層が見られ,噴火前の植生である立ち木の根元がこの付近に散在することから,この降下テフラから上位が1977~1978年噴火による堆積物と判断できる.これらの堆積物は火口からのびるガリーの側壁でも観察することができる(写真).銀沼火口周辺で見られる堆積物の層序と主な岩相については,吉田(1995)を参照されたい.また,火口原内北部にある第4火口の火口壁では,層厚10mほどの1822年噴火による文政熱雲堆積物を観察することができる.青灰色~白灰色のデイサイト岩片が主体であるが,上部は酸化を受けて淡紅色を呈している.第4火口壁の最上位には,1977年噴火による軽石主体の降下テフラが見られる.

どちらの火口壁の堆積物にも崖錐の土砂の上を辿りながら比較的容易に接近することができるが,雨上がりで土砂が流失している時は接近がやや難しい.また,外輪山までは車で上がれるが,途中にゲートがあるので伊達市の許可をもらって鍵を受け取る必要がある.

文献:吉田(1995)

有珠山頂の第4火口・銀沼火口と写真露頭を示す位置図
原著 130ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

5万分の1『虻田』(室蘭1号-4);有珠山;有珠新山;小有珠;大有珠(732);オガリ山;第4火口;銀沼火口;写真の露頭;東丸山;693;400;300.

English translation

1:50,000 ‘Abuta’ (Muroran sheet 1-4); Usu volcano; Usu-Shinzan; Ko-Usu; O-Usu (732); Ogariyama (オガリ山); Crater 4; Ginnuma crater; photographed exposure; Higashi-Maruyama; 693; 400; 300.

判読上の注記

地形図内の一部微小文字は判読不明。

銀沼火口から50mのガリー露頭写真と1977~1978年噴出物の柱状図
原著 130ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

写真:N,S.柱状図:(m)0,1,2;Sep.12-13;Sep.8;Aug.29;Aug.24;Aug.16, 1978;Aug.7, 1977(Big I).凡例:混合堆積物;降下火砕物;軽石を含む降下火砕物;火砕サージ(粗粒火山灰主体);火砕サージ(細粒火山灰主体);二次堆積物;(単層区分不可).

English translation

Photograph: N, S. Column: (m) 0, 1, 2; Sep.12-13; Sep.8; Aug.29; Aug.24; Aug.16, 1978; Aug.7, 1977 (Big I). Legend: mixed deposits; pyroclastic fallout; pumice-bearing pyroclastic fallout; pyroclastic surge (chiefly coarse ash); pyroclastic surge (chiefly fine ash); reworked deposits; (individual beds cannot be distinguished).

銀沼火口よりのびるガリー沿い(火口から50m)の露頭

HK-29 北海道南部鷲の木における渡島駒ヶ岳1640年噴火の津波堆積物

遠藤邦彦・藤井亨

1640年7月31日,駒ヶ岳dの噴火が始まり,激しい噴火が3日間続いた.降下軽石・火山灰及び火砕流の噴出に先立って,山頂の一部の崩壊によりクルミ坂岩屑なだれが発生し,大量の岩屑が噴火湾に流れ込み,津波を発生させ,死者700余名に達する大災害を引起した(勝井,1975).この津波が陸上に残した堆積物については西村・宮地(1993)の研究がある.

本露頭はJR鷲の木(わしのき)トンネル東側の海食崖で,最上部に厚さ70cmの駒ヶ岳dテフラ(Ko-d)(Ko-d2~10)が,下位に1cmの降下火山灰(d1),上位に10cmの降下火山灰(d11)を伴って露出する(Ko-d1~11のユニット区分は勝井ほか,1986による).Ko-dの下位には,白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)を挟む黒色土壌を挟んで,濁川カルデラ火砕物(Ng;柳井ほか,1992)が厚さ45cm,さらに土壌層を挟んで駒ヶ岳h1テフラ(Ko-h1),駒ヶ岳h2テフラ(Ko-h2)の降下軽石層,最も下位に2層の粗粒円礫層がある.この円礫層の間の砂質層に銭亀女那川テフラ(山縣ほか,1989)に相当する細粒火山灰層を挟まれる.この露頭は一部B-Tm等が地すべりにより繰り返すことに注意がいる.上記Ko-d噴出物の直下,海面上約5.5mの高さに,扁平礫が点在する.粗粒円礫の層準にはやや腐植質な泥質砂層が粗粒円礫に付着するように認められる.Ko-d噴火で先行したd1火山灰層は,点在する粗粒円礫によって作られた凹凸を覆っている.海食崖下には現在の波食作用の下にある同様の扁平粗粒円礫が散在している.このような産状から,Ko-d直下の円礫は同噴火に先立つ津波によって打ち上げられたと推定される.ただし,現在の海食崖は当時の海岸線よりかなり後退している可能性が強い.勝井ほか(1975)はクルミ坂岩屑なだれは水蒸気爆発によって誘発されたと考えた.Ko-d1火山灰層がその水蒸気爆発に由来するものなら,火山灰よりも津波が先に到達したことになる.

文献:勝井ほか(1975,1986,1989),西村・宮地(1993),山縣ほか(1989),柳井ほか(1993)

鷲の木の位置図,1640年Ko-d降下軽石と津波円礫の露頭写真,海食崖層序スケッチ
原著 131ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

位置図:2.5万分の1『渡島森』(室蘭8号-3);函館本線,湯崎,鷲の木町,50.6,25.8。写真注記(上から):盛土;Ko-d降下軽石層;津波堆積物(粗円礫);1640年以前の土壌。層序スケッチ:標尺(m)0,1,2,3,4,5,6,7。上から盛土,Ko-d降下軽石層,津波堆積物,B-Tm,Ng,Ko-h1,Ko-h2,段丘礫層,Z-M,段丘礫層。Ng:濁川カルデラ噴出物。Z-M:銭亀-女那川火山灰。画像に含まれる本文片は本文に収録。

English translation

Location map: 1:25,000 ‘Oshima-Mori’ (Muroran sheet 8-3); Hakodate Main Line, 湯崎, Washinoki Town, 50.6, 25.8. Photograph annotations, top to bottom: Artificial fill; Ko-d pumice-fall bed; tsunami deposit (coarse rounded gravel); soil predating 1640. Stratigraphic sketch: Scale (m) 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7. Top to bottom: Artificial fill; Ko-d pumice-fall bed; tsunami deposit; B-Tm; Ng; Ko-h1; Ko-h2; terrace gravel; Z-M; terrace gravel. Ng: Nigorikawa caldera eruptive products. Z-M: 銭亀-女那川 volcanic ash. The body-text fragment included in this image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図の微小文字の一部は判読不明。

写真 1640年の駒ヶ岳Ko-d降下軽石層と津波で打ち上げられた円礫

図 鷲ノ木海食崖露頭スケッチ

HK-30 渡島半島に分布する最終氷期末期に噴出した濁川テフラ

柳井清治

本露頭は最終氷期末期に噴出した濁川テフラと駒ヶ岳テフラの関係を見る上で最も良好なテフラである.観察できる層準は,段丘礫層の上位に重なる黄褐色降下軽石の駒ヶ岳iテフラ(Ko-i;32ka),駒ヶ岳hテフラ(Ko-h;17ka)とさらに上位に重なる濁川テフラである.濁川テフラは層厚3mに達し,下位よりNg-c,Ng-b,Ng-aの3ユニットに区分される.Ng-c,Ng-bは平行ラミナの発達するベースサージ堆積物からなる.Ng-aは降下軽石堆積物,細粒降下火山灰そして火砕流堆積物からなる.Ng-aの火砕流堆積物は右図北から石倉までの噴火湾沿岸に広く分布し,降下火山灰は渡島半島や亀田半島を広く覆い日高地方沿岸にまで達する.このテフラの上位には駒ヶ岳の完新世テフラ,駒ヶ岳g(Ko-g),同d(Ko-d)が覆い,広域テフラ,白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)も観察できる.これらの詳細については,以下の関連文献を参照されたい.

文献:雁沢ほか(1992),柳井ほか(1992)

森町富士見町の濁川テフラ露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『渡島森』(室蘭8号-3)。富士見町,万太郎川,鳥崎町,鳥崎橋。16.2,50,20。

English translation

1:25,000 ‘Oshima-Mori’ (Muroran sheet 8-3). Fujimi Town; Mantaro River (万太郎川); Torisaki Town (鳥崎町); Torisaki Bridge (鳥崎橋). 16.2, 50, 20.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

段丘堆積物上のKo-i,Ko-h,Ng-c,Ng-b,Ng-a fall,Ng-a flow
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図中文字(日本語)

原図英文:Ng-a flow; Ng-a fall; Ng-b; Ng-c; Ko-h; Ko-i; Terrace deposits。標尺:0,1m。

English translation

Original English lettering: Ng-a flow; Ng-a fall; Ng-b; Ng-c; Ko-h; Ko-i; Terrace deposits. Scale: 0, 1m.

1990年11月撮影

HK-31 北海道渡島駒ヶ岳のテフラ ―東麓尻無川河口付近の海食崖―

遠藤邦彦

出来澗(できま)崎から松屋崎の間の海食崖には,駒ヶ岳火山の火砕流,降下火砕物,岩屑なだれ,土石流など様々な堆積物が露出し,駒ヶ岳岩屑なだれから1929年の降下軽石まで,主要な活動史をこの海岸で捉えることが可能である.本露頭は尻無川河口を中心とするもので,高さ40~45mに及ぶ海食崖は絶えず後退を続けており,また崖の上部に不安定な巨大岩塊や巨大軽石が含まれ,観察にあたっては十分な注意が必要である.この一帯は,駒ヶ岳c1テフラ(Ko-c1;1856年;厚さ40cm),同c2テフラ(Ko-c2;1694年;厚さ2m強)の厚い降下軽石に覆われたクルミ坂岩屑なだれ堆積物が凹凸のある地形を形成する.その断面は海食崖の上部に露出する.駒ヶ岳dテフラ(Ko-d;1640年)はその流れ山の谷間にのみ見られる.尻無川河口付近ではクルミ坂岩屑なだれ堆積物は土石流堆積物を覆っており,さらにその上位をKo-dの降下軽石・火砕流堆積物,および土石流堆積物,風成砂層が覆う.通常Ko-dの下位には白頭山苫小牧テフラ(B-Tm)を挟む土壌層や駒ヶ岳f(Ko-f),同g(Ko-g),濁川(Ng),駒ヶ岳h1(Ko-h1)らの降下テフラが存在するが,ここでは不整合で欠き,Ko-dに覆われる土石流の下位には,4流下単位をなす厚いKo-h2火砕流堆積物と降下軽石(鹿部降下軽石・軽石流堆積物;柳井ほか,1988;隅田ほか,1987)が広く露出する.この降下軽石から上位の火砕流にかけて,炭化した立木が見られる.この炭化木は20~30kaの¹⁴C年代を示す.海食崖の基部には,駒ヶ岳岩屑なだれ堆積物が突出部を露出させる.この堆積物は駒ヶ岳の西麓から北東麓に広く分布するもので,現在山頂部にその名残を残す大成層火山の山体崩壊に由来する(勝井ほか,1989).

文献:勝井ほか(1989),隅田ほか(1987),柳井ほか(1988)

尻無川河口付近の海食崖位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『松屋崎』(室蘭4号-3);鹿部町,尻無川,砂原町。1.3,4.6,10。

English translation

1:25,000 ‘Matsuya Cape’ (Muroran sheet 4-3); Shikabe Town, Shirinashi River, Sawara Town. 1.3, 4.6, 10.

判読上の注記

地図のその他の微小文字は判読不明。

尻無川河口の露頭スケッチとKo-h2降下軽石中の炭化樹幹
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図中文字(日本語)

Ko-a,Ko-c1,Ko-c2,砂丘,くるみ坂岩屑なだれ堆積物,Ko-d,新期土石流堆積物,Ko-d flow,Ko-d fall,古期土石流堆積物,Ko-h2 flow,Ko-h2 fall,炭化樹幹(埋没林),駒ヶ岳岩屑なだれ堆積物。写真内に文字なし。

English translation

Ko-a; Ko-c1; Ko-c2; dune; Kurumizaka debris-avalanche deposits; Ko-d; younger debris-flow deposits; Ko-d flow; Ko-d fall; older debris-flow deposits; Ko-h2 flow; Ko-h2 fall; charred tree trunks (buried forest); Komagatake debris-avalanche deposits. No lettering within the photograph.

図 尻無川河口付近の露頭スケッチ

写真 Ko-h2降下軽石中の炭化樹幹

HK-32 函館周辺に分布する後期更新世のテフラ層 ―津軽海峡函館沖から噴出した銭亀女那川テフラ―

山縣耕太郎

北海道南部函館市街東方の海岸に沿う台地は,銭亀沢火砕流堆積物(瀬川,1980)と呼ばれる角閃石に富む白色非溶結の火砕流堆積物からなる.一方,亀田半島の東端に位置する恵山火山周辺には女那川降下火山灰が記載された(中川,1961).両者は別々のテフラ層と考えられていたが,山縣ほか(1989)によって一連の噴火によって噴出されたテフラであることが確かめられた.さらには,さらに東方の日高沿岸地域から十勝平野にかけて分布している日高降下軽石堆積物(春日井ほか,1978)とも対比され,銭亀女那川テフラ(Z-M)と命名された.本露頭は,銭亀沢火砕流堆積物と女那川降下火山灰の関係が確認できる数少ない露頭の一つである.礫層と粘土層の上に厚さ80cmの淘汰の良い粗粒降下軽石があり,その上を火砕流堆積物が直接覆っている.両堆積物の境界には土壌も浸食の痕跡も認められない.この地点で降下軽石は,軽石の粒径変化から4つのユニットに分けられる.この4つのユニットは,降下軽石のみが分布する恵山付近では7つユニットのうちの下部4ユニットに対比される.上部3ユニットは火砕流と同時に噴出したことがわかる.戸井町女那川の漁協前の露頭では,この7つのユニットが,よく観察できる.また,この露頭ではZ-Mの下位に灰白色ガラス質火山灰の洞爺テフラ(Toya)が認められ,ToyaとZ-Mの間の火山灰土中からAso-4のガラスが検出された.Z-Mの給源については,降下軽石堆積物の層厚および粒径,および火砕流堆積物中の岩片の大きさの変化,さらに海底地形から函館市東部汐泊川河口沖約2.5kmの津軽海峡海底と推定された.また,その噴出年代は¹⁴C年代値や他のテフラとの層序関係,河成段丘との関係から最終氷期の前半で,33~45kaの間に入ると考えられる.このテフラの詳しい岩石記載的特徴や対比の根拠,分布,給源については山縣ほか(1989)を参照されたい.

文献:春日井ほか(1978),中川(1961),瀬川(1980),山縣ほか(1989)

小安の露頭位置図と子安・女那川のテフラ層序対比柱状図
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図中文字(日本語)

位置図:2.5万分の1『汐首』(函館2号-2),小安町,高屋川,58,27,4.8。柱状図の地点名:子安,女那川。標尺:0,1,2m。層名:Toya。凡例:降下軽石堆積物;火砕流堆積物;降下火山灰;褐色火山灰土;シルト層;礫層。画像の本文片は本文に収録。

English translation

Location map: 1:25,000 ‘Shiokubi’ (Hakodate sheet 2-2); 小安 Town; 高屋 River; 58, 27, 4.8. Column localities: 子安, 女那川. Scale: 0, 1, 2m. Bed label: Toya. Legend: Pumice-fall deposits; pyroclastic-flow deposits; ash fall; brown volcanic-ash soil; silt bed; gravel bed. The body-text fragment included in the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

本文の地名は小安,柱状図は子安と印刷されている。

HK-33 渡島半島西岸の海岸砂丘とテフラ

遠藤邦彦・鈴木正章・藤井亨

渡島半島の日本海側には,特に上ノ国(かみのくに),江差から厚沢部(あっさぶ)川付近に至る海岸低地から海岸段丘上にかけて,海岸砂丘がよく発達する.砂丘は新砂丘,旧砂丘,場所により古砂丘が識別される(Endo,1986).これにはクロスナ層と共に白頭山苫小牧(B-Tm),駒ヶ岳d(Ko-d),渡島大島a(Os-a)等のテフラが鍵になる.

本露頭の一帯には,標高約50mの海岸段丘(大森,1975の大澗(おおま)面)上にのり上げた海岸砂丘がよく露出する.道路面から15m程の高さの砂丘堆積物は,挟在する複数の黒色土壌(クロスナ層)によって細分される.露頭の下部には褐色ローム層(陣屋ローム層)がありクロボク土壌(他の地点で約7kaの年代を示す;遠藤ほか,1989b)で覆われる.クロボクを覆って比較的締まった旧砂丘があり,厚さ30cmのクロスナ層(旧期;Ho)に覆われる.クロスナ層(Ho)の上部に厚さ4cmの淡褐灰色細粒火山灰層,B-Tmがほぼ連続的に挟まる.Hoの上位には,新砂丘(Dy-1,2,3)が厚さ10mで見られるが,その中部にはKo-dが5~8cmの厚さで薄い土壌層(新期クロスナ層)を伴って挟まれる.その上位の新砂丘(Dy-3)中には暗灰色火山灰の小パッチが2層をなして断続する.これらは渡島大島の1741~1742年の噴火に由来する降下火山灰層(Os-a;Katsui et al.,1981)である可能性が強い.なお,B-Tmの年代は,町田ほか(1981)により800~900年前とされたが,この地域を含む北海道では直上直下の¹⁴C年代から1,700年前と2,100年前の間と求められている(遠藤ほか,1989a,b;鈴木,1992).このような有意な差を如何に理解するか課題となっている.

文献:Endo(1986),遠藤ほか(1989a,b),Katsui et al.(1981),町田ほか(1981),大森(1975),鈴木(1992)

江差町田沢の砂取場の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『江差』(函館13号-2・4);田沢町,尾山町,おみなろ学園,岩,7.1,76,4.8。

English translation

1:25,000 ‘Esashi’ (Hakodate sheets 13-2 and 13-4); Tazawa Town, Oyama Town (尾山町), Ominaro School (おみなろ学園), rock, 7.1, 76, 4.8.

判読上の注記

地図のその他の微小文字は判読不明。

大澗面上の完新世砂丘,クロスナ層,B-Tm,Ko-d,Os-aのスケッチと露頭写真
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図中文字(日本語)

標尺(m):0,5,10,15。層名(上から):新砂丘III,Os-a,Ko-d,クロスナ層(新期),新砂丘II,B-Tm,クロスナ層(旧期),旧砂丘,クロボク,陣屋ローム層。図と写真両方にOs-a,Ko-d,B-Tmの対応線。

English translation

Scale (m): 0, 5, 10, 15. Bed labels, top to bottom: Younger dune III; Os-a; Ko-d; kurosuna bed (younger); younger dune II; B-Tm; kurosuna bed (older); older dune; kuroboku soil; Jinya Loam. Os-a, Ko-d, and B-Tm are linked between the sketch and photograph.

図と写真 大澗面上に乗り上げた完新世砂丘とテフラ

HK-34 日高山脈・七ッ沼カールのアウトウォッシュ堆積物に含まれる恵庭aテフラ

小野有五

本露頭は小野・平川(1975a)によって発見され,記載された.日高山脈で氷河堆積物中から初めて見出された鍵テフラであり,これによって,トッタベツ氷期の氷河前進期が初めて明らかになった重要な露頭である.露頭の北の崖は河床より約15mで,堆積物の層相から上部層(A)と下部層(B)に分けられる.青灰色の砂がちのマトリックスをもつ上部層には不鮮明ながら水平に近い層理が見られ,トッタベツ亜氷期(小野・平川,1975b)のアウトウォッシュと考えられた.下部層はより粘土質のマトリックスをもち,ポロシリ亜氷期のグランド・モレーンと解釈された.上部層の下限より約3.5mの層準には恵庭aテフラ(En-a)が約20cmの厚さで上部層を構成する砂とクロスラミナをつくり,水成で堆積したことを示しているEn-aの粒子は最大直径2~3mmであり,黄褐色のゴマシオ状を呈し,十勝平野で見られるAW型(風送水中堆積タイプ)のEn-aに酷似している.En-aの年代は,この露頭の発見当時,15~20kaと考えられていた(春日井ほか,1968)が,その後,梅津(1986)により約18kaの年代が与えられた.En-aを含む上部層が,トッタベツ亜氷期のモレーンの下流側に接続するように見えることから,この年代は,トッタベツ亜氷期の氷河拡大期を与えるものと考えてよいであろう.

文献:春日井ほか(1968),小野・平川(1975a,1975b),梅津(1986)

七ッ沼カールの露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『幌尻岳』(夕張岳8号-2);戸蔦別岳,七ッ沼カール,1959,1753,1766。

English translation

1:25,000 ‘Poroshiri-dake’ (Yubari-dake sheet 8-2); Tottabetsu-dake (戸蔦別岳); Nanatsunuma Cirque; 1959, 1753, 1766.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

上部アウトウォッシュAと下部グランド・モレーンB,En-aを示す矢印を付した露頭全景
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図中文字(日本語)

写真内:A,B。白矢印:En-aのクロスラミナが発達する部分。破線:上部層と下部層の境界。

English translation

Within photograph: A, B. White arrow: Area of developed En-a cross-lamination. Dashed line: Boundary between the upper and lower beds.

露頭全景 A:上部層(トッタベツ亜氷期のアウトウォッシュ),B:下部層(ポロシリ亜氷期のグランド・モレーン).白い矢印はEn-aのクロスラミナが発達する部分.

3.東北地方

TH-1 津軽半島屏風山砂丘のパラボラ砂丘

遠藤邦彦

津軽半島の西岸に沿って南北にわたる屏風山砂丘は,山田野層,館岡層,出来島層よりなり(小貫ほか,1963;遠藤・辻,1977),白頭山苫小牧テフラ(B-Tm),姶良Tnテフラ(AT),洞爺テフラ(Toya)等の広域テフラが発見されている(白石,1987;辻・遠藤,1978;町田・新井,1992).その中部から北部にかけては更新世末期の古砂丘や完新世の旧砂丘,新砂丘が発達し,特に日本では最も顕著なパラボラ砂丘を形成する.顕著な冬の季節風のもとで東西に細長く伸びた風食凹地を取り巻くヘアピン状のパラボラ砂丘は,一般に比高20~30m,2~3kmもの長さに及ぶ.現在では人工改変のため元の地形の保存は悪くなった.パラボラ砂丘は主に新砂丘からなり,その下に旧砂丘と古砂丘が埋もれている.

この露頭は車力(しゃりき)小学校グランド裏の人工の崖で,古砂丘の上に旧砂丘・新砂丘が発達する.新砂丘はパラボラ砂丘のアームからヘッドの部分にあたる.古砂丘は5~10m以上の厚さで,その上部は褐色を帯びほぼ並行するチリメン状のラミナを示し,よく締まっている.古砂丘(Dp)は70cmの厚さの褐色ローム層と厚さ40cmの黒色土壌層に覆われる.南側の露頭ではその上位に旧砂丘(Do)がのるが,この露頭では厚さ6~8mの新砂丘(Dy)が直接覆う.新砂丘の砂層の基底部に淡褐灰色細粒火山灰が厚さ2~3cmのレンズ状をなして挟まれる.これはバブルウォール・タイプの火山ガラスに富むB-Tmである.新砂丘砂層の基底部にB-Tmが挟まれ,またB-Tmは場所により薄い土壌層に覆われる(新期クロスナ層)ことから,B-Tm降下後,恐らく多少の時間を置いて,最も活発な新砂丘の形成,すなわちパラボラ砂丘の形成が一気に進んだものと考えられる.

文献:遠藤(1987),遠藤・辻(1977,1978),小貫ほか(1963),町田・新井(1992),白石(1987)

車力の位置図,B-Tmを含む砂丘柱状図と拡大図,新砂丘と古砂丘の写真
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『車力』(青森11号-3);車力,形池,32.6,55.2,7.3。柱状図:標尺m,0,5,10,15;新砂丘,古砂丘。拡大図:標尺m,8,9;B-Tm,黒土層,褐色ローム層。写真注記:新砂丘,古砂丘。画像中の本文片は本文に収録。

English translation

Map: 1:25,000 ‘Shariki’ (Aomori sheet 11-3); Shariki; 形 Pond; 32.6, 55.2, 7.3. Column: Scale m, 0, 5, 10, 15; younger dunes; ancient dunes. Enlarged detail: Scale m, 8, 9; B-Tm; black soil bed; brown loam. Photograph annotations: Younger dunes; ancient dunes. The body-text fragment within the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

写真 車力小学校グランド裏の砂丘露頭

TH-2 青森県西津軽郡出来島海岸における後期更新世~完新世の泥炭層とテフラ

辻誠一郎

屏風山砂丘を突っ切って出来島の集落から西海岸に出ると,北も南も緩やかに弧を描く七里長浜が続く.各所に大きな露頭が認められるが,南方の鰺が沢に向かっては露頭は明るい褐色から青灰色を呈しているのに対して,北方に向かっては全般に黒色を呈している.これは層相の違いを反映したもので,南方には海成の砂層からなる山田野層およびより下位の第三紀層が露出し,北方には後期更新世~完新世の泥炭層が露出するからである.すなわちこの海岸に露出する堆積物は,北落ち南上がりの傾動運動を示している.

出来島から海岸に沿って1.7km北上すると,泥炭からなる真っ黒な露頭が現れ始める.このあたりの泥炭層は層相と内容物の明瞭な違いによって下部と上部に大きく分けることができ,下部は館岡層,上部は出来島層と命名された(遠藤・辻,1977;辻・遠藤,1978).館岡層は褐色の泥炭からなり,ゴマ粒のようなミツガシワの種子を多量に含んでいる.出来島層の泥炭は黒色で,最下部は粘性のある分解質な泥炭からなるが,中・上部では砂が混ざるのがふつうで,風成の砂丘砂が指交することが多いので,館岡層と出来島層の境界は明瞭である.

館岡層の褐色泥炭の下部には,立株を含む夥しい木材化石群が含まれ,さらに北方へ約1km追跡することができる.これは放射性炭素年代によって約25kaと見積もられた後期更新世の大規模な埋没林である.鈴木三男・能城修一両氏によれば,カラマツ属とトウヒ属が大半を占めるという.この約10~15m上位に,厚さ約2cmの白色火山ガラスからなる姶良Tnテフラ(AT)が挟在する.陸上で発見されたATの北限地である.

文献:遠藤・辻(1977),辻・遠藤(1978)

出来島北方の泥炭層露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『菰槌』(青森11号-4);大滝沼,ベンセ沼,23.9,12.5,20,15。

English translation

1:25,000 ‘菰槌’ (Aomori sheet 11-4); Otaki Pond (大滝沼); Bense Pond (ベンセ沼); 23.9, 12.5, 20, 15.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

出来島層と館岡層を示す海食崖の泥炭・埋没林の露頭
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図中文字(日本語)

出来島層;館岡層。

English translation

Dekijima Formation; Tateoka Formation.

津軽西海岸,出来島北方の泥炭層露頭.下部の館岡層の中部にはトウヒ属などからなる埋没林を挟在,この約10cm上位をATが覆う.

TH-3 青森県三内丸山遺跡 ―縄文文化展開期の巨大集落―

辻誠一郎

三内丸山遺跡は青森市街から約3km南西に位置する.八甲田山系から続く緩やかな丘陵・台地の先端部にあたり,また沖館川の河岸段丘面上に位置しており,平らな台地全体に広がりをもつ巨大な集落遺跡である.集落は円筒下層初頭から円筒上層末期までの土器形式まで連続的に堪忍されるので,約5.5kaあるいは5kaから約4kaあるいは3.5kaまでの約1,500年間,すなわち縄文前期初頭から中期末までの長期間営まれたことになる.2年間の出土遺物は青森県埋蔵文化財調査センターが過去20年間に発掘調査で得た量に匹敵するほど膨大である.このように,三内丸山遺跡の特徴は「大きい」,「長い」,「多い」の3つの簡単なキーワードで表現される(岡田,1995).

三内丸山遺跡が第四紀学において注目されるのは,集落を営むための開発・土地改変が大規模でかつ多様であったこと,資源利用とりわけ植物資源利用が多様であったこと,単に開発と資源利用だけでなく交易による物流が盛んであったことなどである.このことは大量の土壌の削剥と移動・盛土,台地斜面から谷底における夥しい動植物残留物(あるいは廃棄物)によって知ることができる.すなわち,縄文時代における人間と環境の交渉史の時間・空間的な変化の様相を具体的に描き出す材料の宝庫なのである.

写真は中央谷と呼ぶ遺跡北部の小谷におけるトレンチの断面である.縄文前期の人々の居住が始まる前は谷底まで落葉広葉樹林であったが,居住開始とともに森林植生は無くなり,廃棄物や流出土砂などで埋積されていった様子がこの断面の堆積物の急激な変化から読み取ることができる.遺跡発掘調査は長期計画のもとに継続され,これまでの縄文文化・社会を大幅に変えていくことになるだろう.

文献:青森県埋蔵文化財調査センター(1994),岡田(1994,1995),岡田・伊藤(1995),辻ほか(1994)

三内丸山遺跡の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『青森西部』(青森8号-1);三内,沢部,沖館川,三内霊園,青森養護学校,資材工場,陸上自衛隊青森駐屯地,7.8,20。

English translation

1:25,000 ‘Western Aomori’ (Aomori sheet 8-1); Sannai; 沢部; Okidate River; Sannai Cemetery; Aomori special-needs school; materials factory; Japan Ground Self-Defense Force Aomori camp; 7.8, 20.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

中央谷トレンチの開発前木本泥炭,ブナを含む砂,開発後廃棄物とクリ塚
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図中文字(日本語)

開発後の廃棄物層;クリ塚;開発前の木本泥炭層;ブナを包含する砂層。

English translation

Refuse layer after development; chestnut mound; woody peat bed before development; sand bed containing beech.

TH-4 八戸付近の十和田テフラ群と段丘地形

町田洋

八戸北方の高館および天狗岱台地はともに海成段丘で,テフラ群に覆われ,東北地方の第四紀層序編年の模式地とされた(東北地方第四紀研究グループ,1969).段丘堆積物は薄いが,それぞれ厚いテフラ群に覆われている.このうち高館段丘(旧汀線高度約35m)は,最終間氷期(酸素同位体ステージ5e)の海進で形成されたと考えられ,また天狗岱段丘(汀線高度約60m)はステージ7に当る可能性がある.

高館段丘の模式地は旧汀線付近の見立山にある.このほかここから北方にかけての台地上にはいくつかのよい露頭がある.段丘堆積物上に載るテフラは7~8mの厚さに達し,多数の指標テフラがある.その中でとくに注目すべき更新世テフラは,下位から次のとおり.洞爺テフラ(Toya;白タフWS-13で詳しく記す),十和田アオスジテフラ(To-AP;根城段丘はこれ以上を載せる),十和田オコシテフラ(To-Ok,盛岡付近の川口テフラに対比される),十和田レッドテフラ(To-RPこれ以上のテフラを載せる河岸段丘あり),十和田合同テフラ(To-GP),十和田ビスケット1テフラ(To-BP1;大不動テフラ),十和田八戸テフラ(To-HP;後2者はWS-4-1参照).なおこれらのテフラは本段丘より低い多賀台段丘にもそっくり載るので,基底のテフラ(ザラメZP,Toyaなど)の噴出期には,海面はすでにかなり低下していたことは明らかである(町田ほか,1987).また姶良Tnテフラ(AT)や阿蘇4テフラ(Aso-4)は柱状図に示した層準に介在する.完新世テフラについてはWS-4-1参照.また著しいインボリューションは,上記のテフラ中To-GP~BP1に認められる.

高館段丘の西に接する天狗岱段丘では,上記した高館テフラ群の下位に,数枚の降下軽石層をはさむが,いずれも,名称ヌカミソなどから想像できるように著しく風化している.これよりさらに西方には,高位の七百段丘などがある.七百段丘の模式露頭は五戸町伝道寺や十和田市北股沢などにある.そこでは最下部に黒雲母を含む特徴的なテフラ(地蔵平テフラ)が観察できる(岩崎,1983).

文献:東北地方第四紀研究グループ(1969),岩崎(1983),町田ほか(1987)

見立山周辺の位置図と高館段丘堆積物上の十和田テフラ露頭写真
原著 141ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

地図:5万分の1『八戸』(八戸9号);桔梗野,長者久保,陸上自衛隊駐とん地,八戸飛行場,海上自衛隊航空隊,見立山,河原木,高館,38.5,38.4,44.3,11.7。写真:To-HP,To-BP1,To-GP,To-RP,To-OP,To-AP,Toya,高館段丘堆積物,宮内崇裕撮影。画像の本文片は本文に収録。

English translation

Map: 1:50,000 ‘Hachinohe’ (Hachinohe sheet 9); Kikyonohara (桔梗野); 長者久保; Ground Self-Defense Force camp; Hachinohe airfield; Maritime Self-Defense Force air unit; Mitateyama; Kawaragi; Takadate; 38.5, 38.4, 44.3, 11.7. Photograph: To-HP; To-BP1; To-GP; To-RP; To-OP; To-AP; Toya; Takadate terrace deposits; photograph by 宮内崇裕. The body-text fragment within the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

宮内崇裕撮影

完新世から天久岱面までのテフラ柱状図
原著 141ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

上から:完新世テフラ(省略),To-HP,AT,To-BP1,To-GP,To-RP,To-OP,To-AP,Toya・Aso-4,高館面,ヌカミソ,シロベタ,天久岱面。数値標尺なし。

English translation

Top to bottom: Holocene tephras (omitted); To-HP; AT; To-BP1; To-GP; To-RP; To-OP; To-AP; Toya · Aso-4; Takadate surface; Nukamiso; Shirobeta; 天久岱 surface. No numerical scale.

TH-5 海底に堆積した八甲田火砕流 ―青森県大釈迦―

町田洋

八甲田火砕流堆積物は八甲田山田代岱カルデラの形成に関係した,東北地方における大規模火砕流堆積物の一つである.中期更新世の少なくとも2時期に噴出したとみられている(村岡・高倉,1988).本露頭の火砕流堆積物はそのうちの第1期(古期)のもので,明らかに海に流れ込んだ火砕流の堆積構造をもつ.ここは大露頭なので方向によって様相を異にするが,大局的には次のような層序を認めることができる.崖の下部にある大規模なクロスラミナをもった浅い海の堆積物(貝化石を含む砂層が主体;大釈迦層)を整合に覆って,円磨された軽石礫と火山灰起源の砂からなる成層した厚い地層がのる.この中に2層準に亙って非溶結の火砕流堆積物がある.成層した軽石堆積物は何回かに分かれて海に流入した火砕流または降下軽石が水流によって運ばれた堆積物と考えられる.火砕流堆積物としたものは高密度の火砕流が水底に流入したもので,2層とも細粒物が欠如した特徴のある層相をなす.この特色はこの北東方向の青森市鶴ヶ坂の火砕流堆積物でも同様にみられる.全体として南東方向に傾いているが,これは大釈迦層のなす背斜構造の東翼に当るためであろう.

この火砕流堆積物はカリウム・アルゴン法やフィッション・トラック法で0.5~0.7Maと測年されている(村岡・高倉,1988;高島ほか,1990).その岩石記載的特性は町田・新井(1992)にあるように輝石流紋岩質であるが,より新しいとされる第2期の八甲田火砕流堆積物ときわめてよく似る.

文献:町田・新井(1992),村岡・高倉(1988),高島ほか(1990)

新大釈迦トンネル上の採石場位置図
原著 142ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

5万分の1『青森西部』(青森8号);奥羽本線,新大釈迦トンネル,大釈迦川,大釈迦,外崎山開拓,98.5,74.0,55.9。

English translation

1:50,000 ‘Western Aomori’ (Aomori sheet 8); Ou Main Line; Shin-Daishaka Tunnel; Daishaka River; Daishaka; 外崎山 settlement; 98.5, 74.0, 55.9.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

貝化石砂層を覆う成層軽石・火山灰と二層の八甲田火砕流堆積物の露頭スケッチ
原著 142ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

標尺:0,30m。火砕流堆積物;水底に堆積した軽石・火山灰(黄色の砂礫層);テフラを含まない含貝化石砂層。

English translation

Scale: 0, 30m. Pyroclastic-flow deposits; pumice and volcanic ash deposited on the water bottom (yellow sand-and-gravel beds); shell-bearing sand without tephra.

TH-6 北上山地の山麓緩斜面堆積物 ―最終氷期の北上山地中部における斜面形成―

檜垣大助

北上山地中部・北部には主に氷期の寒冷気候下で形成された山麓緩斜面が分布する.本露頭は国道法面に出現したもので,最終氷期前半に形成された川内段丘面(Higaki,1988)の背後に続く山麓緩斜面の構造から斜面形成期が把握された.斜面堆積物は図に示すI,II,IIIの3層に分かれる.I層は,川内段丘より一段高い段丘砂礫層(図中のA)を覆う粘板岩角礫層で,礫の長軸が斜面傾斜方向に良く一致するという特徴を持つ.その末端(図中G)が川内段丘の堆積頂面(図中B頂面)形成時の谷壁位置にちょうど一致するのは,閉伊(へい)川を挟んで対岸の同段丘堆積物が斜面堆積物と河成礫層の互層からなることから見て,山腹からの岩屑供給による山麓緩斜面形成と河床上昇による川内段丘面形成が同時期に生じたことを示す.II層は角礫混り粘土層で約13ka降下の秋田駒小岩井テフラ(Ak-K;図中D)(大上・土井,1978)に覆われ,最終氷期後半に堆積したものである.これら2時期は,北上川上流部での火山灰層中の化石周氷河現象形成期と対応している.一方,III層はAk-Kを覆う弱い層理のある角礫薄層と風化火山灰の互層で,約3kaの遺跡を包含する黒土層に覆われ,それ以前に堆積したものである.この層は,層厚も数m以下で,晩氷期までに山麓緩斜面の概形が形成されその表面を修飾した程度とみなされる.

文献:Higaki(1988),大上・土井(1978)

川内蝦夷窪遺跡の斜面堆積物露頭位置図
原著 143ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『陸中川内』(盛岡7号-3);川内,閉伊川,芳門,453,310.2,317.30,396,309.2,513,56。

English translation

1:25,000 ‘Rikuchu-川内’ (Morioka sheet 7-3); 川内; Hei River; 芳門; 453, 310.2, 317.30, 396, 309.2, 513, 56.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

川内段丘と山麓緩斜面のI–III層,Ak-Kと段丘礫を示す東西断面
原著 143ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

W,E;I,II,III;A,B,C,D,E,F,G。水平標尺:20,10,0m。垂直標尺:0,10,20m。(Higaki,1988)。本文による対応:A=川内段丘より一段高い段丘砂礫層,B=川内段丘堆積物,D=Ak-K,G=I層末端。C,E,Fの説明は原著本文にない。

English translation

W, E; I, II, III; A, B, C, D, E, F, G. Horizontal scale: 20, 10, 0m. Vertical scale: 0, 10, 20m. (Higaki, 1988). Correspondences stated in the text: A, terrace sand and gravel one level above the 川内 Terrace; B, 川内 terrace deposits; D, Ak-K; G, toe of bed I. C, E, and F are not defined in the original body text.

(Higaki,1988)

TH-7 北上川上流域における化石周氷河現象 ―酸素同位体ステージ2,6のインボリューション―

澤口晋一

本露頭は,道路拡幅工事の終了に伴って露頭全面が植被されたが,基盤岩を覆う約6~7mの厚さのテフラ層中に,上位から秋田駒柳沢(Ak-Y;12ka),秋田駒小岩井(Ak-K;13ka),滝沢第1,第2スコリア層(T1S,T2S),川口パミス(Kw),石花第1スコリア(Is1S),洞爺(Toya;90~120ka),石花第2スコリア(Is2S),四十四田第1,第2スコリア(S1P,S2P),横道沢パミス(YkP)など広域テフラを含む指標テフラ層が確認されるとともに,形成期の異なる化石周氷河現象が現れた.露頭左上部に位置するT1S層はスコリア粒が散在する程度であるため層の乱れを認識できないが,その下位のT2S層には,上位の暗色帯(BS2;CiCr1)を巻き込んで数カ所に横臥褶曲状の構造が生じている.これらの変形構造は,その形成層準,形態とも前項のスケッチとほとんど同様であることから,化石ソリフラクションローブであることは明らかである.下図の範囲ではT2S層のつくる褶曲の段差は30~40cm程度であるが,スケッチ範囲外(斜面下方)には段差が1mにおよぶ褶曲もみられることから,約20kaを中心とする時期には,地表形態としても明瞭なローブ地形が形成されていたことは疑いない.いずれにせよ,本地域では斜面に堆積したテフラ層中に化石ソリフラクションローブがみられ,平坦地に波高1mにおよぶインボリューションが高い出現率で現れることを考えると,この時期,本地域には裸地や草地が広がり,好条件下のみに森林が疎らに成立するといった環境であった可能性が高い.なお,最終氷期前半に相当するテフラ層は欠落している.一方,露頭の中部層準には層厚約5cmのToyaが挟まれる.この下位には,層厚30~50cmの顕著なクラック帯を介してIs2S,S1P,S2P,YkPが堆積する.インボリューションはこのうちS1P,S2P層に生じているが,変形規模はS2Pとすぐ上位の暗色帯(露頭右側の斜線部)で特に大きく,最大波高1mにおよぶ個所もある.変形状態からS2PのインボリューションはS1Pの降下直前頃に形成された可能性がある.層位関係からみて,Toyaの直下に位置するクラック帯は最終間氷期(酸素同位体ステージ5)の埋没土壌である可能性が高いことから,これらのインボリューションは最終氷期以前の氷期(恐らくステージ6)に形成されたと考えられる.このステージのインボリューションの記載例は現時点では少なく不明点も多いが,この場所以外でもS1P,S2P相当層準とみられる複数枚のパミス・スコリア層に変形が生じていることが多い.場所によっては,最終氷期後半に形成された最大級のインボリューションに匹敵する変形規模を示すこともある.参考までにこれまで筆者が北上川上流域で観察したステージ6のインボリューションの現存露頭の位置を一部示しておく.

日戸・横道沢付近の露頭位置図
原著 144ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『鷹高』(盛岡14号-1);桂沢,横道沢,上日戸,岩洞第一発電所,465,519,404.2。

English translation

1:25,000 ‘鷹高’ (Morioka sheet 14-1); Katsurazawa; Yokomichizawa; Upper Hinoto; Gandō No. 1 power station; 465, 519, 404.2.

判読上の注記

地図のその他の微小文字は判読不明。

T2SとBS2のソリフラクションローブとToya下位の変形層を示す露頭スケッチ
原著 144ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

SE,NW;Ak-Y,Ak-K,BS2,T1S,T2S,Kw,Is1S,Toya,Is2S,S1P,S2P,YkP,Bedrock。垂直標尺m:0,1,2,3,4,5,6,7。水平標尺:0,5,10,15。

English translation

Original lettering: SE, NW; Ak-Y; Ak-K; BS2; T1S; T2S; Kw; Is1S; Toya; Is2S; S1P; S2P; YkP; Bedrock. Vertical scale m: 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7. Horizontal scale: 0, 5, 10, 15.

TH-7(続き)

文献:遠藤(1977),井上ほか(1981),大上・土井(1978),大上ほか(1980),澤口(1992)

ステージ6のインボリューションが現存する外野沢・雌子,大渡周辺の位置図
原著 145ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

上図:2.5万分の1『沼宮内』(盛岡13号-1);外野沢,雌子,318,284,309,271。下図:2.5万分の1『陸中南山形』(盛岡9号-4);大渡,455,567,561,685。黒四角で露頭を表示。

English translation

Upper map: 1:25,000 ‘Numakunai’ (Morioka sheet 13-1); 外野沢; 雌子; 318, 284, 309, 271. Lower map: 1:25,000 ‘Rikuchu-Minami-Yamagata’ (Morioka sheet 9-4); 大渡; 455, 567, 561, 685. Black squares indicate exposures.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

S1P・S2Pと暗色帯の大規模な変形を示す露頭スケッチの続き
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図中文字(日本語)

NE;T2S;S1P;S2P。水平標尺:20,25,30,35m。

English translation

NE; T2S; S1P; S2P. Horizontal scale: 20, 25, 30, 35m.

TH-8 北上低地西縁活断層系の露頭 ―逆断層の走向方向の露頭―

渡辺満久

本露頭では,逆断層を走向方向に観察できた.ゆるく波打つ断層面の上方には,中期更新統の志和層(三ツ沢川層)と,これを不整合に覆う段丘礫層が見られる.段丘礫層は,最終氷期後半に堆積したと考えられている(L1面構成層;渡辺,1991).志和層が段丘礫層上に衝上しているため,断層面の下位にも段丘礫層が現れている.断層面は西南西へ30°前後傾斜している.

露頭の右手(北)では,トレンチ壁面で見るように,断層面と露頭とが斜交しているため,変位様式がわかる.志和層には,ひきずりによる変形が認められる.断層面直下の腐植層の¹⁴C年代は,8,220±130yr B.P.(TK-878)である.この腐植層は段丘面上に発達した土壌であると考えられ,その上に段丘礫層が衝上している.したがって,約8ka以後にこの活断層が活動したと考えられる.なお,花巻温泉~志和周辺の北上低地帯西縁の逆断層は,最終氷期後半以降に少なくとも2回活動しており,最新のEventは約6,000年前以降に発生していることが明らかにされている(粟田,1988;渡辺ほか,1993).

文献:粟田(1988),渡辺(1991),渡辺ほか(1993)

石鳥谷町の逆断層露頭位置図
原著 146ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『花巻温泉』(盛岡16号-3);小屋場,瀬川,大瀬川,133,133.8,122,170。

English translation

1:25,000 ‘Hanamaki Hot Springs’ (Morioka sheet 16-3); 小屋場; Segawa; Osegawa; 133, 133.8, 122, 170.

判読上の注記

地図のその他の微小文字は判読不明。

志和層の衝上と腐植層の年代を示す露頭北側スケッチ
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図中文字(日本語)

原図英文:L1 Terrace Gravel(2か所),Shiwa Formation,Talus,Fault Plane,N。N38°W 28°S;N30°W 38°S;8220±130(TK878)。原PDFの水平目盛:60,40,20。

English translation

Original English lettering: L1 Terrace Gravel (twice); Shiwa Formation; Talus; Fault Plane; N. N38°W 28°S; N30°W 38°S; 8220±130 (TK878). Horizontal ticks visible in the original PDF: 60, 40, 20.

L1段丘礫上の志和層と断層面を示す露頭南側スケッチ
原著 146ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

原図英文:S,L1 Terrace Gravel(2か所),Shiwa Formation。N14°W 29°W。垂直標尺m:0,5,10。水平標尺:100m,80,60。

English translation

Original English lettering: S; L1 Terrace Gravel (twice); Shiwa Formation. N14°W 29°W. Vertical scale m: 0, 5, 10. Horizontal scale: 100m, 80, 60.

TH-9 岩手山北東山麓に分布するテフラ層 ―岩手,十和田火山起源のテフラと広域テフラ―

土井宣夫

本露頭はテフラ群からなる丘陵地の断面で岩手山起源の更新世中~後期テフラの模式地である.露頭では下位より外山(SoVA),渋民(SiVA),分(わかれ)(WVA)の各火山灰を観察できる.SoVAは露頭中間部の斜交関係で下部と上部に2分され,多数のスコリア層,軽石層を介在する(大上・土井,1978;大上ほか,1980).このうち特徴的な石花第3スコリア(Is3S),新田第1スコリア(Sn1S),岩手四十四田第2・第1軽石(IW-S2P,S1P),同大更第1スコリア(IW-Ob1S;土井,1990),同石花第2・第1スコリア(IW-Is2S,Is1S),同水沢スコリア(IW-MS)が観察できる.Is2Sの上位のSoVA上部中に葉の木谷地第2白色火山灰(Hn2WA,洞爺テフラ;Toya)が,IW-MSの上位に葉の木谷地第1白色火山灰(Hn1WA,阿蘇4テフラ;Aso-4)がある.露頭中央には,層厚約30cmの橙色等粒状の十和田川口軽石(To-K;土井,1990)と上位の岩手加賀内第3~1スコリア(IW-K3S,K2S,K1S)がみられる.その上位には,層厚約80cmの白色の岩手雪浦軽石(Iw-Y),Iw-Yを挟み成層した黒色火山砂,橙色軽石からなる岩手生出黒色火山灰(IW-Od)がある(土井,1991).さらに上位に,岩手滝沢第2,第1スコリア(IW-T2S,T1S)がのる.IW-T2Sの上位に十和田大不動火砕流堆積物(To-Of;土井,1993),姶良Tnテフラ(AT),IW-T1Sの上位に十和田八戸火砕流堆積物(To-H),岩手平笠岩屑なだれ堆積物薄層部(IW-HDA;土井,1989),十和田a火山灰(To-a),岩手刈屋スコリア(IW-KS;土井,1990)がある.To-Kより上位がSiVA,To-Hより上位がWVAである.

文献:土井(1989,1990,1991,1993),土井・新井(1987),町田ほか(1981,1985,1987),大上・土井(1978),大上ほか(1980),佐瀬ほか(1995),早田(1989),張ほか(1994)

好摩新田の岩手山テフラ模式露頭位置図
原著 147ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『渋民』(盛岡13号-2);葉ノ木谷地,新田,花,袋,256,276,217。

English translation

1:25,000 ‘Shibutami’ (Morioka sheet 13-2); 葉ノ木谷地; Shinden; 花; 袋; 256, 276, 217.

判読上の注記

地図のその他の微小文字は判読不明。

外山・渋民・分火山灰の多数の指標テフラと岩屑なだれを示す1978年露頭スケッチ
原著 147ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

W,E。岩手-滝沢第2スコリア(IW-T2S);岩手-滝沢第1スコリア(IW-T1S);十和田-大不動火砕流堆積物(To-Of);岩手-平笠岩屑なだれ堆積物(IW-HDA);十和田-八戸火砕流堆積物(To-H);分火山灰(WVA);渋民火山灰(SiVA);岩手-生出黒色火山灰(IW-Od);岩手-雪浦軽石(Iw-Y);岩手-加賀内第1スコリア(IW-K1S);同第2(IW-K2S);同第3(IW-K3S);十和田-川口軽石(To-K);岩手-水沢スコリア(IW-MS);岩手-石花第1スコリア(IW-Is1S);葉の木谷地第1白色火山灰のある層準(Hn1WA)(Aso-4),但しこの部分では現在のところ未確認;外山火山灰(SoVA)上部;葉の木谷地第2白色火山灰(Hn2WA)(Toya);岩手-石花第2スコリア(IW-Is2S);岩手-大更第1スコリア(IW-Ob1S);岩手-四十四田第1軽石(IW-S1P);岩手-四十四田第2軽石(IW-S2P);外山火山灰(SoVA)下部;新田第1スコリア(Sn1S);石花第3スコリア(Is3S)。

English translation

W, E. Iwate-Takizawa No. 2 scoria (IW-T2S); Iwate-Takizawa No. 1 scoria (IW-T1S); Towada-Ofudo pyroclastic-flow deposits (To-Of); Iwate-Hirakasa debris-avalanche deposits (IW-HDA); Towada-Hachinohe pyroclastic-flow deposits (To-H); Wakare volcanic ash (WVA); Shibutami volcanic ash (SiVA); Iwate-Oide black volcanic ash (IW-Od); Iwate-雪浦 Pumice (Iw-Y); Iwate-加賀内 No. 1 scoria (IW-K1S), No. 2 (IW-K2S), and No. 3 (IW-K3S); Towada-Kawaguchi Pumice (To-K); Iwate-Mizusawa scoria (IW-MS); Iwate-石花 No. 1 scoria (IW-Is1S); horizon containing 葉の木谷地 No. 1 white ash (Hn1WA) (Aso-4), but not yet confirmed in this part; upper 外山 volcanic ash (SoVA); 葉の木谷地 No. 2 white ash (Hn2WA) (Toya); Iwate-石花 No. 2 scoria (IW-Is2S); Iwate-Obuke No. 1 scoria (IW-Ob1S); Iwate-Shijushida No. 1 pumice (IW-S1P); Iwate-Shijushida No. 2 pumice (IW-S2P); lower 外山 volcanic ash (SoVA); Shinden No. 1 scoria (Sn1S); 石花 No. 3 scoria (Is3S).

岩手県岩手山北東山麓に分布するテフラ層 1978年時点の露頭スケッチである.現在は露頭手前に木が育っている.

TH-10 北上川上流域における化石周氷河現象 ―化石ソリフラクションローブと古環境―

澤口晋一

本現象は,主に岩手・秋田駒ヶ岳両火山を給源とするテフラ層の露頭に現れている.テフラ層中には,岩手生出(Iw-Od;35ka)~秋田駒柳沢(Ak-Y;12ka)までの各指標テフラが挟まれる.また,秋田駒小岩井(Ak-K),および滝沢第1,第2スコリア(T1S,T2S)のすぐ下位にはクラックを伴う暗色帯が存在し,このうちBS1の¹⁴C年代が14,730±280yr B.P.,BS2(SiCr1)中には姶良Tnテフラ(AT;22~25ka)が混在する.図をみると,Iw-Od層は25°の傾斜で斜面に平行に堆積しているが,BS3(SiCr2)から上位のBS1までの厚さ2~3mの部分に顕著な乱れが生じている.この部分のスコリア層(T1S,T2S)は,暗色帯を下敷きに斜面下方に向かってたたみ込まれた横臥褶曲状の構造や,波状の変形など複雑な歪みを示している.個々の褶曲の長さは1~2m,褶曲がつくる段差は1m前後以下である.このような堆積構造の乱れは,斜面に堆積しつつあるテフラが斜面上をマスとして塑性流動したことを示しており,現成のソリフラクションローブの縦断面形態と全く同じであることから,過去の寒冷気候下で形成されたその化石形態と判断される.各テフラ層の変形状態から,ソリフラクションローブの主形成期は,BS2層生成以降の約20kaからBS1層生成直後の15ka頃までと推定される.ソリフラクションローブは草地か裸地の斜面にしか形成されないことから,上記期間この地域に密な森林は成立していなかった可能性が高い.

文献:大上・土井(1978),澤口(1992)

生出付近のソリフラクションローブ露頭位置図
原著 148ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『渋民』(盛岡13号-2);古河川原,244,323.3,272。画像の本文片は本文に収録。

English translation

1:25,000 ‘Shibutami’ (Morioka sheet 13-2); 古河川原; 244, 323.3, 272. The body-text fragment included in the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

T1S・T2Sと暗色帯の褶曲を示すソリフラクションローブ断面
原著 148ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

SW,NWN,NE;KSc,Ak-Y,Ak-K,T1S,T2S,BS1,AT,BS2(SiCr1),BS3(SiCr2),Iw-Od。垂直標尺m:0,2,4,6,8。水平標尺m:0,2,4,6,8,10,12,14。

English translation

SW, NWN, NE; KSc; Ak-Y; Ak-K; T1S; T2S; BS1; AT; BS2 (SiCr1); BS3 (SiCr2); Iw-Od. Vertical scale m: 0, 2, 4, 6, 8. Horizontal scale m: 0, 2, 4, 6, 8, 10, 12, 14.

TH-11 胆沢台地の中期更新世テフラ

渡辺満久

胆沢台地の河成段丘面は,高位のものからT面群・H面群・M面群・L面群に大別される(渡辺,1991).本露頭では,T2面構成層とこれを覆うテフラ,および段丘礫層の基盤構成層を観察できる.T2面は,下位よりA2P(荒屋敷第2軽石)・A1P・A0P,H2P(萩森第2軽石)・Hn4P(日向第4軽石)・Hn3P・H1P・Hn2P・Hn1Pの示標テフラに覆われる(テフラの名称は大上・吉田,1984による).

上記の示標テフラの内,比較的広範囲に分布するのは,H2PとHn1Pである.H2Pの層厚は最大2mに達し,石質岩片の量が少ないシャーベット状の軽石層である.そのほぼ中央部にガラス・細粒軽石から成る部分がある.H2Pは鬼首周辺まで追跡されており,平泉軽石層(HrP;早田,1989)と呼ばれ,中期更新世の段丘面の対比において重要なテフラである.Hn1Pは複数のunitに分けられ,北上低地帯の南部一帯に広範に分布する.上部のunitには数mm大の黒曜石が含まれており,122.9±15.1kaのフィッション・トラック年代測定値が得られている(大上ほか,1986).なお,胆沢台地の示標テフラには多量の高温型石英が含まれるが,とくにHn4Pには数mm大の高温型石英がザラメ状に多量に含まれる.

文献:大上・吉田(1984),大上ほか(1986),早田(1989),渡辺(1991)

衣川村の中期更新世テフラ露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『古戸』(一関14号-4);張山,小路,150,79。画像の本文片は本文に収録。

English translation

1:25,000 ‘古戸’ (Ichinoseki sheet 14-4); 張山; 小路; 150, 79. The body-text fragment included in the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

Hn1P,H2P,A1P,A2Pと段丘礫の露頭写真
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図中文字(日本語)

Hn1P,H2P,A1P,A2P,gravel。

English translation

Original English lettering: Hn1P; H2P; A1P; A2P; gravel.

T2段丘礫と九枚の指標軽石層の柱状図
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図中文字(日本語)

標尺:0,5,10m。上から:土壌,Hn1P,Hn2P,H1P,Hn3P,Hn4P,H2P,クラック,A0P,A1P,A2P,シルト,段丘礫層(T2面),基盤。

English translation

Scale: 0, 5, 10m. Top to bottom: Soil; Hn1P; Hn2P; H1P; Hn3P; Hn4P; H2P; cracks; A0P; A1P; A2P; silt; terrace gravel (T2 surface); substrate.

TH-12 岩手県秋田駒ケ岳東山腹に分布するテフラ層 ―秋田駒ケ岳火山起源のテフラ―

土井宣夫

本露頭は1992年に和知剛氏(現アジア航測)により発見された秋田駒ケ岳完新世テフラ(分火山灰)の模式露頭である.本露頭に行くには国道46号線竜川・荒沢合流点から国見温泉に向かう旧国道を入り,荒沢橋手前で小柳沢に向かう林道に入る.赤倉沢を越えた後,分岐する林道を左折して下シズノ沢最上流まで林道を登り続ける(2.5万分の1地形図はこの林道を途中まで記載).林道は下シズノ沢を渡って約500m先で行止まる.露頭は林道から下シズノ沢を150mほど登った右手(東側)である.本地点は残雪が長く残るため観察できる期間は7月から10月である.観察できるのは渋民火山灰(SiVA)最上部から十和田八戸火砕流堆積物(To-H)より上位の分火山灰(WVA)の大部分である.ただしテフラが斜面に堆積したため再堆積物が挟在し地滑りによる変形もある.To-Hより上位に秋田駒ケ岳小岩井軽石(Ak-K;再堆積),同柳沢軽石(Ak-Y;変形),同荒沢軽石(Ak-AP),同堀切軽石(Ak-HP)とこれより上位の秋田駒ケ岳起源の3層のスコリアと2層の白色水蒸気爆発堆積物がある.付近の林道沿いの小露頭でこれらより上位の秋田駒ケ岳起源の2層のスコリアと十和田aテフラ(To-a)が観察され,これでWVAの全層序となる.Ak-Yなど数層準に火山豆石がある(和知ほか,1993).なお岩手山完新世テフラ(WVA)の模式露頭は滝沢村の岩手山馬返し登山口駐車場切割(N39°49′52″ E141°02′34″)である(土井ほか,1986).主なテフラの名称は大上・土井(1978),Inoue(1980),和知ほか(1993)による.

文献:土井ほか(1986),Inoue(1980),大上・土井(1978),和知ほか(1993)

下シズノ沢の秋田駒ケ岳テフラ模式露頭位置図
原著 150ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『秋田駒ヶ岳』(秋田2号-3);2.5万分の1『国見温泉』(秋田2号-3);荒沢,1064,109[判読不明]。

English translation

1:25,000 ‘Akita-Komagatake’ (Akita sheet 2-3); 1:25,000 ‘Kunimi Hot Springs’ (Akita sheet 2-3); Arasawa; 1064; 109[illegible].

判読上の注記

上側の標高109…の末尾とその他の微小文字は判読不明。

原図の二つの地図名の号番号はともに秋田2号-3と印刷。

下シズノ沢の軽石,スコリア,白色水蒸気爆発堆積物と再堆積層を示す露頭スケッチ
原著 150ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

N,S;2m。テフラの二次堆積物(礫まじり);秋田駒ケ岳-下位の白色水蒸気爆発堆積物;秋田駒ケ岳-上位の白色水蒸気爆発堆積物;秋田駒ケ岳-堀切軽石(Ak-HP);下シズノ沢;秋田駒ケ岳-荒沢軽石(Ak-AP);火山豆石;渋民火山灰(SiVA);十和田-八戸火砕流堆積物(To-H);秋田駒ケ岳-小岩井軽石(Ak-K);秋田駒ケ岳-柳沢軽石(Ak-Y)。凡例:黒色砂状火山灰,スコリア,軽石・スコリア,軽石,黒色土,風化帯,細粒火山灰,火山豆石。

English translation

N, S; 2m. Reworked tephra deposits (with gravel); Akita-Komagatake lower white phreatic-explosion deposits; Akita-Komagatake upper white phreatic-explosion deposits; Akita-Komagatake-Horikiri Pumice (Ak-HP); 下シズノ沢; Akita-Komagatake-Arasawa Pumice (Ak-AP); accretionary lapilli; Shibutami volcanic ash (SiVA); Towada-Hachinohe pyroclastic-flow deposits (To-H); Akita-Komagatake-Koiwai Pumice (Ak-K); Akita-Komagatake-Yanagisawa Pumice (Ak-Y). Legend: Black sandy volcanic ash; scoria; pumice and scoria; pumice; black soil; weathered zone; fine ash; accretionary lapilli.

岩手県秋田駒ケ岳東山腹に分布するテフラ層 スケッチ 1995年時点の露頭状況である.

TH-13 秋田県大湯における毛馬内火砕流と十和田aテフラ ―八郎太郎伝説が示唆する十和田湖噴火災害―

町田洋

秋田県鹿角盆地にある大湯環状列石で知られる遺跡は,大湯川左岸の十和田八戸火砕流堆積物の台地上に位置する.ここでは縄文後期遺物包含層を覆う火山灰土の上部に降下軽石十和田a(To-a)がみられる.このテフラはここから台地の崖を覆って這い降り,大湯川(米代川上流)沿いの比高10mの低い段丘の基部へつづく.この段丘はこの降下軽石を時間間隙なしに覆う火砕流堆積物からなっている.これは毛馬内火砕流堆積物と呼ばれたもので,灰白色の軽石,火山灰からなる.これを砂礫層が覆う.こうした軽石・火山灰質の堆積物からなる低い段丘は米代川沿いに延々と続き,大館,鷹巣各盆地を過ぎて河口の能代平野まで80kmに亙ってみられる.十和田湖噴火によってごく短時間に米代川河床が埋ったことが明らかである.この段丘堆積物から出土する古代の家屋は昔から知られており,大館,鷹巣の盆地を中心に現在まで50棟近い数にのぼる.平山・市川(1966)はこの地方に伝わる「八郎太郎伝説」を地質学的に解釈し,平安時代に十和田湖が噴火し,シラス洪水が集落を埋めたことを述べた.堆積物の層相や埋没家屋の破壊程度が小さいこと,鷹巣町胡桃館遺跡出土の家屋の木材がほとんど炭化していないことなどからみて,毛馬内から下流では火砕流堆積物ではなく,水流と混合して火山泥流が発生し,河口まで到達したものと思われる.

To-aに始まり毛馬内火砕流を噴出し,米代川流域に大災害をもたらした十和田湖の噴火は,考古学的事実と埋没家屋木材の年輪年代,そして「出羽の国火山灰降る・・」という記録などからAD915年夏に起ったと考えられる(町田ほか,1980;奈良国立文化財研究所,1990).

文献:平山・市川(1966),町田ほか(1980),奈良国立文化財研究所(1990)

大湯遺跡と大湯川沿いの露頭位置図,毛馬内火砕流写真,To-aが崖を覆う断面図
原著 151ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

位置図:2.5万分の1『毛馬内』(弘前3号-3);関上,大川原,大湯環状列石,大湯川,139.6,154.0,183,128。写真注記:毛馬内火砕流堆積物。断面図:m a.s.l.,130,140,150,160,170,180;大湯遺跡,遺物包含層,十和田八戸火砕流堆積物,To-a,毛馬内火砕流堆積物(pfl)。画像の本文片は本文に収録。

English translation

Location map: 1:25,000 ‘Kemanai’ (Hirosaki sheet 3-3); 関上; Okawara; Oyu Stone Circles; Oyu River; 139.6, 154.0, 183, 128. Photograph annotation: Kemanai pyroclastic-flow deposits. Section: m a.s.l.; 130, 140, 150, 160, 170, 180; Oyu site; artifact-bearing layer; Towada-Hachinohe pyroclastic-flow deposits; To-a; Kemanai pyroclastic-flow deposits (pfl). The body-text fragment in the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

TH-14 秋田県男鹿半島の海成下・中部更新統

白石建雄・的場保望

本露頭は男鹿半島南岸,脇本西方の生鼻(おいばな)崎から西にのびる海食崖に見られる大露頭で,北浦層とその上位に整合に重なる脇本層が露出している.両層とも砂泥互層からなり,多数の火山灰層が挟まれている.この露頭は松山クロンとブリュンヌクロンの境界を含み,第四紀層位学的に非常に重要である.露頭の海側には舗装道路が通っており,道路と崖とは土砂流出防止のためのコンクリート壁と金網で隔てられている.露頭下半部は崖錐により埋積されているが,そのことが逆に露頭面への接近を容易にしている.ただし露頭面は崩落が激しく,落石に対する十分な注意が必要である.

北浦層と脇本層の境界は研究者によって異なる.ここでは藤岡ら(藤岡,1973;藤岡ほか,1973)にしたがい,凝灰質砂岩層の上面とした(北里,1975).すなわち北浦層中の砂岩層は凝灰質であるが,脇本層中のものは非凝灰質である.両層は長い間新第三系であると考えられていた.しかし,微化石層位学と古地磁気層位学を併用した北里(1975)の研究によって,北浦層最下部を除く主部以上は更新統であることが明らかになった.この結論は石灰質ナンノ化石を用いた層位学的研究(佐藤ほか,1988)でも支持されている.

生鼻崎西方の海食崖位置図
原著 152ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『船越』(男鹿1号-2);生鼻崎,百崎,68.9,91,117.5,92,109。

English translation

1:25,000 ‘Funakoshi’ (Oga sheet 1-2); Oibana Cape; 百崎; 68.9, 91, 117.5, 92, 109.

判読上の注記

地図のその他の微小文字は判読不明。

北浦・脇本層の海食崖断面,火山灰鍵層と古地磁気・有孔虫記録の西側部分
原著 152ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

W。水平標尺:200m,100,0。垂直標尺:0,50m。火山灰鍵層:OH-3,OH-4,OH-5,Hm1,OT06,OT07,OT08,OT09,OH-6,OT10,OT11(Hm4),OT12(Hm3),OT13(Hm2),OT14(Hm1),OT15,OH-7,OH-1,OH-2,OT16,OT17,OT18(Oz5),OT19(Oz3),OT20。注:Oz1~5,Hm1~7は北里(1975)の火山灰鍵層。原図英文:Matuyama Reversed Epoch。下段の学名はNeogloboquadri…で次頁に続く。

English translation

W. Horizontal scale: 200m, 100, 0. Vertical scale: 0, 50m. Ash-marker beds: OH-3; OH-4; OH-5; Hm1; OT06; OT07; OT08; OT09; OH-6; OT10; OT11 (Hm4); OT12 (Hm3); OT13 (Hm2); OT14 (Hm1); OT15; OH-7; OH-1; OH-2; OT16; OT17; OT18 (Oz5); OT19 (Oz3); OT20. Note: Oz1–5 and Hm1–7 are the ash-marker beds of 北里 (1975). Original English: Matuyama Reversed Epoch. The genus at the bottom ends ‘Neogloboquadri…’ and continues on the next page.

判読上の注記

図は次頁の東側断面・凡例・学名へ続く。

TH-14(続き)

北浦層は層厚700~1,400mの厚い海成層であるが,本露頭にはほぼ上半部が露出している.この北浦層上部の中で古地磁気極性は下部から上部へと逆磁極帯から正磁極帯へ移化している.これらはそれぞれ松山クロン,ブリュンヌクロンに対比されている(北里,1975;佐藤ほか,1988).また,松山磁極帯上部の正磁極帯はハラミヨサブクロンに対比されていたが,佐藤ほか(1988)は石灰質ナンノ化石基準面との層位関係にもとづいてCobb Mountainサブクロンに対比し,ハラミヨサブクロンに対比される磁極帯は断層によって欠けているとした.この正磁極帯をはさんで下部から上部へと,浮遊性有孔虫Neogloboquadrina pachydermaは比較的暖流のタイプの右巻きから寒流のタイプの左巻きへ量的に大きく変化している.また,底生有孔虫は脇本層もふくめて現在の日本海の上部漸深海(水深200~1,000m)に分布している群集からなる(的場,1992).

文献:藤岡(1973),藤岡ほか(1973),北里(1975),的場(1992),佐藤ほか(1988)

生鼻崎の東側断面,北浦・脇本層境界,ブリュンヌ正磁極帯と有孔虫巻方向を示す図
原著 153ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

E,生鼻崎;OT21(Oz2),OT22,OH-1,OT23,OT24,OT25,OT26(Oz1),OT27,OT28,OT29,OT30,OT31,OT32,OT33,OB-1,OB-2,OB-3,OB-4,OB-5,OB-6。北浦層;脇本層。標尺:0,50,100m。原図英文:Brunhes Normal Epoch。学名の右側部分:…na pachyderma(前頁のNeogloboquadri…に続く)。左巻;右巻。凡例:1シルト岩,2砂泥互層,3細互層,4砂岩層,5厚砂岩層,6礫岩,7シルト岩ブロック,8火山灰。

English translation

E; Oibana Cape; OT21 (Oz2); OT22; OH-1; OT23; OT24; OT25; OT26 (Oz1); OT27; OT28; OT29; OT30; OT31; OT32; OT33; OB-1; OB-2; OB-3; OB-4; OB-5; OB-6. Kitaura Formation; Wakimoto Formation. Scale: 0, 50, 100m. Original English: Brunhes Normal Epoch. Right-hand portion of the scientific name: ‘…na pachyderma,’ continuing ‘Neogloboquadri…’ on the preceding page. Sinistral coiling; dextral coiling. Legend: 1 siltstone; 2 sand–mud alternations; 3 thin alternations; 4 sandstone beds; 5 thick sandstone beds; 6 conglomerate; 7 siltstone blocks; 8 volcanic ash.

判読上の注記

図はPDF173ページの西側部分から続く。

図の岩相凡例:

番号 岩相
1 シルト岩
2 砂泥互層
3 細互層
4 砂岩層
5 厚砂岩層
6 礫岩
7 シルト岩ブロック
8 火山灰

TH-15 秋田県男鹿半島の海成上部更新統(潟西層)と広域テフラ

白石建雄・的場保望

男鹿半島北東部には潟西段丘とよばれる海成段丘が広く分布している.潟西層はこの潟西段丘の段丘構成層で,露頭のある段丘東縁はその模式地である.潟西層団体研究グループ(1983)によると,この模式地における潟西層は樽沢砂部層,角間崎泥部層,松木沢砂礫部層,本内砂部層に細分されている.これら各部層のうち,角間崎泥部層は樽沢砂部層上に,そして本内砂部層は松木沢砂礫部層上にそれぞれ整合に重なる.また,角間崎泥部層と松木沢砂礫部層は指交関係にあると推定されている.

樽沢露頭(地点1)は樽沢砂部層の模式露頭である.この露頭では海成含礫砂層からなる樽沢砂部層上に角間崎泥部層が重なる.この角間崎泥部層の基底から約4m上位の層準には生物擾乱作用を受けた層厚10cmの白色細粒火山灰が挟まれている.町田ほか(1987)はこの火山灰を洞爺テフラ(Toya)と同定した.

福米沢露頭(地点2)は比高4~5mの小露頭であり,本内砂部層の無層理砂層からなる.この砂層の上面が潟西段丘の段丘面である.段丘面下約3.4mの層準には三瓶木次テフラ(SK)由来の,黄橙色をし,よく円磨された中礫大の漂流軽石が含まれている(白石ほか,1992).またこのSK上位70cmの層準には御岳第1テフラの可能性がある火山灰薄層が存在している(白石ほか,1992).

文献:潟西層団体研究グループ(1983),町田ほか(1987),白石ほか(1992)

樽沢・福米沢の位置図と柱状図,潟西層の部層関係とToya・SK漂流軽石の層序図
原著 154ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

位置図:地点1,地点2,樽沢,福米沢,花。2.5万分の1『寒風山』(男鹿1号-1)(上下2回);2.5万分の1『大潟』(深浦4号-1・2)。数値64,12,51.8,61,21,3.8。柱状図:地点1,Toya,角間崎泥部層,潟西層,樽沢砂部層;地点2,SK,本内砂部層,潟西層。標尺m:0,5。層序図:層序,潟西層,本内砂部層,SK漂流軽石,角間崎泥部層,松木沢砂礫部層,Toya,釜谷地相,樽沢砂部層,先潟西層。凡例:風化土壌,泥流堆積物,火山灰,漂流軽石,泥,砂,礫,ラミナ,生痕。画像の本文片は本文に収録。

English translation

Location maps: Site 1; site 2; 樽沢; 福米沢; 花. 1:25,000 ‘Kanpuzan’ (Oga sheet 1-1), shown twice; 1:25,000 ‘Ogata’ (Fukaura sheets 4-1 and 4-2). Values: 64, 12, 51.8, 61, 21, 3.8. Columns: Site 1; Toya; Kakumazaki Mud Member; Katanishi Formation; 樽沢 Sand Member. Site 2; SK; 本内 Sand Member; Katanishi Formation. Scale m: 0, 5. Stratigraphic diagram: Stratigraphy; Katanishi Formation; 本内 Sand Member; SK rafted pumice; Kakumazaki Mud Member; Matsukizawa Sand and Gravel Member; Toya; 釜谷地 facies; 樽沢 Sand Member; pre-Katanishi deposits. Legend: Weathered soil; mudflow deposits; volcanic ash; rafted pumice; mud; sand; gravel; laminae; trace fossils. The body-text fragment in the image is transcribed and translated in the main text.

判読上の注記

位置図のその他の微小文字は判読不明。

角間崎泥部層と松木沢砂礫層の層位関係(指交関係)とToyaおよびSK漂流軽石の層準

TH-16 宮城県鬼首に認められる後期更新世テフラ層 ―鳴子火山起源のテフラと広域テフラ―

八木浩司

本露頭は,宮城県北西部に分布する更新世後期のテフラを観察できる,1989年当時最も良好な露頭である.鬼首(おにこうべ)において,反時計回りに流れる江合川の最上流部に分布する細粒堆積物を切る露頭である.細粒砂~粘土層からなる細粒堆積物中に4枚のガラス質の水中堆積テフラが挟まれる.観察できるテフラは,洞爺テフラ(Toya),御岳第1テフラ(On-Pm 1),鳴子荷坂テフラ(Nr-N),阿蘇4テフラ(Aso-4)である.Toyaは,露頭基部から約4m上に位置し,層厚約8cmの白色火山灰である.Toyaの上約80cmには,層厚約4cmのOn-Pm 1が認められる.On-Pm 1の上約40cmには,層厚約4cmで基部に火山豆石をともなった白色火山灰層としてNr-Nが,そしてさらに約120cm上位に,桃白色のAso-4が層厚約5cmで観察できる.岩相記載の詳細については,八木・早田(1989)を参照されたい.なお本露頭は,林道法面として当時存在した.しかし,その後,新道建設のために旧道は廃棄されたため,基部は崩落物質で埋積されつつある.

文献:八木・早田(1989)

鬼首・北滝南西の露頭位置図
原著 155ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

北滝沢;485;581;550;539。2.5万分の1『鬼首』(新庄8号-2)。黒矢印は露頭位置。

English translation

Kitataki-sawa (北滝沢); 485; 581; 550; 539. 1:25,000 ‘Onikobe’ (Shinjō sheet 8-2). The black arrow marks the outcrop.

水中堆積したToya,On-Pm 1,Nr-N,Aso-4を示す鬼首の露頭写真
原著 155ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

W;E。上からAso-4,Nr-N,On-Pm 1,Toya。1989年8月撮影。

English translation

W; E. From top to bottom: Aso-4, Nr-N, On-Pm 1, Toya. Photographed in August 1989.

TH-17 鳴子カルデラから噴出した中規模火砕流堆積物群と降下テフラ

早田勉

東北脊梁山地内の鬼首(おにこうべ)盆地に源を発する江合川は,佐沼丘陵と岩出山丘陵の間を貫き,大崎平野を潤した後に北上川にそそぐ.これらの丘陵は,おもに鳴子火山や鬼首火山など第四紀カルデラから噴出した多くの火砕流堆積物から構成されている(北村ほか1981;早田,1989).火砕流堆積物の間には,多くの降下テフラ層を挟む火山灰土の堆積が認められる.江合川左岸の岩出山町安沢周辺では,これらのテフラのうち中期更新世後半以降に堆積した降下テフラ層や火砕流堆積物をよく観察することができる.本露頭では,中期更新世に噴出した下山里火砕流堆積物(Smfl)の上位に,岩出山軽石(IwP)や曲坂火山灰(MgA)と呼ばれる降下テフラを含む火山灰土を挟んで,約64~73kaに鳴子カルデラから噴出した鳴子荷坂テフラ層(Nr-N)が認められる.ここでは下部の降下火山灰層(N₂)と上位の荷坂火砕流堆積物(N₃)から構成されている.露頭の西寄りには,N₂の直下に泥炭層が認められる.この泥炭層については,花粉や材化石の分析が行われており,後期更新世前半の植生に関する資料が得られている(鈴木・竹内,1989).露頭位置図の■地点では,約41~63kaに鳴子火山から噴出した鳴子柳沢テフラ層(Nr-Y)をよく観察することができる.ここでは,下部の最大径29mmに達する火山豆石を多く含む乳白色細粒火山灰層と,その上位に非溶結で桃色の火砕流堆積物が認められる.この火砕流堆積物の最上部は橙色に風化しており,下部と同様に吹抜けパイプ構造が認められるほか,褐色の火山豆石も含まれている.

文献:北村ほか(1981),早田(1989),鈴木・竹内(1989)

安沢の露頭と鳴子柳沢テフラの観察地点を示す位置図
原著 156ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

上野目;安養寺;砂田;安沢;山際;104;118;86;77。2.5万分の1『荒谷』(仙台1号-2)。黒矢印:本露頭。■:本文に記載するNr-Yの観察地点。

English translation

上野目; 安養寺; 砂田; 安沢; 山際; 104; 118; 86; 77. 1:25,000 ‘荒谷’ (Sendai sheet 1-2). Black arrow: the present outcrop. ■: the Nr-Y observation site described in the text.

Smfl,N₃P,MgA,IwP,N₂,N₃の関係を示す露頭スケッチ
原著 156ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

左部:N₃,N₂。中央:IwP,MgA,N₃P,Smfl。右部:N₂,N₃。

English translation

Left: N₃, N₂. Center: IwP, MgA, N₃P, Smfl. Right: N₂, N₃.

TH-18 日本列島最古?の石器文化―宮城県築館町高森遺跡―

早田勉 原著 157ページ

編集注:公開版で削除された項目
この項目の本文は、日本第四紀学会の公開PDFから意図的に削除されている。2000年11月に発覚した前・中期旧石器捏造事件に関連する刊行物を調査した2005年の学会会告は、この項目を関連度B(密接に関わった分析にかかわるもの)に分類し、該当資料を旧石器時代研究の資試料として利用してはならないと判断した。公開版はこの判断に基づいて当該項目を削除している。本校訂・翻訳版では、原著目次に残る項目名とページ番号を示し、削除の経緯を明記する。削除された本文は復元していない。
出典:学会の公開版説明、『第四紀通信』12巻3号(2005年)、15–16ページ。この注記は本版で追加したもので、1996年の原著本文ではない。

TH-19 日本における前期旧石器文化の確認―宮城県座散乱木遺跡・馬場壇A遺跡―

早田勉 原著 158ページ

編集注:公開版で削除された項目
この項目の本文は、日本第四紀学会の公開PDFから意図的に削除されている。2000年11月に発覚した前・中期旧石器捏造事件に関連する刊行物を調査した2005年の学会会告は、この項目を関連度A(直接内容に言及しているもの)に分類し、該当資料を旧石器時代研究の資試料として利用してはならないと判断した。公開版はこの判断に基づいて当該項目を削除している。本校訂・翻訳版では、原著目次に残る項目名とページ番号を示し、削除の経緯を明記する。削除された本文は復元していない。
出典:学会の公開版説明、『第四紀通信』12巻3号(2005年)、15–16ページ。この注記は本版で追加したもので、1996年の原著本文ではない。

TH-20 新しく発見された単成火山―宮城県安達火山―

早田勉 原著 159ページ

編集注:公開版で削除された項目
この項目の本文は、日本第四紀学会の公開PDFから意図的に削除されている。2000年11月に発覚した前・中期旧石器捏造事件に関連する刊行物を調査した2005年の学会会告は、この項目を関連度C(直接ではないが関連して言及するもの)に分類し、該当資料を旧石器時代研究の資試料として利用してはならないと判断した。公開版はこの判断に基づいて当該項目を削除している。本校訂・翻訳版では、原著目次に残る項目名とページ番号を示し、削除の経緯を明記する。削除された本文は復元していない。
出典:学会の公開版説明、『第四紀通信』12巻3号(2005年)、15–16ページ。この注記は本版で追加したもので、1996年の原著本文ではない。

TH-21 蔵王火山五色岳の噴出物

井村隆介

蔵王火山は東北日本の脊梁山脈上に位置する活火山である.蔵王火山周辺に分布するテフラについては,これまでに中川ほか(1960,1961),村山(1966,1972),板垣ほか(1981),三枝・庄子(1984),今田・大場(1985)などの研究がある.

蔵王火山のテフラは鍵層になりやすい軽石やスコリアに乏しく,大部分が青灰色ないし濃灰色の火山砂層からなる.これらの火山砂層は固くしまっているために,古くから農業上の障害として,「青磐」,「青石」,「猿岩」,「磐々」などと呼ばれてきた.観察地点では,柱状図に示すように,5枚の火山砂層が認められる.これらの火山砂層には,不明瞭な成層構造が見られることが多く,それぞれは何回かの小規模噴火の繰り返しによって堆積したものと考えられる.しかし,個々の火山砂層中に腐植層は認められないので,これらの火山砂層は1回の噴火エピソードを示していると言える.

井村(1994)は,それまで累層単位で区分されてきたこれらの火山砂層を蔵王遠刈田火山砂層群と呼び,下位よりZ-To1~To5と名付けた.蔵王川崎スコリア(Za-Kw;板垣ほか,1981)は,Z-To2噴火エピソード中に起こった準プリニー式噴火にともなうものである(井村,1994).井村(1994)は,この露頭周辺で見られる火山砂層と山頂部の地質の関係を調べて,Z-To1~4は五色岳の噴出物,Z-To5は御釜の噴出物であると考えた.Za-Kwは山体に追跡すると,蔵王エコーラインの駒草平周辺で厚さ10m程度のアグルチネイト(馬の背火口噴出物;千葉,1961)となる.Za-Kwの年代は,その下位の礫層から得られた木片の¹⁴C年代から30~25kaと考えられてきた(板垣ほか,1981)が,観察地点ではZ-To3の上位から姶良Tnテフラ(AT)が見いだされるので,その年代は従来よりも古くなる可能性が高い.

文献:千葉(1961),今田・大場(1985),井村(1994),板垣ほか(1981),村山(1966,1972),中川ほか(1960,1961),三枝・庄子(1984)

土浮山の位置図と蔵王遠刈田火山砂層群の柱状図
原著 160ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

位置図:土浮山;309;313。2.5万分の1『遠刈田』(仙台8号-3)。柱状図:m;0;2m。上からZ-To5,Z-To4,AT,Z-To3,Z-To2,Za-Kw,Z-To1。観察地点柱状図(原PDFの図直下)。

English translation

Location map: 土浮山; 309; 313. 1:25,000 ‘Togatta’ (Sendai sheet 8-3). Columnar section: m; 0; 2 m. From top to bottom: Z-To5, Z-To4, AT, Z-To3, Z-To2, Za-Kw, Z-To1. Columnar section at the observation site (printed immediately below the figure in the source PDF).

観察地点柱状図

TH-22 山形県月山の高山土壌に介在する完新世広域テフラ層

苅谷愛彦

月山の森林限界以高には,埋没黒泥層を伴う土壌(高山湿草地土・高山草原土)が広く分布する.これらの土壌に挟まれるガラス質テフラ層は,月山亜高山帯での土壌生成史や斜面発達史の編年に有効である(苅谷,1994a,1994b,1995;Kariya et al., 1996).本露頭は大雪城雪渓北田の下方にあり,テフラ層が良好に観察できる場所の一つである.ここでは十和田a(To-a),十和田中掫(To-Cu)両テフラが肉眼で認められる.またTo-Cuの約5cm下位に鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)のバブル型火山ガラスの密集層準がある.さらに,■地点(苅谷,1994a,1995;Kariya et al., 1996)では,埋没黒泥層の下位の砂礫層から浅間草津テフラ(As-K)または浅間板鼻黄色テフラ(As-YP)に由来すると思われる火山ガラス片が検出された.To-aとTo-Cuは他の地点でも比較的よく観察できるが,K-Ahは条件のよい場所でのみ肉眼識別が可能であり,As-K(As-YP)は連続採取試料の洗浄処理により初めて検出が可能である.他の地点のテフラの産状と特徴は関連文献を参照されたい.なお本露頭で採取した土壌試料の花粉分析が最近試みられている(宮本・苅谷,1996).本露頭とその周辺は例年7月~10月に観察可能だが,残雪期・濃霧時には道を見失いやすいので注意されたい.また試料採取には関係機関の許可が事前に必要である.

文献:苅谷(1994a,1994b,1995),Kariya et al.(1996),宮本・苅谷(1996),Stuiver and Reimer(1993)

月山南東斜面の露頭と浅間テフラ検出地点を示す位置図
原著 161ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

月山;月山神社;頂上小屋;胎内岩;鍛冶小屋;1979.5;1767;1798;1816;1650。2.5万分の1『月山』(仙台13号-4)。矢印:本露頭。■:本文の浅間テフラ検出地点。

English translation

Gassan; Gassan Shrine (月山神社); summit hut; 胎内岩; 鍛冶小屋; 1979.5; 1767; 1798; 1816; 1650. 1:25,000 ‘Gassan’ (Sendai sheet 13-4). Arrow: the present outcrop. ■: the Asama-tephra detection site described in the text.

月山高山土壌中のTo-a,To-Cu,K-Ahと暦年補正年代を示す断面図
原著 161ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

NNW;SSE;縦横各10cm。To-a;1,870cal yr BP (N-6687);腐植を含むローム質土層;砂礫層;2,960cal yr BP (N-6688);埋没黒泥層;To-Cu;K-Ah;埋没泥炭層;砂礫層。図下注の下縁は抽出画像で切れるが原PDFでは全文を確認:1993年7月記載/土壌試料の¹⁴C年代はCALIB3.0 (Stuiver and Reimer, 1993)で暦年に補正した。

English translation

NNW; SSE; horizontal and vertical scales each 10 cm. To-a; 1,870 cal yr BP (N-6687); humus-bearing loamy soil layer; sand and gravel; 2,960 cal yr BP (N-6688); buried muck horizon; To-Cu; K-Ah; buried peat horizon; sand and gravel. The lower edge of the note is clipped in the extracted image, but the full text is confirmed in the PDF: described in July 1993; the ¹⁴C ages of soil samples were calibrated to calendar years using CALIB3.0 (Stuiver and Reimer, 1993).

1993年7月記載/土壌試料の¹⁴C年代はCALIB3.0(Stuiver and Reimer, 1993)で暦年に補正した

TH-23 山形県肘折尾花沢テフラおよび尾花沢盆地のテフラ

北村繁

山形県の尾花沢盆地にはよく発達した段丘がみられるが,高位の猿羽根面群(最上川団研グループ,1969;鈴木,1985)については,テフラをもちいた詳細な対比・編年が行われておらず,今後の研究に待つところが大きい.本露頭においては,肘折(ひじおり)尾花沢テフラ(Hj;米地・菊地,1966;早田,1989;八木・早田,1989)をはじめ,長根山面(猿羽根II′面)に堆積する複数のテフラを観察できる.Hjは肘折カルデラ(杉村,1952)から9.5~11ka(町田ほか,1984)に噴出したテフラで,本露頭では,地表のクロボク土の直下に,やや淘汰の悪い黄白色の粗粒な軽石としてみいだされる.また,Hjは,尾花沢盆地において尾花沢I面およびそれより上位の地形面を覆う(露頭位置図の■地点では,Hjが洪水粘土をはさんで尾花沢I面の段丘礫を覆っているのが観察できる).Hjの分布は東方に長く延び,軽石が給源から70km附近まで達するほか,細粒火山灰は,給源から100kmをこえる地域においても,クロボク直下の普通角閃石に富む土壌層位として見いだされる(町田・新井,1992;吉川,1979).また,本露頭では,Hjのおよそ90cm下方に,暗緑灰色のやや粗粒な火山灰が認められる.層厚30cm程度のこの火山灰は,黒雲母・カミングトン閃石を特徴的に含むが,給源・対比ともに明らかではない.また,さらにその下位には,向町カルデラ起源と推定される基質の多い軽石流堆積物が見いだされる(鈴木,1985).本露頭とは別に,露頭位置図中の●地点では,尾花沢I面の段丘礫層の上に形成された泥炭層中に,姶良Tnテフラ(AT)が見いだされている(西条・八木,1990).

文献:町田・新井(1992),町田ほか(1984),最上川団研グループ(1969),西城・八木(1990),早田(1989),杉村(1952),鈴木(1985),八木・早田(1989),米地・菊池(1966),吉川(1979)

長根山のテフラ柱状図と尾花沢盆地の露頭位置図
原著 162ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

柱状図:NE←,→SW;露頭柱状図;m;0,2,4。上からクロボク;黄白色軽石(Hj);黄褐色ローム;暗緑色粗粒火山灰(bi, cumに富む);黄褐色ローム;黄褐色軽石流堆積物(マトリックスが多い)。位置図:北町;横町;新町;中の段;藤袋;原;二藤袋;長根山;高宮農場;108.5;115.4;117;128;134;175.2;150。2.5万分の1『尾花沢』(仙台9号-1)。矢印は本露頭,■と●は本文記載の地点。地図内の橋名2箇所は[判読不明]。画像左上の本文と文献片は本文に収録。

English translation

Column: NE ←, → SW; outcrop columnar section; m; 0, 2, 4. From top to bottom: kuroboku soil; yellowish-white pumice (Hj); yellowish-brown loam; dark green coarse ash (rich in bi, cum); yellowish-brown loam; yellowish-brown pumice-flow deposit (matrix-rich). Map: 北町; 横町; 新町; 中の段; 藤袋; 原; 二藤袋; Naganeyama (長根山); 高宮農場; 108.5; 115.4; 117; 128; 134; 175.2; 150. 1:25,000 ‘Obanazawa’ (Sendai sheet 9-1). The arrow marks the present outcrop; ■ and ● mark the sites described in the text. Two bridge names on the map are [illegible]. Fragments of body text and references at upper left are included in the main text.

判読上の注記

位置図の橋名2箇所 — 文字が細かく一部潰れていて全名の確定が困難。

TH-24 飯豊山地稜線部にみられる完新世中期の広域テフラ

西城潔

飯豊山南斜面の登山道沿いに露出した,層厚50cm弱の泥炭~黒泥質土壌中には,2枚のガラス質テフラが認められる.上位のテフラは早田ほか(1988)の吾妻火山灰(Az),下位のものは鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)である(西城・小松原,1988).また前者は,十和田中掫テフラ(To-Cu)であることが,その後確認されている(早田・八木,1991).つまりここでは,To-CuとK-Ahという完新世中期の2枚の広域テフラが観察できることになる.本露頭では,To-Cuの直上およびTo-CuとK-Ahの間の土壌から,それぞれ3,930±130yr B.P.(TH-1411),5,740±170yr B.P.(TH-1412)という¹⁴C年代が得られ,テフラ同定のひとつの根拠となった(西城・小松原,1988).

本露頭におけるTo-Cuは,黄橙色で層厚1cm弱,連続性もよく,見出だすのは容易である.それに対して,その4cmほど下位に位置するK-Ahは層厚1mm程度ときわめて薄く,確認には注意深い観察を必要とする.ただし色は白色を呈するので,まずTo-Cuを確認し,次にその下位の黒色土壌中に白いスジを探す,といった手順を踏めば比較的楽に発見できよう.To-Cuは,本露頭のみでなく飯豊山地の稜線上の多くの地点で認められるが,K-Ahについては,現在までのところ他の地点では確認できていない.

文献:西城・小松原(1988),早田・八木(1991),早田ほか(1988)

飯豊山南斜面の露頭位置図
原著 163ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

飯豊山;山都町;飯豊山神社;御室小屋;877;2105;2038;2102;1767。2.5万分の1『飯豊山』(新潟5号-2)。矢印は露頭位置。上端の本文片は本文に収録。

English translation

Mount Iide; Yamato Town; Iide Shrine; 御室小屋; 877; 2105; 2038; 2102; 1767. 1:25,000 ‘Mount Iide’ (Niigata sheet 5-2). Arrow: outcrop location. The body-text fragment along the top edge is included in the main text.

To-CuとK-Ahを示す飯豊山の泥炭・黒泥質土壌の露頭写真
原著 163ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

←To-Cu;←K-Ah;K-Ah→。1987年9月撮影。

English translation

←To-Cu; ←K-Ah; K-Ah→. Photographed in September 1987.

鉱質土層,泥炭・黒泥質土壌,To-Cu,K-Ah,角礫層の柱状図
原著 163ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

cm;0;50。上から鉱質土層;泥炭―黒泥質土壌;To-Cu;K-Ah;角礫層。図直下に柱状図(西条・小松原,1988を改変)。

English translation

cm; 0; 50. From top to bottom: mineral soil layer; peaty to muck-rich soil; To-Cu; K-Ah; angular gravel. Caption immediately below: columnar section (modified from 西条・小松原, 1988).

柱状図(西条・小松原,1988を改変)

TH-25 広域テフラと一緒に発見された前期旧石器―福島市竹ノ森遺跡―

早田勉 原著 164ページ

編集注:公開版で削除された項目
この項目の本文は、日本第四紀学会の公開PDFから意図的に削除されている。2000年11月に発覚した前・中期旧石器捏造事件に関連する刊行物を調査した2005年の学会会告は、この項目を関連度B(密接に関わった分析にかかわるもの)に分類し、該当資料を旧石器時代研究の資試料として利用してはならないと判断した。公開版はこの判断に基づいて当該項目を削除している。本校訂・翻訳版では、原著目次に残る項目名とページ番号を示し、削除の経緯を明記する。削除された本文は復元していない。
出典:学会の公開版説明、『第四紀通信』12巻3号(2005年)、15–16ページ。この注記は本版で追加したもので、1996年の原著本文ではない。

TH-26 磐梯火山南東麓に分布するテフラ層 ―磐梯起源テフラと広域テフラ―

鈴木毅彦

猪苗代湖北岸に位置する磐梯火山周辺には同火山起源のテフラと広域テフラが良好に露出する.とくに猪苗代町市街北西,磐梯火山南東麓の緩斜面上にはこれらテフラの保存が良く,それらを観察できる露頭が多数存在する.ここでとり上げる葉山集落の露頭と地形図中に■で示した葉山集落北西に位置する露頭とをあわせて,これらの大半のテフラ層を観察することができる.葉山集落の露頭は未舗装の砂利道に面する駐車場脇にある.ここで最も目立つテフラは壁面中部にある層厚120cmの粗粒な降下軽石堆積物で,これは中馬・吉田(1982)のHP2に相当する.ところどころ高温酸化をうけたピンク色の軽石が認められることから,給源の磐梯火山から運搬され,あまり時間を経ないで高温のまま降下堆積したことがうかがえる.HP2の下位には15cm程度の火山灰土を隔てて径2~6cmの団塊となった黄色の細粒火山灰のかたまりが観察できる.これは御岳奈川(ながわ)テフラ(On-Ng)に対比された(鈴木ほか,1995)広域テフラである.また,その約7cm下位に阿蘇4テフラ(Aso-4;86~90ka)の層準がある.Aso-4は肉眼では不明瞭であるが室内分析でこの部分の火山灰土中には同テフラ特有の火山ガラスを豊富に含むことが確かめられる.本露頭ではHP2以上の層準は切り立っているため観察困難である.集落北西に位置する■の露頭でみるのがよく,磐梯起源のHP1や奥会津の沼沢カルデラ起源の沼沢金山テフラ(Nm-KN)を観察することができる.このほかにも磐梯周辺には良好な露頭が多い.詳細は鈴木ほか(1995)を参考にされたい.

文献:中馬・吉田(1982),鈴木ほか(1995)

葉山の露頭位置図・露頭スケッチと磐梯周辺のテフラ模式柱状図
原著 165ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

位置図:牧場;見祢山;会津藩主松平家;土津神社;葉山;諏訪前;町;葉坂;722;685;680.8;675;559。2.5万分の1『猪苗代』(福島15号-4)。矢印と■は本文記載の露頭。地図の微小な注記の一部は[判読不明]。スケッチ:SE,SW,NW;3m;HP2;On-Ng;Aso-4。模式柱状図:0,5m;HP1,HP2。上から沼沢沼沢湖テフラ(Nm-NM);浅間二口火山灰;姶良Tnテフラ(AT);大山倉吉テフラ;沼沢金山テフラ(Nm-KN);赤城追貝テフラ(Ag-OK);御岳奈川テフラ(On-Ng);阿蘇4テフラ(Aso-4)。凡例:黒ボク;火山灰土;クラック帯;軽石ラピリ;火山砂;火山シルト;発泡の悪いラピリ。鈴木ほか(1985)による。葉山集落での露頭スケッチと磐梯周辺のテフラの模式柱状図。左上に含まれる本文・文献片は本文に収録。

English translation

Map: pasture; 見祢山; Matsudaira family, lords of the Aizu domain; Hanitsu Shrine (土津神社); Hayama; 諏訪前; 町; 葉坂; 722; 685; 680.8; 675; 559. 1:25,000 ‘Inawashiro’ (Fukushima sheet 15-4). The arrow and ■ mark the outcrops described in the text. Some very small map annotations are [illegible]. Sketch: SE, SW, NW; 3 m; HP2; On-Ng; Aso-4. Schematic column: 0, 5 m; HP1, HP2. From top to bottom: Numazawa-Numazawako tephra (Nm-NM); Asama-Futakuchi Ash; Aira-Tn tephra (AT); Daisen-Kurayoshi tephra; Numazawa-Kanayama tephra (Nm-KN); Akagi-Okkai tephra (Ag-OK); Ontake-Nagawa tephra (On-Ng); Aso-4 tephra (Aso-4). Legend: kuroboku soil; volcanic-ash soil; cracked zone; pumice lapilli; volcanic sand; volcanic silt; poorly vesiculated lapilli. After 鈴木 et al. (1985). Outcrop sketch at Hayama village and schematic column of tephras around Bandai. The body-text and reference fragments at upper left are included in the main text.

判読上の注記

微小な地図注記の一部 — 画素が潰れており判読困難。

葉山集落での露頭スケッチと磐梯周辺のテフラの模式柱状図

TH-27 白河火砕流堆積物群とそれに挟在される火山灰土層 ―西郷・芦野火砕流堆積物―

鈴木毅彦

白河火砕流群は,第四紀前半に東北地方南部で繰り広げられた,一連の珪長質大規模火砕流の一部をさし,吉田・高橋(1991)により5枚の火砕流堆積物が識別されている.これらの堆積物は白河周辺の丘陵を構成し,いたるところで観察できる.ここに紹介する露頭では上から3,4枚目にあたる西郷(にしごう),芦野(あしの)の両火砕流堆積物が露出する.ともに白河火砕流堆積物群のなかでも規模の大きいものである.露頭の右側にある灰色の溶結した火砕流堆積物が西郷火砕流堆積物であり,大型の高温型石英とホルンブレンドの目立つ特徴ある岩相を示す.溶結のため火山ガラスの試料採取には向かない.必要ならば北西約1km離れた長坂(■地点;吉田・高橋(1991)の模式地)にて採取するとよい.露頭左側の部分は芦野火砕流堆積物で非溶結~弱溶結である.西郷,芦野火砕流堆積物ともに逆帯磁を示し,前期更新世に堆積したものとみられる.最近になり栃木県中部の喜連川丘陵でも見出されており(鈴木・小池,1994),北関東の第四紀編年の重要指標層になりつつある.このほか本地点では,両堆積物に挟まれる火山灰土(ローム)層が観察でき,これは複数の降下テフラを含んでおり,金勝寺降下火砕堆積物(吉田・高橋,1991)とよばれている.このような前期更新世の火山灰土が観察できる例は全国的に希である.やや固結しているものの中~後期更新世の火山灰土と同様なみかけを呈する.古い時代の火山灰土の成因,堆積環境,堆積後の風化プロセスなどを議論する上で貴重な研究対象になろう.なお,芦野火砕流堆積物の溶結部は白河石とよばれる石材として切り出されており,その採掘地は栃木県那須町寄居付近に数多くみられる.

文献:鈴木・小池(1994),吉田・高橋(1991)

白河市金勝寺と長坂の露頭位置図
原著 166ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

長坂;飯沢;金勝寺;365;361;360.0;400;353.2。2.5万分の1『白河』(白河14号-1)。矢印:金勝寺露頭。■:長坂の模式地。

English translation

Nagasaka (長坂); 飯沢; 金勝寺; 365; 361; 360.0; 400; 353.2. 1:25,000 ‘Shirakawa’ (Shirakawa sheet 14-1). Arrow: 金勝寺 outcrop. ■: Nagasaka type locality.

西郷・芦野火砕流堆積物と両者間の金勝寺降下火砕堆積物の露頭写真
原著 166ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

W;NW;N。金勝寺降下火砕堆積物;西郷火砕流堆積物;芦野火砕流堆積物。1996年6月撮影。

English translation

W; NW; N. 金勝寺 fallout pyroclastic deposits; Nishigō pyroclastic-flow deposit; Ashino pyroclastic-flow deposit. Photographed in June 1996.

4.関東地方

KT-1 那須火山の山体崩壊堆積物とそれを挟むテフラ ―御富士岩屑なだれ堆積物と外来テフラ―

鈴木毅彦

那須火山は中期更新世から完新世にかけて溶岩流の流出,降下テフラ・火砕流の噴出,山体崩壊などを繰り返してきた.那須火山麓,高久(たかく)丘陵に位置する本露頭では30~40kaの山体崩壊に由来する御富士岩屑なだれ堆積物(Ns-Of da;藤田,1988),サブ・プリニー式噴火の産物である那須大島テフラ4(Ns-Os 4;30~40ka;鈴木,1992),それに加えて外来テフラをみることができる.Ns-Of daは地表面から1~2m下に位置し,岩塊に富んだ層厚約60cmの不淘汰な堆積物である.この堆積物はりんどう湖から黒田原にかけて分布し,大小数100あまりの流れ山地形を形成している.とくに目立つものが御富士山とよばれる高まりで,この堆積物の名称の由来となっている.Ns-Of daはその層位を確認できるところは少なく,Ns-Of daを風成ローム層中に観察できる本露頭は貴重な存在である.Ns-Of daの下数10cmの火山灰土中にはNs-Os 4のスコリア粒子が散在し,その下位には赤城行川(なめかわ)テフラ(Ag-Nm)が層厚約10cmの細粒軽石層として産出する.さらにその下位120~140cmに層厚3cmの御岳第1テフラ(On-Pm 1;100ka),さらにその下位に日光満美穴(まみあな)テフラ(Nk-MaS)が観察できる.露頭が古くなりつつあるのでOn-Pm 1付近を観察するには露頭右端を多少掘り起こす必要がある(図).この他,本露頭以外で確認された大山倉吉テフラ,姶良Tnテフラの層位などからNs-Of daが30~40kaに堆積したと推定されている.この岩屑なだれ堆積物をもたらした山体崩壊により,那須火山では現在の茶臼岳を囲むようにして東側に向く,鬼面山,朝日岳,剣が峰,日の出平にかけての馬蹄形カルデラ状地形が形成されたと考えられている.

文献:藤田(1988),鈴木(1992)

千振の露頭位置図と御富士岩屑なだれ堆積物・テフラの露頭スケッチ
原著 168ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

位置図:千振;豊津;小橋;461;478;469;450;444。2.5万分の1『黒田原』(白河14号-4)。矢印は露頭位置。スケッチ:NE,SE,SW;0,3m;黒土;Ns-Of da;Ns-Os 4;Ag-Nm;On-Pm 1;Nk-MaS。1996年6月スケッチ。那須町千振でのNs-Of da露頭。画像左上の本文・文献片は本文に収録。

English translation

Map: Chifuri; 豊津; 小橋; 461; 478; 469; 450; 444. 1:25,000 ‘Kurodahara’ (Shirakawa sheet 14-4). Arrow: outcrop location. Sketch: NE, SE, SW; 0, 3 m; black soil; Ns-Of da; Ns-Os 4; Ag-Nm; On-Pm 1; Nk-MaS. Sketched in June 1996. Ns-Of da outcrop at Chifuri, Nasu Town. The body-text and reference fragments at upper left are included in the main text.

那須町千振でのNs-Of da露頭

KT-2 栃木県那須野原に分布する後期更新世テフラ-日光,赤城火山起源のテフラと広域テフラー

鈴木毅彦

地名:栃木県西那須野町東赤田(マロニエ苑前)緯度・経度:N35°54′30″ E139°58′30″標高:280m

露頭種別・現況:人工露頭,1996年6月時点現存堆積物の種別と年代:降下テフラ,更新世後期

記載時期:1992年5月キーワード:那須野原,日光起源テフラ,赤城起源テフラ,御岳第1テフラ,阿蘇4テフラ

本露頭は栃木県北部に分布する後期更新世テフラを観察できる現時点で最も良好な露頭である.那須野原において島状に取り残された河成段丘上に位置する.観察できる層準は,御岳第1テフラ(On-Pm1;100ka)直下の日光満美穴(まみあな)スコリア(Nk-MaS)以上である.Nk-MaSは露頭基部から約1m上に位置し,層厚約40cmの赤褐色スコリアからなるテフラ層である.MaS直上にはOn-Pm1があり,その上60cmには層厚約10cmの阿蘇4テフラ(Aso-4)がきわめて良好に保存されている.これは直上を覆う日光東赤田(ひがしあかだ)テフラ(Nk-Hg)に保護されたためであろう.Nk-Hg直上には御岳奈川テフラ(On-Ng)が薄層ながらところにより観察できる.これより地表かけては団塊状になった大山倉吉(DKP)や,火山灰土中の火山ガラス濃集層として姶良Tn(AT)などの広域テフラが観察できる.また,赤城追貝(おっかい)(Ag-OK),赤城行川(なめかわ)テフラ(Ag-Nm),赤城鹿沼(Ag-KP)など赤城火山起源のテフラも観察できる.このように本露頭では,北関東各地で過去に発生した火山噴火の実体を知ることができ,また,広域テフラとの層位関係をもとにそれらのおよその噴火年代を知ることができる.なお,周辺は80年代後半以降土木工事が盛んに行なわれているので,新たな露頭が出現する可能性が高い.また,露頭位置図に示した■地点(鈴木,1993に柱状図有)ではNk-MaSより下位のテフラも観察できる.

文献:鈴木(1993),鈴木ほか(1995)

東赤田の主露頭(矢印)と堀原町付近の補完露頭(■)の位置図
原著 169ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「西那須野」(日光3号-2)。堀原町、東赤田、地方競馬教養センター。標高・等高線の可読値:298、285.6、285.0、280、281.9、272。矢印:主露頭;■:補完露頭。

English translation

1:25,000 Nishinasuno sheet (Nikko sheet 3-2). Horihara-machi (堀原町); Higashiakada; Regional Horse-Racing Training Center. Legible elevations and contours: 298, 285.6, 285.0, 280, 281.9, 272. Arrow: main outcrop; ■: supplementary outcrop.

日光・御岳・阿蘇・赤城・大山起源テフラを注記した約数mの断面
原著 169ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

方位:NE、SE、SW。層名:Ag-Nm、DKP、On-Ng、Nk-Hg、Aso-4、On-Pm 1、Nk-MaS。スケール:3 m。1992年7月撮影。

English translation

Directions: NE, SE, SW. Layer labels: Ag-Nm, DKP, On-Ng, Nk-Hg, Aso-4, On-Pm 1, Nk-MaS. Scale: 3 m. Photographed in July 1992.

KT-3 北関東喜連川丘陵を覆う中~後期更新世テフラ―国内有数の古さをもつ風成テフラ層―

鈴木毅彦

喜連川(きつれがわ)丘陵は、中期更新世の初期ないしは前期更新世の末期に堆積を終了した境林礫層とよばれる扇状地礫層と、それを覆う厚さ40m以上の風成層からなる。宇都宮市の北東約30km、日光火山群の東方約40kmに位置する本露頭は、この風成層の大半を観察できる数少ない貴重な露頭である。肉眼で観察できる主要なテフラ層は、上位から男体小川(Nt-Og;20ka)、赤城鹿沼(Ag-KP;31~32ka)、赤城行川第1(Ag-Nm1)、同第2(Ag-Nm2)、大山倉吉(DKP;50ka)、阿蘇4(Aso-4;87~90ka)、赤城水沼第6(Ag-MzP6)、日光満美穴(Nk-MaS)、日光早乙女(Nk-So)、日光行川(Nk-Nm)、日光矢板(Nk-Yt)、那須野(NsP)、APm-U、高久(TkP)、真岡(MoP)、黒田原(KdP)、大田原火砕流堆積物(Ot pfl)、Nm-14、Nm-16、星の宮(HoP)、佐久山(SkP)、法師峠黒雲母(HtB)などの各テフラ層で、北関東の火山に由来するテフラから広域テフラまで様々ある。このうちNm-14、Nm-16、HtBはそれぞれ570±80、500±90、830±70kaのフィッション・トラック年代値が得られている(小池ほか、1985)。この年代値からいえば本露頭では約0.8Maから現在までほぼ連続した風成層が観察できるということになる。しかし、最近再測定されたNm-14、HtBに対するフィッション・トラック年代値はそれぞれ0.29±0.05ka、0.65±0.07kaでありかつての値より若い(鈴木ほか、1996)。いずれにしても本露頭だけで若くとも過去60万年間あまりの風成層を観察できるということであり、第四紀学上きわめて貴重な露頭といえる。

本露頭にかかわるテーマは多数ある。一つはこのような古い時代から連続した風成層がどの様な地学的背景により保存されたかである。喜連川丘陵は内陸に位置し、ほどよい程度の地殻変動、河川のふるまいなどのバランスにより侵食から取り残されたのであろうか。日本の丘陵地形の成立を議論する上でよい事例となろう。もう一つは火山灰土の成因に関する議論や、また、それのもつ諸特性と古環境変遷との関係である。中国の黄土高原では第四紀全般にわたる古気候変動がレス中に記録されていることが知られているが、はたして日本列島の広範囲を覆う火山灰土ではどうであろうか。このことを検証するためにはなるべく長期間にわたる火山灰土が保存されている地域で調査研究を行なう必要がある。そうした点で本露頭は適しており、吉永ほか(1995)により微細石英の堆積量の時間変化が測定されている。とくに本地点に近接した喜連川町早乙女では後期更新世の氷期・間氷期のサイクルと火山灰土中の微細石英の堆積速度との間に密接な関係が見出されている(吉永、1996)。このような検証のためにも各テフラ層の年代の精度・確度を高める必要があるが、現段階では先ほど述べたように、中期更新世についてはまだ充分な精度をもつ年代が得られているわけではない。このことは北関東地域のテフロクロノロジーを進めていく上でも今後の重要課題である。

芳井の丘陵中に位置する露頭を矢印で示した図1
原著 170ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

図1。2.5万分の1「佐久山」(白河16号-3)。芳井、下芳井(右端は一部切れる)、権現山。標高・等高線:169、165、227、200、223.8。

English translation

Figure 1. 1:25,000 Sakuyama sheet (Shirakawa sheet 16-3). Yoshii (芳井); Shimo-Yoshii (下芳井; partly cropped at right); Gongen-yama (権現山). Elevations and contours: 169, 165, 227, 200, 223.8.

土取場内の断面1~6、テフラ露出線、民家と道路を示す見取図
原著 170ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

断面1:MaS。断面2付近:Og、Nm、TkP、Yt、KdP。断面3:MoP。断面4:Ot.pfl。断面5:SkP、HtB。断面6:HtB。芳井方面(矢印)、犬(民家脇)、方位矢印。1995年10月現在。

English translation

Section 1: MaS. Around section 2: Og, Nm, TkP, Yt, KdP. Section 3: MoP. Section 4: Ot.pfl. Section 5: SkP, HtB. Section 6: HtB. Arrow: toward Yoshii (芳井). Dog beside house; orientation arrow. As of October 1995.

図2 露頭見取図

KT-3(続き)

露頭が大きいために、どこから観察を始めればよいかとまどうかもしれないが、以下の順番にしたがえば効率よく上位から下位まで観察できる。地表からKdPまでの層準は、北側壁面の断面1で観察できる。DKP、Aso-4、NsP、APm-Uは薄層のため探索には時間がかかるかもしれない。MoPからOt pflのやや上位の層準にかけては東側壁面(断面3)で観察できるが斜面を覆った風成層なので状況はあまり良くない。また、Ot pflまで5m程度の欠落が存在してるとみられる。この部分については本露頭から10km南南西の氏家町根本(時間経過のため植生が繁茂しつつある)で観察できる。

Ot pflからNm-14、Nm-16をへてHoPの上位1~2mまでは南西側壁面(壁面4)で観察できる。この層準には遠くから目立つテフラ層はなく、とくに下部は複数の暗色帯が発達する粘土化の進んだ火山灰土からなる。HoP以下、HtBまでは民家付近の壁面(断面5)で観察できる。風化が進んでいる何枚かの特徴的な軽石層がみられる。中でもHtBは大量の黒雲母を含むため最も認定が容易である。断面5でのHtBは露頭基部の崖錘に覆われているため、多少、掘り起こす必要がある。ここでのHtBの層厚は約10cmである。露頭面がやや傾いているため観察しにくいが、南側壁面(断面6)でもHtB付近を観察できる。ここではその下位約150cmから境林礫層があらわれる。なお、本露頭でみられるKdP以上のテフラについては鈴木(1993)に詳しく、同論文の柱状図を参考にするとよい。岩石記載学的特徴の記述もある。

文献:鈴木(1993)、鈴木ほか(1996)、小池ほか(1985)、吉永(1996)、吉永ほか(1995)

喜連川丘陵の6断面を接続した40m級のテフラ層序柱状図
原著 171ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

黒の横線は指標テフラを示す。左側スケール:0、5、10 m。

断面 上から下への可読層名
断面1 Nt-Og、Ag-KP、Ag-Nm 1、Ag-Nm 2、DKP、Ag-MzP、Nk-Hg、Aso-4、Ag-MzP 6、Nk-MaS、So、Nm、Yt、NsP、TkP
断面2 APm-U、TkP、Yg、KdP
断面3 MoP、KdP
断面4 Ot pfl、Nm-13、Nm-14、Nm-16
断面5+6 HoP、SkP、HtB、境林礫層

断面1と2、2と3、3と4、4と5+6の対応層準を線で接続。

English translation

Black horizontal bars indicate marker tephras. Left-hand scale: 0, 5, 10 m.

Section Legible layer labels, top to bottom
Section 1 Nt-Og, Ag-KP, Ag-Nm 1, Ag-Nm 2, DKP, Ag-MzP, Nk-Hg, Aso-4, Ag-MzP 6, Nk-MaS, So, Nm, Yt, NsP, TkP
Section 2 APm-U, TkP, Yg, KdP
Section 3 MoP, KdP
Section 4 Ot pfl, Nm-13, Nm-14, Nm-16
Sections 5+6 HoP, SkP, HtB, Sakaibayashi Gravel (境林礫層)

Lines connect corresponding horizons between sections 1 and 2, 2 and 3, 3 and 4, and 4 and 5+6.

図3 各壁面の柱状図

KT-4 栃木県宇都宮周辺に分布する風成テフラ層―北関東東部テフラの模式的断面―

鈴木毅彦

「関東ローム」(関東ローム研究グループ、1965)に集大成された関東のテフラ研究で、北関東で精力的調査がなされた地域の一つは宇都宮周辺である。この地域に発達する風成層は上位から田原、宝木、宝積寺ローム層と区分され、南関東の立川、武蔵野、下末吉の各ローム層にそれぞれ対比された。宇都宮付近では各ローム層中にそれぞれ顕著な指標テフラ層が含まれているが、ここでとり上げる上欠(かみかけ)の露頭とその近傍に位置する補完的な一露頭でこれら主要なテフラ層のほぼすべてを観察することができる。上欠の露頭はかつては大露頭であったが現在は西半分が集配センター、東半分が資材置場になっている。このうち資材置場脇の坂道沿いが観察ポイントとなる。地表面の1.5m下に層厚1.5mの赤城鹿沼テフラ(Ag-KP;32ka)が容易にみつかる。それより下位のテフラはやや貧弱であるので照合には鈴木(1990a)か鈴木(1993)の柱状図を参考にするとよい。目安になるのはAg-KPの下位約4mに位置する赤褐色スコリアからなる日光満美穴(まみあな)テフラ(Nk-MaS)とその170cm下のやや粗粒な軽石からなる赤城水沼第9・10テフラ(Ag-MzP9・10)である。Nk-MaS~Ag-KP間にかけては榛名八崎(Hr-HP)、赤城湯ノ口(Ag-UP)、赤城水沼第1(Ag-MzP1)など、北関東の代表的なテフラが観察できる。なお、資材置場では日光矢口テフラ(Nk-YG)付近までしか観察できない。これ以下の層準は■地点で観察でき、そこでは露頭壁面の中部に真岡(もおか)テフラ(MoP)が層厚約100cmで産出する。

注:1996年5月下旬時点で資材置場の露頭は、Ag-KP以上が削られ、壁面が大幅に後退している。

文献:阿久津(1957)、関東ローム研究グループ(1965)、鈴木(1990a、1993)

宇都宮西部の上欠町の矢印露頭と■地点を示す地形図
原著 172ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「宇都宮西部」(宇都宮1号-4)。上欠町、下中村、植木坪、根、亀岡、下街道、姿川、上欠、沓掛、荒針街道(左縁は一部切れる)。標高・等高線:143、140、126、148.2、120、114、110、105。矢印:主露頭;■:補完露頭。

English translation

1:25,000 Utsunomiya-Seibu sheet (Utsunomiya sheet 1-4). Kamikake-machi (上欠町), Shimo-Nakamura (下中村), 植木坪, 根, 亀岡, 下街道, Sugata River (姿川), 上欠, 沓掛, 荒針街道 (partly cropped at left). Elevations and contours: 143, 140, 126, 148.2, 120, 114, 110, 105. Arrow: main outcrop; ■: supplementary outcrop.

Ag-KP、Nk-MaS、Ag-MzP9・10を注記した上欠町のテフラ露頭
原著 172ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

Ag-KP(矢印)、Nk-MaS、←Ag-MzP 9・10→。1995年10月撮影。

English translation

Ag-KP (arrow); Nk-MaS; ←Ag-MzP 9 and 10→. Photographed in October 1995.

宇都宮市上欠町の風成テフラの露頭

KT-5 常磐海岸、那珂台地を構成する見和層上部層中のテフラ―最終間氷期を示す指標層―

鈴木毅彦

関東平野北東端の那珂台地は、久慈川と那珂川に挟まれた標高25~55mの北西-南東方向に伸びる広大な台地である。坂本(1972)は、この台地を構成する海成砂層を見和層上部層とよび、下末吉海進最盛期の堆積物と解釈し、台地面自体を南関東の下末吉面に対比した。しかしこの対比は地形面や海成層の下総台地への連続性によるもので、テフラなどの指標層にもとずくものではなかった。鈴木(1989)は見和層上部層の上部より3枚のテフラ層を見出し、そのうち1枚を酸素同位体ステージ(MIS)5c後半の海退期に噴出した箱根吉沢下部第7テフラ(Hk-KlP7;町田・新井、1992)に対比した。そして、それを根拠に見和層上部層が最終間氷期最盛期(MIS5e)の海成砂層であるとした。このテフラは見和中部軽石層(Miwa-M)と命名され、模式地である本露頭では層厚2cmの白色細粒軽石層として産出する。本露頭ではこのほかにこの上下にもそれぞれ5cmの白色細粒軽石層が見出され、それぞれ見和上、下部軽石層(Miwa-U、Miwa-L)と命名され、後に赤城火山起源テフラである赤城水沼第8a、9・10テフラ(Ag-MzP8a、Ag-MzP9・10)に対比された(鈴木、1990a)。いずれも砂層中に含まれるAW型テフラであり、微妙な堆積条件によってその保存状況が左右されるため、このように3枚揃って見出されることは珍しい。このような点から本露頭は那珂台地の形成年代を知る上で貴重な露頭である。

文献:町田・新井(1992)、坂本(1972)、鈴木(1989、1990a)

那珂台地の長砂における模式露頭を矢印で示す地形図
原著 173ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「常陸久慈」(水戸6号-1・3)。長砂、勝田ゴルフ場、宿、高場(地図表記「高」付近)、新原(右上、一部切れる)。等高線・標高の可読値:30、42.5。

English translation

1:25,000 Hitachi-Kuji sheet (Mito sheets 6-1 and 6-3). Nagasuna; Katsuta Golf Course; 宿; 高場 (around the map label 高); 新原 (partly cropped at upper right). Legible contour and elevation values: 30, 42.5.

判読上の注記

高場、新原 — 小さな地名文字の一部が図縁で切れており、読みに不確実性がある。

全景と2枚の拡大像で示す見和上・中・下部軽石層
原著 173ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

左拡大像:Miwa-U、Miwa-M(矢印)。右上拡大像:Miwa-L。右下全景:見和層上部層、Miwa-U、Miwa-L(矢印)。

English translation

Left close-up: Miwa-U and Miwa-M (arrows). Upper-right close-up: Miwa-L. Lower-right overview: upper member of the Miwa Formation; Miwa-U and Miwa-L (arrows).

ひたちなか市長砂での見和層上部層とその中のテフラの拡大写真

KT-6 東茨城台地地下の埋没谷を充填する河成礫中のテフラ―見和層中部層に介在する真岡テフラ―

鈴木毅彦

関東平野北東部の那珂川と涸沼(ひぬま)川に挟まれる東茨城台地は、最終間氷期最盛期から75~80kaにかけて離水した海成面と考えられている(鈴木、1989)。この台地の地下には新旧2つの埋没谷が存在することが知られており、深く位置し、かつ古い埋没谷を充填するシルト~泥からなる堆積物は見和層下部層、浅くかつ相対的に新しい埋没谷を充填する河成礫からなる堆積物は見和層中部層とよばれた(坂本、1972)。そして前者の埋没谷は最終間氷期に先立つ最大低海面期に形成され、見和層中部層がうめる埋没谷はその後の海進時の途中におとずれた一時的な海面停滞期に形成されたと解釈された。こうした地形発達史に年代目盛を加えるためにはそれぞれの堆積物中に介在するテフラが役立つと思われ、実際に、鈴木(1989)により見和層中部層中に宇都宮付近に広く分布する真岡(もおか)テフラ(MoP)が見出された。しかしながらMoPの降下年代はまだよくわかっていない。鈴木(1990a)は坂本(1972)の解釈をもとに地形発達を根拠にMoPの年代を200ka以降、最終間氷期以前と推定した。しかしMoPの年代はより古くなるという考え(鈴木、1993)もあり、現段階ではまだ確定しているとはいいがたい。北関東海岸域の第四紀地史を解明していく上でもMoPの年代を解明することは今後の重要課題である。図示した露頭写真は1987年7月に撮影されたものであり、現在では消失した露頭のものである。MoPは礫層中に介在するため一般に保存されている確率が低く、この場合も、たまたま礫層中の砂のレンズ中に二次堆積物として残されていたものである。しかし周囲は砂利採取のため、一面が大露頭になっているので新たな好露出が出現する可能性もある。

文献:坂本(1972)、鈴木(1989、1990a、1993)

湯小屋温泉南方の旧砂利採取露頭を■で示した地形図
原著 174ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「磯浜」(水戸7号-3)。下入野、湯小屋、後谷。標高・等高線:30、28.8、25、26、28.5。■:露頭。

English translation

1:25,000 Isohama sheet (Mito sheet 7-3). Shimo-Irino; Yugoya; 後谷. Elevations and contours: 30, 28.8, 25, 26, 28.5. ■: outcrop.

人物とともに写された礫層中の薄いMoP層
原著 174ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

見和層中部層。MoP(矢印)。

English translation

Middle member of the Miwa Formation. MoP (arrow).

スコップをスケールとした砂レンズ内のMoP拡大写真
原著 174ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

MoP。MoPの部位の拡大。

English translation

MoP. Enlargement of the part containing MoP.

見和層中部層とその中に含まれるMoPの露頭写真

KT-7 茨城県桜川低地の下大島層における更新世末期のテフラ層

鈴木正章

本露頭は、茨城県桜川中流低地のつくば市下大島で行われた1980年度の土地改良に伴う排水路工事で出来た人工露頭である。露頭では、姶良Tnテフラ(AT)や赤城鹿沼軽石(Ag-KP)を含む立川期ローム層を風成で載せる段丘面を削り込んでその谷底に堆積する沖積層基底礫層(BG)に対比される下大島礫層(SG)を基底にして泥炭をレンズ状に挟む細砂層、その上位に泥炭層、凝灰質シルト、最上位に薄く風成テフラ層が観察された。この一連の地層は遠藤ほか(1983)によって下大島層と命名された。本層中の泥炭層には8枚の白色細粒火山灰層が認められ、下位からSK-1~SK-7と名付けられた。SK-1は1.499~1.501(1.500)の屈折率の値を示すバブルウォール型火山ガラスでほとんどが占められていることから段丘面上から連続するATに、SK-2~SK-4は含まれる斜方輝石の屈折率が1.700~1.710の範囲で変化することから中沢ほか(1984)によって複数のテフラからなるとされている浅間板鼻(いたはな)褐色テフラ(As-BP)グループの何れかに、SK-4′~SK-7は含まれる斜方輝石の屈折率が1.704~1.711の範囲で変化することから同様に浅間板鼻黄色テフラ(As-YP)グループの何れかにそれぞれ対比される。また、本層は、17~21kaの層準から針葉樹林の植生を示す花粉化石が産出することから最終氷期の最寒冷期およびその前後以降の連続した環境変遷を記録に残した極めて重要な地層である。

文献:遠藤ほか(1983)、中沢ほか(1984)、鈴木ほか(1993)

桜川左岸低地の下大島の人工露頭位置を示す地形図
原著 175ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「常陸藤沢」(水戸16号-1)。大形(2箇所)、下大島。標高・等高線:12.5、10、7.6、14、13。矢印:露頭。

English translation

1:25,000 Hitachi-Fujisawa sheet (Mito sheet 16-1). 大形 (two labels); Shimo-Oshima. Elevations and contours: 12.5, 10, 7.6, 14, 13. Arrow: outcrop.

8枚のテフラを含む下大島層柱状図と桜川低地の地質断面、10点の年代表
原著 175ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

柱状図(深度m):0、1、2。上から:SK-7、SK-6、SK-5、SK-4′、SK-4、SK-3、SK-2、SK-1(AT)、SG(BG)。年代採取番号③~⑦を図示。 断面方位:SW、NW、NE。標高目盛m:0、5、10、15、20(左右)。水平スケール:0–250m。桜川低地、柱状図の位置(矢印)、下大島面、矢作面、小田面、桜川。層符号:AT、Ag-KP、Sm、IdU、IdL、SG、TKG、TG、KG。年代採取番号①、②、⑧、⑨、⑩。 凡例:表土、ローム、凝灰質シルト、泥炭、砂、シルト、テフラ、鬼怒川系の礫、有機物、桜川系の礫、材化石。

番号 年代値(yrs.BP) 試料番号
① 3,140±65 N-3951
② 10,700±145 N-3952
③ 16,700±255 N-4111
④ 18,100±340 N-4110
⑤ 20,300±345 N-4109
⑥ 20,800±730 N-4108
⑦ 22,400±450 N-4107
⑧ 28,400±680 N-3953
⑨ 5,550±170 Gak-10030
⑩ 6,860±180 Gak-10031

KG:協和礫層。TG:土浦礫層。SG:下大島礫層(沖積層基底礫層:BG)。TKG:塚田砂礫層(完新統基底礫層:HBG)。Sm:下大島層。IdL:飯田層下部層。IdU:飯田層上部層。AT:姶良Tn火山灰。Ag-KP:赤城鹿沼軽石。鈴木ほか(1993)。

English translation

Column (depth in m): 0, 1, 2. From top downward: SK-7, SK-6, SK-5, SK-4′, SK-4, SK-3, SK-2, SK-1 (AT), SG (BG). Dated-sample positions ③–⑦ are shown. Section directions: SW, NW, NE. Elevation scales, m: 0, 5, 10, 15, 20 on both sides. Horizontal scale: 0–250 m. Sakuragawa Lowland; position of column (arrow); Shimo-Oshima surface; Yahagi surface (矢作面); Oda surface; Sakuragawa River. Unit codes: AT, Ag-KP, Sm, IdU, IdL, SG, TKG, TG, KG. Dated-sample positions ①, ②, ⑧, ⑨, ⑩. Legend: topsoil; loam; tuffaceous silt; peat; sand; silt; tephra; gravel of the Kinugawa system; organic matter; gravel of the Sakuragawa system; fossil wood.

Number Age (yrs.BP) Sample number
① 3,140±65 N-3951
② 10,700±145 N-3952
③ 16,700±255 N-4111
④ 18,100±340 N-4110
⑤ 20,300±345 N-4109
⑥ 20,800±730 N-4108
⑦ 22,400±450 N-4107
⑧ 28,400±680 N-3953
⑨ 5,550±170 Gak-10030
⑩ 6,860±180 Gak-10031

KG: Kyowa Gravel (協和礫層). TG: Tsuchiura Gravel. SG: Shimo-Oshima Gravel (basal gravel of the alluvial deposits: BG). TKG: Tsukada Sand and Gravel (basal gravel of the Holocene deposits: HBG). Sm: Shimo-Oshima Formation. IdL: lower member of the Iida Formation. IdU: upper member of the Iida Formation. AT: Aira-Tn volcanic ash. Ag-KP: Akagi-Kanuma Pumice. Suzuki et al. (1993).

判読上の注記

抽出画像下端で切れる年代表・凡例 — 原PDFレンダーの下部を拡大実見し、全10年代値と全地層凡例を補完した。

KT-8 テフラが示す赤城火山の噴火史―南東麓水沼にみられるプリニアン降下軽石群―

鈴木毅彦

関東平野北西端に位置する赤城火山は第四紀の大型成層火山である。中央のカルデラを中心に5時から11時の方向にかけて緩やかな火山麓斜面が発達し単純な地形を呈するが、中腹以上はカルデラ、溶岩円頂丘、火口原湖をそなえた複雑な様相を示す。こうした火山地形は様々な活動様式による長期の活動によって形成され、その歴史は守屋(1968)により詳しく記述された。そして守屋(1979)は日本の第四紀成層火山の地形発達に関する規則性を論じ、その代表例として赤城火山の形成史を取り上げた。このように同火山の形成史は以前からとりあつかわれてきたが、爆発的噴火の歴史、すなわちテフラに関する知見については概略しかわかっていなかった。しかし最近になり赤城火山起源のテフラと広域テフラとの層位関係が徐々に解明され、具体的な年代値を含めた噴火史の構築が進んだ(鈴木、1990a)。そうした噴火史を編むのに適するのは赤城火山南東麓の火山麓扇状地が段丘化した、水沼周辺の台地である。ここでは多数のプリニー式噴火の産物である降下軽石層や他の火山からもたらされたテフラ層を含んだ20m以上の風成層を観察することができる。主なテフラ層を上位から概観すると赤城水沼石質降下火砕岩(Ag-CLP)、赤城鹿沼テフラ(Ag-KP;31~32ka)、榛名八崎テフラ(Hr-HP;41~44ka)、赤城湯ノ口テフラ(Ag-UP)、赤城行川第1~2テフラ(Ag-Nm1~2)、赤城水沼テフラ(軽石)群(Ag-MzP1~16)であり、それらの間には大山倉吉(DKP)、阿蘇4(Aso-4)、御岳第1(On-Pm1)、立山D(Tt-D)などの広域テフラが挟まれる。以上全てのテフラを1地点で同時に観察することはできない。ここでは水沼周辺の2露頭および補足的な1露頭を紹介する。

水沼付近の南北2露頭と地形を示す図1
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図中文字(日本語)

図1。2.5万分の1「上野花輪」(宇都宮9号-4)。地点1、地点2(矢印)、水沼、清水、下神山。可読標高・等高線:376、450、400、500、700、600、744。

English translation

Figure 1. 1:25,000 Kozuke-Hanawa sheet (Utsunomiya sheet 9-4). Localities 1 and 2 (arrows); Mizunuma; Shimizu; 下神山. Legible elevations and contours: 376, 450, 400, 500, 700, 600, 744.

用水路沿いの断面でAg-KPからAg-MzP5までを示す図2
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図中文字(日本語)

方位:NW、N、NE。スケール:3m。層名:Ag-KLP、Ag-CLP、Ag-KP、Hr-HP、Ag-UP、Ag-Nm 1、Ag-Nm 2、Ag-MzP 1、Ag-MzP 2、Ag-MzP 3、Ag-MzP 4、Ag-MzP 5。地物:用水路、コンクリート、杉植林、踏み跡。

English translation

Directions: NW, N, NE. Scale: 3 m. Layer labels: Ag-KLP, Ag-CLP, Ag-KP, Hr-HP, Ag-UP, Ag-Nm 1, Ag-Nm 2, Ag-MzP 1, Ag-MzP 2, Ag-MzP 3, Ag-MzP 4, Ag-MzP 5. Features: irrigation channel; concrete; Japanese cedar plantation; footpath.

図2 地点1での露頭スケッチ

KT-8(続き)

1つめの露頭(地点1)は水沼の清水集落南東に位置し、清水用水の分水路脇に位置する。鈴木(1990a)の7a地点、守屋(1968)のAK315地点にあたる。その概要を示すスケッチは図示するとおりであり、肉眼で容易に認識できるテフラは最上位がAg-CLP、最下位が赤城水沼第5テフラ(Ag-MzP5)である。守屋(1968)の第8図によれば赤城水沼第10テフラ(Ag-MzP10)まで柱状図に記されているが(P10と命名されており同じ数字のものは同一テフラ、すなわちAg-MzP10をさす)、現在では崖錐に覆われ、掘り起こしても赤城水沼第6テフラ(Ag-MzP6)の上部がかろうじて観察できるにすぎない。Ag-CLP、Ag-KPは露頭上部に位置する近接した2枚組のテフラで、ともに中央火口丘形成期の噴出物である。Ag-KPは層厚約130cm、平均最大粒径約10cmでよく発泡した軽石からなる露頭中最も顕著なテフラであり、赤城火山の噴火史上、最大規模のプリニアン堆積物でもある。その体積は25km³に達し国内のプリニアン堆積物としても上位10位以内にはいる。このように大規模な噴火にもかかわらずAg-KP噴出前後に火砕流が発生した証拠は得られていない。Ag-KPの直上にあるAg-CLPは赤城火山の基盤となる近傍の足尾中生層の頁岩、チャートなどの破片を主体とした特異な降下堆積物である。どの様な噴火様式、あるいは基盤岩の存在がAg-CLPをもたらす結果になったのかは明らかでない。このように比較的最近である中央火口丘形成期のテフラについてさえ未解決の問題が多い。なお、Ag-KPを含めAg-CLP以上の層準の観察には■地点がよい。Ag-KPより下位のAg-UPからAg-MzP6にかけては比較的規模の似たプリニー式噴火の堆積物である。これらの年代は広域テフラとの層位関係により決定することができる。具体的な層位関係は、Ag-Nm2とAg-MzP1の間にDKP(ca.50ka)が、Ag-MzP6の20cmくらい上にOn-Pm1(ca.100ka)が位置することが明らかにされている。しかし、いずれも肉眼では認められない。On-Pm1の場合は火山灰土中に同テフラ由来の繊維状の火山ガラスが多量に含まれていることでその層位が決められている。

Ag-MzP6より下位のテフラは地点2(鈴木、1990aの7b、守屋、1968のAK329)で観察できる。清水集落北側の河食崖に位置する自然露頭で、所在がわかりにくく、しかも急崖で注意が必要な露頭である。図には柱状図を示した。ここではAg-MzP6、9、10がいずれも1m以上の層厚で堆積しているのが目立つ。このうちAg-MzP6は栃木県今市付近で、Ag-MzP9・10は茨城県海岸域で見出されており、北関東各地の編年に役立っている。また、Ag-MzP6の下位15cmには層厚10cmの黒雲母と石英を含む細粒火山砂があり、これはTt-D(95~130ka)に対比されている。

文献:守屋(1968、1970、1979)、鈴木(1990a)、竹本(1991)

赤城水沼第1~16テフラと広域テフラを示す2露頭の層序柱状図
原著 177ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

スケール:0、1、2、3 m。

地点 上から下への可読層名
地点1 Ag-CLP、Ag-KP、Hr-HP、Ag-UP、Ag-Nm 1、Ag-Nm 2、DKP、Ag-MzP 1、Ag-MzP 2、Ag-MzP 3、Ag-MzP 4、Ag-MzP 5、On-Pm 1、Ag-MzP 6
地点2 Ag-MzP 6、Tt-D、Ag-MzP 7、Ag-MzP 8a、Ag-MzP 8b、Ag-MzP 9、Ag-MzP 10、Ag-MzP 11、Ag-MzP 12、Ag-MzP 13、Ag-MzP 14、Ag-MzP 15、Ag-MzP 16

地点1のAg-MzP6下部と地点2のAg-MzP6下部を線で接続。凡例:火山灰土、石質岩片、火山砂、軽石、スコリア、礫層。

English translation

Scale: 0, 1, 2, 3 m.

Locality Legible layer labels, top to bottom
Locality 1 Ag-CLP, Ag-KP, Hr-HP, Ag-UP, Ag-Nm 1, Ag-Nm 2, DKP, Ag-MzP 1, Ag-MzP 2, Ag-MzP 3, Ag-MzP 4, Ag-MzP 5, On-Pm 1, Ag-MzP 6
Locality 2 Ag-MzP 6, Tt-D, Ag-MzP 7, Ag-MzP 8a, Ag-MzP 8b, Ag-MzP 9, Ag-MzP 10, Ag-MzP 11, Ag-MzP 12, Ag-MzP 13, Ag-MzP 14, Ag-MzP 15, Ag-MzP 16

A line connects the lower part of Ag-MzP6 at localities 1 and 2. Legend: volcanic-ash soil; lithic fragments; volcanic sand; pumice; scoria; gravel.

図3 地点1および地点2での柱状図

KT-9 三国山地平標山に分布する更新世末期と完新世のテフラ群

佐々木明彦・苅谷愛彦・新井房夫

平標(たいらぴょう)山の南東斜面には泥炭層が広く分布する(小泉ほか、1984)。それらと下位の砂礫層がテフラを含むことはすでに知られていた(小泉ほか、1984;高田、1986)が、筆者らは複数の完新世テフラを泥炭層中に新たに見いだした。ここでは山頂の南160mにある登山道沿いの露頭を紹介する。本露頭では泥炭層に介在する層厚0.1~1.5cmの乳白色ないし褐色の細粒火山灰層が7枚観察できる。上位から、榛名二ツ岳伊香保テフラ(Hr-FP)、浅間平標第1テフラ(As-T1)、妙高赤倉テフラ(My-A)、浅間平標第3テフラ(As-T3)、浅間平標第4テフラ(As-T4)、鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)、浅間平標第5テフラ(As-T5)である。また泥炭層直下の砂礫は0.2cm大の黄色軽石を主体とする浅間草津テフラ(As-K)を含む。一方、■では妙高太田切川テフラ(My-Ot)と浅間平標第2テフラ(As-T2)が泥炭層中にみられる。以上のテフラの詳細はKariya et al.(1996)を参照されたい。なお、As-T1~5は筆者らが便宜的につけた仮称であり、浅間火山麓で報告されているどのテフラ(たとえば、竹本ほか、1995)に対比できるのかはまだ明らかでない。本露頭を含む登山道沿いの露頭は、土壌侵食に対する懸念からネット等の張り付けによって保護されることも考えられ、観察が困難になる可能性もある。

文献:Kariya et al.(1996)、小泉ほか(1984)、高田(1986)、竹本ほか(1995)

平標山山頂と矢印露頭、補完柱状図位置(■)を示す地形図
原著 178ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「三国峠」(高田4号-3)。平標山、標高1983.7。柱状図位置(■)。1776、平標山の家。

English translation

1:25,000 Mikuni-toge sheet (Takada sheet 4-3). Mount Tairappyo, elevation 1983.7. Position of stratigraphic column (■). 1776; Tairappyo mountain hut.

泥炭中のテフラ7枚と補完地点のMy-Ot・As-T2を対比する断面図
原著 178ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

方位:S、W、N。スケール:0–70cm。地層:植被、腐植を含むローム層、泥炭層、砂礫層。テフラ:Hr-FP、As-T1、My-A+As-T3、As-T4、K-Ah、As-T5、As-K。■地点柱状図:My-Ot、As-T2、スケッチと同縮尺。登山道、平標山山頂(右向き矢印)。1995年8月記載。

English translation

Directions: S, W, N. Scale: 0–70 cm. Units: vegetation cover; humus-bearing loam; peat; sand and gravel. Tephras: Hr-FP, As-T1, My-A+As-T3, As-T4, K-Ah, As-T5, As-K. Column at the ■ locality: My-Ot, As-T2; same scale as the sketch. Mountain trail; summit of Mount Tairappyo (rightward arrow). Recorded in August 1995.

KT-10 自然史のタイムカプセル尾瀬ヶ原―完新世の泥炭層―

相馬秀廣

尾瀬ヶ原(以下、原)は、群馬・新潟・福島の3県にまたがる、高層湿原部分が広い我が国を代表する湿原であり、天然記念物特別保護地域に指定されている。一方、原が湿原の形成・発達に関する情報の宝庫であることから、特別な許可の下、保護を念頭に試料を採取した。柱状図には、原で最も深い池塘(深さ3.3m)のほとり、高層湿原部分に堆積している泥炭層が示されている。泥炭層は連続して堆積した新期泥炭層であり、合わせて11枚のテフラ層(上から順に、I~XI)が含まれている。Iは浅間A(As-A)、IIは同B(As-B)、Vは同C(As-C)といずれも浅間起源のテフラであり、IIIとIVは古墳時代に榛名火山から噴出した榛名二ツ岳伊香保テフラ(Hr-FP)と榛名二ツ岳渋川テフラ(Hr-FA)である。XIは九州南部の屋久島近傍の鬼界カルデラから飛来した鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)である。泥炭層の基底から約7.8kaの¹⁴C年代測定値が得られ、泥炭層の底付近から浅い水たまりに生えるミツガシワの赤い実が多数得られた。いかにも新鮮に見えたこれらの赤い実はこの付近の泥炭層が湖からではなく浅い水たまり(後背湿地)から出発したことを示している。また、¹⁴C年代測定値などから、対馬暖流の日本海への本格的な流入にともなう多雪化により、沼沢化が生じて泥炭層の堆積が開始したことが推定されている。

文献:阪口(1974、1989)、Sakaguchi(1976)、Sakaguchi et al.(1982)

約4.5mの連続泥炭層中のI~XIテフラ層と対比
原著 179ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

深度cm:0、50、100、150、200、250、300、350、400、450。テフラ層(上から):I(As-A)、II(As-B)、III(Hr-FP)、IV(Hr-FA)、V(As-C)、VI、VII、VIII、IX、X、XI(K-Ah)。凡例:泥炭、粘土、テフラ。

English translation

Depth in cm: 0, 50, 100, 150, 200, 250, 300, 350, 400, 450. Tephra layers, top to bottom: I (As-A), II (As-B), III (Hr-FP), IV (Hr-FA), V (As-C), VI, VII, VIII, IX, X, XI (K-Ah). Legend: peat; clay; tephra.

尾瀬ヶ原中田代の採取位置図と燧ヶ岳を望む池塘写真
原著 179ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

5万分の1「藤原」(日光15号)、5万分の1「燧ヶ岳」(日光11号)。スケール0–2km。矢印:試料採取地点。可読地名:尾瀬、檜枝岐村、尾瀬原、中田代、上田代、下田代、カッパ山、八海山(背中アブリ山)、外ノ沢、竜宮小屋、山ノ鼻、至仏山荘。小さい地名・標高の一部:[判読不明]。写真:文字注記なし。

English translation

1:50,000 Fujiwara sheet (Nikko sheet 15); 1:50,000 Hiuchigatake sheet (Nikko sheet 11). Scale: 0–2 km. Arrow: sampling locality. Legible place names: Oze; Hinoemata Village; Ozegahara; Nakata-shiro; Kamita-shiro; Shimota-shiro; カッパ山; 八海山 (背中アブリ山); 外ノ沢; Ryugu hut; Yamanohana; Shibutsu mountain lodge. Some small place names and elevations: [illegible]. Photograph: no internal lettering.

判読上の注記

小さい地形図地名と標高値 — 原PDFレンダーも拡大したが、細字の一部は印刷自体が不鮮明で確定できない。

八海山(背中アブリ山) — 図の山名は薄く、一部の字に読みに不確実性が残る。

矢印は試料採取地点、背景は燧ヶ岳

KT-11 渋川市中筋遺跡―榛名火山の火砕流で壊滅した古墳時代のムラ宿遺跡―

早田勉

渋川市教育委員会により1986年に行われた中筋遺跡の発掘調査では、6世紀初頭の榛名火山の噴火に伴う榛名二ツ岳渋川テフラ(Hr-FA)により埋没した集落が発見された。とくにこの遺跡で注目される点は、火砕流により壊滅的な被害を受けていたことである。Hr-FAの噴火は、中筋遺跡の西方約8kmにある現在の二ツ岳のあたりで発生した。噴火は水蒸気マグマ爆発で始まり、最初に細粒の湿った火山灰(S-1)が東方を中心に降灰した。中筋ムラの大部分の建物もこのときの火山灰の重みでつぶれたり、屋根の一部に損傷を受けたりした。原形をとどめていた平地式建物は、その後発生した流動性の大きい火砕流(S-5)により流走方向に倒されるとともに、火砕流の熱で焼失してしまった。この噴火のときの火砕流は、火口から東北東方向に約10km離れた利根川右岸の河岸段丘面上の木々をもなぎ倒したことが最近の発掘調査で明らかにされている。榛名火山は、6世紀中葉にも大規模なプリニー式噴火をおこし火砕流を発生させた。このときの噴出物である榛名二ツ岳伊香保テフラ(Hr-FP)のうち、降下軽石は北東方向を中心に分布し、遠く宮城県の多賀城跡でも検出されている。子持村黒井峯遺跡ではこの軽石で埋没した大規模な集落が発見されている。これら二度の噴火の後には各々泥流が度々発生し、榛名山麓から利根川中流域にかけての広い範囲を襲った。なお現在の二ツ岳は、Hr-FPの噴火の最終段階に火口を上昇して形成された溶岩円頂丘である。現在中筋遺跡は遺跡公園として整備保存されており、被災直前のムラの様子が復元されている。また黒井峯遺跡も国指定史跡として埋填保存がなされている。

文献:新井(1962、1979)、石井・梅沢(1994)、町田ほか(1984)、坂口(1986)、渋川市教育委員会(1987)、早田(1989、1993)

中筋遺跡の位置図と焼失建物の平面図、被災層準を示すHr-FA柱状図
原著 180ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

上部の画像化本文は本文欄に復元し、ここでは重複転記しない。 地図:2.5万分の1「伊香保」(長野2号-1)、2.5万分の1「渋川」(宇都宮14号-3)。中筋、行幸田、清水、西町(2箇所)、番場、石原、田中、相原、諏訪木、谷地、畑中。可読標高・等高線:222.6、324、200。矢印:中筋遺跡。 柱状図:深度cm、0、50。上からS-12、S-11、S-10、S-9、S-8、S-7、S-6、S-5、S-4、S-3、S-1(上部)、S-1(下部)。左側矢印:建物の焼失・倒壊層準。 遺構図:方位矢印。スケール:0–2m。カマド。高坏[読み不確実]。

English translation

The upper image contains article text, restored in the main text and not transcribed again here. Map: 1:25,000 Ikaho sheet (Nagano sheet 2-1); 1:25,000 Shibukawa sheet (Utsunomiya sheet 14-3). Nakasuji; Miyukida; Shimizu; Nishi-machi (two labels); Banba; Ishihara; 田中; 相原; 諏訪木; 谷地; 畑中. Legible elevations and contours: 222.6, 324, 200. Arrow: Nakasuji site. Column: depth in cm; 0, 50. From top downward: S-12, S-11, S-10, S-9, S-8, S-7, S-6, S-5, S-4, S-3, S-1 (upper part), S-1 (lower part). Arrow at left: horizon of the building's burning and collapse. Excavation plan: orientation arrow. Scale: 0–2 m. Cooking hearth. 高坏 [uncertain reading; possibly a pedestal cup].

判読上の注記

高坏 — 遺構内の小字を原PDFから6倍レンダーし確認したが、完全には確定できない。カマド下方の円形遺物の注記。

渋川市中筋遺跡の1号平地式建物の出土状況とHr-FA(早田、1989)。柱状図左側の矢印は、建物の焼失・倒壊層準を示す。

KT-12 群馬県岩宿遺跡―日本列島で最初に旧石器文化の存在が確認された地点―

早田勉

日本における本格的な旧石器文化の研究は,この岩宿遺跡の発見で始まったと言っても過言ではない.現在ではこれを記念して,後期旧石器時代を「岩宿時代」と呼ぼうとする研究者もいるほどである.1946(昭和21)年秋,一人の考古青年,相沢忠洋はここ稲荷山と琴平山の間の切り通しの赤土(関東ローム)が露出した崖(道路北側)で数個の石器を発見した.これが契機となって1949(昭和24)年9月に杉原荘介を中心とした明治大学考古学研究室の発掘調査が行われ,その層位が当時最古と考えられていた縄文時代の撚糸文土器を含む黒土より下位の赤土の中にあることが確かめられた.現在この地点には石碑が建てられている.道を挟んでそのむかい側(道路南側)のドームの中には,この遺跡の赤土をよく観察できた道路南側の露頭(写真)が保存されている.直接土層断面に触れることはできないが,露頭の表面に掲げられた土層のはぎ取り標本を前にして,映像資料を用いてヴィジュアルに地層や石器さらに発掘当時の様子などの説明が行われている.また傍らには「笠懸野岩宿文化資料館」があり,岩宿遺跡だけでなく日本列島各地の旧石器文化の様相が解説されている.

文献:相沢(1969),新井(1962),大島(1986),杉原(1956),鈴木(1976)

岩宿遺跡と笠懸野岩宿文化資料館を矢印で示す地形図。
原著 181ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

笠懸野岩宿文化資料館;2.5万分の1「桐生」(宇都宮10号-4);岩宿;琴平山;196.2;146.6;鹿;[判読不明]山。

English translation

Kasakeno Iwajuku Culture Museum; 1:25,000 “Kiryu” (Utsunomiya sheet 10-4); Iwajuku; Kotohirayama; 196.2; 146.6; 鹿; [illegible]yama.

判読上の注記

地形図の端で切れた地名と細かな背景文字は判読不能。

保存工事前の岩宿遺跡露頭。右側にテフラと石器文化の層位が付記される。
原著 181ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

上から:As-BP;岩宿II石器文化;AT;岩宿I石器文化;Ag-KP;Hr-HP。

English translation

From top to bottom: As-BP; Iwajuku II stone-tool culture; AT; Iwajuku I stone-tool culture; Ag-KP; Hr-HP.

判読上の注記

抽出画像の右側注記は切れている。全文は原PDFページで確認し収録。

露頭保存工事直前に撮影(笠懸野岩宿文化資料館)

KT-13 浅間火山応桑岩屑なだれ堆積物とこれを覆う仏岩・前掛期のテフラ層

竹本弘幸

本露頭は,長野原町北軽井沢栗平浅間大滝の駐車場背後にある.この地点では,23~24ka(新井,1967;樋口,1989)に黒斑(くろふ)山で発生した応桑(おおくわ)岩屑なだれ堆積物(OkAV)とこれを覆う仏岩期のテフラが観察できる.OkAVには,黒斑火口付近に降下堆積した強溶結凝灰岩や黒斑山溶岩類,軽石流堆積物などの巨大ブロックが含まれている.これを覆って,浅間板鼻(いたはな)褐色軽石群上半部(辻ほか(1984)の南ヶ岳軽石,早田(1995)のAs-BP-hに相当)が堆積している.仏岩期には,下位より離山起源の雲場(くもば)軽石(Kb),小浅間山に先駆した(荒牧,1986)と考えられる白糸の滝軽石(As-SP)が噴出し,直後にカンラン石を多量に含む玄武岩質スコリアと縞状軽石(大滝第1・2スコリア;As-OtS-1,-2;竹本・久保,1995)が続く.斜交不整合を挟み,大窪沢第1,2軽石(As-OkP-1,-2)と泥炭層,埋没樹木痕,板鼻黄色軽石(As-YP)→火山灰互層→草津黄色(嬬恋)軽石(As-YPk;K)→火山灰互層(As-UG)→第2軽石流などが見られる.黒土中には早田(1990)の藤岡軽石(As-Fo;8.4ka),六合(くに)軽石(As-Kn;5.4ka)など前掛(まえかけ)期のテフラが観察できる.滝に向かう参道を抜けると右手(南西)にトイレがあり,背後の崖には黒斑山麓に堆積した火砕流の巨大ブロック,路上には強溶結凝灰岩の転石が見られる.

文献:新井(1967),荒牧(1986),樋口(1989),早田(1990,1995),竹本・久保(1995),辻ほか(1984)

栗平の浅間大滝付近にある露頭を矢印で示す地形図。
原著 182ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1「北軽井沢」(長野6号-3);栗平;浅間大滝;小沢;1085;1200;1197。

English translation

1:25,000 “Kita-Karuizawa” (Nagano sheet 6-3); Kuridaira; Asama Otaki waterfall; 小沢; 1085; 1200; 1197.

判読上の注記

地形図の一部細かな背景文字と端で切れた文字は判読不能。

23~24kaの応桑岩屑なだれから浅間テフラの各層と年代を示す14mの柱状図。
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図中文字(日本語)

深度目盛:0,2,4,6,8,10,12,14m。上から:火砕流;軽石流;Kn;5.4ka(早田:1990);Fo;(第2)軽石流,11ka;AH-11;YPk;YP;埋没林13ka;OkP-2;15.4ka;OkP-1;16.8ka;OtS-2;OtS-1;SP;Kb;20ka;BP-5-7;応桑岩屑なだれ(OkAV),23~24ka。

English translation

Depth scale: 0, 2, 4, 6, 8, 10, 12, 14m. From top to bottom: pyroclastic flow; pumice flow; Kn; 5.4ka (早田: 1990); Fo; Pumice Flow (2), 11ka; AH-11; YPk; YP; buried forest, 13ka; OkP-2; 15.4ka; OkP-1; 16.8ka; OtS-2; OtS-1; SP; Kb; 20ka; BP-5-7; Okuwa debris avalanche (OkAV), 23–24ka.

応桑岩屑なだれを覆う浅間テフラと埋没林の層位を示す南東―北西露頭スケッチ。
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図中文字(日本語)

SE;NW;Kn;Fo;軽石流;YPk;YP;OkP-2;OkP-1;SP;BP上部;応桑岩屑なだれ;崩積土。

English translation

SE; NW; Kn; Fo; pumice flow; YPk; YP; OkP-2; OkP-1; SP; upper BP; Okuwa debris avalanche; colluvium.

KT-14 中之条盆地に分布する中~後期更新世テフラ層―上部中之条湖成層と蓑原台地を被うテフラ―

竹本弘幸

本露頭は,中之条町北西の蓑原(みのはら)台地東縁の大崩沢の谷頭に位置する.最高位段丘の蓑原面(新井,1962)は,古中之条湖に流入していた四万(しま)川が形成した扇状地礫層からなる台地で,上部中之条湖成層に交差・累重した堆積面である.湖の基底は吾妻川河床付近(標高320m)で,湖成層の堆積面は標高570m付近にあり,東西20km,南北16kmの面積100km²におよぶ出入りに富んだ湖が存在したと考えられている.湖成層中には,NLu-1~31などのテフラが見られる.NLu-20は,標高510m付近の泥炭層中に挟まる400~500kaの広域テフラであり,泥炭層からは現在と類似した古環境を示す大型植物遺体(新井,1965など)と昆虫が産出する.NLu-27は,地表より35m付近のシルト層中に挟まれ,約300kaの大町APmテフラ群に対比されている(米澤ほか,1984).

一方,蓑原礫層の上には約16mのテフラが堆積しており,給源不明の広域テフラである蓑原オレンジ火山灰(MiT)や,四阿火山起源(矢口ほか,1990)の四阿蓑原(Az-MiP),約220kaの横川第2(YoP-2)などの軽石層が見られる(写真).地表より8m付近には立山起源の立山D(Tt-DPm),御岳起源の御岳第1(On-Pm-I),5m付近に50kaの大山倉吉(DKP;竹本,1991)などのテフラ,さらに上位には姶良Tn(AT)や浅間起源のテフラが観察された.

文献:新井(1962,1965),川端(1967),守屋(1968),中山(1978),高橋・早川(1994),高橋ほか(1995),竹本(1991),竹本ほか(1987),矢口ほか(1990,1993),山口(1975),米澤ほか(1984)

蓑原台地東縁の谷頭にある露頭を矢印で示す地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「中之条」(長野1号-3);蓑原;中村;日影;四万川;586.7;578;567;559.5;476。

English translation

1:25,000 “Nakanojo” (Nagano sheet 1-3); Minohara; Nakamura; Hikage; Shima River; 586.7; 578; 567; 559.5; 476.

判読上の注記

背景の小さな地名の一部は判読不能。

蓑原礫層を覆う軽石層の写真と、湖成層から表層テフラまでの柱状図。
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図中文字(日本語)

写真:蓑原軽石層;蓑原礫層。柱状図:蓑原。深度0,20,40,60,80m。上から:YPk;BP;JL;NgP;MiP;(AT;25ka)¹⁴C法;(DKP;50ka)層位;(On-Pm 1;80~90ka)FT法;(DPm;100~120ka)FT法;(YoP-2;220±50ka)FT法;(MiT)矢口ほか(1993);蓑原礫層;NLu-31;-30;-27,310±40ka FT法,竹本ほか(1987);-26;-25;-24;-23;-22;-21;NLu-20,490±80ka FT法,竹本ほか(1987);上部中之条湖成層。

English translation

Photograph: Minohara Pumice Bed; Minohara Gravel Bed. Column: Minohara. Depths 0, 20, 40, 60, 80m. From top to bottom: YPk; BP; JL; NgP; MiP; (AT; 25ka), ¹⁴C method; (DKP; 50ka), stratigraphic position; (On-Pm 1; 80–90ka), FT method; (DPm; 100–120ka), FT method; (YoP-2; 220±50ka), FT method; (MiT), 矢口 et al. (1993); Minohara Gravel Bed; NLu-31; -30; -27, 310±40ka, FT method, 竹本 et al. (1987); -26; -25; -24; -23; -22; -21; NLu-20, 490±80ka, FT method, 竹本 et al. (1987); Upper Nakanojo Lacustrine Beds.

判読上の注記

抽出画像の右端の年代・方法・出典は切れているため、原PDF全ページから補完。

KT-15 前橋台地における前橋泥炭層―最終氷期から後氷期への古環境変遷―

辻誠一郎

前橋泥炭層(新井,1962)は前橋市総社町一帯の比較的広い範囲にわたって分布する泥炭・泥炭質堆積物からなり,植物遺体をしばしば多量に包含すること,および旧石器との関係が深い浅間火山起源の浅間板鼻黄色軽石(As-YP)などを挟在することから,古くから古環境復元の材料として,また旧石器時代の文化編年において注目されてきた.前橋泥炭層とその上下層との関係は,総社町の利根川西岸およびJR両毛線利根川鉄橋下で模式的に観察することができる.前橋泥炭層は,浅間火山起源の前橋泥流堆積物(新井,1967)を不整合に覆う河岸段丘礫層を整合に覆う.前橋泥流堆積物中の炭化材の放射性炭素年代は24,000±650yr B.P.と報告されている.

総社町の前橋泥炭層は厚さが80cm前後に及び,下部に厚さ40cmのAs-YPを挟在する.泥炭層はこのテフラを境に層相が明瞭に異なり,下部は褐色から暗褐色の未分解質な泥炭からなり,とくにテフラ直下には木材が密集する.これに対して上部は黒褐色ないし黒色の分解質な泥炭からなる.上部の泥炭には2層のテフラが挟在するが,下位のものは早田(1990)によって浅間総社軽石(As-Sj)と呼ばれた.As-Sjは元総社明神遺跡でも確認され,直下の放射性炭素年代が11,170±190yr B.P.と報告されている(パリノ・サーヴェイ株式会社,1990).これまで測定された放射性炭素年代から,As-YPは約13ka,As-Sjは約11.2kaと見積もることができ,前橋泥炭層は更新世末期から更新世初頭にわたって形成されたことが知られる.

総社町の利根川西岸露頭を矢印で示す地形図。
原著 184ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「前橋」(宇都宮14号-4);総社町植野;総社町総社;敷島町;緑が丘町;天狗岩;元景寺;山王;出山古墳;日新電機工場;宝塔山古墳;蛇穴山古墳;39.6;28.9;115。

English translation

1:25,000 “Maebashi” (Utsunomiya sheet 14-4); Ueno, Soja Town; Soja, Soja Town; Shikishima Town; Midorigaoka Town; Tengu Rock; Genkeiji Temple; Sanno; 出山 burial mound; Nissin Electric factory; Hotoyama burial mound; 蛇穴山 burial mound; 39.6; 28.9; 115.

判読上の注記

小さな背景文字の一部は判読不能。出山・蛇穴山の読みは確定せず日本語保持。

前橋泥炭層と泥流・礫層の関係を、河川・台地・火山斜面を横切る断面で示す。
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図中文字(日本語)

標高:60~140m(10m刻み);距離:0,1,2km。榛名火山斜面(相馬ヶ原扇状地);前橋台地;広瀬川低地帯;前橋台地;赤城火山斜面。染谷川;八幡川;利根川;広瀬川;桃ノ木川。天明泥流堆積物;前橋泥炭層;広瀬川砂礫層;前橋砂礫層;大胡火砕流堆積物;AT;As-BP;Hr-HP。凡例:黒ボク土;ローム層;軽石;火山灰;火砕流堆積物;岩屑なだれ・泥流堆積物;礫;砂;粘土;泥炭。1:総社砂層,2:相馬ヶ原扇状地堆積物,3:陣馬岩屑なだれ堆積物,4:元利根川段丘堆積物,5:前橋泥流堆積物。

English translation

Elevations: 60–140m at 10m intervals; distance: 0, 1, 2km. Haruna volcanic slope (Somagahara alluvial fan); Maebashi Upland; Hirose River Lowland; Maebashi Upland; Akagi volcanic slope. Someya River; Yahata River; Tone River; Hirose River; Momonoki River. Tenmei mudflow deposit; Maebashi Peat Bed; Hirose River Sand and Gravel Bed; Maebashi Sand and Gravel Bed; Ogo pyroclastic-flow deposit; AT; As-BP; Hr-HP. Legend: black volcanic-ash soil; loam; pumice; volcanic ash; pyroclastic-flow deposit; debris-avalanche and mudflow deposits; gravel; sand; clay; peat. 1: Soja Sand Bed; 2: Somagahara alluvial-fan deposits; 3: Jinba debris-avalanche deposit; 4: Moto-Tone River terrace deposits; 5: Maebashi mudflow deposit.

前橋台地の模式的な地質断面図

KT-15 前橋台地における前橋泥炭層(続き)

前橋泥炭層の植物化石群は辻ほか(1985)によって花粉化石・大型植物化石・木材化石にわたって詳しく検討され,更新世から完新世への急激な環境変動と植生変化が克明に記録されている.それによれば,As-YP以前では,チョウセンゴヨウ,トウヒ属バラモミ節,カラマツ属の針葉樹を主とし,カバノキ・ハンノキ属をともなう森林植生であった.As-YP降灰後,植生は急激に変化を遂げ,マツ・トウヒ両属の衰退に対してコナラ亜属が急増し,ブナ・スギ両属やその他の落葉広葉樹もふつうに見られるようになった.これは気候の急激な温暖化とともに湿潤化も起こったことを示している.

文献:新井(1962,1964,1967),パリノ・サーヴェイ株式会社(1990),早田(1990),辻・木越(1992),辻ほか(1985)

前橋泥炭層中の浅間総社軽石と浅間板鼻黄色軽石を示す露頭写真。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

As-Sj;As-YP。

English translation

As-Sj; As-YP.

写真:前橋市総礼町利根川西岸の露頭におけるAs-SjとAs-YP

泥炭層の上下で変化する木本・草本花粉とシダ胞子の組成を示す図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

木本花粉;草本花粉;シダ類胞子;モミ属;ツガ属;トウヒ属;カラマツ属;マツ属;黒塗りは単維管束亜属;コナラ属;コナラ亜属;スギ;カバノキ属;ハンノキ属;ブナ属;イネ科;カヤツリグサ科;ヨモギ属。深度:M,0,1。A;MB-4;As-Sj;B;As-YP;C。百分率目盛:0,50,100%。凡例:テフラ;砂;分解泥炭;未分解泥炭。

English translation

Woody pollen; herbaceous pollen; fern spores; Abies; Tsuga; Picea; Larix; Pinus; solid black indicates the single-vascular-bundle subgenus; Quercus; deciduous oak subgenus (コナラ亜属); Japanese cedar; Betula; Alnus; Fagus; Poaceae; Cyperaceae; Artemisia. Depth: M, 0, 1. A; MB-4; As-Sj; B; As-YP; C. Percentage scales: 0, 50, 100%. Legend: tephra; sand; decomposed peat; undecomposed peat.

判読上の注記

抽出画像の上端で花粉分類名が欠落しているため原PDFから復元。百分率は曲線の図示値で、個別測定数値は印刷されていない。

前橋市総社における前橋泥炭層の花粉化石群の変遷.(辻ほか,1985)

AとBは辻・木越(1992),Cは新井(1964)

KT-16 関東山地荒川上流の斜面堆積物―八ヶ岳川上テフラと御岳第1テフラ―

町田瑞男

本露頭は荒川の支流滝川に流れ込む豆焼沢に面する人工の露頭である.この露頭は人工であるが長い間露出していたので,自然の露頭のように見える.この露頭のすぐ東側には国道140号線が通っており,1997年に山梨県側とトンネルでつながる計画で,奥地は工事中である.この露頭の下部と中部よりやや上方に,厚い軽石層が挟まれている.下部の軽石層は中谷(1972)の八ヶ岳川上テフラ(Yt-Kw),上部の軽石層はKobayashi and Shimizu(1962)の御岳第1テフラ(On-Pm 1)である.両軽石層とも黄褐色を呈する.軽石のなかの重鉱物は両層とも新鮮で,しかも自形~半自形結晶からなる.On-Pm 1のジルコンと磁鉄鉱には火山ガラスが表面に付着しているほど新鮮である.単独の破片として多量に含まれる火山ガラスは包有物が少なく無色透明で針状~塊状および板状を呈する.Yt-Kwには4枚のフォールユニットが見られ,軽石から始まり火山砂で終わるというサイクルである.On-Pm 1のフォールユニットは1枚のみである.両軽石層の間は褐色風化火山灰層で埋められているが,斜面堆積物のため角礫が相当量含まれている.On-Pm 1の下方に挟まれているYt-Kwは恐らく10万年のオーダーになることが考えられる.このことから,この露頭周辺の斜面は10万年以上安定し続けていることが考えられる.今後,これらテフラの発見地の増加により,関東山地の斜面地形発達がより明らかになることであろう.

文献:Kobayashi and Shimizu(1962),町田(1985),中谷(1972)

豆焼橋上流の斜面露頭を矢印で示す地形図。
原著 186ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

5万分の1「三峰」(甲府1号);滝川;豆焼沢;1736;857;1000;1200。

English translation

1:50,000 “Mitsumine” (Kofu sheet 1); Takigawa; Mameyakisawa; 1736; 857; 1000; 1200.

判読上の注記

背景の地名・等高線数値の一部は判読不能。

角礫質斜面堆積物に挟まる御岳第1テフラと八ヶ岳川上テフラの断面スケッチ。
原著 186ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

深度:0,5m;On-Pm 1;Yt-Kw。凡例:表土;角礫;クラック;軽石;火山灰;火山砂。

English translation

Depth: 0, 5m; On-Pm 1; Yt-Kw. Legend: topsoil; angular gravel; cracks; pumice; volcanic ash; volcanic sand.

露頭のスケッチ

KT-17 埼玉県高麗丘陵の飯能礫層

久津間文隆・関東平野西縁丘陵団体研究グループ

飯能(はんのう)礫層は,関東平野西縁の丘陵群のうち,おもに加治(かじ)丘陵・高麗(こま)丘陵を構成する地層である.模式地は,加治丘陵北西の入間川にそう地域で,福田・高野(1951)により命名されたが,竹越ほか(1979)により再定義されている.本層は,下部層と上部層とに分けられる.下部層は,おもに暗灰~青灰色シルト層と数cm径の角~亜角礫層からなる.上部層は,おもに亜円礫~円礫を主とした礫層である.下部層,上部層はそれぞれ新井(1995)の矢颪(やおろし)凝灰岩層と飯能礫層にあたる.層厚130m前後,3~5°で東に単傾斜する.ここでは観察に適していて,消滅の心配のない本地点を紹介する.この露頭では,河床付近に下部層の青灰色シルト層~凝灰質砂層がみられる.一部角礫まじりになり,材化石をふくむ暗灰色泥炭質シルトが層厚25cmで挟在する.これに整合に重なって,上部層の礫層がみられる.基質は淡褐色の泥質または凝灰質中~粗粒砂,礫の長径は数cm~10数cmで,最大礫径は35cmのチャートである.礫種は,砂岩(58%)とチャート(35%),粘板岩・凝灰岩(7%)であり,すべて西方の関東山地の秩父帯のものである.礫種構成には,地域差があり,ここより1km以南の高麗丘陵南半部および加治丘陵では砂岩が多く,閃緑岩の礫も含まれている.本層は,上総層群に対比されている.また,本層相当層と考えられている加住丘陵の加住礫層下部層の三の谷火山灰層から2.0±0.2MaのFT年代値がえられている(関東平野西縁丘陵研究グループ,1995).

文献:新井(1995),福田・高野(1951),石垣・竹越(1982),関東平野西縁丘陵研究グループ(1995),竹越ほか(1979)

巾着田の飯能礫層露頭を矢印で示す地形図。
原著 187ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1「飯能」(東京9号-4);日向;栗坪;前畑;天神橋;高麗川;久保;梅原;高麗石器時代住居跡;69;102.6;108.0;144.5。

English translation

1:25,000 “Hanno” (Tokyo sheet 9-4); 日向; Kuritsubo; Maehata; Tenjin Bridge; Koma River; Kubo; Umehara; Koma Stone Age dwelling site; 69; 102.6; 108.0; 144.5.

判読上の注記

背景の小さな地名の一部は判読不能。

飯能礫層の上部礫層と下部シルト層の露頭、および礫の拡大写真。
原著 187ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

飯能礫層上部層;飯能礫層下部層。

English translation

Upper part of the Hanno Gravel Bed; lower part of the Hanno Gravel Bed.

判読上の注記

左側の層位注記は抽出画像外にあるため原PDFから復元。

KT-18 埼玉県川口市の赤山陣屋跡遺跡における完新世テフラと古環境変遷

辻誠一郎

赤山陣屋跡遺跡は大宮台地東南部に位置する.発掘調査は,一般国道298号線(東京外環自動車道)の新設工事に伴って,1983年8月からほぼ1年6カ月間にわたって実施された.この発掘調査の区域には2つの開析谷が含まれ,調査では「東堀」と「西堀」と便宜的に呼んだ.赤山陣屋跡遺跡は江戸時代前期の赤山陣屋(赤山城)跡を主とするが,発掘調査区域はその北縁部にあたり,赤山陣屋に関する遺物・遺構はむしろ乏しかった.反面,縄文時代後期・晩期を中心とするおびただしい遺物・遺構群が検出され,トチノキの実の加工場などの遺構群が識別されるなど,縄文時代の生業と立地環境を復元する上で重要な資料が得られた.

開析谷を埋積する堆積物には,縄文海進期の海成層と地滑り堆積物,森林植生の存在を裏付ける木本(森林)泥炭,草本湿地を示す草本泥炭が認められ,それらが下位から上位へ順に累積するという整然とした層序が捉えられた.

赤山陣屋跡遺跡の発掘区域付近を矢印で示す地形図。
原著 188ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1「越谷」(東京1号-4);長蔵新田;安行藤八;西立野;道下;安行;中道北;安行領家;中道西;赤山;市。

English translation

1:25,000 “Koshigaya” (Tokyo sheet 1-4); 長蔵新田; 安行藤八; Nishitateno; 道下; Angyo; 中道北; Angyo Ryoke; 中道西; Akayama; city.

判読上の注記

背景の小さな地名の一部は判読不能。確証のない地名の読みは日本語保持。

赤山遺跡西堀の谷埋積堆積物の二つの断面。草本・木本泥炭と地辷りブロックの関係を示す。
原著 188ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

上:Y515;W→E;X458,459,460,461,462,463,464;9m,8,3,2,1;I,II,III,IV,V。下:X455;N→S;Y514,513,512,511,510,509;9m,6,5,4,3;S,I,II,III。凡例番号1~12(各説明は本文の凡例表に収録)。

English translation

Upper section: Y515; W→E; X458, 459, 460, 461, 462, 463, 464; 9m, 8, 3, 2, 1; I, II, III, IV, V. Lower section: X455; N→S; Y514, 513, 512, 511, 510, 509; 9m, 6, 5, 4, 3; S, I, II, III. Legend numbers 1–12 (descriptions are transcribed in the legend table in the main text).

判読上の注記

抽出画像は凡例説明の第4項以後が切れている。全12項は原PDFで確認して本文表へ収録。

赤山陣屋跡遺跡西堀の東西横断面図(上)と南北縦断面図(下)

凡例番号 堆積物
1 表土(S)
2 草本質泥炭(II層)
3 分解質草本質泥炭(II層下部)
4 木本質泥炭(III層)
5 有機質シルトレンズ
6 有機質シルト(IV層)
7 シルト質砂・砂質シルト(V層)
8 地辷り・崖崩れブロック(固結―半固結砂)
9 地辷り・崖崩れブロック(固結―半固結シルト・粘土)
10 埋没土壌
11 ローム層(地辷り・崖崩れブロックを含む)
12 テフラ薄層

(遠藤ほか(1987)に基づく)

KT-18 赤山陣屋跡遺跡における完新世テフラと古環境変遷(続き)

泥炭層が主であるため一次堆積のテフラの保存がよく,全部で14層(上位からAk-a~l)が確認された.最下位のAk-lは鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)に,上部のAk-cとAk-aは榛名二ッ岳火山灰(Hr-FA)と富士宝永スコリア(F-Ho)に対比された.また,下部の木本泥炭に挟在するスコリア質のテフラはいずれも富士火山起源のテフラに対比された.泥炭・泥炭質堆積物という有機物の多い堆積物の構成内容の詳細な記載とテフラの探索にもとづいて,開析谷内の堆積物は大きく6層(上位からS・I~V)に区分された(遠藤ほか,1987;辻,1989).この堆積物から明らかにされた生態系の変化を以下に示す.

文献:遠藤ほか(1987),川口市遺跡調査会編(1987),小杉(1987),辻(1989)

赤山遺跡のSaからV層までの堆積物と植物遺体を、層厚・テフラに対応させた表。
原著 189ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

層序;テフラ;層厚(cm);堆積物記載;主要な植物構成物。S:Sa,Sb;I;II:IIa,IIb,IIc;III:IIIa,IIIb;IV;V。図中テフラ:Ak-a,Ak-b,Ak-e,Ak-f,Ak-g,Ak-h,Ak-i,Ak-j,Ak-k,Ak-l[K-Ah]。各行の層厚・堆積物・植物構成物は本文の表へ全文転記。

English translation

Stratigraphy; tephra; thickness (cm); sediment description; principal plant constituents. S: Sa, Sb; I; II: IIa, IIb, IIc; III: IIIa, IIIb; IV; V. Tephra shown: Ak-a, Ak-b, Ak-e, Ak-f, Ak-g, Ak-h, Ak-i, Ak-j, Ak-k, Ak-l [K-Ah]. The thicknesses, sediments, and plant constituents of all rows are fully transcribed in the main-text table.

層序 層厚(cm) 堆積物記載 主要な植物構成物
S:Sa 30 暗灰褐色土 イネ科・カヤツリグサ属・ザクロソウ果実・種子(Sa・Sb・I共通欄)
S:Sb 25 黒褐色土 イネ科・カヤツリグサ属・ザクロソウ果実・種子(Sa・Sb・I共通欄)
I 5 黒色分解質草本泥炭 イネ科・カヤツリグサ属・ザクロソウ果実・種子(Sa・Sb・I共通欄)
IIa 10 褐色未分解質草本泥炭 スゲ属・ヨシ果実・葉
IIb 80 暗褐色未分解質草本泥炭 スゲ属・ホシクサ属・ヨシ果実・葉
IIc 20 黒色分解質草本泥炭 スゲ属・カヤツリグサ属果実
IIIa 75 褐色未分解質木本(低地林)泥炭 ハンノキ節・トネリコ属埋没林;トチノキ・シデ類・アサダなどの木材・果実・種子;ミゾソバ果実
IIIb 130 灰褐色木本泥炭質シルト・砂 コナラ節・ハンノキ節・トネリコ属などの木材・果実・種子;スゲ属・ミゾソバ果実
IV 30 暗灰色木本泥炭質シルト スゲ属・ミゾソバ果実
V 40 青灰色砂・砂質シルト スゲ属・ネコノメソウ属・ミゾソバ種子・果実
7000年B.P.以降の植生と海水から淡水への変化、水田化を、E1~E5画期とテフラに対応させた図。
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図中文字(日本語)

年代:年B.P.,1000,2000,3000,4000,5000,6000,7000。列:台地―斜面;開析谷;画期と時期;テフラ。台地―斜面:マツ―スギ林;照葉樹林;スギ林[アカガシ亜属];落葉広葉樹の疎林[コナラ属コナラ亜属,クマシデ属,アサダ];落葉広葉樹林[コナラ属コナラ亜属,クマシデ属,アサダ,エノキ,ムクノキ];クリ林(アカメガシワ);落葉広葉樹林[コナラ属コナラ亜属,アサダ,イヌシデ](カヤ)。開析谷:水田;スゲ属―ヨシ属湿地;スゲ属湿地;カヤツリグサ属湿地,ハンノキ林;ハンノキ―ヤチダモ林;(トチノキ),(ミゾソバ);ハンノキ林;ミゾソバ・ネコノメソウ属・スゲ属優占の群落;淡水;海水。縄文晩期遺構;縄文後期遺構。時期I,II,III,IV,V,VI。画期E1,E2,E3,E4,E5。テフラ:K-Ah,R-I,R-II,Yu-1,Yu-2,F-Ho。

English translation

Age: yr B.P., 1000, 2000, 3000, 4000, 5000, 6000, 7000. Columns: upland–slope; dissected valley; transition boundaries and periods; tephra. Upland–slope: pine–Japanese cedar forest; evergreen broadleaved forest; Japanese cedar forest [evergreen oak subgenus]; open deciduous broadleaved forest [deciduous oak subgenus of Quercus, Carpinus, Japanese hop-hornbeam]; deciduous broadleaved forest [deciduous oak subgenus of Quercus, Carpinus, Japanese hop-hornbeam, Japanese hackberry, muku tree]; chestnut forest (akamegashiwa, アカメガシワ); deciduous broadleaved forest [deciduous oak subgenus of Quercus, Japanese hop-hornbeam, Japanese hornbeam] (Japanese torreya). Dissected valley: rice fields; Carex–Phragmites wetland; Carex wetland; Cyperus wetland, alder forest; alder–Japanese ash forest; (Japanese horse chestnut), (mizosoba); alder forest; communities dominated by mizosoba, Chrysosplenium, and Carex; freshwater; seawater. Final Jomon structures; Late Jomon structures. Periods I, II, III, IV, V, VI. Boundaries E1, E2, E3, E4, E5. Tephra: K-Ah, R-I, R-II, Yu-1, Yu-2, F-Ho.

埼玉県川口市赤山陣屋跡遺跡と周辺台地における縄文海進以降の植生変遷,環境変遷史における環境の急変期(画期)・時期区分,およびテフラ層序.辻(1989)を一部改変.[ ]内は主要素,( )内は局地的要素.

KT-19 狭山丘陵における中期更新世テフラ層―多摩ローム層の連続断面―

羽鳥謙三

地点 地名 緯度・経度 標高
a 東京都瑞穂町(瑞穂農芸高校付近) N35°46′26″ E139°21′58″ 170m
b 埼玉県入間市宮寺南矢萩(南方峠) N35°46′54″ E139°23′22″ 140m
c 埼玉県所沢市山口(仏蔵院西方) N35°46′50″ E139°26′36″ 100m

多摩ローム層の層序がもっとも良好に発達する場所は狭山丘陵である.本図における3地点によって狭山丘陵多摩ローム層のほぼ完全な重なりがとらえられる.最下部には芋窪(いもくぼ)礫層,その不整合下は上総層群の三ツ木礫層である.多摩Iローム層のいくつかの露頭上部には多摩IIローム層がゴマシオパミス(Go)を伴って重なることがあるが,多くは見かけ整合的である.多摩IIローム層とくに上半にスコリアを多く含むのに対して,多摩Iローム層は白色パミスを多数はさむ.その最上部付近に挟まれるのが八王子黒雲母テフラ(HBP)である.筆者は作業名としてHBPを含む3枚のパミス群を三ツ組,これより下方にある3枚をまとめてニセミツと呼んでいたが,これらの名称は岡ほか(1972)の多摩ローム記載などに利用された.皆川・町田(1971)ではいくつかのパミス群の分け方が試みられたが,本図における各層とおおむね照合される.

文献:皆川・町田(1971),岡ほか(1972),東京都(1996)

3地点の多摩I・IIローム層をGo、HBP、三ツ組、ニセミツで対比する柱状図。
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図中文字(日本語)

a,b,c;0,10,20m;多摩Iローム層;多摩IIローム層;新期ローム層;芋窪礫層;上総層群;Go;HBP;ミツグミ;ニセミツ。

English translation

a, b, c; 0, 10, 20m; Tama I Loam Formation; Tama II Loam Formation; younger loam formation; Imokubo Gravel Bed; Kazusa Group; Go; HBP; Mitsugumi; Nisemitsu.

a瑞穂町、b宮寺南矢萩、c山口の露頭を矢印で示す3枚の地形図。
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図中文字(日本語)

a.2.5万分の1「青梅」(東京10号-3);瑞穂;194.0;163。b.2.5万分の1「所沢」(東京10号-1);堀之内;175.6;157.8;150。c.2.5万分の1「所沢」(東京10号-1);仏蔵院;堀之内;打越;田端;荒幡;170.3;75。図の上に付随した文献文字は本文文献欄へ収録。

English translation

a: 1:25,000 “Ome” (Tokyo sheet 10-3); Mizuho; 194.0; 163. b: 1:25,000 “Tokorozawa” (Tokyo sheet 10-1); Horinouchi; 175.6; 157.8; 150. c: 1:25,000 “Tokorozawa” (Tokyo sheet 10-1); 仏蔵院; Horinouchi; Uchikoshi; Tabata; Arahata; 170.3; 75. The reference text attached above the maps is included in the main reference list.

判読上の注記

背景の小さな地名・地図端で切れた文字の一部は判読不能。

KT-20 多摩丘陵御殿峠礫層を覆う多摩ローム層

鈴木毅彦

多摩丘陵は古くから研究されている,日本でも代表的な中期更新世に形成された丘陵地形である.この丘陵は御殿(ごてん)峠礫層(かつての相模川の扇状地堆積物)を堆積面とするT1面とおし沼砂礫層(約300kaの海成層)などの堆積面であるT2面からなる.これらを覆うテフラを観察できる露頭は大規模宅地開発にともなう土木工事により多数あらわれ,また同時に消滅していった.現在観察できる露頭は少なく,またそれはいつ消滅するかわからない.ここで紹介する露頭は1995年6月現在で観察できる数少ない貴重な例である.この付近は御殿峠礫層からなるT1面で,2段に細分されるT1面のうち下位の坂下面(皆川・町田,1971)に位置する.下位より多摩,下末吉,武蔵野,立川の各ローム層からなる風成層に覆われる.本露頭ではこのうち多摩ローム層を代表するゴマシオ第1テフラ(GoP1)と八王子黒雲母テフラ(HBP)が観察できる.露頭は大栗川水系と境川水系の分水界に位置し,道路建設により出現した切通しである.現在,芝が植えられているがところによりはがれ,HBP以上から少なくともGoP2まで観察できる.本露頭の北東約1kmの■地点ではHBPから御殿峠礫層にかけて観察できたが現在はコンクリートと芝に覆われている.参考までにこの地点での柱状図も図示する.

文献:町田ほか(1974),皆川・町田(1971),岡・宇野沢(1989)

道路切通しの露頭と北東の比較柱状図地点を示す地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「八王子」(東京11号-3);宅地造成中;三ツ目;小山町;182.3;164;126;■。

English translation

1:25,000 “Hachioji” (Tokyo sheet 11-3); residential development under construction; Mitsume; Oyama Town; 182.3; 164; 126; ■.

判読上の注記

地図の小さな背景文字の一部は判読不能。

GoP1・GoP2・HBPの露出と植被された切通しの斜面を示し、比較地点の礫層までの柱状図を添える。
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図中文字(日本語)

露頭:N;E;S;植被(3箇所);犬走り(4箇所);舗装道路;GoP1(2箇所);GoP2;HBP;15m。■地点柱状図:0,5m;HBP;八王子第2;八王子第1;程久保第3;程久保第2;御殿峠礫層。

English translation

Outcrop: N; E; S; vegetation cover (three occurrences); berm (犬走り, four occurrences); paved road; GoP1 (two occurrences); GoP2; HBP; 15m. Column at the ■ locality: 0, 5m; HBP; Hachioji-2; Hachioji-1; Hodokubo-3; Hodokubo-2; Gotentoge Gravel Bed.

KT-21 山の手台地成増の東京層および成増礫層―酸素同位体ステージ5cの堆積物―

菊地隆男

都心にありながら地層観察ができる通称成増露頭として知られていたこの露頭は,1979年に擁壁工事のためにコンクリートで覆われた.これに先立ち板橋区教育委員会により記録保存が企画されて,環境情報科学センター(代表:松井健)により調査団(団長:新堀友行)が組織され,地質(加藤定男・羽鳥謙三),土壌(細野衛ほか),粘土鉱物(倉林三郎),化石(菊地隆男ほか),標本作成(永塚鎮男)など各分野にわたる分担者による調査が行われた(板橋区教育委員会,1980).本露頭は山の手台地北部にあり地形面は成増面に当たる.観察された地層は以下の通り.最下部の東京層は下位より管状の生痕が密集するシルト層190cm,レンズ状に貝化石を含む中粒砂層90cm,植物化石を含む砂・シルト互層80cm,シルト層90cmからなる.貝化石層は成増貝層と呼ばれ,板橋区徳丸に露出していた徳丸貝層(福田・安藤,1951)と同層準になる.日本近海の内湾の潮間帯から上浅海帯に生息するカガミガイ,オオノガイ,イタヤガイ,ゴイサギガイ,ムギガイなどを多産するほか,寒流系のエゾイシカゲガイ,ホタテガイ,暖流系のハイガイも含む.植物化石にはサワラ,モミ属の葉,ハンノキの実のほか,暖地性のアブラギリの種子が発見されている.東京層を不整合に覆う成増礫層は中礫大の亜円礫を含む砂礫層90cm,トラフ型クロスラミナのある中粒砂層50cm,砂・シルト互層250cmからなり,上位の板橋粘土層に整合に覆われる.礫層は河成で北方からの古流向を示す.成増礫層の上位は灰白色から黄褐色の火山灰質粘土からなる板橋粘土層130cmで,上半部73cmは雲母を含む黄白色軽石質粘土および粘土化した黄色軽石(御岳第1テフラ;On-Pm 1)である.さらに,中部に橙黄色軽石(箱根小原台テフラ;Hk-OP)が散在する下末吉ローム層260cm,下部に厚さ20cmの箱根東京テフラ(Hk-TP)を挟む武蔵野ローム層350cm,姶良Tnテフラ(AT)を挟む立川ローム層170cmが重なる.

文献:福田・安藤(1951),板橋区教育委員会(1980)

赤塚4丁目の成増露頭を矢印で示す地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「赤羽」(東京6号-1);赤塚;松月院;新町工科学[判読不明];浄水場;上赤塚町;田柄町;21.8;20。

English translation

1:25,000 “Akabane” (Tokyo sheet 6-1); Akatsuka; Shogetsuin; 新町工科学[illegible]; water purification plant; Kami-Akatsuka Town; Tagara Town; 21.8; 20.

判読上の注記

学校等の小さな背景文字と一部地図端の文字は判読不能。

成増露頭の40mにわたる断面。東京層から立川ローム層までの地層と指標テフラを示す。
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図中文字(日本語)

縦軸:0,10,20m。横軸:0,10,20,30,40m。上から:立川ローム層,AT;武蔵野ローム層,Hk-TP;下末吉ローム層,Hk-OP;板橋粘土層,On-Pm 1;成増礫層;東京層。

English translation

Vertical axis: 0, 10, 20m. Horizontal axis: 0, 10, 20, 30, 40m. From top to bottom: Tachikawa Loam Formation, AT; Musashino Loam Formation, Hk-TP; Shimosueyoshi Loam Formation, Hk-OP; Itabashi Clay Bed, On-Pm 1; Narimasu Gravel Bed; Tokyo Formation.

KT-22 東京都中野区の北江古田遺跡における更新世・完新世のテフラ

辻誠一郎

北江古田遺跡は中野区江古田三丁目の都立北江古田公園内に位置する.この遺跡の発掘調査は,公園敷地下に河川水量調節池を設置するための工事にともなって実施された.北江古田公園の東側を流れる江古田川とより南側を流れる妙正寺川の両河川流域には,寒冷気候を示唆する植物化石を多産する泥炭層が直良(1954)らにより古くから知られていたが, この遺跡発掘調査によって, 姶良Tnテフラ(AT)をはじめ夥しい枚数のスコリア質テフラを挾在する泥炭・泥炭質堆積物が確認され,立川期の模式の一つとされるいわゆる江古田層の層序・編年の再検討を行う上での新しい資料がもたらされることになった.現地は発掘調査終了後ただちに工事に入ったが,江古田層の重要性が多少とも認識されたため,公園内には地層断面が見られるように一部を透明プラスチック板で覆い,解説を付している.確認された堆積物は,不整合にもとづいて上位からS,A~Hの9層に大きく区分された.さらに放射性炭素年代,花粉化石群・大型植物化石群・木材化石群といった植物化石群を総合して,C層とD層の不整合をもって更新世堆積物と完新世堆積物に大きく2分された.両堆積物の層相も著しく異なり,D層以下が全般に火山灰質で褐色の泥炭からなるのに対して,C層以上は火山灰質になることはほとんどなく,黒色ないし黒灰色のシルト・草本泥炭からなる.D・E層の年代は約20kaないし30kaと見積もられた.E層最上部にはATを挟在する.E層にはATを含め計50層の一次堆積のテフラが挟在する. これらのほとんどはスコリア質のテフラで,富士火山に起源すると考えられる. C層以上からは縄文時代以降の夥しい遺物群が出土した.

文献:直良(1954),辻ほか(1987)

北江古田遺跡の位置図。江古田・江原町と病院・学校が示される。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「東京西部」(東京6号-2)。米町、江古田一丁目・二丁目、沼袋一丁目・二丁目、江原町一丁目・二丁目、豊玉南、養護学校、病院、武蔵大学、江古田川。黒四角=地点。

English translation

1:25,000 “Tokyo Seibu” (Tokyo 6-2). 米町; Ekoda 1-/2-chome; Numabukuro 1-/2-chome; Eharacho 1-/2-chome; Toyotama-Minami; special-needs school; hospital; Musashi University; Ekodagawa. Black square: locality.

判読上の注記

地図の微小注記 — 学校名や細い街区の一部字形は原画像でも不鮮明。

北江古田遺跡6地点の柱状対比と放射性炭素年代。
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図中文字(日本語)

地点P-12、P-1、P-6、P-7a、P-5、P-4。標高m:29、30、31、32。層S、A、B(Ba、Bb)、C(Ca、Cb、Cc)、D、E(Ea、Eb、Ec、Ed、Ee、Ef、Eg、Eh、Ei)、F、G。47、1。AT:姶良Tnテフラ。TP:箱根東京軽石。放射性炭素年代:C-1 22400±400(GaK-12905);C-2 32020±1730(GaK-12907);C-3 >35450(GaK-12908);C-4 >35500(GaK-12909);C-5 29440±1650(GaK-12910);C-6 >33720(GaK-12906)。凡例:表土(S)、土壌、泥炭、シルト・粘土、テフラ、砂、れき、砂質シルト・シルト質砂。

English translation

Localities P-12, P-1, P-6, P-7a, P-5, P-4. Elevation (m): 29, 30, 31, 32. Units S, A, B (Ba, Bb), C (Ca, Cb, Cc), D, E (Ea, Eb, Ec, Ed, Ee, Ef, Eg, Eh, Ei), F, G. 47, 1. AT: Aira-Tn tephra. TP: Hakone-Tokyo pumice. Radiocarbon ages: C-1 22400±400 (GaK-12905); C-2 32020±1730 (GaK-12907); C-3 >35450 (GaK-12908); C-4 >35500 (GaK-12909); C-5 29440±1650 (GaK-12910); C-6 >33720 (GaK-12906). Legend: topsoil (S), soil, peat, silt/clay, tephra, sand, gravel, sandy silt/silty sand.

KT-23 武蔵野台地東部,目黒大橋遺跡のテフラ層位

両角まり・建石徹・上杉陽・上本進二・松田隆夫

本遺跡(目黒大橋遺跡調査会,1966)は,武蔵野台地東南部目黒川北岸の武蔵野期舌状台地突端に立地する.第3機動隊駐屯地東側に当たる.江戸期は御鷹場で,明治以降は軍用地であったため,区内にあっては珍しく表土から保存が良い.ここは富士山頂からN70°E方向92km地点にあたり,50km地点宮が瀬遺跡群地域と比べて層厚が25~40%程度に減ずるものの,各テフラ層は大差なく肉眼で識別できる.地下5mに佐護・町田(1996)が三瓶池田(SI)に対比した含雲母グリース状火山灰(Gr;愛鷹ローム団体研究グループ,1969)=Y-97′(上杉ほか,1980)がある.その年代は,叶内・杉原(1994)によれば,約38.3kaである.また,箱根火山中央火口丘からのY-94(BCVA),白色軽石片~岩片が準鍵層となる.Y-97′の15~40cm上位に暗色帯がある.武蔵野考古学基本土層のXb暗色帯あるいはさらに古いものである.Y-94~Y-108′(30~40ka)間には武蔵野で「いもいし」と称される扁平礫~楕円体礫(径1~2cm中心)が散在する.VII層(27.5~28ka?)からは剥片類が,IV層下部からV層上部(27.5~28ka?)からはナイフ型石器・角錐状石器・剥片が出土する.古富士火山最末期のY-141-1~3期(11.2~12.5ka;上杉,1990)からは草創期の撚糸文系土器や石器が出土する.新富士火山期(10.5ka以降)のS-5層を中心に加曽利E式土器が大量に出土する.後期後半~晩期(S-10~S-21;2.2~3.1ka)のテフラ層は消失しており,遺物は発見できない.この時期のテフラや遺物は台地下の斜面や低地下で発見される例が多い.これらの層位関係は,相模野~武蔵野地域で共通しており,鉱物分析結果をも併用することにより,台地間の細かい対比は可能である.

Ωは遺物,詳細は上杉ほか(1992)

文献:愛鷹ローム団体研究グループ(1969),叶内・杉原(1994),佐護・町田(1996),目黒大橋遺跡調査会(1996),上本ほか(1994),上杉(1990),上杉ほか(1980,1992)

目黒大橋遺跡の全テフラ柱状図。遺物・暗色帯・武蔵野基本層序を併記。
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図中文字(日本語)

テフラ番号/斜交層準・層厚/Ω(遺物)/準武蔵野基本層序。上→下:煉瓦、盛土II 30、玉砂利、盛土I 15、小砂利混砂泥;S-25[宝永sc]10、近代~江戸 Ib;10、古代 Ic;8、弥生 Id;S-22[湯舟2]5★;10、中後期 Id~IIa;S-4~5 12・10、縄文中期 IIbu;S-0-4~6 15、縄文中期~早期 IIcu;S-0-1~3 10、草創期・撚糸文系土器・黄粉色火山灰 IIcl;★★★;Y-141-1~3 20、草創期・細石刃類 III;★;IV;Y-137 15・10・10、黒色岩片帯;Y-127~129 9、Ωナイフ形石器・角錐状石器 IV、Ω剥片類 V;Y-122 30、暗色帯;S1S;Y-119~121 15、暗色帯 V;AT;Y-115~Y-114 13・10、VI;VII暗色帯;Y-113 20、CCP-13?、Ω剥片類・灰色軽石;Y-112 20、Ω剥片類・暗色帯 VII・VIII;Y-108′? 12、Ω?礫 IX;Y-108 13、白色岩片 IX;Y-107? 10、明黄褐色粘土質風化帯 X;Y-105~106? 10、白色軽石;Y-103~104? 9;Y-103 12★;15・10・8・15、暗色帯;Y-98~99 CCP-8 15、グリース状雲母;Y-97 8、Ω?礫;Y-96 15、Ω?礫;CCP-6 Y-95 23、Ω?礫 XII?;30、XII;箱根火山CCP-5;Y-94[BCVA]、青色微細気孔スコリア XIV;硬黄褐色粘土質風化帯。

English translation

Tephra number / cross-cutting horizon and thickness / Ω (artifacts) / quasi-Musashino standard succession. Top to bottom: brick, fill II 30, rounded gravel, fill I 15, fine gravel mixed with sandy mud; S-25 [Hoei sc] 10, modern–Edo Ib; 10, ancient Ic; 8, Yayoi Id; S-22 [Yufune 2] 5★; 10, Middle/Late Id–IIa; S-4–5 12, 10, Middle Jomon IIbu; S-0-4–6 15, Middle–Early Jomon IIcu; S-0-1–3 10, Incipient Jomon, twisted-cord pottery, yellow powdery volcanic ash IIcl; ★★★; Y-141-1–3 20, Incipient Jomon, microblades III; ★; IV; Y-137 15,10,10, black lithic-fragment band; Y-127–129 9, Ω backed knives and pyramidal tools IV, Ω flakes V; Y-122 30, dark band; S1S; Y-119–121 15, dark band V; AT; Y-115–Y-114 13,10, VI; VII dark band; Y-113 20, CCP-13?, Ω flakes, gray pumice; Y-112 20, Ω flakes, dark band VII/VIII; Y-108′? 12, Ω? gravel IX; Y-108 13, white lithics IX; Y-107? 10, bright yellow-brown clayey weathered zone X; Y-105–106? 10, white pumice; Y-103–104? 9; Y-103 12★; 15,10,8,15, dark band; Y-98–99 CCP-8 15, greasy mica; Y-97 8, Ω? gravel; Y-96 15, Ω? gravel; CCP-6 Y-95 23, Ω? gravel XII?; 30, XII; Hakone Volcano CCP-5; Y-94 [BCVA], blue scoria with fine vesicles XIV; hard yellow-brown clayey weathered zone.

目黒大橋遺跡の東京西南部地図。画像上縁に文献欄も含む。
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図中文字(日本語)

文献:愛鷹ローム団体研究グループ(1969)、叶内・杉原(1994)、佐護・町田(1996)、目黒大橋遺跡調査会(1996)、上本ほか(1994)、上杉(1990)、上杉ほか(1980、1992)。2.5万分の1「東京西南部」(東京7号-1)。東京大学教養学部、駒場一丁目・二丁目・四丁目、大橋一丁目・二丁目、池尻二丁目・四丁目、世田谷公園、目黒川。

English translation

References: 愛鷹ローム団体研究グループ (1969), 叶内・杉原 (1994), 佐護・町田 (1996), 目黒大橋遺跡調査会 (1996), 上本 et al. (1994), 上杉 (1990), 上杉 et al. (1980,1992). 1:25,000 “Tokyo Seinan” (Tokyo 7-1). College of Arts and Sciences, University of Tokyo; Komaba 1-/2-/4-chome; Ohashi 1-/2-chome; Ikejiri 2-/4-chome; Setagaya Park; Megurogawa.

KT-24 調布市野川遺跡のテフラ層位

小田静夫

本遺跡は武蔵野台地の西南縁,多摩川に接した立川段丘面,国分寺崖線に沿って流れる野川に臨む南側の舌状台地上に位置する.発掘調査は野川の河川改修に伴う緊急の大発掘で,考古学と自然科学分野が協力した我が国最初の旧石器時代遺跡の組織的な調査であった.立川ローム層中に10枚の旧石器時代文化層が確認され,前年に調査された神奈川県月見野遺跡群の成果と合わせ「月見野・野川以前,以後」という,日本の旧石器文化研究史上の画期を成した.遺跡地は当時,国際基督教大学のゴルフ・コースの一部であったが,現在は都立野川公園として整備されている.本遺跡に堆積した5mに及ぶ完新世,更新世テフラは,考古学者の経験的な肉眼的識別で13枚の自然層に分けられた.第I層は表土の黒色土層で,台地傾斜部では下に向かって厚さを増して,谷底では黒味が強い泥炭質になっている.第II層は黒褐色土層で,上部から下部に行くほど褐色が強く土質も細かく砂質を帯びている.縄文時代(約3~12ka)の遺溝,遺物がこの層から発見される.また,この第II層はこの地域で「表土・耕作土」と呼ばれる擾乱層下に,一般的に認められるプライマリーな黒褐色土層である.ここまでが完新世の層準に相当する.更新世テフラの立川ローム層は,第III層から始まる.このIII層は通称ソフト・ロームと呼ばれる黄褐色軟質ロームで,下底部は凹凸が激しい不連続線を示し,これは本来の硬質ローム(第IV層以下)が二次的に膨軟化した再形成層と考えられる.本遺跡では旧石器時代文化層IIIの包含層に相当する.第IV層は通称ハード・ロームと呼ばれる褐色硬質ローム部分である.本遺跡では約20cm下に黒色帯が認められたことから,この黒色帯を境にIVa,IVb,IVc層に3分された.そして,このIVb層はこの地域で新たに確認された立川ローム中の黒色帯で従来の黒色帯1の上にあることから黒色帯0(BB0)と呼ばれた.第IV層からは旧石器時代の文化層が5枚(文化層IV-1,IV-2,IV-3,IV-3b,IV-4)発見された.第V層は暗褐色ロームで,黒色帯1(BB1)に相当し,旧石器時代文化層Vが発見された.第VI層は黄褐色ロームで,下半部に姶良Tnテフラ(AT;21~24ka)が堆積している.旧石器時代文化層VIが発見された.第VII層から暗褐色ロームで黒色帯2(BBII)に入り,ふつう70~80cmの層厚がある.本遺跡では約40cm下に橙褐色ロームが介在することから,この部分を中間に黒色帯2をVII(BBIIa),VIII,IX(BBIIb)層に3分された.この黒色帯上半部から旧石器時代文化層VII,VIIIが発見された.本遺跡では黒色帯下半部のIX層以下には文化層は確認されなかった.第X層は褐色ロームでやや軟質である.この層あたりから,イモ石と呼ばれるチャート,砂岩の小礫が包含されてくる.このイモ石は武蔵野段丘面の遺跡からも認められ,何らかの自然現象でローム中に堆積した自然河床礫である.第XI層は黄白褐色ロームで軟質であり,下半部は砂質層になっている.第XII層は青灰色砂層で所々に橙褐色のしもふりの褐鉄鉱付着部分が認められる.第XIII層は拳大の円礫を主体にした礫層で,立川礫層(TcL)に相当する.本遺跡で確認された層準は,立川ローム研究の標識地域であったことから,これ以後の武蔵野台地・立川ロームの基本セクションとして多用されている.

文献:キダー(1995),小林ほか(1971),野川遺跡調査会(1970),小田(1983)

野川遺跡と国際基督教大学の位置図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「吉祥寺」(東京6号-3)。国際基督教大学、大学院、野川、大沢一丁目・二丁目・四丁目、野水一丁目・二丁目、調布、天文台、神明。

English translation

1:25,000 “Kichijoji” (Tokyo 6-3). International Christian University; graduate school; Nogawa; Osawa 1-/2-/4-chome; Nomizu 1-/2-chome; Chofu; observatory; Shinmei.

野川遺跡の13自然層とBB0・BBI・AT・BBII・立川礫の柱状図。
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図中文字(日本語)

深度0、1、2、3、4、5m。上→下:I、II、III、IVa、IVb(BB0)、IVc、V(BBI)、VI(AT)、VII(BBIIa)、VIII、IX(BBIIb)、X、XI、XII、XIII(TcG)。

English translation

Depth: 0,1,2,3,4,5 m. Top to bottom: I,II,III,IVa,IVb (BB0),IVc,V (BBI),VI (AT),VII (BBIIa),VIII,IX (BBIIb),X,XI,XII,XIII (TcG).

KT-25 大和市月見野遺跡群のテフラ層位

小田静夫

本遺跡は相模野台地の東縁を流れる境川の支流,黒目川の中流域に沿った旧石器時代を中心にした遺跡群である.この中流域には約20カ所の遺跡が集中して発見されていた.発掘調査は大和市北部の区画整理事業に伴う緊急調査で,約2kmの範囲に存在する10カ所の遺跡が対象になった.遺跡地の大半はすでに造成工事が入り,表土の黒色土は削平されローム層が各所で露出し,多くの石器・礫などが断面に確認されていた.したがって,発掘は削平面からはじめられ,各遺跡間の層準対比は特徴的な黒色帯,スコリア層などを手掛かりにしている.当地は現在,田園の住宅地として整備されてしまった.本遺跡群の調査によって,10遺跡から合計17の石器群が確認された.また,石器群相互の対比から,相模野台地の旧石器編年及び一河川流域における旧石器人の行動が把握された意義は大きい.この月見野遺跡群と東京野川遺跡の発掘調査は「月見野・野川以前,以後」という,岩宿遺跡発見以来の日本の旧石器時代研究史の画期を成した.本遺跡に堆積した完新世,更新世テフラは,考古学者の経験的な肉眼的識別で14枚の自然層に分けられた.表土は約1mの層厚をもつ黒色土で,上半はスコリア質,下半部にいくと粘土質になり,漸次褐色になりローム層に移行していく.多くの地点でこの黒色土は工事で削平されていた.次に更新世テフラであるが,本遺跡群は相模野台地の段丘面で第三番目の相模野面に位置し,武蔵野台地の武蔵野面に対比され立川,武蔵野ロームが堆積している.立川ローム層の厚さは,武蔵野台地の倍の7m以上にも達している.まずローム最上部は,ローム層1軟質部(L1S)で槍先形尖頭器を中心にした石器群が第IVA遺跡から出土した.次は暗色帯0(BO)であるが無遺物層であった.次はローム層1硬質部(L1H)であり,第IIIA, IIIB, IIID, IVA, IVC遺跡から槍先形尖頭器, ナイフ形石器が発見された. 次は暗色帯1(B1)で第I, II, IIIA, IIIB, IIID, IVA, IVC遺跡からナイフ形石器を中心に槍先形尖頭器が若干出土した.次はローム層2(L2)で,第IIIC遺跡からナイフ形石器,槍先形尖頭器が出土した.次は暗色帯2上半部(B2U)で,第IIIC,IVD遺跡からナイフ形石器を主体にした石器群が出土した.次は暗色帯2下半部(B2L)で,第IVB遺跡から茂呂型ナイフ形石器に類似したナイフ形石器が出土している.遺物が文化層として確認されたのはこの層までで,次のローム層3(L3),暗色帯3(BB3),ローム層4(L4)からは把握されなかったが,一部礫群が暗色帯3(BB3)に発見されている.本遺跡群の石器文化は,武蔵野台地の層準と対比した結果は,すべて立川ローム層中に包含されていたものである.その鍵層になったのは,ローム層3(L3)中に相模野上位スコリア(S1S)が上部に,その下部に姶良Tnテフラ(AT;21~24ka)が認められたのである.このATは武蔵野台地では,立川ローム第1黒色帯(BB1)下の第VI層下部に堆積している火山ガラスである.

文献:小野(1979),鈴木・矢島(1978),戸沢・安蒜(1983),月見野遺跡群調査団(1969)

月見野遺跡群I–IVの分布を示す原町田地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「原町田」(東京11号-2)。I、II、III、IV。町田七丁目・八丁目、南つくし野、南成瀬、南町田、中央林間六丁目・七丁目、つきみ野一丁目・四丁目・五丁目・六丁目・七丁目・八丁目、大和市、黒目川、78.6。

English translation

1:25,000 “Haramachida” (Tokyo 11-2). I,II,III,IV. Machida 7-/8-chome; Minami-Tsukushino; Minami-Naruse; Minami-Machida; Chuo-Rinkan 6-/7-chome; Tsukimino 1-/4-/5-/6-/7-/8-chome; Yamato City; Kuromegawa; 78.6.

月見野遺跡群のローム層と暗色帯、S1S・AT・S2Sの柱状図。
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図中文字(日本語)

深度0、5m。上→下:L1S、B0、L1H、B1、L2、B2U、B2L、L3(S1S、AT)、B3、L4、[中略された区間]、B5、L5、B6、L6(S2S)。

English translation

Depth: 0,5 m. Top to bottom: L1S,B0,L1H,B1,L2,B2U,B2L,L3 (S1S,AT),B3,L4,[omitted interval in the column],B5,L5,B6,L6 (S2S).

KT-26 神奈川県秦野盆地の河成礫層群とそれを切る秦野断層-富士・箱根系テフラ群と広域テフラー

上杉陽・内田法英・千葉達朗・関東第四紀研究会

本露頭は葛葉川にかかる国道246号線新九沢橋直下北側に位置する.大磯丘陵~秦野盆地に分布する関東第四紀研究会(1987)の吉沢(下末吉)層下部(100~140ka),岩倉礫層(55~70ka),才ヶ戸礫層(40~50ka),今泉礫層群(25~35ka),尾尻礫層群(10~20ka)の河成相を全て観察できる.ここは秦野盆地北東縁の小金沢から落合~本露頭域を経て西南西富士見町にいたる3~4kmの秦野断層~秦野撓曲崖(Kaneko,1971)の模式地でもある(上杉ほか,1981).ここから下流側2kmにわたって攻撃斜面側に露頭が連続し,姶良Tnテフラ(AT;町田・新井,1992)=Y-118番テフラ(上杉ほか,1992)を含む富士系~箱根系などのテフラ群やそれを切る尾尻礫層が南東に傾動するのを観察できる.尾尻礫層を切る派生断層(図)も確認されており,変位は20ka以降も続いていると推定できる(千葉,1983),各層は古いものほど強く傾動しており, 岩倉礫層下部~吉沢(ローム)層下部は逆転し北傾斜となる例が多い.傾動率はどの層も1~1.5°/1000年で大差がない.この撓曲崖での今泉面の落差は45mであり,吉沢ローム層の箱根吉沢下部13~14テフラ(Hk-KlP13~14;町田・新井,1992)で離水する吉沢面の等高線図は図のスケッチの位置を中心とするENE-WSW方向,南落ちの撓曲構造の存在を示し,その位置や北西への逆傾斜は,尾尻面や今泉面を切る撓曲崖の位置,その北西への傾動と整合的である(内田ほか,1981).長瀬ほか(1982)によれば,この断層による箱根東京軽石流堆積物基底の変位量は72mに達している. 文献:千葉(1983),Kaneko(1971),関東第四紀研究会(1987),町田・新井(1992),長瀬ほか(1982),内田ほか(1981),上杉ほか(1981,1992)1:N75E・35S,2:EW・33S,3:N83E・37S,4:N80E・50S,5:N85E・59S,6:N75W・65S,7:N80W・60S,8:EW・67S,9:N80E・70S,10:N75E・50N,11:N85E・75S,12:N60E・15N,13:N70E・40S,14:EW・90,15:N75E・50N,16:N10W・30S,17:N85W・80N,18:EW・75S,19:N80W・50N,20:N45W・50N,21:N65W・90,22:N80W・35S。内田(1981),上杉ほか(1981),千葉(1983)に加筆修正

葛葉川沿いの秦野断層模式露頭を示す秦野地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「秦野」(東京16号-2)。上原、西、名古木、小金沢、落合、秦野、団地、国道246、78、104。太矢印=露頭。

English translation

1:25,000 “Hadano” (Tokyo 16-2). Uehara, Nishi, Nagoki, Koganezawa, Ochiai, Hadano, housing estate, National Route 246, 78,104. Thick arrow: exposure.

秦野断層沿いの傾動・断層を示すスケッチと22観測点。
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図中文字(日本語)

⇒上流側N20S。今泉礫層、才ヶ戸礫層、尾尻礫層、岩倉礫層、葛葉第2礫層。TP 東京軽石;MB 武蔵野埋没土;MP 三浦軽石;OP 小原台軽石;Pm-1 木曽御岳第1軽石。D′:Kmp-8;B:Kmp-8;P′:Klp-14;P:Klp-13;Q:Klp-12;U:Klp-6;V:Klp-7。地点1–22、尺度0–2m。

English translation

⇒Upstream N20S [as printed]. Imaizumi, Saigato, Ojiri, Iwakura, and Kuzuhagawa-2 gravel. TP: Tokyo pumice; MB: Musashino buried soil; MP: Miura pumice; OP: Obaradai pumice; Pm-1: Kiso-Ontake-1 pumice. D′: Kmp-8; B: Kmp-8; P′: Klp-14; P: Klp-13; Q: Klp-12; U: Klp-6; V: Klp-7. Points 1–22; scale 0–2 m.

KT-27 神奈川県丹沢山地南東縁,神戸・上宿遺跡のテフラ層位

上杉陽・御堂島正・上本進二・木村吉行・阿部友寿・柏木善治

東名高速道路の拡幅に伴って調査された神戸・上宿(ごうどかみじゅく)遺跡(かながわ考古学財団,1994)は上粕屋扇状地群中の南北に伸びる狭い台地上にある.西側山地と東側伊勢原台地間の牧馬-煤ケ谷構造線凹地内にあり,立川期~武蔵野期の扇状地群は相対的に沈降を続け,その縁辺部は沖積低地下に埋没する.沖積面より高い位置にはほとんどテフラのみが露出し,洪水性砂礫層を挟在することがある.ここは富士山頂からN85°E方向50km地点にあたり,延長方向には相模野台地吉岡遺跡群,千葉県君津郡袖ヶ浦町がある.各テフラ層は肉眼で識別可能である.地表下5~6mに,池田ほか(1995)により,平均24.5kaとされたY-118(姶良Tnテフラ;AT)がある.また,Y-128上半部には箱根系白色軽石礫(Hk-CCP-16;上杉ほか,1996)が挟在する.本層準には富士東麓では古富士系火砕流が,箱根火山西麓では箱根系火砕流が挾在する(上杉ほか,1992).その年代は概略18kaで,相模野考古学基本土層(上本ほか,1994)のL2最下部指標層準として重要である.相模野考古学基本土層B1直上,ハードローム最下部Y-137-1~2から槍先形尖頭器が出土する.Y-137-4最上部(概略14ka?)は朱肉色風化帯~灰色漂白帯となることもあるが,一般には暗色帯で相模野B0層準と呼ばれる.古富士火山最末期のY-141-3(11.2~11.7ka?)は一般に締まった黒色腐植土層となっている地点が多く,赤褐色スコリア礫や黒色溶岩片を多量に含む.その上位の新富士火山起源の黒土層(6.1~10.5ka)はきなこ状のふかふかした細粒火山灰(S-0-1~6)が母材である(上杉ほか,1993).S-1~3'中から縄文前期土器が,S-5~8から縄文中期の土器が出土する.ここにはS-9~11を切る古代初期の住居址があり,覆土中に奈良平安期の遺物が散在する.1707年の宝永スコリア層直下からは中世の陶磁器類が出土する.

文献:池田ほか(1995),かながわ考古学財団(1994),町田・新井(1992),上本ほか(1994),上杉(1990),上杉ほか(1992,1993,1996)Ωは遺物,細かい凡例は上杉ほか(1992)参照

伊勢原市神戸・上宿遺跡の位置図。上部に文献欄。
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図中文字(日本語)

文献:池田ほか(1995),かながわ考古学財団(1994),町田・新井(1992),上本ほか(1994),上杉(1990),上杉ほか(1992,1993,1996)。2.5万分の1「伊勢原」(東京12号-4)。栗原、神戸、坪内、串橋、鈴川、68、44.3、40、12.7。

English translation

References: 池田 et al. (1995), かながわ考古学財団 (1994), 町田・新井 (1992), 上本 et al. (1994), 上杉 (1990), 上杉 et al. (1992,1993,1996). 1:25,000 “Isehara” (Tokyo 12-4). Kurihara, Godo, Tsubouchi, Kushihashi, Suzukawa; 68,44.3,40,12.7.

神戸・上宿遺跡のテフラ柱状図。ATから宝永スコリアまでの全層厚・遺物・対比。
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図中文字(日本語)

テフラ番号/層厚/遺物・層相/相模野基本土層。Ω=遺物。

層・番号 層厚(原図数字) 記述 対比
最上部 20 円礫入り盛り土
S-25 宝永 25;12;8 押し固め、灰黒色微細気孔、Ω中世陶磁器類
S-24グループ 10;13 Ω平安覆土層、Ω奈良覆土層
S-9~11 10★ Ω竪床
S-5~6 15 Ω縄文中期
S-4? 5 [注記なし]
S-1 15 Ω縄文前期 フジクロ
S-0-1~6 13 黄粉状火山灰
Y-141-3 10 締まった黒色腐植土 漸移層
Y-141-2 15 灰白色・赤紫色岩片 漸移層
Y-141-1 13 黒色微密岩片、赤褐色スコリア 漸移層
Y-139 15 赤褐色スコリア ソフト
Y-138 13 硬青黒色スコリア ソフト
Y-137-4 15 Ω剥片、礫;緑密黒色・赤紫色岩片 B0
Y-137-3 15 黒色スコリア ハードローム
Y-137-2 20 赤褐色スコリア ハードローム
Y-137-1 20 Ω槍先形尖頭器 ハードローム
Y-136~133 10 剥片状岩片 B1
Y-132-4 12 赤褐色スコリア L2
Y-132-1 15 黒緑色岩片 L2
Y-131? 5 [注記なし] L2
Y-130-3~5 20 硬青黒色スコリア[CCP-17] L2
Y-130-1~2 15 黒紫色岩片・白色岩片、硬青黒色スコリア L2
Y-129-4~5 30 硬青黒色スコリアと[続く記号] L2
Y-129-3 27 赤紫色スコリアの互層(全体に海老茶色) L2
Y-129-2 15 [同互層] L2
Y-129-1 10 [箱根火山CCP-16]黄白色軽石(10~5mm) L2
Y-128 10 白色軽石、白色岩片 L2
Y-127など 15 [CCP-15]上部に白色岩片 L2
Y-126 17 [注記なし] B2
Y-125 20 石炭殻状、黒色スコリア B2
Y-124 25 石炭殻状、黒色微細気孔スコリア B2
Y-123′ 15 石炭殻状 B2
Y-123 17 石炭殻状、黒~赤褐色スコリア B2
Y-122 50 黒色細気孔スコリア、青色剥片状岩片、赤褐色スコリア L3
Y-121[S1S] 40 黒色スコリア、青黒色岩片 L3
Y-120 20 黒色岩片 L3
Y-119 [なし] [注記なし] L3
Y-117~118 15 白色ガラス質火山灰[AT] L3

English translation

Tephra number / thickness / artifacts and facies / standard Sagamino soil succession. Ω: artifacts. フジクロ: Fuji Black Soil; ソフト: soft loam; ハードローム: hard loam; 漸移層: transition layer.

Layer / number Thickness (numbers as printed) Description Correlation
最上部 20 Fill containing rounded gravel
S-25 宝永 25;12;8 Compacted; gray-black with fine vesicles; Ω medieval ceramics
S-24グループ 10;13 Ω Heian and Nara dwelling-fill layers
S-9~11 10★ Ω pit-dwelling floor
S-5~6 15 Ω Middle Jomon
S-4? 5 [No annotation]
S-1 15 Ω Early Jomon フジクロ
S-0-1~6 13 Yellow powdery volcanic ash
Y-141-3 10 Compact black humic soil 漸移層
Y-141-2 15 Gray-white and reddish-purple lithics 漸移層
Y-141-1 13 Black fine dense lithics; reddish-brown scoria 漸移層
Y-139 15 Reddish-brown scoria ソフト
Y-138 13 Hard blue-black scoria ソフト
Y-137-4 15 Ω flakes and gravel; green dense black and reddish-purple lithics B0
Y-137-3 15 Black scoria ハードローム
Y-137-2 20 Reddish-brown scoria ハードローム
Y-137-1 20 Ω lanceolate projectile points ハードローム
Y-136~133 10 Flaky lithics B1
Y-132-4 12 Reddish-brown scoria L2
Y-132-1 15 Black-green lithics L2
Y-131? 5 [No annotation] L2
Y-130-3~5 20 Hard blue-black scoria [CCP-17] L2
Y-130-1~2 15 Black-purple and white lithics; hard blue-black scoria L2
Y-129-4~5 30 Hard blue-black scoria and [continuation mark] L2
Y-129-3 27 Alternating reddish-purple scoria beds (overall shrimp-brown) L2
Y-129-2 15 [Same alternating beds] L2
Y-129-1 10 [Hakone Volcano CCP-16] yellow-white pumice (10–5 mm) L2
Y-128 10 White pumice and white lithics L2
Y-127など 15 [CCP-15] white lithics above L2
Y-126 17 [No annotation] B2
Y-125 20 Coal-cinder-like; black scoria B2
Y-124 25 Coal-cinder-like; black scoria with fine vesicles B2
Y-123′ 15 Coal-cinder-like B2
Y-123 17 Coal-cinder-like; black to reddish-brown scoria B2
Y-122 50 Black finely vesicular scoria, blue flaky lithics, reddish-brown scoria L3
Y-121[S1S] 40 Black scoria; blue-black lithics L3
Y-120 20 Black lithics L3
Y-119 [なし] [No annotation] L3
Y-117~118 15 White glassy volcanic ash [AT] L3

KT-28 神奈川県綾瀬市蟹ヶ谷,吉岡遺跡群のテフラ層位

上杉陽・白石浩之・上本進二・砂田佳弘・米澤宏・由井将雄

本遺跡群は富士山からN84°E方向63km,箱根火山中央火口丘からN60°E方向42kmの位置にあり,両火山のテフラを順次追うことにより,遺物包含層のテフラ層位(上杉,1990;上杉ほか,1992)をほとんど肉眼で識別できる.ここは100~140kaの海成砂層およびそれを覆うテフラ層から構成される高座丘陵の北端部にあり,本遺跡群中央凹地部は海成層上面高度が周囲より5~8mも低い局地的沈降帯で,テフラはしばしば青灰色還元色を呈する.ここに西側の1段低い相模野面地域から細い谷が入り込み,中央部で蟹の足状に側谷を拡げる.こうした地形・水理環境は一方で絶好の水場~狩猟の場を与えたが,縦横に走る多方向の小断層を発生させ,人々は地割れや崩落に苦しめられた(米澤ほか,投稿中;上杉ほか,投稿中;上本ほか,投稿中).約3.1kaのS-10期直前の大規模崩落は箱根火山で芦ノ湖を再生した山崩れ・火砕流(上杉ほか,1992)とほぼ同時期に発生している.遺物が検出されるのは,概略35kaのY-101~102(台形様石器,ナイフ形石器),Y-105~108(台形様石器,局部磨製石斧),Y-110~113(楔形石器),Y-115(ナイフ形石器),Y-123~126(ナイフ形石器,切出形石器,角錐状石器),Y-133~136(ナイフ形石器,槍先形尖頭器),Y-137~140≒L1H~B0~L1S(尖頭器,細石器),Y-141-3~1≒黒土層下半部~漸移層(片刃石斧,有舌尖頭器),S-0-6?(縄文早期後半条痕文土器),S-3?(前期諸磯b式土器),S-5~7?(中期勝坂式土器),S-8~9?(後期堀之内式土器)である(白石・加藤,1996;砂田・縄野,1996).Y-99~95からは,濃緑色凝灰岩製の円礫(径1~2cm;いもいし)が検出される.愛鷹山麓三明寺遺跡でも,東京都目黒大橋遺跡でも,ほぼ同層準で検出される.今後とも,出土状況ないしは「いもいし」そのものの観察が必要である.

文献:白石・加藤(1996),砂田・縄野(1996),上本ほか(投稿中),上杉(1990),上杉ほか(1992,投稿中),米澤ほか(投稿中)Ωは遺物,★は斜交関係,∠は崩落,凡例の詳細は上杉ほか(1992)参照

吉岡遺跡群の65番までの柱状図、肉眼的特徴、全層厚・遺物・テフラ対比と座間地図。
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図中文字(日本語)

テフラ番号/層厚/層相/肉眼的特徴/標準テフラ番号~相模野基本土層名。Ω遺物、★斜交関係、∠崩落。地図:2.5万分の1「座間」(東京12号-1)。学校、中学校、八次谷、芦久保、城山、江戸道南、内込、吉岡、根、新道、48.3、49.6。画像左上の本文・文献は本文欄に全文復元。

層・番号 層厚(原図数字) 記述 対比
0 100~0 1923年関東大地震?、Ω江戸~明治陶磁器・土坑
1 70~5 軽石入り微細気孔スコリア S-25
2・3 15 Ω近現・崩落・道路崩壊 S-24-9~10
4 10 焼土 S-24-8
5~7 25~15 Ω7世紀前半竪穴住居跡、赤褐色スコリア S-23~24-7
8 10 赤褐色~紫褐色硬いスコリア、Ω剥片・赤紫色岩片 S-22 2200 years B.P.
9~11 20★ 灰色微細気孔スコリア、重い灰黒色細気孔岩片 S-18~18′;S-13′?;S-10~12?
12~14 20 青緑色岩片 S-7~9 3250 years B.P.
15 15 緑塊・赤紫色岩片・スコリア S-5~6′
16 15 赤紫色岩片 S-4
17~19 15~25 暗褐b式 褐色スコリア、赤褐色スコリア、∠灰色火山砂 S-3;S-1~ 6100 years B.P.
20 10~15 Ω条痕文、泡壁状ガラス散在 S-0-6′;アカホヤK-Ah
21 12~25 黒色化をなした色細粒火山灰 S-0-4~5 7500 years B.P.
22 20~30 Ω白色岩片、ガラス多しCCP18 S-0-3 9200 years B.P.
23 10★ ∠黒色化をなした色細粒火山灰 S-0-1~2
24~26 40 Ω神子柴型石斧、Ω有舌尖頭器・片刃石斧 Y-141-3~1;フジクロ下部・漸移層
27~28 40~30★ ∠泡壁状ガラス点在、赤褐~赤紫褐色スコリア Y-140;Y-139 L1S;Y-138ソフトローム
29 20 Ω?礫、褐石、暗色帯~漂白帯、赤褐色スコリア Y-137-4 B0;L1H
30 20 緑密~赤色岩片、赤褐色スコリア Y-137-1~3ハードローム
31・32 40~25★★ Ωナイフ形石器、槍先形尖頭器、黒紫色スコリア、∠黒~黄褐色スコリア風化帯 Y-133~136;Y-132B1;Y-131~130
33・34 60~40 海老色細気孔スコリア、青黒色・赤紫色岩片 L2;Y-127~129
35 30~20 赤砂状、赤褐色微細気孔 Y-126~126′
36 15 Ωナイフ形石器・切出形石器・角錐状石器 B2U
37・38 10 青白色岩片、黒色細気孔スコリア、黒色微細気孔、黒色岩片・青黒色岩片 Y-124;Y-123
39 50~15 黒色細気孔スコリア(15mm)、黒紫色スコリア(15mm) B2L;Y-122-1~4
40・41 15;20 黄褐色スコリア、青黒色岩片、緑灰色岩片、石炭殻状黄褐色スコリア Y-121-4~6;相模野第一スコリア(S1S);Y-121-1~3
42 20 赤紫色岩片・黒色岩片・緑灰色岩片、白色泡壁状ガラス(AT)、黒色岩片 Y-120 L3;Y-117;Y-116
43 15★ 赤褐色~赤紫褐色スコリア、黒褐色~赤紫色岩片 B3
44 25 Ωナイフ形石器、黒紫色スコリア、土器片状岩片、赤紫色岩片 Y-115
45 30~5★★ 最下部にスコリア質火山砂、黒色細気孔スコリア Y-114 L4
46・47 20~30 箱根系白色岩片CCP13 Y-113 B3~B4
48 15~25 楔形石器、青白色岩片、黒色微細気孔スコリア Y-111 B3~B4;Y-110 B3~B4
49 30~20 褐色~黒色スコリア、脆い赤褐色スコリア Y-109 L4
50 30~10★ 箱根系白色岩片CCP12 Y-108′ B4
51 15~20 箱根系白色岩片CCP11 Y-108 B4
52 25~10 Ω台形様石器、局部磨製石斧、箱根系白色岩片CCP10′ Y-106~107 B4
53 10~18 赤紫色岩片、緑灰色岩片、箱根系白色岩片CCP10 Y-104~105 B4 L5?
54 30~25 二枚組石炭殻状~細気孔スコリア Y-103 S2S?
55・56 20~30 角閃石・石英斑晶、暗色帯~風化帯、Ω台形様石器・ナイフ形石器 Y-103′ L5?L6?;Y-102~101 B5?
57 [なし] 平板型岩片、プラントオパール多し Y-100 S2S?L6?
58 30~50 Ω?円礫、風化帯~暗色帯 Y-99
59 [なし] 微細気孔スコリア、白色軽石CCP9 Y-98
60 10~15 白色ガラス質(黒雲母・角閃石・石英) Y-97′
61 10 灰色ちみつ岩片、白色軽石CCP7、黒色微細気孔スコリア Y-96-3
62 20 岩片質火山砂 Y-93-2
63 30~10 白色軽石(5mm) Y-96-1
64 12 Ω?円礫 Y-95
65 50 赤褐色細気孔スコリア、青灰色細気孔スコリア、熱水岩片、青灰色細気孔スコリア Y-94(BCVA)

English translation

Tephra number / thickness / facies / visual characteristics / standard tephra number and Sagamino soil-unit name. Ω: artifacts; ★: cross-cutting relation; ∠: collapse. Map: 1:25,000 “Zama” (Tokyo 12-1). School; junior high school; 八次谷; 芦久保; Shiroyama; Edo-Michiminami; Uchikomi; Yoshioka; Ne; Shindo; 48.3,49.6. Body prose and references in the upper-left of the crop are reproduced fully in the body text. フジクロ下部: lower Fuji Black Soil; 漸移層: transition layer; ソフトローム: soft loam; ハードローム: hard loam; 相模野第一スコリア: Sagamino-1 Scoria; アカホヤ: Akahoya.

Layer / number Thickness (numbers as printed) Description Correlation
0 100~0 1923 Great Kanto earthquake?; Ω Edo–Meiji ceramics and pits
1 70~5 Finely vesicular scoria containing pumice S-25
2・3 15 Ω modern; collapse; road collapse S-24-9~10
4 10 Burnt soil S-24-8
5~7 25~15 Ω pit dwelling of first half of 7th century; reddish-brown scoria S-23~24-7
8 10 Hard reddish-brown–purple-brown scoria; Ω flakes and reddish-purple lithics S-22 2200 years B.P.
9~11 20★ Gray scoria with fine vesicles; heavy gray-black finely vesicular lithics S-18~18′;S-13′?;S-10~12?
12~14 20 Blue-green lithics S-7~9 3250 years B.P.
15 15 Green clasts, reddish-purple lithics and scoria S-5~6′
16 15 Reddish-purple lithics S-4
17~19 15~25 Dark-brown b type; brown and reddish-brown scoria; ∠ gray volcanic sand S-3;S-1~ 6100 years B.P.
20 10~15 Ω scratched pottery; scattered bubble-wall glass S-0-6′;アカホヤK-Ah
21 12~25 Fine ash that has become black [wording as printed] S-0-4~5 7500 years B.P.
22 20~30 Ω white lithics; abundant glass CCP18 S-0-3 9200 years B.P.
23 10★ ∠ fine ash that has become black S-0-1~2
24~26 40 Ω Mikoshiba-type stone axe; Ω tanged points and single-beveled axes Y-141-3~1;フジクロ下部・漸移層
27~28 40~30★ ∠ scattered bubble-wall glass; reddish-brown–reddish-purple-brown scoria Y-140;Y-139 L1S;Y-138ソフトローム
29 20 Ω? gravel; brown stones; dark–bleached zone; reddish-brown scoria Y-137-4 B0;L1H
30 20 Green dense–red lithics; reddish-brown scoria Y-137-1~3ハードローム
31・32 40~25★★ Ω backed knives and lanceolate points; black-purple scoria; ∠ black–yellow-brown weathered scoria Y-133~136;Y-132B1;Y-131~130
33・34 60~40 Shrimp-colored finely vesicular scoria; blue-black and reddish-purple lithics L2;Y-127~129
35 30~20 Red-sand-like; reddish-brown with fine vesicles Y-126~126′
36 15 Ω backed knives, kiridashi tools, pyramidal tools B2U
37・38 10 Blue-white lithics; black finely vesicular scoria; black with fine vesicles; black and blue-black lithics Y-124;Y-123
39 50~15 Black finely vesicular scoria (15 mm); black-purple scoria (15 mm) B2L;Y-122-1~4
40・41 15;20 Yellow-brown scoria; blue-black and green-gray lithics; coal-cinder-like yellow-brown scoria Y-121-4~6;相模野第一スコリア(S1S);Y-121-1~3
42 20 Reddish-purple, black, and green-gray lithics; white bubble-wall glass (AT); black lithics Y-120 L3;Y-117;Y-116
43 15★ Reddish-brown–reddish-purple-brown scoria; black-brown–reddish-purple lithics B3
44 25 Ω backed knives; black-purple scoria; sherd-like lithics; reddish-purple lithics Y-115
45 30~5★★ Scoriaceous volcanic sand at base; black finely vesicular scoria Y-114 L4
46・47 20~30 Hakone white lithics CCP13 Y-113 B3~B4
48 15~25 Wedge-shaped tools; blue-white lithics; black scoria with fine vesicles Y-111 B3~B4;Y-110 B3~B4
49 30~20 Brown–black scoria; fragile reddish-brown scoria Y-109 L4
50 30~10★ Hakone white lithics CCP12 Y-108′ B4
51 15~20 Hakone white lithics CCP11 Y-108 B4
52 25~10 Ω trapezoid-like tools and partly polished axes; Hakone white lithics CCP10′ Y-106~107 B4
53 10~18 Reddish-purple and green-gray lithics; Hakone white lithics CCP10 Y-104~105 B4 L5?
54 30~25 Pair of coal-cinder-like–finely vesicular scoria beds Y-103 S2S?
55・56 20~30 Hornblende and quartz phenocrysts; dark–weathered zone; Ω trapezoid-like tools and backed knives Y-103′ L5?L6?;Y-102~101 B5?
57 [なし] Platy lithics; abundant plant opal Y-100 S2S?L6?
58 30~50 Ω? rounded gravel; weathered–dark zone Y-99
59 [なし] Scoria with fine vesicles; white pumice CCP9 Y-98
60 10~15 White glassy material (biotite, hornblende, quartz) Y-97′
61 10 Dense gray lithics; white pumice CCP7; black scoria with fine vesicles Y-96-3
62 20 Lithic-rich volcanic sand Y-93-2
63 30~10 White pumice (5 mm) Y-96-1
64 12 Ω? rounded gravel Y-95
65 50 Reddish-brown and blue-gray finely vesicular scoria; hydrothermal lithics; blue-gray finely vesicular scoria Y-94(BCVA)

KT-29 相模野南部玉縄城遺跡の旧石器時代遺物包含層のテフラ層位

上本進二・上杉陽・鎌倉考古学研究所・遺跡層序研究会

相模野台地の旧石器(先土器)時代の遺跡は富士系テフラ層中にある.その時代論は,主に遺物包含層の色調や締まり,一部粗粒スコリア礫の諸特徴や広域テフラ,姶良Tnテフラ(AT)を用いて分層された相模野考古学土層(図参照)を基軸として編成されてきた(例えば鈴木,1983).この分層は地域内での有意性はあるものの,西方の大磯丘陵や伊勢原台地、さらには東方の多摩丘陵~武蔵野台地との対比となると不確実性が増す.そこで,富士系テフラの模式地である富士山東方の静岡県駿東郡駿河小山町一帯のテフラ層序(上杉ほか,1992)をもとに,各層中の富士系スコリア礫や岩片の諸特徴,挾在する箱根系その他の軽石質火山灰(上杉ほか,投稿中)やガラス片を根拠にテフラ層序学的再区分が試みられてきた(上本ほか,1994).鎌倉市玉縄城遺跡は富士山頂の真東72km,箱根火山中央火口丘のN70°E方向47kmにある.ここでは,層厚30cmの扁平な洗い出し礫よりなる河成礫層上に4~5mの主として富士系テフラが累重する(上本,1995).更新世末期のテフラ層中からは,ナイフ形石器が数点出土している.その層準は相模野第2暗色帯下部(B2l)中であり,そのテフラ層位は箱根系軽石(CCP-16~15)を含むL2層準下部からB2U層準最上部(Y-128~125)の15cmほど下位であり,Y-122-4~124層準と考えられる.

文献:鈴木(1983),上本(1995),上本ほか(1994),上杉ほか(1992,投稿中)

鎌倉市玉縄城遺跡を示す戸塚地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「戸塚」(東京8号-4)。服部、関谷、城廻、35、50。黒四角=地点。

English translation

1:25,000 “Totsuka” (Tokyo 8-4). Hattori, Sekiya, Shiromeguri; 35,50. Black square: locality.

玉縄城遺跡の全テフラ柱状図と相模野考古学土層。
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図中文字(日本語)

テフラ層序番号/テフラ層の特徴/玉縄城遺跡考古学土層。尺度4m。図の最下位注記は「土層最上部」。

層・番号 層厚(原図数字) 記述 対比
S-0-3 CCP-18 [なし] 土壌化 富士黒土層漸移層
Y-141-2 [なし] 白色岩片 富士黒土層漸移層
Y-141-1 [なし] 赤褐色スコリア L1S
Y-139 [なし] 赤褐色スコリア L1S
Y-138 [なし] 黒・褐色スコリア B0
Y-137 [なし] 赤・褐色スコリア、硬盤 L1H
Y-133 [なし] 赤・紫色溶岩片 B1
Y-132~130 [なし] 黒・褐色スコリア L2
CCP-17 [なし] 朱肉色風化 L2
Y-129 [なし] 褐色スコリア L2
CCP-16 [なし] 白色パミス L2
Y-128 [なし] 黒・褐色スコリア L2
Y-126~6′ CCP-15 [なし] 黒色スコリア B2u
Y-125 [なし] 青~茶色スコリア B2l
Y-124~123 [なし] 黒色スコリア B2l
Y-122 [なし] 黒・褐色スコリア、遺物出土層位→ B2l
Y-121 S1S [なし] 黒色スコリア L3
Y-120 [なし] 黒褐色スコリア L3
Y-118~117 AT [なし] バブルウォールガラス L3
Y-116 [なし] 赤・紫色岩片 L3
Y-115 [なし] 黒色スコリア B3
Y-114 [なし] 橙・黒色スコリア B3
Y-113 [なし] 橙色パミス、黒色岩片状スコリア B3
Y-112-2 CCP-13 [なし] 火山ガラス L4
Y-112-1 [なし] 黒・紫色溶岩片 L4
Y-111 [なし] 黒・赤・褐色スコリア L4
Y-110 [なし] 黒・褐色スコリア質スコリア L4
Y-109 [なし] 青・褐・褐色スコリア L4
Y-108 CCP-12 [なし] 白色斑状岩片、青・黄色スコリア B4
Y-108 CCP-11 [なし] 黒色高密度層・白色岩片、褐色スコリア B4
Y-108~107 [なし] 黒色高密度層・白色岩片 L5
Y-106 [なし] 青・赤・紫色岩片、赤・紫色岩片・白色パミス L5
Y-105 [なし] 風化白色岩片 L5
Y-104 [なし] 黒・褐色スコリア、黒・褐色スコリア B5
CCP-10 [なし] 風化白色岩片、赤・紫色スコリア質岩片 L6
Y-103 [なし] 黒・褐色・褐色スコリア、偏平礫(2~3cm) L6
土層最上部 [なし] 褐色粘土層

English translation

Tephra stratigraphic number / characteristics / Tamanawa Castle archaeological soil succession. Scale: 4 m. Bottom annotation: “uppermost part of soil layer.” 富士黒土層漸移層: Fuji Black Soil transition layer.

Layer / number Thickness (numbers as printed) Description Correlation
S-0-3 CCP-18 [なし] Soil formation 富士黒土層漸移層
Y-141-2 [なし] White lithics 富士黒土層漸移層
Y-141-1 [なし] Reddish-brown scoria L1S
Y-139 [なし] Reddish-brown scoria L1S
Y-138 [なし] Black/brown scoria B0
Y-137 [なし] Red/brown scoria; hardpan L1H
Y-133 [なし] Red/purple lava fragments B1
Y-132~130 [なし] Black/brown scoria L2
CCP-17 [なし] Vermilion weathering L2
Y-129 [なし] Brown scoria L2
CCP-16 [なし] White pumice L2
Y-128 [なし] Black/brown scoria L2
Y-126~6′ CCP-15 [なし] Black scoria B2u
Y-125 [なし] Blue–brown scoria B2l
Y-124~123 [なし] Black scoria B2l
Y-122 [なし] Black/brown scoria; artifact-bearing level → B2l
Y-121 S1S [なし] Black scoria L3
Y-120 [なし] Black-brown scoria L3
Y-118~117 AT [なし] Bubble-wall glass L3
Y-116 [なし] Red/purple lithics L3
Y-115 [なし] Black scoria B3
Y-114 [なし] Orange/black scoria B3
Y-113 [なし] Orange pumice; black lithic-like scoria B3
Y-112-2 CCP-13 [なし] Volcanic glass L4
Y-112-1 [なし] Black/purple lava fragments L4
Y-111 [なし] Black/red/brown scoria L4
Y-110 [なし] Black/brown scoriaceous scoria [wording retained] L4
Y-109 [なし] Blue/brown/brown scoria [wording retained] L4
Y-108 CCP-12 [なし] White porphyritic lithics; blue/yellow scoria B4
Y-108 CCP-11 [なし] Black dense layer and white lithics; brown scoria B4
Y-108~107 [なし] Black dense layer and white lithics L5
Y-106 [なし] Blue/red/purple lithics; red/purple lithics and white pumice L5
Y-105 [なし] Weathered white lithics L5
Y-104 [なし] Black/brown scoria; black/brown scoria B5
CCP-10 [なし] Weathered white lithics; red/purple scoriaceous lithics L6
Y-103 [なし] Black/brown/brown scoria; flattened gravel (2–3 cm) L6
土層最上部 [なし] Brown clay bed

KT-30 神奈川県秦野盆地西縁菖蒲竹ノ内の新期ローム層,とくに箱根東京軽石と火砕流

上杉陽・米澤宏・由井将雄・原田昌一・米澤まどか・関東第四紀研究会

本露頭は四十八瀬川に流入する小支谷の下流部で,上杉ほか(1980)のY-64~93番テフラの大部分が風送水中堆積型となり,植物化石,昆虫化石を含み,花粉も検出されている(Tsuji et al.,1984).点々と露出する基盤丹沢層群をTm-8テフラ(TB-1;早田ハムパミス)以上の早田ローム層が覆う.これらを全面的に切って新期ローム層が覆う.Y-64,Y-69(富士吉岡テフラ;F-YP),Y-70(箱根安針テフラ;Hk-AP), Y-73(箱根三浦テフラ;Hk-MP)などは大半が風送水中堆積型で,Y-74~75(上部武蔵野埋没土層)はこれらを切ってやや起伏のある安定斜面ができたことを示唆し,層厚100~140cmのY-76(箱根東京軽石;Hk-TP),層厚5m前後のY-77(箱根東京軽石流堆積物;Hk-TPfl)が谷斜面を埋積する.この谷の中にY-80~93期(才ヶ戸期)の河成砂礫相~湖成泥相が堆積し,Y-94(BCVA)以上の風成テフラに覆われる.これらを切っていわゆる立川期(今泉~尾尻期)以降の複数の段丘礫層が点々と分布する(関東第四紀研究会,1987).なお,本支谷最上流部崖上(■地点)に新期ローム層の模式地がある.Hk-TP(Y-76)~Hk-TPfl(Y-77)間には僅かに堆積間隙がある(原田, 1976).Y-76最上部の火山灰流~軽石流堆積物部分あるいはY-77上部火砕流部分に含まれる炭化木片の加速器質量分析計による推定年代値は平均52,310±360yr B.P.であった(中村ほか,1992).右図に両者の周辺地域での模式的断面を示す.なお,Hk-TPは箱根火山から火砕流に先駆する大規模降下軽石層である.これに似た降下テフラと火砕流層序をもつ箱根系のテフラに箱根小原台テフラ(Hk-OP,Y-63),早田F5テフラ(Tm-2,TCu-1,ドーラン)などがある.

文献:原田(1976),関東第四紀研究会(1979,1987),町田・新井(1992),中村ほか(1992),Tsuji et al.(1984),上杉(1976),上杉ほか(1980)関東第四紀研究会(1979)に加筆

秦野の地図と東京軽石Y-76・東京軽石流Y-77の詳細柱状図。
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1「秦野」(東京16号-2)。菖蒲、沼代、新道、向原、竹ノ内、清戸、269.3。■模式地,矢印露頭。柱状図の括弧内数字は原図の粒径・含有量を保持。

層・番号 層厚(原図数字) 記述 対比
Y-77 G [なし] 暗黄褐色風化帯、褐色スコリア(直径7mm±)
Y-77 F 70± 黄白色風化軽石、一部に黒色黒雲石状軽石、赤橙色高温酸化火山灰流
Y-77 E [なし] 一部に破砕円礫あり、遊離重鉱物斑晶多し
Y-77 D 50±;50~10 黒色~白色軽石、灰黒色岩片、灰色火山灰流
Y-77 C 50± 黒色~白色軽石、炭化木多し
Y-77 B 50± 黒灰色火山砂中に白色軽石
Y-77 A 100~20 上部に黒灰色火山砂、下部に赤褐色~灰色軽石、中上部に赤橙色火山灰流、最下部に紫色火山砂、火山豆石あり
Y-76 E 5~1:15% 岩片
Y-76 D 60~40;3~1 白色軽石、白色軽石
Y-76 C 100~60;80±;150~60 白~桃色軽石、白~桃色軽石、白~桃色軽石
Y-76 B 20~5;60~40;5~1;10~5 白色軽石、白色軽石 岩片、白色軽石
Y-76 A 5±;5~1 白色軽石、中部に灰色火山灰、白色軽石

English translation

Map: 1:25,000 “Hadano” (Tokyo 16-2). Shobu, Numashiro, Shindo, Mukohara, Takenouchi, Kiyoto,269.3. ■ type locality; arrow: exposure. Parenthesized figures retain the original grain-size/content annotations; the table numeric column is not a thickness measurement for this figure.

Layer / number Thickness (numbers as printed) Description Correlation
Y-77 G [なし] Dark yellow-brown weathered zone; brown scoria (diameter 7 mm±)
Y-77 F 70± Yellow-white weathered pumice; some black mica-like pumice; red-orange high-temperature-oxidized ash flow
Y-77 E [なし] Some broken rounded gravel; abundant free heavy-mineral phenocrysts
Y-77 D 50±;50~10 Black–white pumice; gray-black lithics; gray ash flow
Y-77 C 50± Black–white pumice; abundant charcoal wood
Y-77 B 50± White pumice in black-gray volcanic sand
Y-77 A 100~20 Black-gray volcanic sand above; reddish-brown–gray pumice below; red-orange ash flow in middle-upper part; purple volcanic sand at base; accretionary lapilli
Y-76 E 5~1:15% Lithic fragments
Y-76 D 60~40;3~1 White pumice; white pumice
Y-76 C 100~60;80±;150~60 White–pink pumice; white–pink pumice; white–pink pumice
Y-76 B 20~5;60~40;5~1;10~5 White pumice; white pumice and lithics; white pumice
Y-76 A 5±;5~1 White pumice, gray volcanic ash in middle, white pumice
菖蒲竹ノ内の谷を埋めるテフラ・礫層の平面図。
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図中文字(日本語)

平面図:石垣,谷底,丹沢層群,早田ローム層,Tm-8,Tm-9,吉岡軽石,三浦軽石,東京軽石,東京軽石流,今泉礫層,Y-64,Y-66,BCVA,CCP-1,CCP-4。尺度0–50m,N。関東第四紀研究会(1979)に加筆。

English translation

Plan-view sketch: stone wall; valley bottom; Tanzawa Group; Soda Loam; Tm-8,Tm-9; Yoshioka pumice; Miura pumice; Tokyo pumice; Tokyo pumice flow; Imaizumi gravel; Y-64,Y-66,BCVA,CCP-1,CCP-4. Scale: 0–50 m; N. Supplemented from 関東第四紀研究会 (1979).

KT-31 三浦半島小原台砂礫層の模式地-酸素同位体ステージ5cの堆積物-

長田敏明・菊地隆男

小原台砂礫層は小原台段丘形成時の堆積物で(小原台団研グループ,1965),時代は100~110ka(酸素同位体ステージ5c)である.横須賀市東部に分布し,堆積面の高度は海抜70~80mでやや北西に下がる傾向にある.本段丘に相当する地形面は,横浜の下末吉台地周辺では下末吉段丘の下位に30mの高度で分布する.本露頭は横須賀市東部,京浜急行浦賀駅の北東方約500m,防衛大学校のキャンパスがある小原台段丘の南端に位置する.本露頭周辺で基盤をなすのは鮮新統三浦層群逗子層で,これに不整合で横須賀累層が重なる.横須賀累層は下位より大津砂泥層,走水礫層に区分され(蟹江,1977),本露頭において観察されるのは,下位より走水礫層(層厚20m+),これを不整合に覆う小原台砂礫層(2m-)および関東ローム層(6m+)である.走水礫層を構成する礫はチャート・硬砂岩・粘板岩などの中礫大の扁平礫で,大規模な斜交層理が発達する.礫層中には海底地滑りの跡や注入構造が認められ(蟹江ほか,1977),堆積物や堆積構造の特徴から河口扇状地の堆積物と考えられる.小原台砂礫層は走水礫層に不整合に重なる細礫を含む砂層で,しばしば平行葉理が認められる.本砂礫層が海成である明確な証拠はないが,分布や堆積の形態から波食台上の堆積物と思われる.本砂礫層の上部には,白色軽石粒および雲母を含む層準があり,層位関係や雲母に富む特徴から御岳火山起源の御岳第1テフラ(On-Pm1)と思われる.小原台砂礫層の上位の関東ローム層には,下位より箱根小原台(Hk-OP),箱根三浦(Hk-MP),箱根東京(Hk-TP),箱根中央火口丘1(Hk-CC1)などの箱根火山起源のテフラ層が挟まれる.

文献:蟹江ほか(1977),走水団研グループ(1965)蟹江ほか(1977)を一部改変

小原台模式地の横須賀・浦賀接合地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「横須賀」(横須賀5号-1),2.5万分の1「浦賀」(横須賀5号-2)。防衛大学校、小原台、浦上台二丁目・三丁目、二葉一丁目・二丁目、鴨居二丁目、走水、走水神社、85.5、100.7、92.7、58。

English translation

1:25,000 “Yokosuka” (Yokosuka 5-1) and “Uraga” (Yokosuka 5-2). National Defense Academy; Obaradai; Uragami-dai 2-/3-chome; Futaba 1-/2-chome; Kamoi 2-chome; Hashirimizu; Hashirimizu Shrine;85.5,100.7,92.7,58.

走水礫層の斜交層理と、それを覆う小原台砂礫・関東ロームの露頭スケッチ。
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図中文字(日本語)

W、E。関東ローム層:Hk-CC1、Hk-TP、Hk-OP。小原台砂礫層:On-Pm1。走水礫層。尺度0、5、10、15m。蟹江ほか(1977)を一部改変。

English translation

W,E. Kanto Loam: Hk-CC1,Hk-TP,Hk-OP. Obaradai sand and gravel: On-Pm1. Hashirimizu gravel. Scale:0,5,10,15 m. Partly modified from 蟹江 et al. (1977).

KT-32 横浜北部における下末吉層-酸素同位体ステージ5eの海進堆積物-

菊地隆男・関東第四紀研究会

下末吉層は,酸素同位体ステージ5eに形成された海成の下末吉段丘構成層である.下末吉段丘は海抜40~45mの高度で横浜市北部一帯に広がるが,市街地化による地形改変が著しく,近年は下末吉層の露頭をみることもほとんどなくなった.ここに紹介する露頭も,1966年に観察され下末吉層の模式地として定められたが(関東第四紀研究会,1970),公表の数年後には宅地開発と人工斜面の整備のため,完全に削剥された.本露頭は横浜市の北部,東急東横線大倉山駅の東約300mで, 丁度綱島街道が新幹線を横切る大倉山トンネルの上にある.露頭は綱島街道を挟んで東西に2カ所あり,これらを西露頭,東露頭と呼ぶことにする.西露頭は下位から,白色軽石粒(径10~5mm)を含む厚さ5mの泥層,厚さ1mの青灰色スコリア(径2~3mm)に富む細礫混じり砂層,厚さ約5mの中粒砂層が重なり,この上に不明瞭な不整合面を境に厚さ2.5mの細礫混じり中粒砂層がおおう.最上部の礫混じり砂層は下末吉層上部層でさらに下末吉ローム層に覆われる.不整合の下位層は鶴見層(関東第四紀研究会,1970)で,下部に介在する白色軽石は大磯丘陵のTm-2(=TCu-1)(上杉,1976;町田ほか,1974)であることがわかった(岡ほか,1984)ことから,本層の年代はほぼ200kaの酸素同位体ステージ7の前半にあたる.いっぽう,東露頭では,明らかな起伏のある不整合を境に下末吉層下部の泥質堆積物が鶴見層をおおっている.泥層は鶴見層のそれよりやわらかく,アラムシロ,ウラカガミ,イヨスダレ,ヨコハマチヨノハナガイなど内湾に生息する貝化石を含む.サンドパイプ状生痕化石が多く,また基底は植物の破片を含む淘汰不良の砂質泥層からなる.

文献:関東第四紀研究会(1970),町田ほか(1974),岡・菊地・桂島(1984),上杉(1976)関東第四紀研究会(1970)より。1982年発行の地形図では,地形が改変されてしまい,露頭はなくなっている。

1967年発行川崎図幅に示された師岡模式露頭。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「川崎」(東京7号-2),1967年発行。師岡町、大曽根町、菊名町、大倉山、観音川、13.1、42.6。

English translation

1:25,000 “Kawasaki” (Tokyo 7-2), published 1967. Morookacho, Ozonecho, Kikunacho, Okurayama, Kannon-gawa;13.1,42.6.

東西露頭の鶴見層・下末吉層・ローム断面と、消滅後の1982年地図。
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図中文字(日本語)

W、E。標高15、20、25、30m。武蔵野・立川ローム層、下末吉ローム層、Hk-KmP10,11、Hk-KlP7~13、下末吉層上部、下末吉層下部、鶴見層、Tm-2(=TCu-1)、綱島街道。関東第四紀研究会(1970)より。右図:師岡町、大倉山、42.6。1982年発行の地形図では,地形が改変されてしまい,露頭はなくなっている。

English translation

W,E. Elevation:15,20,25,30 m. Musashino/Tachikawa Loam, Shimosueyoshi Loam, Hk-KmP10,11, Hk-KlP7–13, upper/lower Shimosueyoshi Formation, Tsurumi Formation, Tm-2 (=TCu-1), Tsunashima Kaido. From 関東第四紀研究会 (1970). Right map: Morookacho, Okurayama,42.6. On the topographic map published in 1982 the terrain has been altered and the exposure has disappeared.

KT-33 横浜西南部の港南層と中期更新世指標テフラ

町田洋

横浜西南部は後期更新世の下末吉段丘構成層に加えて,中期更新世の海成層,テフラがきわめてよく発達する地域である.1980年代までは開発にともない多数の露頭ができたが,最近はほとんど被覆されてしまった.ここでは中期更新世の港南層あるいは上倉田層と呼ばれた海成層(下末吉層から遡って数えて3つ目の大きな海進を示唆する海成層)とテフラとの関係を中心に,かつて模式地とした露頭の概略を記す.この海成層が観察できる地域は図2に示したように,三浦半島北辺の沈降地域(秦野横浜港沈降帯)にあたる保土ヶ谷区西部から戸塚区にかけてで,これより北・南方では,侵食されてほとんど観察できない.本露頭では三浦層群を水平に切って砂礫層がのる.これは港南層の上部で,谷を埋積するところでは,貝化石とスコリア層をふくむ中下部の泥層がみられる.この砂礫層が陸化してから覆う指標テフラは,図のように数枚あり下から港南の記号Knを付して1~6と番号がつけられている.これらのうち最も重要なテフラはKn-4(TE-5)で,特徴的に多量の黒雲母斑晶をふくむ,厚さ30cmの灰白色火山灰層である.これは南関東一帯に広く認められる指標テフラで,大磯丘陵におけるTE-5(多摩E-5テフラ),多摩丘陵の八王子黒雲母テフラ(HBP),そして房総半島地蔵堂層のHy-3と呼ばれたテフラにあたる.またKn-1は港南層堆積後の海退開始期に噴出堆積した黄白色の軽石層で,横浜西部では欠如していたり,砂層中に介在する場合もある.これは房総の地蔵堂層においても貝化石層下部に出現し,Hy-4として記載された(三梨,1973).本露頭で港南層とテフラを削った谷を埋積する地層(西根層)は,多摩c(T-c)期に当るシルトおよび上部の砂礫層で,これをさらに削った谷に堆積したテフラはTCu-1である.TCu-1は箱根火山古期カルデラの形成に関与した約250kaの軽石層である.こうした層序からみると谷埋めの西根層は多摩丘陵におけるオシ沼砂礫層に対比できる.港南層は温暖な貝化石やステゴドン化石を含み,中期更新世の中でも酸素同位体ステージ11にあたる大きな間氷期の産物と考えられる.この海進期の旧汀線がどこにあるか,また高度はどの位かは今後の課題である.

文献:関東第四紀研究会(1972),町田ほか(1974),三梨(1973),三梨・菊地(1982)北方に開く谷の東西にあった大露頭を総合したスケッチ.上半部は東側に中・下部は西側にあった.(町田ほか,1974)

永田町の旧模式露頭を示す横浜西部地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「横浜西部」(東京8号-3)。永田町、川島町、永田みなみ台、六ツ川一丁目・二丁目・三丁目、63、91.7。

English translation

1:25,000 “Yokohama Seibu” (Tokyo 8-3). Nagatacho, Kawashimacho, Nagata-Minamidai, Mutsukawa 1-/2-/3-chome;63,91.7.

港南層と二段の谷埋め堆積物・テフラの複合断面。
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図中文字(日本語)

標高45、50、55、60、65。TCu-1、多摩c(T-c)層、TE-6、TE-4、TE-1、TE-5、Kn-1、港南(T-e)層、基盤。北方に開く谷の東西にあった大露頭を総合したスケッチ.上半部は東側に中・下部は西側にあった.(町田ほか,1974)

English translation

Elevation:45,50,55,60,65. TCu-1, Tama c (T-c) Formation, TE-6,TE-4,TE-1,TE-5,Kn-1, Konan (T-e) Formation, basement. Composite sketch of large exposures on both sides of a north-opening valley; upper half on the east, middle/lower parts on the west (町田 et al.,1974).

KT-34 多摩丘陵オシ沼の多摩ローム層

羽鳥謙三

オシ沼は本来は鴛鴦沼と記された池の名称で,この地名が昭和20年代の2万5千分の1地形図に記載されていた頃すでに池は消滅していた.この地名がもとになって羽鳥・寿円(1958)によってオシ沼砂礫層が命名され,これにのる多摩ローム層を主題としてオシ沼露頭と呼びならわされるようになった.多摩面を2分した場合のT2面に発達する多摩ローム層の代表露頭である.その後,鶴見・大村(1966)によりこのローム層の上部は土橋(つちはし)ローム層として区分された.鶴見・大村(1966)はこのローム層に挟まれる軽石層を上位からウワバミ(黄橙色),ヒョウモン(黄色,青灰色,粗粒),アラレ(黄色,灰色)とよんだ.ローム層全体に軽石,スコリアの含有が多い.鶴見・大村(1966)はアラレの下限から下約3mの位置に不整合を見いだしているがこの露頭では漸移的である.これより下が多摩ローム層である.多摩ローム層に挟まれる軽石層は上位から橙色の登戸軽石層II(バヤリス),黄色の登戸軽石層I(ドーラン),ゴマシオ軽石層が顕著であるが,ゴマシオ軽石層は皆川・町田(1971)によってゴマシオ第1(下),ゴマシオ第2(上)に分けられた.本露頭では第1と第2が同一垂線上に同時には見られないが,2枚の存在は確実である.ゴマシオ第1軽石層の直下は灰白色の粘土層から黄灰色のシルト層をへて黄灰色の砂層となり,円礫を含有するようになる.粘土を多摩ローム層の水中堆積部分とすれば,シルト層以下がオシ沼砂礫層である.同砂礫層の上限高度はほぼ50mである.この露頭は1950年頃峠の切り通しとして開削されて出現し長らく多摩ローム層の標準露頭であったが,1990年末工事によって失われた.その際露頭北東壁面からとられたラックフィルムは近くの生田緑地内の川崎市青少年科学館に保存された.なお,ウワバミからドーランまでの諸指標テフラは箱根火山起源,ゴマシオは八ケ岳火山起源であることがわかっており,いずれも南関東一円に広くみられる(町田ほか,1974).

文献:羽鳥・寿円(1958),町田ほか(1974),皆川・町田(1971),高野(1987),鶴見・大村(1966)

生田緑地のオシ沼模式露頭を示す溝の口地図。
原著 205ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「溝の口」(東京7号-3)。登戸、枡形山、83.9、青少年科学館、生田緑地、はなぞ四丁目、長尾、東高根。

English translation

1:25,000 “Mizonokuchi” (Tokyo 7-3). Noborito; Masugatayama;83.9; Youth Science Museum; Ikuta Ryokuchi; はなぞ 4-chome [small characters uncertain]; Nagao; Higashi-Takane.

判読上の注記

はなぞ四丁目 — 地図の微小文字が不鮮明。日本語字形を保持。

土橋・多摩ロームとオシ沼砂礫の標準柱状図。
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図中文字(日本語)

尺度0–10m。上→下:土橋ローム層(ウワバミ、ヒョウモン、アラレ);多摩ローム層(青色スコリア、バヤリス[登戸II]、ドーラン[登戸I]、ゴマシオ2、ゴマシオ1);オシ沼砂礫層。

English translation

Scale:0–10 m. Top to bottom: Tsuchihashi Loam (Uwabami,Hyomon,Arare); Tama Loam (blue scoria, Bireley’s [Noborito II], Doran [Noborito I], Gomashio-2, Gomashio-1); Oshinuma sand and gravel.

KT-35 三浦半島南部の引橋段丘と被覆テフラ

宮内崇裕

本露頭は南関東の引橋段丘の模式地のすぐ近くに位置する.ここでは引橋段丘堆積物とこれをおおう陸上堆積テフラの層序を観察することができる(宮内,1992).初声層(三浦層群)を基盤とする波食棚上に厚さ30cmの中粒砂層が存在し,この表面が引橋段丘面をなす.この海成砂層は少なくとも厚さ3m以上の褐色風化火山灰層におおわれ,そのなかに数枚の鍵テフラが認められる.確認された鍵テフラは下位より箱根吉沢中部7(Hk-KmP7),御岳第1(On-Pm1),箱根小原台(Hk-OP),箱根東京(Hk-TP)である.かつて町田(1971)に記載された引橋での層序に比べるとHk-KmP7より古いテフラ群(厚さ約3mでその最下部にHk-KmP1)がここでは欠けていることになる.高度と地形の連続性からみて高山付近はいわゆる引橋段丘面であるが,段丘崖端における被覆テフラの欠落が生じている場所なのかもしれない.Machida(1974)は引橋段丘面を下末吉・小原台段丘間の独立した海水準に対応する海成面としたが,その後町田・新井(1992)の広域テフラの層位による再検討によって,引橋段丘は下末吉段丘の一部の可能性があると変更した.この問題に鍵を与えるのはこの付近の層序である.

文献:町田(1971),Machida(1974),町田・新井(1992),宮内(1992)1990年2月19日宮内撮影

高山の引橋段丘露頭を示す浦賀・三浦三崎接合地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「浦賀」(横須賀5号-2),2.5万分の1「三浦三崎」(横須賀6号-1・3)。久保、陣場、大原、水谷戸、長作、引橋、高山、菊名、地蔵作、坂、77.1、84.9、85。

English translation

1:25,000 “Uraga” (Yokosuka 5-2) and “Miura Misaki” (Yokosuka 6-1/3). Kubo,Jinba,Ohara,Mizuyato,Nagasaku,Hikibashi,Takayama,Kikuna,Jizozaku,Saka;77.1,84.9,85.

引橋露頭写真と柱状図。TP・OP・Pm-I・KmP-7と海成砂を示す。
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図中文字(日本語)

写真:TP、OP、Pm-I、KmP-7。1990年2月19日宮内撮影。柱状図:表土、Hk-TP、Hk-OP、On-Pm1、Hk-KmP7、引橋段丘堆積物(中粒砂層)、初声層(三浦層群)、コンクリート擁壁。尺度0、1、2m。

English translation

Photograph:TP,OP,Pm-I,KmP-7. Photograph by 宮内,19 February 1990. Column:topsoil,Hk-TP,Hk-OP,On-Pm1,Hk-KmP7,Hikibashi terrace deposit (medium sand),Hatsuse Formation (Miura Group),concrete retaining wall. Scale:0,1,2 m.

KT-36 三浦半島三崎段丘とテフラ

町田洋

三崎段丘は南関東三浦半島において,小原台段丘とともに顕著な海成段丘の一つであり,これに近い時期の河成段丘も武蔵野,相模野でよく知られている.酸素同位体ステージでは5aの時期の段丘である.三浦半島の三崎段丘の大半は波食台性で堆積物はごく薄いが,ここで記載するものはテフラを含んで比較的厚い堆積物をもち,海進から海退に移行する様子がよくわかる.図のように,基盤は見えないが,厚さ3.5m以上の海成層(海浜の砂礫層)があり,その中に箱根小原台テフラ(Hk-OP)とみられる風化した軽石層が介在する.その上位はおびただしい生痕化石をもつ泥層がのる.これが海成層の頂部である(標高35m).この上位はやや固結しラミナをもつた砂層(風成か)を隔ててスコリア質火山灰土に変わる.この陸上堆積のテフラ群の中には,下から箱根東京テフラ(Hk-TP),箱根三色旗テフラ(Hk-SP),箱根中央火口丘第1テフラ(Hk-CCP1)などの軽石層が観察できる.したがって,南関東のテフラ層序との関連で,海成三崎段丘の形成過程をいえば,小原台段丘形成後,御岳第1テフラや鬼界葛原テフラ(K-Tz)堆積のころから海退が進んだが,Hk-OP噴出以前(多分阿蘇4テフラとK-Tzの間)に海進に移り,おそらく富士吉岡テフラ(F-YP,ここでは火山灰土の中には確認されない)の後に,再び海退を起したものと考えられる.この最後の海退は大きく,酸素同位体ステージ4の亜氷期に当る.なお三崎段丘に対比される海成段丘は隆起速度が大きい海岸でないと,陸上では観察できない.南関東では,三浦半島のほか大磯海岸二宮付近(旧汀線は海抜110mに達す)や房総半島に限られる.

文献:町田・新井(1992)

三崎段丘内込露頭を示す浦賀地図。
原著 207ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「浦賀」(横須賀4号-2)。鹿穴台、池代、上宮田、元屋敷、岩神、水深、木間、松原、馬場、内込、浦市、4.3、35.9。

English translation

1:25,000 “Uraga” (Yokosuka 4-2). 鹿穴台,池代,Kami-Miyada,Motoyashiki,Iwagami,Mizufuka,木間,Matsubara,Baba,Uchikomi,浦市;4.3,35.9.

海成三崎段丘層から砂丘砂と降下テフラへ移る柱状図。
原著 207ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

尺度0–10m。上→下:褐色火山灰土、Hk-CCP1、Hk-SP、Hk-TP、dune sand、marine top(35m a.s.l.)、Hk-OP。

English translation

Scale:0–10 m. Top to bottom:brown volcanic-ash soil,Hk-CCP1,Hk-SP,Hk-TP,dune sand,marine top (35m a.s.l.),Hk-OP.

KT-37 神奈川県大磯丘陵北西縁篠窪谷下流部の吉沢ローム層と土屋ローム層

上杉陽・長崎正・米澤宏・長田敏明・関東第四紀研究会

本地点の上流側では丹沢層群,足柄層群などの固結岩(千葉,1986),中津川右横すべり断層(佐藤,1976;狩野ほか, 1979),多摩下部ローム層上部(藤沢ローム層)最上部~多摩中部ローム層下部(早田ローム層)最下部を観察できる.下流側では多摩上部ローム層以上を観察できる.本露頭では上流端に多摩中部ローム層下部(早田ローム層)のTm-2(F5;TCu-1;ドーラン)の軽石流堆積物が露出し,それを下方浸食型斜交関係で覆って,風送水中堆積型の多摩上部ローム層(土屋ローム層)のTu-17~20(土屋ホ~ト′)がある.これらは風送陸上堆積型のTu-21~Tu-34(土屋ド~ソ)に整合に覆われる.これは本露頭のやや下流に位置する砂防ダム辺りに埋積谷を形成しており,この部分で風送陸上堆積型から風送水中堆積型に漸移する吉沢ローム層最下部(下末吉埋没土層;SB-0~4)に切り込まれている.これら全てを平坦に切って,上方浸食型斜交関係で吉沢ローム層下部(Hk-KlP-1~15)が堆積している.その上位に吉沢中部埋没土層(KMB;上杉・関東第四紀研究会,1994)を挟んで,吉沢ローム層中部のHk-KmP-1~11がある.これを切って,武蔵野期の河成礫層(岩倉礫層),それを整合に覆うに武蔵野埋没土層(MB)上部がある.その上位の箱根東京軽石層(HK-TP;Y-76)や箱根東京軽石流(Y-77)は下流中村川合流点付近では下位を切ってはいおりる(上杉,1976;上杉ほか,1978).SB-0のフィッション・トラック年代は147~143ka(町田・鈴木,1971),Tu-23(土屋リ;TAu-6),Tu-7が概略160ka,210kaとされた(磯ほか,1975,1981),狭義の下末吉海進(上杉,1982)は下末吉埋没土層期に急速海進し,大磯丘陵南半部~東部各地に広大な波食台や溺れ谷を形成するが,海進は本露頭地域までは到達しない(上杉ほか,1978;関東第四紀研究会,1987).離水は隆起域ではSB期に始まるが,通常はHk-KlP-6以降である.本地点ではHk-KlP-1降下直前には斜面~平坦面が既に安定していた.

文献:千葉(1986),磯ほか(1975,1981),狩野ほか(1979),関東第四紀研究会(1987),町田・鈴木(1971),佐藤(1976),上杉(1976,1982),上杉ほか(1978),上杉・関東第四紀研究会(1994)河床から右岸谷壁露頭を見たスケッチ.テフラ番号は上杉(1976),上杉ほか(1978)参照.SB-0=TAu-12,Tu-23=TAu-6,Tu-17=TAu-3,Tm-2=TCu-1.

篠窪谷の秦野地図と、右岸谷壁のローム・礫層・侵食境界スケッチ。
原著 208ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

画像左上の本文と文献は本文欄に全文復元。地図:2.5万分の1「秦野」(東京16号-2)。高尾、横道、中村川、道路、柳、赤田、本村、77.7、86.7。図:河床から右岸谷壁露頭を見たスケッチ.テフラ番号は上杉(1976),上杉ほか(1978)参照.SB-0=TAu-12,Tu-23=TAu-6,Tu-17=TAu-3,Tm-2=TCu-1.東京軽石流(Y-77)、東京軽石層(Y-76)、MB、岩倉礫層、KmP-1、5、10、11、KMB、KlP-1、6、9、13、15、SB-4、SB-0、Tu-17、18、19、20、21、22、23、24、29、31、34、Tm-2fl。下流←河床面。

English translation

Prose and references in the upper-left crop are reproduced fully in the body. Map:1:25,000 “Hadano” (Tokyo16-2). Takao,Yokomichi,Nakamuragawa,road,Yanagi,Akada,Motomura;77.7,86.7. Sketch: right-bank valley wall viewed from river bed; tephra numbers after 上杉 (1976),上杉 et al.(1978). SB-0=TAu-12,Tu-23=TAu-6,Tu-17=TAu-3,Tm-2=TCu-1. Tokyo pumice flow (Y-77),Tokyo pumice (Y-76),MB,Iwakura gravel,KmP-1,5,10,11,KMB,KlP-1,6,9,13,15,SB-4,SB-0,Tu-17,18,19,20,21,22,23,24,29,31,34,Tm-2fl. Downstream ← river-bed surface.

KT-38 箱根火山南東麓の箱根古期外輪山溶岩を覆う中期更新世テフラ

米澤宏・稲垣進・上杉陽・鵜浦武久・則茂雄・満岡孝・安野信・由井将雄・箱根団体研究グループ

本露頭は,箱根火山南東麓の星ケ山の東方約1.5kmに位置する.箱根古期外輪山斜面の中腹を南北に走る白銀林道脇にある採石場である.最下位にある柱状節理の発達する玄武岩質安山岩溶岩は,箱根古期外輪山溶岩(Kuno,1950のOS2)のうちの一枚である.この溶岩は,多摩中部(Tm)ローム層最下部のTm-2・F5(上杉,1976;町田ほか,1974のTCu-1に相当)噴出の頃のものと考えられる.この溶岩をTm-3・F6(上杉,1976;町田ほか,1974のTCu-2),Tm-6(上杉, 1976;町田ほか,1974のTCu-4),Tm-8(上杉,1976;町田ほか,1974のTB-1;町田,1977によって234±18ka,246±12kaというフィッション・トラック年代が報告されている)などを含む更新世中期~後期テフラが覆っている.このテフラの中の,Tm-3(上杉,1976)とTm-5(上杉,1976;町田ほか,1974のTCu-3)の間の層準に2層の細粒ガラス質火山灰が認められる.これが,下位よりベージュタフIとベージュタフII(森ほか,1982)である.この2層のいずれかが中期更新世の広域テフラとされる阿多鳥浜テフラ(Ata-Th)に対比されている(鈴木・早津,1991).なお,本露頭では,箱根火山以外にその起源をもつと考えられるTm-6(上杉,1976)などの含黒雲母軽石が数層認められる.

文献:Kuno(1950),町田(1977),町田ほか(1974),森ほか(1982),鈴木・早津(1991),上杉(1976)

白銀林道沿いの採石場を示す箱根地図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「箱根」(横須賀13号-4)。小田原城ゴルフ場、真鶴町、61。矢印=採石場。

English translation

1:25,000 “Hakone” (Yokosuka13-4). Odawara Castle golf course,Manazuru Town,61. Arrow:quarry.

柱状節理をもつ箱根古期外輪山溶岩と、その上のベージュタフ・多摩テフラ露頭図。
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図中文字(日本語)

上→下:Y-94(BCVA)、Tm-15 or Tm-21、Tm-9、Tm-8、Tm-6、ベージュタフII、ベージュタフI、Tm-3・F6、箱根古期外輪山溶岩。

English translation

Top to bottom:Y-94(BCVA),Tm-15 or Tm-21,Tm-9,Tm-8,Tm-6,Beige Tuff II,Beige Tuff I,Tm-3/F6,Hakone Old Somma lava.

KT-39 伊豆半島北縁の平山断層-テフラからみたその変遷史-

上杉陽・伊藤谷生・米澤宏・染野誠・千葉達朗・狩野謙一

平山断層は伊豆半島北縁に発達する3方向(EW,NE,NW)の断層群中のNE系の1つで,北西側(足柄山地側)が500m隆起している.ここから南方箱根火山古期外輪山中に入り,カルデラ壁を約1kmほど南に屈曲させる延長8kmの左横すべり断層である.正断層部分も逆断層部分もある.その南方には南北方向に林立する中央火口丘群が,さらにその南側にはカルデラ壁を切って伊豆半島中央を縦走する南北走向左横すべり断層群(丹那断層など)がある.これらは概略0.25~0.30Ma(多摩下部ローム層上部~多摩中部ローム層下部の時期)に活動を開始した一連の断層群で,その変位期は東方大磯丘陵西縁の国府津松田断層のそれに一致する(伊藤ほか,1986;Ito et al,1987,1989;狩野ほか,1988;上杉ほか,1985).本断層露頭は山北町台南方足柄橋から遠望できる.垂直変位速度は平均で1m/1,000年に達する.ここでは左横すべり成分と逆断層成分との比が1:1で,走向傾斜はN30°E,60~80°NWである(Ito et al.,1987).断層面の東側(下盤側)には頁岩層が,西側(上盤側)には礫岩層がある.それぞれ,足柄団体研究グループ(1986a,b)の堂山累層と台累層,今永(1986)の日向凝灰質砂岩泥岩層と瀬戸礫岩層に当たる.図はIto et al.(1987)の図に加筆し簡略化したものである.テフラ番号やその年代観は上杉(1990),上杉・木越(1986),上杉ほか(1992)による.この地点の河床面が離水を開始したのは姶良Tnテフラ(AT;Y-118番)降下直後で,Y-120~121-1期に垂直変位量120cmの断層変位I(断層面A)が発生し崩落(T1)が生じた.引き続きY-121-2~123期に垂直変位量25~45cmの断層変位II(断層面B)など複数の断層変位が推定され,複数回の崩落(T2~T3群)が生じた.Y-121~122期は古富士火山の爆発的な噴火が特に目立つ時期である.南関東各地で暗色帯(相模野B2)の形成が本格化するY-123期になるとこの地点の河成砂礫層は完全に離水し,Y-123′~124期には垂直変位量260cmの断層変位III(断層C)が発生し崩落(T4)が生じた.Y-128期には箱根・富士両火山がともに火砕流を発生し,東方地域には広く爆発角礫が飛来した(上杉ほか,1992).丁度この時期に崩落(T5)が生じた.Y-129期末にも崩落(T6)があった.Y-133期後半には古富士火山で小規模な火砕流が発生したが,ほぼこの時期に垂直変位量30~40cmほどの断層変位III′(断層面D)があった可能性がある.崩落堆積物は検出できなかった.Y-140火山泥流発生時に垂直変位量15cmの小規模な断層変位III″(断層面E)があり,崩落(T7)が生じた.直径1mの巨礫が移動し,近隣の丘陵斜面では地すべりが発生した.古富士火山テフラと新富士火山テフラとの斜交関係が各地で形成される完新世最初期のS-0-1テフラ噴出直前に,ここでは垂直変位量205~235cmの大規模な断層変位IV(断層面F)があり,転石(T8)を生じた.新富士火山から火砕流や岩屑流が連続して流下した縄文晩期末~弥生最初期のS-14′~15′期に垂直変位量40cmの断層変位V(断層面G)があり,S-14′火山泥流(山北火山砂礫層)をほぼ垂直に切断した.その後,上盤側も下盤側もS-15′?期の主として富士系黒色玄武岩質溶岩礫とローム泥で構成されるやや固結した層厚10mの火山泥流堆積物に切られる.その上方には湯舟第2スコリア(S-22;2.2ka)がある.断層変位の時期はATを24.5ka,Y-130を17.6ka,S-15′を2.58kaとすれば,Iが23.5ka,IIが23.5~22.1ka,IIIが21.5ka,III′が15.2ka,III″が12.5ka,IVが10.5ka,Vが2.6kaとなる.

南関東のテフラ層序学的な時代転換点~箱根・富士両火山の活動転換点あたりで大きな変位があり,それ以外に火砕流を発生するような火山活動期に小さな変位があった(上杉・米澤,1987;上杉ほか,1992).以上のように,この地点で検出できた変位の発生間隔は等間隔ではないし,変位速度も一定ではない.将来予測には,南方箱根火山地域中での補充調査, 両火山の活動や周辺断層網による地変との同期連動関係の履歴調査が必要である.

平山断層露頭を示す山北地図。足柄駅と酒匂川が示される。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1「山北」(東京16号-4)。東名高速道路、足柄駅、山北、酒匂川、台、平山、平山橋、城山、日向、325、313、120.5、118。

English translation

1:25,000 “Yamakita” (Tokyo16-4). Tomei Expressway,Ashigara Station,Yamakita,Sakawagawa,Dai,Hirayama,Hirayama Bridge,Shiroyama,Hinata;325,313,120.5,118.

KT-39(続き)

文献:足柄団体研究グループ(1986a,1986b),今永(1986),伊藤ほか(1986),Ito et al.(1987,1989),狩野ほか(1988),上杉(1989,1990),上杉ほか(1985,1992),上杉・木越(1986),上杉・米澤(1987),山崎(1971)

山北の露頭の断面スケッチ。足柄層群、河床礫・河畔砂、崖錐、傾斜したテフラと断層・侵食面の位置関係を示す。
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図中文字(日本語)

地表まで10m弱。河床からの高度:10,15,20,25m。横軸の表示:38,45m。 S-15′,黒色玄武岩質火山砂礫層。山北火山砂礫層。S-14′,S-14,S-13,S-10~12,S-0-1~6。崖錐T1~3。河床礫(立川期),河床礫,河畔砂。足柄層群(礫岩)。 層・構造のラベル(図内の反復を含む):G0,G1a,G2,G3,G4,G21,G22,G121,G122;A0,B1,B2,B3,C0,D1,D2,E0;F1,F2,F21,F22,F211,F221,F222;T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8。 テフラのラベル:Y-119,121-1,121-3,121-4,121-5・6,123,123′,124,125,126,127,128,129,130・131,131,131・130,132,136,136・132,137,138,138・139,139,140,141。 Ito et al.(1987)に加筆,一部簡略化。

English translation

Less than 10 m to the ground surface. Height above the riverbed: 10, 15, 20, 25 m. Horizontal-axis labels: 38 and 45 m. S-15′; black basaltic volcanic sand and gravel. Yamakita volcanic sand and gravel. S-14′, S-14, S-13, S-10–12, S-0-1–6. Talus T1–3. Riverbed gravel (Tachikawa stage), riverbed gravel, riverside sand. Ashigara Group (conglomerate). Unit and structural labels (also repeated in the drawing): G0, G1a, G2, G3, G4, G21, G22, G121, G122; A0, B1, B2, B3, C0, D1, D2, E0; F1, F2, F21, F22, F211, F221, F222; T1, T2, T3, T4, T5, T6, T7, T8. Tephra labels: Y-119, 121-1, 121-3, 121-4, 121-5·6, 123, 123′, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130·131, 131, 131·130, 132, 136, 136·132, 137, 138, 138·139, 139, 140, 141. Modified from Ito et al. (1987), partly simplified.

KT-40 関東平野中部古流山湾の縄文海進堆積物と泥炭層

遠藤邦彦

縄文海進は5.5~6.5kaに最盛期を迎え,関東平野の奥深く約50kmも侵入,各所に溺れ谷を形成した.下総台地の開析谷,現在の坂川の谷も溺れ谷と化した.この古流山湾と名付けられた小内湾には,カキ礁が広く形成されていた.坂川の河川改修工事により海抜0m付近に厚さ約60cmのカキ礁が露出した.全体に新鮮なマガキ殻が直立して密集する.その中~下部で5.8~5.9kaの¹⁴C年代が得られた(遠藤ほか,1989).カキ礁の存在は,当時水のきれいな安定した浅い内湾が存在したことを示す.この地点のボーリングコアによると,海成層は-10m付近まで続き,有楽町層の基底は-12mにある.カキ礁を覆って異地性貝化石を含むシルト質砂層(4.8kaの¹⁴C年代,以下同様),汽水成粘土層(4.4ka),さらに上位に厚さ約2mの未分解質泥炭層(1.7~3.4ka以降)がのる.これは縄文海進期の内湾が5.0kaには離水を始め,4.0ka頃まで汽水化,3.5kaには淡水化して湿地となった過程を示す.泥炭層には,新富士火山のスコリア層が8層挟まれ,上位からNZ-a~NZ-hと名付けられた.それぞれ1~0.25mmの粒径の黒灰~灰色のスコリアで,少量のカンラン石を含む.これらは新富士火山のテフラ(泉ほか,1977;宮地,1988)と対比され,NZ-cはYu-2(S-22)に,NZ-dはS-18,NZ-e,f,gはS-15~17′に,NZ-hはYu-1(S-10,11)とされた(遠藤ほか,1989).NZ-a,bは新富士のYu-3グループに属するものであろう.この露頭ではさらに表層の泥炭層・土壌層を欠くが,周辺では表層部に,新富士宝永テフラ(1707年;S-25),榛名二ツ岳渋川(FA),浅間a(As-a)などが認められる.これらスコリア質・軽石質テフラは,関東平野の沖積低地に分布する泥炭層および低地遺跡で広く見出される(赤山陣屋跡遺跡;遠藤ほか,1987など).この露頭は護岸されたが,河川改修はさらに奥に向っているので,今後も露出する可能性がある.この露頭で得られた有楽町層の珪藻分析,花粉分析の結果は遠藤ほか(1989)を参照されたい.

文献:遠藤ほか(1987,1989),泉ほか(1977),宮地(1988)

名都借付近の坂川の位置図と河岸断面。カキ礁、貝混じり砂、汽水成堆積物、泥炭層、8枚のテフラと¹⁴C年代を示す。
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図中文字(日本語)

上部に混入した本文・文献は本文に収録。地図:2.5万分の1『流山』(東京1号-2),名都借,松戸市,坂川,幸町,×,矢印。 坂川(名都借付近)。左岸,右岸。縦軸Y.P.,m:0,1,2,3,4,5。TEPHRA:a,b,c,d,e,f,g,h。C14。 泥炭層,汽水成シルト・粘土,貝混じりシルト質砂,カキ礁。rhizome of Phragmites;fossil oyster bed (reworked);fossil oyster reef (autochthonous)。 年代値(図の上から;y. B. P.):1750±110,2100±120,2860±110,3350±80,4400±100,4790±140,4620±150,5820±100,5900±140。

English translation

Body text and references included in the upper crop are reproduced in the main text. Map: 1:25,000 “Nagareyama” (Tokyo 1-2); Nazukari, Matsudo City, Sakagawa, Saiwaicho, ×, arrow. Sakagawa (near Nazukari). Left bank; right bank. Vertical axis: Y.P., m; 0, 1, 2, 3, 4, 5. TEPHRA: a, b, c, d, e, f, g, h. C14. Peat; brackish-water silt and clay; shelly silty sand; oyster reef. Original English lettering: “rhizome of Phragmites”; “fossil oyster bed (reworked)”; “fossil oyster reef (autochthonous)”. Ages, from the top of the drawing (y. B. P.): 1750±110, 2100±120, 2860±110, 3350±80, 4400±100, 4790±140, 4620±150, 5820±100, 5900±140.

判読上の注記

4620±150 — 図の先頭数字はやや不鮮明。原PDFの拡大では4と読み取れるが、年代の前後関係から別数字へ修正しない。

KT-41 千葉市稲毛区,牛尾舛遺跡のテフラ層位

上杉陽・飛田正美・上本進二・白根義久・建石徹・青沼道文・松田隆夫・武田宗久・遺跡層序研究会

本遺跡は東京湾岸に平行に北西―南東方向に分布する下総台地(下末吉~小原台期)に総武線稲毛~検見川間で切り込む草野放水路水系の支谷群に囲まれた小台地の西縁部に立地し,台地上にはテフラで埋められた複数の浅い皿状凹地がある.本遺跡は富士火山のN75°E方向128km地点に当たり,完新世テフラの層厚は概略0.5m前後で,ここからは縄文中期住居跡,古墳前期住居跡,後期住居跡,古墳1基,奈良時代土壙墓,近世溝状遺構が検出される(飛田・白根,1996).西に開く皿状凹地の南縁にある縄文中期に放棄された住居跡はN70°W方向北東落ち10~15cmの地割れ群で切られ,その後に古墳後期住居跡が構築される.この間に本遺跡周辺で地割れを発生し得るような大きな地震動があったか,あるいは,ここに被覆層を切る北西―南東方向の活断層の支脈が出現したかであろう.更新世テフラは概略は肉眼で識別可能で,テフラ中の明色帯と暗色帯の位置は基本的には相模野と同じである.地表から1.4m下位に姶良Tnテフラ(AT)がある.直上の硬いスコリア礫を含む第14層は相模野の相模野第1スコリア(S1S)に相当し,その上の第15層暗色帯は相模野基本土層のB2u(上杉ほか,1993;上本ほか,1994)に当たる.第17層暗色帯は相模野B1に相当する.地表から2.5m下位の第2層上部に黒雲母帯がある.これは上下のスコリア礫の特徴から上杉ほか(1980)のY-97′(含雲母グリース状火山灰;Gr)に対比可能である.その年代は叶内・杉原(1994)によれば約38.3kaである.そのほか,第3~4層間,第5~6層間,第6~7層間,第16層下部に黄白色軽石質火山砂がある.これらは,いずれも箱根火山中央火口丘系テフラと考えられる.例えば,第16層の白色軽石質火山砂はY-128~130のHk-CCP16,17であろう(上杉ほか,1996).第13層のAT直上(相模野のL3中部)からは焼土や黒曜石剥片が,第14層表層部(相模野のB2下部表層)からは黒曜石の剥片が検出された.

文献:飛田・白根(1996),叶内・杉原(1994),町田ほか(1991),上本ほか(1994),上杉ほか(1980,1992,1993,1996)Ωは遺物,詳細は上杉ほか(1992)

牛尾舛遺跡の21土層の柱状図。層厚、層相、遺構・石器の層準、推定テフラ対比を示す。
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図中文字(日本語)

土層番号/層厚/層相/遺物など/推定テフラ番号。厚さの単位は図に明記なし。Ωは遺物。

土層 層厚 図の特徴・対比
21 50 Ω近世溝状遺構,Ω奈良時代土壙墓,Ω古墳時代住居跡,▽縄文中期~古墳後期間,Ω縄文中期住居跡;S-0-1~S-4
20 15 Y-141-1~3
19 5 赤橙色スコリア;Y-138~140
18 13 Y-137-1~4
17 8 赤橙色スコリア,青白色岩片;Y-136~132
16 15 海老色~朱肉色スコリア;Y-131~127;白色軽石質火山砂含む
15 13 Ω黒曜石剥片,青黒色微細気孔スコリア;Y-126′~123
14 7 青黒色岩片;Y-121~122;Y-120~116
13 12 Ω焼土・黒曜石剥片;姶良丹沢火山灰(AT)
12 15 微細青黒色岩片;Y-115~114?
11 15 暗色帯;Y-113~109?;下部に黒色微細気孔スコリア
10 7 下部に黒色微細気孔スコリア
9 7 下部に黒色微細気孔スコリア
8 7 灰白色岩片入り風化帯;Y-107?
7 8 黄橙色微細気孔スコリア
6 8 赤紫色岩片;Y-105?
5 8 青黒色岩片;Y-103?
4 15 黒色微細気孔スコリア,岩片多し,暗色帯;Y-102~100?;白色軽石質火山砂
3 20 Y-99?,Y-98;黒色微細気孔スコリア
2 10 黒雲母含むY-97′;Y-97
1 10+ 青黄褐色風化帯;Y-96;黄橙色微細気孔スコリア

右側の感触表示:さらさら,しゃりしゃり。

English translation

Soil-layer number / thickness / facies / artifacts, etc. / inferred tephra number. The thickness unit is not specified in the drawing. Ω denotes artifacts.

Soil layer Thickness Characteristics and correlations in the figure
21 50 Ω early modern ditch, Ω Nara-period pit burial, Ω Kofun dwelling, ▽ interval from Middle Jomon to Late Kofun, Ω Middle Jomon dwelling; S-0-1–S-4
20 15 Y-141-1–3
19 5 Reddish-orange scoria; Y-138–140
18 13 Y-137-1–4
17 8 Reddish-orange scoria, bluish-white lithics; Y-136–132
16 15 Shrimp-colored to vermilion scoria; Y-131–127; contains white pumiceous volcanic sand
15 13 Ω obsidian flakes, bluish-black scoria with fine vesicles; Y-126′–123
14 7 Bluish-black lithics; Y-121–122; Y-120–116
13 12 Ω burnt soil and obsidian flakes; Aira-Tanzawa ash (AT)
12 15 Very fine bluish-black lithics; Y-115–114?
11 15 Dark band; Y-113–109?; black scoria with fine vesicles in the lower part
10 7 Black scoria with fine vesicles in the lower part
9 7 Black scoria with fine vesicles in the lower part
8 7 Weathered band containing grayish-white lithics; Y-107?
7 8 Yellowish-orange scoria with fine vesicles
6 8 Reddish-purple lithics; Y-105?
5 8 Bluish-black lithics; Y-103?
4 15 Black scoria with fine vesicles, abundant lithics, dark band; Y-102–100?; white pumiceous volcanic sand
3 20 Y-99?, Y-98; black scoria with fine vesicles
2 10 Biotite-bearing Y-97′; Y-97
1 10+ Blue-yellow-brown weathered band; Y-96; yellowish-orange scoria with fine vesicles

Texture descriptions at the right: free-flowing (さらさら), gritty (しゃりしゃり).

牛尾舛遺跡の位置を黒四角で示す千葉西部地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『千葉西部』(千葉15号-3)。黒四角:遺跡。稲毛,検見川,宮野木,小中台町,園生。

English translation

1:25,000 “Chiba-Seibu” (Chiba 15-3). Black square: site. Inage, Kemigawa, Miyanogi, Konakadai-cho (小中台町), Sonno (園生).

KT-42 房総半島夷隅川下流における3万年前の海成段丘

菊地隆男・鈴木毅彦・桑原拓一郎

房総半島は第四紀の隆起が著しく,後期更新世後半の低海面期に形成された海成段丘の存在が期待されていた.本露頭は1995年に発見され,低海面期とされる30ka(酸素同位体ステージ3)前後の時期の潟成層と思われる地層が露出し,この時期の古海面高度を示す資料として興味深い.夷隅(いすみ)川下流地域には,高位から太東崎(海抜70m),長坂(50m),吉附(よしつけ)(30m),松丸(18m)の更新世段丘が分布する(桑原,1995).このうち吉附面は,本露頭東方の椎木堰など溜め池の周辺に分布し,基盤の上総層群を不整合に覆う海成層とみられる扁平礫を含む中粒砂が観察される.本露頭にみられる同段丘の堆積物は,下部は細粒(1~0.5mm)の軽石を含むマッシブなシルト質細粒砂層(厚さ4m+),上部はシルトの中~細礫を含む平行葉理を示す粘土質シルト層(厚さ約4m)である.下部・上部の境界は比較的明瞭で若干の時間間隙があるらしい.さらに,下部に2層準,上部に1層準に泥炭層が挟まれ,¹⁴C年代測定の結果,いずれも31,000~33,000yr B.P.の値が得られた(菊地ほか,1996).花粉分析ではトウヒ属,ツガ属など常緑針葉樹が多く,冷温帯上部の環境を示す(分析者:清永丈太).なお,軽石のガラスの屈折率nは1.503~1.512のレンジを示し,モードも複数あるため,再堆積を含む複数の軽石が混入している恐れがある.これらの水成層を覆い,礫混じり粘土層(1m)および褐色の関東ローム層(1.2m)が重なる.粘土層上部には径2~3mmのスコリア層が挟まれる.またローム層の中にはn=1.499~1.502の屈折率を示す火山ガラスの密集層準があり,姶良Tnテフラ(AT)とみられる.

文献:菊地ほか(1996),桑原(1995)

房総半島岬町一ヶ谷の露頭を矢印で示す地形図。上総一宮・国吉・上総長者の図幅接合部。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『上総一宮』(千葉12号-2・4)。原著で図の下にある接合図幅の表示:2.5万分の1『国吉』(大多喜9号-3),2.5万分の1『上総長者』(大多喜9号-1)。岬町,網田,一ヶ谷。数値表示:30.5,33.4,42,26。矢印:露頭。

English translation

1:25,000 “Kazusa-Ichinomiya” (Chiba 12-2·4). Labels of adjoining sheets printed beneath the map in the original: 1:25,000 “Kuniyoshi” (Otaki 9-3) and 1:25,000 “Kazusa-Choja” (Otaki 9-1). Misaki Town, 網田, 一ヶ谷. Numerical labels: 30.5, 33.4, 42, 26. Arrow: exposure.

吉附面の段丘堆積物と関東ローム層の露頭を描いた立体図。3試料の¹⁴C年代と上総層群大田代層の基盤を示す。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

N,S。竹林,畑,関東ローム層,AT,大走り,吉附面構成層,宅地,①,②。上総層群(大田代層)。高さ目盛:0,10m。 ①:31,090±190 yrs BP (NUTA-3892) ②-1:33,290±230 yrs BP (NUTA-3893) ②-2:32,500±330 yrs BP (NUTA-3894) 半減期:5,568年。

English translation

N, S. Bamboo grove; cultivated field; Kanto Loam; AT; 大走り (original label); deposits forming the Yoshitsuke surface; residential lots; ①, ②. Kazusa Group (Otadai Formation). Height scale: 0, 10 m. ①: 31,090±190 yrs BP (NUTA-3892) ②-1: 33,290±230 yrs BP (NUTA-3893) ②-2: 32,500±330 yrs BP (NUTA-3894) Half-life: 5,568 years.

KT-43 東京湾東岸に分布する後期更新世テフラ層―箱根火山起源のテフラ―

杉原重夫

房総半島中部の木更津付近は箱根を起源とする多くのテフラの分布軸にあたる.この露頭は内房線木更津駅の東南東約6.5kmにあって,木更津台地(小原台面)が開析された細い尾根上の十字形の切通しに作られている.自動車では館山自動車道,木更津北ICを降りて20分ぐらい.この露頭ができた約20年前は,関東ローム層中の示標テフラや埋没土壌が観察できる好露頭であったが,現在では下半部の崖面が埋没している.しかし,現在でも下位から箱根小原台(Hk-OP),箱根三浦(Hk-MP),箱根東京(Hk-TP),箱根中央火口丘1(Hk-CCP1)の4枚の箱根起源の軽石層を識別することは可能である.このうちHk-OPは66±6ka,Hk-TPは49±6kaのフィッション・トラック年代値が明らかにされている(鈴木,1976).また,この露頭は,Hk-OP以上の下末吉ローム層や立川・武蔵野ローム層の火山灰土にクラック帯のほか黒色帯などの埋没土壌が極めてよく観察できた(現在はよくない).Hk-OP以下の下末吉ローム層は灰褐色~緑灰色の粘土層となり,かつて,この層準に御岳第1テフラ(On-Pm1)が介在するのが観察できた.木更津台地では,下末吉ローム層上半部が小原台面を構成する姉ケ崎層の砂泥互層・砂礫層を整合的に覆う.現在,この露頭では姉ケ崎層を観察することはできないが,その堆積相から木更津台地が陸化する過程における河口付近の(三角州性)堆積物と考えられる.

文献:新井ほか(1977),町田(1971),杉原ほか(1978),鈴木(1976)

三光路のテフラ露頭を矢印で示す木更津地形図。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『木更津』(東京4号-2)。三光路。標高点:82,92.1,75.7。矢印:露頭。

English translation

1:25,000 “Kisarazu” (Tokyo 4-2). 三光路. Spot heights: 82, 92.1, 75.7. Arrow: exposure.

木更津の切通しに露出する4枚の箱根起源軽石層の写真。下位からHk-OP、Hk-MP、Hk-TP、Hk-CCP1を表示。
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

Hk-CCP1,Hk-TP,Hk-MP,Hk-OP。

English translation

Hk-CCP1: Hakone Central Cone 1; Hk-TP: Hakone-Tokyo; Hk-MP: Hakone-Miura; Hk-OP: Hakone-Obaradai.

KT-44 下総層群薮層中のゴマシオ第1テフラ(GoP1)と貝化石群集

杉原重夫

下総層群(成田層群)は房総半島北部に広く分布する海成層を主体とした地層で,各地で貝化石を産出する.この露頭も貝化石産出地として古くから知られている.露頭の位置は外房線誉田駅の南東約2.5kmの地点であるが,道路が迂回しているうえ複雑で,駅から露頭にたどり着くまで1時間近くかかる(自動車では千葉外房道路から東京靴下団地の脇を通る道が便利である).この露頭は村田川上流の河流によって下総台地が削られてできた比高約15mの大きな崖で,現在では下半部が崩壊した土砂で埋まり,上半部では貝化石を産出する部分だけが植物に覆われないで残されている(幅約20m,高さ約5m).ここに露出する貝化石を含む地層は,かって「瀬又層」とよばれたことがあるが,示標テフラの対比から下総層群薮層に所属することが明らかになった.この露頭で観察できる主要なテフラは瀬又・薮テフラ(SY)と,この約270cm上位に認められるゴマシオ第1テフラ(GoP1)である.GoP1については290±30kaのフィッション・トラック年代値が明らかにされている(鈴木,1976).またGoP1は多摩ローム層中の第一級の示標テフラであり,八ケ岳BBPに対比されている(町田ほか,1974).

この露頭では貝化石群集の垂直的変化が明らかにされていて,SY層準の下位に暖流系種,SYとGoP1の間の層準で寒暖両要素を持つようになり,GoP1の上位では比較的寒冷系の貝化石群が多くなる.化石種として知られているトウキョウホタテガイ(Pecten tokyoensis)はSYの上位から産出しGoP1の直上まで認められる.

文献:青木・馬場(1971),青木ほか(1970),大原(1968),杉原ほか(1978),鈴木(1976),町田ほか(1974)

瀬又の薮層・貝化石露頭を矢印で示す蘇我地形図。
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『蘇我』(千葉15号-2)。瀬又,村田川。数値表示:42,66。矢印:露頭。

English translation

1:25,000 “Soga” (Chiba 15-2). Semata, Muratagawa. Numerical labels: 42, 66. Arrow: exposure.

瀬又の崖の写真。植被の間に露出する薮層と、上位のGoP1・下位のSYの位置を示す。
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図中文字(日本語)

GoP1,SY。

English translation

GoP1: Gomashio-1 tephra; SY: Semata–Yabu tephra.

KT-45 下総層群地蔵堂層中の港南第1テフラ,TE-5テフラと化石群集

酸素同位体ステージ11の層準

杉原重夫

本露頭は久留里線馬来田(まくた)駅の東約4kmの地点にある.この付近は姉崎台地の南端にあたり,露頭は武田川の開析谷の北岸にある.この谷沿いに続く露頭は下総層群下部の地蔵堂層と薮層の模式地となっていて,自然環境保全地区(昭和51年1月9日)に指定されている.地蔵堂層の代表的露頭であるこの地点では,貝化石群集の垂直的変化が2枚のテフラとの層位関係から把握できる.この露頭では,道路面の高さに港南第1テフラ(Kn-1;横浜で港南層最上部に挟まれる;町田ほか,1974参照),この上位約4mにTE-5(大磯・多摩丘陵各地で多摩Eテフラグループの中・下部に見出され,八王子黒雲母テフラ(HBP)にあたる)の2枚の示標テフラが識別できる.TE-5については広域テフラであることが確実で,390±80ka(鈴木・杉原,1983)のフィッション・トラック年代値も明らかにされているが,給源火山は不明である.

地蔵堂層中で最も注目されるのは,Kn-1付近から上位2m以内の層準に暖流系というよりも亜熱帯的といえる貝化石群集が単体サンゴ,腕足類,蘚虫類とともに認められることで,これは下総層群中で最も高い海水温を示すものである.この高水温期は横浜では港南面を形成した海進最盛期にあたり,それはまた,大阪層群のMa8とともに酸素同位体ステージ11の世界的に温暖な海況の時代に対比される.TE-5またはそれ以上の層準では古生物に寒冷種が目立ち,ここでは海水温の低下が示唆される.

文献:青木ほか(1962),青木・馬場(1973),町田ほか(1974,1980),杉原ほか(1978),鈴木・杉原(1983)

地蔵堂露頭位置を示す上総横田の地形図
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図中文字(日本語)

丹原開墾;五郷;地蔵堂;136;△137.3;40;56;2.5万分の1『上総横田』(千葉16号-4)

English translation

丹原開墾 (place name, reading unverified); 五郷 (place name); Jizodo; 136; △137.3; 40; 56; 1:25,000 “Kazusa-Yokota” (Chiba sheet 16-4).

判読上の注記

地形図の微小な標高・地名 — 原画像でも一部の微小文字は判読困難。

Kn-1とTE-5を示した地蔵堂層の露頭写真
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図中文字(日本語)

TE-5→;Kn-1

English translation

TE-5→; Kn-1

KT-46 房総半島館山の沼サンゴ層とテフラ

遠藤邦彦・村田泰輔

房総半島南端部の館山湾をとりまく地域は,縄文海進期最盛期(5.5~6.5ka)には溺れ谷となり,造礁性サンゴを含む沼層が堆積した(松島,1979).浜田(1963)によると,沼サンゴ層からは約90種の造礁性サンゴが確認され,それらは潮間帯下数m以深に生息していた.松島(1979)は沼層を下位より沼下部泥層(7.5~8.5ka),沼サンゴ層(5.5~6.5ka),沼上部泥層の3部層に分けた.

沼サンゴ層については,現在本露頭のほか,B,C,D,Eなどでも見ることができる.Dには天然記念物の碑があり,柵の中にサンゴ化石が保存されている.館山市香谷(こうやつ)付近の小谷の奥にある本露頭(A地点)では,基盤のシルト岩を覆って,厚さ1~2mの沼サンゴ層(NM)と,これを覆う沼上部泥層(NU)の2部層が観察できる.沼サンゴ層は,海抜18~21mに見られ,造礁性サンゴ化石とその間を埋める貝化石混じりの泥よりなる.サンゴと共産する貝化石は潮間帯下数m以深を示す(松島,1979).基盤のシルト岩には,縄文海進最盛期の穿孔貝による生痕が多数みとめられ,その上限は海抜28mに達する.沼上部泥層は下部の砂礫層と上部の暗青色泥層よりなるが,いずれもサンゴ・貝化石を産しない.沼サンゴ層から外洋及び内湾指標種群,沼上部泥層の砂礫層から海~汽水砂質干潟指標種群,暗青色泥層から汽水泥質干潟~淡水底生指標種群が産出する(小杉・村田,未公表).このような化石群集の層位的変化は,縄文海進最盛期とその後の海退期にかけての環境変遷を示唆する.この上部泥層の下位,沼サンゴ層の上面を覆って厚さ1cmの黒色スコリア層が発見され,伊豆大島沼テフラ(Os-Nm)と命名された(小杉ほか,1990).この発泡のやや悪い,角張ったスコリアの化学組成は,富士火山や東伊豆単成火山群のトレンドとは異なり,伊豆大島のトレンドと一致する.おそらく,主成層火山新期(田沢,1980;Nakamura,1964の古期大島層群)のO22かO21(田沢,1981)あるいはO35(上杉ほか,1994)に相当する可能性が強い.これらスコリア層の年代は,5.5kaと求められている.

本露頭は沼サンゴ層が見事に保存された数少ない貴重な露頭であるので,露頭の破壊につながるような行為は厳に慎む必要がある.

文献:浜田(1963),小杉ほか(1990),松島(1979),Nakamura(1964),田沢(1980,1981),上杉ほか(1994)

館山周辺の沼サンゴ層露頭A~Eの位置図
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図中文字(日本語)

B;C;A;D;E;館山市;館山大橋;桑原;西郷;府中;古;大社;館山;城山;塩見;5万分の1『那古』(横須賀2号);5万分の1『館山』(横須賀3号)

English translation

B; C; A; D; E; Tateyama City; Tateyama Bridge; 桑原; 西郷; 府中; 古; 大社; Tateyama; Shiroyama; 塩見; 1:50,000 “Nago” (Yokosuka sheet 2); 1:50,000 “Tateyama” (Yokosuka sheet 3).

判読上の注記

地形図微小地名・標高 — 一部は原図解像度でも判読困難。

香谷A地点の沼サンゴ層と穿孔貝生痕上限を示す断面
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図中文字(日本語)

香谷(A地点)の沼サンゴ層の露頭スケッチ;m 標高;30;25;20;upper limit of boring shell;Os-Nm Ash;S;NU;NM;シルト岩;沼サンゴ;穿孔貝生痕;砂層/礫層;シルト層/土壌

English translation

Outcrop sketch of the Numa coral bed at Koyatsu (site A); elevation, m; 30; 25; 20; upper limit of boring shell; Os-Nm Ash; S; NU; NM; siltstone; Numa coral; traces of boring molluscs; sand bed / gravel bed; silt bed / soil.

KT-47 伊豆大島地層大切断面に見られる古期大島層群テフラ中の斜交関係と遠来テフラ

上杉陽・新川和範

伊豆大島南西岸,都道208号線沿いのエンシュウーアイノー~間伏間には総延長750mの露頭群がある.大島町が「地層大切断面」として管理し,常時観察可能である.田沢(1980)は,ここを主模式地として古期大島層群テフラを本格的に記載した.上杉ほか(1994)はこれに一部加筆修正した20分の1連続柱状図を作成し,斜交関係の規模と形態を根拠に上位より千波崎第1層(新期大島層群;Y,N,S;1.72ka以降),同第2層(Osb1~O35;1.72~5.6ka),同第3層(Osb36~O63;5.6~13.74ka),同第4層(O64~Osb100;13.74~20.52ka),同第5層(Osb101以下;20.52ka~)と大区分した.下図は都道から砂の浜に下る脇道を基点として北西元町方面に500~530m地点の陸側露頭スケッチである.240m地点に千波崎に下る脇道がある.525m地点路面近くに層厚40cmのスコリア礫層Osb86(18.4ka±)がある.最上部火山砂部分に300~70μmの繊維状~薄片状透明ガラス片が含まれる.約14kaのO64最上部以上は黒色腐植化している.富士東方地域より2~3千年腐植化が早い.第3層基底のO63(13.7ka±)は層厚95~377cmのスコリア砂礫層で直下に上方浸食型の顕著な斜交層準を形成する. 谷埋部分ではそれ以前のテフラが僅かに浸食されるのみであるが稜線部分では大幅に浸食される.稜線部ではOsb81からO76までが切られる.晩氷期海進初期にあたるこの時期には南関東でも同様な斜交関係が成立している.遺跡は斜面上部より斜面下部~谷底部分に立地しやすいと思われる.O58(12.1ka±)とO55-2(10.4ka±)には遠来の白色軽石質火山灰を挾在する.この2枚組遠来テフラは広く対比可能である(新川ほか,1992b).吉田(1992)により新島宮塚山や神津島丈五郎山が給源と推定された.杉原ほか(1978)の安房ガラス質火山灰(AG)の一部であろう.Osb37-3上部には鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)が挟在する(新川ほか,1992a).町田・新井(1978)では王の浜のO40に挟在するとしたが,模式地のO40には異なるガラスが含まれる.O35(5.6ka±)直下には顕著な上方浸食型斜交層準が形成される.

文献:町田・新井(1978),新川ほか(1992a,b),杉原ほか(1978),田沢(1980),上杉ほか(1994),吉田(1992)

千波崎位置図と500~530m区間のテフラ斜交断面(本文断片を含む)
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『大島南部』(横須賀12号-2・4);S;Ah;28;29;30;31;32;33;34;35;36-1;36-2;36-3;37-1;37-2;37-3;37-5;38;38-3;39;40;41;42;43;44;45;46;47;48;49;50;51;52;53;54;55;58;59;60;61;62;63;76;77;79;81;82;83;84;85;86;530;520;510;500m。画像中の本文断片は本文に復元。

English translation

1:25,000 “Southern Oshima” (Yokosuka sheet 12-2/4); S; Ah; 28; 29; 30; 31; 32; 33; 34; 35; 36-1; 36-2; 36-3; 37-1; 37-2; 37-3; 37-5; 38; 38-3; 39; 40; 41; 42; 43; 44; 45; 46; 47; 48; 49; 50; 51; 52; 53; 54; 55; 58; 59; 60; 61; 62; 63; 76; 77; 79; 81; 82; 83; 84; 85; 86; 530; 520; 510; 500 m. The embedded prose fragment has been restored in the main text.

判読上の注記

地形図微小文字および重なる断面ラベル — 微小文字の一部は完全には判読できない。

KT-48 伊豆新島,神津島起源のテフラと姶良Tnテフラ

吉田浩

伊豆新島は,火砕サージ堆積物の平坦面と溶岩ドーム群からなる火山島である.本露頭は新島火山の比較的初期に噴出した瀬戸山溶岩ドームの上に位置し,約50ka以降のテフラ層序を観察できる数少ない露頭である.急崖のため直接さわって観察できるのは,赤崎峰溶岩ドームの形成に先立って噴出した古銅輝石安山岩質の火山豆石(一色,1987)からなる新島赤崎峰テフラ(吉田,1992)から下である.最下位の新島大三山テフラ(吉田,1992)と瀬戸山溶岩(一色,1987)との直接の関係はここでは見ることはできない.

この露頭では,岩質の違いから新島赤崎峰テフラが目立つ.この新島赤崎峰テフラの下に神津島高処山(たこうどやま)テフラ(吉田,1991)が認められる.神津島高処山テフラの下,写真の人物の頭付近から姶良Tnテフラ(AT)の火山ガラス片が検出された(吉田,1992).新島峰路山(みねじどやま)テフラ(吉田,1992)は,下部は火砕サージ堆積物,上部は降下軽石堆積物からなる.本質物質はカミングトン閃石含有流紋岩であるが,火砕サージ堆積物中のマトリクスに黒雲母を多く含む.新島峰路山テフラの下には層厚35cmの暗褐色古土壌のクラック帯が発達している.新島大三山テフラは下部が火砕流堆積物,上部が火砕サージ堆積物である.

この露頭より北西約2km沖にある地内島の神社裏の露頭では,新島向山テフラ(吉田,1992)から地内島溶岩(一色,1987)まで直接触れて観察できる.

文献:一色(1987),吉田(1991,1992)

新島・神津島テフラとATを示した大三山露頭
原著 220ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

N;S;新島赤崎峰テフラ;神津島高処山テフラ;AT;降下軽石層;新島峰路山テフラ;火砕サージ堆積物;新島大三山テフラ;火砕流堆積物

English translation

N; S; Niijima Akazakimine tephra; Kozushima Takoudoyama tephra; AT; pumice-fall bed; Niijima Minejidoyama tephra; pyroclastic-surge deposits; Niijima Daisanyama tephra; pyroclastic-flow deposits.

新島大三山露頭の位置図
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図中文字(日本語)

黒根;大三山;妙京寺研究所;間下浦;30.5;126;40;2.5万分の1『新島』(三宅島10号-4,14号-2)

English translation

黒根; Daisanyama; 妙京寺研究所 [reading unverified]; 間下浦; 30.5; 126; 40; 1:25,000 “Niijima” (Miyakejima sheet 10-4, 14-2).

判読上の注記

妙京寺研究所 — 地形図の細字、読取りは暫定。

KT-49 伊豆諸島で9世紀にあいついで起こった噴火-神津島天上山テフラ,新島向山テフラー

吉田浩

9世紀の中頃に伊豆諸島,伊豆半島では地殻変動が活発化したことが古文書の記述と地層との対比から明らかになっている(上杉,1993).すなわち,神津島と新島の両火山の噴火と丹那断層の活動が50年弱の間にあいついで起こった.それらを時代順にみてゆくと,まず神津島天上山の噴火が,続日本後紀と¹⁴C年代とからみてAD838年に起きている(一色,1982).このとき噴出した神津島天上山(てんじょうさん)テフラ(吉田,1991)は北~西方に降灰したことが古文書に記述されている. つぎに,AD841年に丹那断層の活動があり,これにより神津島天上山テフラが変位をうけていることがトレンチ調査から明らかにされている(杉原,1984).また,新島向山(むかいやま)の噴火を記載したと思われる記述が扶桑略記などにあり,この記述と¹⁴C年代とからAD886年に新島向山が噴火したと考えられている(一色,1973).

写真は,新島の中央に位置する赤崎峰溶岩ドーム上の富士見峠の露頭で,AD886年の噴火堆積物である新島向山テフラ(吉田,1992),神津島天上山テフラ,そして両者の間に玄武岩質と流紋岩質のバイモードの降下火山灰層が認められる.吉田(1992)はこのテフラを新島北部に位置する阿土山(あっちやま)起源と考え,新島阿土山テフラとよんだ.同テフラは¹⁴C年代から1.6kaに噴出したと考えられていたが(一色・磯部,1976),神津島天上山テフラ噴出後に噴火したことが確かめられた.神津島天上山テフラと新島阿土山テフラの間には明褐色火山灰土が,新島阿土山テフラと新島向山テフラの間には腐植に富んだ暗褐色火山灰土が認められる.

文献:一色(1973,1982,1987),一色・磯部(1976),杉原(1984),上杉(1993),吉田(1991,1992)

富士見峠露頭位置を示す新島地形図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

和田浜;393;319.4;460;428.5;2.5万分の1『新島』(三宅島10号-4,14号-2)

English translation

Wada Beach; 393; 319.4; 460; 428.5; 1:25,000 “Niijima” (Miyakejima sheet 10-4, 14-2).

新島向山・阿土山・神津島天上山テフラの露頭写真
原著 221ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

新島向山テフラ;新島阿土山テフラ⇒;神津島天上山テフラ⇒

English translation

Niijima Mukaiyama tephra; Niijima Atchiyama tephra ⇒; Kozushima Tenjosan tephra ⇒.

KT-50 姶良Tnテフラを挾む八丈島東山火山末吉Iステージの降下軽石層

菅香世子

八丈島東山火山の末吉Iステージ(津久井ほか,1991,1993では「末吉ステージ」)は安山岩~デイサイト質マグマの活動で特徴づけられ,玄武岩質成層火山である同火山の活動史の中で特異な時期である.本露頭(菅,1994のFig.5,loc.5に柱状図)は都道の拡張で出現し,岩屑なだれ堆積物を覆う約30の降下単位の軽石層の中に,厚さ6cmの姶良Tnテフラ(AT)が挟まれている.軽石の降下単位(一部サージ堆積物)の間には,風化帯が認められることがあり,このことは軽石噴火が休止期を挟んで断続的に起こったことを示している.ATは東山火山の活動の休止期に降下・堆積し,その後速やかに次の噴火の初期に降下した粗粒火山灰に覆われたために保存された.ATの30~50cm上のサージ堆積物は,軽石流の縁辺相である.本露頭では他に,軽石の降下と並行して形成・埋積された谷の跡や,末吉IIステージの多数の規模の小さな火山灰も観察できる.本露頭は1995年12月現在,植生に覆われつつあるが,農道等の造成が盛んな末吉地区では,同様な露頭が出現・消失を繰り返している.八丈島で最初にATが報告された(杉原・小田,1989)のは本露頭の北300mの農地である.また,露頭位置図中の■地点の石積ヶ鼻のATは保存状態が良い.

文献:菅(1994),杉原・小田(1989),津久井ほか(1991,1993)

末吉露頭と石積ヶ鼻のAT産出地点の位置図
原著 222ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『八丈島』(八丈島2号-3);2.5万分の1『八丈島南部』(八丈島2号-4);高路;宮路;末吉;大根;尾越;石積ヶ鼻;172;82.6

English translation

1:25,000 “Hachijojima” (Hachijojima sheet 2-3); 1:25,000 “Southern Hachijojima” (Hachijojima sheet 2-4); 高路; 宮路; Sueyoshi; 大根; 尾越; Ishizumigahana; 172; 82.6.

判読上の注記

地図の微小地名 — 読みが確かでない固有名は日本語で保持。

ATを挟む末吉I降下軽石と谷埋め堆積物の断面
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図中文字(日本語)

SW;NE;細粒火山灰;粗粒火山灰;軽石;石質岩片;畑;水蒸気爆発の噴出物;末吉IIステージの降下火山灰;AT;サージ堆積物;1m;都道;二次堆積物

English translation

SW; NE; fine ash; coarse ash; pumice; lithic fragments; cultivated field; ejecta from a phreatic explosion; fallout ash of the Sueyoshi II stage; AT; surge deposits; 1 m; Tokyo road; secondary deposits.

5. 中部地方

CB-1 妙高火山の火砕流・岩屑なだれ堆積物と降下テフラ層

早津賢二

本露頭は,上信越自動車道が県道池の平・妙高線と交差する地点のすぐ北側にある.上信越自動車道の建設工事に伴って出現したもので,近く消失する運命にある.妙高火山の火山体を構成する噴出物と山麓の降下テフラ層との層位関係を直接観察できる数少ない露頭の一つである.大山倉吉テフラ(DKP)から上位の降下テフラ層と妙高火山第III活動期末~第IV活動期(早津,1985;早津ほか,1994)の噴出物が観察できる.この露頭で観察される降下テフラ層(早津・新井,1980)と妙高火山の火砕流・岩屑なだれ堆積物(早津,1985)は,下位より次のとおりである.深沢火砕流堆積物(妙高第III活動期)・DKP・黒姫大平スコリア(Kh-Od)・黒姫六月火山礫(Kh-Rg)・妙高兼俣火山灰(Mk-Km)・シブタミ川火砕流堆積物(妙高第IV活動期)・妙高関山スコリア(Mk-Sy)・妙高貫ノ木スコリア(Mk-Kn)・妙高高床スコリア(Mk-Tt)・関川岩屑なだれ堆積物(妙高第IV活動期;19ka)・田口岩屑なだれ堆積物(妙高第IV活動期;8ka)・赤倉火砕流堆積物(妙高第IV活動期;5.3ka)・妙高大田切川火山灰(Mk-Ot;4.2ka).DKPは,層厚5~6cmの連続した一層をなす.なお,ここでは,DKPを挟む3層準に,泥炭層ないし泥炭質土壌層が認められ,最下位の深沢火砕流堆積物中の泥炭層からはMenyanthesの種子化石が多産する.

文献:早津(1985),早津・新井(1980),早津ほか(1994)

関川の妙高火山露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『赤倉』(高田15号-2);原町;毛祝坂;関川;611;634;546;585;663;■

English translation

1:25,000 “Akakura” (Takada sheet 15-2); 原町; 毛祝坂; Sekigawa; 611; 634; 546; 585; 663; ■.

判読上の注記

毛祝坂等の微小地名 — 読取り暫定、読み不明の地名は日本語で保持。

妙高火山火砕流・岩屑なだれ堆積物とDKPの断面
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図中文字(日本語)

S;W;N;14m;黒色火山灰土;赤倉火砕流堆積物;田口岩屑なだれ堆積物;関川岩屑なだれ堆積物;Mk-Tt;Mk-Kn;Mk-Sy;シブタミ川火砕流堆積物;褐色火山灰土;DKP;Kh-Od;泥炭質土壌層;深沢火砕流堆積物;泥炭層

English translation

S; W; N; 14 m; black volcanic-ash soil; Akakura pyroclastic-flow deposits; Taguchi debris-avalanche deposits; Sekigawa debris-avalanche deposits; Mk-Tt; Mk-Kn; Mk-Sy; Shibutamigawa pyroclastic-flow deposits; brown volcanic-ash soil; DKP; Kh-Od; peaty soil bed; Fukazawa pyroclastic-flow deposits; peat bed.

CB-2 信濃川中流域に分布する河成段丘とそれを覆う風成テフラー谷上段丘と350ka以降の風成層-

鈴木毅彦

信濃川が三国山脈より流れ出る清津川,中津川と合流する中流域津南(つなん)付近は,国内でも最も河成段丘の発達のよい地域の一つである.最高位の谷上(たにあげ)段丘は層厚約9mの風成層に覆われ,風成層下部に含まれるテフラからその形成年代は約350kaとみられている.またそれより下位の段丘についてもテフラとの関係が比較的よくわかっており(早津・新井,1981),中~後期更新世の河成段丘の編年が国内でも最も進んでいる地域といえる.風成層に含まれるテフラの大半は妙高火山群起源テフラであるが,給源から距離が離れているのでほとんどが層厚10cm以下と薄い.また,これ以外に広域テフラが加わる.谷上段丘面上に位置する本露頭では全てのテフラを観察することができる.早津・新井(1981),新潟火山灰グループ(1981,1995)に柱状図が掲載されている.露頭は道路に沿い断片的に続く.その様子は図に示した.地表から上部3分の1は南側の切割で観察するのがよく,大山倉吉(DKP),御岳奈川(On-NG),飯縄上樽(Iz-KT)の各テフラが薄層ながらよい目印となろう.下部は北側の切割で観察するのがよい.米原軽石層グループ(MG),大町APmテフラ群(APm)などをみることができる.ただし前者は各テフラとも薄く露頭内での横方向への連続が悪いので照合はやや難しいかもしれない.また,大町APmは露頭基部を掘り起こすか,道路を挟んだ反対側の段丘崖最上部で観察するしかない.

文献:早津・新井(1981),新潟火山灰グループ(1981,1995)

谷上段丘の道路切割位置図
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図中文字(日本語)

美穂;豊田堰取入口;中深見;所平;598;585;510.3;2.5万分の1『赤沢』(高田7号-1)

English translation

Miho; 豊田堰取入口 [Toyoda weir intake, reading unverified]; 中深見; Tokodaira; 598; 585; 510.3; 1:25,000 “Akazawa” (Takada sheet 7-1).

道路両側のテフラ露頭配置と示標層
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図中文字(日本語)

約200m;DKP/NG間には炭を含む暗色帯がある;HK下位にクラック帯が発達する;DKP;NG;KT;AY;HK;MG-a;MG-k,l;APm;TN;美穂方面;所平方面;舗装道路;コンクリート擁壁;段丘崖;テフラの名称:DKP:大山倉吉;NG:御岳奈川;AY:妙高相吉;KT:飯縄上樽;HK:黒姫朴ノ木坂;MG:米原軽石層群;APm:大町APmテフラ群;TN:谷上スコリア

English translation

Approximately 200 m; a dark zone containing charcoal occurs between DKP and NG; a cracked zone is developed below HK; DKP; NG; KT; AY; HK; MG-a; MG-k,l; APm; TN; toward Miho; toward Tokodaira; paved road; concrete retaining wall; terrace scarp; tephra names: DKP, Daisen-Kurayoshi; NG, Ontake-Nagawa; AY, Myoko-Aiyoshi (相吉); KT, Iizuna-Kamitaru; HK, Kurohime-Honokizaka (朴ノ木坂); MG, Yonehara pumice-bed group; APm, Omachi APm tephra group; TN, Taniage scoria.

CB-3 長野県北部に分布する後期更新世テフラと文化編年-黒姫火山起源のテフラと広域テフラー

近藤洋一・野尻湖地質グループ

本露頭は,長野県北部に分布する更新世後期の火山灰層である野尻ローム層の模式露頭である.この露頭は信濃町大平の丘陵地北東部に位置するが,この丘陵を横切って上信越自動車道長野線が通るため1996年現在,大規模な工事がおこなわれている.幸いなことにかろうじて模式露頭のある壁面は残された.この丘陵地は更新世中期の信濃町ローム層の上位に上部神山ローム層および野尻ローム層が堆積している.模式露頭の下半部はコンクリート壁により観察ができなくなったが,上部神山ローム層にはさまれる池尻川泥流堆積物から上位の層準は観察できる.上部神山ローム層中には下位より,青灰色細粒火山灰層(カワラ),赤褐色粗粒火山灰層(レンガ),青灰色礫まじり粗粒火山灰層(白ツプ),オレンジ色軽石混じりシルト質火山灰層(ツブオレンジ),紫灰~灰色粗粒火山灰層(スミレ),角閃石安山岩礫混じり黄白~淡紫色粗粒火山灰層(灰ザラ)が見られる.なお,カタカナによる名称は野尻湖地質グループ(1984,1994),それ以外は早津・新井(1980),町田・新井(1992)による.野尻ローム層は下部,中部,上部に区分され,それぞれさらに細分される.下部野尻ローム層Iには黄灰色粗粒火山灰層(黄ゴマ)が挟まれているが,これは大山倉吉テフラ(DKP;町田・新井,1992)に対比される.下部野尻ローム層IIに含まれる三点セットは火山灰層と火山礫層の互層で黒姫火山起源の特徴的な火山灰層で黒姫大平テフラ(Kh-Od)と同一物である.下部野尻ローム層III層中では角閃石輝石安山岩質火山礫層(ブレッチャーゾーン)がよく目立つ.その上位に紫灰色細粒火山灰層(粉アズキ)と黄灰色粗粒火山灰層(ドライカレー)がセットで確認され,それぞれ妙高兼俣(My-Km),妙高関山(My-S)に相当する.中部野尻ローム層IIIの赤褐色スコリア層(赤スコ)は妙高貫の木(My-K)とよばれているが,野尻湖地質グループ(1984)では分布範囲から黒姫火山起源とした.上部野尻ローム層は黒色帯の上面を境にIとIIに区分される.黒色帯には,ガラス質火山灰が密集している層準が挟まれるが単層としての識別は難しい.このガラス質火山灰(ヌカI)は姶良Tnテフラ(AT)に対比される.上位の柏原黒色火山灰層は黒色の火山灰層で,黄褐色粗粒火山灰層(キビダンゴI,II)をレンズ状に挟む.それぞれ妙高赤倉(My-A),妙高大田切川(My-Ot)に対比される.火山灰層の岩石記載学的特徴は,野尻湖火山灰グループ(1984)に詳しい.上部野尻ローム層の黒色帯以上の層準には,ナイフ形石器文化から縄文文化および平安時代以降までの文化層が確認されている(図4).下位より黒色帯下部,黒色帯上部,上II最下部,上II下部,上II上部,上II上部上面,モヤ下部,モヤ上/下部,モヤ上部文化層および柏原黒色火山灰層中の文化層である(野尻湖人類考古グループ,1994).貫ノ木における火山灰層序が基礎となって,野尻湖底に分布する野尻湖層との正確な層序区分と対比が行われ,最終氷期の古環境の復元と前期旧石器時代から後期旧石器時代にかけての詳しい文化編年が可能となった(野尻湖発掘調査団,1993).

図2 1m

貫ノ木の野尻ローム模式露頭位置図
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図中文字(日本語)

図1;神山;大久保池;大;650;673.35;701;714;2.5万分の1『信濃柏原』(高田16号-1)

English translation

Figure 1; Kamiyama; Okubo Pond; 大; 650; 673.35; 701; 714; 1:25,000 “Shinano-Kashiwabara” (Takada sheet 16-1).

貫ノ木露頭の三点セット・ブレッチャーゾーン・AT層準
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図中文字(日本語)

SE;SW;NW;ヌカI(AT)層準;赤スコ;ブレッチャーゾーン;三点セット(Kh-Od);1m;図2

English translation

SE; SW; NW; Nuka I (AT) horizon; Aka-suko; Breccia Zone; three-piece set (Kh-Od); 1 m; Figure 2.

CB-3(続き)

文献:早津・新井(1980),町田・新井(1992),野尻湖地質グループ(1984,1994),野尻湖発掘調査団(1975,1993),野尻湖火山灰グループ(1984),野尻湖人類考古グループ(1994,1996)図3 貫ノ木の露頭スケッチ(野尻湖発掘調査団地質グループ,1975)

貫ノ木露頭の野尻ローム各部層と写真範囲
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図中文字(日本語)

写真の範囲;10m;5;0;10m;柏原黒色火山灰層;上部;中部;下部III;下部II;下部I;野尻ローム層;神山ローム層;貫ノ木層;池尻川泥流;図3 貫ノ木の露頭スケッチ(野尻湖発掘調査団地質グループ,1975)

English translation

Photograph coverage; 10 m; 5; 0; 10 m; Kashiwabara black ash bed; upper; middle; lower III; lower II; lower I; Nojiri Loam Formation; Kamiyama Loam Formation; Kannoki Formation; Ikejiri River mudflow; Figure 3, sketch of the Kannoki exposure (野尻湖発掘調査団地質グループ, 1975).

立が鼻遺跡の野尻湖層と野尻ローム文化層の対比
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図中文字(日本語)

地層区分;柱状図;化石・遺物;J列層;上部野尻湖層III,II,I;中部野尻湖層III,II,I;下部野尻湖層III(B,A,下部,最下部),II,I;貫ノ木層;ナウマンゾウ・オオツノシカ化石の産出層準;野尻湖文化;縦長剥片に代表される剥片石器文化;骨器・小形剥片石器を主体とする文化;文化層;文化編年;柏原黒色火山灰層;上部野尻ローム層II(モヤ,上部,下部,最下部),I(黒色帯,上[ヒビワレ]);中部野尻ローム層II[赤スコ],I[ニセノミ][青ヒゲ];モヤ上部;モヤ上/下;モヤ下部;上II上部上面;上II上部;上II下部;上II最下部;黒色帯上部;黒色帯下部;平安時代以降;弥・縄;縄文文化:晩期,早期;縄文草創期文化;細石器文化;ナイフ形石器文化;図4 立が鼻遺跡と野尻ローム層中の文化層の対比(野尻湖人類考古グループ,1994)

English translation

Stratigraphic subdivisions; columnar section; fossils and artifacts; J-row bed; Upper Nojiri-ko Formation III, II, I; Middle Nojiri-ko Formation III, II, I; Lower Nojiri-ko Formation III (B, A, lower, lowermost), II, I; Kannoki Formation; horizons yielding Naumann elephant and giant deer fossils; Nojiri-ko culture; flake-tool culture represented by elongated flakes; culture dominated by bone implements and small flake tools; cultural horizon; cultural chronology; Kashiwabara black ash bed; Upper Nojiri Loam II (Moya, upper, lower, lowermost), I (black band, upper [Hibiware]); Middle Nojiri Loam II [Aka-suko], I [Nise-nomi] [Ao-hige]; upper Moya; Moya upper/lower; lower Moya; upper surface of upper Upper II; upper Upper II; lower Upper II; lowermost Upper II; upper black band; lower black band; Heian period and later; Yayoi / Jomon; Jomon culture: Late, Initial; Incipient Jomon culture; microblade culture; knife-shaped stone-tool culture; Figure 4, correlation of cultural horizons at Tategahana and in the Nojiri Loam Formation (野尻湖人類考古グループ, 1994).

判読上の注記

中部Iの細字ラベル[ニセノミ][青ヒゲ] — 画像が小さく読取りは暫定。

CB-4 浅間火山黒斑末期以降のテフラ層-応桑岩屑なだれ堆積物の層位と仏岩・前掛期のテフラー

竹本弘幸

本露頭は北陸新幹線工事で生じたもので,矢ケ崎の第三紀凝灰岩を不整合に覆う姶良Tnテフラ(AT)以上のテフラとこれに挟まれる応桑岩屑なだれ堆積物(OkAV)が観察できた. OkAVは,分布域によって塚原,塩沢,中之条,前橋泥流と呼ばれていたが,いずれも同一のものである(早田,1995など).浅間山は,黒斑(くろふ)山,仏(ほとけ)岩,前掛山,釜山などの総称で,その活動は,黒斑・仏岩・前掛の3期に分けられている.現在は,約10kaから活動している前掛期にあたる.AT降下後の黒斑末期には,室田軽石(MP),4枚の板鼻(いたはな)褐色軽石(BP-1~4)→OkAV→南ケ岳軽石(BP-5)→火山灰互層→2枚のBP(BP-6,-7)が約3千年間に噴出した(竹本・久保,1995),OkAV中には,群馬県国境平付近より噴出した白糸火砕流(荒牧,1968)のブロックも含まれており,黒斑山の山体崩壊の凄まじさを物語っている.仏岩期(約20~10ka)のテフラは,離(はなれ)山から噴出した約20kaの雲場(くもば)軽石流堆積物(Kb;宇野沢・坂本,1972など)→白糸の滝軽石(SP;木崎ほか,1971)→大窪沢第1・2軽石(OkP-1・2;中沢ほか,1984)→板鼻黄色軽石(YP)→総社軽石(Sj)などが観察できた.黒ボク土中の前掛期テフラは,下位より藤岡軽石(Fo),D2軽石,B軽石,A軽石などが見られた.

文献:新井(1993),荒牧(1968),早川(1995),木崎ほか(1971),中村ほか(1992),中沢ほか(1984),早田(1995),竹本ほか(1995),竹本・久保(1995),辻ほか(1984),宇野沢・坂本(1972)

矢ケ崎露頭位置図
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図中文字(日本語)

矢ケ崎;御前町;市村堤;943;950;955;2.5万分の1『軽井沢』(長野6号-2)

English translation

Yagasaki; 御前町; 市村堤; 943; 950; 955; 1:25,000 “Karuizawa” (Nagano sheet 6-2).

浅間テフラの柱状図と応桑岩屑なだれの断面
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図中文字(日本語)

0;5;10;m;A;B;D2;Fo;Sj;YP;OkP-2;OkP-1;雲場軽石流(Kb.Pf);BP-7;-6;-5;応桑岩屑なだれ(OkAV);-4;-3;-2;BP-1;MP;AT;基盤;E;W;AH-1;BP-5-7;BP-4;BP-3;BP-2;BP-1;0;8m

English translation

0; 5; 10; m; A; B; D2; Fo; Sj; YP; OkP-2; OkP-1; Kumoba pumice flow (Kb.Pf); BP-7; -6; -5; Okuwa debris avalanche (OkAV); -4; -3; -2; BP-1; MP; AT; basement; E; W; AH-1; BP-5-7; BP-4; BP-3; BP-2; BP-1; 0; 8 m.

CB-5 関東山地西部の山麓緩斜面構成層-最終氷期の角礫層とテフラ層-

清水長正

本露頭では関東山地西部にあたる千曲川最上流部の高登谷(たかとや)沢流域に発達する山麓緩斜面の構成層が見られる.露頭は千曲川本流沿いの居倉集落の南西方約4kmに位置し,造成された畑の法面で,右上部分が切土され失われている.角礫層と木曽御岳起源のテフラ層や姶良Tnテフラ(AT)が交互に現れる.露頭は山麓緩斜面の西縁部を切っており,露頭の西側(向かって右手)では八ヶ岳川上テフラ(Yt-Kw)と御岳第1テフラ(On-Pm1)が東下がりに堆積している.この状況からOn-Pm1降下時までは緩斜面の位置に凹地形が存在した.On-Pm1以降の最終氷期に入ると角礫の堆積が始まり,御岳三岳テフラ(On-Mt;Pm-IV)降下時までに角礫によって凹地形はほぼ平坦に埋積され,その後AT降下時までに厚さ3m以上の角礫が堆積し山麓緩斜面をおよそ形成した.AT以降の角礫の堆積は厚さ1m程度で最終的に山麓緩斜面の表面を修飾した.以上のように,ここの山麓緩斜面を構成する角礫の堆積期は最終氷期中であり,とくにその前半期に多量の角礫が堆積した.この角礫の堆積が周氷河作用によるものかという点については具体的な資料はない.近傍の小川山中腹の標高1,850m(図中■地点)では周氷河性岩屑層の下位からOn-Pm1が認められており,On-Pm1以降に関東山地の周氷河斜面が形成されたことが述べられている(清水,1983).いずれにしても,関東山地では最終氷期に多量の岩屑が生産されていたことは確かであろう.

文献:清水(1983),清水・百瀬(1983)

高登谷沢露頭と小川山の周氷河岩屑地点の位置図
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図中文字(日本語)

村営牧場;1552;1960;1742;2085;2273;1988;5万分の1『金峰山』(甲府5号)

English translation

Village-operated pasture; 1552; 1960; 1742; 2085; 2273; 1988; 1:50,000 “Kinpusan” (Kofu sheet 5).

角礫・テフラ互層と東下がりのOn-Pm1の露頭断面
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図中文字(日本語)

E;S;W;0;2;4;6m;0;5;10;15;20;25m;表土;角礫層;AT;盛土;褐色火山灰層;On-Mt;On-Pm1;Yt-Kw

English translation

E; S; W; 0; 2; 4; 6 m; 0; 5; 10; 15; 20; 25 m; topsoil; angular gravel bed; AT; fill; brown volcanic-ash bed; On-Mt; On-Pm1; Yt-Kw.

CB-6 塩尻市小坂田における御岳火山起源のテフラ

鈴木毅彦

木曽御岳火山を給源とするテフラの研究は古くから行なわれている.とくに南信州ではじめ記載された御岳第1テフラ(On-Pm1;町田・新井,1992;Kobayashi,1960)が南関東まで追跡され(小林ほか,1967),段丘の対比編年や海面変化史への応用がなされたことは日本の第四紀研究にとって重要なできごとであった.本書では御岳火山起源のテフラを中心とした露頭をいくつかとりあげるが(CB-8など),本露頭は塩尻市小坂田公園の東方に位置し,御岳火山から北東方向へ約50km離れた地点に位置する.従って給源から北東方向に分布する御岳起源テフラがよく観察できる.小林(1961)により小坂田型とよばれた層序の模式地,小坂田公園周辺にもきわめて近い.露頭下部にある最もよく目立つ層厚約50cmの,黄白色の発泡した軽石からなる降下軽石層がOn-Pm1である.On-Pm1の真上にはこれに接するように,御岳塩尻軽石層(SoP;竹本ほか,1987)(木村,1987bのPm-1B)があり,その上位にそれぞれ火山灰土を挟み,御岳藪原(On-Yb;竹本ほか,1987)(木村,1987bのPm-2A),御岳潟町(On-Kt;竹本ほか,1987)(木村,1987bのPm-2B),御岳奈川(On-Ng;竹本ほか,1987)(木村,1987bのPm-3C)がつづく.On-Yb,On-Ktは横方向への連続がやや悪い. 以上テフラのうちOn-Pm1, On-Ngは遠く東北地方南部でも見出されている(WS-11-2,TH-26,KT-1などを参照).

文献:木村(1987b),小林(1961),Kobayashi(1960),小林ほか(1967),町田・新井(1992),竹本ほか(1987)

小坂田公園東の露頭位置図
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図中文字(日本語)

長畝;塩尻町;柿沢;丸山;730;771;781;772;2.5万分の1『塩尻』(高山4号-1)

English translation

長畝; Shiojiri-machi; Kakizawa; Maruyama; 730; 771; 781; 772; 1:25,000 “Shiojiri” (Takayama sheet 4-1).

小坂田のOn-Pm1・On-Ng露頭全景
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図中文字(日本語)

SW;NW;NE;On-Ng;On-Pm1;塩尻小坂田における御岳起源テフラ

English translation

SW; NW; NE; On-Ng; On-Pm1; Ontake-derived tephras at Osakada, Shiojiri.

On-Pm1・SoP・On-Kt・On-Ngの接写
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図中文字(日本語)

On-Ng;On-Kt;SoP;On-Pm1;スケールは2m

English translation

On-Ng; On-Kt; SoP; On-Pm1; scale is 2 m.

CB-7 松本盆地南部梨ノ木礫層を覆う中期更新世テフラ層

鈴木保

標高約600~800mの松本盆地では,少なくとも層厚500m以上の堆積物が盆地を埋積していると推定されている.しかし,松本盆地内で基盤岩に達するボーリングがないため,下限は不明であるが,その基底面は海抜0mに近いものと思われる.これらの堆積物の最下位層は梨ノ木礫層と呼ばれ,砂礫層主体で,一部泥炭質シルトを挟む松本盆地初期の堆積物であり,盆地の縁辺部に広く分布する.梨ノ木礫層は下位より梨ノ木,小坂田,波田の各ローム層からなる風成層に覆われる.本露頭ではこのうち梨ノ木ローム層を代表するC1クリスタル・アッシュ(松本盆地団研,1972)と雑色ラピリが観察できる.特にC1クリスタル・アッシュは高山盆地に分布する上宝火砕流堆積物に対比される可能性が強く,上宝火砕流堆積物の年代は0.65±0.25Ma(柴田ほか,1977)とされている.広域的には長野県八ヶ岳東麓松井ローム層中の白ツプ,千葉県房総半島笠森層中のKS-22とに対比される(Sakai et al.,1996).また,露頭位置図に示した■地点(松本盆地団研,1972)では,100kaの御岳第1テフラ(On-Pm1)以上の更新世後期の小坂田ローム層も観察できる.

文献:松本盆地団研(1972),Sakai et al.(1996),柴田ほか(1977)

梨ノ木露頭とOn-Pm1観察地点の位置図
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図中文字(日本語)

梨ノ木;善知鳥峠;848.8;800;2.5万分の1『塩尻』(高山4号-1);2.5万分の1『北小野』(高山4号-2)

English translation

Nashinoki; Uto Pass (善知鳥峠); 848.8; 800; 1:25,000 “Shiojiri” (Takayama sheet 4-1); 1:25,000 “Kita-Ono” (Takayama sheet 4-2).

梨ノ木礫層を覆うC1クリスタル・アッシュと雑色ラピリの断面
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図中文字(日本語)

SE;SW;NW;5m;梨ノ木礫層最上部;雑色ラピリ;C1クリスタル・アッシュ

English translation

SE; SW; NW; 5 m; uppermost Nashinoki Gravel; varicolored lapilli; C1 Crystal Ash.

CB-8 長野県伊那谷に分布する後期更新世テフラ層-伊那市六道原の御岳起源テフラー

松島信幸・寺平宏

本露頭は伊那谷における御岳起源テフラの模式露頭としてKobayashi and Shimizu(1965)にカラー写真付きで記載された歴史的露頭である.今は植生に覆われ充分な観察はできない.また,東部中学校敷地内のため,試料採取など斜面を掘ることは禁じられ,見学には東部中学校の許可を必要とする.さいわい中学校周辺の六道原(ろくどうばら)は三峰(みぶ)川扇状地の広い台地で模式露頭と同じ産状の露頭を観察できる.その露頭は大春(おおはる)化学工業所伊那工場(伊那市美篶下県5315)の白粘土採掘現場である.六道原では御岳第1テフラ(On-Pm1;Pm-I)がカオリン化していて,良質な製紙用粘土として採掘されている.採掘場では地表からOn-Pm1まで約8mの新鮮な新期御岳テフラの地質断面を見ることができる.場所は■地点周辺を移動するので,大春化学(TEL0265-72-5125)に問い合わせ,見学許可を得ると良い.採掘工程によっては良好な断面が観察できる.それらは,下位からOn-Pm1,御岳藪原(On-Yb;Pm-II),鬼界葛原(K-Tz),御岳潟町(On-Kt),御岳伊那(On-In;Pm-II),阿蘇4(Aso-4),御岳辰野(On-Tt;Pm-III),御岳千本松(On-Sn),御岳三岳(On-Mt;Pm-IV),御岳屋敷野(On-Ys),姶良Tn(AT),鬼界アカホヤ(K-Ah)である.なお,東部中学校ではOn-Pm1の下位に御岳上垂(On-Km;Pm-I′)がある(かっこ内に併記したテフラ略号はKobayashi and Shimizu,1965).

文献:Kobayashi and Shimizu(1965),松島(1995),松島・寺平(1990),竹本ほか(1987)

六道原採掘場と東部中学校露頭の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『伊那』(飯田1号-2);2.5万分の1『高遠』(甲府13号-4);六道原;美原区;美篶;上原;下川手;上川手;六道原機場;707;703;724.8

English translation

1:25,000 “Ina” (Iida sheet 1-2); 1:25,000 “Takato” (Kofu sheet 13-4); Rokudobara; Mihara district; Misuzu; Uehara; Shimo-Kawate; Kami-Kawate; 六道原機場 [facility label, reading unverified]; 707; 703; 724.8.

採掘断面のOn-Pm1からK-Ahまでの示標テフラ
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図中文字(日本語)

K-Ah;AT;On-Ys;On-Mt;On-Sn;On-Tt;Aso-4;On-In;On-Kt;K-Tz;On-Yb;On-Pm1

English translation

K-Ah; AT; On-Ys; On-Mt; On-Sn; On-Tt; Aso-4; On-In; On-Kt; K-Tz; On-Yb; On-Pm1.

CB-9 長野県伊那谷の段丘崖状の地形をなす活断層の露頭-毛賀沢川に露出する念通寺断層の露頭-

松島信幸

本露頭は毛賀(けが)沢川河床の自然露頭で,河川工事のほか見えなくなる心配がない.河川工事については長野県飯田建設事務所に相談して露頭保存と工事とが両立できるように,また,飯田市教育委員会,飯田市美術博物館と協議して,天然記念物の指定と教育的活用をめざしている.本露頭は地形地質学的に見て歴史的に重要な場所である.伊那谷はわが国屈指の河成段丘の発達する盆地として古くから有名であった.1960年代に伊那谷の段丘地形は活断層による「段丘状地形」であることがわかってきた(松島,1966).こうした一大転機となった模式露頭が毛賀沢川の念通寺断層露頭である.本露頭では飯田市松尾の八幡山から竜丘(りゅうきゅう)の臼井原をつくる比高40~50mの低断層崖をなす念通寺断層が観察できる.西上がり東落ちの逆断層で,断層の上盤側には基盤岩の花崗岩が露出し,下盤側の段丘礫層に衝上している.断層面には2cm幅のガウジ帯ができ,鏡肌を見せ,その走向傾斜はN4°W,35°SW,条線はN86°W,52°SWである.花崗岩側は幅50m付近まで破砕帯になっている.下盤側の礫層は断層の影響を強く受けて著しく変形している.礫層中には数本の副断層が発達し,礫層の変形は主断層から離れるにしたがって段階的に弱くなる.念通寺断層の活動開始時期は中期更新世最末期であり,垂直変位量は100mで,平均変位速度は0.5~0.75m/1000年である(松島,1995).

文献:松島(1966,1995)

毛賀沢川の念通寺断層露頭位置図
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図中文字(日本語)

毛賀;駄科;437.9;488.7;2.5万分の1『時又』(飯田4号-3)

English translation

Kega; Dashina; 437.9; 488.7; 1:25,000 “Tokimata” (Iida sheet 4-3).

花崗岩が礫層に衝上する念通寺断層露頭
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図中文字(日本語)

断層面→;花崗岩;礫層;2m;←毛賀沢川

English translation

Fault surface →; granite; gravel bed; 2 m; ← Kegasawa River.

CB-10 長野県開田村末川沿いに分布する木曽川泥流堆積物

酒井潤一・千葉恵美

木曽川泥流堆積物は,木曽御岳山北東麓から濃尾平野まで,100km以上にわたって観察される大規模な堆積物である.堆積年代は,中村ほか(1992)による含有材の¹⁴C年代測定により,約50kaと推定されており,下部波田ローム層の細粒風化火山灰の中部に挟まれ,上部波田ローム層をのせる(木村,1993).この付近では,比高5~30mの流れ山をもつ堆積原面を保存しており,層厚は80m以上である(藤井,1976).その岩相は,上流域から下流域に,岩屑なだれから泥流に変化する.本露頭では,岩屑なだれ堆積物としての特徴を,非常によく観察することができる.この堆積物は,5種類のブロック部と,それを取り囲むマトリックスの6岩相に分類される.ここではそのうち,岩屑なだれのメガブロックのほとんどを構成する「安山岩ブロックI・II」と,「クリンカーブロック」を観察することができる.これらを構成する安山岩の礫のほとんどは摩利支天溶岩に対比され,この堆積物は,摩利支天溶岩が崩壊・流下したため形成されたと考えられる(千葉,1995).この露頭の他にも,末川沿いでは木曽川泥流堆積物の露頭を数多く観察することができる.地図中の■地点では,木曽谷層の取り込みブロックや火砕岩のブロック,未固結シルト層の取り込みなどを観察することができる.

文献:千葉(1995),藤井(1976),木村(1993),中村ほか(1992)

末川の木曽川泥流露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『木曽西野』(飯田5号-3);末川;越;木曽カントリー;1158;1150;1100

English translation

1:25,000 “Kiso-Nishino” (Iida sheet 5-3); Suekawa; 越; Kiso Country Club; 1158; 1150; 1100.

岩屑なだれの安山岩・クリンカーブロックと基地の断面
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図中文字(日本語)

E;W;5m;河川性礫層・砂層;マトリックス部;安山岩ブロックII(充填されたクラックをもつ緻密な安山岩からなる);クリンカーブロック(主にスコリアと同質火山砂からなる);崖錐;安山岩ブロックI(隙間のあかないクラックをもつ安山岩からなる);末川

English translation

E; W; 5 m; fluvial gravel and sand beds; matrix facies; andesite block II (dense andesite with filled cracks); clinker block (mainly scoria and volcanic sand of the same composition); talus; andesite block I (andesite with cracks that are not open); Suekawa River.

CB-11 山梨県甲斐駒ケ岳北東麓神宮川の河成礫層とテフラ

平川一臣

赤石山地北東部では,甲斐駒ヶ岳などの山麓に支流性の扇状地が形成されている.本露頭は神宮川(古い地形図では濁川)の側刻によって生じた大露頭で,国道20号から約1.5km上流の右岸側に位置する.護岸工事により植生の侵入が進んでいるが,現在でも観察可能な範囲は広い.ここでは御岳起源のテフラを挟む河成砂礫層が高さ約40m,幅400mにわたって露出するので,河川による浸食,堆積のサイクルをテフラによって編年し,いわゆる気候段丘の問題を議論することができる.識別されるのは,厚い砂礫層(図のIIISG)を下刻した谷地形(IIBV)とそれらを埋積した砂礫層(IISG),さらにもう一つの浅い谷(IBV)の形成とそれに続く砂礫層(ISG)である.80~95kaの御岳第1テフラ(On-Pm1;いわゆるPmI)はIISG砂礫層の堆積(IIBV埋没谷の埋積)の途中に,御岳三岳テフラ(On-Mt;いわゆるPmIV)は終了前後に降下した.したがって,最終間氷期から最終氷期を通じて,神宮川は下刻と堆積を二度繰り返したこと,これらの挙動は最終氷期の前半および後半に生じたことがわかる.なお,記載後に露頭の上流(図の右)端がさらに露出し,IIISGの水成テフラ層準にはいわゆる韮崎泥流と見られる岩屑なだれ堆積物が挟まれることがわかった.

文献:平川・中村(1980)

神宮川右岸大露頭位置図
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図中文字(日本語)

白州工場;松原;668.8;665.1;695;2.5万分の1『長坂上条』(甲府10号-3)

English translation

Hakushu plant; Matsubara; 668.8; 665.1; 695; 1:25,000 “Nagasaka-Kamijo” (Kofu sheet 10-3).

神宮川の二つの埋没谷とテフラを示す地質断面
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図中文字(日本語)

測線1~32;IBV;IIBV;ISG;IISG;IIISG;On-Mt;On-Pm1;縦軸0,10,20,30,40m;横軸0,10,20,30,40,50,100,150,200,250,300,360m;凡例:植被;黒ボク土壌;風成テフラ;水成テフラ;On-Mt(Pm-IV);On-Pm1(Pm-I);河成砂礫層;シルト層;巨礫;埋没谷;埋没段丘;測線;埋没土壌

English translation

Survey lines 1–32; IBV; IIBV; ISG; IISG; IIISG; On-Mt; On-Pm1; vertical axes 0, 10, 20, 30, 40 m; horizontal axes 0, 10, 20, 30, 40, 50, 100, 150, 200, 250, 300, 360 m; legend: vegetation cover; kuroboku soil; aeolian tephra; water-laid tephra; On-Mt (Pm-IV); On-Pm1 (Pm-I); fluvial sand and gravel; silt bed; boulders; buried valley; buried terrace; survey line; buried soil.

CB-12 糸魚川-静岡構造線活断層系下蔦木断層の断層露頭-山梨・長野県境-

奥村晃史

糸魚川-静岡構造線活断層系中部,松本-小淵沢間には最大10m/kaという大きな平均変位速度をもつ左横ずれ活断層が連続する(活断層研究会,1991).下蔦木断層は同断層系中部南端の断層で,左横ずれ平均変位速度1.5m/kaとその10分の1以下の南西側隆起成分をもつ(澤,1985).下蔦木集落北方の河川の屈曲や北東側低下の低断層崖はこの運動を明瞭に示している.国界橋下流左岸には更新世末期の扇状地面が台地状に残存しており,下蔦木断層は台地の南東部にプレッシャーリッジを,その北側に小地溝を形成している.この台地の南東側の自然露頭では基盤岩を覆う砂礫層が高角逆断層によって北東落ちの変位を受けている(澤,1985).プレッシャーリッジの北東側で1995年3月にトレンチが掘削された.このトレンチでは8~12kaの砂礫層が,南西傾斜の低角逆断層で6~9kaの黒色土壌層に乗り上げ,さらに砂礫層は横ずれ成分を含む高角断層によって切られていた.黒色土壌層のほぼ全層準に鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)の火山ガラスが分散している.このトレンチで確認された最新イベントは紀元7~10世紀頃発生しており, 841年の地震に対応する可能性がある(奥村ほか,1996).国界橋下流の富士川河床には,1985年の洗掘で生じたゴルジュに糸魚川-静岡構造線の屈曲にともなう衝上断層が露出した.ここでは中部更新統の砂礫層の上に水平な断層面で花崗岩類が衝上している状況もみられる(小山,1988).

文献:活断層研究会(1991),小山(1988),奥村ほか(1996),澤(1985)国界橋下流左岸の断層露頭(自然露頭) a:低角逆断層,b:高角断層,1:表土,2:黒色土壌,3:砂礫層.[澤(1985)の第12図]礫層の年代は下部:約20ka,上部:約10ka.中央の北東落ち低断層崖の北西延長上でトレンチが掘削された.1995年Bトレンチ南東壁面年代は1950年を基準とした暦年BP.

下蔦木断層の露頭とトレンチ位置図
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図中文字(日本語)

下蔦木;国界橋;山口;710.8;758;707.4;698.6;690.3;2.5万分の1『小淵沢』(甲府9号-4)

English translation

Shimotsutaki; Kokkaibashi; Yamaguchi; 710.8; 758; 707.4; 698.6; 690.3; 1:25,000 “Kobuchizawa” (Kofu sheet 9-4).

自然断層露頭断面と1995年Bトレンチ壁面写真
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図中文字(日本語)

W;E;VI;0;10m;50m;N40°W,20°W;N24°W,56°W;N20°W,40°W;N42°W,50°W;N60°W,50°S;A;B;C;⑧d;gravel;muddy sand;granite;diorite;vegetation;fault;fractured zone;NE;SW;0;1m;surface;980;1180;5830;8420;1;2;3;a;b

English translation

W; E; VI; 0; 10 m; 50 m; N40°W, 20°W; N24°W, 56°W; N20°W, 40°W; N42°W, 50°W; N60°W, 50°S; A; B; C; ⑧d; gravel; muddy sand; granite; diorite; vegetation; fault; fractured zone; NE; SW; 0; 1 m; surface; 980; 1180; 5830; 8420; 1; 2; 3; a; b.

CB-13 韮崎岩屑なだれ堆積物-古八ケ岳期の山体崩壊堆積物-

河内晋平

韮崎岩屑なだれ堆積物(総体積9km³)は,この露頭から南6kmの韮崎市街から北15kmの長野-山梨県境まで,釜無川左岸に比高200mに達する断崖をつくって連続露出している.この露頭はその流れ山断面の代表露頭の一つで,約20km北に存在していた古八ケ岳期成層火山体の一部が,恐らく水蒸気爆発によって,直径250m大のブロックに破砕され,成層構造を保持したままこの場所まで運ばれてきたものである.露頭は写真のように急斜する多数の溶岩層を含む.それらの観察と古地磁気学的研究から,このブロックは流下時に上下逆転せず,遊園地のコーヒーカップのように水平面内の回転だけを行ったことが分かった.中の溶岩層には,小断層や破砕構造が見られる.写真左端には,このブロックを包んで運搬してきた基地相が露出している.地形図右半の台地上には,大型の流れ山地形のいくつかが見られる.これらの流れ山も,内部構造を観察できる場合には例外なくシート状溶岩層をはさむ.流れ山総数は30個以上に達する.■地点では,この韮崎岩屑なだれ堆積物上に,厚さ40cmの御岳第1テフラ(On-Pm1;100ka)が不整合に載っている.

文献:河内(1977),甲府盆地第四紀研究グループ(1969),三村(1985),Mimura and Kawachi(1981),三村ほか(1982)

穴山橋北方の岩屑なだれと流れ山分布図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『若神子』(甲府10号-2);境沢;花ノ久保;穴山橋;韮崎市;上円井;円野町;664.3;479.8;445.8;591

English translation

1:25,000 “Wakamiko” (Kofu sheet 10-2); Sakaizawa; 花ノ久保; Anayama Bridge; Nirasaki City; Kami-Tsuburai; Maruno Town; 664.3; 479.8; 445.8; 591.

成層した溶岩を保持した韮崎岩屑なだれの巨大ブロック
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図中文字(日本語)

N;S;1995年8月撮影

English translation

N; S; photographed in August 1995.

CB-14 甲府盆地南縁曽根丘陵の撓曲崖とテフラ

平川一臣

甲府盆地の南縁,御坂(みさか)山地の北西麓には曽根(そね)丘陵と呼ばれる段丘~丘陵の地形が発達する.盆地の低地側を向いた丘陵前縁は比高50~100mの撓曲崖である.中央高速自動車道路建設の際,前縁崖を大規模に切り取って生じた本露頭には,見事な撓曲構造が現われた.現在はその一部が笛吹サービスエリア付近に残っているにすぎない.ここでは,扇状地礫層(図のSG1~7),湖成層(L),埋没土壌層(S1~4)などとともに,中期更新世のいわゆる韮崎岩屑なだれ堆積物(N),大町A1テフラ(A1Pm)(推定年代;300~350ka)が観察された.また,周辺の段丘面は御岳第1テフラ(On-Pm1)直下までのテフラに覆われている.これらの地層は全体として背斜構造のように見える.しかし,盆地前縁側,すなわち上位の若い地層ほど急傾斜で傾いている.したがって,この構造を形成したのは盆地前縁に沿って地層を盆地床下に引きずり込む撓曲運動であって,背斜構造は二次的な現象と見られる.撓曲崖が成長するようになったのは,ほぼ韮崎岩屑なだれが堆積した頃以降であり,現在も活動している撓曲運動を示す好例である.

文献:平川(1992)1.砂礫層(SG1~SG7),2.砂層,3.シルト粘土層(L),4.ダイアトマイト,5.A1Pm,6.韮崎岩屑なだれ堆積物(N),7.泥炭層,8.埋没沖積土壌,9.埋没土壌(S1~S4)TS:工事前の段丘面-撓曲崖の地形断面.UC1~UC4:不整合.点線は地質構造の外挿部分.

笛吹サービスエリアの撓曲露頭位置図
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図中文字(日本語)

上曽根;塚原;小林;坊;境川;4268.8[判読不明の一部を含む];317.6;自転車競技場;2.5万分の1『甲府』(甲府7号-3)

English translation

Kami-Sone; Tsukahara; Kobayashi; 坊; Sakaigawa; 4268.8 [partly illegible]; 317.6; cycling track; 1:25,000 “Kofu” (Kofu sheet 7-3).

判読上の注記

4268.8 — 地名と標高が重なるため確定不能。

扇状地・湖成層と韮崎岩屑なだれの撓曲断面
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図中文字(日本語)

m;350;300;317.4;54°;47°;45°;25°;Ca 300m;1~9;TS;SG1;SG2;SG3;SG4;SG5;SG6;SG7;L;N;A1Pm;S1;S2;S3;S4;UC1;UC2;UC3;UC4。凡例説明は本文に保持。

English translation

m; 350; 300; 317.4; 54°; 47°; 45°; 25°; ca. 300 m; 1–9; TS; SG1; SG2; SG3; SG4; SG5; SG6; SG7; L; N; A1Pm; S1; S2; S3; S4; UC1; UC2; UC3; UC4. Legend definitions are retained in the main text.

CB-15 相模川に流入した大規模古富士泥流のテフラ層位-大月市大月遺跡-

上杉陽・長沢宏昌・高橋みゆき

富士火山が山頂近辺から噴火する場合,最初に降下テフラを噴出し,ついで,溶岩や火砕流を噴出する例が多い.山体内には無数の溶岩流と火砕流堆積物やそれに随伴する岩屑なだれ・土石流堆積物,岩粉帯が存在する.この時期には広範囲に爆発角礫を飛散し,降下テフラの上位に累重するので遠方でも火砕流の流出があったことを推測できる.こうしたサイクルを繰り返しつつ,噴火が衰え,やがて細粒火山礫~火山灰を噴出するフェーズに移行し,ついには噴気があがるのみとなり,活動を休止する.但し,山体を遠く離れて遠方にまで達する火砕流,岩屑なだれ,土石流は僅かしかない(町田,1977).そのうちでも大規模なものは姶良Tnテフラ(AT)降下以降に発生した例が多く,東麓ではY-130-2期末期(17,620±370yr B.P.)に箱根火山中央火口丘火砕流とほぼ同時に発生したことが判明している(上杉ほか,1992).北麓相模川に沿って流下した大規模古富士泥流はやはりAT降下以降に流下し,90km下流の相模原市~厚木市まで達している.従来正確なテフラ層位が判然としなかった.1994年10月から,古富士泥流台地上の大月市都留高校の体育館建設工事に伴い,遺跡発掘調査が行われ,その際に,良好なテフラ断面が出現した.ここは富士山頂からN35°E方向33km地点に当たり,延長方向には東京都奥多摩湖,埼玉県熊谷市がある.本遺跡では,地表下1mは水田の鍬床層や近世~近代の盛土~裏山(猿橋石英安山岩質火山礫凝灰岩)からの崩落土で, その下位に2mほどのテフラがある.その下位に赤紫色の溶岩塊を大量に含む固結した火砕流~岩屑なだれ堆積物(古富士泥流)がある. そのテフラ層位は30cmほど上位に小規模な火砕流(Y-133期)を伴うなどの関係するテフラの肉眼的諸特徴からY-130期と推定できる.即ち,富士火山は箱根火山中央火口丘が火砕流を発生したY-130期に東麓~北麓に向けて大規模火砕流などを流出した.こうした富士火山・箱根火山の同時期火砕流発生は,しばしば見られ,造構応力との関連が注目される(上杉ほか,1992).なお,本遺跡では,概略3.2~5kaと推定されるS-5~9層中から土器の小片が出土している.薄手で外面には沈線が施され,焼成が良好である.縄文中期終末~後期に位置づけられよう.また,関東地方系の加曽利EIV式土器および甲府盆地などに多い曽利V式の埋甕が出土する.この地域が,現在同様当時から,両地域の接点であった様子がうかがえる.そのほか,竪穴住居跡1軒,敷石住居跡6軒,溶岩を用いた石囲い炉4基などが検出されている(長沢・高橋,1995;高橋,1995).

文献:町田(1977),長沢・高橋(1995),高橋(1995),上杉(1990),上杉ほか(1992)

大月遺跡の地層柱状図・遺物層準と位置図(本文断片含む)
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図中文字(日本語)

層厚・層相・遺物など肉眼的諸特徴・標準テフラ番号

層番号 層厚(原図の数値) 記載・テフラ番号
21 30 青灰色埋土
20 10 水田用鍬床層
19 55 基盤岩ブロック入り暗褐色埋土
18 10 褐色スコリア質火山灰
17 10 Ω 平安期石囲い炉など;S-24-6~8
16 12 黒褐色重いスコリア;S-24-3~5
15 4 赤紫色岩片・スコリア;S-22~
14 10 黄褐色火山砂;S-12′~
13 10 微細気孔スコリア質;S-12
12 10 熱水岩片・重いスコリア;S-10・11
11 12 Ω 縄文中期末~後期土器;S-5~9;赤褐色スコリア
10 15 細気孔橙色スコリア;S-1~4
9 8 赤褐色スコリア;S-0-5~6
8 15 基盤岩片;表面白色化溶岩片;S-0-3~4
7 10 ふかふか腐植質火山灰;S-0-1~2
6 18 締まった黒色腐植質;青黒色岩片;重い赤褐色スコリア;Y-141
5 30 黄褐色火山灰;赤橙色スコリア;138~140
4 20 黒色~赤紫色岩片;赤橙色スコリア;137-1~4
3 20 青黒色溶岩片(4cm);Y-133′;黒紫色細気孔スコリア;Y-132
2 15 明青黄褐色火山砂;赤橙色微細気孔;Y-131
1 記載なし きなこ色溶岩粉;赤紫色溶岩片・溶岩粉;Y-130(古富士泥流)

Ωは遺物,その他の細かい凡例は上杉ほか(1992)参照.★印が18上,15,7下付近に付される.2.5万分の1『大月』(甲府3号-1);大月二丁目;都留高;大月一丁目;御太刀一丁目;御太刀二丁目;月見台;猿橋;525;526;362.1;361.画像中の本文断片は本文に復元.

English translation

Bed thickness; lithology; macroscopic characteristics including artifacts; standard tephra number.

Bed Thickness (printed value) Description and tephra number
21 30 Blue-gray fill
20 10 Paddy-field plow pan
19 55 Dark-brown fill containing basement-rock blocks
18 10 Brown scoriaceous ash
17 10 Ω Heian-period stone-lined hearths, etc.; S-24-6–8
16 12 Blackish-brown dense scoria; S-24-3–5
15 4 Reddish-purple rock fragments and scoria; S-22 and above
14 10 Yellowish-brown volcanic sand; S-12′ and above
13 10 Finely vesicular scoriaceous material; S-12
12 10 Hydrothermally altered rock fragments and dense scoria; S-10, 11
11 12 Ω End-Middle to Late Jomon pottery; S-5–9; reddish-brown scoria
10 15 Finely vesicular orange scoria; S-1–4
9 8 Reddish-brown scoria; S-0-5–6
8 15 Basement-rock fragments; lava fragments with whitened surfaces; S-0-3–4
7 10 Loose humic ash; S-0-1–2
6 18 Compact black humic material; blue-black rock fragments; dense reddish-brown scoria; Y-141
5 30 Yellowish-brown ash; reddish-orange scoria; 138–140
4 20 Black to reddish-purple rock fragments; reddish-orange scoria; 137-1–4
3 20 Blue-black lava fragments (4 cm); Y-133′; blackish-purple finely vesicular scoria; Y-132
2 15 Light bluish-yellowish-brown volcanic sand; reddish-orange finely vesicular material; Y-131
1 Not stated Roasted-soybean-flour-colored lava powder; reddish-purple lava fragments and lava powder; Y-130 (Older Fuji mudflow)

Ω denotes artifacts; for other detailed legend symbols, see 上杉 et al. (1992). Stars occur near the top of 18, at 15, and near the base of 7. 1:25,000 “Otsuki” (Kofu sheet 3-1); Otsuki 2-chome; Tsuru High School; Otsuki 1-chome; 御太刀 1-chome and 2-chome; Tsukimidai; Saruhashi; 525; 526; 362.1; 361. Embedded prose is restored in the main text.

CB-16 富士山東麓上柴怒田の立川期テフラ群と姶良Tnテフラ

上杉陽・吉田千香子・寺門卓也・斉藤睦雄・小柳美文・片岡義順・関東第四紀研究会

本露頭は富士山頂東方14.5kmに位置する県道脇人工露頭で,富士火山の更新世後期末のテフラと姶良Tnテフラ(AT)の模式露頭の一つである. 概略38~17kaのY-97から130番までのテフラ群, 即ち, いわゆる立川期テフラ群(上杉ほか, 1993)の最上部を除く大半,相模野考古学基本土層のL6~L2相当層,武蔵野考古学基本土層のX~III相当層を一つづきの噴火によるテフラ層の単位で細かく観察できる(上杉ほか,1992).右手最上部近くにY-130番テフラ期の岩屑なだれ堆積物(いわゆる古富士泥流の1つ)がある.ここでの層厚は60~70cmである.同一層準に広く爆発角礫や箱根系火砕流~爆発角礫(Hk-CCP-17)があり,良い鍵層となる.なお,本地点より7.4km下流の鮎沢川沿岸下原で,この泥流堆積物中から採取した未炭化木片の年代は17,620±370yr B.P.であった.正面やや右手に層厚7cm以下の白色火山灰がある.Y-117番テフラ(a~fフォール・ユニット)中のcフォール・ユニット(爆発角礫)中に挾在する.これがATである.南九州で姶良大隅降下軽石の噴出に始まる一連の大爆発が起こったとき,富士山でもY-117番テフラの噴火活動(a→f)が活発であった.なお,古富士火山が降下スコリア中心の噴火を繰り返したことが明らかであるが,サージ堆積物や泥流,溶岩も頻繁に噴出していた.左手奥にあるY-104テフラ層は径50~60μmの淡桃色やや曇りガラス状の微細気孔を持つ泡壁ガラスや高温型石英(100~10μm)を含む極めて薄い白色火山灰層を下部にもつ.その下位のY-103は最下部に熱水変質を受けた岩片を含む顕著なスコリア層である.中部のdフォール・ユニット中に長径300μmの透明ガラス付きの斜方輝石斑晶が含まれる.Y-102テフラ層以下には高温型石英,黒雲母,角閃石斑晶や剥片状~平板薄板状透明ガラスがしばしばみられる.Y-97中には広域テフラ,含雲母グリース状火山灰(Gr)が挟在する.

文献:町田(1977),町田・新井(1992),上杉ほか(1992,1993)凡例は上杉ほか(1992)参照

上柴怒田露頭位置図
原著 240ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『駿河小山』(甲府4号-2);柴怒田;富士平原ゴルフ場;666.3;637;718

English translation

1:25,000 “Suruga-Oyama” (Kofu sheet 4-2); Shibanta; Fuji-Heigen golf course; 666.3; 637; 718.

上柴怒田のY-97~130テフラ連続露頭スケッチ
原著 240ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

N50W;N80E;S80E;Y130;Y121;Y105;98;100;103;106 130cm;107;108;108 150cm;109;110;111;112;113;113 105cm;114;114 160cm;115 125cm;116;117AT;119;122;123;126;129;130;3.4m;3m;3.6m;37;70;38;60;32

English translation

N50W; N80E; S80E; Y130; Y121; Y105; 98; 100; 103; 106, 130 cm; 107; 108; 108, 150 cm; 109; 110; 111; 112; 113; 113, 105 cm; 114; 114, 160 cm; 115, 125 cm; 116; 117AT; 119; 122; 123; 126; 129; 130; 3.4 m; 3 m; 3.6 m; 37; 70; 38; 60; 32.

判読上の注記

断面の微小数値 — 重なる数字の一部は判読不明。

CB-17 富士山東麓すぎな沢の更新世最末期~完新世テフラ群-特に富士黒土層について-

上杉陽・土肥由美子・佐藤仁美・伊藤ひろみ・宮地直道

本露頭は富士山頂よりN84°E方向, 11.25kmの位置にあり,立川ローム層中部以上の重要な模式地であった.当初は下図の下半部全体,即ち,Y-121(相模野第1スコリア)から1707年噴出の宝永スコリア層(S-25)までを細かく観察採集できた(上杉,1990;上杉ほか,1992).現在は植栽が進み,犬走りの4~6段目の中央部枠囲い部分(下図上半部分)で観察が可能である.古富士火山のテフラ群(Y番号テフラ)と新富士火山テフラ群(S番号テフラ;10.5ka以降)との斜交関係を露頭東端で観察できる.露頭中央部(下図上半の中央やや西側)ではS-9~10テフラ間(3.2~3.3ka間)の典型的な下方浸食型斜交関係を観察できる.この2つの時期が完新世の最も重要な時代区分点である.谷底の林道から見上げると,縄文草創期前半のY-141番テフラ上半部(約11.7ka)から縄文後期前半のS-9番テフラ(3.3ka)までが「黒土」に,その上下が「赤土」に見える.南関東各地で考古研究者が「フジクロ」と称しているものの大半はこの層準のものである.完新世テフラに関していえば,S-0-1~S-0-6期は特に細粒であり,S-1~9までは徐々に粗粒化し,縄文後期後半のS-10・11テフラ(湯舟第1スコリア層)からは様相が一変し,層厚・粒径ともに大となり, 堆積速度が速くなる.Y-134~136,Y-137-3~4,Y-139中部,Y-140中部,Y-141中部,Y-141上部等,多数の層準に各種のガラス片を挾在する.S-0-5~S-1に薄片状ガラス片(鬼界アカホヤテフラ起源)が散在する.なお,本露頭は丹沢山地の南面斜面に位置し,突発的な自然変動のたびに地辷り,地割れが発生し,それらの事変がテフラ層中に保存されている(上杉・木越,1986;上杉,1989)Y-141-c期(12ka頃),S-0-3期直前(9.2ka頃),S-0-4直前(概略7.5ka頃),S-2期直前(6.1ka頃)に突発的な自然変動があった.

文献:上杉(1989,1990),上杉・木越(1986),上杉ほか(1986,1992)

すぎな沢露頭全体と黒土層部分の拡大断面、位置図(本文断片含む)
原著 241ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『須走』(甲府4号-4);須走馬場;882.0;上図:N60E,20S;N80W,35S;7段目;6段目;5段目;4段目;3段目;2段目;犬走り1段目;方向はN85E;S-25;S15;141;140;137~140;141~137;Y-127~136;Y-123~126;Y-122;Y-121(S1S);下図:犬走り6段目;上図の枠内を拡大;犬走り5段目;S-18;13~14;12;10~11;5~6;7;9;3;4;S-14;S-13;S-12;S-11;S-10;S-5~S-9;S-3~4;S-3;S-2;S-1;S-0-6;S-0-5;S-0-4;S-0-3;S-0-2;S-0-1;141a;141b;141c;141d;140;139;138;137;a;b;c;d。本文断片は本文に復元。

English translation

1:25,000 “Subashiri” (Kofu sheet 4-4); 須走馬場; 882.0; overview: N60E, 20S; N80W, 35S; bench 7; bench 6; bench 5; bench 4; bench 3; bench 2; bench 1; direction N85E; S-25; S15; 141; 140; 137–140; 141–137; Y-127–136; Y-123–126; Y-122; Y-121 (S1S); detail: bench 6; enlargement of the boxed area above; bench 5; S-18; 13–14; 12; 10–11; 5–6; 7; 9; 3; 4; S-14; S-13; S-12; S-11; S-10; S-5–S-9; S-3–4; S-3; S-2; S-1; S-0-6; S-0-5; S-0-4; S-0-3; S-0-2; S-0-1; 141a; 141b; 141c; 141d; 140; 139; 138; 137; a; b; c; d. Embedded prose is restored in the main text.

判読上の注記

Y-121(S1S)および微小ラベル — 微小な括弧内文字の読取りは暫定。

CB-18 富士山東斜面に分布する新富士火山のテフラと溶岩

宮地直道

富士山東麓には100層以上に及ぶ富士火山起源の降下テフラ層が厚く堆積している.かつては土砂採取などで多数の露頭が出現したが,現在観察できる露頭は少ない.太郎坊は富士登山の東側のルートの一つである御殿場口登山道の新五合目にあたり,7~8月には御殿場駅からのバスが発着する.本露頭は最近の数次に渡る融雪雪崩により刻まれた谷で,谷壁には新富士火山の主要なテフラ層が露出している.このうち表層直下には西暦1707年の噴火で噴出した,下部が粗粒な黄灰色軽石,上部が中~粗粒な黒灰色スコリアからなる富士宝永テフラ(F-Ho;S-25)とその二次堆積物層が見られる.また,その下位には二ツ塚スコリア(FTT),富士湯船第2スコリア(Yu-2;S-22),富士砂沢(砂沢スコリア;F-Zn;S-13),湯船第1スコリア(Yu-1;S-10,11),赤色スコリアI,II(R-I,II;S-5,6)を始めとする約40枚のテフラ層が観察できる.S-10, 11間の風化火山灰層中には約3kaに伊豆天城山から噴出した天城カワゴ平(Kg)の軽石が点在している.さらに,本露頭では降下テフラ以外にも,融雪雪崩で形成された淘汰の悪い円磨されたスコリアから成るスラッシュフロー堆積物や,斜交層理が発達し炭化木片を含む2層の火砕サージ堆積物を観察できる.また,東側の露頭基部には表面に縄状構造の発達した約10kaの三島溶岩が見られる.なお,本露頭は谷壁の崩落により埋積が進んでおり,露出状況は大きく変化する可能性もある.また,観察時には落石や転落に細心の注意を払う必要がある.

文献:泉ほか(1977),町田(1964),宮地(1988),Miyaji et al.(1990),津屋(1968),上杉ほか(1979)

太郎坊露頭位置図と新富士テフラ・三島溶岩の断面(本文断片含む)
原著 242ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

1414;1547;△1402.4;太郎坊;1282;2.5万分の1『須走』(甲府4号-4);2.5万分の1『印野』(静岡1号-3);E;W;斜面堆積物;F-Ho;FTT;Yu-2;S-18;岩屑;スラッシュフロー堆積物;F-Zn;S-11;植被;S-10;火砕サージ堆積物;R-II;R-I;断層;三島溶岩;露頭見取り図 1995年7月現在;10m;20m。画像中本文・文献は本文に復元。

English translation

1414; 1547; △1402.4; Tarobo; 1282; 1:25,000 “Subashiri” (Kofu sheet 4-4); 1:25,000 “Inno” (Shizuoka sheet 1-3); E; W; slope deposits; F-Ho; FTT; Yu-2; S-18; rock debris; slush-flow deposits; F-Zn; S-11; vegetation cover; S-10; pyroclastic-surge deposits; R-II; R-I; fault; Mishima lava; sketch map of the exposure, as of July 1995; 10 m; 20 m. Embedded prose and references are restored in the main text.

CB-19 丹那盆地における1930年北伊豆地震震源断層の発掘調査

奥村晃史

伊豆半島の基部を約30kmにわたって南北にのびる北伊豆断層系は1930年北伊豆地震(M7.3)の震源断層として活動した.丹那断層はその中央部に位置する最も顕著な活断層で,北伊豆地震では最大3.5mの左横ずれ地表変位が記録されている(松田,1972).丹那盆地北端に近い名賀地区(loc.1)では1980年と1982年に丹那断層のトレンチ発掘調査が行われた(丹那断層発掘調査研究グループ,1983),1982年には長さ25m,幅22m,最大深さ7mという大規模なトレンチが掘削され,壁面には細粒堆積物を主体として多量の有機物・植物遺体を含む地層が現れた.露頭最下部の16C層には多量の鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)の火山ガラスが含まれていた.また,12層,10層,7層最上部から検出されたテフラは,それぞれ天城カワゴ平テフラ(Kg;2.8~2.9ka,町田ほか,1984),富士砂沢スコリア(F-Zn;2.5~2.8ka,町田ほか,1984),神津島天上山テフラ(Iz-Kt;838年,町田ほか,1984)に対比された.地質構造と断層運動に関連する層厚変化の解析から,過去約7,000年間に9回の地震イベントが識別され,断層運動の発生間隔は700~1,000年で,新しい方から3番目のイベントは841年の伊豆の地震に対応するものとみられる.また,盆地中央部の川口の森西麓(loc.2)で行われたトレンチではK-Ah層準から上位の沖積層に4回の地震の痕跡が見いだされたが,地表下1.5~3.0mに箱根火山新期軽石流堆積物(箱根東京テフラ)とその二次堆積物が現れた(第3次丹那断層発掘調査研究グループ,1988). 文献:第3次丹那断層発掘調査研究グループ(1988),町田ほか(1984),松田(1972),丹那断層発掘調査研究グループ(1983)丹那断層名賀トレンチ北壁面.丹那断層発掘調査研究グループ(1983)のFig.6a(凡例を改変・テフラ名記入)とFig.17の一部.縦軸は45°傾斜した壁面上の実長柱状図のA-Iはイベント層準を示す.1:シルト,2:細砂,3:中砂, 4:粗砂,5:砂礫,6:泥炭,7:腐植土,8:火山灰,9:土石流堆積物,10:盛土,11:水田土壌,12:材,13:断層

丹那断層名賀トレンチ北壁、イベント柱状図と位置図(本文断片含む)
原著 243ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『熱海』(横須賀14号-3);柿沢;名賀;西方;滝沢;丹那;畑;1;2;298;295;237;43;W;E;m;0,2,4,6,8,10;N1;N5;N10;N15;地層番号:1,2,3,4,4a,4c,5,6,7,7-9,10,11,12,13,14,15,15a,15b,15c,16,16c,16D;F-Os;Kg;K-Ah;Event Bed;A,B,C,D,E,F,G,H,I;凡例1~13は本文説明。画像中本文・文献は本文に復元。

English translation

1:25,000 “Atami” (Yokosuka sheet 14-3); Kakizawa; Myoga; Nishikata; Takizawa; Tanna; Hata; 1; 2; 298; 295; 237; 43; W; E; m; 0, 2, 4, 6, 8, 10; N1; N5; N10; N15; bed labels 1, 2, 3, 4, 4a, 4c, 5, 6, 7, 7-9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 15a, 15b, 15c, 16, 16c, 16D; F-Os; Kg; K-Ah; Event Bed; A, B, C, D, E, F, G, H, I; legend 1–13 is defined in the main text. Embedded prose and references are restored in the main text.

判読上の注記

イベント柱状図の細字部層記号 — 微小ラベルの一部は読み取り困難。

CB-20 静岡県伊東市に分布する東伊豆単成火山群起源のテフラと広域テフラ

小山真人

本露頭は,静岡県伊東市に分布する東伊豆単成火山群(活火山名としては伊豆東部火山群)起源の代表的テフラ,およびそれらと広域テフラの関係を観察できる最も良好な露頭であった(ここでは,表記地点を中心とした場所の大規模な造成工事によって作られた数露頭を便宜上総合して1露頭として扱う).伊豆半島東部にある更新世中期の天城火山の安山岩質溶岩流が作った平坦面上に位置し,およそ200kaから現在の間に堆積した厚さ15 mのテフラ/レス断面が,ほとんど欠落なく観察できた.本地域に分布するテフラ間にはさまれる褐色ロームは風成塵,つまりレスであると考えられている.詳しくは早川・小山(1992)および小山ほか(1995)を参照.レスクロノメトリーを用いて年代を決定した主要なテフラは以下のとおりである.上位より東伊豆単成火山群カワゴ平軽石(3.2ka),同大室山スコリア(5ka),同赤窪テフラ(13ka),同地蔵堂スコリア(22ka),広域テフラである姶良Tnテフラ(AT),箱根Da-5軽石(88.5ka),箱根Da-4軽石(103.5ka),東伊豆単成火山群丸野山テフラ(107.5ka),同遠笠山スコリア(142.5ka)である.ATは地蔵堂スコリアの下位25cmの層位に,厚さ1cmのレンズ状白色火山灰として確認できる.各テフラの特徴・給源火山の詳細については,下記文献を参照されたい.なお,本露頭は小山ほか(1995)の地点381-382(遠笠山東方)と同じである.

文献:早川・小山(1992),小山ほか(1995)

赤沢市営霊園露頭の位置図
原著 244ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

744;586;650;2.5万分の1『天城山』(横須賀15号-4)

English translation

744; 586; 650; 1:25,000 “Amagiyama” (Yokosuka sheet 15-4).

赤沢のテフラ・レス層序柱状図と凡例
原著 244ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2m;1;0;カワゴ平;大室山;赤窪;地蔵堂;AT;給源不明1;給源不明2;Da-5;Da-4;丸野山;遠笠山;黒色レス;褐色レス;レス中の軽石または細粒火山灰;軽石;スコリア;鶯色火山礫;火山砂;カタ;基盤岩

English translation

2 m; 1; 0; Kawagodaira; Omuroyama; Akakubo; Jizodo; AT; unknown source 1; unknown source 2; Da-5; Da-4; Maruno-yama; Togasayama; black loess; brown loess; pumice or fine ash in loess; pumice; scoria; olive-colored lapilli; volcanic sand; Kata; basement rock.

CB-21 静岡県愛鷹山麓,三明寺遺跡のテフラ層位

上杉陽・池谷信之・由井将雄・高尾好之・瀬川裕市郎

本遺跡は愛鷹火山新期ステージ(由井・藤井,1989;10数万年前?)に南東側に流下した桃沢川火砕流堆積物台地先端部に立地する.この地域の考古学基本土層は愛鷹ローム団体研究グループ(1969)による火山灰層序学的区分に準拠しており,多数のスコリア礫,軽石礫,ガラス質火山灰鍵層により,層序学的にほぼ正確に定義されている.本遺跡は富士山頂からN152°E方向29km地点に位置する.姶良Tnテフラ(AT;Y-118)以上の層厚が1~1.5mでAT~含雲母グリース状火山灰(Y-97′)間の3.5m前後に比して極端に薄い.N75°E方向128kmの千葉市牛尾舛遺跡と大差ない.これはAT(Y-118)~Y-141間の分布主軸が東北東でやや北寄りであったこと,これ以降になると箱根系テフラの噴出量が減るためである.右図の基本土層名や¹⁴C年代の上半は愛鷹ローム団体研究グループ(1969,1970)による.下半は由井(1995)による.Y-97含雲母グリース状火山灰の年代は約38.3kaである(叶内・杉原,1994).富士東麓テフラ番号は上杉(1990),上杉ほか(1992)による.遺物包含層は周辺地域のものをも含めて表示した.

Nzu-16は暗色帯で円礫(径1cm前後)を含む.南関東の「いもいし」に類似する.斜交層準直上のペアスコ(Y-103)の50cm上位から1mの間には黒色腐植土(BBVII~BBIV;Y-106上半~108′)となる.この部分に黒曜石製台形様石器が含まれる.その上位の斜交層準となるSCIII(Y-109~112)以上では,これが消え,ナイフ型石器が登場する.BB0(Y-136~133)からは角錐状石器が出土する.休場遺跡周辺でのテフラとの対比は確定できなかった.そこからはナイフ型石器,有樋尖頭器,細石器などが出土している.古富士火山最末期のY-141-3は全地域で黒色腐植化し縄文草創期の隆線文土器が出土する.

文献:愛鷹ローム団体研究グループ(1969,1970),池谷(1995),上杉(1990),上杉ほか(1992),叶内・杉原(1994),由井(1995),由井・藤井(1989)凡例は上杉ほか(1992)参照.

三明寺遺跡の48層の柱状図と基本土層・富士東麓テフラ・遺物・年代の対比
原著 245ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

図中番号 層厚(単位の印字なし) 肉眼的諸特徴など 基本土層名 富士東麓テフラ番号
1 15 Ω 後期~古墳 — S-10~25
2 7 Ω 中期 — S-5~9
3 10 Ω 前期 — S-1~4
4 15 Ω 草創期・早期 フジクロ上部 S-0-1~6
5 18 Ω 隆線文土器 フジクロ下部 Y-141-3
6 12 Ω 細石器・尖頭器 休場層 Y-141-1~2?
7 15 Ω 有樋尖頭器;Ω ナイフ形石器 休場層 Y-138・139?;Y-137-1~4?
8 22 Ω 角錐状石器;赤褐色スコリア BB0;SC I Y-136~133;Y-132?
9★ 7 18000 years B.P. ± — Y-131~127?
10 15 — BB I Y-123~126′
11 5 黄橙色微細気孔 — Y-122
12 10 赤紫色岩片 — Y-120~121
13 10 黄白色ガラス質 ニセローム AT
14 10 赤紫色岩片 — Y-116
15 12 黄橙色微細気孔 BB II Y-115
16 10 熱水変質岩片 SC II;BB III Y-114
17 25 Ω ナイフ形石器;赤褐色スコリア;27200 years B.P. ± BB III Y-113
18 15 赤褐色スコリア SC III-1 Y-112
19 13 Ω ナイフ形石器;黄橙色細気孔 b1;SC III-2 Y-111-2
20 13 黒褐色スコリア;灰白色岩片多し SC III-3 Y-111-1
21 17 灰白色岩片多し b2;SC III-4 Y-110
22★ 5 赤褐色スコリア SC III-5 Y-109
23 18 Ω 台形様石器;28100 years B.P. ± BB IV —
24 10 黄橙色微細気孔 Nzu-24 Y-108′
25 20 Ω 台形様石器;灰色岩片入り BB V;Nzu-23 Y-108
26 20 Ω 台形様石器;赤褐色スコリア BB VI;Nzu-22 Y-107
27 25 Ω 石片・礫器;赤紫色岩片 BB VII;Nzu-21 Y-106-2
28 15 赤褐色スコリア Nzu-20 Y-106-1
29 20 赤褐色微細気孔 Nzu-19 Y-105
30 10 黄白色軽石質火山灰 — Y-104
31 20 黄橙色微細気孔 Nzu-18 Y-103-2
32 15 黄橙色微細気孔 ペアスコ;Nzu-17 Y-103-1
33★ 8 Ω? 円礫;黒雲母;暗色帯 — Y-102
34 8 Ω? 円礫いもいし? Nzu-16 Y-101
35 10 — Nzu-16 Y-100
36 7 黄色軽石 CCP8 — Y-99
37 18 青黒色微細気孔 — Y-98
38 25 グリース状雲母Gr;38300 years B.P. ±;柿色軽石 CCP7;青黒色微細気孔 Nzu-14 Y-97′;Y-97;Y-96
39 20 赤褐色スコリア — Y-95
39–40間 — — — BCVA
40 28 赤褐色微細気孔;スコリア(2~3ミリ) — Y-94
41 15 黒雲母 Nzu-13 Y-93-2
42★ — 青白色岩片 Nzu-12 Y-93-1
43 10 黒色岩片 — Y-92
44 15 結晶質緑白色岩片 Nzu-11 Y-91-2
45 25 柿色軽石 CCP4 Nzu-10 Y-91-1
46 25 赤褐色スコリア Nzu-09 Y-90
47 15 熱水変質岩片 Nzu-08 Y-89
48 25 黄褐色軽石;黄橙色微細気孔 Nzu-07 Y-88?

層相は柱状図の模様で表示.Ωは遺物.★は(9)(22)(33)(42)に付される.

English translation

Diagram number Thickness (unit unprinted) Macroscopic characteristics, etc. Basic soil-unit name Tephra number, eastern foot of Fuji
1 15 Ω Late Jomon–Kofun — S-10–25
2 7 Ω Middle Jomon — S-5–9
3 10 Ω Early Jomon — S-1–4
4 15 Ω Incipient and Initial Jomon upper Fujikuro S-0-1–6
5 18 Ω ridged-pattern pottery lower Fujikuro Y-141-3
6 12 Ω microliths and points Yasumiba bed Y-141-1–2?
7 15 Ω fluted points; Ω knife-shaped stone implements Yasumiba bed Y-138・139?; Y-137-1–4?
8 22 Ω pyramidal stone implements; reddish-brown scoria BB0; SC I Y-136–133; Y-132?
9★ 7 18000 years B.P. ± — Y-131–127?
10 15 — BB I Y-123–126′
11 5 yellow-orange, very fine vesicles — Y-122
12 10 reddish-purple lithic fragments — Y-120–121
13 10 yellowish-white glassy material Nise Loam AT
14 10 reddish-purple lithic fragments — Y-116
15 12 yellow-orange, very fine vesicles BB II Y-115
16 10 hydrothermally altered lithic fragments SC II; BB III Y-114
17 25 Ω knife-shaped stone implements; reddish-brown scoria; 27200 years B.P. ± BB III Y-113
18 15 reddish-brown scoria SC III-1 Y-112
19 13 Ω knife-shaped stone implements; yellow-orange, fine vesicles b1; SC III-2 Y-111-2
20 13 blackish-brown scoria; abundant grayish-white lithic fragments SC III-3 Y-111-1
21 17 abundant grayish-white lithic fragments b2; SC III-4 Y-110
22★ 5 reddish-brown scoria SC III-5 Y-109
23 18 Ω trapezoidal stone implements; 28100 years B.P. ± BB IV —
24 10 yellow-orange, very fine vesicles Nzu-24 Y-108′
25 20 Ω trapezoidal stone implements; containing gray lithic fragments BB V; Nzu-23 Y-108
26 20 Ω trapezoidal stone implements; reddish-brown scoria BB VI; Nzu-22 Y-107
27 25 Ω stone flakes and pebble tools; reddish-purple lithic fragments BB VII; Nzu-21 Y-106-2
28 15 reddish-brown scoria Nzu-20 Y-106-1
29 20 reddish-brown, very fine vesicles Nzu-19 Y-105
30 10 yellowish-white pumiceous ash — Y-104
31 20 yellow-orange, very fine vesicles Nzu-18 Y-103-2
32 15 yellow-orange, very fine vesicles paired scoria; Nzu-17 Y-103-1
33★ 8 Ω? rounded pebbles; biotite; dark band — Y-102
34 8 Ω? rounded pebbles, imoishi? Nzu-16 Y-101
35 10 — Nzu-16 Y-100
36 7 yellow pumice CCP8 — Y-99
37 18 bluish-black, very fine vesicles — Y-98
38 25 greasy mica-bearing ash Gr; 38300 years B.P. ±; persimmon-colored pumice CCP7; bluish-black, very fine vesicles Nzu-14 Y-97′; Y-97; Y-96
39 20 reddish-brown scoria — Y-95
39–40間 — — — BCVA
40 28 reddish-brown, very fine vesicles; scoria (2–3 mm) — Y-94
41 15 biotite Nzu-13 Y-93-2
42★ — bluish-white lithic fragments Nzu-12 Y-93-1
43 10 black lithic fragments — Y-92
44 15 crystalline greenish-white lithic fragments Nzu-11 Y-91-2
45 25 persimmon-colored pumice CCP4 Nzu-10 Y-91-1
46 25 reddish-brown scoria Nzu-09 Y-90
47 15 hydrothermally altered lithic fragments Nzu-08 Y-89
48 25 yellowish-brown pumice; yellow-orange, very fine vesicles Nzu-07 Y-88?

Lithofacies are shown by column patterns. Ω denotes artifacts. Stars mark (9), (22), (33), and (42).

判読上の注記

図の行間に配置された休場層・BB0・SC I・b1・b2など — 連続する名称や一部境界線は層厚番号の区切りと一致しない。表では該当する近傍行へ順序を保って配置し、厳密な境界は原図を参照。

年代値後の± — 原図は誤差数値を記さず±のみ印字。補完しない。

三明寺遺跡の位置を示す北小林・南小林・門池周辺の地形図
原著 245ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『三島』(静岡2号-1);北小林;南小林;光長寺;門池;岡;東海道新幹線;66.0;64.7;25;■(地点)。上の文献・文末断片は本文に収録。

English translation

1:25,000 Mishima (Shizuoka sheet 2-1); Kitaobayashi (北小林); Minamiobayashi (南小林); Kochoji (光長寺); Kadoike (門池); Oka (岡); Tokaido Shinkansen; 66.0; 64.7; 25; solid square (site). The references and sentence fragment above the map are retained in the main text.

判読上の注記

その他の極小の地図文字 — 解像度不足で確実に読めない。

CB-22 静岡県有度丘陵に分布する御岳第1テフラ

杉山雄一

静岡市と清水市にまたがる有度丘陵の北~西部には,後期更新世の草薙層や小鹿層が広く分布するが,御岳第1テフラ(On-Pm1)が観察できる露頭はここだけである.本露頭は静岡大学南側の昭和建設株式会社(旧昭和基礎工事株式会社)の資材置き場裏の法面である.1996年2月時点では,本露頭は槙,松,椿などの低木が散在するススキの植生に被われ,資材置き場からテフラ層を観察することはできない.法面下部に高さ約5mのコンクリート擁壁があるため,資材置き場から直接,露頭に取り付くのは難しいが,尾根上の畑からアクセスできる.本露頭には西へ緩く傾斜する扇状地成の小鹿層が露出し,下部は5~10cm径の円礫からなる礫層,上部は礫混じりのシルト~粘土層からなる.On-Pm1テフラは粘土層基底の約30cm上位に挟在する.本テフラは厚さ5~10cm,ピンク色の砂質火山灰であり,黒雲母,角閃石などの有色鉱物を含み,ゴマシオ状を呈する.

文献:北里・新井(1986)

静岡大学南側On-Pm1露頭位置図
原著 246ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

静岡大学;宮川;大谷団地;大谷;水上;駿河台団地;西平松;103.3;93;2.5万分の1『静岡東部』(静岡11号-1)

English translation

Shizuoka University; Miyagawa; Oya housing estate; Oya; Mizukami; Surugadai housing estate; Nishi-Hiramatsu; 103.3; 93; 1:25,000 “Eastern Shizuoka” (Shizuoka sheet 11-1).

1986年時点の昭和基礎工事裏On-Pm1露頭スケッチ
原著 246ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

On-Pm1;昭和基礎工事株式会社;0;10m;露頭のスケッチ(1986年時点の様子);北里・新井(1986)

English translation

On-Pm1; Showa Foundation Construction Co., Ltd.; 0; 10 m; sketch of the exposure (conditions in 1986); 北里・新井 (1986).

CB-23 静岡県有度丘陵に分布する中期更新世テフラ,Ng-2およびNg-4

杉山雄一

駿河湾に面する有度丘陵南部には,中期更新世の海成-扇状地成の根古屋層が広く分布する.根古屋層にはWS-19-1で記載されている中期更新世の広域テフラであるNg-1が挟在するほか,これより上位の層準にNg-2およびNg-4と呼ばれるテフラが挟まれている(近藤,1985).本露頭は近藤(1985)のLoc.31に当たり,根古屋集落西側の谷を500mほど遡ったところにある谷の出会いを西に折れ,支谷をさらに400mほど遡った辺りで北から合流する小さな涸れ沢である.Ng-2は沢底に露出する根古屋層上部のシルト層中に挟まれ,約70cmの間隔をもつ2枚の火山灰層からなる.下位のものは厚さ4~8cm,粗砂~細礫サイズのテフラで,アリタマ状を呈する.上位のものは厚さ2~4cmで,下位のものより粒度が細かく,中~細砂サイズである.Ng-4はNg-2の約10m上位に認められる軽石質のテフラで,径1~3cm程度の軽石片がシルト層中に散っている.軽石が散る部分の厚さは約30cmである.なお,Ng-2は浜名湖東岸に分布する佐浜泥層に挟在するHa-6とHa-7の火山灰セット(CB-26)に対比されている(杉山, 1991).また,Ng-2が挟在する層準は,貝化石群集の変遷から海水準上昇期,花粉化石群集の変遷から温暖化期に当たることが明らかにされている(近藤,1985;杉山,1991).なお,有度丘陵の中部更新統には,このほかにも数枚のテフラが挟まれており,下記の文献に記載されている.

文献:近藤(1985),佐藤(1991),杉山(1991)

根古屋北西方Ng-2露頭の位置図
原著 247ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

日本平;有度山;307.2;久能山;216;根古屋;東照宮;246.0;きさんじ;2.5万分の1『静岡東部』(静岡11号-1)

English translation

Nihondaira; Udoyama; 307.2; Kunozan; 216; Negoya; Toshogu; 246.0; きさんじ; 1:25,000 “Eastern Shizuoka” (Shizuoka sheet 11-1).

Ng-2上下2枚の火山灰層の露頭写真
原著 247ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

⇐Ng-2(上);⇐Ng-2(下);Ng-2の露頭写真(1996年1月撮影)

English translation

⇐ Ng-2 (upper); ⇐ Ng-2 (lower); photograph of the Ng-2 exposure (January 1996).

CB-24 静岡県御前崎付近に分布する後期更新世テフラ

杉山雄一

大井川西岸の金谷から御前崎にかけての地域に広がる牧ノ原台地は,高位から,牧ノ原,落居,笠名,御前崎の4面に区分される.最高位の牧ノ原面は扇状地成,他の3面は海浜成の段丘面である.このうち,笠名段丘は相良町地頭方から同町笠名にかけて分布し,この段丘構成層中にKa-1およびKa-2と呼ばれる2枚のテフラが挾在する.これら2枚のテフラは,火山ガラスの形態と屈折率,鉱物組成の特徴などから,Ka-1が御岳第1テフラ(On-Pm1)に,Ka-2が鬼界葛原テフラ(K-Tz)にそれぞれ対比されている(杉山ほか,1988).Ka-1は,相良町堀野新田から笠名に抜ける道路が峠でU字状に曲がる手前(海抜54mの標高点の南)で,尾根沿いに南へ分岐する農道に入り,50mほど行ったところにある農道西側の小さな切り割りで観察できる.この露頭の下部は一部礫混じりの砂層,上部は海浜成礫層からなり,On-Pm1テフラは礫混じり砂層の上部に挟まれている.本テフラは厚さ3~10cm,シルト~細砂サイズの細粒火山灰であり,下部の約1cmは白色,上部はオレンジ色を呈する.Ka-2は,上述のKa-1露頭の北約1kmに位置する環境保全センターの南端にある倉庫裏の人工的な崖で観察できる.本テフラはこの露頭南部の崖の上部に,長径約28cm,短径約10cmの巨礫として認められる.テフラ礫は,海浜礫層を覆う河川成と考えられる淘汰不良礫層の基底部に挟まれている.テフラはオレンジ色がかった黄色を呈する細粒のガラス質火山灰であり,微小な孔隙が多数あるため,粗鬆質である.1996年2月時点で,両テフラの大部分がえぐり取られ,消失しかけている.露頭保存のため,今後,試料の採取は行うべきではないと考えられる(少量の試料は執筆担当者から分与可).

文献:杉山ほか(1987,1988)

Ka-1・Ka-2の柱状図、位置図と露頭写真
原著 248ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

0m;5;10;赤色風化殻;ローム;淘汰の悪い中~大礫(河川成);Ka-2火山灰のブロック;シルト層の挟み;南へ緩く傾斜をもつ中~細砂層;礫質の不明瞭な中礫層(淘汰良い);U:南へ緩く平行層理~平板状斜交層理の発達した中~大礫層;M:平行層理の発達した細~中礫層;L:中~大礫;B:中~細砂;古谷泥層;右柱:淘汰の良い中礫層;平行~平板状斜交層理の発達した中礫層;中礫混じり中~細砂;Ka-1火山灰層;細礫層を挟む中~細砂;平行層理;中礫層を挟む中~細砂;古谷泥層;杉山ほか(1987);2.5万分の1『御前崎』(御前崎13号-1);相良町;地頭方;専用道路;Ka-2;Ka-1;38;32;25;108;63;⇐Ka-1;Ka-2⇒;1996年2月撮影;1986年3月撮影

English translation

0 m; 5; 10; red weathering crust; loam; poorly sorted pebble-to-cobble gravel (fluvial); block of Ka-2 ash; silt interbed; gently south-dipping medium- to fine-sand beds; indistinct gravelly pebble bed (well sorted); U: gently south-dipping pebble-to-cobble beds with parallel to planar cross-stratification; M: granule-to-pebble bed with parallel stratification; L: pebble-to-cobble gravel; B: medium to fine sand; Furuya Mud; right column: well-sorted pebble bed; pebble bed with parallel to planar cross-stratification; pebble-bearing medium to fine sand; Ka-1 ash bed; medium to fine sand with granule beds; parallel stratification; medium to fine sand with pebble beds; Furuya Mud; 杉山 et al. (1987); 1:25,000 “Omaezaki” (Omaezaki sheet 13-1); Sagara Town; Jitogata; dedicated road; Ka-2; Ka-1; 38; 32; 25; 108; 63; ⇐ Ka-1; Ka-2 ⇒; photographed February 1996; photographed March 1986.

判読上の注記

柱状図の微小岩相文字 — 一部の字が粗く、最小限の判読不明が残る。

CB-25 静岡県浜名湖東岸に分布する中期更新世テフラ

杉山雄一

浜名湖東岸の三方が原台地の斜面には,中期更新世の浜松累層が分布する.浜松累層は下位より,都田礫層,天満平泥層,細江礫層,佐浜泥層及び鴨江礫層に区分され,三方が原面を形成する上部更新統三方が原礫層に不整合に覆われる(武藤, 1987). 浜松累層からは8枚のテフラ(下位よりHa-1~Ha-8)が報告されている(杉山,1991).ここではこのうち,広域テフラの阿多鳥浜テフラ(Ata-Th)に対比されるHa-3,静岡市有度丘陵に分布するNg-2(2枚組テフラ)に対比されるHa-6とHa-7のテフラセットの露頭について記載する.Ha-3は,細江町気賀から都田川を渡って浜名湖沿いに南へ延びる道路を油田側の橋のたもとから約750m南下したところにある(株)トーエネック細江営業所の道路向かい側の土取り場跡に露出する.露頭見取り図に示すように,駐車場裏の比高6~7mの崖の北端から10m付近,崖の上端から約2m下がったあたりにHa-3が認められる.この崖の上部には細江礫層に介在する厚さ約3mの砂混じりシルト層が露出し,Ha-3はこのシルト層中に挾在する.厚さ約10cm,細砂~シルトサイズの火山灰である.Ha-6とHa-7は,雄踏町山崎北方の台地上の造成地北西端の崖に露出する.Ha-6とHa-7はこの崖に露出する佐浜泥層のシルト層中に挾在する.下位のHa-6は厚さ3~10cmの粗砂~細礫サイズの火山灰で,アリタマ状を呈する.Ha-7はHa-6の1.2~1.3m上位に挾在し,厚さ0.5cm程度のシルト質火山灰である.浜松累層に挟在するテフラの詳細については杉山(1991)を参照.

文献:礒見・井上(1972),武藤(1987),杉山(1991)

Ha-3およびHa-6・Ha-7位置図、Ha-3見取り図とHa-6・Ha-7写真
原著 249ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『気賀』(豊橋8号-1);油田;澪つくし橋;Ha-3の露頭位置図;2.5万分の1『浜松』(豊橋8号-2);山崎;梵杭川;雄踏町;Ha-6,Ha-7の露頭位置図;松の木;崖の上端から2mほど下;平坦に削られた面;Ha-3;比高6~7mの崖;松の木の列;荒地;駐車場;高さ約1.5mの土手;北←;10m;至気賀←;→至浜松;トーエネック(株)細江営業所;Ha-3の露頭見取り図;Ha-7⇒;Ha-6⇒;Ha-6,Ha-7の露頭写真 1996年2月撮影

English translation

1:25,000 “Kiga” (Toyohashi sheet 8-1); Yuden; Miotsukushi Bridge; Ha-3 location map; 1:25,000 “Hamamatsu” (Toyohashi sheet 8-2); Yamazaki; 梵杭川; Yuto Town; Ha-6/Ha-7 location map; pine tree; approximately 2 m below cliff top; leveled surface; Ha-3; cliff 6–7 m high; row of pine trees; waste ground; parking lot; bank approximately 1.5 m high; north ←; 10 m; toward Kiga ←; → toward Hamamatsu; Toeneck Co., Ltd., Hosoe office; Ha-3 exposure sketch; Ha-7 ⇒; Ha-6 ⇒; Ha-6/Ha-7 exposure photograph, February 1996.

CB-26 北アルプス立山において氷河上に噴出したテフラと溶岩

町田洋・伊藤菜穂子

氷底自破砕溶岩,鬼界アカホヤ火山灰,室堂礫層,立山火山,立山弥陀ヶ原北アルプス北部の立山は,日本アルプスの中でも氷河地形・堆積物と火山噴出物との層位関係を観察できる山岳地域である.それは最終氷期に氷食を受けた立山に隣接して,立山火山がテフラを供給し,さらに弥陀ヶ原火砕流台地が堆積物を保存しているからである.本露頭は海抜2,400mの室堂平のつづきの尾根の急峻な崖である.ここは国立公園第1種保存地域にあるので,露頭に取りつくには環境庁および林野庁の入山許可が必要である.許可がない人はみくりが池から雷鳥平に通じる登山道から観察することにしよう.崖は落石の危険もある.崖の下半部は溶結した立山第2期火砕流堆積物(立山Dテフラ噴出期のもの)からなる.溶結凝灰岩の直上は岩屑に覆われているが,別な露頭(天狗平の大谷沿いの崖)では凝灰岩のすぐ上に鬼界葛原テフラ(K-Tz)が見い出されている(小林, 1990).その上にのる砂礫層は本露頭最下部で観察でき,花崗岩の礫を含み細粒マトリックスが多い氷成層にみえる.その上に載るのは,スコリア・軽石を主とする層から粗大な安山岩を主とする角礫層(花崗岩礫もある)へのセットが7回繰り返されて厚さ約30mに達する火山性堆積物である(深井,1975の雷鳥台砂礫層にあたる).この堆積物中の軽石・スコリアは大町における立山Eテフラと同じ岩石記載的特性をもつので(町田・新井,1979),この厚い堆積物全体は立山Eテフラの噴火に関連してかなり短期間にもたらされたものである.これを覆うのはマトリックスが多く基盤の花崗岩礫を主体とする典型的な氷成堆積物である(深井の室堂礫層の主部).さらにこれを自破砕した玉殿溶岩が覆う.これは室堂平をつくるもので,平坦面をきる崖(玉殿岩屋など)では節理の入った固い溶岩をなすが,南南西から北北東方向に平行する何本かの谷では特徴的に自破砕相が卓越する.この上には地獄谷火口から噴出した完新世の4枚の局地的なテフラ層が泥炭層と互層している.また下から2枚目と3枚目のテフラに挟まれた黒泥層の中に鬼界アカホヤテフラの薄層(厚さ約4mm)が観察できる.こうした本露頭の所見から次のような火山活動と氷河の進出との関係を論じることができる.立山第2期火砕流堆積物からK-Tz層準までは,氷河進出の証拠はないが,Tt-E噴火の前から氷成と思われる堆積物が現われ,狭義の室堂礫層から玉殿溶岩まで氷河の影響のもとに堆積したものと考えられる.Tt-E相当の堆積物は上下に氷成礫層に挟まれており,しかも弥陀ケ原の他の地点におけるより厚いので,氷河上に降下堆積したものが移動し,再堆積したものとみなしてよいであろう.この地層下部に多数の砂岩脈が発達するのも,噴火活動や氷河移動の影響を示唆するのかもしれない.なお弥陀ヶ原一帯では立山第3期に火砕流が噴出したことが報告されたが(Yamasaki et al.,1966),これはTt-E軽石を含む泥流起源の可能性が強い.また玉殿溶岩も室堂礫層直上に載るので氷河が発達している時期に噴出したものと思われる.前述のように室堂平に特徴的な西北西方向の窪地や谷では,溶岩はほとんど自破砕している.この特徴は溶岩が氷河氷を融解し,水に接触して急冷したことをつよく示唆する.Tt-E直下から玉殿溶岩までの堆積物によって示唆される氷河の進出期は,Tt-Eが指標テフラAso-4とDKPに挟まれるので,同位体ステージの4に当るものと考えられる.この時期の寒冷気候は信州高野や南関東でも花粉分析からも議論できる.高野ではTt-Eの直上,南関東ではHk-TP直下に顕著な亜高山帯植物の花粉帯が報告されている(叶内ほか,1993; Tsuji et al., 1984).

室堂平赤壁と立山周辺の位置図
原著 250ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『立山』(高山4号-4);地獄谷;雷鳥荘;立山荘宿;雷鳥沢;みくりが池温泉;室堂ターミナル;室堂平;玉殿岩屋;浄土山;山崎圏谷;立山;大汝山;雄山;国見岳;龍王岳;富山大学立山研究室;自然保護センター;2345;2358;2628;2668;2705;2872;2992

English translation

1:25,000 “Tateyama” (Takayama sheet 4-4); Jigokudani; Raichoso; 立山荘宿; Raichozawa; Mikurigaike hot spring; Murodo terminal; Murododaira; Tamadono Iwaya; Jodosan; Yamazaki cirque; Tateyama; Onanjiyama; Oyama; Kunimidake; Ryuo-dake; Toyama University Tateyama research station; nature conservation center; 2345; 2358; 2628; 2668; 2705; 2872; 2992.

判読上の注記

立山荘宿等の微小地図文字 — 一部の文字は原解像度でも判読しにくい。

CB-26(続き)

文献:深井(1975),叶内ほか(1993),小林(1990),町田(1992),町田・新井(1979),Tsuji et al.(1984),Yamasaki et al. (1966)

室堂平赤壁の氷成層・玉殿溶岩・雷鳥台砂礫層の断面概要
原著 251ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

m a.s.l.;2390;2350;2300;雷鳥台;泥炭層とテフラとの互層;玉殿溶岩(自破砕);氷成堆積物(室堂礫層);雷鳥台砂礫層(火砕物);氷成堆積物?;立山第2期火砕流堆積物(溶結凝灰岩);浄土沢;室堂平赤壁にみられる地層の概要

English translation

m a.s.l.; 2390; 2350; 2300; Raichodai; alternating peat and tephra; Tamadono lava (autobrecciated); glacial deposits (Murodo Gravel); Raichodai Sand and Gravel (pyroclastic material); glacial deposits?; Tateyama stage-2 pyroclastic-flow deposits (welded tuff); Jodozawa; outline of strata at Akakabe, Murododaira.

赤壁の自破砕溶岩と火砕物・溶結凝灰岩の写真
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図中文字(日本語)

玉殿溶岩(自破砕);雷鳥台砂礫層(火砕物);立山第2期火砕流堆積物(溶結凝灰岩)

English translation

Tamadono lava (autobrecciated); Raichodai Sand and Gravel (pyroclastic material); Tateyama stage-2 pyroclastic-flow deposits (welded tuff).

CB-27 富山県真川上流部における跡津川断層の露頭と真川湖成層

奥村晃史

跡津川断層北東端近くの断層トレースは,飛騨山地北西部を深く刻む常願寺川支流真川に沿って北東-南西に走り,立山カルデラ内部で終わっている.跡津川断層が真川に沿う区間ととほぼ一致する範囲の標高1,100~1,300mには,真川湖成層とよばれる後期更新世のせきとめ堆積物が分布している.ここに紹介する露頭では,真川湖成層とその下位の砂礫層が走向N50°E,傾斜80°SEの断層によって基盤の花崗岩と接している(山田・竹内,1983).砂礫層基底の不整合面には約50m南東側低下の累積変位が認められる.断層面に残された条線は20~30°SWのピッチをもち,垂直成分の2~3倍の右横ずれ水平変位成分をもつものとみられる(山田・竹内,1983).断層露頭付近の真川湖成層は15~20mの厚さで,基底付近では淡褐色の細砂~シルトと褐色のシルト~粘土層が細かく互層している.この砂泥互層には、圧密によって扁平となった樹幹が多数含まれている.また,いくつかの層準には乱堆積の構造も認められる.断層露頭付近の湖成層から堆積年代を示すテフラは検出されていないが,折立北方の真川左岸では真川湖成層の一部とみられる堆積物から鬼界葛原テフラ(75~95ka;WS-10)が検出されている.湖成層を堆積させた真川のせきとめの原因として,立山火山の活動も考えられている.

文献:大村ほか(1990),竹内ほか(1990),山田・竹内(1983)跡津川断層・真川大露頭南から望遠.花崗岩がほぼ垂直な断層面で段丘礫層と真川湖成層に接している.跡津川断層・真川大露頭の模式図.[竹内ほか(1990)の第12図.山田・竹内( 1983)に加筆し簡略化したもの.]

跡津川断層の真川大露頭写真、模式図と位置図
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図中文字(日本語)

水力取入口;1348;1230;1091;2.5万分の1『立山』(高山9号-4);fault;lacustrine;gravel;granite;road;Mt. DAINICHI-DAKE;MIDAGAHARA;Mt. TATEYAMA;1230m;27.3ka(¹⁴C);terrace gravel;lacustrine;0;10m;Just contact N50°E80°S;fault striation pitch 30°

English translation

Hydropower intake; 1348; 1230; 1091; 1:25,000 “Tateyama” (Takayama sheet 9-4); fault; lacustrine; gravel; granite; road; Mt. DAINICHI-DAKE; MIDAGAHARA; Mt. TATEYAMA; 1230 m; 27.3 ka (¹⁴C); terrace gravel; lacustrine; 0; 10 m; Just contact N50°E80°S; fault striation pitch 30°.

CB-28 能登半島平床台地に分布する三瓶木次テフラ

豊蔵勇

能登半島平床台地において,三瓶木次(きすき)テフラ(SK)が4ヶ所で発見されている(豊蔵ほか,1991).そのうち3ヶ所は標高20m~30mの低位段丘面を構成する海成砂層の最上部に挟まれており,残りの1ヶ所は標高60mの海成段丘砂層上の赤褐色の土壌中に含まれている.写真の露頭は,宇治貝層産出地点(■で示した地点;北陸第四紀研究グループ,1969)の西方20~50mの県道脇に畑を造ったときにできた小崖で,SKは,ほぼ畑の面の高さに見いだされ,黄橙色を示し,最大15cmの厚さである.SKを含む砂層ないし砂礫質砂層は,層厚が5m前後で,標高20~30mの段丘面を形成し広く分布する.●で示した珪藻土採掘場では,その下位に谷埋め堆積物が認められる.その基底にはヤマトシジミなどの汽水棲の貝殻を多く含む泥質砂層が認められる.この貝層は,珪藻泥岩が波食を受けてできたポットホール状の窪みの中に産出するもので,浅海性で寒流系の種の多い群集からなる宇治貝層とは別のものである(豊蔵ほか,1991).広域テフラであるSKが,北陸地方の中位・低位段丘の標識地である平床台地において低位面から発見されたことは、この面がSKの層位・時代から南関東の小原台面に対比されることを示す.このことは宇治面および宇治貝層,ひいては平床貝層の形成時期や形成過程に関しても再検討を迫る点で意義がある.

文献:北陸第四紀研究グループ(1969),豊蔵ほか(1991)

宇治貝層・SK露頭・珪藻土採掘場の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『能登飯田』(輪島4号-3);三崎町宇治;三崎町引砂;箭田;25;■;●;矢印。

English translation

1:25,000 Noto-Iida (Wajima sheet 4-3); Uji, Misaki-machi; Hikisuna (引砂), Misaki-machi; 箭田 (name reading unverified); 25; solid square; solid circle; arrow.

判読上の注記

その他の極小地図文字 — 解像度不足。

SK・K-Tz・Aso-4の位置を表示した段丘露頭写真
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図中文字(日本語)

NE;SW;Aso-4;K-Tz;SK.測尺目盛の数字1~9等。

English translation

NE; SW; Aso-4; K-Tz; SK. Measuring-rod numerals including 1–9.

CB-29 白山弥陀ヶ原における完新世の泥炭層とテフラ群

辻誠一郎

白山火山の主峰である御前峰の南方の弥陀ヶ原は,標高2,325~2,350mの緩斜面上に位置する.弥陀ヶ原はほぼ全面が湿草地となっており,雪田の融雪水によって涵養される傾斜地泥炭地が広がっている.これを横切る登山道に沿って,各所に泥炭層の断面が露出しており,主に白山火山の噴火によるテフラ群を観察することができる.泥炭層は泥炭・泥炭質堆積物・砂からなり,最も厚いところでは1.5mに達する.泥炭層の基底の年代は放射性炭素法によって最終氷期末期である約11kaあるいはそれより少し前と見積もられている(遠藤,1985).弥陀ヶ原および南方の南竜ケ馬場で観察される泥炭層には計18層の一次堆積のテフラが識別され,これらは下位からHm-1~16(間にHm-7′,9′が入る)と命名された(遠藤,1985).このうちHm-6は広域テフラである鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)に対比された.他のほとんどのテフラは新白山の噴火によるものと考えられる.これらのテフラ中で特に目立つものは,弥陀ヶ原火山灰(Hm-4)と南竜火山灰(Hm-10)である.後者はK-Ahとともに,弥陀ヶ原だけでなく白山火山に分布する傾斜地泥炭地ではもっともふつうに見られるテフラである.これまで得られた放射性炭素年代から,Hm-4は約10ka,Hm-10は2.6kaないし2.3kaと見積もられる(遠藤,1985;東野ほか,1991).最終氷期末期以降の山岳地帯での生態系の変動を解明するための古環境研究が進められており,最終氷期末期に雪田が生成し,K-Ahの少し前から本格的な融雪水涵養による泥炭地になったことが明らかにされている(辻,1985;矢笠ほか,1994).

文献:遠藤(1985),高柳・守屋(1991),辻(1985),東野ほか(1991),矢笠ほか(1994)

白山弥陀ヶ原の泥炭露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『白山』(金沢4号-3);弥陀ヶ原;2448;2345;矢印。

English translation

1:25,000 Hakusan (Kanazawa sheet 4-3); Midagahara; 2448; 2345; arrow.

判読上の注記

その他の極小文字 — 解像度不足。

泥炭露頭写真とHm-1~14の白山テフラ柱状図
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図中文字(日本語)

写真:Hm-10,Hm-6(K-Ah),Hm-5,Hm-4.柱状図(上から):Hm-14,Hm-13,Hm-12,Hm-11,Hm-10,Hm-7′,Hm-7,Hm-6(K-Ah),Hm-5,Hm-4,Hm-3,Hm-2,Hm-1.尺度cm:0,20.白山テフラの柱状図(地点:弥陀ヶ原,A・B地点).

English translation

Photograph: Hm-10, Hm-6 (K-Ah), Hm-5, Hm-4. Column, top to bottom: Hm-14, Hm-13, Hm-12, Hm-11, Hm-10, Hm-7′, Hm-7, Hm-6 (K-Ah), Hm-5, Hm-4, Hm-3, Hm-2, Hm-1. Scale in cm: 0, 20. Column of Hakusan tephras (locality: Midagahara, sites A and B).

CB-30 加賀橋立台地の海成層に挾まれる阿蘇4テフラ

豊蔵勇

加賀橋立台地において,古砂丘砂ののる台地の海食崖を降りていく小道沿いの露頭で,海成砂層中に阿蘇4テフラ(Aso-4)が見いだされる(豊蔵ほか,1991).Aso-4は,黄橙色を示し厚さ2~4cmで,粗粒砂からなる段丘堆積層中に挟まれている.テフラの直上・直下には,風化によって脆くなっているが,海棲の二枚貝の化石が含まれている.不整合面からテフラ層までが一連の地層かどうかは,露頭状況が良くないため不明である.また,著しく傾斜したラミナを伴う古砂丘砂とみなされる粗粒砂層がテフラの上位3~4m以上に分布する.この海成砂層は,従来上部片山津層(北陸第四紀研究グループ,1969)と呼ばれているものに相当すると思われるが,海岸部における露頭状況が悪く両層が一続きのものか,上部片山津砂層上に不整合的に分布するものか不明で,今後の調査が必要とされる.Aso-4を挟む海成砂層は,層位からみて南関東の三崎段丘構成層に対比できるものであろう.この時期の海成層が標高25m以上の高さに分布するところは,隆起の激しい日本列島においてもあまり多くないと言える.この点から見ても,少なくとも越前海岸北部は顕著な隆起地域であることを示す点で意義がある(豊蔵ほか,1991).

文献:北陸第四紀研究グループ(1969),豊蔵ほか(1991)

黒崎町海岸のAso-4露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『片山津温泉』(金沢10号-4);2.5万分の1『大聖寺』(金沢11号-3);黒崎町;67.2;23;24.9;50;矢印。

English translation

1:25,000 Katayamazu-Onsen (Kanazawa sheet 10-4); 1:25,000 Daishoji (Kanazawa sheet 11-3); Kurosaki-machi; 67.2; 23; 24.9; 50; arrow.

判読上の注記

極小地図文字 — 一部判読不明。

Aso-4を挟む海成層と古砂丘砂の海食崖断面
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図中文字(日本語)

標高 EL(m):20,40,60.上から:風成砂層(古砂丘砂);海棲の二枚貝;Aso-4;鮮新世の泥岩.

English translation

Elevation EL(m): 20, 40, 60. From top: aeolian sand (old dune sand); marine bivalves; Aso-4; Pliocene mudstone.

CB-31 飛騨山脈を給源とする大規模火砕流(その1)-更新世中期上宝火砕流堆積物と給源火道-

原山智

通称「カベ」と称される本露頭は高度差約200mの急崖をなしており,給源火道から西北西2.5kmの距離に位置している.大規模火砕流堆積物の断面が給源に近接した地点で連続的に観察できる数少ない例であるといえよう.この地点から西方に約9kmにわたって「八本原」と呼ばれる小起伏面が広がっているが(飛騨高原の火砕流台地;日本火山学会,1984),これは上宝(かみたから)火砕流の堆積面が残存した地形である.本露頭では柱状節理のよく発達した厚さ約200mの溶結部が観察できる.本露頭の下方では非溶結部と下位の福地凝灰角礫岩層(金子ほか,1976)が露出する.福地凝灰角礫岩層の主体はblock and ash flow堆積物からなり,その分布は給源火道周辺に限定されているため,かつて火道付近に存在した火山体の一部と考えられる.なお福地凝灰角礫岩の基底部には礫岩層が観察され(地形図の■地点),斎藤ほか(1984)により高山盆地の桐山礫層に対比されているが,この礫層は更新世中期に上高地付近から高山に抜ける河川があったことを示しており、当時の古地形を知る上で重要である.各岩相の記述と上宝火砕流の給源である貝塩給源火道については5万分の1地質図幅「上高地」(原山,1990)を参照されたい.なお本露頭に至るには福地からオソブ谷林道をたどるが,最近林道入り口付近にゲートがつくられて車両の通行が制限されている. 調査等で入る際には神岡営林署(TEL0578-2-1106)に入林手続きについて問い合わせを行うことをお勧めする.

文献:原山(1990),金子ほか(1976),日本火山学会(1984),斎藤ほか(1984)

オソブ谷の火砕流露頭と基底礫層地点の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『焼岳』(高山7号-4);1338;1319;1792;1556;矢印;■.

English translation

1:25,000 Yakedake (Takayama sheet 7-4); 1338; 1319; 1792; 1556; arrow; solid square.

上宝火砕流堆積物・福地凝灰角礫岩層・桐山礫層の柱状断面
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図中文字(日本語)

標高:1600m,1550,1520,1320.標高1760mまで続く.上から:上宝火砕流堆積物(溶結部,非溶結部);福地凝灰角礫岩層(上方へ白色軽石増加;途中略);火山灰流堆積物;桐山礫層.

English translation

Elevation: 1600 m, 1550, 1520, 1320. Continues upward to 1760 m elevation. Top to bottom: Kamitakara pyroclastic-flow deposit (welded and nonwelded zones); Fukuji Tuff Breccia Formation (white pumice increases upward; intervening interval omitted); volcanic-ash-flow deposit; Kiriyama gravel.

CB-32 飛騨山脈を給源とする大規模火砕流(その2)-更新世中期上宝火砕流堆積物-

原山智

高山市から東方へ約5kmの地点にある本露頭は採石場の跡で露出が良く,道路脇で至便であるため模式的な露頭としてよく知られてきた.採石作業が行われなくなったため新鮮な破断面を観察することが困難になりつつあり,また残念なことに露頭中央を貫通する道路トンネルが最近できてしまったが,依然として高山盆地周辺に露出する上宝火砕流堆積物の中では最も新鮮で観察し易い露頭である.本露頭は給源より18kmの地点にあり,溶結した岩相としてはもっとも遠方に位置している.ここで観察できるのは上下約40mである.露頭最下部数mの非溶結部を除いて典型的な柱状節理が発達するが,最上部では溶結度の低を反映してやや不明瞭な節理になる.明瞭な冷却間隙は認められず1 cooling unitからなるが,上下方向に軽石や石質岩片の量・サイズが繰り返し変化しており(山田ほか,1985に柱状図有り),複数のflow unitからなることを示している.かつて露頭状態が良好なときには上部にflow unit境界を示す縞状構造が遠望できた(写真参照).本露頭から採取された試料中の黒雲母について0.65±0.25MaのK-Ar年代値が測定されており(柴田・山田,1977),また自然残留磁気は正帯磁であることが知られている(丹治ほか,1977;斎藤ほか,1984).東側の道路沿いには鮮新世末の丹生川火砕流堆積物が露出しており,これを起伏に富んだ不整合面を介して上宝火砕流堆積物が覆っている.

文献:斎藤ほか(1984),柴田・山田(1977),丹治ほか(1977),山田ほか(1985)

高山市数河の上宝火砕流露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『高山』(高山12号-3);滝町;数河;中曽洞;岩井町;岩井;川上;778;822;842;矢印。

English translation

1:25,000 Takayama (Takayama sheet 12-3); Takimachi; 数河 (reading unverified); Nakazobora (中曽洞); Iwai-machi; Iwai; Kawakami; 778; 822; 842; arrow.

判読上の注記

固有名の読み・極小文字 — 未確認の地名は日本語併記。

柱状節理と上部のフローユニット境界を示す上宝火砕流堆積物の露頭写真
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CB-33 飛騨山脈を給源とする大規模火砕流(その3)-恵比寿峠火砕堆積物と丹生川火砕流堆積物-

原山智

本露頭は高山盆地周辺における鮮新世末~前期更新世の主要テフラのほとんどを好条件で観察できる良好な露頭である.高原野菜等の畑造成のために尾根を切り崩した法面であり,観察できる層準は下位から順番に丹生川火砕流堆積物,滑谷降下火山灰層,茶屋野凝灰岩層,恵比寿峠火砕堆積物である.露頭最上部を占める恵比寿峠火砕堆積物は約18mの層厚で,下半部の非溶結相から上半部の溶結相へ連続的に移行する様子は教科書的といえる程典型的で素晴らしい.最も良好な露頭は1996年春に行われた緑化工事のために観察不可能となってしまったが,東西両側の法面にはほぼ同様な条件の露頭が残存している.各テフラの詳細な記載及び柱状図は長橋(1995)に,また広域テフラとの対比は長橋ほか(1996)に掲載されているので参照されたい.

文献:長橋(1995),長橋・小坂・日比(1996)

滑谷の火砕流露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『旗鉾』(高山11号-2);滑谷;恵比須峠;760;847;827;790.2;矢印。

English translation

1:25,000 Hatahoko (旗鉾; Takayama sheet 11-2); Name-dani (滑谷); Ebisutoge; 760; 847; 827; 790.2; arrow.

判読上の注記

地名の読み — 滑谷・旗鉾は推定読みに日本語を併記。

恵比寿峠火砕堆積物の非溶結相から溶結相への移行
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図中文字(日本語)

NW;N;NE;溶結;弱~非溶結;恵比寿峠火砕堆積物;茶屋野凝灰岩層。

English translation

NW; N; NE; welded; weakly welded to nonwelded; Ebisutoge pyroclastic deposit; Chayano Tuff Formation.

CB-34 跡津川断層・岐阜県宮川村野首地区トレンチ発掘調査

奥村晃史

跡津川断層は飛騨山地北部を北東-南西にのびる活断層で,延長は約70km,平均変位速度は1,000年あたり右横ずれ3~5m,北側隆起1~1.5mである(松田,1966;活断層研究会,1991).跡津川断層トレンチ発掘調査団(1989)による宮川村野首におけるトレンチ調査は,跡津川断層が宮川右岸の河岸段丘に南東側低下,比高約5mの低断層崖を形成している地点で行われた.トレンチの規模は長さ約23m,最大深さ約13m,最大幅約14mであった.下盤側には厚さ4mの粗大な段丘礫層を覆って,厚さ1.5mの成層した洪水堆積物が堆積し,断層付近では下盤側で尖滅するウェッジ状の崩積堆積物がこれに挟み込まれていた.隆起側に露出した花崗岩との間には,低断層崖基部で地表を切る走向N60~70°E,北傾斜65~75°の高角断層があらわれた.断層面上には15~20°Wのピッチをもつ擦痕が卓越し,地形から予想された右横ずれ-北上がりの運動センスと一致した.この擦痕から復元される応力配置と調和する小断層群が主断層から派生して下盤側の洪水堆積物に変位を与えている.これらの小断層を挟んだ堆積物の分布状況,断層運動にともなう斜面崩壊に起因する崖錐の堆積, 小断層と地層の切った・覆われた関係などから,段丘礫層堆積後10回のイベントが推定された.うち4回が過去約8,600年間に発生しており,最新のイベントは1858年飛越地震に対応するものとみられる(跡津川断層トレンチ発掘調査団,1989).

文献:跡津川断層トレンチ発掘調査団(1989),活断層研究会(1991),松田(1966)*跡津川断層野首トレンチ西壁面のログとイベント層準.[跡津川断層トレンチ発掘調査団(1989)のFig.5,9.]*1:盛土,2:水田土壌,3:腐植土,4:腐植質砂,5:礫,6:粗砂,7:中砂,8:細砂,9:花崗岩,10:石灰岩,11:断層,12:断層粘土,13:¹⁴C年代測定試料と年代(y.BP),14:ユニット番号.

野首トレンチと跡津川断層の位置図
原著 259ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『林』(高山15号-1);野首;森安;林;高山本線;宮川;西忍;695;648;矢印。

English translation

1:25,000 Hayashi (Takayama sheet 15-1); Nokubi; Moriyasu; Hayashi; Takayama Main Line; Miyagawa; 西忍 (reading unverified); 695; 648; arrow.

野首トレンチ西壁ログと10回の断層イベント年代図
原著 259ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

WEST EXPOSURE;S,N.水平距離4,6,8,10,12,14,16,18,20m;標高392~406m(2m間隔).壁面年代3150,5390,6650,8340.ユニット1,3,4-1,4-2,4-3,5,6,7u,7l,8,9,10,11,12-14,15,16.凡例記号1~14(説明は本文).

¹⁴C Age (y.B.P.) Layer
820±75 1
3,150±90 2
5,390±120 3/4-1付近
6,650±170 4-2付近
8,340±260 4-3付近
9,540±250 6
9,360±290 6

Depth(m):0,1,2,3,4,5.Event/Estimated age of event (y.B.P.):Event-1 <820;Event-2 5,200±200;Event-3 7,500±800;Event-4 8,600±400;(Event-5)~(Event-10).age:0,10,000(y.B.P.).

English translation

WEST EXPOSURE; S, N. Horizontal distances 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20 m; elevations 392–406 m at 2 m intervals. Wall ages: 3150, 5390, 6650, 8340. Units: 1, 3, 4-1, 4-2, 4-3, 5, 6, 7u, 7l, 8, 9, 10, 11, 12-14, 15, 16. Legend symbols 1–14 are explained in the main text.

¹⁴C Age (y.B.P.) Layer
820±75 1
3,150±90 2
5,390±120 near 3/4-1
6,650±170 near 4-2
8,340±260 near 4-3
9,540±250 6
9,360±290 6

Depth(m): 0, 1, 2, 3, 4, 5. Event / Estimated age of event (y.B.P.): Event-1 <820; Event-2 5,200±200; Event-3 7,500±800; Event-4 8,600±400; (Event-5) through (Event-10). Age axis: 0, 10,000 (y.B.P.).

判読上の注記

放射性炭素試料と細かなユニット境界 — 矢印先が境界近くにあるので年代とユニットの厳密な対応は原図参照。

CB-35 岐阜県下呂町三ツ石における阿寺断層系湯ケ峰断層のトレンチ発掘調査

奥村晃史

阿寺断層系は美濃・三河高原北東縁を北西一南東ないし北北西-南南東にのびる総延長約70kmの顕著な左横ずれ断層系で,これまで10地点以上でのトレンチ発掘調査を含む,様々な地形・地質的調査が行われてきた(活断層研究会, 1991;佃ほか,1993).湯ケ峰断層(佃ほか,1993)は,北西-南東に延びる断層系中部の北端に位置する延長約10kmの断層で,断層トレースに沿っては,系統的な屈曲を示す尾根と谷や,段丘面の変位が認められる.三ツ石のトレンチ発掘地点は乗政川支流の谷底に形成された低位段丘面上で,低下側にあたる上流(北東)側には比高2~4mの低断層崖によってせき止められた細粒物質が堆積して低湿地を作っている.

この低断層崖で1986年と1990年にトレンチ発掘調査が行われた(岡田ほか,1987;佃ほか,1993).詳細地形図Loc.7で掘削されたトレンチ(図)には,基盤の濃飛流紋岩と段丘堆積物とが接する高角の断層が現れた.段丘礫層の上には厚さ1m弱の泥炭層が堆積し,基盤と接する部分には断層運動に伴って堆積したプリズム状の砂礫層が5層準に認められた.最近の4回のイベントは過去約7,000年間に約2,000年の間隔で発生したとみられる.また,詳細地形図Loc.6で行われた小規模なトレンチからは,最新のイベントが約1,000年前以後に発生したことが解った.遠田ほか(1994,1995)の結果とあわせて,阿寺断層系の最新活動は1586年天正地震に対応するものと考えられている.

文献:遠田ほか(1994,1995),活断層研究会(1991),岡田ほか(1987),佃ほか(1993)湯ヶ峰断層三ツ石トレンチ付近の詳細地形図と北西側壁面のログ[佃ほか(1993)の第8,11図]

三ツ石断層位置図・詳細地形図・トレンチ北西壁ログ
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『宮地』(飯田10号-3);三ツ石;乗政;乗政川;820;665;684.詳細図:湯ヶ峰断層;Loc.6;Loc.7;28a;28b;28c;等高線550~650(10m間隔);0,100m.北西側壁面:SW,NE;水平0~6;縦1~4;F1,F2,F3,F4;地層A,B,C,D,E,F,G,H,I,K,L,M;MT;イベント1~6.年代:3110,3890,4950,6990,13550.凡例:人工改変部;腐植土;泥;砂(塊状・成層);礫;花崗岩類;濃飛流紋岩類;断層ガウジ;断層;節理・小断層;■1220 ¹⁴C年代値(y.B.P.);A 地層区分;◀ 断層活動が認められる層準.本文・文献断片は本文に収録。

English translation

Map: 1:25,000 Miyaji (Iida sheet 10-3); Mitsuishi; Norimasa; Norimasa River; 820; 665; 684. Detailed map: Yugamine fault; Loc.6; Loc.7; 28a; 28b; 28c; contours 550–650 at 10 m intervals; 0, 100 m. Northwest wall: SW, NE; horizontal 0–6; vertical 1–4; F1, F2, F3, F4; units A, B, C, D, E, F, G, H, I, K, L, M; MT; events 1–6. Ages: 3110, 3890, 4950, 6990, 13550. Legend: artificially modified material; humic soil; mud; sand (massive/stratified); gravel; granitic rocks; Nohi rhyolitic rocks; fault gouge; fault; joint/minor fault; solid square 1220, radiocarbon age (y.B.P.); A, stratigraphic division; left triangle, horizon showing fault activity. Text and reference fragments are retained in the main text.

CB-36 濃尾断層系梅原断層高田トレンチ

奥村晃史

1891年10月28日岐阜県西部を震源とするマグニチュード8.0の大地震が発生し,死者7千人以上にのぼる大きな被害をもたらした.濃尾地震と名付けられたこの地震では,温見断層・根尾谷断層・梅原断層などが震源断層として活動して総延長約80kmにわたる地表変位が現れ,最大変位は右横ずれ8mに達した(松田,1974).これらの活断層は一括して濃尾断層系と呼ばれるが,梅原断層は同断層系の最も南東よりに位置し,1891年には活動しなかった根尾谷断層南端部,長滝断層,武儀川断層と並走する延長約10kmの断層である(活断層研究会,1991).1981年のトレンチ調査が行われた高富町高田は,梅原断層の南西側隆起を伴う左横ずれによって沈降し埋積の進む小盆地の縁に位置する.岡田ほか(1992)によるトレンチ調査では,3万年前以前の砂礫層を覆う厚さ2~3mの泥炭を主体とする軟弱な地層が露出した.地表下約50cmには厚さ2~3cmの鬼界アカホヤテフラ(K-Ah),地表下1m前後には最大厚さ20cm程度の姶良丹沢テフラ(AT)が認められた. ATは一部で波状に変形し層厚も大きく変化する.泥炭を主体とする地層は露頭最下部で断層に切られる以外は断層帯上で緩やかに北東に傾き下がって層厚を増し,低下側に洪水堆積物とみられる粘土・シルト層を挟在する.この変形と堆積の状況から, 1891年以前には約20,000年前,28,000年前および,30,000年より古い3回のイベントが認められた.この活動間隔は根尾谷断層に較べて著しく長い(岡田ほか,1992).

文献:活断層研究会(1991),松田(1974),岡田ほか(1992)*梅原断層高田トレンチ(岡田ほか(1992)の図5)*1:水田土壌,2:粘土~シルト,3:砂礫,4:泥炭,5:K-Ah火山灰,6:AT火山灰,7:断層,8:イベント層準,9:¹⁴C年代値.

梅原断層位置図と高田トレンチ西壁ログ
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『岩佐』(岐阜3号-4);2.5万分の1『美濃神海』(岐阜7号-2);高田;梅原;山崎;四日市;91;26.西壁:West Exposure;N80°W 90°;距離0,5,W10,15,W20;F1,F2,F3,F4;ユニット1,2,3,3a,4,4a,4b,5,6,7,7a;Ah;AT;イベント1~6.年代:6,950;17,800;17,050;32,300;27,000;29,200;30,700;6,160;19,200;20,900;24,380;27,490;30,800;33,460;>35,430.凡例1~9は本文.本文・文献断片も本文に復元。

English translation

Map: 1:25,000 Iwasa (Gifu sheet 3-4); 1:25,000 Mino-Komi (美濃神海; Gifu sheet 7-2); Takada; Umehara; Yamazaki; Yokkaichi; 91; 26. West wall: West Exposure; N80°W 90°; distances 0, 5, W10, 15, W20; F1, F2, F3, F4; units 1, 2, 3, 3a, 4, 4a, 4b, 5, 6, 7, 7a; Ah; AT; events 1–6. Ages: 6,950; 17,800; 17,050; 32,300; 27,000; 29,200; 30,700; 6,160; 19,200; 20,900; 24,380; 27,490; 30,800; 33,460; >35,430. Legend 1–9 is in the main text. Text and reference fragments are restored there.

上下反転配置の高田トレンチ東壁ログ
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図中文字(日本語)

East Exposure;距離0,5,E10,15,E20;F2,F3,F4,F5;ユニット1,2,3,3a,4,4a,4b,5,6,7,7a;AT;イベント1~5;年代30,300.

English translation

East Exposure; distances 0, 5, E10, 15, E20; F2, F3, F4, F5; units 1, 2, 3, 3a, 4, 4a, 4b, 5, 6, 7, 7a; AT; events 1–5; age 30,300.

CB-37 愛知県渥美半島に分布する中期更新世テフラ

杉山雄一

渥美半島には中部更新統の渥美層群が広く分布する.渥美層群は,3つの海進一海退堆積サイクルから構成され,これらは下位より,二川累層,田原累層,豊橋累層と呼ばれている(黒田,1966).最上位の豊橋累層は天伯原と呼ばれる高位海成段丘面を形成する.渥美層群からは5枚のテフラ(下位よりAt-1~At-5)が報告されている(杉山,1991).ここではこのうち,二川累層の最上部に挟在するAt-2と田原累層下部の開析谷充填堆積物(赤沢泥層)に挟在するAt-3の露頭について記載する.At-2は,豊橋市細谷町から海岸に降りる道路を下り,海岸の手前約500mにある左カーブの道路右脇にある人工の崖で観察できる.崖の下部には浅海からビーチを経て後背湿地に至る海退期の堆積物が露出し,後背湿地の腐植層の下部にAt-2が挾在する.本テフラは厚さ15~18cm,ややピンク色を帯びた白色のシルト質火山灰である.At-3は,豊橋市高塚海岸の海食崖で観察できる.高塚海岸の海食崖下部には二川累層の砂質シルトを不整合に覆って,厚さ3~4m程の礫層(伊古部礫層)が露出し,その上位に厚さ15m程のシルト~粘土層(赤沢泥層)が発達する.At-3はこの赤沢泥層の下部に挟在し,厚さ1~2cm,中砂~粗砂サイズの2枚組の火山灰である.2枚の火山灰の層位間隔は5~8cmである.花粉分析結果から,At-3の層準は温暖化期に当たることが明らかにされている.渥美層群に挾在するテフラの詳細については杉山(1991)を参照.

文献:廣木・木宮(1990),黒田(1966),島本ほか(1994),杉山(1991)*At-3の露頭位置図/At-3の露頭写真(1987年2月撮影)*At-2の露頭位置図/At-2の露頭写真(1987年2月撮影)

At-3露頭の地図と2枚組の火山灰を示す写真
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『二川』(豊橋12号-2・伊良湖岬9号-1);高塚町;At-3;矢印2本.

English translation

1:25,000 Futagawa (Toyohashi sheet 12-2 / Irago-Misaki sheet 9-1); Takatsuka-machi; At-3; two arrows.

判読上の注記

極小地図文字 — 一部判読不明。

At-2露頭の細谷町位置図と道路沿い崖の写真
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『二川』(豊橋12号-2);細谷町;At-2;矢印。

English translation

1:25,000 Futagawa (Toyohashi sheet 12-2); Hosoya-machi; At-2; arrow.

6.近畿地方

KK-1 琵琶湖高島沖ボーリングの火山灰層序-西日本の中期更新世~完新世の標準火山灰層序-

吉川周作

琵琶湖の湖底下には最大層厚250mに達する均質な粘土が存在する.この粘土は約400kaから現在までの連続的な自然環境変遷を高精度で保存している重要な堆積物である.琵琶湖湖底下に厚い粘土の存在が確認されたのは,近江八幡市沖合いで1971年と1982年に掘削された200mボーリング(N35°13′04″ E136°01′06″),1400mボーリング(N35°13′06″ E136°00′50″)で,これらのコアに関しては岩相,火山灰,花粉・珪藻などの微化石,粒度分析,古地磁気測定,δ¹³Cなどの化学分析,フィッション・トラック年代測定などの研究が行われてきた(Horie,1984).その後に掘削された高島沖ボーリングは,湖底面(水深63m)から深度約141.5mまでのコアが採取され,回収率は89.7%であった.深度0~137.3mまでは,1層の薄い砂を除いて大部分が暗緑灰色シルト質粘土で,その下は砂である.シルト質粘土中には,多くの火山灰が発見された.肉眼で識別可能な44層の火山灰層と火山ガラス分析によって認定された31の火山灰降灰層準が見いだされ,上位より順にBT1,2,3,…,75,76と呼ばれる.これらの火山灰の大部分は広域火山灰で,BT3は鬼界アカホヤ(K-Ah),BT4は鬱陵隠岐(U-Oki),BT10は姶良Tn(AT),BT22は阿蘇4(Aso-4),BT25は鬼界葛原(K-Tz),BT28は阿多(Ata),BT34は阿蘇3(Aso-3),BT58は阿多鳥浜(At-Th),BT61は阿蘇1(Aso-1),BT66は八田火山灰などに相当し,大山系のテフラも多数存在する.本ボーリングには,約400ka以降現在までの九州や山陰地方の大規模火山活動にともなう広域火山灰のほとんどすべて,そして中部地方や韓国の火山に由来する火山灰も挟まれている.琵琶湖高島沖ボーリングは,現在知られている露頭やボーリングの中で,火山灰を最も良く記録していることから,西日本の標準火山灰層序となっている(吉川・井内,1991).また,吉川・井内(1993)は,主に琵琶湖の200mボーリングの花粉層序・阿蘇火砕流のK-Ar年代と酸素同位体比層序との関連に基づいて,高島沖ボーリングの各火山灰の年代を明らかにしている.

文献:Horie(1984),吉川・井内(1991,1993)高島沖ボーリング掘削風景(1987年)

琵琶湖の高島沖・200m・1400mボーリング位置図
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図中文字(日本語)

20万分の1地勢図『名古屋』(NI-53-8);■高島沖ボーリング;■1400mボーリング;■200mボーリング;琵琶湖;高島郡;彦根市;八幡;沖島;65;86.

English translation

1:200,000 Nagoya regional topographic map (NI-53-8); solid squares: Takashima-oki borehole, 1,400 m borehole, 200 m borehole; Lake Biwa; Takashima District; Hikone City; Hachiman; Okishima; 65; 86.

判読上の注記

地勢図の極小地名 — 解像度不足により一部判読不明。

湖上掘削船による高島沖ボーリング作業
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KK-1(続き)

琵琶湖高島沖コア76火山灰層準の柱状・砂含有量と深度年代・対比図
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図中文字(日本語)

高島沖ボーリング柱状図(砂含有量の黒色は火砕物を示す).砂含有量(wt%):0,2,4%(6列).火山灰層:BT3,4,5,7,8,9,10,11,12,16,17,18,19,20,21,22,23,25,26,27,28,29,34,36,37,40,41,44,45,47,48,49,51,57,58,59,60,61,62,66,67,71,72,74,76.Ash Horizons:BT1,2,6,14,15,24,30,31,32,33,35,38,39,42,43,46,50,52,53,54,55,56,63,64,65,68,69,70,73,75.火山灰降灰層準.深度目盛:0,−10,−20,−30,−40,−50,−60,−70,−80,−90,−100,−110,−120,−130m.

図の含有量注記(上から) 数値
BT3 7.6%
BT4 6.0%
BT7 5.5%
BT9 61.3%
BT10 5.4%
BT12と14の間 27.9%
BT16~18付近 10.3%;65.1%
BT19~20付近 14.2%
BT22~23付近 9.0%
BT25~26付近 8.1%
BT32付近 9.4%
BT34 11.7%
BT37 8.8%
BT44 5.5%
BT47 31.5%
BT49 8.6%
BT60直下 54.1%
BT61 65.1%
BT62 8.2%
BT71~72付近 6.5%;15.0%;11.5%
BT74 17.5%
BT76 48.9%

凡例:粘土,火山灰,砂,スライム.

高島沖ボーリング深度-年代図.高島沖ボーリング/火山灰/広域火山灰.酸素同位体比層序:1,3,5,7,9,11.AGE(ka):100,200,300,400.DEPTH(m):0,50,100.広域火山灰と番号:K-Ah=BT3,AT=BT10,BT15,BT16-21,Aso-4=BT22,K-Tz=BT25,Ata=BT28,BT34,BT44-49,At-Th=BT58,Aso-1=BT61,Handa=BT66,BT72.200mボーリング/火山灰:BB15,BB55,BB85,BB165,BB173,BB179,BB207,BB395,BB425,BB453.花粉層序:XVI,XIV,X,II–IV.古地磁気層序:Biwa I,Biwa II,Biwa III.

English translation

Takashima-oki borehole column (black areas in the sand-content curves indicate pyroclastic material). Sand content (wt%): 0, 2, 4% in six panels. Ash beds: BT3, 4, 5, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 25, 26, 27, 28, 29, 34, 36, 37, 40, 41, 44, 45, 47, 48, 49, 51, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 66, 67, 71, 72, 74, 76. Ash-fall horizons (Ash Horizons): BT1, 2, 6, 14, 15, 24, 30, 31, 32, 33, 35, 38, 39, 42, 43, 46, 50, 52, 53, 54, 55, 56, 63, 64, 65, 68, 69, 70, 73, 75. Depth ticks: 0, −10, −20, −30, −40, −50, −60, −70, −80, −90, −100, −110, −120, −130 m.

Content annotation in diagram (downward) Value
BT3 7.6%
BT4 6.0%
BT7 5.5%
BT9 61.3%
BT10 5.4%
Between BT12 and 14 27.9%
Near BT16–18 10.3%; 65.1%
Near BT19–20 14.2%
Near BT22–23 9.0%
Near BT25–26 8.1%
Near BT32 9.4%
BT34 11.7%
BT37 8.8%
BT44 5.5%
BT47 31.5%
BT49 8.6%
Immediately below BT60 54.1%
BT61 65.1%
BT62 8.2%
Near BT71–72 6.5%; 15.0%; 11.5%
BT74 17.5%
BT76 48.9%

Legend: clay; volcanic ash; sand; slime.

Takashima-oki borehole depth–age diagram. Takashima-oki borehole / volcanic ash / widespread volcanic ash. Oxygen-isotope stratigraphy: 1, 3, 5, 7, 9, 11. AGE (ka): 100, 200, 300, 400. DEPTH (m): 0, 50, 100. Widespread ashes and numbers: K-Ah = BT3; AT = BT10; BT15; BT16-21; Aso-4 = BT22; K-Tz = BT25; Ata = BT28; BT34; BT44-49; At-Th = BT58; Aso-1 = BT61; Handa = BT66; BT72. 200 m borehole / volcanic ash: BB15, BB55, BB85, BB165, BB173, BB179, BB207, BB395, BB425, BB453. Pollen stratigraphy: XVI, XIV, X, II–IV. Paleomagnetic stratigraphy: Biwa I, Biwa II, Biwa III.

判読上の注記

含有量注記と隣接する火山灰番号 — 密接したラベル・矢印の厳密な対応が一部曖昧なため近傍番号として記載。BT13番号は図で明瞭でないが27.9%値は保持。

KK-2 滋賀県堅田丘陵,喜撰川流域の古琵琶湖層群-堅田累層下部の層序とブリュンヌ/松山境界-

山崎博史・田中里志

滋賀県南西部の堅田丘陵は,主に古琵琶湖層群堅田累層および段丘堆積層の礫・砂・泥から構成されている.丘陵北端を東流する喜撰川流域では,西に緩く傾斜した堅田累層下部(層厚約200m)が比較的良く観察できる.堅田累層については,林(1974)により岩相・火山灰層序が整理されたほか古地磁気・化石等の検討が多数行われている.ここでは,喜撰川沿いの露頭のうち火山灰層が観察できる地点と柱状図(岸,1992)を示す.なお,火山灰層の名称は吉川(1983)による.地点1では喜撰火山灰層の模式地での産状を観察できる良好な露頭が川の右岸および左岸側の山すそにみられる.地点2(琵琶湖自然史研究会,1986のLoc.3)ではバイオタイトI火山灰層が認められ,その直上および直下の塊状シルトから,花粉・珪藻・大型植物・原生動物・海綿動物・軟体動物・昆虫および魚類化石等の産出が報告されている(琵琶湖自然史研究会,1986;岸, 1992;小寺,1985;Matsuoka,1983).地点3ではバイオタイトII火山灰層,地点4では栗原I火山灰層および地点5では栗原II火山灰層が観察できる.Hayashida et al. (1976,1978)はこのルートの古地磁気層序を検討し,バイオタイトI火山灰層(林田論文のバイオタイト火山灰層)の約10m上位の層準にブリュンヌ正磁極期と松山逆磁極期の境界があることを明らかにしている.境界付近の試料は矢印の地点から採取されたが,現在,この付近は護岸工事が施されており,試料採取は不可能である.また,岸(1992)はこのルート沿いにみられるシルトのほぼ全層準から花粉化石を検出し,前・中期更新世の気候はおよそ5~8万年周期で寒暖を繰り返しており,その変動曲線と深海底コアの酸素同位体比にもとづく気候変動が対応可能であり,その結果,このルートの堅田累層は酸素同位体比ステージの15~24(Williams et al.,1988)に対比されるとしている.

文献:琵琶湖自然史研究会(1986),林(1974),Hayashida et al.(1976,1978),岸(1992),小寺(1985),Matsuoka(1983),吉川(1983),Williams et al.(1988)

喜撰川沿いの5露頭と古地磁気境界試料地点の位置図
原著 266ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『堅田』(京都及大阪2号-1);喜撰川;栗原;和迩タケラ;地点1~5(■);矢印;62;150;180.

English translation

1:25,000 Katata (Kyoto and Osaka sheet 2-1); Kisen River; Kurihara; Wani-Takera (和迩タケラ); sites 1–5 (solid squares); arrow; 62; 150; 180.

判読上の注記

極小の地図文字 — 一部判読不明。

喜撰・バイオタイトI・II・栗原I・II火山灰を含む下部堅田累層の柱状図
原著 266ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

上から:栗原II火山灰層;栗原I火山灰層;バイオタイトII火山灰層;バイオタイトI火山灰層;喜撰火山灰層.凡例:シルト,砂,火山灰.尺度0~30m.岸(1992)にもとづく.

English translation

Top to bottom: Kurihara II ash; Kurihara I ash; Biotite II ash; Biotite I ash; Kisen ash. Legend: silt; sand; volcanic ash. Scale 0–30 m. Based on 岸 (1992).

KK-3 紀伊山地中部の斜面堆積物中に挟まれる広域テフラ-姶良Tnテフラ,鬼界アカホヤテフラー

吉永秀一郎

西南日本外帯における斜面堆積物の編年に関する資料は極めて少ない.本露頭は紀伊山地において緩斜面堆積物と段丘堆積物との関係,ならびに広域テフラの姶良Tn(AT),鬼界アカホヤ(K-Ah)の両テフラによって緩斜面堆積物の時代が把握できた数少ない露頭の一つである.富田川支流の中川沿いの桑畑では,現河床から約40mの高度に河岸段丘とそれを切って緩斜面が発達する.緩斜面を構成する堆積物は主として角礫混じりシルト層からなり,段丘堆積物を掘り込んで埋積している.緩斜面堆積物の層厚はおよそ5mで,中部には粘土層が,最上部には厚さ20cmのATが挟在する.ATの上位には角礫混じりの火山灰質のマトリックスに富んだ土層が約2m堆積しており,その上位には厚さ50cm程度の腐植層が発達する.腐植層の基底にはK-Ahが認められる.これらのことから,紀伊山地でも東北日本と同様に,最終氷期に緩斜面が形成され,後氷期にはその形成が終了したことがわかる.

文献:町田・新井(1978),吉永(1989)

中川沿い桑畑の斜面堆積物露頭位置図
原著 267ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『栗栖川』(田辺6号-3);桑畑;中川;東垣内;西高;温川;下地;167;328;273;352;214;矢印。

English translation

1:25,000 Kurisugawa (Tanabe sheet 6-3); Kuwahata; Nakagawa; 東垣内; 西高; Nukugawa (温川); 下地; 167; 328; 273; 352; 214; arrow. Unverified minor place-name readings are retained in Japanese.

AT・K-Ahを挟む斜面と段丘堆積物の断面図と露頭写真
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

断面:0,5,10m;K-Ah;AT.写真:AT(2ヶ所);段丘堆積物;基盤。

English translation

Section: 0, 5, 10 m; K-Ah; AT. Photograph: AT at two positions; terrace deposits; basement.

KK-4 兵庫県播磨灘沿岸に認められる高位海成段丘堆積物

八木浩司

本露頭は,兵庫県播磨灘沿岸地域に発達する高位海成段丘堆積物を観察できる,現在最も良好な露頭である.播磨灘沿岸地域には,最高位の海成段丘面である明美(めいみ)I面が,明石川右岸に沿う海抜100m以下の位置に断片的に発達する(八木,1983).本露頭は,明美I面を直接切り,下位より順にチャート・頁岩礫を主体とする層厚2m以上の礫層,約0.8mの淘汰の良い灰白色粗粒砂層,3.5~4m程度の暗灰色粘土層,および,まれに1cm以下の扁平円礫を含む厚さ1.5mの淘汰の良い砂層が認められる.暗灰色粘土層上部には,カニの巣穴と思われる生痕化石,およびイオウ粉の析出が認められる.最上部の砂層は,その頂面が明美I面を構成し,赤色が進みトラバンあるいはロースと呼ばれる表土層が発達する.地表部の砂層は,下位の暗灰色粘土層を連続的に覆うことから,これらの細粒堆積物は,明美面を構成する一連の海成~潮間帯の堆積物である.本堆積物中には,年代資料となりうるテフラは認められない.

文献:八木(1983)1996年6月撮影

神戸市岩岡町印路の高位海成段丘露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『東二見』(姫路4号-2);岩岡町;印路;神戸市;西区;103;91;88(2ヶ所);矢印。

English translation

1:25,000 Higashi-Futami (Himeji sheet 4-2); Iwaoka-machi; Inji (印路); Kobe City; Nishi Ward; 103; 91; 88 at two points; arrow.

明美I面下の礫・粗粒砂・海成粘土・砂を示す露頭写真
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

W;E;1m.上から:人工盛土;砂層;海成粘土層;粗粒砂層;明美累層(礫層).

English translation

W; E; 1 m. Top to bottom: artificial fill; sand; marine clay; coarse sand; Meimi Formation (gravel).

KK-5 兵庫県篠山盆地北縁の麓屑面-五坊谷の露頭における麓屑面構成層と姶良Tnテフラー

田中眞吾

この露頭は麓屑面研究の初期段階において,麓屑面構成層についての諸性状,すなわち,堆積構造,ファブリック,堆積機構,形成時代等を提示してくれた露頭である.本露頭は小さな麓屑面の末端部にあたるが,主要県道,丹南三和線の拡張工事により出現した.現在は麓屑面上は開削されて建造物があるが、崖そのものは残存し,自然植生によってカバーされている.本麓屑面構成層は,背後の山地からのチャートを主とする,径40~50cm大以下のボールダーからペブル級までの大小不揃いの角礫が,多少固結した状態で,無層理・無秩序に堆積している.地表下2~2.5m付近には地表形に平行した形で姶良Tnテフラ(AT)を厚さ20cm,長さ30m程度にわたってほぼ連続状態で観察できる.AT上下における角礫層の層相の変化はない.露頭の右端の谷部付近では,水磨を受けたペブル級の新しい礫層によってこれらの角礫層が薄く覆われている.

文献:田中ほか(1986)

五坊谷の麓屑面露頭位置図
原著 269ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『宮田』(京都及大阪14号-1);五坊谷;五坊池;坂本;248;557.2;350;450;矢印。

English translation

1:25,000 Miyata (Kyoto and Osaka sheet 14-1); Gobodani; Gobo Pond; Sakamoto; 248; 557.2; 350; 450; arrow.

ATを挟む麓屑面角礫層の露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

尺度m:0,2.1:角礫層;2:砂礫層;3:AT;4:崩土;5:植生.

English translation

Scale in m: 0, 2. 1: angular-gravel deposits; 2: sand and gravel; 3: AT; 4: collapsed material; 5: vegetation.

KK-6 兵庫県中央部,峰山高原,太田池の岩塊流-岩塊流の堆積断面と広域テフラー

田中眞吾・川崎輝雄

兵庫県中央部にひろがる高原上に見られる周氷河地形とその堆積物については,日本第四紀学会1987年大会の巡検地として案内し,その後に報告した(田中ほか,1988;田中・野村,1992).本露頭は1992年暮れの近畿地形研究グループの巡検の際に案内したもので,岩塊流堆積物の横断方向の堆積状況ならびに岩塊と姶良Tnテフラ(AT)との重なり状況を具体的に観察できる露頭である.小起伏を示す太田池の高原上,傾斜3度内外の斜面上を,径2~3m大以下の岩塊が幅100m内外,厚さ2m程度で群をなして続いている状態が観察できる.それらの岩塊群の直下にはATがあり,岩塊流の上部は鬼界アカホヤテフラがクロボク化した土壌によって覆われている.一方,岩塊流・ATの下には,この付近の高原上,通常に見られる,時に黄白色を呈する薄い小砂利層がある.その下は基盤となる.1990年の本露頭出現時に比べ岩塊の抜け落ちや崩土による被覆が進行している.

文献:田中・野村(1992),田中ほか(1988)1:クロボク,2:岩塊群,3:シルト,4:砂礫層,5:AT,6:崩土,7:植被,8:湧水.

太田池の岩塊流露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『長谷』(姫路6号-1);太田池;大河内;夜鷹山;1056.9;837;872;矢印。

English translation

1:25,000 Hase (姫路6号-1); Ota Pond; Okawachi; Yotakayama (夜鷹山); 1056.9; 837; 872; arrow.

約95mにわたる岩塊流横断露頭の連続スケッチ
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図中文字(日本語)

A,B;水平目盛0m,10,20,30,40,50,60,70,80,90;垂直0m,3;sp.1,sp.2,sp.3,sp.4;凡例1~8(説明は本文).

English translation

A, B; horizontal ticks 0 m, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90; vertical 0 m, 3; sp.1, sp.2, sp.3, sp.4; legend 1–8 (explained in the main text).

KK-7 淡路島野島断層のトレンチ発掘調査

渡辺満久・鈴木康弘

淡路島西縁の野島断層は第四紀後期にも活動している活断層であり(水野ほか,1990;活断層研究会,1991),1995年には兵庫県南部地震を引き起こし,顕著な地変が出現した(中田ほか,1995;太田ほか,1995;粟田ほか,1995;林ほか,1995).本断層のトレンチ調査は複数実施されているが,ここでは鈴木ほか(1996)にもとづき,1995年5月上旬に掘削されたトレンチ壁面の写真を示す.トレンチ調査地点は,地震時には地表面に約1mの右ずれ変位と0.5mの北西側上がりの上下変位が生じた地域であり,谷線も数100m右横ずれしている.トレンチ壁面のほぼ中央に今回活動した断層(F1)がある.中央左(南東)寄りに位置する断層(F2)はB層下部(BL層)を切っており,BL層は断層帯に引き込まれている.しかしその直上で,B層上部(BU層)はBL層を傾斜不整合で覆い,F2による断層変位を被っていない.したがって,F2の活動はBL層堆積期以降~BU層堆積期前であったと判断される.BU層・BL層の堆積年代(14C年代)は,それぞれ1,840yr B.P.,2,100yr B.P.であり,Eventの発生年代は概ねB.C.100~A.D.200であったと考えられる.なお他のトレンチ調査では,15~17世紀にも活動した可能性が指摘されている.

文献:粟田ほか(1995),活断層研究会(1991),水野ほか(1990)。中田ほか(1995),太田ほか(1995),林ほか(1995),鈴木ほか(1996)

淡路島梨本の野島断層トレンチ位置図
原著 271ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『仮屋』(徳島1号-2・4);梨本;里;野島墓浦;向道;小倉;野;104;3.5;矢印。

English translation

1:25,000 Kariya (Tokushima sheet 1-2/4); Nashimoto; Sato; Nojima-Hikinoura (野島墓浦); 向道; Ogura; 野; 104; 3.5; arrow. Minor unverified names retained in Japanese.

F1・F2とBU・BLの変形・不整合を示すトレンチ壁写真
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図中文字(日本語)

F1(上部と下部);F2;BU;BL.

English translation

F1 at upper and lower positions; F2; BU; BL.

野島断層F1とBU層の別壁面写真
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図中文字(日本語)

F1(写真中および下);BU.

English translation

F1 within and below photograph; BU.

KK-8 大阪府堺市,大和川南岸に露出した後期更新世の広域テフラ

-段丘堆積層と鬼界葛原テフラ,阿蘇4テフラ,姶良Tnテフラー小倉博之

本地点では,1991年1~3月頃の護岸工事の期間中,中位段丘層相当層中に鬼界葛原テフラ(K-Tz)と阿蘇4テフラ(Aso-4),その上位の低位段丘層相当層中に姶良Tnテフラ(AT)を観察することができた.近畿地方では初めて,K-Tz,Aso-4を同時に観察できる露頭であったが,工事後,護岸壁に覆われ消滅した.なお本地域において,吉川・樽野(1992),小倉ほか(1992)は,K-Tzに対比される火山灰を北花田火山灰,Aso-4を吾彦(あびこ)火山灰,ATを平安神宮火山灰と呼んでいる.大阪平野に分布する段丘堆積層は,旧期のものから高位・中位・低位段丘層に大別され,中位段丘層の模式層は上町(うえまち)層とされている(市原,1960).本地点は,大阪平野中央部で南北方向に発達する上町台地の南端に位置し,1704年に開削され西流する大和川が台地を横切る箇所にあたる.本地点の上町層下部は貝殻を含む砂質海成層,上町層上部は淡水成の砂・シルトの互層で構成され,このシルト層中にK-Tz,Aso-4が挟在する.K-Tzは淡桃色を呈し,層厚は40~20cmでやや散在している.K-Tzの上位1mに挟在するAso-4は,淡褐色~淡桃色で最大層厚5cmのレンズ状をなし,粒径5mm程度の軽石粒を含む.上町層(中位段丘層)を不整合に覆う低位段丘相当層は常磐(ときわ)層と命名されている(小倉ほか,1992).常磐層最上部の層厚50cmの褐色有機質シルト層中には,層厚5~10cmのATが挟在する.なお,吉川・樽野(1992)は,本地点の対岸(大和川北岸)でAso-4を,また南方約1kmの地下鉄工事現場でK-Tzを見出したと報告している.

文献:市原(1960),小倉ほか(1992),吉川・樽野(1992)1991年3月撮影

大和川南岸常磐町の露頭位置図
原著 272ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『大阪東南部』(和歌山5号-3);堺市;常磐町;大和川;大和川町;杉本町;浅香山駅;北花田町二丁目;9.5;8.9;矢印。

English translation

1:25,000 Osaka-Tonanbu (Wakayama sheet 5-3); Sakai City; Tokiwa-machi; Yamato River; Yamatogawa-machi; Sugimoto-machi; Asakayama Station; Kitahanada-machi 2-chome; 9.5; 8.9; arrow.

判読上の注記

多数の極小市街地文字 — 可読範囲を抽出、一部判読不明。

上町層・常磐層中のK-Tz・Aso-4・ATと年代を示す柱状図
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図中文字(日本語)

T.P.(m):0,5,10.地表面;常磐層;AT;23,400±370yr B.P.;不整合面;>44,100yr B.P.;上町層;Aso-4;K-Tz;材;腐植;海成砂層(貝殻を含む).1991年3月記載;小倉ほか(1992)より.

English translation

T.P. (m): 0, 5, 10. Ground surface; Tokiwa Formation; AT; 23,400±370 yr B.P.; unconformity; >44,100 yr B.P.; Uemachi Formation; Aso-4; K-Tz; wood; humic material; marine sand (containing shells). Described March 1991; after 小倉 et al. (1992).

護岸工事中のK-Tz・Aso-4・AT露頭の全景
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図中文字(日本語)

NW;NE;SE;K-Tz;Aso-4;AT.

English translation

NW; NE; SE; K-Tz; Aso-4; AT.

KK-9 大阪,泉北丘陵の光明池の大阪層群上部

橋本定樹

大阪府和泉市から堺市に広がる泉北丘陵には,未固結の礫・砂・シルト・粘土層からなる大阪層群が分布している.大阪層群は近畿地方を代表する鮮新~更新統であり,鍵層となる約50層の火山灰層が挟まれているほか,その上半部にはMa-1,Ma0,Ma1,…,Ma10と呼ばれる12層の海成粘土層が挟まれている(市原,1993).泉北丘陵では,泉北高速鉄道の延長,阪和自動車道の整備に伴い,商都大阪のベッドタウンとして大規模な宅地開発工事が現在も進行しているため,新しい露頭が出来ては数ヶ月で消えていくという状況が続いている.その中で,和泉市の丘陵地の谷を主・副2つの堰堤で堰き止めて作られた光明池(昭和11年完成)は,大きな灌漑用貯水池の役目を果たしながら,その周囲には今も自然の林が残されている.この光明池では,6月から9月にかけて週に何回か堰を開けて田んぼに灌水するために,夏から冬の渇水時には池の周りの斜面や池の底は大阪層群の好露頭となる.観察できる層準は,大阪層群下部のMa1層から上部のMa8層の間で,ピンク・光明池・アズキ・八町池・サクラ・カスリという6層の火山灰層が挟まれている.これらの火山灰層の年代と古琵琶湖層群や東海層群との対比は,市原(1993)にまとめて整理してある.このうちピンク・アズキの両火山灰層は,それぞれ中部九州の耶馬渓火砕流・今市火砕流に対比されることから噴出源が推定された(檀原ほか,1992;鎌田ほか,1994).また,ピンク火山灰層は九州から約800km離れた新潟地域にも見つかり(富田ほか, 1994),アズキ火山灰層は上総層群にも見つかっている(町田ほか,1980)ことから,下部更新統の広域テフラと考えられている.図中の地点Aではシガゾウ(Mammuths shigensis)の臼歯が見つかった。なお,光明池の水位については観察前に和泉市役所(代表0725-41-1551)に問い合わせていただきたい.

文献:檀原ほか(1992),林(1979),市原(1993),市原ほか(1971),鎌田ほか(1994),町田ほか(1980),富田ほか(1994)

光明池の大阪層群分布・火山灰位置図とMa1~Ma8の柱状図
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図中文字(日本語)

泉北高速鉄道;光明池駅;城山台五丁目;職業訓練校;光明台一丁目;グランド(2ヶ所);体育館;断層;八町池;光明池;A;P駐車スペース;1~8はMa1層からMa8層;34°27′50″;0~500m.市原ほか(1971),林(1979)より作成.凡例:砂レキ層,砂層,シルト層,粘土層,海成粘土層,火山灰層.柱状(上から):Ma8層・カスリ火山灰層,Ma7層・サクラ火山灰層,Ma6層,Ma5層・八町池火山灰層,Ma4層,Ma3層・アズキ火山灰層,Ma2層,ピンク火山灰層,Ma1層.10m尺度(0,10m).地図上:サクラ,カスリ,アズキ,ピンク,文(学校記号).

English translation

Senboku Rapid Railway; Komyoike Station; Shiroyamadai 5-chome; vocational training school; Komyodai 1-chome; sports grounds at two locations; gymnasium; fault; Hatcho Pond; Komyo Pond; A; P, parking space; 1–8 denote Ma1–Ma8; 34°27′50″; 0–500 m. Compiled from 市原 et al. (1971) and 林 (1979). Legend: sand and gravel; sand; silt; clay; marine clay; volcanic ash. Column downward: Ma8 and Kasuri ash; Ma7 and Sakura ash; Ma6; Ma5 and Hatchoike ash; Ma4; Ma3 and Azuki ash; Ma2; Pink ash; Ma1. 10 m scale (0, 10 m). Map ash labels: Sakura, Kasuri, Azuki, Pink; 文 (school symbol).

KK-10 木津川河床遺跡の地震跡と1596年(慶長元年)伏見地震

奥村晃史

地下水位の高い沖積低地の未固結な堆積物に強い地震動を与えると地層の液状化が発生する.特に,液状化しやすい砂層を覆って粘土・シルト層や水田土壌が存在する場合,液状化した砂は,上位の地層を破って地表に噴出する.この際に形成される砂脈や噴砂,地層の変形について,地層と液状化現象の「切った(変形した)―覆われた」関係を解明することによって地震の発生時期を特定することができる.また,液状化の発生は地震動の強さに関連することから,液状化現象は自然の地震計の役割を果たす.震度を正確に推定することが困難でも,同時に発生した液状化の分布を明らかにすることによって,震源域と地震の規模を推定することが可能となる.寒川(1992)はこの手法を多くの考古遺跡に適用して南海トラフの地震時系列や内陸活断層の活動時期について貴重な情報をもたらした.寒川ほか(1987)にもとづいてここに紹介する木津川河床遺跡は,京都盆地南西部,桂川,宇治川,木津川の合流点の氾濫原に立地する大規模な低湿地遺跡で,厚い砂・砂礫層を覆って現地表から地下2~3mまで弥生時代以降の粘質土が堆積している.下部の砂・砂礫層から供給された噴砂は室町時代までの地層や溝の壁面を切って砂脈を作り,一部で地表に噴出している.そして江戸時代中期以降の地層や人工改変の跡がこの噴砂を覆い,あるいは削り取っている.この液状化を発生させた地震は1662年(寛文2年)近江地震か1596年(慶長元年)伏見地震と推定された(寒川ほか,1987).その後実施された遺跡調査やトレンチ発掘調査の結果からは,木津川河床遺跡の液状化は伏見地震の際に発生した可能性が高いとみられる.この伏見地震では有馬-高槻構造線,六甲断層系,淡路島東岸の一連の活断層が60km以上にわたって活動し,京都・大阪・神戸・淡路島に大きな被害をもたらした(寒川ほか.1996a,b).

文献:寒川(1992),寒川ほか(1987,1996a,b)1.江戸時代中期の溝跡に堆積した粘質土,2.南北朝期の溝跡に堆積した粘質土,3.粘質土,4.極細粒砂,5.泥,6.細粒砂,7.中粒砂,8.粗粒砂.液状化層―a:細粒砂,b:中粒砂,c:粗粒砂,d:砂礫.寒川ほか(1987)のFig.5.

木津川河床遺跡の位置図
原著 274ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『淀』(京都及大阪7号-2);木津川;八幡;浄化センター;8.8;5;20;■.

English translation

1:25,000 Yodo (Kyoto and Osaka sheet 7-2); Kizu River; Yawata; treatment center; 8.8; 5; 20; solid square.

判読上の注記

市街図極小文字 — 一部判読不明。

溝跡と堆積層を切る液状化砂脈の断面
原著 274ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

S;N;30cm.凡例1~8,a~d(全説明は本文).

English translation

S; N; 30 cm. Legend 1–8 and a–d (fully explained in the main text).

7.中国・四国地方

CG-1 鳥取砂丘における新旧の砂丘砂とテフラ層

赤木三郎

鳥取砂丘は日本の代表的な海岸砂丘の一つで,天然記念物に指定されている.その理由の一つは,大山のテフラ層を鍵層にして更新世の古砂丘と完新世の新砂丘に分けることができる点にある.砂丘砂の層位関係は内陸側の砂丘背後でよく観察できる.ここでは新旧砂丘と火山灰層との関係を示す大露頭(露頭A)と,隣接する湯山砂層の模式地である浜湯山の露頭(露頭B)を図示する.湯山砂層は,標高20m前後の平坦な段丘面をつくる層厚40m以上に達する均質な砂層で,最上部は厚さ1m弱の風化層で褐色ロームとローム質砂である(露頭BのF).この中から検出される380度前後のキュリー点を示す強磁性鉱物は阿蘇4テフラ(Aso-4)起源,510度のものは三瓶のSK起源のものと考えられている(岡田ほか,1993).その約1m下位に黄褐色中粒の風成砂が発達する.これがいわゆる古砂丘砂である.さらに下位にはチリメンジワ状に波打つ水平なラミナが5~15mmの間隔で顕著に発達した砂層が続く.この砂は中粒で淘汰がよく,砂粒の円磨度が大の「水つき風成砂層」である.湯山砂層の上の赤土化したローム層は大山倉吉テフラ(DKP;層厚150cm)と褐色ローム(層厚約100cm)である.露頭でははっきりしないが,その上に姶良Tnテフラ(AT)がのる.ローム層の表層はクロボク化し,新砂丘砂に覆われる.新砂丘砂は海側と大露頭のある西側で急に厚くなり,クロスナが発達することもある.

一方,露頭Aでは湯山砂層の水つき風成砂と風成砂の間に不連続が見られ,DKPがすべっているのが観察できる.

文献:赤木(1972,1991),新潟古砂丘グループ(1967),岡田ほか(1993),山陰第四紀研究グループ(1969),豊島(1975)*露頭A:鳥取砂丘南麓の大露頭.Dn.新砂丘(腐植質の葉層発達);Lm.火山灰層(DKP,AT);Yu.湯山砂層(水つき砂層と風成砂);Ba.基盤岩(風化した第三系).*露頭B:鳥取砂丘・浜湯山における大露頭.A.新砂丘砂;B.腐植土;C.褐色ローム;D.大山倉吉テフラ(DKP);E.青灰色粘土;F.暗褐色粘土;G.黄褐色古砂丘砂;H.水平ラミナの発達する黄褐色水つき砂層(湯山砂層).

浜湯山の露頭A・B位置図
原著 276ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『鳥取北部』(鳥取15号-2);2.5万分の1『浦富』(鳥取11号-4);A,B;浜湯山;中湯山;湯山;福部村;西田農業協同組合;砂丘;109.7;84;4.8;10.7.

English translation

1:25,000 Tottori-Hokubu (Tottori sheet 15-2); 1:25,000 Uradome (Tottori sheet 11-4); A, B; Hamayuyama; Nakayuyama; Yuyama; Fukube Village; Nishida agricultural cooperative; dunes; 109.7; 84; 4.8; 10.7.

露頭Aの新砂丘・火山灰・湯山砂層・基盤断面
原著 276ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

W,E;(A);Dn,Lm,Yu,Ba.説明は本文キャプション.

English translation

W, E; (A); Dn, Lm, Yu, Ba. Explanations are in the main-text caption.

露頭Bの新砂丘から水つき砂層までの8区分断面
原著 276ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

NW,SE;(B);A,B,C,D,E,F,G,H;尺度0,1,2,3m.各層説明は本文キャプション.

English translation

NW, SE; (B); A, B, C, D, E, F, G, H; scale 0, 1, 2, 3 m. Unit descriptions are in the main-text caption.

CG-2 鳥取地震時に活動した鹿野断層に沿う断層露頭

赤木三郎

1943年9月10日,鳥取市野坂を震央にしたM7.2の鳥取地震が起こった.鹿野断層,吉岡断層はこのときに活動した.鹿野断層は東西約8km,西部では北側が南側に対して最大75cm,全般的には10~35cm沈下し,東方へ最大150cm,全般的には60cm以下の右横ずれ水平移動をした(津屋,1944).本露頭は鹿野断層の西部,一般県道304号妙徳寺鹿野線の赤坂峠に見られるもので,津屋(1944)が描いた断層線上に位置することから,鳥取地震時に再活動した可能性のあるものである.本露頭の地質は古第三紀の吉岡花崗岩を基盤に鮮新統の三朝層群に属する白兎礫層の亜角礫が不整合に覆っている.礫は風化しているが巨礫からなり基底礫岩と考えられる.これらを切る2本の正断層が発達しており,その走向傾斜はN80°E,80°Nである.露頭に向かって断層の左側約1 mの花崗岩中にもN65°~72°E,70°Nの断層が走り幅2cmの断層粘土をはさんでいる.白兎礫層との不整合付近では並行する4本の小断層が認められる.なお,白兎礫層の分布と地形から考えて,赤坂峠付近に別な断層が考えられる.この露頭から約4km西の鹿野町末用法楽寺付近(地点1,3)では,鳥取地震で食い違いの生じた用水路が現在も見られ,同地の丘主氏宅の屋敷の礎石が地震で転位したままに残されており,水平変位量は46~56cm程である.また,地点2や双六原ではトレンチ発掘調査が行われ活断層の活動間隔が検討されている(岡田ほか,1981).本露頭は鹿野町法楽寺付近から気高町双六原に向う線上に位置し,断層面の走向等も一致することから,鳥取地震によって動いた可能性がある.

文献:黒川(1983),西田ほか(1991,1993),岡田ほか(1981),豊島(1993),津屋(1944)一般県道妙徳寺鹿野線,赤坂峠に見られる断層露頭.西田・黒川・赤木(1993).

鹿野断層位置図と白兎礫層・花崗岩を切る断層の全景・詳細スケッチ
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図中文字(日本語)

N;断層(2ヶ所);3m尺度.詳細:基底礫岩;白兎礫層;吉岡花崗岩;N65~72E,70N;N80E,80N;N75E,85N;0,1,2,3m.地図:5万分の1『鳥取南部』(鳥取16号);鹿野;末用;法楽寺;洞谷;広木;小川;水谷;家原;1,2,3;2276(印字の小数点判読不明);32.7;143.3;矢印。

English translation

N; fault at two positions; 3 m scale. Detail: basal conglomerate; Hakuto gravel; Yoshioka Granite; N65–72E, 70N; N80E, 80N; N75E, 85N; 0, 1, 2, 3 m. Map: 1:50,000 Tottori-Nanbu (Tottori sheet 16); Shikano; Sueyo; Horakuji; 洞谷; Hiroki; Ogawa; Mizutani; 家原; 1, 2, 3; 2276 (decimal point illegible); 32.7; 143.3; arrow. Unverified minor place-name readings retained in Japanese.

判読上の注記

極小地図数字2276 — 小数点の位置を確定できない。

CG-3 鳥取県尾田断層の延長線上に露出した活断層

赤木三郎・佐治孝弌

尾田断層は北谷川南の台地面(天神野)を切り,尾田から福本に伸びる北北西~南南東のリニアメントを形成している直線的な断層で,天神野の台地面では断層を境に約10m西側が相対的に隆起し,水系に不連続がみられる.断層の延長上,高城山東麓の台地でも福本と上米積の間に同様の傾向がみられる.露頭は福本から台地にさしかかるところに位置し,南北100m連続する.従来,尾田断層は確実度I,活動度Cとされながら,現地での地質調査で断層露頭は確認されていなかった.本露頭は段丘堆積物とそれを覆う大山テフラ,崖錘で構成される.段丘堆積物は下から,砂礫層(>200cm),腐植質粘土(20~30cm),白色火山灰質粘土(15cm),粗粒砂と粘土の互層(80cm),白色火山灰質粘土(10cm)である.これらを覆うのは大山テフラで,大山生竹テフラ(DNP)は道路の西側斜面下部にのみ見られるが東斜面では見られない.大山倉吉テフラ(DKP)は厚いところで4m以上,姶良Tnテフラ(AT)は厚さ20cm以下であり,両者とも乱されている.尾田断層に交叉する走向N80°W,傾斜北落ちの小断層が多数見られる.小断層にそってテフラ層の下位の砂~粘土に液状化の跡が見られる.液状化は断層に沿って上昇するものが多く,最大幅10cmでテフラ層の軽石やローム中に砂脈状に貫入している.下盤が平坦であるのに対して,上盤が柱状に細く伸びて尖滅していることなどから,断層活動時の液状化現象の痕跡と判断した.液状化が地表に達しているものは見られない.ATまでが断層で切られていることから,断層運動と噴砂の発生はAT堆積後であると判断した.

文献:橋本ほか(1980),活断層研究会(1981),西田ほか(1993),鳥取県(1989)

尾田断層と福本露頭A・Bの位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『関金宿』(松江4号-4);尾田断層;福本;光丘;明見;東;A,B;79.6;46;矢印。

English translation

1:25,000 Sekigane-Shuku (Matsue sheet 4-4); Oda fault; Fukumoto; 光丘; Myoken (明見); Higashi; A, B; 79.6; 46; arrow. Unverified names retained in Japanese.

DKP・ATの変形と砂脈を示す南北2露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

(A)N,S;露頭(A);DKP(2ヶ所);尺度0,2m.(B)N,S;露頭(B);AT(2ヶ所);DKP(2ヶ所);尺度0,2m.

English translation

(A) N, S; exposure (A); DKP at two positions; scale 0, 2 m. (B) N, S; exposure (B); AT at two positions; DKP at two positions; scale 0, 2 m.

CG-4 大山火山東麓に分布する大山最下部テフラ群

岡田昭明

大山火山は更新世前期~中期の古期大山と,中期~後期の新期大山からなる複成火山である.新期大山の活動により噴出したテフラは,まとめて大山火山灰層とよばれる(赤木,1973).とくに山体から東側の地域には降下テフラが厚く堆積しており,これらは斜交関係の発達する特定の層準を境に上部・中部・下部・最下部の4部層に区分されている(山陰第四紀研究グループ,1969).このうち,最下部火山灰層は更新世後期初頭以前の噴出物と考えられ,大山の北~北東麓,東麓,南東麓で観察できる.本露頭は鳥取県中部倉吉市の南西部にあり,大山の主峰である弥山のほぼ真東約17kmに位置する.大山東麓の最下部火山灰層の全層準を観察できる数少ない露頭の一つである(佐治ほか,1975).ここでは,古期大山の火砕流を主とする溝口凝灰角礫岩層(Mz)を覆って,最下部テフラ層を構成する10枚の軽石層(下位からapm,cpm,dpm1,dpm2,fpm1~3,gpm,hpm1~2)と5枚の火山砂層(bvs1~2,dvs,evs,fvs)が累重する(岡田ほか,1990).これらの間にはさまる風化火山灰土(ローム)層は赤色化しており,この点がより新しい部層との見かけ上の違いである.露頭最上部には,大山生竹軽石(DNP)が軽微な斜交関係をみせて覆っている.hpm1とhpm2は,町田・新井(1979)でそれぞれ大山松江軽石(DMP),大山蒜山原軽石(DHP)に対比されたものであるが,強磁性鉱物のキュリー点測定結果から,hpm1とDMPとは別のテフラであるとされた(岡田,1983).また,hpm2と蒜山原におけるDHPとは,重鉱物組成・キュリー点ともに一致せず,これらも別のテフラである可能性が強い.

文献:赤木(1973),町田・新井(1979),岡田(1983),岡田ほか(1990),佐治ほか(1975),山陰第四紀研究グループ(1969)

大河内の大山最下部テフラ露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『泰久寺』(松江8号-2);長谷;大河内;217;矢印。

English translation

1:25,000 Taikyuji (Matsue sheet 8-2); Nagatani (長谷); Okawachi; 217; arrow.

最下部大山テフラ15層とDNP・Mzの露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

SW←,→NE;尺度0,5,10m.下から:Mz,apm,bvs1,bvs2,cpm,dpm1,dvs,dpm2,evs,fpm1,fvs,fpm2,fpm3,gpm,hpm1,hpm2,DNP.

English translation

SW left, NE right; scale 0, 5, 10 m. Upward: Mz, apm, bvs1, bvs2, cpm, dpm1, dvs, dpm2, evs, fpm1, fvs, fpm2, fpm3, gpm, hpm1, hpm2, DNP.

CG-5 出雲砂丘と後期更新世テフラ

岡田昭明

島根県簸川(ひかわ)郡大社町から出雲市を経て簸川郡湖陵町にかけての海岸に沿い,出雲砂丘が分布する.南北約12km,東西約2kmのひろがりをもち,内陸側には出雲平野や神西湖の低地がみられる.砂丘をつくる風成砂は,最終間氷期の堆積物である差海層とよばれる砂礫層をおおって発達している(三位・藤井,1972).砂丘砂中には大山や三瓶山起源のテフラがはさまれていて,砂丘の形成史を知るうえでの貴重な存在となっている.以下に,大西・松井(1980)によるスケッチと記載を記す.本露頭は出雲砂丘の中部にあり,砂丘頂部(標高約40m)からやや突出した妙見山(56.9m)のすぐ西側に位置する.露頭全体に風成砂が発達しており,その中位にやや傾斜して古志原軽石(三位,1962)がみられる.風成砂はこの軽石層を境に,下位の古砂丘と上位の新砂丘に分けられる.古砂丘中には古志原軽石と大きく斜交して上乃木軽石(三位,1962)がはさまれ,これより下位が古砂丘I(川向砂層),上位が古砂丘II(石谷砂層)である.一方,新砂丘中にはクロスナ層がみられ,下位の新砂丘I(妙見砂層)と上位の新砂丘II(浜山砂層)とを分けている.このほか,古志原軽石の直上には今市火山灰とよばれる火山灰薄層がみられる.今市火山灰は三瓶火山の小屋原火山灰層(松井・井上,1971)に対比される可能性がある.古志原軽石は,松井・井上(1971)の木次軽石(K3)あるいは町田・新井(1992)の三瓶木次軽石(SK)に,上乃木軽石は町田・新井(1979)の大山松江軽石(DMP)にそれぞれ相当する.

文献:三位(1962),松井・井上(1971),三位・藤井(1972),大西(1979),町田・新井(1979),大西・松井(1980),町田・新井(1992)A:古砂丘砂I;B:上乃木軽石;C:古砂丘砂II;D1:古志原軽石;D2:今市火山灰;D3:火山灰質泥;E:新砂丘砂,ただしE6はクロスナ層.A2・C2・C4・E2・E4は泥まじり砂,C4は赤色化した砂.大西・松井(1980).

妙見山西方の砂丘層序断面と露頭位置図
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図中文字(日本語)

地図:2.5万分の1『大社』(大社8号-2・4);外園町;西園町;長浜;妙見山;56.9;35;矢印.断面ラベル:A1~A4,B,C1~C4,D1~D3,E1~E7.水平・垂直尺度5m,原点0.各記号説明は本文.

English translation

Map: 1:25,000 Taisha (Taisha sheet 8-2/4); Sotozono-machi (外園町); Nishizono-machi; Nagahama; Myokenyama; 56.9; 35; arrow. Section labels: A1–A4, B, C1–C4, D1–D3, E1–E7. Horizontal and vertical scales 5 m, origin 0. Symbol explanations are in the main text.

CG-6 島根県大田市三瓶山南西麓の太平山テフラ-三瓶火山最新期の噴出物-

中山勝博・山内靖喜・澤田順弘・松井整司

本露頭は島根県三瓶山南西麓に位置し,三瓶火山の完新世の活動によって噴出した三瓶太平山テフラ(SOh)を良好に観察できる数少ない露頭である.本テフラの¹⁴C年代は3.6ka前後を示す.山体付近における本テフラは,アンチデューン構造の認められるベースサージ堆積物,火山灰層,ラピリ層など種々の粒度組成を持つユニットで構成され,全体として赤褐色を呈する降下テフラ、それに粗粒デイサイト質岩塊および細粒物質で構成された非溶結の火砕流堆積物からなる.降下テフラと火砕流堆積物はそれぞれ3(~5)層認められる.露頭では,第5期(松井・井上,1971)のベースサージ堆積物の上位に黒ボクをはさんで,SOhが重なっている.ここでの本テフラは下位から,層厚約8cmの桃色を呈した細粒降下テフラ(図中のpfa,以下同様),サグ構造(b)を伴う層厚約65cmのベースサージ堆積物(bs)と層厚約40cmの降下テフラ(pfa),層厚約55cmの火砕流堆積物(pfl;場所によって薄い降下テフラを挟む),層厚15cmの降下テフラ(pfa),層厚約90cmの火砕流堆積物(pfl)と重なる.本露頭は,噴火過程を観察できる貴重な露頭といえる.

文献:服部ほか(1983),松井・井上(1970,1971)1993年11月撮影

三瓶町志学緑ヶ丘のSOh露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『三瓶山西部』(浜田6号-2);片腕の松;角井;46;461;612;矢印。

English translation

1:25,000 Sanbesan-Seibu (Hamada sheet 6-2); Kataude-no-matsu (片腕の松); 角井 (reading unverified); 46; 461; 612; arrow.

判読上の注記

小数字・地名 — 一部は印字が小さく読み未確認。

降下・サージ・火砕流と弾道サグを示すSOh露頭写真
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図中文字(日本語)

ENE,WSW;SOh,3m.下からpfa,bs,pfa,b(サグ),pfl,pfa,pfl.

English translation

ENE, WSW; SOh, 3 m. Upward: pfa (fallout), bs (base surge), pfa, b (sag), pfl (pyroclastic flow), pfa, pfl.

CG-7 三瓶山東方地域における更新世後期テフラ

佐護浩一・町田洋

小型ながらカルデラと中央火口丘からなる三瓶火山は,爆発的な活動を後期更新世から完新世まで繰り返し,何枚ものテフラを噴出してきた火山である.そのテフラ群は分布域が山地であるために保存がわるく,一箇所ですべてを観察できる場所は多くない.地点1,2の露頭は三瓶山の東方約20kmに位置する小盆地の丘陵地にあって,主要な更新世後期の三瓶山テフラを, 九州起源の広域テフラ姶良Tnテフラ(AT)や阿蘇4テフラ(Aso-4)との関係で観察することができる場所である(図1~3).地点1において厚さ1m内外の3枚の降下軽石層は下位から三瓶木次テフラ(SK),三瓶雲南テフラ(SUn),三瓶池田テフラ(SI)である.いずれも黒雲母流紋岩質のテフラで大規模な爆発的噴火の産物である.このうちSUnはマグマ水蒸気噴火による降下火山灰と軽石の互層で,火山の北側地域では大田火砕流堆積物を伴うと考えられている.他の2層,SKとSIは大きなプリニアン噴火によってもたらされた降下軽石で,SKの方がより珪長質で,黒雲母と石英を多量に含むのに対して,SIは黒雲母のほか角閃石を含む.分布軸はSKが東北東であるのに対して,SIのそれは東南東である.いずれも数百km離れた遠隔地でも認めることができ,遠隔地のSKについては,WS-12,CB-28などの露頭項目で紹介された.一方SIは琵琶湖や伊豆半島蛇石大池などのコアに出現するとともに,静岡県愛鷹山麓において含黒雲母グリース状火山灰と記載されたもの(愛鷹ローム団研グループ,1969)ときわめて類似し,おそらく同一層と思われる(佐護・町田,1996).このテフラは南関東の武蔵野ローム層上部を占めるので, SIの噴出年代は約40kaのころであろう.地点1でSKのすぐ上位の火山灰土に介在する赤褐色のパッチ状火山灰はAso-4である.またSUnの50cm下位にレンズ状に介在する三瓶山起源の降下軽石層(三瓶吉田テフラ;SYP)がある.SIの上位のテフラは地点2で観察できる.そこでは図2の柱状図のように,SIの上にATと三瓶浮布テフラ(SUP)がのる. SUPはSKやSIに比べるとやや苦鉄質で黄褐色の降下軽石で,酸素同位体ステージ2の指標テフラである.これもかなり遠方の四国東部や近畿地方南部でも認めることができる.地点3は三瓶山の南東方向に位置し(図4),SIが厚層をなす(図5).その最下部には飯南火山灰(I1)と呼ばれた白色火山灰のユニットがある.このように,三瓶山は後期更新世の指標テフラの少ない中国-近畿地方に有力なテフラを供給してきた火山である.

文献:愛鷹ローム団研グループ(1969),松井・井上(1971),三浦・林(1991),町田・新井(1992),佐護・町田(1996)

三瓶東方の地点1・2の位置図
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図中文字(日本語)

図1:2.5万分の1『出雲吉田』(浜田2号-3);1,2;吉田町;445;453;400;矢印。

English translation

Fig. 1: 1:25,000 Izumo-Yoshida (Hamada sheet 2-3); 1, 2; Yoshida-machi; 445; 453; 400; arrow.

SK・Aso-4・SYP・SUn・SI・AT・SUPの地点1・2柱状図
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図中文字(日本語)

図2;尺度0,1,2m.地点1(下から):SK,Aso-4,SYP,SUn,SI.地点2(下から):Sun,SI,AT,SUP.

English translation

Fig. 2; scale 0, 1, 2 m. Site 1 upward: SK, Aso-4, SYP, SUn, SI. Site 2 upward: Sun, SI, AT, SUP. The original site-2 capitalization “Sun” is retained.

CG-7(続き)

図3.図4.図5.

地点1のSK~SIテフラ露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

図3;SI,SUn,SYP,Aso-4;10m.

English translation

Fig. 3; SI, SUn, SYP, Aso-4; 10 m.

三瓶南東の地点3位置図
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図中文字(日本語)

図4;2.5万分の1『野萱』(浜田6号-2);3;福田;古市;下赤名;中通;462.4;454;483.2;矢印。

English translation

Fig. 4; 1:25,000 Nogaya (野萱; Hamada sheet 6-2); 3; Fukuda; Furuichi; Shimo-Akana; Nakadori; 462.4; 454; 483.2; arrow.

地点3の厚いSIとその下位SUn・SK露頭写真
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図中文字(日本語)

図5;SI;I2;I1;SUn;SK;矢印。

English translation

Fig. 5; SI; I2; I1; SUn; SK; arrows.

CG-8 島根県江津市都野津に分布する鮮新世~更新世前期の都野津層

水野篤行

都野津層は山陰日本海沿岸の丘陵地域に散在し,古期基盤岩類上にあって,島の星層により不整合でおおわれている。ガウス・ギルバート両磁極期境界付近(約3.6Ma)~コブマウンテン亜磁極期直後(約1.1Ma)の約250万年間の砕屑性堆積層(層厚90~100m)であり(草加ほか,1994),江津市地域では,江の川下流西側の都野津~江津地区と東側の浅利~黒松地区に分布している.両地区を通じて全体的には河成の堆積物が優勢であるが,その間に少なくとも6層の"海成粘土層"(大半は汽水性潟湖堆積物)が挟まれている.これらは,比較的よく連続し,古くからM1,M2,M3,M4と呼ばれ,最近M2.5とM3.5が追加されている(水野ほか,1994a).火山性物質に乏しいが,比較的顕著な薄いテフラがM1とM2の間に2枚あり,下位からZT1a,ZT1bと命名されている(宇野,1994).上位の島の星層と室神山層を含めたこの地域の層序の概要を図4に示す.ここに示す露頭は都野津層の模式露頭で,都野津町都野津の丸八窯業株式会社の敷地北縁にあって延長約200m,高さ約30m,1996年5月現在,露頭面の風化と崩壊が顕著.図3はこの露頭の全景を示す.露頭左部の深く掘り下げられた部分は1995年の工事により造られた.図2はその途中で現れた崖で,図3の手前側のステップの延長の端にあたり,掘込みに面している(1996年5月現在消失).都野津層基底は凹凸に富む基盤上にアバットしている.図3で,地点a付近の右側(東側)では花崗閃緑岩の基盤の上にM2の下位約5mの層準の河川性の砂岩が重なるが,左側(西側)では基底面が下がって,さらにその下位の層が発達している(基底は不明,図3左部).ここでは掘りこみの底から約1.5mの高さに,層位からZT1aと考えられる白色の火山灰薄層が不連続的に発達している(図2,地点d;図3の露頭面では未確認).ZT1bは欠けている.

図2

図3

都野津層模式露頭の位置図
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図中文字(日本語)

図1;2.5万分の1『都野津』(浜田15号-1);都野津;都野津町;丸八窯業所;42;56;52;60;矢印。

English translation

Fig. 1; 1:25,000 Tsunozu (Hamada sheet 15-1); Tsunozu; Tsunozu-machi; Maruhachi pottery works; 42; 56; 52; 60; arrow.

1995年掘削時のM2~M3・ZT1aの露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

図2;b;d;N←,→S;M3,M2.5,M2;有機質;30m;ZT1aの層準;掘り込みの底;ZT1a.1995年9月スケッチ;1996年5月現在N-S部分なし.

English translation

Fig. 2; b; d; N left, S right; M3, M2.5, M2; organic-rich; 30 m; ZT1a horizon; excavation floor; ZT1a. Sketched September 1995; N–S portion absent in May 1996.

都野津模式露頭のM2~M3と基盤を示す全景スケッチ
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図中文字(日本語)

図3;W←,→E;SW←,→NE;a,b,c;M3,M2.5,M2;基盤岩;30m;掘り込みの底.1996年5月スケッチ;風化・崩落著しいため地層発達状況は1995年9月のスケッチに基づく.

English translation

Fig. 3; W left, E right; SW left, NE right; a, b, c; M3, M2.5, M2; basement; 30 m; excavation floor. Sketched May 1996; because weathering and collapse were severe, the distribution of strata follows the September 1995 sketch.

CG-8(続き)

図5 本露頭で見られる都野津層は,ZT1aの直下の層準からM3の上位までの厚さ約30mの部分で,潟成のM2,M2.5,M3(泥岩,一部著しく有機質)と,それらの上下の河成の堆積物である.後者は,M3以下では泥質堆積物に富むが,その上位では比較的規模の大きい低角斜交層理をもつ礫混じりの粗粒砂岩(8m厚,地点cでその上位の河成泥岩とともに見られる)が主である.泥質岩を対象として,残留磁気測定(井岡ほか,1990),花粉分析(Onishi,1969;岩内ほか,1993;高山・水野,1995,1996),珪藻分析(松坂,1989;水野ほか,1994a),イオウ分析(水野ほか,1994b)がなされ,岩相や他の諸露頭でのデータも合わせて各層準の古地磁気極性と古環境変遷の様子が明らかにされている(図5),要点は次のとおり.(1)古地磁気年代に関しては(都野津層では他の年代データは皆無),M2はガウス正磁極期最後期, M2.5はレユニオン亜磁極期直後,M3はオルドバイ亜磁極期.(2)M2,M2.5,M3は温暖な気候下での潟湖内の堆積物である. (3)M3直下までの泥岩を主とする河成堆積物は河川最下流域の湿地成で,M3上位の厚い砂岩は,M3直後の海退後の河川の前進に伴った,河川下流域の砂州の堆積物と考えられる.これらは冷涼気候下で形成された.(4)海進・海退,すなわち河川域から潟湖域へ,またその逆の堆積場の変遷は古気候変遷と密接に対応しており,海水準変動の結果を反映していると考えられる. M2下位,とくにM1と基底部は都野津南西方の二宮町神主で, M3上位は北東方の江津市街地の丘陵北縁部の諸所で見られる.とくにM4直下の大きな浸食構造(水野ほか,1994a,p.44,第10図)は,M3上位に関する層序学的課題であり,また都野津層の堆積史に関する大きな課題の一つである.

文献:Cande and Kent(1992),調枝(1970),井岡ほか(1990),岩内ほか(1993),松坂(1989),水野・武智(1993),水野ほか(1994a,1994b),Onishi(1969),大西(1988),大西・調枝(1970),山陰第四紀研究グループ(1969),草加ほか(1994),高山・水野(1995,1996),宇野(1978,1994)古地磁気年代尺度はCande and Kent(1992)による.岩相柱状図の左側の丸印は残留磁気測定結果;黒丸は正帯磁,白丸は逆帯磁,小さな印は他露頭での測定結果.右側の矢印は何れも北向きの古流向を示す.(イオウ分析)Mは海~汽水性,Fは淡水性(花粉分析)Wは温暖,Cは冷涼.なお,M2.5から汽水性の珪藻化石が報告されている(松坂,1989)図4

都野津層・島の星層・室神山層の地域層序
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

図4.上から:室神山層(20m);島の星層(50m);都野津層(90~100m):M4,M3.5,M3,M2.5,M2,ZT1b,ZT1a,M1;基盤岩.

English translation

Fig. 4. Downward: Murokamiyama Formation (20 m); Shimanohoshi Formation (50 m); Tsunozu Formation (90–100 m): M4, M3.5, M3, M2.5, M2, ZT1b, ZT1a, M1; basement.

都野津層の古地磁気・岩相・古環境対比図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

古地磁気尺度:0,1,2,3,4Ma;0.78,2.60,3.55;BRUNH,Jaramill,Cobb Mount,MATUY,Olduv,Reun,GAUSS,Kaena,Mamm,GILB.岩相粒度記号M′,S′,G.標高方向の厚さ目盛0,10,20,30m.M3,M2.5,M2,ZT1a.環境記号M,F,W,C;?;北向き矢印(3本);●,○.図例の意味は主本文。

English translation

Paleomagnetic scale: 0, 1, 2, 3, 4 Ma; 0.78, 2.60, 3.55; original abbreviated labels BRUNH, Jaramill, Cobb Mount, MATUY, Olduv, Reun, GAUSS, Kaena, Mamm, GILB. Lithologic grain-size symbols M′, S′, G. Thickness ticks 0, 10, 20, 30 m. M3, M2.5, M2, ZT1a. Environmental symbols M, F, W, C; question mark; three northward arrows; filled and open circles. Legend meanings are in the main text.

CG-9 広島県西条層の更新世中期テフラ群(黒瀬盆地箕越)

水野篤行

西条層は中部更新統で,東広島市から黒瀬町にかけて北東から南東へ、北部西条盆地・南部西条盆地・黒瀬盆地に分かれて分布している. 全層厚50m前後で,後2者の盆地では,河成の周期的堆積相を示す砂とシルトを主として礫と亜炭を伴い,中部から上部にかけて少なくとも7層のテフラを挾んでいる(図3;東元ほか,1985;水野(篤)・平川,1993).本露頭は,黒瀬盆地の箕越で県道334号線東側,木原工業(株)黒瀬工場用地東縁にあって西面する延長約80m,高さ約13mの大露頭である.西条層のほぼ中部に位置する,灰白色火山灰の岡郷(おかごう)テフラ(約30cm厚,FT年代0.57Ma;東元ほか,1985)が,その南端部で基部から約6mの高い位置に見られるが,植被のための細かい網で覆われているので,露頭の北端部を除き詳細な観察ができない.また,北端部(図5;左端部の建物の左(北側)では露頭の基部に近いところに白色の楢原テフラ(0.79Ma;東元ほか,1985),または今田(いまだ)テフラが見られる.岡郷テフラは,図2,4の中で,矢印(A)付近から南側の露頭中部の犬走直下に存在し,周期性堆積相の砂とシルトの互層中に挟まれている.しかしAの北側では,その層準上下に亜炭層(厚さ約2m)が発達するとともにテフラが消失している.露頭北端部では岡郷テフラは見られないが,下位のテフラと,岡郷テフラとその上位全体の層序・堆積相(砂とシルトの周期性堆積相)をよく観察できる.本露頭は,最初に東元ほか(1985)によってその北端部の上半部のみが記載され,次いで水野(篤)・平川(1993)により,崖の北部(改変前)が記載された(図4).今回新たに1996年2月に,その後南北に拡げられた露頭を記載した.諸資料を合わせると,岡郷テフラは図2の,露頭を斜めに横切る鎖線の西側のみにみられると推定される.岡郷テフラは黒瀬盆地と南部西条盆地を通じて広く分布する西条層中の顕著なテフラであり,諸処で観察されている(東元ほか,1985;水野(清)・南木(1986);水野(篤)・平川,1993).露頭位置図に示した,岡郷南方の地点C20(東元ほか, 1985,柱状図あり;前記FT年代測定試料採取地点)では,岡郷テフラ(約60cm厚)の特徴はよく見られるが(WS-23-2参照),露頭条件はあまり良くなく,その上下の詳しい層序と堆積相の観察には不向きである.東元ほか(1985)は岡郷テフラほかの西条層中のテフラについて詳しい性状と鉱物組成の記載を行っている.命名されている7枚のテフラ層のうち,最下位のものは楢原テフラと今田テフラで,この両者の層位的関係ははっきりしていない(図3).この両者を含め西条層中のテフラは厚さ10cm前後から数10cmである.一般に角閃石に富むが,岡郷テフラと最下位の市ヶ原テフラは,角閃石に著しく乏しく,それぞれ8.0~9.5%と1.0%である.東元ほか(1985)は,これらのうち岡郷テフラが比較的厚いテフラで広域テフラとしての重要性が高いと考え,そして,ガラスの形状,重鉱物組成,ガラス・斜方輝石の屈折率等の類似性から,同テフラを大阪層群中の栂テフラに対比し,FT年代値とも調和的であると指摘した.町田・新井(1992)は岡郷テフラを更新世中期広域テフラの一つである誓願寺栂テフラとして扱っている.

文献:東元ほか(1985),町田・新井(1992),水野(篤)・平川(1993),水野(清)・南木(1986)

箕越の西条層露頭位置図
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『安芸内海』(広島7号-1);宗近柳国;南方;岩谷;広島国際カントリークラブ;171.3;188;181;318;矢印。

English translation

1:25,000 Aki-Uchinoumi (広島7号-1); Munachika-Yanagikuni; Minamigata; Iwatani; Hiroshima Kokusai Country Club; 171.3; 188; 181; 318; arrow.

判読上の注記

細かい固有地名の読み — 未確認の固有名は日本語を併記。

CG-9(続き)

図2:箕越の露頭位置見取り図(歩測による)

図3:西条層の概略柱状図.テフラの層位的位置を示す.左側は黒瀬盆地,右側は南部西条盆地(東元ほか,1985による).

図4:A:岡郷火山灰.B:今田火山灰(または楢原火山灰?).C:泥炭.露頭の奥側で手前に面している部分は現在ほぼ残されている.岡郷火山灰が奥側に向かって突然亜炭層に置き換えられているのがよく判る.水野(篤)・平川(1993)の第7図Fの露頭であるが,奥側から右手前側にかけての露頭面はその後けずられて現在はなくなっている(露頭位置見取り図中で短い破線で当時の位置を示す).

図5:箕越の西面する露頭のスケッチ

箕越の露頭と岡郷火山灰分布の平面見取り図
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図中文字(日本語)

猿田川;県道334号線;写真撮影時の露頭面;A;岡郷火山灰分布域;0,50m;北矢印。

English translation

Sarutagawa; prefectural road 334; exposure face when photographed; A; Okago ash distribution area; 0, 50 m; north arrow.

岡郷火山灰A・下位火山灰B・泥炭Cの露頭写真
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図中文字(日本語)

A;B;C.

English translation

A; B; C.

西条層中の7テフラ位置を対比する2柱状図
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図中文字(日本語)

左柱(下から):楢原;岡郷;松谷;国近;保田;市ヶ原(火山灰層).右柱(下から):今田;岡郷(火山灰層).両柱:炭質層.尺度0,10m.

English translation

Left column upward: Narahara; Okago; Matsutani; Kunichika; Yasuda; Ichigahara (ash beds). Right column upward: Imada; Okago (ash beds). Both columns: carbonaceous beds. Scale 0, 10 m.

砂・シルト周期堆積物中の岡郷火山灰と亜炭層の露頭スケッチ
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図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

N,S;ステップ;亜炭層;岡郷火山灰;砂・シルト互層(周期的堆積物);A;建物のドア枠内の文字[判読不明].

English translation

N, S; step; lignite; Okago ash; alternating sand and silt (cyclic deposits); A; writing inside the building door frame [illegible].

判読上の注記

左下の建物内文字 — 小さく判読不明。

CG-10 岡山県蒜山原の更新世淡水成珪藻土層

岡田昭明

岡山県北部に,北を大山・蒜山火山群に,南を中国脊梁山地に囲まれて蒜山原が位置する.蒜山原は湖沼堆積物が分布する山間盆地で,その堆積物は蒜山原層とよばれる.全層厚約100mのうち,下半部は珪藻土層,上半部は砂礫層で構成され,砂礫層からトウヨウゾウの臼歯が産出したことから中部更新統とされている.内陸盆地の地史を知る上で、また,珪藻土が高品位の地下資源であることからも貴重な存在である.下部層の珪藻土が地表に露出することはほとんどないが,盆地東部の八束村花園には昭和化学工業株式会社の露天掘りによる珪藻土採掘場があり,そこで詳細な観察が可能である.ただし,採掘場であるため露頭は年々変化している.1996年現在操業中のピット(下図の西部ピット)では,側壁が3~4段に切られている.スケッチはピット南東部の西・南・東各側壁の最下段について北川・小室(1993)が記載したものである.なお,蒜山原団体研究グループ(1975a,b)による記載は,東部ピットの南側にあたる.珪藻土は未固結で指で押すとへこむほど軟らかく.暗色と単色の葉理を一対とするミリメートル単位の平行葉理が発達している.構成する珪藻化石はおもにStephanodiscus niagaraeやCyclotella comtaなどである.珪藻土は概ね水平に堆積しているが,局所的には褶曲・断層や砕屑岩脈が著しく発達する.北川・小室(1993)は構造解析により,このような変形を大山の火山活動に起因する地盤振動による液状化現象で説明した.

文献:蒜山原団体研究グループ(1975a,b),北川・小室(1993)

蒜山原花園の珪藻土採掘場位置図
原著 288ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『蒜山』(高梁5号-1);花園;花園奥;花園下;宮城;道目木;戸谷川;砂レキと犬;446;422;矢印。

English translation

1:25,000 Hiruzen (Takahashi sheet 5-1); Hanazono; Hanazono-Oku; Hanazono-Shimo; 宮城; 道目木; Toyagawa (戸谷川); map text “砂レキと犬” (sand/gravel and dog, as read); 446; 422; arrow.

判読上の注記

砂レキと犬 — 地図の小文字はそのように見えるが末字が不明確。

採掘ピット配置と珪藻土の3壁面変形スケッチ
原著 288ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

西部ピット;東部ピット;蒜山団研;R313;池(2ヶ所);工場;0~300m.詳細ピット図①②③,0~50m.壁面①S–N,②E–W,③N–S;0~20m尺度.凡例:細粒~極細粒砂;中粒砂;粗粒砂~細礫;砂質珪藻土;珪藻土ラミナ;礫;巨礫;崩土.各壁に多数の走向傾斜数字[微小印字は判読不明].

English translation

Western pit; eastern pit; Hiruzenbara joint research group; R313; two ponds; plant; 0–300 m. Detailed pit plan ①②③, 0–50 m. Wall ① S–N, ② E–W, ③ N–S; 0–20 m scale. Legend: fine to very fine sand; medium sand; coarse sand to fine gravel; sandy diatomite; diatomite laminae; gravel; boulders; collapsed material. Numerous strike/dip measurements occur on each wall [minute printing illegible].

判読上の注記

多数の走向傾斜の小数字 — 原PDFも同じ解像度で、確実な数字列を判読できない。

SK-1 徳島県の中央構造線沿いにみられる前期更新世の井出口(大久保谷)火山灰層

水野清秀

徳島県の中央構造線に沿って河成の鮮新~更新統が点々と分布している.これらの地層は土柱層とよばれ,その年代や堆積環境は中央構造線の活動史を明らかにするうえで重要となる.土柱層中には数枚のテフラが挟まれているが,そのひとつが本露頭にみられる井出口火山灰層(水野,1987)である.同じテフラを阿子島・須鑓(1989)は大久保谷火山灰層と呼んでいる.このテフラは厚さ30~80cm,ガラス質の火山灰層で,水野(1987),阿子島・須鑓(1989)に詳しい記載がある.古地磁気は正帯磁を示し,1.0±0.2Maのフィッション・トラック年代値が出されていて,ハラミヨ・イベントに相当する可能性が高い.対比される火山灰層が,香川県下に分布する河川~湖沼成層,三豊層群中に見つかっている(水野,1987).また本露頭の北部には,土柱層を切る断層がみられる.この断層近傍の礫には,水平方向の条線が認められることが多く,断層の横ずれ成分が卓越しているとみられる.

文献:阿子島・須鑓(1989),水野(1987),水野ほか(1993)水野ほか(1993)から引用.1991年4月撮影.

井出口火山灰露頭の位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『西赤谷』(徳島16号-1);井出口;谷口;西岡;勝命;北久保;山王;232;130.3;92;矢印。

English translation

1:25,000 Nishi-Akadani (徳島16号-1); Ideguchi; Taniguchi; Nishioka; 勝命; Kitakubo; Sanno; 232; 130.3; 92; arrow. Unverified local name retained in Japanese.

井出口火山灰層と北側の断層を示す露頭全景
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図中文字(日本語)

N;S;井出口(大久保谷)火山灰層;断層;50(道路標識).

English translation

N; S; Ideguchi (Okubodani) ash; fault; 50 (road sign).

SK-2 中央構造線岡村断層の最近の活動

奥村晃史

活断層としての中央構造線は紀伊半島中部から伊予灘南縁まで約400kmの延長をもつ日本の陸上で最も長大な活断層である(活断層研究会,1991;小川ほか,1992;水野ほか,1993,1994),愛媛県東部の中央構造線は三波川変成岩類と和泉層群の境界(石鎚断層)だけでなく,その1~2km北方にも活動的なトレースをもつ.そのひとつである岡村断層では1984年(岡田,1988;ここではトレンチ1と呼ぶ),1988年3月(堤ほか,1992;トレンチ2),1988年8月(山崎ほか, 1992;トレンチ3)の3回にわたって大規模なトレンチ発掘調査が実施された.これらのトレンチは鮮新統岡村層が構成する丘陵の北麓で,開析谷の作った扇状地を岡村断層が切る地点で掘削された.各トレンチの層序はほぼ共通しており10~20kaの腐植質砂泥互層,2~4kaのシルト・腐植土層を挟む砂礫層が累重する.トレンチ3では,鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)の濃集する層が認められたが,同層準に縄文時代後期前半の土器を含むため,3~4kaごろの再堆積と考えられた(山崎, 1988).トレンチ1,2では岡村断層が地表の耕作土を除くすべての地層を切っている.最新の断層活動はトレンチ1の断層帯にはさまれる土器の年代から5~7世紀以降と推定されている(堤ほか,1992).トレンチ3(図)では7世紀の須恵器を含む砂礫・シルト層が断層を覆っていることから,最新活動期は4~7世紀と推定された(山崎ほか,1992).過去3,000~4,000年の間には最新イベントを含む最大4回(岡田,1988)の活動が推定されている.

文献:活断層研究会(1991),水野ほか(1993,1994),小川ほか(1992),岡田(1988),堤ほか(1992),山崎ほか(1992)*岡村断層トレンチ3の平面図(左)とBトレンチ西壁面のスケッチ(下).[山崎ほか(1992)のFig.4,5.]*スケッチ中の黒矢印は不整合を示す.平面図と壁面スケッチの地層番号は一致している.

飯岡の岡村断層トレンチ位置図
原著 290ページ · クリックで原画像
図中文字と英訳を表示

図中文字(日本語)

2.5万分の1『西条』(高知13号-2);岡村;野田;舟内;水生院;新居浜;早川;1,2,3;37;39;55;57;矢印。

English translation

1:25,000 Saijo (Kochi sheet 13-2); Okamura; Noda; 舟内; 水生院; Niihama; Hayakawa; 1, 2, 3; 37; 39; 55; 57; arrow. Unverified minor names retained in Japanese.

岡村断層トレンチ3配置とB西壁の層序・断層・年代
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図中文字(日本語)

平面:A,B,C,D,E;I,II,IIIa,IIIb,IIIc;Fault;0,10,20,30,40m.壁面:B-W Section;S,N;水平1~9;縦1~4;II,IIIa,IIIb,IIIc;Fault;Unconformity.年代:GS-1 11,430±150;GS-2 11,480±150;GS-3 15,240±670;GS-4 15,350±270;GS-5 15,190±270;GS-6 16,090±280;GS-9 2030±80.凡例(原文英語):Artificial,Peat,Silt,Silty sand,Fine sand,Sand & Gravel.周囲の文献・説明断片は主本文。

English translation

Plan: A, B, C, D, E; I, II, IIIa, IIIb, IIIc; Fault; 0, 10, 20, 30, 40 m. Wall: B-W Section; S, N; horizontal 1–9; vertical 1–4; II, IIIa, IIIb, IIIc; Fault; Unconformity. Ages: GS-1 11,430±150; GS-2 11,480±150; GS-3 15,240±670; GS-4 15,350±270; GS-5 15,190±270; GS-6 16,090±280; GS-9 2030±80. Original English legend: Artificial, Peat, Silt, Silty sand, Fine sand, Sand & Gravel. Surrounding reference and explanatory fragments are retained in the main text.

SK-3 愛媛県伊予市に分布する鮮新~更新世,郡中層中のテフラ

水野清秀

郡中層は中央構造線活断層系に沿って分布する鮮新~更新統のひとつで,伊予市森の付近に分布している.郡中断層の影響で地層全体が急傾斜しており, その走向と斜交する海岸部では, 郡中層の下部から上部までの約300mの地層がほぼ連続的に観察される.高橋・鹿島(1985),松井ほか(1985),水野(1987)に柱状図が示されている.これらの地層中にはテフラ層が挟まれていて,水野(1987)はそれらの主要なものを下位よりT1~T8火山灰と命名し,詳しい記載をしている.1990年9月時点では,さらに上位に2枚のテフラ層が認められた.これらのテフラの露出状況は,海岸の浸食と礫の堆積等によって常に変化している.T1テフラは最も見つけやすいテフラで,厚さ最大70cm,ガラス質の火山灰からなり,松井ほか(1985)はGT1と呼び,1.9±0.7Maのフィッション・トラック年代値を報告している.その10mほど上位にあるT3テフラは厚さ40cmで,カミングトン閃石を多く含む.T5テフラから上位では,長石及び角閃石を主体とする結晶質テフラが多くなる.また本露頭からは植物化石が産出し,下部から第三紀型のイヌカラマツ.上部からは寒冷気候を示すヒメバラモミ等が採取されている(水野,1987).

文献:松井ほか(1985),水野(1987),高橋・鹿島(1985)全露頭のうち北側の部分.1991年1月撮影.

伊予市森付近の郡中層とT1~T6火山灰地質図
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図中文字(日本語)

伊予市森付近地質図;沖積層;郡中層;和泉層群;火山灰層;T1,T4,T5,T6;132°41′E;33°44′N;30,90,60,66,74,76,88,66,82;0~1km;北矢印。

English translation

Geological map near Mori, Iyo City; alluvium; Gunchu Formation; Izumi Group; ash beds; T1, T4, T5, T6; 132°41′E; 33°44′N; dip figures 30, 90, 60, 66, 74, 76, 88, 66, 82; 0–1 km; north arrow.

森南西海岸の露頭範囲位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『上灘』(松山6号-2・4);上山;103;矢印2本。

English translation

1:25,000 Kaminada (Matsuyama sheet 6-2/4); Kamiyama (上山); 103; two arrows.

急傾斜した郡中層の北側海食崖写真
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図中文字(日本語)

NE;SW;群中層(写真の原著ラベル).

English translation

NE; SW; 群中層 (the original photograph uses 群, unlike 郡 in the text; Gunchu Formation).

SK-4 高知県室戸岬面を構成する海成段丘堆積物

前杢英明

四国の南岸には更新世後期に形成されたと推定される海成段丘がよく発達している. しかしながら段丘地形が特によく発達する室戸半島では,厚い段丘堆積物(とりわけ海成層)が見られる露頭は少なく,海成段丘の大部分は薄いベニア状の堆積物を載せる程度か,もしくは基盤岩が露出した侵食面(波食棚~海食台)と考えられる.室戸半島の海成段丘形成史については,1946年の南海道地震発生以来,地震性地殻変動との関連の中で議論されてきたが(吉川ほか,1964など),段丘堆積物の年代を具体的に示す資料は報告されていない.一方,足摺岬方面の土佐湾南西岸に発達する中位海成段丘堆積物中には貝化石が含まれていることが報告されており,そのアミノ酸年代として138kaが得られている(満潮ほか,1989).また中位段丘堆積物の砂層中に鬼界葛原テフラ(K-Tz)が含まれていることも最近報告されている(太田・小田切,1994).

本露頭では室戸半島西海岸中部の安田川河口左岸に発達する室戸岬面I(吉川ほか,1964)を構成する海成堆積物が観察できる.大部分は扁平な小レキの円礫を含む粗砂~中砂層からなり,一部中レキの円礫層を挟在する.貝殻などの化石は発見されていないが,砂層を丹念に連続サンプリングすれば火山灰が発見される可能性はあると思われる.露頭の下部は鮮新~更新統の唐ノ浜層群穴内層と思われる.室戸半島では第四紀後期の海成段丘堆積物と基盤の鮮新~更新統の砂礫層とが区別しにくいことがある.

文献:太田・小田切(1994),満潮ほか(1989),吉川ほか(1964)1991年12月撮影

安田川河口左岸の海成段丘露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『安岐[字形不明確]』(高知4号-1);安田;安田川;不動;大野;田野町;81.7;3.5;2.5;57;75.9;9.3;矢印。

English translation

1:25,000 安岐 [sheet-title glyphs uncertain] (Kochi sheet 4-1); Yasuda; Yasudagawa; Fudo; Ono; Tano Town; 81.7; 3.5; 2.5; 57; 75.9; 9.3; arrow.

判読上の注記

図幅名「安岐」 — 原図字形が不明確。正確な図幅名称・読みは未確定。

室戸岬I面の海成砂礫柱状図と全景写真
原著 292ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

写真:NW,NE,SE;日付91.12.26.柱状:段丘面高度約70m;深度0,2,4,6,8m.下から:唐ノ浜層群穴内層(鮮新~更新統);巨礫層 平均径30cm;円礫層 最大径30cm,淘汰がよくラミナも発達;細砂のレンズ;円礫層 平均径20cm;円礫層 最大径30cm,淘汰がよくラミナも発達;細円礫混じりシルト;ラミナの発達した中砂;ラミナの発達した円礫混じり粗砂;淘汰のよい円礫混じり粗砂;円礫層 最大径2cm;礫混じり赤褐色土壌.

English translation

Photograph: NW, NE, SE; date 91.12.26. Column: terrace elevation approximately 70 m; depths 0, 2, 4, 6, 8 m. Upward: Ananai Formation, Tonohama Group (Pliocene–Pleistocene); boulder bed, mean diameter 30 cm; rounded gravel, maximum diameter 30 cm, well sorted with laminae; fine-sand lens; rounded gravel, mean diameter 20 cm; rounded gravel, maximum diameter 30 cm, well sorted with laminae; silt with fine rounded gravel; laminated medium sand; laminated coarse sand with rounded gravel; well-sorted coarse sand with rounded gravel; rounded gravel, maximum diameter 2 cm; reddish-brown gravelly soil.

8. 九州地方・南西諸島

KS-1 北九州の古砂丘とテフラ

下山正一

玄界灘に面した海崖をつくるこの露頭は,JR香椎線雁ノ巣駅の北約600mの,海の中道の付け根に位置している.玄界灘や響灘沿岸に面した北部九州の海岸は新砂丘及び古砂丘が良く発達している.これらの砂丘は数枚のユニットから成り,最終間氷期と完新世の海進期~海進期極盛期の外浜侵食を反映したバリアー性堆積物と風によるその二次堆積物である.部分的に「トラ縞」と呼ばれる砂丘砂特有の堆積構造が見られる.古砂丘砂層は成長休止期に広域風成塵が集積したため,各ユニット上部は茶褐色を呈している.このため新砂丘砂層とは色調で区別できる.本露頭は大部分古砂丘砂層からなり,最上部に厚さ1m程度の新砂丘砂層が載っている.古砂丘砂層の風成塵濃集部分に2枚のテフラ層が存在する.これらは下位が阿多テフラ(Ata)で,上位が阿蘇4火砕流堆積物(Aso-4)である(下山ほか,1989).2枚のテフラは数cmの厚さで,共に赤褐色を呈しているが,Aso-4は大きな角閃石結晶を含むので識別が容易である.これらの直下に古砂丘砂層の主部が存在することから,古砂丘の形成年代の中心は最終間氷期の約130kaからAso-4の80~90kaまでの間と判断される(唐木田ほか,1995).本露頭の南西側の露頭(図中の■)には古砂丘砂層と新砂丘砂層の境界付近に約20cmの厚さの火山性黒ボク土が発達し,雁ノ巣黒ボク土と呼ばれている.この黒ボク土の主体をなしている火山灰は鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)である(下山ほか,1989).

文献:唐木田ほか(1995),下山ほか(1989)

奈多・雁ノ巣付近の古砂丘露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『古賀』(福岡10号-2)。奈多、雁ノ巣、雁の巣一丁目、雁の巣二丁目。■、露頭矢印。34。

English translation

1:25,000 Koga sheet (Fukuoka sheet 10-2). Nata; Gannosu; Gannosu 1-chome and 2-chome. ■ and exposure-location arrow. 34.

古砂丘海崖写真とAta・Aso-4・K-Ahを示す砂丘層序
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図中文字(日本語)

写真:NE、SE、SW、Aso-4、Ata。柱状図(上から):新砂丘砂層、K-Ah、Aユニット、Aso-4、Bユニット、Ata、Cユニット、Dユニット。古砂丘砂層。目盛:0、5、10m。凡例:黄白色砂層、古土壌部分、黄色砂層。

English translation

Photograph: NE, SE, SW, Aso-4, Ata. Column, top downward: young dune sand; K-Ah; Unit A; Aso-4; Unit B; Ata; Unit C; Unit D. Old dune sand. Scale: 0, 5, 10m. Legend: yellowish-white sand; paleosol portions; yellow sand.

KS-2 北部九州の広域風成塵とテフラ

下山正一

玄界灘に突き出した海食崖であるこの露頭は,JR唐津線西唐津駅の北北西約10kmの景勝地である七ッ釜に位置している.東松浦半島では第三紀末の約3Maに噴出した玄武岩からなる溶岩台地が発達しており,北方にゆるく傾斜している.溶岩台地上には黄褐色細粒質土層がしばしば発達し,七ッ釜の露頭では約2mの厚さの細粒土層がある.細粒土は細粒石英とバーミキュライトを主成分としているので,玄武岩に由来した風化土壌そのものではない.石英の酸素および細粒質土のSr同位体比の測定の結果,この細粒土は島弧の岩石に由来するものではなく,アジア大陸の古い岩石に起源があることが証拠づけられた(溝田ほか,1992).これらの同位体比の値は冬~春の季節に福岡で降る泥雨のものと一致した.また,台地の上には河川堆積物が供給されにくいので,この細粒土は台地の上に降下した広域風成塵堆積物(レス)とみられる.また,この細粒土層中に鬼界アカホヤテフラ(K-Ah),姶良Tnテフラ(AT)の降灰層準がある(溝田ほか,1992に柱状図).2つのテフラ層を含む層準の年代から推定される細粒土層の形成期間は現在までの約4万年間にすぎない.玄武岩噴出時期の約3Ma~40kaまでの大きな時間的空白があるが,今から4万年前より以前に広域風成塵が全く供給されなかったとは考えにくいので,この事実は多雨や裸地化等による土壌侵食が繰り返し起こったことを示唆している.

文献:溝田ほか(1992)1990年4月撮影

七ツ釜の海食崖露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『呼子』(唐津3号-2)。眼鏡岩、三吉島、福形石の七ツ釜、横野。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Yobuko sheet (Karatsu sheet 3-2). Megane-iwa; 三吉島; 福形石の七ツ釜; Yokono. Exposure arrow.

玄武岩風化殻上の風成塵土層とK-Ah・AT
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図中文字(日本語)

W、S、E。K-Ah、AT、玄武岩風化殻。90.4。1990年4月撮影。

English translation

W, S, E. K-Ah; AT; basalt weathering crust. 90.4. Photographed in April 1990.

KS-3 阿蘇4火砕流と埋没林-巨大火砕流による植生破壊-

下山正一

筑紫平野の北縁部の台地と丘陵地の境界付近にあるこの露頭は,JR長崎本線中原駅の西北西約1.4kmに位置している.佐賀県教育委員会と上峰町教育委員会による発掘の結果,阿蘇4火砕流堆積物中に樹幹の直径約1mの巨木3本を含む多くの樹木化石と多数の樹根が発見された.樹木全体あるいは表面が焼け焦げ,炭化している.また太い樹木はことごとく根元で折られ,梢を西に向けていた.Aso-4テフラをはさんで,上下の地層の花粉分析結果から,Aso-4の上下はトウヒを主体とする冷温帯森林植生,直上からは森林破壊を示す二次植生が示唆された.本露頭の250m南東の,■地点には低位段丘崖が存在し,低位段丘面上には最大層厚2mの細粒土層が載っている.この細粒土は基盤に由来するものではなく,アジア大陸起源の風成塵堆積物つまりレスである.また,この細粒土層中に鬼界アカホヤテフラ(K-Ah),姶良Tnテフラ(AT)の降灰層準がある.第四紀学上重要な露頭群であるが,分析を行った低位段丘崖露頭は1995年12月現在,ビニールネットで覆われていて調査ができない.

文献:下山ほか(1994,1995)

堤の埋没林と低位段丘露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『中原』(福岡12号-2)。堤、坊原、高柳、原古賀、上地、中原。■、●、矢印。29、25、27、60。

English translation

1:25,000 Nakabaru sheet (Fukuoka sheet 12-2). Tsutsumi; 坊原; 高柳; Harakoga; 上地; Nakabaru. ■, ●, arrows. 29, 25, 27, 60.

阿蘇4埋没林・古土壌と三田川層・中原層の地質断面
原著 296ページ · クリックで原画像
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図中文字(日本語)

低位段丘面:原地形。古代・中世遺跡、縄文時代遺物、細石器、道路、水田、標高26m、炭化樹木片、調査用トレンチ、埋没樹木、グランドサージ、腐植質古土壌、青灰色古土壌、[判読不明]土層。三田川層:最上部(黄褐色細粒土)、K-Ah、AT、レス;主部(砂礫層)、砂礫、黒色シルト。阿蘇-4火砕流堆積物(Aso-4)。中原層:最上部(埋没森林土);主部(砂礫層)。花崗岩:最上部(古土壌:赤色土)。目盛0、5m。

English translation

Low-terrace surface: original topography. Ancient and medieval sites; Jomon-period artifacts; microblades; road; paddy field; elevation 26m; charcoal tree fragments; investigation trench; buried trees; ground surge; humic paleosol; bluish-gray paleosol; [illegible] soil layer. Mitagawa Formation: uppermost part (yellowish-brown fine-grained soil), K-Ah, AT, loess; main part (sand and gravel), sand and gravel, black silt. Aso-4 pyroclastic-flow deposit (Aso-4). Nakabaru Formation: uppermost part (buried forest soil); main part (sand and gravel). Granite: uppermost part (paleosol: red soil). Scale 0, 5m.

判読上の注記

断面図の「[判読不明]土層」 — 埋没林の右側の斜めラベルは原画像でも先頭字を確定できない。

KS-4 雲仙岳噴火と火砕流堆積物

山田スミコ・遠藤邦彦

1990年11月に始まった雲仙岳噴火は,溶岩ドームの崩壊に由来する火砕流の発生を特徴とする.1991年6月3日の火砕流など比較的規模の大きな火砕流から生じた火山灰は,有明海を越えた対岸から四国にまで到達し,多数の中小規模火砕流も島原半島に火山豆石を含む火山灰を降下させた.降下火山灰の総量は全噴出量(2億m³:国土地理院)の約10%にも及ぶ(遠藤ほか,1993).これらは平坦地や緩斜面に厚さ数cmで広く認められる(磯ほか,1996).渡辺・星住(1995)は新期雲仙火山を,野岳火山(阿蘇4テフラAso-4以後),妙見岳火山(姶良TnテフラAT前後),普賢岳・眉山火山(AT以後)に細分したが,雲仙では過去にも同様の噴火活動が繰り返された.地点A,Bでは普賢岳・眉山火山の火砕流堆積物が露出する.いずれも本質岩塊に富むblock and ash flowである.千本木地区は1993年6月23・24日に火砕サージと火砕流で襲われ,壊滅的な被害を被った.南千本木地区(地点1等)では主に火砕サージ堆積物が,北千本木地区(地点2,3等)では火砕流堆積物が地表を覆う(遠藤ほか,1996).地点Aは,中尾川の砂防堰堤工事によって出現したもので,露頭の下半は普賢岳火山形成初期の礫石原(くれいしばる)火砕流堆積物,鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)を含む土壌層を挟んで上位には4,330±80yr B.P.(GaK-18483)の¹⁴C年代を示す六ツ木(むつぎ)火砕流堆積物がのる(本書KS-5参照).水無川や赤松谷に沿っては,1991年5月以来の多数の火砕流堆積物及び土石流堆積物が分布するが,1991年6月3日,同6月8日,同9月15日の大火砕流による堆積物は,侵食により部分的に残されるに過ぎない.地点Bは赤松谷の自然露頭で,タバコ畑のビニールで覆われた黒色土壌層の下位は複数の火砕サージ・火砕流堆積物(水無川火砕流堆積物),ビニールの上位は1991年9月15日やその後の火砕流堆積物である.

文献:遠藤ほか(1993,1996),磯ほか(1996),小林・中田(1991),渡辺・星住(1995)

島原のA・B地点図と六ツ木・礫石原・水無川および1991年以後の火砕流写真
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図中文字(日本語)

地図2図:5万分の1『島原』(熊本12号)。A、B、1、2、3。宇土町、北千本木町、南千本木町、北上木場町、南上木場町、白谷町、北大野木場、南大野木場。85、30.3。写真A:六ツ木火砕流、礫石原火砕流。写真B:雲仙岳1991-火砕流、1990年以前の地表面、水無川火砕流・火砕サージ。切出し内の本文は本文欄に収録。

English translation

Two maps: 1:50,000 Shimabara sheet (Kumamoto sheet 12). A, B, 1, 2, 3. Uto-machi; Kita-Senbongi-machi; Minami-Senbongi-machi; Kita-Kamikoba-machi; Minami-Kamikoba-machi; Shiratani-machi; Kita-Onokoba; Minami-Onokoba. 85, 30.3. Photograph A: Mutsugi pyroclastic flow; Kureishibaru pyroclastic flow. Photograph B: Unzen 1991– pyroclastic flow; ground surface before 1990; Mizunashigawa pyroclastic flow and pyroclastic surge. Prose included in the crop is transcribed and translated in the body.

KS-5 新期雲仙火山に由来する火砕流堆積物と広域テフラ-雲仙火山北麓での層序-

星住英夫・渡辺一徳

約10万年前に活動を開始した新期雲仙火山は,普賢岳を中心とする安山岩~デイサイトの多数の溶岩ドームや溶岩流からなり,野岳,妙見岳,普賢岳,眉山の各火山体を次々と生成してきた.島原半島中部から東部の山麓では,新期雲仙火山に由来する火砕流堆積物,土石流堆積物や山体崩壊の産物である岩屑なだれ堆積物が緩斜面を構成している(渡辺・星住,1995).地点1及び地点2は雲仙火山北東の山麓部にあって,古期雲仙火山(約500~170ka)の溶岩や火砕岩からなる台地の上に位置し,新期雲仙火山起源の3枚の火砕流堆積物(block and ash flow deposit)と広域テフラとの関係が観察できる.地点2の最下部の阿蘇4T(Aso-4T)火砕流堆積物(鳥栖オレンジ軽石流)は,橙色の良く発泡した軽石を含む非溶結の火砕流堆積物で,約90kaに阿蘇カルデラから噴出した.一本松火砕流堆積物(Uz-Ip)は,暗青灰色の緻密な角閃石安山岩と淡黄色の発泡した角閃石デイサイトの2種類の本質物を持つ特徴的な火砕流堆積物で,地点3(有明町一本松南西)で厚く(約7m)模式的に露出する.Uz-Ipは姶良Tnテフラ(AT;24ka)よりも下位にあって,岩質の類似から妙見岳火山の主火山体(約25~30ka)に対比される.礫石原火砕流堆積物(Uz-Kr)は,径約2~30cmの角閃石デイサイトの緻密な本質岩塊をもち,基質は比較的細粒物に乏しい.堆積物は厚さ3m以下で薄く,島原市礫石原付近の扇状地面をはじめ広範囲に分布する.地点4(島原市西町)に厚さ2mで模式的に露出する.堆積物中の炭化木から13ka及び19kaの14C年代測定値が得られており(小林・中田,1991),岩質の類似から普賢岳起源の可能性がある.六ツ木火砕流堆積物(Uz-Mt)は,眉山七面山の北方に薄く(<3m)広がる細粒物に比較的乏しい火砕流堆積物である.径2~40cm程度の緻密な,ややガラス質の本質岩塊と同質の砂サイズの基質より構成される.地点5の砂防工事の際に現れた露頭でも鬼界アカホヤテフラ(K-Ah;6.3ka)を覆い,堆積物中の炭化木から4,220±110yr B.P.の¹⁴C年代測定値が得られている(星住・渡辺,準備中).堆積物の分布及び年代から起源は眉山とみられる.地点2では分布域の端に近いため黒色火山灰土中に散在して分布するのみである.より東方の地点6などでは,厚さ約3mで堆積物上面が高温酸化によりやや赤色化している.

文献:小林・中田(1991),渡辺・星住(1995)

宇土町西・立野町の雲仙火砕流と広域テフラ対比柱状図
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図中文字(日本語)

地点2:立野町、SB4201。地点1:宇土町西、SB4965。黒色火山灰土、褐色火山灰土、火山砂、細粒火山灰。Uz-Mt:六ツ木火砕流堆積物(4ka;土壌中に散在)。K-Ah火山灰(6.3ka)。Uz-Kr:礫石原火砕流堆積物(13-19ka)。A-Tn火山灰(24ka)(黒色土壌中に散在)。Uz-Ip:一本松火砕流堆積物。Aso-4T火砕流堆積物(90ka)。1m。

English translation

Site 2: Tateno-machi, SB4201. Site 1: Uto-machi west, SB4965. Black volcanic-ash soil; brown volcanic-ash soil; volcanic sand; fine volcanic ash. Uz-Mt: Mutsugi pyroclastic-flow deposit (4ka; scattered in soil). K-Ah ash (6.3ka). Uz-Kr: Kureishibaru pyroclastic-flow deposit (13–19ka). A-Tn ash (24ka; scattered in black soil). Uz-Ip: Ipponmatsu pyroclastic-flow deposit. Aso-4T pyroclastic-flow deposit (90ka). 1m.

雲仙北東麓の地点1~6の位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『島原』(熊本12号-1・3)。地点1、地点2、地点3、地点4、地点5、地点6。1km。油堀町、広高野町、立野町。250、300、97.2。

English translation

1:25,000 Shimabara sheet (Kumamoto sheets 12-1 and 12-3). Sites 1, 2, 3, 4, 5, 6. 1km. 油堀町; 広高野町; Tateno-machi. 250, 300, 97.2.

KS-6 九重火山起源の降下火砕物と広域テフラ

鎌田浩毅・星住英夫

九重火山は約150kaから活動を開始した活火山であり,主として溶岩ドームの形成とプリニアン降下軽石及び火砕流の噴出とを繰り返してきた.1995年10月には星生山(ほっしょうざん)の北東斜面で水蒸気爆発が起こり(星住ほか,1996), 1996年6月現在小規模な噴気活動が継続している.九重火山の噴火史に関しては,溶岩の流出に伴う降下火砕物の被覆関係を用いて,孤立した溶岩ドーム群の層序がたてられている(鎌田,1997),降下火砕物の年代は,上下を挟む黒色腐植土壌(黒ボク)の¹⁴C年代値により推定されている(鎌田・小林,1996).本露頭は九重火山の南麓に位置し,九重火山起源の複数の降下火砕物及び泥流堆積物と南九州起源の2枚の広域テフラが観察できる.肉眼で観察できる主要なテフラは下位から,九重D降下火山砂(Kj-D;35ka),九重第1降下軽石(Kj-P1;35ka;町田,1980),泥流堆積物,姶良Tnテフラ(AT;25ka),鬼界アカホヤテフラ(K-Ah;6.3ka),九重A1降下火山灰(Kj-A1;5ka)である.露頭は道路の両側にあり,西側で柱状図の上部,東側で柱状図の下部が観察できる.Kj-Dは青灰色の中粒火山砂と黄白色の細粒火山灰との互層からなる.その直上にあるKj-P1は普通角閃石デイサイト質のプリニアン降下軽石である.淡黄色~灰白色の粗粒の軽石(軽石の平均最大粒径は10cm)からなり,青灰色のオートリスを多量に含んでいる.全体が1つのfall unitからなるが,最下部の10cmは軽石の径がその上位と比べて小さく結晶片に富む特徴がある.泥流堆積物は九重起源の普通角閃石安山岩の亜角礫を主体としており,本露頭の南東方に模式的に分布する稲葉川泥流(小野ほか,1977)に対比される.ATは,この露頭では純層ではなく褐色土壌(赤ボク)中に径3mm以下の極めて発泡の良い白色軽石と細粒のガラスフレークとして散在している.淡橙色のK-Ahの上位には,黒色土壌をはさんで淡黄色のKj-A1が重なる.Kj-A1は九重火山の大船山付近を起源とし,K-Ahとほぼ同じ明瞭さで観察できる.このほかに,九重火山の東側ではKj-A1のさらに上位に橙色(~黒色)のスコリアからなる段原降下スコリア(4ka)が認められる.

文献:星住ほか(1996),鎌田(1997),鎌田・小林(1996),町田(1980),小野ほか(1977)

久住町境川の道路露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『久住』(大分10号-4)。加生島、境川、久住、川良登。585、618、548。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Kuju sheet (Oita sheet 10-4). 加生島; Sakaigawa; Kuju; 川良登. 585, 618, 548. Exposure arrow.

Kj-DからKj-A1までの九重南麓テフラ柱状図
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図中文字(日本語)

上から:Kj-A1、K-Ah、黒色土壌、褐色土壌、ATに富む褐色土壌、暗褐色土壌、泥流堆積物、Kj-P1、Kj-D。1m。

English translation

Top downward: Kj-A1; K-Ah; black soil; brown soil; AT-rich brown soil; dark-brown soil; mudflow deposit; Kj-P1; Kj-D. 1m.

KS-7 由布川火砕流堆積物-約60万年前に噴出した中部九州の大規模火砕流-

星住英夫・竹村恵二

由布川火砕流堆積物は,中部九州の東部に分布する黒雲母流紋岩質の大規模火砕流堆積物であり、主に大分川流域と別府湾の南西岸に分布する(小野,1963;星住ほか,1988).噴出年代は,上下の火山岩の年代値から約0.6Maと推定される(星住・鎌田,1991).またFT年代測定値として,0.60±0.10Maが得られている(竹村・檀原,1993).FT年代測定試料の採取地点は,本報告の地点3である.由布川火砕流堆積物は厚さが最大で200mに達し,現存体積が5km³,推定体積が20km³と見積もられる(Kamata,1989b).現在,由布川火砕流堆積物分布域の周辺には由布川火砕流以後の火山岩類が広がっており,給源の候補となるような火口地形やカルデラは見つかっていない.火砕流堆積物中の異質礫のサイズ測定や堆積物の上面高度,さらにブーゲー重量異常のデータから,由布川火砕流の噴出源は水口山付近あるいは由布院盆地付近で,より若い火山岩により埋積されていると推定される(星住・鎌田,1991).庄内町下櫟木(しもいちぎ)の大分川河床の地点1では,由布川火砕流堆積物基底部に厚さ2mの降下軽石層があって,薄い土壌を挟んで下位に神屋敷火砕流堆積物(星住ほか,1988)が分布する.神屋敷火砕流堆積物は,デューン構造を持つ火砕サージ堆積物と,無層理塊状の軽石流堆積物,及び結晶片とガラス片が分級し成層した再堆積物からなり,これらが数mごとに互層している.火砕サージ堆積物中には,大きさ2~8mm程度の火山豆石が含まれる(星住ほか,1988;p.46,第27図).地点1では,約10本の炭化木が由布川火砕流の降下軽石層及び火砕流堆積物中に見つかった(竹村・星住,1994).下位の神屋敷火砕流堆積物の上面に炭化した木の根があり,由布川火砕流の降下軽石層中や火砕流堆積物中に直立した炭化木がある(写真1).このほかに火砕流堆積物中には倒れた炭化木も認められる.また,炭化木の周囲は,火山灰基質が黒色に着色し,一部は細粒物に乏しいいわゆる「煙の化石」を形成している.これらの炭化木は庄内町の指定文化財となっている.由布川火砕流堆積物基底の降下軽石層は地点1では,河床面でNW-SE方向に延びて露出している.ただし降下軽石層は河川侵食に対して弱いため,1996年6月現在,削られて水没している部分が多い.対岸の地点2(挾間町春ノ段)では,河床部分に神屋敷火砕流堆積物があって,その上に由布川火砕流堆積物の降下軽石(厚さ2m)と火砕流堆積物本体(厚さ約13m)が重なる.降下軽石層は,火砕流本体の軽石よりもよく発泡した白色~淡橙色の軽石と少量の異質岩片からなる.地点2での軽石の最大3個の平均粒径は6cm,異質岩片の最大3個の平均粒径MLは2.3cmである.このほかに降下軽石層の露頭は,例えば,地点2から東へ約11kmの大分市南太平寺(2.5万分の1「大分」地域内)でも1m以上の厚さで認められる(吉岡ほか,1997).由布川火砕流堆積物の本体は風化侵食間隙なしに降下軽石層を覆う.地点1及び2での火砕流堆積物は,灰桃色~灰色の細粒ガラス火山灰基質中に軽石を含んでおり,全体に非溶結である.軽石は主に径1~4cmで淡桃色~白色を呈し,長孔状に細かく発泡する.軽石中には,大きさ2mm以下の斜長石と黒雲母及び緑色普通角閃石が含まれている.岩片として類質物と思われる灰色ガラス質流紋岩の角礫のほかに、輝石安山岩や角閃石安山岩などの異質礫を少量含んでいる。

下櫟木・春ノ段の由布川露頭地点1・2・5・6
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『小野屋』(大分9号-2)。1、2、5、6。下櫟木、春ノ段、神屋敷、篠原、中園、櫟木。108、103.7、253.4、168、172。

English translation

1:25,000 Onoya sheet (Oita sheet 9-2). 1, 2, 5, 6. Shimoichigi; Harunodan; Kamiyashiki; Shinohara; Nakazono; 櫟木. 108, 103.7, 253.4, 168, 172.

由布川峡谷の地点3・4位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『小野屋』(大分9号-2)。3、4。小平、由布、奥詰、内成、中畑。399.0、257、298、82.3。

English translation

1:25,000 Onoya sheet (Oita sheet 9-2). 3, 4. 小平; Yufu; 奥詰; Uchinari; Nakahata. 399.0, 257, 298, 82.3.

KS-7(続き)

由布川火砕流堆積物の大部分は弱~非溶結であり,河川が深く削り込み,由布川峡谷で代表されるような峡谷を作り出している.由布川峡谷は,深いところでは幅2~3mで深さ80mに達する部分もあり(吉川,1987),細く深く長い.挾間町小平の地点3(猿渡橋の下)及び挾間町平の地点4(谷川淵)では,階段や鎖を使って谷底へ降りることができる.地点3では,切り立った両側の崖に弱溶結の由布川火砕流堆積物が観察できる(写真2).堆積物は,一見無構造だがよく見ると弱く成層している部分も認められる.堆積物は細粒ガラス火山灰の基質と主に1~3cmの軽石からなり,全体に桃灰色を呈する.軽石は偏平化していないが,露頭に(特にここでは上部に)節理が入ることから,弱溶結と判断できる.地点4の方が谷が深く,同様な岩相が観察できるが,谷底及び谷底に降りる道は整備されており有料であった(1987年夏当時).

由布川火砕流堆積物の強溶結部は,大分川沿いの堆積物の基底に近いごく一部の地域でのみ確認される.挾間町春ノ段の地点5の露頭では,細かな約1cm以下の黒色ガラスレンズが配列するユータキシティック組織を示す.強溶結部は側方へは連続するが,上下方向へは数m以内で弱溶結部に漸移する.

由布川火砕流堆積物は大分川沿いの厚い地域では,上部の弱溶結部において脱ガラス化作用及び気相晶出作用が進んでいる.基質が硬化する一方で,軽石は脆くなり露頭面では抜け落ちて穴だらけの外観を呈する.挾間町中園のすぐ南西の小倉山(253.4m)へ登る道路沿いでは,このような気相晶出作用が進んだ岩相が観察できる(地点6)(星住ほか,1988; p.50,第32図).

文献:星住・鎌田(1991),星住ほか(1988),Kamata (1989b), 小野(1963), 竹村・檀原(1993),竹村・星住(1994),吉川(1987),吉岡ほか(1997)

由布川峡谷の弱溶結火砕流堆積物の両岸絶壁
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軽石を含む由布川堆積物中の炭化木断面
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KS-8 熊本県阿蘇青年の家付近の阿蘇火山中央火口丘テフラ

渡辺一徳・宮縁育夫

阿蘇カルデラ中央火口丘の活動は約90kaの阿蘇4(Aso-4)火砕流噴出直後から始まった(渡辺,1992;小野・渡辺1995).中央火口丘は見えるだけでも17個の独立した火山の集合体からなり,中岳のみが現在も噴火活動を継続している.周辺には少量の降下スコリア,降下軽石などを挟む降下火山灰からなる大量の火山砕屑物が堆積している.その概要は高田(1989)が報告したが最近約1万5千年間の詳細な噴火史が明らかにされつつある(渡辺,1992;小野ほか,1995).右の柱状図及び年代測定値は宮縁・渡辺(準備中)による.渡辺(1992)および小野ほか(1995)は,この露頭において埋没黒ボク土や風化土壌の存在が示す「火山活動の比較的静穏な時期または休止期」に着目して中岳の活動期を新しい方から順にN1期からN19期までに区分した.N19期以前の活動期の部分については更なる検討を要する.堆積物の大部分は中岳の灰噴火の産物である火山灰またはその風化物からなるローム層であるが,それらの間には,往生岳スコリア(OjS)がN4期に,杵島岳スコリア層(KsS)がN6期に,阿蘇中央火口丘第一軽石層(ACP-1)がN7期に,鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)がN13期にそれぞれ挟まれる.また,露頭最下部には,中岳起源と考えられる火砕流堆積物が露出する.この火砕流堆積物の本質岩塊は発泡の悪い玄武岩質スコリアであり,全体が高温による弱い赤色酸化を受けている.堆積物中に含まれる炭化木の14C年代は14,520±210yr B.P.を示す(渡辺,1992).柱状図の他の埋没黒ボク土の年代は最近得られた¹⁴C年代値である.N1期は,中岳の現在の活動に連続する活動期である.N2期には中岳の大規模なマグマ水蒸気爆発の堆積物が挟まれる(宮縁・渡辺,1996).N4期のOjS,N6期のKsSは噴出中心から20km以上東方まで分布する降下スコリア層であり,玄武岩の噴火としては規模の大きい準プリニー式噴火による堆積物である(中村・渡辺,1995).N7期の砂質ロームに挟まれるACP-1は,蛇ノ尾火山付近から噴出したもので,厚みをもつ単層としてではなく,径数cm以下の軽石粒がほぼ同一層準に点在する産状を示す.この軽石は噴出中心のごく近傍で10~100cmの層をなす以外は火山灰層中に散在するのみであるが,噴出中心から東へ30km以上追跡できるので,変化の乏しい阿蘇中央火口丘の噴出物の中ではよい鍵層の一つである(小野ほか,1995).

文献:宮縁・渡辺(1996),中村・渡辺(1995),小野・渡辺(1985),小野ほか(1995),高田(1989),渡辺(1992)

阿蘇青年の家露頭位置とN1~N19のテフラ・放射性炭素年代柱状図
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図中文字(日本語)

位置図:2.5万分の1『阿蘇山』(大分15号-4)。阿蘇青年の家、吹上、645、634、672、714、695、露頭矢印。 柱状図:活動期N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16、N17、N18、N19。主要テフラ:N2 c、OjS、KsS、ACP-1、K-Ah。目盛0、5、10、15、20、25m。 ¹⁴C年代値:990±60yr BP(Beta-87169);1,020±80yr BP(I-18131);1,600±60yr BP(Beta-87170);1,900±80yr BP(I-18132);2,580±60yr BP(Beta-91178);3,220±60yr BP(Beta-91179);3,780±70yr BP(Beta-91180);5,560±60yr BP(Beta-91181);ca. 6,300yr BP;14,520±210yr BP。 凡例:埋没黒ボク土、シルト質ローム、砂質ローム、火山砂、変質岩片に富むローム、スコリア、軽石、ガラス火山灰、土石流堆積物、火砕流堆積物。

English translation

Map: 1:25,000 Asosan sheet (Oita sheet 15-4). Aso Youth Center; Fukiage; 645, 634, 672, 714, 695; exposure arrow. Column: activity phases N1, N2, N3, N4, N5, N6, N7, N8, N9, N10, N11, N12, N13, N14, N15, N16, N17, N18, N19. Principal tephras: N2 c, OjS, KsS, ACP-1, K-Ah. Scale 0, 5, 10, 15, 20, 25m. ¹⁴C dates: 990±60yr BP (Beta-87169); 1,020±80yr BP (I-18131); 1,600±60yr BP (Beta-87170); 1,900±80yr BP (I-18132); 2,580±60yr BP (Beta-91178); 3,220±60yr BP (Beta-91179); 3,780±70yr BP (Beta-91180); 5,560±60yr BP (Beta-91181); ca. 6,300yr BP; 14,520±210yr BP. Legend: buried kuroboku soil; silty loam; sandy loam; volcanic sand; loam rich in altered rock fragments; scoria; pumice; glassy ash; debris-flow deposit; pyroclastic-flow deposit.

KS-9 宮崎平野の三財原面をおおう後期更新世テフラ

長岡信治

宮崎平野には,中期~後期更新世の段丘がよく発達している.この中の三財原(さんざいばる)面は,最終間氷期の海成段丘である(長岡,1986).露頭では三財原面(大塚,1930)を覆うテフラが観察できる(長岡,1986).下位より,三財原面を構成する砂層(三財原層;大塚,1930;遠藤ほか,1962;遠藤・鈴木,1986),土壌を介してこれを覆う阿多テフラ(Ata; 90~110ka),阿蘇4火砕流堆積物(Aso-4;70~90ka),姶良岩戸降下軽石(A-Iw),霧島イワオコシ降下軽石(Kr-Iw),霧島アワオコシ降下スコリア(Kr-Aw)である.いずれもかなり風化しているので,判別には岩石記載を用いる必要がある.ここでは,Aso-4とAtaの間に鬼界葛原テフラ(K-Tz)や姶良福山降下軽石(A-Fk)などの広域テフラが欠落している.露頭は徐々に植物に覆われつつある.この西側の土中周辺(■印)にも良好な露頭があるが, Ataが欠けていることが多い.

文献:遠藤・鈴木(1986),遠藤ほか(1962),長岡(1986),大塚(1930)

都於郡大安寺東側と西側の露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『佐土原』(延岡12号-2)。都於郡町、高屋、大安寺、土中、黒ノ貫。■、露頭矢印。96.8、100.9。

English translation

1:25,000 Sadowara sheet (Nobeoka sheet 12-2). Tonokori-machi; Takaya; Daianji; 土中; 黒ノ貫. ■, exposure arrow. 96.8, 100.9.

三財原層砂層とAta・Aso-4・霧島テフラの露頭スケッチ
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図中文字(日本語)

上から:Kr-Aw・Kr-Iw、A-Iw、Aso-4、Ata、三財原層(砂層)。1m。

English translation

Top downward: Kr-Aw and Kr-Iw; A-Iw; Aso-4; Ata; Sanzaibaru Formation (sand). 1m.

KS-10 加久藤カルデラ湖(加久藤盆地)に流入した阿多火砕流と入戸火砕流―火砕流の水中堆積と霧島火山の溶岩流による変形―

長岡信治

霧島火山北西部の飯盛山火山北麓の台地では,加久藤カルデラ内の湖に流入・堆積した池牟礼層(荒牧,1968)と京町層(伊田,1948;伊田・篠山,1951;伊田ほか,1956;荒牧,1968)が見られる.前者は阿多火砕流堆積物(Ata;90~110ka)に(渡辺,1985),後者は姶良入戸火砕流堆積物(A-Ito;22~25ka)にそれぞれ対比される(荒牧,1968),いずれも水中堆積で,南東方向から流下し,これらの上に載った霧島火山飯盛山溶岩流により変形を受けている(荒牧,1968).地形図上南東隅にある台地が南東方向から流下してきた溶岩流である.露頭周辺のしわ状の丘陵はこの溶岩流で押されてできた地形である.この露頭では,変形した池牟礼層と京町層が連続的に見られる.地層は北西ないし西方向へ数~10数度傾斜している.最下部に黄白色ガラス質火山灰の池牟礼層が5m以上の厚さで堆積している.その上位は厚さ10m以上のシルトと砂の互層からなる湖成層である.この互層は小断層を伴いながら波状に褶曲している.これを整合に覆う京町層は50m以上の厚さを持つ灰白色の軽石質火山灰からなり,上部にラミナを発達させる.池牟礼層は京町層と似た色調を持つが,軽石が少ないので区別できる.

文献:荒牧(1968),伊田(1948),伊田・篠山(1951),伊田ほか(1956),渡辺(1985)

浦桃ヶ迫北方の変形火砕流露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『加久藤』(八代4号-4)。浦。299、250、330。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Kakuto sheet (Yatsushiro sheet 4-4). Ura. 299, 250, 330. Exposure arrow.

変形した池牟礼層と湖成層・京町層の断面
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図中文字(日本語)

SE、S、SW。池牟礼層(Ata)、変形した湖成層、道路、京町層(A-Ito)。10m。

English translation

SE, S, SW. Ikemure Formation (Ata); deformed lacustrine strata; road; Kyomachi Formation (A-Ito). 10m.

KS-11 霧島山東麓にみられる霧島火山最近約7,000年間のテフラ

井村隆介

霧島火山東麓に位置する本露頭では,最近約7,000年間の霧島火山のテフラのほとんどすべてを観察できる.道幅の狭い道路の切り割りであるが,交通量が多いので注意が必要である.道路を下るにしたがって,表土/霧島新燃享保(Kr-SmK)//御鉢火山灰(OhA)//霧島御鉢延暦(Kr-OhE)//宮杉火山灰(MsA;井ノ上, 1988)//片添スコリア(KzS;井ノ上,1988)//霧島御池(Kr-M)//前山軽石(MyP;井ノ上,1988)//皇子スコリア(OjS;井ノ上, 1988)//望原火山灰(MhA;井ノ上,1988)//牛の脛火山灰上部(UsA-U;井ノ上,1988)/鬼界アカホヤ(K-Ah)/牛の脛火山灰下部(UsA-L;井ノ上,1988)の各テフラが見られる.これらのテフラの間にも名前のないテフラが何枚か見られる.これらのテフラのほとんどは,井ノ上(1988)が高千穂複合火山と呼んだ,霧島火山の南東部の火山群から噴出したものである.OhA, MsA, MhA,UsA-U・Lは発泡の悪い青灰色火山砂からなる.細かい成層構造が見られたり,あらゆる層準で植物遺体を含むことから,小規模なブルカノ式噴火の繰り返しによる堆積物と考えられている(井ノ上,1988).UsAはK-Ahによって上下に分けられるが,これはUsAの一連の活動中にK-Ahが短時間に降下したためである.そのため,霧島火山周辺のK-Ahはよく保存されていて厚い.UsAは古高千穂の山体との関係から,その山体成長の過程で放出されたテフラであることが明らかにされている(井ノ上,1988).Kr-Mは霧島火山完新世最大級のプリニー式噴火による噴出物で,火口周辺ではベースサージ堆積物が見られる(金子ほか, 1985).ここでは厚さが50cm足らずと薄いが,軽石と石質岩片の最大粒径はそれぞれ12cm、20cmである.厚さのわりに粒径が大きいのは,プリニー式噴火による堆積物の分布縁辺部の特徴である.

文献:井ノ上(1988),金子ほか(1985)

蒲牟田の道路切り割り露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『高千穂峰』(鹿児島1号-2)。蒲牟田、前野。223、228。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Takachihonomine sheet (Kagoshima sheet 1-2). Kamamuta; Maeno. 223, 228. Exposure arrow.

霧島新燃享保から牛の脛火山灰下部までの柱状図
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図中文字(日本語)

上から:Kr-SmK、OhA、Kr-OhE、MsA、KzS、Kr-M、MyP、OjS、MhA、UsA-U、K-Ah、UsA-L。目盛0、50cm。凡例:黒ボク土、褐色火山灰土、火山砂、軽石、スコリア、ガラス質火山灰。

English translation

Top downward: Kr-SmK, OhA, Kr-OhE, MsA, KzS, Kr-M, MyP, OjS, MhA, UsA-U, K-Ah, UsA-L. Scale 0, 50cm. Legend: kuroboku soil; brown volcanic-ash soil; volcanic sand; pumice; scoria; glassy ash.

KS-12 霧島火山夷守岳の岩屑なだれ堆積物とそれをおおうテフラ

井村隆介

この露頭は約35kaに現在の夷守岳(ひなもりだけ)付近で起こった山体崩壊によって生じた岩屑なだれにともなう流れ山を削ったもので,流れ山の内部構造とそれを覆う降下テフラが観察できる.流れ山をつくる岩屑なだれ堆積物は,大きな溶岩塊あるいは角礫とその間をみたす砂と泥からなる乱雑な堆積物であるが,堆積構造を残したままの降下軽石層や土壌のブロックが取り込まれていることもある.このdebris avalanche堆積物の上には夷守岳褐色スコリアI(HnrbS I;井村,1994)が直接載っており,流れ山の斜面下部では再堆積したものを見ることができる.HnrbS Iの約10cm上位には夷守岳褐色スコリアII(HnrbS II ;井村,1994)が見られ,さらに黒ボクを挟んで姶良大隅(A-Os)と薄い姶良入戸(A-Ito)が観察できる.A-Itoには不明瞭ながらラミナが見られること,流れ山周辺の谷部では厚いA-Itoが存在することから,この露頭で見られるA-Itoは火砕流本体が流れ山斜面に残したignimbrite veneer deposit (Walker et al.,1980)と考えられる.地表に近い黒ボクには中央部と下部に顕著な2枚のテフラが認められる.上位の橙色のテフラは鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)で,その直下には霧島古高千穂から噴出した青灰色の牛の脛(すね)火山灰下部(UsA-L;井ノ上,1988)が見られる.下位の橙色の層は霧島小林軽石(Kr-Kb)で,その下位約50cmの層準には,赤紫色の韓国岳スコリア(KrS;井村・小林,1987)が見られる.

文献:井村(1994),井村・小林(1987),井ノ上(1988),Walker et al. (1980)

小林市芹川の流れ山露頭位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『日向小林』(鹿児島1号-1)。309、313。東浦、南ケ口。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Hyuga-Kobayashi sheet (Kagoshima sheet 1-1). 309, 313. 東浦; 南ケ口. Exposure arrow.

夷守岳岩屑なだれの流れ山と覆うHnrbS II・A-Os・A-Ito・Kr-Kb・K-Ah
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図中文字(日本語)

N。K-Ah、Kr-Kb、A-Os・AIto、HnrbS II。Hinamori debris avalanche deposit。

English translation

N. K-Ah; Kr-Kb; A-Os・AIto; HnrbS II. Hinamori debris avalanche deposit.

KS-13 宮崎県綾町二反野に分布するテフラ-広域テフラと霧島火山起源のテフラー

井村隆介

宮崎平野南西端の高位段丘面(先茶臼原面)上に位置するこの露頭は,宮崎平野南部地域に分布する霧島火山起源のテフラと広域テフラの観察に適した露頭である.露頭の基部には加久藤火砕流(Kkt)本体の非溶結部(著しく風化)が見られる.露頭では崖の中央付近に2枚の白色細粒軽石層が目立つ.下位の角閃石を特徴的に含むテフラが姶良福山(A-Fk)で,上位の鮮やかな橙色で石英を含むテフラが姶良岩戸(A-Iw)である.A-Fkの下約50cmには鬼界葛原(K-Tz),さらにその下約60cmには阿多(Ata)が見られる.A-Fkの上位約40cmにはパッチ状に阿蘇4(Aso-4)が見られる.いずれも風化しているため正確な同定には岩石記載的特徴づけが必要である.これらの広域テフラの間には,綾軽石(長岡,1984)や二反野スコリアIII~V(井村,1994)などの霧島火山起源のテフラが認められるが,顕著で厚い(規模の大きい)テフラはない.これに対して,A-Iwのすぐ上位になると大浪池火口から噴出した霧島イワオコシ(Kr-Iw)や夷守岳から噴出した霧島アワオコシ(Kr-Aw)などの顕著な厚いテフラのほか,本町スコリアI・II(長岡,1984)などの霧島火山起源のテフラが薄いロームを挟んで多数見られる.この露頭の最上部には厚い黒ボクが発達しており,その中にオレンジ色の顕著なテフラが2枚見られる.下位のテフラは姶良Tnテフラで,下位から姶良大隅(A-Os)・姶良入戸(A-Ito)・姶良Tn(AT)の各層からなる,上位のテフラは鬼界アカホヤ(K-Ah)である.A-Osは層厚約10cmで粗粒砂サイズの軽石で構成される.これら黒ボク中の2枚の広域テフラ(ATとK-Ah)のほぼ中位に韓国岳から噴出した霧島小林軽石(Kr-Kb)が見られる.

文献:井村(1994),長岡(1984)

綾町二反野のテフラ露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『紙屋』(宮崎13号-1)。二反野。221、222.9。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Kamiya sheet (Miyazaki sheet 13-1). Nitanno. 221, 222.9. Exposure arrow.

二反野露頭のKkt・A-Fk・A-Iw・A-Os・A-Ito
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図中文字(日本語)

NE、S。A-Iw、Kkt、A-Os・AIto、A-Fk。

English translation

NE, S. A-Iw; Kkt; A-Os・AIto; A-Fk.

KS-14 姶良カルデラ北方地域の加久藤火砕流堆積物以降の火砕流層序

小林哲夫

火砕流堆積物は一般に10m以上の厚さがあるため,単一の露頭で全体を観察することはできない.そのため道沿いに観察できる3つのルートを紹介する.ルート1は国分から霧島神宮にぬける交通量の激しい国道である.沖積平野から坂道にさしかかった止上(とがみ)に阿多火砕流堆積物の露頭がある.暗灰色,弱溶結であり,わずかに柱状節理が認められる.その先は湖成堆積層が現われるが,標高100m付近の砂防ダムの側面に24.5kaの姶良カルデラ起源の大隅降下軽石から妻屋火砕流堆積物,さらに崖の上部に入戸火砕流堆積物が認められる.更に進んだ標高160m付近には強溶結した入戸火砕流堆積物の好露頭があり,台地の上部にでると10mをこす厚さの非溶結部の露頭がある.ルート2は岩戸から春山原の台地に登る細い道である. 100m付近より上位には2層の降下テフラを挟んで,大隅降下軽石が堆積しており,ルート1と似た堆積相が観察できる.しかしこのルートには溶結部は露出していない.ルートの下半部は岩戸火砕流堆積物であり,非溶結から弱溶結に変化する様子が観察できる.弱溶結部には柱状節理が発達している.ルート3の天降川に沿う道ぞい,および谷底には,強溶結の加久藤火砕流堆積物が露出している.東隣の霧島川ぞいにも分布している.

文献:荒牧(1969),池田ほか(1995)ルート1標高150m付近の入戸火砕流堆積物の強溶結部

姶良北方の火砕流観察ルート1~3
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図中文字(日本語)

5万分の1『国分』。ルート1、ルート2、ルート3。国分城、降川、花山、霧島川、春山原、牧神、武安、宇都、西光寺、熊重、下久保、妻屋、道場口、止上、平剣、山野、七社、新中、郷田、久保田、須川。237、220.8、215.8、160。太いルート線と露頭矢印。

English translation

1:50,000 Kokubu sheet. Routes 1, 2, 3. 国分城; Amorigawa; 花山; Kirishimagawa; Haruyamabaru; 牧神; 武安; 宇都; Saikoji; 熊重; Shimokubo; Tsumaya; 道場口; Togami; 平剣; Yamano; 七社; 新中; 郷田; Kubota; 須川. 237, 220.8, 215.8, 160. Heavy route lines and exposure arrows.

ルート1の強溶結入戸火砕流の柱状節理
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KS-15 桜島西岸袴腰台地を構成する更新世テフラ

森脇広

袴腰台地は桜島の噴火とは起源を異にする.1989年に壁面工事で台地西崖の頂面から基底までの大部分が出現した.現在その大部分は人工物で覆われているが,その一部を西側や南側の崖で見ることができる.ここは,従来,袴腰火砕流からなる未知の火砕流台地として扱われてきたが,複数の既知の火砕流堆積物によってできていることが明らかとなった(町田ほか, 1993).すなわち,現在の海岸から10m程の高さまでは,阿多カルデラ起源の中期更新世の鳥浜火砕流堆積物(Ata-Th)がある.この露頭でのAta-Thは最大粒径20cm程の粗粒軽石からなり,石英,角閃石,斜方輝石などの斑晶に富む火山灰がマトリックスを構成している.火砕流堆積物特有の淘汰の悪い堆積物で,水底堆積の層相は認められないので,当時の海面はこれより低かったと考えられる.このAta-Thは袴腰台地の基盤をなしている.この上位に円礫からなる砂礫層(最終間氷期の海成層)を挟んで,阿多火砕流堆積物が載っている.ここでの阿多火砕流堆積物は粗粒軽石の少ない極めて細粒の火山灰からなる.上部ほど細粒で,グレーディングが認められる.この上位には,姶良Tnテフラメンバーの亀割坂角礫層が阿多火砕流堆積物を切った谷を埋めるように堆積している.本質物質の極めて少ない角礫層で,この礫層をわずかに切って,妻屋火砕流堆積物と考えられる火山灰流がのる.そして,最上位に,桜島薩摩テフラ(Sz-S)の降下軽石とこれを覆うべースサージ堆積物がある.

文献:町田ほか(1993)

袴腰台地西崖の露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『鹿児島北部』(鹿児島7号-3)。袴腰、小池、横山町、国民宿舎、桜島火山観測所、養魚場、方荷。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Kagoshima-Hokubu sheet (Kagoshima sheet 7-3). Hakamagoshi; Koike; Yokoyama-machi; public lodging; Sakurajima Volcano Observatory; fish farm; 方荷. Exposure arrow.

袴腰台地の鳥浜火砕流から桜島薩摩テフラまでの柱状断面
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図中文字(日本語)

上から:桜島・薩摩テフラ、妻屋火砕流、亀割坂角礫層、阿多火砕流、海岸段丘礫層、鳥浜火砕流。目盛0、30m。

English translation

Top downward: Sakurajima-Satsuma tephra; Tsumaya pyroclastic flow; Kamewarizaka breccia; Ata pyroclastic flow; marine-terrace gravel; Torihama pyroclastic flow. Scale 0, 30m.

KS-16 大隅半島高峠に分布する後期更新世・完新世テフラ層-桜島火山起源のテフラー

森脇広

本露頭は桜島火山の南南東12kmのところにあり,桜島起源のテフラの多くを観察できる良好な露頭である.桜島東方の大隅半島北部には全部で15枚のテフラが分布するが(森脇,1994),この露頭では,姶良入戸火砕流堆積物の上に,そのうちの8枚を認めることができる.ここが桜島テフラ層序の一つの模式地となっており,上位から桜島高峠1(Sk-Tk1) ‥‥‥,桜島高峠6(Sk-Tk6)と呼ばれている(森脇,1994).中部の厚い2枚の軽石層が特に目につく.上位の淡褐色の降下軽石層がTk3である.下位のテフラが,桜島薩摩テフラ(Sz-S)で,5層以上のユニットからなり,その中にはマグマ水蒸気噴火による降下火山灰,ベースサージ堆積物を含む.Tk3の上位には,鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)がある.ガラス質の細粒火山灰からなり,他の粗粒の軽石を主体とする桜島起源のテフラとは層相が大きく違う.Sz-Sの下位のTk4もマグマ水蒸気噴火による降下火山灰で,火山豆石を含む固結した赤褐色の固結した火山灰層である.最上位のTk1は細粒火山灰に富む淘汰の悪い軽石層で,マグマ水蒸気噴火による産物である.桜島東麓の鍋山軽石丘を起源としていると考えられる.最下位のTk6は桜島最古のテフラで,その年代は約22kaである(奥野ほか,1996).赤褐色の降下軽石を主体とし,上部は青灰色岩片に富む降下軽石,下部に黒色のスコリア層がある.桜島テフラの詳しい分布・層序については森脇(1994),小林(1986)に載っている.

文献:福山・荒牧(1973),小林(1986),奥野ほか(1996),町田・新井(1992),森脇(1994)

垂水市堀切・高峠のテフラ露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『百引』(鹿児島3号-4)。堀切、矢野原。539、541、534。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Hyakuhiki sheet (Kagoshima sheet 3-4). Horikiri; Yanohara. 539, 541, 534. Exposure arrow.

高峠露頭のK-Ah・Tk3・Sz-S・Tk4・Tk6
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図中文字(日本語)

K-Ah、Tk3、Sz-S、Tk4、Tk6。

English translation

K-Ah, Tk3, Sz-S, Tk4, Tk6.

KS-17 大隅半島中部に見られる鬼界アカホヤテフラ噴火時の液状化跡

成尾英仁

本露頭は大隅半島中部の肝属川沿いにあり,シラス台地の断面に見られる.露頭で観察できるもっとも下位のテフラは,姶良Tnテフラ(約2.4ka)で,大隅降下軽石(A-Os)と入戸火砕流堆積物(A-Ito;シラス),および二次シラスと呼ばれるシラスの再堆積物からなる.ロームを挟んでその上に桜島起源の薩摩(Sz-S;約11ka),鬼界アカホヤ(K-Ah;約6.3ka),池田カルデラ起源の池田降下軽石(Ik;約5.5ka)などの各テフラが堆積する.A-Osは旧地形の高まりに沿った部分で見られ,一般にはシラスに覆われ見ることができない.シラスは厚さ10m以上あり,その上にシルト質砂,軽石質砂,軽石質礫などからなる二次シラス層が数mの厚さで堆積する.本露頭およびその周辺では,二次シラス層およびA-Osが液状化し,砂脈がローム層やSz-Sを貫きK-Ahに達している.平面では幅10~20cm,長さ5~10mにわたって軽石・小礫混じりの砂が噴出しているが,砂脈ののびる方向は一定しない.断面では噴砂がK-Ahの内部に達して火山灰と混在し,さらに火山灰に覆われるのが観察できる.また,場所によっては火山灰が,クサビ状に数10cm落ち込んでいるのが観察される.このような露頭での所見から,K-Ah噴火時に大地震が発生した可能性が大きい.液状化した噴砂は幸屋降下軽石層を貫き火山灰に覆われ,さらに火山灰と混じりあっていることから,液状化の発生は火山灰の降下開始すなわち大火砕流の噴出直後と推定される.付近一帯では開発が盛んで人工露頭がしばしば出現し(■など),この時期の液状化跡を多数観察できる.

文献:成尾ほか(1995)a:縄文時代早期層を貫く液状化跡(スケールは10cm)。b:大隅降下軽石を貫く液状化跡(スケールは20cm)。

原口岡遺跡と周辺液状化露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『大隅高山』(鹿児島4号-2)。井神島、境川、下名町、論地、岩崎、原口。■、露頭矢印。26、22、23、30.5。

English translation

1:25,000 Osumi-Koyama sheet (Kagoshima sheet 4-2). 井神島; Sakaigawa; Shimomyo-machi; 論地; Iwasaki; Haraguchi. ■, exposure arrow. 26, 22, 23, 30.5.

縄文早期層を貫く砂脈と噴砂の平面・断面
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大隅降下軽石を貫く液状化砂脈
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KS-18 薩摩半島北部のシラス台地を覆うマグマ水蒸気噴火による桜島薩摩テフラ

森脇広

薩摩半島北部の鹿児島市とその周辺地域は,桜島火山から西方にあるため,東方の大隅半島北部に比べて,桜島起源のテフラは多くない.しかし,ここには,厚い顕著な指標テフラ,桜島薩摩テフラ(Sz-S)が分布する.Sz-Sは,多数のユニットを持ち,この中にマグマ水蒸気噴火による噴出物,降下火山灰,ベースサージ堆積物を含むことを特徴とする.これらの各ユニットが桜島から全方位に飛散したため,Sz-Sは薩摩半島・大隅半島に広く分布し,縄文草創期の考古編年などに極めて有効なテフラとなっている.鹿児島大学医学部構内の遺跡発掘調査の際に出現した本露頭(地形図のA地点)では,薩摩半島に分布する薩摩テフラのほぼ全ユニット(I~X;森脇,1990)が観察できる.降下軽石としてはIとVIIのユニットが大規模なものである. 2つとも給源から南西方向に分布軸を持つ.この間にマグマ水蒸気噴火の産物が介在する.細粒の異質岩片を多く含み,薄層理の層相をなすベースサージ堆積物(ユニットV)は現在の桜島の火口から少なくとも距離15kmまでの範囲に認められる.ユニットVIは,粗粒の軽石が散在する粘土化した細粒火山灰層である.マグマ水蒸気噴火による降下火山灰で,給源近くでもあまり厚くないが,遠方でも降下軽石Iとともに広く認めることができる.Sz-Sの年代は¹⁴C法で11~11.5ka(奥野,1996など)で,鹿児島市の甲突川低地の沖積層中によく認められることから(岩松・横田,1991;藤山,1992;森脇ほか,1993),この地域の新ドリアス期ごろの古地理や海面変化の編年に有効なテフラとなっている.薩摩テフラの上位には鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)があり,この両者が薩摩半島中・北部の顕著な指標テフラである. Sz-Sの下位には青灰色岩片を含む細粒の降下軽石が散在する.このテフラは桜島起源の最古の桜島高峠6テフラ(森脇,1994)に対比される.現在,A地点の露頭は消滅したが,B地点において,Sz-Sの主なユニットを観察することができる.

文献:新井・町田(1980),岩松・横田(1991),藤山(1992),福山・荒牧(1973),小林(1986),町田・新井(1992),森脇(1990,1994),Moriwaki(1992),森脇ほか(1993),奥野(1996)

鹿児島大学医学部構内のA・B露頭
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『鹿児島県南部』(鹿児島7号-4)。A、B、宇宿町、中山町、小原、笹貫。88、57。

English translation

1:25,000 Kagoshima-Kennanbu sheet (printed title 鹿児島県南部; Kagoshima sheet 7-4). A, B. Usuki-machi; Chuzan-machi; Obara; Sasanuki. 88, 57.

桜島薩摩テフラI~XとK-Ah・Tk-6・Ito pflの柱状図
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図中文字(日本語)

上からK-Ah、桜島薩摩テフラX・IX・VIII・VII・VI・V・IV・III・II・I、Tk-6、Ito pfl。目盛0、1、2、3、4m。凡例:黒色土壌、褐色土壌、ガラス質火山灰、火山灰、軽石、異質岩片、細粒固結火山灰、ベースサージ。

English translation

Top downward: K-Ah; Sakurajima-Satsuma tephra X, IX, VIII, VII, VI, V, IV, III, II, I; Tk-6; Ito pfl. Scale 0, 1, 2, 3, 4m. Legend: black soil; brown soil; glassy ash; ash; pumice; accidental lithic fragments; fine indurated ash; base surge.

KS-19 大隅半島南部,大根占町付近に分布する後期更新世テフラ層

奥野充

大隅半島南部は阿多カルデラの東方に位置し,このカルデラ起源のテフラに加えて,姶良,鬼界の両カルデラを給源とするテフラも分布している.この露頭では105kaの阿多テフラ(Ata;火砕流堆積物)より上位のテフラがみられ,Ataは露頭基部に位置する,層厚2m以上の淡褐色弱溶結の火砕流堆積物である.田代テフラ(Ts;火砕流堆積物)は層厚60cmの褐色の細粒火山灰層で,Ataの浸食面を覆う.その上20cmに鬼界葛原テフラ(K-Tz)がある.K-Tzは層厚60cmの橙色ガラス質火山灰で,層理の発達した下部と火山豆石に富む上部に細分される.姶良福山テフラ(A-Fk)はK-Tzの上25cmにある層厚18cmの鶯色細粒火山灰層で,角閃石が特徴的にみられる.この上65cmにある花之木テフラ(Hn)は,下から層厚2cmの橙色細粒火山灰層(Hn-a)と層厚28cmの黄白色軽石層(Hn-p)からなる.清見岳テフラ(Ky)はHnの70cm上の膠結したテフラで,下から灰褐色火山灰層(Ky-l),橙~褐色降下軽石層(Ky-m),黄褐色火山灰層(Ky-u)に細分される.Ky-lは層厚25cmで軽石が散在している.Ky-mは2つの降下単位が認められ層厚30cmである.Ky-uは層厚35cmで特に膠結している.宿利原(Yd)は,層厚35cmの黄褐色降下軽石層で,Kyの上110cmにある.最下部6cmはほとんど軽石よりなるが,徐々に黄褐色火山灰が増して,全体として級化構造を示す.最上部10cmには軽石や遊離結晶が濃集して葉理が認められ,やや膠結している.Ydの50cm上には姶良Tnテフラ(AT)のメンバーである大隅降下軽石層(A-Os)がある.これより上には鬼界アカホヤ(K-Ah),池田湖(Ik),開聞岳(Km)の各テフラが観察される.位置図の■地点でもこれと同様の層序が観察できる.

文献:Nagaoka(1988),奥野ほか(1995)1993年1月撮影。

宿利原および厚ヶ瀬の露頭位置
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図中文字(日本語)

5万分の1『大根占』(開聞岳1号)。宿利原、厚ヶ瀬、安水、大久保、白井、耳池、上尾、大濱。193.4、141.8、279.0、218.8。■、露頭矢印。

English translation

1:50,000 Onejime sheet (Kaimondake sheet 1). Yadoribaru; 厚ヶ瀬; 安水; Okubo; Shirai; 耳池; 上尾; 大濱. 193.4, 141.8, 279.0, 218.8. ■, exposure arrow.

宿利原露頭のAtaからOsまでの累積テフラ
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図中文字(日本語)

NW、NE、SE。Os、Yd、Ky、Hn、A-Fk、K-Tz、Ts、Ata。1993年1月撮影。

English translation

NW, NE, SE. Os, Yd, Ky, Hn, A-Fk, K-Tz, Ts, Ata. Photographed in January 1993.

KS-20 鹿児島県指宿市橋牟礼川遺跡の開聞岳テフラ-火山災害を受けた遺跡-

成尾英仁

橋牟礼川(はしむね)遺跡は日本で初めて,テフラと関連して縄文時代と弥生時代(現在は古墳時代)が区分された遺跡で, 1924年(大正13)に国指定史跡になった.本遺跡は1996年現在発掘が継続中で,遺跡内には地層観察用の野外施設も設置され,近接して考古博物館がある.遺跡内には4枚の開聞岳テフラが堆積する.開聞岳は遺跡の西南西約12kmにあり,阿多カルデラに形成された標高922mの二重式火山である.噴火開始は約4ka前,最終噴火は885年(平安時代仁和元年)で,これにより頂上部の溶岩ドームができた.この間に4ka,2.5ka,2ka,7世紀,9世紀の5回の大規模な噴火があった.噴出したテフラはいずれも硬く膠結し,「コラ」と呼ばれる.遺跡では7世紀と9世紀のテフラが明瞭である(図2).7世紀のテフラ(青コラ;AK)は2枚のスコリアと火山豆石を多量に含む厚さ約30cmの細粒火山灰からなる.テフラ直下に7世紀後半の畑,古道,土器が埋没する.9世紀の噴火は874年(貞観16年)と885年の2回あったが,前者は紫色を帯びた火山礫質細粒火山灰(紫コラ;MK)を噴出・堆積させた.最下部に大豆大の火山礫薄層を敷き,全体の厚さは約50cmである.遺跡内には噴火後発生した泥流堆積物,テフラ下に覆われた畑,建物,林などがあり,一部は指宿市考古博物館に展示されている.

文献:藤野ほか(1992),中村(1967),成尾(1992)図1**図2

指宿市橋牟礼川遺跡位置図
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『指宿』(開聞岳5号-2)。指宿橋牟礼川遺跡包含地、小田、十町、片野田、向吉、湯の浜一丁目・二丁目・四丁目・五丁目・六丁目、指宿。54、75、32、2.5、26.6。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Ibusuki sheet (Kaimondake sheet 5-2). Area containing the Hashimuregawa site; Oda; Jutcho; 片野田; Mukoyoshi; Yunohama 1-, 2-, 4-, 5- and 6-chome; Ibusuki. 54, 75, 32, 2.5, 26.6. Exposure arrow.

図1、青コラ・紫コラと上位泥流の露頭
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図中文字(日本語)

泥流堆積物、MK、火山礫、AK、スコリア。

English translation

Mudflow deposit; MK; lapilli; AK; scoria.

図2、紫コラに埋没した家屋垂木と土師器
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図中文字(日本語)

家屋垂木、土師器、MK。

English translation

House rafters; Haji ware; MK.

KS-21 種子島の海成段丘を覆う後期更新世の風成テフラ

長岡信治

種子島には更新世中~後期の海成段丘が発達している.最終間氷期の海成段丘は4面に分けられている(中田,1968;町田,1969).これらの面は厚さ5m以上の南九州の火山起源の風成テフラに覆われている(町田,1985;中田ほか, 1989).露頭は更新世中期の海成段丘礫層を覆う風成テフラである.ここでは,礫層を不整合に覆う阿多テフラ(Ata)と鬼界葛原テフラ(K-Tz;75~95ka),姶良Tnテフラ(AT;22~25ka)がはっきりわかる.K-Tzは幾つかのユニットに区分できるが(長岡,1988),ここでは下部のクロスラミナの顕著な火砕流堆積物または火砕サージ堆積物と上部の火山豆石に富む降下火山灰が認められる.K-TzとATの間には種I、種II、種III、種VIと呼ばれる薄いテフラ群があるが(長岡,1988;奥野・小林,1994),ここではあまり明瞭ではない.それらは種子島北部の中種子町浜津脇や西之表市沖ヶ浜田などへ行くと見られる.また,ATの上位には鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)と鬼界幸屋火砕流堆積物(宇井,1973)が見られる.

文献:町田(1969,1985),長岡(1988),中田(1968),中田ほか(1989),奥野・小林(1994),宇井(1973)1985年5月撮影。

椿山北の海成段丘上の露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『島間』(屋久島2号-1・3)。椿山。100、150、露頭矢印。

English translation

1:25,000 Shimama sheet (Yakushima sheets 2-1 and 2-3). Tsubakiyama. 100, 150; exposure arrow.

高位海成段丘礫層を覆うAta・K-Tz・AT
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図中文字(日本語)

W、N。AT、K-Tz、Ata、高位海成段丘礫層。1m。1985年5月撮影。

English translation

W, N. AT; K-Tz; Ata; high marine-terrace gravel. 1m. Photographed in May 1985.

KS-22 屋久島に分布する後期更新世テフラ層

森脇広

ここに示す2つの露頭は,屋久島東部の上屋久町と屋久町の町境となっている落川の両岸にある.この川にかかる高見橋は露頭の良好な目標物となっている.周辺には,海岸段丘が広く発達し,その編年には本露頭のテフラが重要な指標層となる.高見橋の南岸側の露頭(A)では熊毛層群を基盤として,3mほどの厚さの礫層の上に2枚のテフラがのる.下位のテフラは厚さ60cmで,礫層直上に堆積している赤褐色に風化した火山灰である.斜方輝石をよく含み,その屈折率γは1.705~1.708(新井房夫群馬大学名誉教授による測定)で,阿多テフラ(Ata)と考えられる.この上位には,20cmの土壌層を挟んで,12cmの厚さの橙色テフラがのる.火山灰に富む軽石からなるテフラで,石英をよく含むことから,鬼界葛原テフラ(K-Tz)に同定される.K-Tzは屋久島に広く認められ,この地域の段丘編年に極めて有効な指標テフラである.高見橋の北岸側の露頭(B)では,K-Tzが80cmの厚さで堆積し,保存状態がよい.ここでは,下位から層理を持つ火山灰,火山豆石に富むガラス質火山灰,軽石を含む火山灰の3ユニットを識別することができる.ここでの,段丘礫層は,最大17mの厚さで,落川の河谷を埋積している.

文献:町田(1977),町田・新井(1992),小野ほか(1982)

高見橋南北の露頭A・B位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『安房』(屋久島6号-2、7号-1)。A、B、高見橋。66、85.7、39、69。

English translation

1:25,000 Anbo sheet (Yakushima sheets 6-2 and 7-1). A, B, Takami Bridge. 66, 85.7, 39, 69.

露頭AのAta・K-Tzと露頭BのK-Tz・K-Ah対比柱状図
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図中文字(日本語)

A、B。A:K-Tz、Ata。B:K-Ah、K-Tz。目盛0、5m。

English translation

A, B. A: K-Tz, Ata. B: K-Ah, K-Tz. Scale 0, 5m.

KS-23 トカラ列島諏訪之瀬島の第四紀テフラ

森脇広

諏訪之瀬島南部にある諏訪之瀬島集落の北1kmのところに、根上岳方面への道路建設に伴って比高50mに及ぶ大露頭が出現した。ここは、20枚以上の第四紀テフラが累積し、諏訪之瀬島の第四紀テフラの基本層序を組み立てることができる好露頭である。下位から、諏訪之瀬島南部下部テフラ群(Ss-L)、諏訪之瀬島南部下部スコリア群(Ss-Ls)、諏訪之瀬島南部上部軽石群(Ss-Up)、諏訪之瀬島南部上部スコリア群(Ss-Us)、文化-後文化スコリア群(Bn-PBn sc)の5グループに大別される(Moriwaki et al., 1996)。ここで注目すべきことは、Ss-L1やSs-Upで示されるように、諏訪之瀬島において軽石噴火が認められることである。Ss-L1は比較的大規模な降下軽石と火砕流で、Ss-Upは7枚の降下軽石からなる。最下部のSs-Up1がもっとも厚い。Ss-Lsは10枚のスコリア層からなり、最下部のSs-Ls1はもっとも厚く、南部の溶岩台地によく残存している。Ss-Usはマルチサイクルの断続的噴火によって累積した細粒スコリア群で、全体としてマッシブである。最上位には、1813年の文化スコリア(Bn sc)がのる。Bnは粗粒なスコリア層で、諏訪之瀬島の地表を広く覆っている。南九州起源の広域テフラ、姶良Tnテフラ(AT)はSs-LsとSs-Upとの境界付近に見い出される。文化-後文化スコリアについては平沢・松本(1983)、小林(1989)、井村(1991)、先史時代のテフラはMoriwaki et al. (1996)に詳しい。

文献:平沢・松本(1983)、井村(1991)、小林(1989)、Moriwaki et al. (1996)諏訪之瀬島南部のテフラ層序。1:降下スコリア、2:降下火山灰、3:降下軽石、4:ガラス質火山灰、5:火砕流、6:岩屑流、7:土壌、8:基盤岩。

諏訪之瀬島集落北の大露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『諏訪之瀬島』(中之島6号-2、7号-1)。諏訪之瀬島。55、56、100、200。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Suwanosejima sheet (Nakanoshima sheets 6-2 and 7-1). Suwanosejima. 55, 56, 100, 200. Exposure arrow.

諏訪之瀬島の約60mの第四紀テフラ層序と8種の凡例
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図中文字(日本語)

2列柱状図。Bn sc(1813AD)、Bn-PBn Sc Group、Ss-Us、Ss-Up Group、Ss-Ls Group、Ss-L Group。 Ss-Up7、Ss-U6[原図表記]、Ss-Up5、Ss-Up4、Ss-Up3、Ss-Up2、Ss-Up1。Ss-Ls10、AT、Ss-Ls9、Ss-Ls8、Ss-Ls7、Ss-Ls6、Ss-Ls5、Ss-Ls4、Ss-Ls3、Ss-Ls2、Ss-Ls1。Ss-L4、Ss-L3、Ss-L2、Ss-L1。目盛0、5、10、15、20、25、30、50、60m。凡例1~8の意味は図説明に収録。

English translation

Two-column stratigraphy. Bn sc (1813AD); Bn-PBn Sc Group; Ss-Us; Ss-Up Group; Ss-Ls Group; Ss-L Group. Ss-Up7; Ss-U6 [as printed]; Ss-Up5; Ss-Up4; Ss-Up3; Ss-Up2; Ss-Up1. Ss-Ls10; AT; Ss-Ls9; Ss-Ls8; Ss-Ls7; Ss-Ls6; Ss-Ls5; Ss-Ls4; Ss-Ls3; Ss-Ls2; Ss-Ls1. Ss-L4; Ss-L3; Ss-L2; Ss-L1. Scale 0, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 50, 60m. The meanings of legend symbols 1–8 are transcribed in the caption.

KS-24 南西諸島喜界島の完新世サンゴ礁段丘

大村明雄

喜界島は,Hanzawa(1935)が更新世琉球石灰岩と完新世隆起サンゴ礁石灰岩に二分したサンゴ礁性石灰岩に覆われている.とくに,完新世隆起サンゴ礁石灰岩は,島の周囲を完全に取り巻くように形成された裾礁が離水し,上位からI、II、IIIおよびIV面の4段に区分できる海成段丘を構成している(中田ほか,1978;太田ほか,1978).この見事に達する完新世サンゴ礁段丘は,現在の保存状態・規模・観察しやすさなどから,国際的に通用する自然遺産の一つといっても過言でない.それら段丘を構成するサンゴ石灰岩は,三位・木越(1966)による¹⁴C法の適用以来,Konishi(1974),Omoto et al.(1976)およびKoba et al.(1982)などによって年代測定が進められてきた.そして,サンゴ礁段丘が相対的古海面高度の指示者(古検潮儀)として有用なことから,それぞれの分布高度や年代測定結果に基づいて,海水準変動や地殻変動が議論されてきた.右図中の地点1(志戸桶海岸)および地点3(荒木海岸)においては,更新世琉球石灰岩と完新世サンゴ石灰岩との不整合関係が観察できる.また,地点2(中熊海岸)では,小西ほか(1983)の孔浅層掘削調査によって,サンゴ礁の内部構造が明らかにされ,主として地殻変動に起因する海退と礁の成長パターンとの関係が論じられている.1994年5月現在の志戸桶海岸(地点1)における完新世段丘の模式的な地形および地質断面図を,現地性サンゴ化石に関する最近の高精度ウラン系列年代測定結果を加えて示す.図中の地形面は,起伏に富む周辺地域の完新世段丘の中でも,比較的滑らかに侵食された部分で,ほぼ海岸線に直交する方向に設けた測線上の測量結果である.この地域の完新世サンゴ石灰岩は,更新世の石灰藻球(rhodolith)石灰岩を不整合に覆っている.とくに両者の境界直上に成長位を保ったまま産出する「現地性サンゴ」のウラン系列年代は,(1)本地点における完新世サンゴ石灰岩の形成が遅くとも約7.2kaには始まり,(2)その後海側へ向けて裾礁が側方成長したこと,そして(3)相対的な海面低下による侵食とその侵食面上におけるサンゴやサンゴ藻の成長によって,II面以下の低位段丘が形成されたことを示唆している.

文献:Hanzawa(1935),Koba et al.(1982),小西ほか(1983),Konishi et al. (1974),三位・木越(1966),村瀬(1994),中田ほか(1978),太田ほか(1978),Omoto et al.(1976)志戸桶海岸における完新世サンゴ礁段丘の地形および地質断面図。

喜界島段丘位置図と志戸桶海岸の高精度U系列年代地質断面
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図中文字(日本語)

喜界島の地形略図:地点1、地点2、地点3、湾、嘉鈍、写真方向1・2。等高線10、20、40、60、100、140、160、200。縮尺0、1、2km、北矢印。 断面:IV面、III面、II面。完新世サンゴ石灰岩、更新世石灰藻球石灰岩。ウラン系列年代(ka):2.62±0.06、2.85±0.08、2.92±0.07、3.13±0.08、4.06±0.10、3.92±0.08、7.29±0.13、5.56±0.12、6.46±0.13、7.19±0.13。縦尺度0~2m、横尺度0~30m。村瀬(1994 MS)。切出し中の本文・文献は本文欄に収録。

English translation

Schematic topographic map of Kikaijima: sites 1, 2, 3; Wan; Kadon; photograph directions 1 and 2. Contours 10, 20, 40, 60, 100, 140, 160, 200. Scale 0, 1, 2km; north arrow. Section: surfaces IV, III, II. Holocene coral limestone; Pleistocene rhodolith limestone. Uranium-series ages (ka): 2.62±0.06, 2.85±0.08, 2.92±0.07, 3.13±0.08, 4.06±0.10, 3.92±0.08, 7.29±0.13, 5.56±0.12, 6.46±0.13, 7.19±0.13. Vertical scale 0–2m; horizontal scale 0–30m. 村瀬 (1994 MS). Prose and references included in the crop are transcribed and translated in the body.

KS-24(続き)

写真1:百之台からの嘉鈍海岸の完新世サンゴ礁段丘展望。

写真2:荒木海岸における完新世サンゴ礁段丘。

百之台からの嘉鈍海岸の完新世サンゴ礁段丘展望
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荒木海岸のI~IV段丘面
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図中文字(日本語)

IV面、III面、II面、I面、各面を示す矢印。

English translation

Surfaces IV, III, II, I; arrows identify each surface.

KS-25 沖縄本島南部における琉球層群基底層

兼子尚知・伊藤孝

本露頭で観察できる琉球層群基底層は,特徴的な赤色を呈することから"赤色石灰岩"と呼ばれ(兼子,1994),下位の島尻層群新里層の泥岩を不整合で覆い,琉球層群那覇層に不整合で覆われる,厚さおよそ1.2~1.8mの礁性石灰岩層である.これは上位の那覇層の白色の石灰岩とは,色およびシャープな境界面によって明らかに区別することができる.従来,沖縄本島南部の琉球層群は下位より"知念砂岩"・那覇層・港川層というユニットに区分されてきた(例えばNakamori,1986;氏家,1988).その堆積年代については,放射性同位体年代・段丘対比などによって,那覇層は0.3Ma以前(木崎ら,1984),港川層は約120~150kaと推定されている.現在琉球列島に発達するサンゴ礁の起源について,Koba(1992)は,前期更新世に中国から沖縄にかけて存在した陸橋の背後に中期更新世(0.6~0.7Ma)以降黒潮が入り込むようになった結果サンゴ礁が発達し始めたと論じた.しかしこれまでは,那覇層の下位に"赤色石灰岩"のような礁性石灰岩の存在は知られていなかった.兼子・伊藤(1995)は,本露頭などから得られた石灰岩に含まれる化石中の⁸⁷Sr/⁸⁶Sr比を測定し,赤色石灰岩"の堆積年代を約1.3Ma,那覇層のそれを平均約0.4Maとした.一方,佐渡ら(1992)は伊良部島で得られた琉球石灰岩のボーリングコア試料のナンノ化石分析により,その最下位部分が1.20~1.30Maに遡ることを報告した.これらのデータはサンゴ礁発達開始年代が,今まで考えられていたよりも数10万年以上遡ることを示している.これは,陸橋の屈曲・陥没・黒潮流路の変化といった琉球弧の構造発達史を考察する上で,きわめて重要な情報である.以上のように,本露頭は琉球層群の層序および年代に関する新知見,あるいは琉球弧地史の復元においてこれまでの時間的空白域を埋める証拠をもたらす貴重なものである.なお,本露頭は糸満市当局に保存要望を申し入れた結果,糸満市の公園計画に組み込まれ,1995年6月現在保存計画を策定中である.公園整備完了後は,恒久的に露頭の観察を行うことが可能となる.

文献:兼子(1994),兼子・伊藤(1995),木崎ほか(1984),Koba(1992),Nakamori(1986),佐渡ほか(1992),氏家(1988)1994年7月撮影。

糸満市山城の赤色石灰岩露頭位置
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図中文字(日本語)

2.5万分の1『糸満』(那覇16号-1)、2.5万分の1『喜屋武岬』(那覇16号-2)。山城、東双名、上里、東里、糸満。露頭矢印。

English translation

1:25,000 Itoman sheet (Naha sheet 16-1) and Kyanmisaki sheet (Naha sheet 16-2). Yamashiro; 東双名; Uezato; 東里; Itoman. Exposure arrow.

赤色石灰岩の露頭写真と新里層・基底層・那覇層の層序
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図中文字(日本語)

写真:犬走り、1994年7月撮影。柱状図:琉球層群那覇層(サンゴ石灰岩)、中期更新世(平均約400ka:Sr年代);琉球層群基底層(“赤色石灰岩”)、前期更新世(Ca 1.30Ma:Sr年代);島尻層群新里層(泥岩)、後期鮮新世。2m。

English translation

Photograph: berm; photographed in July 1994. Column: Naha Formation, Ryukyu Group (coral limestone), Middle Pleistocene (mean approximately 400ka: Sr age); basal Ryukyu Group (“red limestone”), Early Pleistocene (Ca 1.30Ma: Sr age); Shinzato Formation, Shimajiri Group (mudstone), Late Pliocene. 2m.

KS-26 石垣島白保の現世のサンゴ礁-サンゴ礁礁池に見られる多様な造礁サンゴ群集-

長谷川均

白保サンゴ礁は,石垣島東南岸の宮良湾から東岸の通路川河口まで南北12km,最大幅約1kmにも及ぶ裾礁である.このうち,見事なサンゴ礁生態系が観察できるのは,白保集落からカラ岳東側までのおよそ7kmの範囲である(空中写真はその南半分を示す).ここでは,少なくとも600年以上生き続けている大規模なアオサンゴ(Heliopora coerulea)群落や, 200~500年程度とみられる巨大なハマサンゴ(Porites australiensis)の塊状群落やマイクロアトールが多数(第IIポール(後述)周辺だけでも130個以上)分布する.白保サンゴ礁で見られる造礁サンゴは30属70種以上とみられるが,海藻・海草や魚類など多様な生物も観察できる.浜辺から泳いで外洋に面した礁嶺まで行くことも可能で,礁池一礁原-礁嶺という地形の帯状構造がよくわかる.また,干潮時には干上がったワタンジ(高まり)を通って礁嶺まで行くことも可能だ.海上には,かつて空港建設予定地だったなごりの鉄柱(第I~IVポール)があり良い目印になる.しかし,安全を考えれば満潮の頃に出るサンゴ見学船(不定期)に乗り,案内人の指示に従ってサンゴを損傷しないように配慮しシュノーケリングで観察するのが良い. 船はアオサンゴ群落、ウスコモンサンゴ(Montipora foliosa)群落、マイクロアトール群やハマエダサンゴ(Porites cylindrica)群落などを巡回する.開発や水質汚濁で健全なサンゴ礁が極めて少ない現状では,白保サンゴ礁の存在価値は大きい.しかし,近年このサンゴ礁でも陸域の開発行為で赤土(土砂)の流入が著しい.

文献:IUCN(1988),目崎(1991),日本自然保護協会(1991),WWFJ(1986,1995)

白保サンゴ礁の空中写真と4種の礁池・礁原写真
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図中文字(日本語)

ウスコモンサンゴ、マイクロアトール、アオサンゴ、干潮時の礁原。IV、III、II、第Iポール、轟川、ワタンジ、白保集落。縮尺0~1km、北矢印、群落位置を示す囲みと連結線。

English translation

Montipora foliosa; microatoll; blue coral; reef flat at low tide. IV, III, II, pole I; Todorokigawa; Watanji; Shiraho village. Scale 0–1km, north arrow, boxes and connecting lines identifying colony locations.

[白紙ページ]

文献リスト

A

相沢忠洋(1969)「岩宿」の発見.講談社,207p

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D

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檀原徹・鎌田浩毅・山下透(1992)大阪層群のピンク火山灰と中部九州の耶馬渓火砕流堆積物との対比.日本火山学会1992年度講演予稿集,2:108

檀原徹・柴田賢・松本哲一・岩野英樹(1992)国内年代試料候補OGPKの追加年代データ,フィッション・トラックニュースレター,5:73-77.

檀原徹・鎌田浩毅・林田明・岩野英樹・山下透(1994)国内年代標準試料候補OGPK(大阪層群ピンク火山灰)に関する年代・対比追加データ(その4)-給源となる耶馬溪火砕流堆積物のFT年代値など-.フィッション・トラックニュースレター、7:18-22.

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遠藤邦彦・隅田まり・宇野リベカ・宮原智哉(1988)北海道の完新世後期テフラ層序とその給源火山,日本第四紀学会講演要旨集:78-79.

遠藤邦彦・五十嵐八枝子・隅田まり・鈴木敬治・宮田雄一郎(1988)北海道東部,野付海岸茨散で得られた過去15000年間の古環境.科研費総研報告書(代表者:井関弘太郎),「日本における沖積平野・沖積層の形成と第四紀末期の自然環境との関わりに関する研究」:45-52.

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文献(続き)

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奥野充・成尾英仁・新井房夫・小林哲夫(1995)大隅半島南部に分布する後期更新世テフラ.鹿児島大学理学部紀要(地学・生物学),28:101-110.

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小野晃司・渡辺一徳・星住英夫・鎌田浩毅・町田洋(1996)テフラ研究委員会野外集会―中九州のテフロクロノロジー案内書.第四紀学会テフラ研究委員会,62p.

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文献(続き)

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文献(続き)

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杉山雄一・寒川旭・下川浩一・水野清秀(1988)御前崎地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,153p.

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T

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高橋伸幸・中村俊夫・曽根敏夫・五十嵐八枝子(1988)大雪山の湿原における泥炭層基底付近の¹⁴C年代.第四紀研究,27:39-41.

高野繁昭(1987)多摩丘陵東部および下末吉台地の中・上部更新統の層序.地質学雑誌,93:121-139.

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文献(続き)

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竹本弘幸・米澤宏・由井将雄・小池一之(1987)中之条湖成層の層序とフィション・トラック年代.駒澤地理,23:93-108.

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田沢堅太郎(1981)古期大島層群の¹⁴C年代と平均噴火周期.火山,26:69-70.

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文献(続き)

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津久井雅志・森泉美穂子・鈴木将志(1991)八丈島東山火山の最近22,000年間の噴火史.火山,36:345-356.

津久井雅志・鈴木将志・佐野綾子(1993)八丈島東山火山の最近30,000年間のマグマ供給系の変遷.火山,38:199-212.

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U

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上杉陽・上本進二・伊藤ひろみ・佐藤仁美・土肥由美子(1993)いわゆる立川期のテフラ年代.関東の四紀,18:13-28.

上杉陽・上本進二・米澤宏(投稿中)神奈川県綾瀬町吉岡遺跡群のテフラ層位.かながわ考古学財団調査報告.かながわ考古学財団.

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和知剛・大上和良・越谷信・土井宣夫(1993)秋田駒ケ岳周辺の火山灰層序について.日本地質学会東北支部会報,22:7.

W

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渡辺一徳(1992)阿蘇火山.日本地質学会第99年学術大会見学旅行案内書:13-35.

文献(続き)

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渡辺満久(1991)北上低地帯における河成段丘面の編年および後期更新世における岩屑供給.第四紀研究,30:19-42.

渡辺満久・池田安隆・鈴木康弘・須貝俊彦(1993)1990年北上低地帯西縁活断層系・上平断層群(花巻地区)トレンチ調査.活断層研究,11:60-64.

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Y

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八木浩司(1983)加古川中流域の第四紀地殻変動.東北地理,35:72-80.

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矢口裕之・田辺智隆(1990)群馬県北部に分布する中期更新世の火山灰.日本第四紀学会講演要旨集,20:120-121.

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山田直利・足立守・梶田澄雄・原山智・山崎晴雄・豊遥秋(1985)高山地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,111p.

山縣耕太郎(1994)支笏およびクッタラ火山のテフロクロノロジー.地学雑誌,103:268-285.

山縣耕太郎・町田洋・新井房夫(1989)銭亀―女那川テフラ:津軽海峡函館沖から噴出した後期更新世のテフラ.地理学評論,62A,195-207.

山口一俊(1975)中之条盆地とその周辺の地形.駒沢大学院地理学研究,5:28-39.

山口昇一・佐藤博之(1966)5万分の1地質図幅「上里」および同説明書.北海道開発庁,38p.

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山崎晴雄(1988)ボーリング調査で明らかになった丹那盆地の変形構造.地学雑誌,97:731-746.

山崎晴雄・町田洋・水野清秀(1994)伊豆バー北端部プレート衝突域の第四紀地史.1994年日本第四紀学会大会巡検案内書,45p.

山崎晴雄・佃栄吉・奥村晃史・衣笠善博・岡田篤正・中田高・堤浩之・長谷川修一(1992)愛媛県西条市における中央構造線岡村断層のトレンチ発掘調査.地質学論集,40:129-142.

山崎稲雄(1971)山北から酒水の滝へ.「神奈川県地学ガイド」:コロナ社,67-72.

柳田誠(1992)支笏降下軽石1(Spfa-1)の年代資料.第四紀研究,33:205-207.

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柳井清治・鴈澤好博・古森康晴(1992)最終氷期末期に噴出した濁川テフラの層序と分布.地質学雑誌,98:125-136.

矢野牧夫(1970)北海道の第四系より産出したLarix gmeliniの遺体について.地質学雑誌,76:205-214.

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横山卓雄・楠木幹浩(1967)大阪層群に挟まれるアズキ火山灰層について―近畿地方の新期新生代層の研究,その8―.同志社大学理工学研究報告,2:57-75.

横山卓雄・楠木幹浩(1969)鍵層としての火山灰層,とくに大阪層群の火山灰について.同志社大学理工学研究報告,9:270-305.

米地文夫・菊池強一(1966)尾花沢軽石層について.東北地理,18:23-27.

米澤宏・上杉陽・上本進二(投稿中)神奈川県吉岡遺跡群の立地する高座丘陵の形成過程―ボーリング・データを中心に―.かながわ考古学財団調査報告.かながわ考古学財団.

米澤宏・竹本弘幸・岡田武幸・由井将雄・丸山三美(1984)中之条盆地周辺のテフラ,とくに中之条湖成層の時代について―.関東平野,1:2-5.

米澤宏(1981)相模川中流域・道志川流域の河岸段丘.関東の四紀,8:21-32.

吉田英人・高橋正樹(1991)白河火砕流東部の地質.地質学雑誌,97:231-249.

吉田浩(1991)神津島単成火山群の噴火史.地球惑星科学関連学会合同大会,日本火山学会固有セッション,1991年度春季大会講演予稿集:28.

吉田浩(1992)新島火山の噴火史.日本火山学会1992年度講演要旨集,2:63.

吉田真理夫(1995)有珠山1977-1978年噴火による火砕物の火口付近での層序と岩相.火山,40:249-262.

吉川満(1987)由布川峡谷.「九州の沢と源流」:葦書房,福岡,363-371.

吉川茂重(1979)肘折火山灰の分布と理化学特性および潟沼系火山灰の理化学特性について.東北大学農学部土壌立地学研究室卒業論文.47p.

吉川周作(1973)大阪南東部の大阪層群.地質学雑誌,79:33-45.

文献(続き)

吉川周作(1976)大阪層群の火山灰層について.地質学雑誌,82:497-515.

吉川周作(1983)大阪層群と古琵琶湖層群の火山灰層の対比.地団研専報,25:45-61.

Yoshikawa, S. (1984) Volcanic ash layers in the Osaka and Kobiwako Groups, Kinki district, Japan. Jour. Geosci. Osaka City Univ., 27: 1-40.

吉川周作・井内美郎(1991)琵琶湖高島沖ボーリングコアの火山灰層序.地球科学,45:81-100.

吉川周作・井内美郎(1993)琵琶湖高島沖ボーリング火山灰から見た中期更新世~完新世の噴火活動史.地球科学,47:97-109.

吉川周作・樽野博幸(1992)大阪平野の中位段丘層と火山灰層.第四紀,24:61-67.

吉川周作・立石雅昭・風岡修(1994)大阪層群の福田火山灰層と魚沼層群の辻又川火山灰層の対比.地質学雑誌,100:486-494.

Yoshikawa, S., Fujimoto, J. and Nagahashi, Y. (1995) Lithofacies and petrographic properties of the 1.6Ma Fukuda volcanic ash bed and its correlatives in the Kinki and Tokai Districts, Central Japan. Jour. Geosci. Osaka City Univ., 38: 153-166.

吉川周作・里口保文・長橋良隆(1996)第三紀・第四紀境界層準の広域火山灰層―福田・辻又川・Kd38火山灰層―.地質学雑誌,102:258-270.

吉川虎雄・貝塚爽平・太田陽子(1964)土佐湾北東岸の海岸段丘と地殻変動.地理学評論,37:627-648.

吉永秀一郎(1989)紀伊山地中部における斜面堆積物.日本地理学会予稿集,36:180-181.

吉永秀一郎(1996)関東ローム層中に含まれる微細石英の堆積速度の約10万年間の変化―北関東喜連川丘陵早乙女の例―.第四紀研究,35:87-98.

吉永秀一郎・鈴木毅彦・木村純一・岩崎誠・真鍋健一(1995)栃木県喜連川丘陵のテフラ層序.日本第四紀学会講演要旨集,25:114-115.

吉岡敏和・星住英夫(1992)犬飼地域の地質,XIII.鮮新統・下部更新統碩南層群.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,95-102.

吉岡敏和・星住英夫・宮崎一博(1997)大分地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,印刷中.

由井将雄・藤井敏継(1989)愛鷹火山の地質.地震研究所彙報,64:347-389.

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索引

A

索引語 参照ページ・参照先
At-2テフラ 262
At-3テフラ 262
AW型テフラ 43, 173, 174

B

索引語 参照ページ・参照先
BCVA 194
block and ash flow 298

C

索引語 参照ページ・参照先
C1クリスタル・アッシュ 231

H

索引語 参照ページ・参照先
Ha-3テフラ 249
Ha-6テフラ 249
Ha-7テフラ 249

K

索引語 参照ページ・参照先
Ka-1テフラ 248
Ka-2テフラ 248
Kd38テフラ層 98
Kn-1 204
Kpfl-I 108
Ku6Cテフラ → 曲―アズキテフラ

M

索引語 参照ページ・参照先
M2 284
M2.5 284
M3 284

N

索引語 参照ページ・参照先
Ng-1テフラ 71, 72
Ng-2テフラ 247
Ng-4テフラ 247

O

索引語 参照ページ・参照先
O7テフラ 92

T

索引語 参照ページ・参照先
TE-5 204, 217

ア

索引語 参照ページ・参照先
姶良妻屋テフラ(A-Tm)
姶良妻屋テフラ:火砕流堆積物[A-Tm(pfl)] 308
姶良 308
姶良Tnテフラ(AT)
姶良Tnテフラ:関東 21, 22, 175, 193, 195, 196, 197, 198, 199, 213, 220, 222
姶良Tnテフラ:九州 11, 18, 295, 299, 306, 307, 315, 317
姶良Tnテフラ:近畿 267, 269, 270, 272, 278
姶良Tnテフラ:四国 20
姶良Tnテフラ:中国 30
姶良Tnテフラ:中部 31, 229, 240, 244
姶良Tnテフラ:東北 139
姶良入戸テフラ(A-Ito) 8
姶良入戸テフラ:火砕流堆積物[A-Ito(pfl)] 18, 55, 304, 308
姶良岩戸テフラ(A-Iw) 18, 307
姶良岩戸テフラ:火砕流堆積物[A-Iw(pfl)] 308
姶良大隅テフラ(A-Os) 8, 18
姶良カルデラ 308, 309
姶良カルデラ起源テフラ 313
姶良福山テフラ(A-Fk) 18, 307
アオサンゴ 321
赤城追貝テフラ(Ag-OK) 164
赤城鹿沼テフラ(Ag-KP) 172, 176
赤城起源テフラ 32, 168, 169, 170, 172, 173, 176
赤城水沼テフラ(群)[Ag-Mz(gr)] 176
赤城湯ノ口テフラ(Ag-UP) 176
赤土(土砂)流入 321
赤山陣屋跡遺跡 188
阿寒軽石流 112
阿寒テフラ(Akn)
阿寒テフラ:火砕流堆積物[Akn(pfl)] 103
阿寒テフラ:火砕流堆積物の上部[Akn-U(pfl)] 103, 107
阿寒溶結凝灰岩 103
秋田駒ヶ岳 150
秋田駒ヶ岳起源テフラ 148, 150
秋田駒小岩井テフラ(Ak-K) 143
浅間板鼻褐色テフラ(As-BP) 175
浅間板鼻黄色テフラ(As-Yp) 175, 184
浅間火山 182, 228
浅間起源テフラ 175, 178, 179, 182, 184, 228
芦野火砕流 166
アズキテフラ → 曲―アズキテフラ
四阿火山 80
四阿蓑原テフラ(Az-MiP) 80, 183
阿蘇1テフラ(Aso-1) 52, 70
阿蘇1テフラ:火砕流堆積物[Aso-1(pfl)] 58, 68
阿蘇3テフラ(Aso-3) 36, 56, 60
阿蘇3テフラ:火砕流堆積物[Aso-3(pfl)] 55, 58, 68
阿蘇4テフラ(Aso-4)
阿蘇4テフラ:火砕流堆積物[Aso-4(pfl)] 33, 55, 58, 68, 296, 303
阿蘇4テフラ:関東 42, 169
阿蘇4テフラ:九州 56, 294
阿蘇4テフラ:近畿 272
阿蘇4テフラ:中国 282
阿蘇4テフラ:中部 36, 255
阿蘇4テフラ:東北 45, 52, 155, 164, 165
阿蘇4テフラ:北海道 24, 38, 63, 64, 111, 118, 120
阿蘇ABCDテフラ(Aso-ABCD) 56
阿蘇中央火口丘 302
阿蘇中岳噴出物 302
阿多火砕流 309
阿多カルデラ起源テフラ 313
安達太良起源テフラ 164
安達太良岳軽石 164
安達火山 159
安達愛島軽石(Ad-Md) 159
阿多テフラ(Ata) 8, 18, 40, 54, 56, 294, 303, 315, 316
阿多テフラ:火砕流堆積物[Ata(pfl)] 54, 55, 304, 308

索引(続き)

ア(続き)

索引語 参照ページ・参照先
阿多鳥浜テフラ(Ata-Th) 65, 66, 67, 80, 209, 249, 309
吾妻火山 164
吾妻テフラ 163
厚真層 64
渥美層群 262
渥美半島 262
阿寺断層 260
アトサヌプリテフラ(Anp)
アトサヌプリテフラ:火砕流堆積物[Anp(pfl)] 109
跡津川断層 252, 259
姉ヶ崎層 215
網走 62
奄美大島 11
綾瀬 199
アルカリ岩質テフラ 14
阿波 289
安房ガラス質テフラ 219
淡路島 271
粟巣野段丘 31
阿波ノ土柱 94
安田層 52

イ

索引語 参照ページ・参照先
飯豊山 163
伊座敷降下テフラ 54
胆沢台地 45, 149
石垣島 321
石狩低地 125
伊豆大島 219
伊豆大島沼テフラ 218
伊豆神津島起源テフラ 220
伊豆神津島天上山テフラ 221
伊豆東部火山群 244
伊豆新島 220, 221
伊豆新島阿土山テフラ 221
伊豆新島起源テフラ 220
伊豆新島向山テフラ 221
伊豆半島 243
伊豆半島:北縁 210
夷隅川 214
出雲砂丘 280
板橋粘土層 192
一本松火砕流 298
井出口テフラ 289
糸魚川―静岡構造線 236
伊東 244
入戸火砕流堆積物 → 姶良入戸火砕流堆積物
糸満市 320
稲毛 213
伊那谷 232, 233
指宿市 314
今市テフラ(Imc)
今市テフラ:火砕流堆積物[Imc(pfl)] 33, 58, 68, 88
いもいし 194
芋窪礫層 190
岩倉礫層 208
岩宿遺跡 181
岩手火山 147
岩手起源テフラ 144, 147, 148
インボリューション 29

ウ

索引語 参照ページ・参照先
上町層 272
魚沼層群 97
牛尾舛遺跡 213
宇治貝層 253
有珠1977~1978年噴出物 130
有珠火山 48, 50
有珠火山:山頂部 130
有珠火山:南麓 129
有珠火山:文政熱雲堆積物 130
宇都宮 172
鬱陵隠岐テフラ(U-Oki) 12, 14
鬱陵島 12
有度丘陵 71, 246, 247
梅原断層 261
上段段丘 31
ウワバミ 205
雲仙火山 297, 298
雲仙岳1990~噴火 297

エ

索引語 参照ページ・参照先
永久凍土 116
永久凍土環境 101
液状化 274, 311
江古田層 193
越前海岸 47
恵庭起源テフラ 125
恵庭aテフラ(En-a) 26, 28, 116, 117, 121, 136
恵比寿峠火砕流堆積物 258
えびの市 304

オ

索引語 参照ページ・参照先
応桑岩屑なだれ 228
応桑岩屑なだれ堆積物 182
大磯丘陵 67, 85, 208
大分層群 84, 86
大分丹生 84
大久保谷テフラ 289
大在層 75
大阪層群 95, 96
大阪層群:上部 273
大阪ピンクテフラ(Pnk) 94
大隅半島 54, 310
大隅半島:中部 311
大隅半島:南部 313
太田池 270
大滝村 186
大月遺跡 239
大根占 8, 65, 313
太平山火砕流堆積物 281
太平山降下テフラ 281
大町A₁テフラ(A₁Pm) 238
大町APmテフラ(群)[APm(gr)] 76, 77, 78, 79, 80, 225
岡郷 85
岡郷テフラ(Okg) → 誓願寺―栂テフラ

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
男鹿半島 52, 152, 154
岡村断層 290
沖縄県 320
奥東京湾 212
奥飛騨テフラ(Okh)
—火砕流堆積物[Okh(pfl)] 78, 79
小鹿層 246
オシ沼砂礫層 205
渡島大島aテフラ(Os-a) 135
渡島駒ヶ岳 131, 133
渡島半島 132, 135
尾瀬ヶ原 179
尾田断層 278
大楽毛層 112
小田原 10, 67, 209
鬼首 155
尾花沢盆地 162
小原台砂礫層 202
小原台面 202
御富士岩屑なだれ堆積物 168
御前崎 248
御岳伊那(御岳第2′)(On-In) 36, 232
御岳火山 234
御岳潟町テフラ(On-Kt) 230
御岳起源テフラ 34, 230, 232
御岳第1テフラ(On-Pm1)
—関東 42, 168, 169, 176, 186, 192, 197, 206
—中部 36, 44, 230, 232, 235, 238, 246, 248
—東北 45, 154, 155
御岳奈川(御岳第3′)テフラ(On-Ng) 165, 225, 230
御岳三岳(御岳第4)テフラ(On-Mt) 235
御岳薮原(御岳第2)テフラ(ON-Yb) 230
【カ】
海成
—貝化石 10
—段丘堆積物 24, 40
—沖積層 10
海成段丘 292
開聞岳テフラ(Km) 314
加賀橋立台地 255
カキ礁 212
角錐状石器 194
加久藤テフラ(Kkt) 73, 74, 75, 76, 77, 80
—火砕流堆積物[Kkt(Pfl)] 73, 307, 308
鹿児島 312
笠名段丘 248
笠森11テフラ →小林-笠森テフラ
笠利半島 11
火山災害 180, 314
火山豆石 92
火山麓扇状地堆積物 176
加治丘陵 187
上総層群 91, 98
霞ヶ浦 32
化石周氷河現象 28, 144, 148
化石凍結割れ目構造 101
化石氷楔 116
化石林 26
堅田丘陵 82, 90
堅田累層 266
潟西層 154
片山津層 255
月山 161
活断層 233, 236, 243, 252, 259, 260, 290
火道火山岩 78
鹿野断層 277
花粉化石群 22
花粉層序 266
花粉分析 102
鎌倉 200
蒲牟田 305
上仰木 82
上仰木テフラ →小林-笠森テフラ
上帯広I面 120
上更別III面 118
上宝テフラ(Ktr)
—火砕流堆積物[Ktr(pfl)] 256, 257
神屋敷火砕流堆積物 300
神山ローム層 226
亀割坂角礫層 309
ガラス質細粒テフラ 67, 70, 80, 91
ガラス質テフラ 5, 20, 21
軽舞 64
川南 60
含雲母グリース状テフラ 194, 199, 213, 240, 245
含黒雲母流紋岩質降下テフラ 114
韓国 12
完新世サンゴ礁段丘 318
岩屑なだれ堆積物 234, 237
関東山地 186, 229
関東平野 22
関東ローム 21, 181
貫ノ木 226
【キ】
紀伊山地 267
鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)
—関東 10, 179, 219
—九州 6, 8, 9, 11, 295, 299, 302, 306, 310, 311, 315, 316
—近畿 267, 270
—四国 20
—中部 250, 254
—東北 161, 163
鬼界カルデラ起源テフラ 313
喜界島 318
鬼界葛原テフラ(K-Tz) 6, 8, 18, 36, 40, 42, 43, 56, 248, 252, 272
気候段丘 235
岸和田 96
喜撰川 266
喜撰テフラ層 90
木曽御岳起源テフラ 229
北伊豆断層系 243
北上川

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
北上川—上流域 144, 148
北上山地 143
北上低地西縁 146
北原テフラ(Kth) 45
北見盆地 103
吉沢中部埋没土層 208
木津川河床遺跡 274
鬼付女川 9
喜連川丘陵 170
逆断層 146
旧砂丘 135, 138
旧石器時代 181, 193, 200
旧石器多層遺跡(群) 195, 196
旧石器文化 181
京極町 128
裾礁 321
霧島アワオコシテフラ(Kr-Aw) 307
霧島イワオコシテフラ(Kr-Iw) 307
霧島火山 305, 306
霧島火山起源テフラ 303
霧島小林テフラ(Kr-Kb) 306, 307
霧島御池テフラ(Kr-M) 305
黄和田層 98
金勝寺降下火砕堆積物 166
【ク】
久木野 81
久木野層 81
久木野礫層 66
九重A1テフラ 299
九重火山南東 33
九重起源テフラ 299
九重第1テフラ(Kj-Mg) 299
釧路 112
釧路層群 114
釧路統 112
クチョロテフラ層 114
屈斜路Iテフラ 38
屈斜路II/IIIテフラ 38
屈斜路IVテフラ 38
屈斜路火砕流堆積物 103, 107
屈斜路火砕流堆積物IV 62, 111
屈斜路火砕流堆積物I 25, 29
屈斜路火山 105
屈斜路軽石堆積物 112
屈斜路カルデラ起源テフラ 102, 111, 114
屈斜路起源テフラ 110
屈斜路羽幌テフラ(Kc-Hb) 62, 64, 119
クッタラ火山 122, 124, 126
クッタラ第1テフラ(Kt-1) 120, 126
クッタラ第2テフラ(Kt-2) 126, 128
クッタラ第3テフラ(Kt-3) 126
クッタラ第4テフラ(Kt-4) 126
クッタラ第5テフラ(Kt-5) 126
クッタラ第6テフラ(Kt-6) 120, 126
クッタラ第8テフラ(Kt-8) 24, 120
クッチャロ4テフラ(Kc-4)
—火砕流堆積物[Kc-4(pfl)] 24
クッチャロカルデラ 109
クッチャロ庶路テフラ(Kc-Sr) 24, 25
クッチャロ羽幌テフラ(Kc-Hb) 63, 122
雲ノ平火山 79
雲ノ平礫層 79
クリスタル・アッシュ 77, 79
胡桃館遺跡 151
礫石原火砕流堆積物 297
黒井峯遺跡 180
黒瀬盆地 286
黒斑山 228
郡中層 291
【ケ】
珪藻土 288
慶長伏見地震 274
毛馬内火砕流堆積物 151
【コ】
広域風成塵 295
高位段丘 72
降下軽石 317
高山土壌 161
更新世末期~完新世初期の地震動 241
神戸・上宿遺跡 198
港南層 204
港南第1テフラ(Kn-1) 217
光明池 273
郡降下テフラ 54
古加久藤湖 304
河頭 74
古期大島層群テフラ 219
国分 308
国本層 91
黒曜石剥片 213
古砂丘 138, 276, 280, 294
五色岳 160
古地震 236, 290
古植生 184
湖成粘土 264
古地磁気層序 266
御殿峠礫層 191
御殿場 242
御殿場泥流堆積物 21
古流山湾 212
小林-笠森テフラ(Kb-Ks) 81, 82, 83
古琵琶湖層(群) 82, 90, 266
古富士泥流堆積物 239, 240
小淵沢 236
五坊谷 269
駒ヶ岳c1テフラ(Ko-c1) 108
駒ヶ岳c2テフラ(Ko-c2) 104, 108, 109, 133
駒ヶ岳dテフラ(Ko-d) 131, 133, 135
駒ヶ岳h2テフラ(Ko-h2) 133
駒ヶ岳岩屑なだれ堆積物 133
駒ヶ岳クルミ坂岩屑なだれ堆積物 133
駒ヶ岳テフラ(Ko) 132
高麗丘陵 187

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
ゴマシオ第1テフラ(GoP1) 216
ゴマシオテフラ(GoP) 191
根釧原野 106, 110, 111, 114
【サ】
最終間氷期 303
最終氷期 121, 139, 229
西条層 85, 286
細石刃類 194
蔵王火山 160
蔵王川崎スコリア 160
蔵王遠刈田火山砂層群 160
佐賀 295, 296
堺 95, 272
境林礫層 170
相模野基本土層 198
相模野台地 196, 200
桜川低地 175
桜島 309
桜島起源テフラ群 310
桜島薩摩テフラ(Sz-S、Sz-14) 310, 312
サクラテフラ →小林-笠森テフラ
篠山盆地 269
座散乱木遺跡 158
薩摩半島北部 312
佐沼丘陵 156
猿羽根面群 162
狭山丘陵 190
サロベツ原野 100
サロマ湖 102
サンゴ礁 320, 321
サンゴ礁性堆積物 318
サンゴ石灰岩 318
三財原面 303
酸素同位体ステージ11 204
酸素同位体ステージ3 214
酸素同位体ステージ5c 202
酸素同位体ステージ5e 203
三内丸山遺跡 140
三瓶池田テフラ(SI) 282
三瓶浮布テフラ(SUP) 282
三瓶雲南テフラ(SUn) 282
三瓶火山 281, 282
三瓶木次テフラ(SK) 30, 45, 46, 47, 154, 253, 280, 282
三明寺遺跡 245
山麓緩斜面 117, 143, 229
【シ】
塩尻 230, 231
支笏火砕流堆積物(Spfl) →支笏第1テフラ
支笏火山 122, 124
支笏カルデラ 26
支笏第1テフラ(Spfa-1) 24, 26, 28, 38, 50, 105, 116, 117, 120, 126, 128
猪牟田カルデラ 88, 92
地震性地殻変動 292
地震断層 243, 259, 261
雫石 150
地蔵堂層 217
七百段丘 141
七里ヶ岩 237
信濃川中流 225
鮪川層 52
志布志港 18
下櫟木 300
下総層群 216, 217
下北半島 51
下末吉海進 203
下末吉層 203
下末吉段丘 203
下末吉埋没土層 208
下末吉ローム層 215
下田島I面 9
下蔦木断層 236
斜面堆積物 186, 267
斜里平野 25, 29, 38
庶路 24
周氷河現象 121
常願寺川 31
常磐海岸 43, 173, 174
上方浸食型斜交層準 219
縄文海進堆積物 212
縄文時代 140, 188, 193
植生史 254
植生破壊 296
植生変遷 22
白河テフラ(Sr)
—火砕流堆積物[Sc(pfl)] 166
シラス洪水 151
白保 321
白タフ →洞爺テフラ
城山層 112
志和層 146
新期泥炭層 179
神宮川 235
新砂丘 135, 138, 276, 280
新富士火山テフラ累層 242
新富士起源テフラ 212
【ス】
水鉛谷火道 77, 78
水月湖 14
水中堆積火砕流 304
水中堆積テフラ 247
末吉ステージKT-50 222
菅平高原 80
菅平テフラ(SgA) 80
宿毛 20
駿河小山 44, 240
諏訪之瀬島 317
【セ】
石灰岩 320
雪田 254
銭亀火山 134
銭亀女那川テフラ(Z-M) 124, 131, 134

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
瀬又層 216
瀬又・薮テフラ(SY) 216
芹川 306
誓願寺軽石層 84
誓願寺-栂テフラ(Se-Tg) 286, 84, 85, 286
前期旧石器 157, 158, 159, 164
善光寺岩屑なだれ堆積物 129
先茶臼原面 307
先土器時代 →旧石器時代
泉北丘陵 273
【ソ】
造礁サンゴ 321
曽根丘陵 238
ソリフラクション 117
【タ】
台形様石器 199, 245
大釈迦 142
大釈迦層 142
大雪御鉢平テフラ 105, 115
大雪山 115
大山火山 30, 279
大山倉吉テフラ(DKP) 30, 31, 32, 164, 224, 225, 276, 278
大山最下部テフラ層 279
大山笹ヶ平テフラ(DSs) 30
大山関金テフラ(DSP) 30
大山テフラ層 276
大山生竹テフラ(DNP) 30, 36
大山東大山テフラ(DHg) 30
大山蒜山テフラ(DHP) 30
大山松江テフラ(DMP) 30, 46, 280
台の原段丘 159
平標山 178
鷹匠町テフラ(Tks)
—火砕流堆積物[Tks(pfl)] 68
高館段丘 141
高千穂複合火山 305
高峠 310
高野層 34
高森遺跡 157
高森テフラ群 157
高山盆地 258
宝木ローム 172
竹島 6
竹島火砕流堆積物 6
竹田 58, 68
竹ノ森遺跡 164
立川・武蔵野ローム 196
立川ローム示準層位 195
立川ローム層 200
館山 218
立山Dテフラ(Tt-D) 250
立山Eテフラ(Tt-E) 250
立山火山 250, 252
立山起源テフラ 34
立山第2期火砕流堆積物 250
立山弥陀ヶ原 250
谷埋め堆積物 203
谷上段丘 225
種子島 40, 315
多摩C上部テフラグループ 67
多摩丘陵 191
多摩中部ローム層 209
玉殿溶岩 250
玉縄城遺跡 200
多摩Iローム層 190
多摩IIローム層 205
多摩ローム層 67
樽前aテフラ(Ta-a) 104, 108, 109, 115
樽前bテフラ(Ta-b) 4, 116
樽前cテフラ(Ta-c) 4, 104
樽前dテフラ(Ta-d) 116, 117, 121
樽前山起源テフラ 125
樽前テフラ(群)[Ta(gr)] 26
垂水市 310
田原ローム 172
段丘堆積層 272
丹沢山地 198
単成火山 159
丹那断層 243
【チ】
茶内テフラ(Ch) 110
中央構造線 289, 290
中華人民共和国 2
中部日本 77
長白火砕流堆積物 →白頭山苫小牧テフラ
長白山 →白頭山
【ツ】
津軽海峡 134
津軽半島 138
月見野遺跡 196
つくば 175
辻又 97
辻又川テフラ 97
土橋ローム 205
津波堆積物 129, 131
都野津層 284
爪形文土器 11
【テ】
泥炭層 5
低断層崖 233
出来島海岸 139
天狗岱段丘 141
天正地震 260
天神野 278
【ト】
ドーラン 205
東京層 192
トウキョウホタテガイ 216

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
撓曲崖 238
凍結擾乱現象 100
洞爺火砕流堆積物 50
洞爺カルデラ 48
洞爺テフラ(Toya)
—東北 45, 51, 52, 141, 154, 155
—北海道 38, 48, 63, 64, 111, 118, 120, 122
通山浜層 60
栂テフラ →誓願寺-栂テフラ
十勝テフラ(Tok)
—火砕流堆積物[Tok(pfl)] 114
十勝平野 28, 116, 117, 118, 120
トカラ列島 317
常磐層 272
常呂 104
トコロテフラ 104
鳥取砂丘 276
鳥取地震 277
戸塚 83
トッタベツ氷期 136
葛原 42
土柱テフラ 94
苫小牧 4
苫前段丘 63
鳥浜貝塚 14
鳥浜火砕流 →阿多鳥浜テフラ
トレンチ 236, 243, 259, 260, 261
トレンチ調査 271
十和田aテフラ(To-a) 5, 16, 151, 161
十和田bテフラ(To-b) 16
十和田アオスジテフラ(To-AP) 141
十和田大不動テフラ(To-Of) 16, 141
十和田カルデラ 16
十和田起源テフラ 140, 147
十和田合同テフラ(To-GP) 141
十和田中掫テフラ(To-Cu) 16, 161, 163
十和田南部テフラ(To-Nb) 16
十和田八戸テフラ(To-H) 16, 141
十和田ビスケット1テフラ(To-BP1) 141
十和田レッドテフラ(To-RP) 141
頓別平野 101
【ナ】
ナイフ形石器 194, 199
ナウマン象 119
中筋遺跡 180
長瀬火砕流堆積物 →鬼界葛原テフラ
那珂台地 43, 173
—砂礫層 43
中岳火砕流堆積物 302
長根山面 162
中之条湖成層 183
中之条盆地 183
中春別テフラ(Nl) 110
梨ノ木礫層 231
那須火山 168
那須野原 169
名都借 212
七ツ沼カール 136
生竹面 278
成増貝層 192
成増礫層 192
鳴子起源テフラ 155
—火砕流堆積物 156, 158
【ニ】
濁川カルデラ 132
濁川テフラ(Ng) 131, 132
西郷火砕流 166
二次シラス 311
ニセミツ 190
日光起源テフラ 169, 170
二ノ倉ダム 16
二ノ倉テフラ群 16
丹生川火砕流堆積物 257, 258
丹生台地 75
韮崎 237
韮崎岩屑なだれ堆積物 235, 237, 238
【ヌ】
ヌカ4 70
沼サンゴ 218
沼層 218
【ネ】
根古屋層 71, 247
念通寺断層 233
【ノ】
濃尾地震 261
濃尾断層系 261
野川遺跡 195
野鹿 56
野島断層 271
野尻湖発掘 226
野尻ローム層 226
野付海岸 108
野村盆地 72
【ハ】
袴腰 309
萩森第2軽石(H2P) 149
白山起源テフラ 254
白山弥陀ヶ原 254
白兎礫層 277
白頭降下軽石 2
白頭山ベクトゥシャン(長白山シャンバイシャン) 2
白頭山男鹿テフラ 52
白頭山苫小牧テフラ(B-Tm) 2, 4, 5, 109, 115, 125, 135, 138, 140
箱根小原台テフラ(Hk-OP) 36, 207, 215
箱根起源テフラ 197, 199, 202, 208, 209, 215, 240
箱根吉沢下部7テフラ(Hk-KlP7) 173
箱根吉沢中部テフラ(群)(Hk-Km) 206
箱根古期外輪山溶岩 209

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
箱根中央火口丘1テフラ(Hk-CC1) 215
箱根中央火口丘軽石(Hk-CC) 198
箱根東京テフラ(Hk-TP) 32, 207, 208, 215
箱根三浦テフラ(Hk-MP) 215
橋牟礼川遺跡 314
畑尻段丘 51
秦野断層 197
秦野盆地 197
波田ローム層 234
八王子黒雲母テフラ 190, 191, 204, 217
八丈島東山火山 222
八郎太郎伝説 151
八甲田 5
八甲田テフラ(Hkd)
—火砕流堆積物[Hkd(pfl)] 142
馬場壇A遺跡 158
羽幌 63
浜名湖 249
浜松累層 249
走水礫層 202
バヤリース 205
原口岡遺跡 311
パラボラ砂丘 138
榛名火山 180
榛名起源テフラ 179, 188
榛名二ツ岳伊香保テフラ(Hr-FP) 178, 180
榛名二ツ岳渋川テフラ(Hr-FA) 180
磐梯起源テフラ 165
磐梯火山 165
飯能礫層 187
【ヒ】
飛越地震 259
東伊豆単成火山群 244
東茨城台地 174
東藻琴 107
引橋段丘 206
肘折尾花沢テフラ(Hj) 162
肘折カルデラ 162
日高山脈 136
飛騨山脈 78, 256, 257, 258
左横すべり逆断層 210
人吉盆地 55, 73
美々 26
夷守岳 306
日向第1軽石(Hn1P) 149
氷河 250
兵庫県南部地震 271
標準テフラ層序 264
漂着軽石 47
氷底自破砕溶岩 250
屏風が浦2テフラ →小林-笠森テフラ
屏風山砂丘 138
ビラオトリ層 120
平床台地 253
平山断層 210
蒜山原 288
蒜山原層 288
樋脇テフラ 74
琵琶湖 264
ピンクテフラ(Pk) 92, 95, 273
【フ】
福岡 294
福田テフラ(層) 96, 97
福地凝灰角礫岩層 256
普賢岳 297
富士火山 241, 242
—東麓 36, 44, 240
富士起源テフラ 188, 193, 194, 197, 198, 199, 213, 239, 240, 245
富士黒土層 241
富士山スコリア層 21
富士箱根同時噴火 239
富士宝永テフラ(F-Ho) 242
富士吉岡テフラ(F-YP) 36
船倉火砕流堆積物 →鬼界アカホヤテフラ
船倉降下軽石 6
ブリュンヌ・松山クロン境界 152
ブルカノ式噴火 305
文化-後文化スコリア群 317
文化編年 226
噴砂 274
噴砂現象 278
【ヘ】
ベージュタフ →阿多鳥浜テフラ
ベースサージ 312
別海 111
【ホ】
崩壊堆積物 237
法師峠黒雲母 170
宝積寺ローム 172
房総半島 91, 98, 214, 215, 216, 217
房総富津 83
北海道東部 25, 62, 103, 107
仏岩 228
幌岩テフラ 102
ホロカヤントウ層 119
【マ】
埋没アースハンモック 106
埋没樹木痕 182
埋没樹木群 296
埋没林 139
前掛山 228
前橋泥炭層 184
曲 86
曲-アズキテフラ(Mg-Az) 86, 88, 90, 91, 273
—火砕流堆積物[Mg-Az(pfl)] 86
真川湖成層 252
牧ノ原台地 248
摩周bテフラ(Ma-b) 104, 109
摩周火山 105

索引(続き)

項目 原著ページ・参照
摩周起源テフラ 106, 108, 110
摩周テフラ
—火砕流堆積物 109
摩周ローム 106
松江 46
松本盆地 231
松山・ブリュンヌ地磁気境界 91
豆焼橋 186
眉山 297
摩利支天溶岩類 234
【ミ】
三浦半島 206, 207
三崎段丘 207
三島溶岩 242
水つき砂層 276
水無川火砕流堆積物 297
三ツ石断層 260
三ツ組 190
南足柄 21
峰山高原 270
宮崎平野 9, 60, 66, 303
妙高赤倉テフラ(My-A) 178
妙高火山(群) 224, 225
妙高シブタミ川火砕流 224
妙高深沢火砕流 224
見和上・中・下部軽石層 173
見和層
—上部層 43, 173
—中部層 174
【ム】
武蔵野台地 195
六ツ木火砕流堆積物 297, 298
室堂礫層 250
室戸岬 292
【メ】
明美I面 268
明美丘陵 268
目黒大橋遺跡 194
米良 86
米良火砕流 86
【モ】
真岡テフラ(MoP) 172, 174
樅沢岳火山 77, 79
紋別テフラ-1(Mb-1) 102
【ヤ】
矢颪凝灰岩 187
屋久島 316
焼石岳 149
八ヶ岳東麓 70, 76
八ヶ岳火山 237
八ヶ岳川上テフラ(Yt-Kw) 186
耶馬溪テフラ(Ybk)
—火砕流堆積物[Ybk(pfl)] 92
薮層 216
山の手台地 192
槍先形尖頭器 198
【ユ】
夕張山地 121
有楽町層 212
由布川テフラ(Yfg)
—火砕流堆積物[Yfg(pfl)] 300
湯舟第1スコリア層 241
湯山砂層 276
【ヨ】
溶岩の荷重沈下 304
羊蹄起源テフラ 128
羊蹄鵡川テフラ(Yo-Mk) 124
横須賀 202
横浜 83, 203, 204
吉岡遺跡群 199
吉附面 214
米代川 151
【リ】
利尻起源テフラ 100
利尻豊徳テフラ(Rs-Ht) 100
利尻ワンコノ沢テフラ(Rs-Wn) 100, 101
隆起裾礁 318
琉球層群 320
琉球列島 320
【レ】
歴史地震 274
礫質構造土 117
【ロ】
六道原 232
【ワ】
脇本層 152

第四紀露頭集―日本のテフラ 編集委員・執筆者所属一覧

編集委員

氏名 所属(原著刊行時)
遠藤邦彦 日本大学文理学部
熊井久雄 大阪市立大学理学部
町田洋 元東京都立大学理学部
奥村晃史 工業技術院地質調査所
清水長正 立地研究所
鈴木毅彦 東京都立大学理学部
渡辺満久 東洋大学文学部
辻誠一郎 国立歴史民俗博物館
上杉陽 都留文科大学
池田安隆 東京大学大学院理学研究科

執筆者(ABC順)

氏名 所属(原著刊行時)
阿部友寿 かながわ考古学財団
赤木三郎 鳥取大学教育学部
赤松守雄 北海道開拓記念館
青沼道文 千葉市文化財調査協会
新井房夫 元群馬大学教育学部
千葉恵美 信州大学理学部
千葉達朗 アジア航測
土井宣夫 地熱エンジニアリング
土肥由美子 山梨県都留市立朝日小学校
遠藤邦彦 日本大学文理学部
藤井亨 日本大学文理学部
原田昌一 神奈川県立相模原高校
原山智 工業技術院地質調査所
長谷川均 国士舘大学文学部
橋本定樹 関西大学第一高等学校中学校
羽鳥謙三 共愛学園女子短大
早津賢二 妙高火山研究所
飛田正美 千葉市文化財調査協会
檜垣大助 神奈川県庁土木部
平川一臣 北海道大学大学院地球環境科学研究科
星住英夫 工業技術院地質調査所
星住(宇野)リベカ 自由学園
池谷信之 沼津市文化財センター
井村隆介 鹿児島大学理学部
稲垣進 神奈川県立岡津高校
伊藤ひろみ 宮城県北上町立北上中学校
伊藤菜穂子 三井ホーム
伊藤孝 茨城大学教育学部
伊藤谷生 千葉大学理学部
岩田修二 東京都立大学理学部
鎌田浩毅 工業技術院地質調査所
兼子尚知 工業技術院地質調査所
狩野謙一 静岡大学理学部
苅谷愛彦 工業技術院地質調査所
柏木善治 かながわ考古学財団
片岡義順 さえき
河内晋平 信州大学教育学部
川崎輝雄 神戸大学大学院文化学研究科
菊地隆男 東京都立大学理学部
木村純一 福島大学教育学部
木村吉行 かながわ考古学財団
北村繁 東北大学大学院理学研究科
小疇尚 明治大学文学部
小林哲夫 鹿児島大学理学部
近藤洋一 信濃町立野尻湖博物館
小山真人 静岡大学教育学部
久津間文隆 埼玉県立浦和西高等高校
桑原拓一郎 東京都立大学理学研究科
町田洋 元東京都立大学理学部

執筆者(続き)

氏名 所属(原著刊行時)
町田瑞男 埼玉県立自然史博物館
前杢英明 山口大学教育学部
的場保望 秋田大学鉱山学部
松田隆夫 府中市役所
松井愈 元北海道大学理学部
松井整司 島根大学汽水域研究センター
松島信幸 伊那谷自然友の会
松島義章 神奈川県立博物館
御堂島正 神奈川県教育庁
満岡孝 国立科学博物館
三浦英樹 国立極地研究所
宮縁育夫 森林総合研究所九州支所
宮地直道 北海道農業試験場
宮田雄一郎 山口大学理学部
宮内崇裕 千葉大学理学部
水野篤行 元愛媛大学理学部
水野清秀 工業技術院地質調査所
森脇広 鹿児島大学法文学部
両角まり 目黒大橋遺跡調査会
村田泰輔 北海道大学大学院地球環境科学研究科
長岡信治 長崎大学教育学部
長崎正 東京都立市ヶ谷商業高校
長沢宏昌 山梨県埋蔵文化財センター
中野俊 工業技術院地質調査所
中山勝博 島根大学総合理工学部
成尾英仁 鹿児島県立博物館
則茂雄 明大付属明治高校
小田静夫 東京都教育庁
小倉博之 大阪市立大学理学部
岡田昭明 鳥取大学教育学部
奥村晃史 工業技術院地質調査所
奥野充 名古屋大学大学院人間情報学研究科
大村明雄 金沢大学理学部
小野晃司 応用地質
小野有五 北海道大学大学院環境科学研究科
長田敏明 大田区立出雲中学校
小柳美文 八王子市役所
佐護浩一 ダイヤコンサルタント
西城潔 宮城教育大学教育学部
斎藤睦雄 千葉県白井町立大山口小学校
佐治孝弌 鳥取県北条小学校
酒井潤一 信州大学理学部
佐々木明彦 明治大学文学部
佐藤仁美 基礎地盤コンサルタンツ
澤田順弘 島根大学総合理工学部
澤口晋一 新潟国際情報大学情報文化学部
瀬川裕市郎 沼津市文化財センター
清水長正 立地研究所
下山正一 九州大学理学部
新川和範 北海道広尾町立広尾小学校
白石浩之 かながわ考古学財団
白石建雄 秋田大学教育学部
白根義久 千葉市文化財調査協会
染野誠 基礎地盤コンサルタンツ
相馬秀廣 奈良女子大学文学部
早田勉 古環境研究所
菅香世子 東京都港湾局
杉原重夫 明治大学文学部
杉山雄一 工業技術院地質調査所
隅田まり ドイツ キール大学環境科学センター
砂田佳弘 かながわ考古学財団
鈴木正章 道都大学短期大学部
鈴木毅彦 東京都立大学理学部
鈴木保 信州大学理学部
鈴木康弘 愛知県立大学文学部
高橋伸幸 北海学園大学教養部
高橋みゆき 山梨県埋蔵文化財センター
高尾好之 沼津市文化財センター
武田宗久 千葉市文化財審議委員会
竹本弘幸 茨城大学理工学研究科
竹村恵二 京都大学大学院理学研究科
田中里志 京都教育大学
田中眞吾 元神戸大学文学部
建石徹 東京学芸大学
寺平宏 伊那谷自然友の会
寺門卓也 内外地図
豊蔵勇 ダイヤコンサルタント
辻誠一郎 国立歴史民俗博物館
土屋真一 恵庭市郷土資料館
内田法英 茨城高校
上本進二 神奈川県立旭高校
上杉陽 都留文科大学
鵜浦武久 東京都立鷺宮高校
渡辺満久 東洋大学文学部
渡辺一徳 熊本大学教育学部
八木浩司 防衛大学校
山田スミコ 島原市立第三小学校
山縣耕太郎 上越教育大学社会系

執筆者(続き)

氏名 所属(原著刊行時)
山内靖喜 島根大学総合理工学部
山崎博史 琵琶湖博物館
柳井清治 北海道立林業試験場
安野信 神奈川県立大岡高校
米澤宏 独協学園
米澤まどか 関東第四紀研究会
吉田千香子 ボランティア365
吉田真理夫 北海道大学大学院理学研究科
吉田浩 東京都立大学理学研究科
吉川周作 大阪市立大学理学部
吉永秀一郎 森林総合研究所四国支所
吉岡敏和 工業技術院地質調査所
由井将雄 明治高校

団体執筆者

第四紀露頭集―日本のテフラ

第四紀露頭集―日本のテフラ

Inventory of Quaternary Outcrops

—Tephras in Japan—

August 1996

Japan Association for Quaternary Research

Gakkai Center C21, Honkomagome 5-16-9, Bunkyo-ku, Tokyo 113, Japan

裏表紙の層状テフラ露頭写真。黄褐色・暗色・白色の層が曲がって連なる。
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